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2020年4月28日火曜日

金正恩氏、新型コロナ感染!? 中国医療団が北朝鮮へ「ECMO」「アビガン」持ち込み情報 感染者は「国内にいない」としているが―【私の論評】米空軍と空自の日本海や沖縄周辺空域で共同訓練は、北朝鮮より中国と韓国を牽制するものと見るべき(゚д゚)!


“暴走”北朝鮮

金正恩氏

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の、健康不安情報が飛び交っている。「心臓手術説」や「重篤・脳死説」「療養説」などがあり、北朝鮮メディアは「根拠のないデマだ」と否定しているが、何らかの異変があった可能性は高い。中国の医療チームが、新型コロナウイルス対応の医療機器や薬を北朝鮮に持ち込んだとの情報もある。こうしたなか、米空軍と航行自衛隊が、朝鮮半島周辺で共同訓練を行ったことが注目されている。北朝鮮が国内の動揺を抑え、他国を牽制(けんせい)するために、弾道ミサイル発射を強行することなどを警戒しているようだ。


 「大体分かっている」「遠くない将来に、あなたたちも知ることになるだろう」

 ドナルド・トランプ米大統領は27日の記者会見で、健康不安説が浮上している正恩氏の状態について、こう語った。

 菅義偉官房長官も同日の記者会見で、「(正恩氏の動向と、北朝鮮によるミサイル発射の兆候などについては)重大な関心を持って常日ごろから情報収集、分析に努めており、米国を含む関係国とさまざまなやりとりを行っている」と語った。

 正恩氏については、米CNNが20日、正恩氏が手術を受けた後、重体に陥ったとの情報を報道。韓国の北朝鮮専門ニュースサイト「デイリーNK」も同日、正恩氏が心血管系の手術を受けたと報じ、ロイター通信は25日、「中国、北朝鮮に医療専門家などのチームを派遣」と伝えた。

 確かに、正恩氏は11日の党政治局会議に出席したと国営メディアが翌12日、写真とともに報じたのを最後に、視察活動などは明らかになっていない。北朝鮮最大の祝日であり、毎年必ず出席していた15日の「金日成(キム・イルソン)主席生誕記念日」にも姿を見せなかった。

 一連の健康不安報道に対し、北朝鮮の対外宣伝雑誌「今日の朝鮮」は28日までに、中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」の公式アカウントで、「全く根拠のないデマだ」と非難した。北朝鮮の公的メディアが正恩氏の重体説を否定したのは初めてとみられる。

 北朝鮮の朝鮮中央通信も27日、正恩氏が同日、南アフリカの祝日である「自由の日」に際してシリル・ラマポーザ大統領に祝電を送ったと伝えた。ただ、正恩氏が健在ぶりを示さない限り、動揺は続きそうだ。

 CNNが衝撃報道をした直後、日米同盟が存在感を見せた。

 米空軍と空自は22日、日本海や沖縄周辺空域で共同訓練を実施し、米軍のB1戦略爆撃機1機とF16戦闘機4機、空自のF15戦闘機8機とF2戦闘機7機が参加したのだ。

 B1爆撃機は、全長約44メートル、全幅約41メートル。航続距離1万2000キロ。「死の白鳥」の異名を持ち、超音速で敵地に侵入し、精密誘導兵器で重要拠点を攻撃できる。

日本海や沖縄周辺空域で行われた日米共同訓練(航空自衛隊HPから)

 正恩氏は現在、東部元山(ウォンサン)に滞在しているとみられる。最新の衛星写真によると、21日以降、特別列車とみられる列車が金一族の専用駅に停車しているという。B1爆撃機は元山から約900キロ離れた上空を通過したとされる。

 米空軍は共同訓練の意義について、「われわれはこの地域の平和と安定への関与を続け、新型コロナが世界的に猛威を振るう状況下でも、世界のどの地域にでも同盟国と即応できる能力があると示した」と説明した。

 北朝鮮が今後、中・長距離弾道ミサイルを発射する可能性があり、米空軍と空自は警戒監視を続けている。

 中国の医療チームについても、興味深い情報が飛び込んできた。

 日米情報当局関係者は「中国の医療団が、新型コロナウイルスの重症患者に使用する人工心肺装置『ECMO』(エクモ)や、新型コロナウイルスへの効果が期待されるインフルエンザ治療薬『アビガン』を、北朝鮮に持ち込んだという情報がある」と明かす。

 北朝鮮は、世界保健機関(WHO)に対し、新型コロナウイルスの感染者が「国内にいない」と報告しているが、実は感染が広がっているとの見方は強い。

 エクモやアビガンが北朝鮮に持ち込まれたのが事実なら、正恩氏や党指導部の要人が罹患(りかん)したか、罹患した場合に備えたものと考えられそうだ。

 日米共同訓練を、識者はどう分析するのか。

 軍事ジャーナリストで評論家の潮匡人氏は「米空軍のB1爆撃機は、北朝鮮がこれまでミサイルを発射した場所や、元山も射程に入れて飛行したとの情報がある。これに対し、北朝鮮も戦闘機を飛ばして、つばぜり合いを演じたようだ。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、米軍は、戦略爆撃機の配備をグアムから米本土に移した。抑止力低下が懸念されるが、米軍としては、不穏な動きをみせる北朝鮮と、東・南シナ海から西太平洋に進出しようとする中国に対して、『いつでも来るぞ』と強い意志を示したといえる」と語っている。

【私の論評】米空軍と空自の日本海や沖縄周辺空域で共同訓練は、北朝鮮より中国と韓国を牽制するものと見るべき(゚д゚)!

