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2009年3月26日木曜日

映画「ワルキューレ」見てきました―これが本当の陰謀というものか?

映画「ワルキューレ」見てきました
Tom Cruise VALKYRIE ワルキューレ Trailer 2009!!!!

私自身は、昔からヒトラー暗殺計画はいくつもあったことを知っていました。そうして、この映画の史実もある程度は知っていました。だから、この映画のストーリー自体は別に目新しいものでもなんでもありませんでした。しかし、感動的な映画でした。

映画を見ていない人のために、あまり詳しく述べてしまうと、良くないので、本当に簡単にストーリーを紹介します。ドイツの敗色が濃くなりはじめた第二次世界大戦末期。戦争により左目や右手を失った将校のシュタウフェンベルク大佐は、ヒトラー総統の考え方や政策に疑問を抱いていました。愛しているのは祖国であって、ナチスでない。その思いから、やがて彼は、ヒトラー暗殺を企てるレジスタンスの秘密会議に顔を出すようになります。

そんなある日、シュタウフェンベルク大佐は、自宅でワーグナーの「ワルキューレの騎行」を耳にし、ある計画を思いつく。それは、有事の際に反乱勢力を鎮圧する「ワルキューレ作戦」と名付けられた既存の作戦を利用して、ヒトラー暗殺のみならず、ナチス政権の転覆まで謀るという、壮大なものでした。

シュタウフェンベルク大佐の陰謀は、ベルリンのドイツ軍を大動員し、もう少しで成功しそうだった。

この映画のストーリー、これは歴史的事実に基づく作品です。だから、ヒトラーの最期が自殺だったことを知る我々にとって結末は、はなからわかっていることです。暗殺計画は成功せず、その後もヒトラーとナチスはドイツに君臨し、戦いを続けたのです。だから、この映画は物語に感銘する映画ではありません。代わりにわたしたちの心を打つのは、人がどう生きるかであり、その生き方こそが大切だというメッセージなのです。

シュタウフェンベルク大佐は、処刑されますが、家族は全員生き続け、奥さんは2007年に亡くなったと映画の最後で締めくくっていました。

それにしても、惜しいところで暗殺計画は失敗したことが、良く描かれていました。この史実はドイツ国民には現在では良く知られていることで、シュタウフェンベルク大佐はドイツの国民的英雄になっているそうです。

これが本当の陰謀というものか?
中川前財務大臣の泥酔会見に関しては、私は陰謀のような気がするということをこの記事に掲載しました。最近、小沢代表に対する西松建設の献金に関する検察の捜査も小沢代表自身が、国策捜査だといい、マスコミや、ブログなどのメディアでも、「陰謀説」がささやかれています。この国策調査に関しては、私は、そのような陰謀はないであろうことをこのブログに掲載しました。特に、国策調査に関してその陰謀の首謀者については、たとえば、CIAとか、それこそ首相官邸だとか、ひどいのになるとユダヤだとかするものなど、たくさんあります。特にユダヤの陰謀などと聴かされるとゲンナリしてしまいます。

陰謀といえば、この映画にでてくるヒットラー暗殺計画はいかにも陰謀らしい、陰謀、陰謀の中の陰謀という気がします。そうして、本日この映画を見ていて感じたのは、陰謀というものが成立するためには、その背景があるということです。

この映画での陰謀の背景は、やはりヒトラーという独裁者だと思います。独裁でありかつ全体主義国家であったということが、陰謀の背景となっています。全体主義国家でなければ、この映画の主人公のシュタウフェンベルク大佐も、政治家になるとか、なんとか合法的な手段でヒトラー政権の転覆を図ったのではないかと思います。しかし、それ以外に方法がないという極限状況の中だったので、陰謀という強硬手段を図ったのではないかと思います。そうして、そういう極限下の中の陰謀であったので、わたしたちは、正当化できるのだと思います。現在シュタウヘンベルクが同じことをやれば、単なるテロリストということになってしまいます。

さて、現在の世界、特に日本やアメリカやヨーロッパなどで、陰謀を図る必要性があるでしょうか?独裁者であるヒトラーを暗殺すれば、確かにあの当時のドイツはかなり変ったと思います。しかも、この映画の陰謀は単なる暗殺にとどまらず、有事の際に反乱勢力を鎮圧する「ワルキューレ作戦」と名付けられた既存の作戦を利用して、ヒトラー暗殺のみならず、ナチス政権の転覆まで謀るというものでした。これであれば、成功すれば、ドイツと連合国との間に早い時期に講和条約が締結され、戦争が早く終結し、ドイツも民主国家として歩むことが可能だったと思います。

しかし、現在の日本で、たとえば、麻生総理や、小沢代表を暗殺したり、暗殺しないまでにも、政治家生命を完全に葬ったとして何が大きく変るでしようか?あまり変りはないと思います。まあ、それでも大きな変化という人いるかもしれませんが、ヒトラーを葬りさるほどの大変化を期待できるでしょうか?それは、ないと思います。こういうことが、成り立つのは、いまや、全体主義の中国など、やはり独裁国家であるところに限られるのではないかと思います。民意を反映させようとしても、他に方法がない場合、命がけでやるというのが、陰謀・策謀の本質だと思います。

