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2011年6月9日木曜日

【Sakura So TV 快刀乱麻】民主党幹部の言語感覚―【私の論評】最早、個人の問題ではない、政治システムそのものの問題であり、問題・課題設定能力が鍵だ!

【Sakura So TV 快刀乱麻】民主党幹部の言語感覚



上の動画の内容は、ご存じ井尻氏のもので、以下の趣旨のものです。
自らの言葉で国民に訴えかけ、時には感動させることも必要となる政治家という職。井尻千男は度々、政治家達の「言語感覚」について問題にしてきたが、今回の内閣不信任案否­決後に飛び出してきた「ペテン師」を始めとする政治家の言葉には閉口するほかない。もはや堕ちるところまで堕ちた政治家達の資質について一言申し上げます。
この井尻氏の語っていることは当たっていると思います。それにしても、最近の政界の乱れ、言葉だけではなく、あまりに酷すぎます。少し例を拾ってみたいと思います。

「お遍路? 一緒に行こうかしら」=首相公邸で2011年6月6日
信子首相夫人
まずは、毎日新聞の記事です。

ザ・特集:「家庭内野党」伸子夫人に聞く 菅さんが総理になって--

内容は、上のURLからご覧になっていただくとして、一国のトップの夫人がこのようなことをインタビューに答えるような国って、どうなっているのかと思うのは私だけでしょうか?このような、答え方をする、首相夫人も首相夫人ですし、それを何の照らいもなく、報道する新聞って、どうなっているんでしょう。これが、人口1億2千万以上もいる国の、首相夫人のインタビューの内容とは、それに、報道しているのが、日本を代表する新聞社であるとは・・・・・・・・。もう、絶句です。


上の記事で、世界の物笑いになるような記事を掲載した、毎日新聞が、以下のような記事を掲載しています。一体、上記のようなインタビューを掲載した新聞社が下のようなことを平気で言えるという神経は私には理解できません。

社説:日本の政局 世界の物笑いになるな


首相は、首相のほうで、以下のような有様です。

菅首相:「早期退陣」に否定的 改めて「震災対応めど」--衆院復興特委

こちらの方も、一度辞めるというような表現をした以上、通常であれば、いくらあいまいであったからといって、少なくとも、引き継ぎなどを含めても、3ヶ月以内で辞めるのが普通です。これは、かなり異常なことです。

【私の論評】最早、個人の問題ではない、政治システムそのものの問題であり、問題・課題設定能力が鍵だ!
私が思うに、井尻さんがおっしゃるような、言語感覚のズレは、政治家個人の能力がどうのこうのという前に、もう日本の政治システムが完璧に制度疲労を起こしているという事だと思います。

現在の民主党政権も酷いですが、その政権が成立するのを許したのは、前政権の自民党でもあります。自民党がやり残し、民主党が気がついてもいない、政治システムの制度疲労のなれの果てが、今日の、政治家の異常な言語感覚となって現れてきたものとみるべきです。この異常な言語感覚は、いくら政治家個々人を攻め立てとしても、是正はされないとおもいます。

さらに、この状況を、何か、新しいリーダーが出てくれば、それですべて解決すると思えば、それば、ヒトラーの再来と全体主義を招く危険な考えと思います。だから、私は、今必要なのは、新たな英雄を待望することではないと思います。

今必要なのは、新たな政治システムです。これをもってすれば、菅さんでも、十分総理が勤まるようなシステムを構築すべきなのです。

かなり優秀な人が、10できる政治システムであり、その政治システムの上にのってやれば、菅さんでも6割程度のことはできるようなシステムを目指すべきです。6割とは何かといえば、およそ、国家を運営していく上で、右翼であろが、左翼であろうが、真ん中だろうが、全く異なるタイプであろうが、本当に必要なものというのか、6割の位置づけです。

これは、本当に重要な基盤です。これを揺るがないものにしなければ、いつまでも、総理大臣は変わり続けるし、日本の政治も、目前の政局をどうするかということに明け暮れる現在の政局から脱出することはできません。総理がかわろうが、また、政権交代しようが、根本は何も変わりません。

それに関しては、以前このブログに掲載したことがあります。それについては、以下のURLをご覧になってください。


首相指導力に不満76% 共同通信世論調査―【私の論評】もしもドラッカーが日本の総理なら、どうするか?



