アンディー・ウォーホールの作品 毛沢東 1974年 クリックすると拡大します |
「他の歴史も事実でない」
「会談には毛沢東を出席させておけばいい。どうせ私たちの他の歴史も事実ではないのだから」「人々の注意をひくための汚い宣伝だ」
中国版ツイッターの「微博(ウェイボ)」にはあきれ、自嘲し、怒るネット市民の書き込みが相次いだ。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)や英紙ガーディアン、フランス通信(AFP)など欧米メディアも騒動を大きく伝えた。報道によると、この映画は、中国政府による抗日戦争勝利70周年記念行事の一環として、中国人民解放軍系の映画会社が制作した。
ところが、この作品のポスターと予告編映像が大問題になった。ポスターには、中国の人気俳優、唐(タン)国(グオ)強(チャン)さん(63)演じる毛沢東主席の写真を掲載。予告編映像にも、「世界の共産主義者が果たすべき使命は、闘争を通じてファシズムに反旗を翻すことだ」と熱弁する場面が登場し、カイロ会談で毛沢東主席が重要な役割を果たしたかのように印象づけている。
1943年11月に開かれたカイロ会談には、米国のフランクリン・ルーズベルト大統領(1882~1945年)、英国のウィンストン・チャーチル首相(1874~1965年)、そして中国国民政府の蒋介石主席(1887~1975年)が出席。日本が中国から得た領土の返還といった戦後の対日方針を定めた「カイロ宣言」を発表。その内容は、連合国のポツダム宣言へと引き継がれた。中国共産党を率いていた毛沢東主席はこの会議には出席していない。
これを受け、映画会社の広報担当者はWSJに対し「会談だけでなく、会談を軸に据えた国際的視点で制作した」と説明。「毛沢東主席の写真を使うことで映画を大げさに売り込もうといった特別の意図はなかった」と釈明した。
機関紙も「不適切」切り捨て
しかし、中国共産党の機関紙の人民日報の国際版である環球時報は、今回の騒動について「蒋介石主席を排除し、会談に出席していない毛沢東主席を主役にしたポスターは、歴史にも毛沢東主席自身にも敬意を払っていない」とする、文化評論家の意見を掲載。論評でも、「不適切」と切り捨てた。
あわてた映画会社は、蒋介石主席ら主要登場人物に焦点を当てたポスターがもうすぐ登場すると表明するなど、事態の収拾に躍起だ。
英リーズ大学の歴史研究家、アダム・キャスカート氏はガーディアン紙にこう皮肉った。
「中国共産党が自国の長い歴史の節目に、自分たち(の活躍ぶり)を挿入しようとしたのでは」
【私の論評】自国の歴史修正が人民の反感を買う!日本に対するそれも必ず暴露され、いずれ中国は大炎上する(゚д゚)!
中国の歴史修正は前々から酷いものであることを聴いていましたが、上の記事でも本当に酷いものであることが、如実に示されたと思います。本当に、幼稚すぎる歴史修正です。
それにしても、中国ではこの映画の監督なども含めて、歴史をあまりにも簡単に考えすぎている人が多いようです。
カイロ会談出席メンバー 左より蒋介石、ルーズベルト、チャーチル |
「南京の虐殺者数は、中国人民の感情に比例する」
ジャーナリストの櫻井よしこさん クリックすると拡大します |
ということは、習近平やなどの中国共産党の幹部や、他の官僚や、一般人民などの歴史発言など押してしるべきです。そうです。中国では、感情によって、数が変わったり、歴史が変わるのです。
彼らにとっては、自分の都合や感情によって、過去の歴史を勝手に変更することはいとも容易いようです。これが、ある程度まともな国の、まともな人間なら、自国の歴史はもとより、他国の歴史についても、少なくとも史実といわれていることについては、勝手に変更はしないし、そもそも出来ないです。
しかし、このような歴史修正を気軽に続けてきたせいでしょうか、中国人の中には、歴修正の緩みとでも形容しないと説明のつかない事象が発生しています。
上の記事も、その典型例だと思います。中国における、毛沢東の評価について、知らない世代も増えているようですが、さしずめ、この映画の監督や制作にかかわった人間は、それを知らないようです。
中国は、本当は「毛沢東」を建国の父として、英雄としてまつりあげ、国家統合の象徴にしたいと考えていた時期があります。
しかし、それはできない相談でした。なぜなら、中国においては、毛沢東のために犠牲になって殺された人の数があまりにも多く、平均的な中国人であれば、親戚縁者や知人の誰かが、毛沢東の犠牲になっていたという歴史的事実があり、とてもそのような人物を英雄に祀り上げることなどできなかつたという経緯があります。
