「水俣病犠牲者慰霊式」の式典会場に到着した鳩山首相=1日午後、熊本県水俣市
鳩山由紀夫首相は7日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、鹿児島県・徳之島の伊仙、天城、徳之島3町長ら地元関係者と首相官邸で会談する。首相は米海兵隊ヘリ部隊などの一部移転に協力を求める考えだが、町長側は受け入れ拒否を明言しており、話し合いは並行線に終わる見通し。沖縄県内への移設だけでなく、徳之島移転も実現のめどは立たない状況だ。
首相と3町長との会談は7日午後3時から行われる。同席する鹿児島県の伊藤祐一郎知事は6日午後、県庁で記者団に「地元3町長の反対が明確なので、県としても賛成できない旨、明快に伝えたい」と述べ、反対する姿勢に変わりがないことを強調した。
沈黙は金なりという格言を知らない宰相?
鳩山さん、一国の宰相としては、あまりにも口が軽すぎると思います。なぜ、私がこのようなことを書くのか、聡明な皆さんは皆お分かりだと思います。あまりにもバカバカしいし、日本人として恥ずかしいことなので、鳩山の軽率な言動などここには改めて蒸し返すようなことはしません。
それにしても、鳩山さんに限らず、多くの日本人は以下の格言を知らないか、忘れてしまっているのではないでしょうか?
『雄弁は銀、沈黙は金』 (Speech is silver, Silence is golden.)
この格言に関して、サイトなどを見てみると、昔は、ヨーロッパでは、金よりも銀のほうが価値があったとか、銀とは金より高いプラチナを意味しているので、黙っているより、雄弁の方が良いことなのだなどという珍説が掲載されていることがあります。鳩山さんあたりも、こうした誤った捉え方をしているのでしょうか?
金よりも銀のほうが価値があったという話が、あまりにも実しやかに書かれているので、少し気になって、いわゆる金銀比率を調べてみました。金銀比率とは、金と銀の重さの比を金銀比価としています。例えば1000円で、金なら1g、銀なら10g購入できるとすると、金銀比価は1:10と表します。
世紀 | 国 | 金 : 銀 |
---|---|---|
-30 | エジプト | 1 : 0.4 |
-22 | エジプト第7王朝 | 1 : 1.67 |
-18 | ハムラビ王 | 1 : 9 |
-14 | エジプト第18王朝(ツタンカーメンのころ) | 1 : 2 |
-14 | ヒッタイト(鉄:金:銀=1:5:40) | 1 : 8 |
-8~7 | アッシリア | 1 : 10 |
-6 | リディア、アケメネス朝ペルシャ | 1 : 13.3 |
-6 | メソポタミア | 1 : 12 |
-5 | ギリシャ | 1 : 14 |
-4 | アレクサンドロス大王 | 1 : 10 |
-1 | ローマ(アウグスツス) | 1 : 12.5 |
4 | ローマ(ディオクレティアヌス) | 1 : 8.3 |
4 | 東ローマ(ビサンチン) | 1 : 11.6 |
7 | イスラム | 1 : 15 |
8 | イスラム | 1 : 13 |
10 | イスラム | 1 : 12 |
13~15 | 西ヨーロッパ | 1 : 12 |
16~19 | 西ヨーロッパ | 1 : 15~16 |
紀元前30世紀のエジプトは例外として、やはり銀より金の方が価値が高かったなどということは、どの国でも、どの時代でもなかったようです。
にもかかわらず、上記のような雄弁優位のような考え方をして、格言の内容までねじまけてしま人もいるということは、やはり、現代は、雄弁優位の時代なのでしょうか?
この格言は、雄弁は大事でありますが、沈黙すべき時やその効果を心得ているのはさらに大事であること、沈黙を守るほうがすぐれた弁舌よりも効果的である場合のあることをいいます。イギリスの思想家・歴史家、トーマス・カーライルの「衣装哲学」に掲載されている言葉です。
話すことは、人と人とがコミュニケーションする上で重要なことであります。間違えれば争いにまで発展しかねません。
また、会話が弾めば、楽しいものであるし、自分にはない知識や考え方を他者から得ることが出来ます。
別な見方をするならば、話すことは己の外に向けられるもので、沈黙は己の内に向けられるものとしても理解できます。要するに、雄弁は外的なもの、沈黙は内的なもの、として捉えることが出来ると思います。
Speech を己以外との人との会話。とするならば、Silence は己の内面に向けられたもので、良心、精神、魂への問い。この様な考え方も出来ると思います。
『青い鳥』で有名なメーテルリンクはエッセイ集『貧者の宝』の[Ⅰ沈黙]で、カーライルの「衣服哲学」(衣装哲学)を引用しています。冒頭から引用されたカーライルの言葉は1ページ以上にも及びます。その中の一節をご紹介しましょう。
モーリス メーテルリンク (Maurice Maeterlinck. 1862-1949)
「言葉もまた偉大ではある。偉大ではあるが、最も偉大なものではない。スイスの銘にあるように、《雄弁は銀、沈黙は金》である。あるいはこういい直した方がより適切だろう。 《言葉は束の間のもの、沈黙は永遠のもの》と。」
「貧者の宝」 モーリス メーテルリンク 著 山崎剛 訳 1995 平河出版社
カーライルの「衣服哲学」(衣装哲学)は下記のサイトで確認出来ます。
トーマス カーライル (Thomas Carlyle. 1795-1881)
私は、特に将来、何か大きなことを成し遂げたいとか考えるような人は、特に若いうちに、「雄弁は銀、沈黙は金」という格言のカーライルのいうとろの正しい意味を学ぶべきと思います。この格言、仕事にもかなり役にたちます。
まずは、営業的な仕事であれば、あなたが、どこかの会社に商談に行って、相手が自分よりも多くしゃべり、8割以上も相手がしゃべるようになれば、商談はほぼ成立したとみて間違いありません。それとは、逆に、自分のほうが、8割以上もしゃべれば、自分はその場で気持ちよくなるでしょうが、まず、商談は成立しないでしょう。にもかかわらず、商談が成立したとすれば、それは、最初からすでに誰が行っても成立するような商談だったということで、あなたの成果ではないということです。
誰と会話する場合でも、相手のことを十分聞かなければ、相手がどの水準の会話をしているのかもわかりません。ある程度十分話しを聴いた上で、子供には、子供用の対話を、大人には大人の会話を、大人でも水準の高い人なら、その水準にあわせた会話をすること、そうしてできれば、相手も自分も語るのは半々程度を心がけるべきです。さらに、大人で水準の高い人話しをする際に、自分がその水準にあわせて話ができないと悟った場合は、なるべく聴き役に回り、どうしても言わなければならない事は言うにしても、後は聞き役にまわり、質問されたら答えるという形にもっていくべきでしょう。
鳩山さんは、上のようなことが出来ないのだと思います。それは、彼は、残念ながら、若いときにまともな会社にはいるなどしなかったか、したとしても短期間でそういう訓練を受ける場にいたことがないこと、野党時代には、自分の発する言葉に対して責任を持たなくても、ほとんどそれですんでしまっていたことが原因だと思います。
これは、鳩山さんなどの例を見ていれば、誰にでも理解しやすくわかりやすい事だと思います。しかし、これを理解しない人も世の中に多いことも事実です。これを理解しない大人は最初はどうかわかりませんが、いずれ周りから疎じられることになると思います。それは、自分の責任だから仕方ない事だと思います。これは、それを教えられたとしても、結局は自ら会得するしかない部分が多いです。さて、鳩山さんは、これを直すことができるのでしょうか?もう、年齢が年齢ですから、もう無理でしょうね。
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