最近脳科学が進んでいる。昔はわからなかった、様々なメカニズムが明らかにされつつある。
今の時代に生かせるキレるという現象の増大への脳科学的分析 中編
今の時代に生かせるキレるという現象の増大への脳科学的分析 後編
ねたみや他人の不幸を喜ぶ感情をつかさどる脳の部位を、放射線医学総合研究所などの研究チームが明らかにした。ねたみを感じる部位の活動が高い人ほど、「他人の不幸は蜜(みつ)の味」と感じやすいことも実験で確認できた。13日付の米科学誌サイエンスに発表した。
ねたみなどの複雑な感情をつかさどる脳の仕組みは、ほとんど分かっていなかった。放医研の高橋英彦・主任研究員(精神医学)らは、被験者が主人公 となり、自分より成績や所有物が優れた人が登場するシナリオを用意。大学生19人に読んでもらい、ねたみの強さを自己評価してもらうと同時に機能的 MRI(磁気共鳴画像化装置)で脳の活動部位を調べた。
その結果、ねたみを感じる際には、肉体的な痛みを感じる前頭葉の「前部帯状回」の活動が活発になった。また、自分より優れた人が不幸に見舞われる シナリオでは、報酬を得たときに心地よいと感じる「線条体」という部位が活性化した。前部帯状回の反応が強い人ほど、線条体の反応が強かった。
高橋さんは「体の痛みを感じる前部帯状回が心の痛みであるねたみにも関係していることは興味深い。ねたみのような感情を客観的に評価できれば、カウンセリングなどに役立つのではないか」と話している。【西川拓】
犯罪予防などにも効果を発揮するか?
また、医学の進展が一つの領域を開きそうです。少し前まで、ねたみが異常に強い人の処遇はなんともしかねたと思います。こうした領域が発展していくと、こうした人への処遇も適切にできるようになると思います。
しかし、こうしたサイエンスが進展すると、いつも一抹の不安を感じます。たとえば、数十年も昔に「時計仕掛けのオレンジ」という映画で展開された、暴力の完全否定です。このブログの左レイアウトの冒頭にあるアバターは、この映画の主人公であるアレックスの肖像です。
この映画は、1970年代のスタンリー・キューブリックの作ですが、暴力を主題にしています。主人公アレックスは、ある若者のグループのヘッドで、いつも無軌道な生活をしています。暴力・セックスのし放題の生活です。老人を痛めつけたり、強姦など平気でやってしまいます。
ある日、夫婦二人の家に入り込み、その家の婦人を殺害してしまいます。警察につかまり、警察より攻撃性を治療する施設に移され治療を受けます。暴力を振るいたいとか、女性を強姦したいという欲望がおこると、吐き気がでて、何もできなくなるような治療を受けます。そうして、晴れて出所です。しかし、この治療を受けたアレックスは攻撃性がなくなり、無気力化して結局社会に適応できません。
この映画の結末は、暴力の肯定です。無論、映画のストーリーの行間を読めば、作者としては、暴力完全肯定という考え方ではないと思います。暴力というよりは、攻撃性の肯定です。しかし、人間には、温和で柔和面もあり、攻撃的な面もあるのが当たり前です。両方がなければ、おそらく人間は、社会に適応できないと思います。
アメリカの金融危機のような厳しい状況にいたった場合、平時の温和で柔和な措置ばかりを講じていては、かえって社会が疲弊するということも考えられます。場合によっては、相当厳しい措置が必要です。あるいは、第二次世界大戦の時のイギリスの首相チェンバレンのように、ナチスドイツに対して、はっきりとした対決姿勢を示さず、宥和政策を実施し、大失敗したなどの例もあります。会社がこのままだと倒産するというときには、蛮勇を奮わなければ解決しないということもあります。あるいは、自分の子供を育てるときに、時には殴るなどのことが愛情に満ちた行為だったりすることもあり得ます。こういうときに、ある程度攻撃性もなければ、正しい行動ができないばかりか、方向を間違ってしまう可能性もあります。
暴力を完全根元から排除してしまえば、それは最早人間ではなくなるかもしれません。かといって、攻撃性の強すぎて犯罪を起こす人、起こしそうな人をほおっておくことはできません。だからこそ、一定のくくりがあり、法律も決まっていてある一定以上を超えた人は逮捕され処分されます。酷い場合は、日本では死刑になります。
今回のような、脳科学が発展して、「ねたみ」のメカニズム関して、詳しい解析ができるようになったとき、私が一番恐れるのは、政府が一律でこうした問題に対処することです。人間には、様々なタイプがいます。また、地方によっても随分違うと思います。経歴や人生経験によっても随分異なると思います。ところが、政府がこうしたことに直接関与して実施してしまうと、結果は、全国一律の、個々人のニーズには、あわない方法でやってしまうということです。
このような国のやり方に関しては、たとえば、社会福祉一つとっても随分非難の声があがっているようです。国の一律なやり方だと、必要もない人に手厚い福祉政策が施され、本当に必要な人にはほとんど施されないなどということが頻繁に起こってしまいます。ドラッカーが語っていように、私は、国はもともと基盤などを形成することはできても、その基盤の上で実際に行動するようなことはもともとできない存在だと思っています。
では民間営利企業に任せれば良いと思う人もいるかもしれまん。しかし、これも駄目です。利益を優先する組織では、このような微妙な問題は扱えません。やはり、こうした特殊な問題を取り扱うNPO(非営利企業)を作り出し、そこに任せるべきだと思います。病院もNPOであるには違いありませんが、たとえば、個々人がそもそも治療が必要なのかとか、治療するにしても、どのようなプログラムに基づくかなどに関しては、既存の病院では難しいので、このあたりはNPOに任せるべきだと思います。さらに、治療を受けることになった場合でも、定期的にその治療がふさわしいのか、さらには、効果をあげているのか、患者の人権を侵害していないかを定期的に監査する仕事もNPOに取り組ませるべきだと思います。NPOをつくるにあたっては、無論政府が、法律や、NPOが活動するための基盤や、病院における治療の基盤を作るべきだと思います。
そうして、私たちの社会にとって最適なシステムと、基盤を形成すべきだと思います。そうならなければ、こうした脳科学の犯罪防止への適用は困難だし、やってはいけないことだと思います。しかし、こうした背景を前提とし、キチンとした基盤を形成し、NPOなどが実行動できるようになれば、大きな社会変革につながっていくと思います。こうしたことを実現するには、多大な投資が必要になると思います。期間も必要です。しかし、こうしたことにより社会不安が取り除くことができれば、社会的にはプラスになり、それこそ、このブログでも前から掲載しているように内需拡大や、雇用の拡大にもつながると思います。
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