詳しくは、上記のURLをみていただくものとして、簡単にいえば、日本では過去に実現されなかった、ものの、アメリカで昔から実施されていて、アメリカでは普通に実現されている政治主導を確実にするため、官僚とは全く無関係の、まともな政策案を構築できる、シンクタンクを日本でも構築することです。

そうして、ドラッカーも提唱しているように、「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである」を実現することです。特に、それを総理大臣が、実現することです。

これに関しては、本日は、本題からそれるので、ここでは、詳細を説明しません。ご覧になっていない方は、是非上のURLをご覧になってください。

本日は、これを実現するためは、どのようなことをすればよいかということまでさかのぼります。

まずは、政治家たるもの統合的な考え方ができないとどうしようもありません。この能力を鍛える必要があります。

思考方法には、主に以下の三つの方法があります。これについては、以前にこのブログにも掲載したこちがあります。詳しくは、そちらを読んでいたたくものとして、以下に重要な部分をコピペして、少し加筆させていただきます。


ロジカル・シンキング(理論的思考)
物事を広く深く考え、分析し、相手にわかりやすく伝えるために、問題を構造化する思考法のこと。これは、ビジネスの基本です。最低限、この思考法ができない人は、ビジネス・マンとはいえません。特に、新人では、こうした思考法ができない人が多いです。 しかし、こうした思考方法ばかりして、そこから、一歩もはみ出さない人は、発展性がないですし、人間的魅力も感じられませんね。

しかし、まずは、こうした思考法を身につけるべきです。また、ロジカル・シンキングは、より上位の思考法である、水平思考や、統合思考の基礎なるものです。これができない人に、より上の思考をすることはできません。これは、官僚などが得意な思考方法です。
ラテラル・シンキング(水平的思考)
ある問題に対し、今まで行われてきた理論や枠にとらわれずに、全く異なった角度から新しいアイデアを生もうとする思考法のこと。英国のデボノが1967年ころ唱えた。ロジカル・シンキングだけでは、出てくるアイディアは、確実にできるものではあるものの、どうしても月並みなものになってしまいがちです。  
そんなときに、全く見方を変えて、新たなアィデアを出すのがこの考え方です。会社であれば、部長までのクラスの人は、この考え方ができなければ、今の時代は務まりません。
民間企業の部長クラスなどは、これができないとつとまらないでしょう。役人の場合は、かなり高級なほうでも、こうした考え方はなかなか出来ないようです。それでも、分析的思考が十分にできれば、今の官僚組織では十分勤まるものと考えます。
インテグレーティブ・シンキング(統合的思考)
相克するアイデアや問題事項の対立点を解消することにより、より高次の第三の解答を見つけ出す思考法のこと。さて、理論的思考や、水平思考によって、いろいろなアイディアが浮かんできます。ただし、アイディアがたくさんあるだけでは、実行に移すことはできません。  
それどころか、混乱するだけです。ここで、数多くのアイデアを取捨選択、統合するとともに、実施すべき順番を考える必要があります。また、数多くのアイデアを束ねるだけではなく、一言で言い表したりして、誰にも理解できるようにして、さらに高次元にする必要があります。それが、統合思考です。経営者クラスはここまでできなければなりません。政治家の中でも、閣僚クラスなどはこの思考方法ができなければなりません。官僚は、ここまでの思考をする必要はありません。また、現状ではできないというのが実情です。しかし、政治家にとっては、これが本分という考え方でもあります。本来、ロジカル、ラテラルのような思考方法は、官僚などにまかせておいて、政治家はこのような考え方をしなければなりません。
普段の仕事を継続的に改善していくだけであれば、理論的思考だけで、十分です。しかし、新たな手法を編み出したり、イノベーションを実施するのには、こうした思考法だけでは不十分です。水平的思考が必要になります。

次に、大イノベーションである、ビジネスモデルの変更とか、革新となった場合には、水平的思考だけでは混乱するばかりです。ここで、はじめて統合的思考が必要になります。

今の政治家は、このような統合的思考ができないために、大混乱に至っているのだと思います。なにせ、国という対象は、想像を絶するほど大きいです。日本クラスの人口、経済ともに大国クラスともなれば、デンマークや、スウェーデンや、ニュージーランドのような小国とは、質が異なります。これらの国だと、規模小さく、日本の人口の少ない、地方自治体レベルの経済や、政治を考えれば良いので、統合的思考などあまりできなくても構いません。しかし、日本クラスの国であれば、統合的思考ができないと政治のことなど考えることはできません。