このブログでは、以前北朝鮮と北朝鮮の核が、結果として中国の朝鮮半島への浸透を防いでいるということを何度か掲載したことがあります。北朝鮮のミサイルは、北京や上海なども目標にしうるので、これは当然といえば当然です。

それに、金正恩もその父親の金正日も、中国の干渉を極度に嫌うという点は一致していたようです。祖父の金日成のときは、ソ連の力が圧倒的に中国よりも強く、そのような心配はありませんでした。

金日成の時代には、ソ連の力が圧倒的に強く、朝鮮戦争が休戦になり、米中ソは、韓国などの意向とは全く関係なく、38度線を動かしたり、越境したりすることはせずに、現状維持をするということで、米・ソ・中・朝で休戦協定(韓国は関係なし)を結んでいます。

さらに、金日成、金正日、金正恩の三代の金一族の根底に流れているのは、金王朝の未来永劫の存続です。これだけは、現体制の北朝鮮は譲りたくないところです。

金日成時代の中国は経済的にはとるに足りない国であって、当時のソ連は世界第2の経済大国でした。そのソ連は経済で日本に追い越され、その後は、その日本を中国が国全体の経済では追い越しました。現在のロシアの経済は日本でいえば、東京都、国でいえば韓国と同程度の経済規模にまで落ちました。インドにも追い越されて、10位以下です。

ただし、経済の専門家は、中国の経済統計は全くの出鱈目で現実には、中国のGDPは未だに、ドイツ以下とするものもいます。それが事実だとしても、少なくとも国全体のGDPでは、ロシアや韓国よりははるかに大きいことは事実でしょう。


中国の経済が相対的に大きくなったこともあり、これに備えるためにも、金正日のときから核とミサイルを開発し始め、金正恩にもそれが引き継がれて、今日に至っています。

そうして、米国のトランプ大統領もそのような見方を最初はしていなかったのでしょうが、ここ数年は、そのような見方をしているようです。そのせいか、最近は北朝鮮が米国本土に到達することのない、中短距離ミサイルなどを発射しても強く非難することはなくなりました。

その背景には、韓国の反日、反米、従北、親中の姿勢もあったからでしょう。もし北に核がなかった場合には、もう相当前に朝鮮半島は、中国の覇権の及ぶ範囲になっていたかもしれません。

その傾向は近年ますます強まっています、韓国の4月15日の韓国総選挙(定数300)で、文在寅大統領率いる与党「共に民主党」が、系列の比例代表政党「共に市民党」と合わせて改選前の128議席から50議席以上伸ばし、180議席を獲得して圧勝しました。

与党が国会で法案処理が極めて有利になる5分の3の議席を占めるのは、1987年の大統領直接選挙導入以降初めてで、革新系政党が単独で過半数を得たのも2004年以来です。

言うまでもなく、文在寅大統領および与党「共に民主党」は、反日、反米、従北、親中を鮮明にする左翼革新政権です。

今般の選挙結果を受けて、さらにその路線への傾斜を強めるのではないかと懸念され、日韓関係の改善は期待できないばかりか、「米韓相互防衛条約」を締結している同盟国・米国との関係にも亀裂拡大の恐れが指摘されています。

韓国総選挙で当選した与党「共に民主党」の李洛淵前首相(左)=ソウルで15日

このようなことを前提に考えると、米空軍と空自が22日、日本海や沖縄周辺空域で共同訓練を実施したことの意味がまた別の方向からみえてきます。

まずは、この種の訓練には、従来なら韓国空軍も参加していましたが、今回は参加していません。これは、最早米国は、韓国を信用しておらず、朝鮮半島に危機があった場合は、日米が共同で事に臨むことはあっても、親中・従北の韓国は外すという明確な意思表示であることがうかがえます。

そうして、この演習は、北朝鮮に向けての演習でもあるのでしょうが、それはサブの扱いくらいにすぎず、どこに向けての演習かといえば、それは中国でしょう。

もし、中国が軍事的な意図を持って、北を脅かそうとした場合、米国としては何らかの軍事行動をし、中国の意図を挫く意思があることをみせつけ、牽制したとみるのが妥当です。それも、韓国抜きでそれを実行するという意思をみせつけたのでしょう。

さらに、この演習では、日本の最新鋭の戦闘機F35が参加していないのは、日本ではまだ導入したばかりなので、使いこなしがまた時を要するということで理解できるのですが、米国のB35も参加していません。

これは、韓国や中国に対して、手の内を見せないという意味があるものと考えられます。そのため、これは単なる意思表示という側面があるのかもしれません。

金正恩に何があったのかは、未だわかりませんが、今月の11日から消息が不明ということです。習近平も一時的に消息が不明になったことがありますが、1週間から、長くても10日でした。金正恩は、2週間以上も不明であり、何か金正恩の身にあったかもしれないということは、十分に想定されることです。

そのため、これは金正恩に何かあった場合に、中国がなんらかの動きを示した場合、それに対して米国側も動く可能性があることを、中国に対して示して、牽制したものと考えられます。

それにしても、日本人の中には、北朝鮮は中国の傀儡政権のような考えている人もいるようですが、それは完全な間違いです。金正恩は実の兄金正男を暗殺したとされていますが、金正男は中国に近いとされていました。処刑された、実の叔父である張成沢氏も、中国に近いとされていました。

もし、金正恩が死亡して、何らかの構造変化があり、北と中国の関係が強化されることでもあれば、半島の軍事バランスは一気に崩れる可能性もあります。そのことだけは、多くの人が記憶にとどめておくべきものと思います。

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