確かに毛沢東による犠牲は半端ではないです。以下に実数を掲載させていただきます。
毛沢東は、1957年2月27日、「49年から54年までの間に80万人を処刑した」と自ら述べています。(ザ・ワールド・アルマナック 1975年版)。周恩来は、同年6月、全国人民代表大会報告で、1949年以来「反革命」の罪で逮捕された者のうち、16%にあたる83万人を処刑したと報告しています。また、42%が労働改造所(労改、強制収容所)に送られ、32%が監視下に置かれたと述べています。毛沢東は、その後もさまざまな権力闘争や失政をつづけましたが、丁抒らの研究によると、大躍進政策と文化大革命によって、2,000万人の中国人民が死に追いやられたとされています。
『共産主義黒書』では、ジャン・ルイ・マルゴランが、ほぼ信頼できる数値として、内戦期を除いた犠牲者の数を、以下のように統括的に提示しています。
■体制によって暴力的に死にいたらしめられた人
700万~1,000万人(うち数十万人はチベット人)
■「反革命派」として強制収容所に収容され、そこで死亡した人
2,000万人ないし4,300万人
これほどの大量虐殺を直接・間接に指揮した毛沢東は国家の英雄や、統合の象徴としては祀り上げることができないことがよくお判りになることでしょう。
鄧小平 |
鄧小平元主席は、こうした現状では毛沢東など、英雄にすることはできないため、何とか中国統合の象徴をつくりあげようとしたそうです。
しかし、中国の過去の人物というと、これまた虐殺者が多いことから、それもなかなかうまくいかず、あるとき中国の宦官であり、ヨーロッパの大航海時代に先駆けて、大航海をした鄭和を英雄にしょうとも考えたのですが、鄭和はムスリム系であるということもあり断念したそうです。
鄭和の蔵 |
鄭和も中国統合の象徴とはできなかった中国、中国には今でも、統合の象徴としての英雄は存在しません。これは、他国の歴史と比較すると、信じられないことです。他国では、国につくしたということで、建国の父や、その他英雄が大勢いるのが普通です。
日本にも大勢いますが、日本の場合は、随分はやい時期から、天皇陛下がおられ、かなり昔から現代にいたるまで、日本国統合の象徴となっています。それに、多くの英雄が存在します。
中国の歴史を振り返ってみると、その時代時代で、大帝国ができて、それが衰退して、消えて、また新しい大帝国ができあがり、ということを何度も繰り返しています。そうして、中国には皇帝が存在しましたが、それはあくまで各々の大帝国を支配した皇帝であり、中国の過去の大帝国から、今にいたる共産中国に至るまで、まったく何のつながりもありません。それぞれ、分断されています。
日本の天皇陛下などとは、全く異なります。日本では、昔から今に至るまで、天皇陛下が日本統合の象徴であらせられます。過去の日本と今の日本は、為政者はその時々で異なるものの、文化や伝統なども継承され、連綿とつながっています。このような日本では、その時々の為政者が自分の都合の良いように、歴史を変えるなどということはできませんでした。
しかし、中国は違います。互いに全く関連のない、その時々の為政者が自分に都合の良い歴史をつくってきたという歴史があります。こんなところからも、中国では過去の自国の歴史を自分たちに都合の良いように、変えてみたりするのには、何の抵抗もないのでしょう。そうして、他国の歴史も自分たちにとって都合の良いように変更することもなんとも思わないでしょう。
しかし、そのようなことを安易に続けてきたため、過去の経緯もまともに調べず、毛沢東を英雄に祀り上げられると思う愚か者がでてきて、実際やってみたところ、とんでもないしっぺ返しをくらったというのが、ブログ冒頭の記事の真相だと思います。
それにしても、お粗末です。自国の歴史の修正などもこのように実施して、失敗するわけですから、南京虐殺などその他の歴史も自分たちに都合良く修正しているのは明らかです。いずれ、ブログ冒頭の記事のように、日本や他国・多民族に対する歴史修正も必ず暴露され大炎上することになります。その日は近いです。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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