ロジカル、ラテラル思考は、官僚や、さらには、シンクタンクのような頭の良い人達に考えさせれば良いのです。政治家こそが、こうした統合的思考によって、政治を主導していかなければなりません。

では、こうした統合的思考方法を養うには、どうしたら良いのかというさらに、本質に迫ります。

それは、アンサリングからクエスチョニングへの転換です。アンサリングとは、作成された問題に答える能力です。クエスチョニングとは、まさに、問題・課題設定のことです。

ここでは、クエスチョニングの重要性に関して述べます。

昔から日本人にとって特に大学までは、「勉強」と言えば情報を取り入れること、言い換えればどれだけ多くのことを知っているのかをテストし、そのテストで良い点を取ることが全てであったのではないだろうか。一生懸命に勉強をして、良い成績をとって、良い就職先を見つけ、出世をする、....etc.それが筆記試験であれ、面接であれ、とにかく、自分に出された問題を解くこと、問題をうまく解いて良い点数を取ることが勉強の目的になっている。 
大学院のレベルだと、クエスチョニングが多少考慮されるようになるが、それにしても、系統的、体系的にクエスチョニングを取り入れている大学院は日本では少ない。まして、クエスチョニングと、アンサリング(できた問題を答えること)を明確に分離しているところも少ない。 
今では、入社試験用の面接マニュアルまであるのだから採用する側もそういう本に目を通しておかないと騙されてしまう、とはある企業の人事担当者の話である。大変な時代になっている。しかし、知識を多く取り入れること自体はあくまでも「手段」でしかなく、その情報を知識にまで高め、さまざまな物事、未知の状況に適応して初めて勉強の「 目的 」が達成できるのではないだろうか。 
現状は、手段が目的化してしまっており、目的を見失っているとしか思えない。
アメリカの工学部などでは、問題を作ることが専門の人は問題を作ることばかりを勉強し、問題を解くことが専門の人は問題の解き方ばかりを勉強して役割分担がしっかりしている。実際、両者のやっていることは異なる。このようなことは、我々日本人の理解をはるかに超えている。学問の世界では、どちらが優秀ということはないが、実社会では、どちらが重要で、どちらが難しいかと言えば、言うまでもなくこれは問題を作る方=クエスチョニングと言って良いだろう。 
問題を作るための情報(外部情報中心であり、入手が困難な分、情報量が少ない)と問題を解くための情報(内部情報中心であり、入手が容易、情報量も豊富 )と言うように分けてとらえることが重要である。 
問題を解く場合であればすでに「 問題 」の出題時点で問題の範囲、制約条件などの枠組みが明らかになっている。したがって、問題を解くためには、限定した枠組みの中だけで物事を考えていけば良い。しかも、通常は問題の中に問題を解くためのヒント・条件などが必ず入っている。これは、方程式を解く場合に、媒介変数(X、Yなどの関数につくa、bなど)にあたる。問題を解くだけなら、a、bなどの値を考える必要はない。 
一方、問題を作る方には、はじめからそのような枠組みはなく、自分で問題の範囲、制約条件などの枠組みを設定していくところからスタートしていかなければならない。まさに問題を解く=アンサリングは「下絵が描いてある塗り絵に色を塗る」こと、問題を作る=クエスチョニングは「真っ白なキャンバスに絵を描く」こと、というほどの違いがある。
これだけでもとても大きな違いと言えるが、具体的に進めることを考えると、そのように単純なものではなく、状況の認識・解釈、テーマの設定、範囲・制約条件の設定、要素のリスト・アップ、構造・メカニズム・プロセスなどの想定、情報収集、...etc.と言うように作業の質・量ともに次元が違う事が分かる。 
私たちは、よく「何が問題か分からないのが問題だ 」などという言い方をすることがある。何かおかしい、どうにかしなければならない、と言う状況がある。しかし、何が問題なのか分からないから手のつけようが無い。まさに「問題の記述ができない」「課題の形成ができない」のである。問題さえ出してくれれば解く訓練はできているからどうにかなるが、問題を出してもらえなければ解きようが無い。 
アンサリングの悲しい所である。アンサリングは受け身でしかない。日本における教育は、小さな時から一貫して一つの型にはめ、アンサリングの訓練をさせてきた、と言う歴史を持っている。 
当然、「問題を上手く解く」というところに評価基準があるので、「問題を解くことの上手い人間は成績が良い」、ということになる。 
一方、いわゆる「勉強」が嫌いであり、「まんべんなく問題を解くこと」が嫌い、あるいは「問題を作る(そこまで意識としてははっきりしていないが)その入口付近にいる」方が好き、と言う人間は「変わった人間」ということで評価されにくい仕組になっている。 
しかし、一度、未知の世界へ放り出されてしまうと状況は一変する。誰も問題を出してくれない状況で、明確に問題を認識できないから答えることもできなくて頓挫してしまうのはアンサリングだけで育ってきた人たちである。自分で問題を作り上げるようなクエスチョニングの訓練ができていないからせっかくの勉強の成果も発揮することができなくなってしまう。 
子供の時からずっと「 成績が良かった人間 」がある時何もできない無力な人間ということになってしまう。「 出された問題を解くことだけ 」を専門にやってきたことの限界である。 
今後、特に政治の世界で、問題・課題設定能力をつけることが奨励したり、閣僚の選出、新人議員の教育・訓練の際の基準に含まれたり、あるいは、日々の教育・訓練の場で問題・課題の設定の考え方が生かされるようにしていく必要があると思います。