さて、先に述べた、小沢問題にかかわる陰謀説に関して、少し考えて見ましょう。まずは、CIAが首謀者とする説ですが、CIAは情報機関です。情報機関の仕事とは、主なることは、情報の収集です。随分前に、第二次世界大戦中に陸軍中野学校を卒業して、特務機関としても働いていた方(名前も、著書名も失念しましたが)の著書を読んだことがあります。その中に書かれていたことは、スパイの活動というものは、映画の「007シリーズ」のような派手なものはほとんどなく、通常実施していたのは、世界各国が出している定期刊行物新聞を丹念に読みながら、自ら集めた情報も含めて、それらを丹念に分析することだそうです。

そうしたものの例として、古典的なものも掲載されていました。たとえば、元素周期律表で有名なロシアのメンデレエフは、フランスの火薬の成分を知るために、何と、列車時刻表を用いたとか。この話は、要するに、当時は陸上輸送のほとんどが列車で行われていたため、フランス各地にある貨物専用列車の駅の時刻表を見ることと、編成車両数を知ることにより成分を割り出したというものです。これは、フランス国内で普通に発信されていて、一般の人も簡単に入手できる情報から割り出したものです。

また、イギリスの有名なスパイの例を出し、そのスパイがドイツ軍の大攻勢の予測の話を例としてだしています。ドイツの将軍の日々のスケジュールを丹念に見ていて、スイスで結婚式に出席し、次はベルリンに1日滞在、次はどこに行き、その次はという情報を丹念に探っていき、それを丹念に分析して、ドイツ軍の大攻勢の場所と日時を割り出したという話しです。

スパイの仕事というものは、実体は、こういうものだと思います。様々な事実をつなぎあわせて、分析して、相手方の実情を知るのが本質です。陰謀、策謀などは、ほんの一部といっても良いものだそうです。ましてや、現在ではほとんどがそうだと思います。時々出てくる、いかにもスパイ映画のような出来事は、おそらくイレギュラーなのだと思います。だから、小沢さんをブロックするために、CIAが動いているということはなかなか考えにくいことです。そこまでして、小沢ブロックをする価値はないと思います。

官邸による国策調査については、以前にもこのブログに書きまし。もし、官邸が自由に国策調査など検察にやらせることができるのであれば、日本の大方のマスコミの幹部や、小沢さんなどの野党のトップなどとっくに刑務所に入っているだろとうというものです。実際、韓国では金大中氏が投獄されていた時期がありますし、フィリピンのアキノ上議員議員は暗殺され、今年はその実行犯が特赦で解放されたばかりです。

次に、ユダヤの陰謀というのは、全く根も葉もないことです。論ずるのも語るのも馬鹿馬鹿しいことです。なんでもかんでも、ユダヤの策謀にするというのは、あまりに単純すぎます。日本では「ユダヤ人、ユダヤロビー」の陰謀説を信ずる人々も後を絶たちません。ユダヤ人が世界征服を計画している証拠とされた「シオン賢者の議定書」は19世紀末にロシアで出版されたましたが、1921年以降、この書物が偽物であることは欧米知識人の間で既に常識となっています。ユダヤ陰謀説をここまで言い続けている国は世界に類をみません。ここで、はっきり言っておきますが、日本以外の多くの国ではユダヤ策謀説をしょっちゅう唱える人は、ナチスドイツが過去に行ったユダヤ人迫害を正当化しているとか、人種偏見を持っている人とみなされます。

それに、誰でも彼でも、特に要職に就いている人に関して、誰はユダヤ人だ、彼もユダヤ人だ、全部ユダヤ人だなどとのたまう人に、うかがいたいのですが、ユダヤ人種という人種は存在するのですか?存在しませんね。であれば、ユダヤ人であるなしはどうやって見分けるのでしょうか?あまりに、馬鹿馬鹿しいので、ここでは、もう語りません。

いずれにせよ、陰謀、謀略の類の話はほとんどが「とんでもない話」「作り話」だと思います。確かに、ほんのたまには、今の日本や、アメリカ、ヨーロッパでも全くないとは否定することはできないと思います。確かに、先ほど述べた話の中で、スパイのほとんどの仕事は、地道な事実の分析であることを述べましだか、ほんの数パーセントですが、未だに汚い仕事などはあると思います。ただし、こうした汚い仕事も、CIAが組織ぐるみでやっているというよりは、一部の勇み足とか、下部組織の不正隠蔽のために行うイレギュラーがほとんどだと思います。人工衛星や、超感度の様々な測定装置や、インターネットのある世の中に、陰謀・策謀で情報を得なれければならないことは、あまりないでしょう。

ほんのたまに、陰謀説をいうのは、その可能性が全くゼロともいえないので、悪くはないかもしれませんが、いつも、陰謀、策謀などという人には問題があると思います。そういう人は、頭が悪すぎで、陰謀・策謀ということで、自らの無知で理解しがたい世の中の現実を、心理学でいうところの合理化(自分にとって都合の悪い現実を、事実と異なる理由で隠蔽・正当化するなど、心理的自己防衛を図ること。)をして見ているのだと思います。あるいは、何か特定の意思があって、陰謀・策謀の話を作り上げることによって、自分の意思に合致した方向に、世論や民意を誘導したいのだと思います。

そうした人の中でも、自分のブログなどで作り話をしているくらいならほとんど害はないと思います。しかし、政治家でしかも要職にあるような人が、はっきり陰謀・策謀が存在しているなどということは現在では許されないことだと思います。そういう陰謀・策謀があるというなら、はっきり証拠を示してから公表すべきです。その意味では、小沢氏の「国策捜査」と言い立てる行動は全くの間違いであるといわざるを得ません。

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