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2015年5月28日木曜日

日本のニートは「高学歴」…OECD報告―【私の論評】デフレの悪影響はこんなところにも?速やかにデフレからの完全脱却を目指せ(゚д゚)!

日本のニートは「高学歴」…OECD報告
2015年05月28日 09時01分


日本の若年無業者(ニート)は学力などに関する国際調査の成績が他国に比べて高いことが、経済協力開発機構(OECD)が27日に発表した若者の技能と雇用に関する報告でわかった。

OECDは「学校から仕事へと円滑につなげる仕組み作りが必要」と指摘した。

OECDが2011~12年に行った「国際成人力調査」(略称PIAAC)など複数の国際調査や統計データを基に分析した。

それによると、ニートはOECD加盟国全体で3900万人。日本のニートは、大学卒業以上の学歴を持つ人が、それ以外の人よりも多かった。PIAACの「読解力」では、成績が低いレベルだったニートは日本は3%にとどまり、他国に比べて好成績の割合が高かった。「数的思考力」も同様の傾向が見られた。

【私の論評】デフレの悪影響はこんなところにも?ニートの本当の敵はデフレ(゚д゚)!

カリスマニート

こういう記事を読む場合は、背景を良く考えないとその真に意味するところがわからなくなります。なぜ、日本のニートの学力が高いかといえば、その最大の原因は、過去20年近く続いたデフレのせいでしょう。

ブログ冒頭の記事でも、日本のニートは、大学卒業以上の学歴を持つ人が、それ以外の国のよりも多かったとしています。なぜ、大学卒業以上の学歴を持つニートが多いのかを考えれば、良く理解できます。

デフレ下では、ブラック企業がはびこりますし、まともな企業でさえ業績が悪くなり、採用を控えるし、リストラなど厳しいコスト管理をしてブラック的になってしまいます。これが、ニートを増やすことになります。雇用環境は最悪で大学や大学院を卒業しても、職に就けないとか、職についても辞めてしまえば、再就職がかなり困難とかで、学歴が高くても、ニートになる人の数が増え、こういう人たちも数多くなり、ニート全体の学力を底上げしているということが十分考えられます。

それどころか、日本にはポスドク問題もあります。ポスドク問題とは、科学技術創造立国をめざす日本国政府は、博士号取得者の量産に取り組んできたのですが、就職の受け皿となる大学や公的研究機関のポストを増やさなかったため、1万人以上のドクターが正規の職につけていない状況にあります。企業への就職をいかに開くかが課題となっています。このようなポスドクでもニートになっている人も存在し、これらがさらにニートの学力を高めているものと思います。

国際的に日本と他国、特に他の先進国とを比較した場合、最大の違いは日本では20年近くもデフレが継続したにもかかわらず、他国はたとえ経済が低迷したにしても、そこまで酷くなかったということです。まさに、20年近くもデフレが続くなど、古今東西にその例を見ません。日本が最初でしょう。そうして、このように長期にわたってデフレが続くなどいうことは、これで最後にすべきです。

よって、この問題の根本的解決は、「学校から仕事へと円滑につなげる仕組み作り」というよりは、速やかなデフレから完全脱却という事になると思います。まずは、これを成就しなければ、何も始まりません。デフレから完全脱却しないうちに増税などやっている場合ではありません。

自発的ニートだけが、ニートではない(゚д゚)!

私達の国日本は不思議の国であり、他の先進国では大勢の人にとって当たり前のど真ん中になっている、金融政策と雇用環境の関係を理解していない人が多いです。日本では、特に民主党などの野党がそうです。金融緩和策など、EUでは労働組合などが雇用を改善するとして大賛成している政策です。しかし、日本では雇用環境を改善するためのにも、金融緩和策を実施しているということを理解しない、政治家、官僚、マスコミ関係者が多いです。

さらに、増税をすれば、景気が低迷して、雇用環境にマイナスであるということを理解しない人が多いです。困ったもです。

だから、このような記事を見ても、デフレすなわち金融政策のまずさが、背景にあることを見抜ける人は少ないです。

しかし、これを見抜けなければ、日銀の過去の金融政策や、財務省の財務政策のまずさを見抜けないということになり、その結果様々な社会現象の真の原因を見失うことになります。

女性ニートの就労を支援するカフェで、スタッフ(手前)
と一緒に働く若い女性ら=2012年4月、横浜市

無論、社会が悪くなる理由は他にも多くあります。教育の問題とか、無知とか、紛争とか、数え上げればきりがないですが、この日本で社会が悪化したことの最大の原因の筆頭にあげられるのは、デフレです。デフレによって多くの国民が塗炭の苦しみを味わいしまた。

それに社会を良くするための方法は、多くあります。しかし、ここ日本においてはまずは、デフレを完璧に解消しなければ、社会問題のほとんどは解消されません。ニート問題もそうです。マスコミが面白おかしく喧伝する、自発的ニートだけが、ニートではありません。本当は、ニートになりたくなくても、ニートにならざるを得ない人や、デフレでさえなければ、ニートにはならなかった人も多数存在すると思います。

厳密な言葉の意味で、今の日本はもはやデフレではありませんが、まだまだ過去のデフレの悪影響が色濃く残っています。無論デフレから完全脱却したからといって、すべての問題が解決されるなどというような、おためごかしは言いません。

しかし、今の日本に10の大きな問題があったとして、デフレから完全脱却すれば、おそらく10の大きな問題のうち、少なくとも6つはそれだけで十分解消できます。残りの4つも、何とか方向性は見定めることができるかもしれせん。しかし、デフレから完全脱却できなければ、これらの10の問題はいつまでたっても解消されず、何かを良くすれば、何かが駄目になるという具合で、モグラたたきを繰り返すことになります。

過去の日本の、多くの人々の閉塞感はこれでした。デフレを放置しておいて、年金問題や、財政規律などを声高に語っても、何も解決しません。

デフレの悪影響は、今の日本にもまだまだ色濃く残っています。やはり、デフレからの完全脱却、緩やかなインフレを速やかに目指すべきです。

自発的ニートも存在するが、それは社会の問題というより個人の問題(゚д゚)!

ニートの本当の敵は、デフレです。デフレが解消されれば、自発的ニート以外の人々が、ニートをやめられる確率はかなり高まります。そうして、実際かなり減ることになるでしょう。そうなれば、他の先進国と比較して、日本のニートが特に高学歴とか高学力などということはなくなるでしょう。それでも、自発的ニートの問題は解消できないかもしれません。しかし、それは社会の問題というよりは、個人の問題です。まずは、社会を健全化することを目指すべきです。


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