今の政治家に限らず、企業人も、こうした問題・課題設定能力ということが非常に苦手になっているのではないかと思います。だから、政治を政局ととらえて、本当に目の前のことしか感知できないのです。

本日は、さらに、本質に迫ります。それでは、問題・課題設定の能力をどうやって開発していくかということです。これには、いくつもありますが、本日は本当に重要な一つしか掲載しません。それには、常に以下のような問いを自らに発してみたり、まわりに発していくことです。
「現状をどのように認識しているのか」
「その根拠は何か」
「それに対して今何が必要と考えるのか」
「何故それが必要なのか」
「それは本当に必要なのか、それを行なう意味はどこにあるのか 」
「それをすることによってどんな効果が期待できるのか」
...............etc.
これは、一つの例ですが、いくつものことを聴くのではなく、一つのことに対して、どこまでも掘り下げて聴くという方式です。これは、まともな会社などでは、どこの会社でも、教育・訓練の一環として実施していると思います。それと、皆さん気がつきましたか?上の質問の項目の中には、「誰が」という項目ありません。物事を考えていく上で、「誰が」という項目は、結局、悪者探しということになり、物事の探求や、原因の追求にマイナスになります。これでは、客観的態度や、科学的ものの見方ができなくなります。今の政治家や国民は、結局、「誰が!」「誰が!」「誰が!」ということばかり強調しているように思います。

もちろん、企業などでは、職位に応じて、日々の事柄や、業務の事柄に対して、質問したり、考え方の筋道を教えたり、誤った考え方を自ら是正するために用いられている方法です。そうして、これを実行することにより、問題・課題設定能力が高まります。当然当社でも実施しています。

さて、上の設問、現在の政治家向けにつくりなおしてみましょう。

上記の設問の「現状」を「日本の経済の現状」と変えてみたらどうでしょうか。さらに、「日本の安全保障の現状」とか、「日本のエネルギー政策の現状」、「政治主導の現状」などに置き換えてみたらいかがでしょうか?それに、質問の階層をもっと増やすべきとも思います。

こういった、質問に論理矛盾をおこさずに、まともに答えられる政治家は、日本に一体どのくらい存在するのでしょうか?これに答えられないような政治家には去っていただきたいものです。そうして、特に閣僚などは、自分が担当する分野に関して重要な項目に関しては、こうした質問を受けた場合、時間がゆるせば、1時間でも、2時間でも自分の考えを話せるなっていなければならないです。

テレビなども、くだらない報道ばかりせずに、たまには、こういった内容で、政治家などの質問をなげかけるような報道をしたらいかがでしょうか?

こういうことを普段から考えていて、即座に答えられるにするからこそ、先の井尻さんが言われている「自らの言葉で国民に訴えかけ、時には感動させる」させることが可能になるのでないでしょうか?どうです。皆さんは、上の質問にスラスラと答えられますか?私は、最も関心のある分野で゜ある、日本の経済の現状に関しては、正しい、正しくないは別として、すらすらと答えられると思いますが、その他の分野は無理です。

中途半端な考えしか持っていないものには、これは、できない芸当だと思います。テレビ番組などでも、このようなことに答える政治家が時折、報道されるようになれば、政治家の威信も高まり、政治家など自分にも簡単にもできると思い込む愚かな輩も減ってくるのではないかと思います。


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