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2012年7月21日土曜日

【日本の解き方】白川日銀総裁は“デフレ・円高大魔王” - 経済・マネー - ZAKZAK―【私の論評】財政ばかりでなく、金融政策にも目を向けよ!!

【日本の解き方】白川日銀総裁は“デフレ・円高大魔王” - 経済・マネー - ZAKZAK

高橋洋一氏
日銀は12日の金融政策決定会合で追加の金融緩和を見送った。この決定に市場は失望し、同日の日経平均株価は6営業日続落、下げ幅は130円を超えた。

白川方明日銀総裁は、決定会合後の記者会見で「現在も間断なく強力な金融緩和を進めている。効果の波及には時間がかかる」と説明した。と同時に、2012年の物価上昇率見通しを4月時点の0・3%から0・2%に引き下げ、13年度は0・7%に据え置いた。1%のインフレ目標達成は「2014年度以降」に「遠からず達成」という見方だ。

日銀は、2月にデフレ脱却の目標として1%のインフレ「目途」を掲げ、強力な金融緩和を進めると表明。白川総裁の任期は来年4月までだが、自らの任期期間中の目標達成をギブアップしている。このままでは、白川総裁は「デフレ・円高大魔王」ということになるだろう。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財政ばかりでなく、金融政策にも目を向けよ!!

さて、上の記事の内容など、下のグラフをご覧いただければ、一目瞭然であることがおわかりになると思います。リーマン・ショック後、世界主要先進国の他の中央銀行が、マネタリーベース(花柄通過量)をかなり増やしているのにもかかわらず、日銀がほとんど増刷していないことが良くわかります。


リーマン・ショックが起こった直後に、私をはじめ日本では多くの人たちが、日本はあまり影響を受けないだろとうと予測していましたが、実際には大きな影響を受けたことは、皆さんご存知だと思います。これは、本来は日本があまり影響を受けるはずがないというのが正しい見方であり、なぜそうならなかったかといえば、日銀のかたくなな増刷拒否によるものです。リーマン・ショックでは、本家本元のアメリカは、増刷などの金融緩和措置をすぐにとったので、日本よりもはるかにその影響を削ぐことができました。私を含め、多くの人の予測が崩れたのは多くの国が増刷したあとでも日銀が増刷拒否の姿勢を崩さず、頑なに金融緩和政策をとらないなどという、何というか、全く本来の仕事を放棄するなど、あり得ない状況を全く予知できなかったからです。



日本は、他国がこうして増刷して金融緩和措置をはかったにもかかわらず、日銀の増刷拒否の姿勢により、まるで、他国の増刷によるインフレの害を担保するような形になり、一人負けの状態に陥りました。本当に愚かなことです。

こうした日銀の対応のまずさもあり、日本は、3.11から円高傾向であり。3.11後さに超円高傾向になったことは皆さんご存知だと思います。このとき何が起こったかといえば、当然震災・津波の被災者に対する応急措置のため、円の需要は平時の時よりもはるかに高まり、そのまま放置しておけば、円高が進行することはわかりきっているのに、またまた、日銀は、増刷拒否の姿勢を崩さず、いたずらに超円高の事態をまねいてしまいました。


白河総裁に関しては、以前このブログで、デフレ悪魔という呼び方をしましたが、上の記事の白川総裁の発言や、下に掲載するWSJにおける発言などみると完璧にデフレ悪魔から、デフレ・円高大魔王に変身し、どこまで凶暴化するのか、先の見えない展開となってきました。

こんな大魔王なら魅力的だか、白川大魔王はお断りだ!!
さらに、下のWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の記事では、円高を許容し、円高のために日本の景気が良くなっているかのような発言をしています。
日銀総裁、景気の底堅さの一因として円高メリットに言及
【東京】日本の政策当局者は長らく、円高を日本経済にとり「悪」とみなしてきたが、内需主導で景気が緩やかに回復するなか、日本銀行の白川方明総裁を含む一部関係者は円高のプラス面に言及し始めている 
白川総裁は先週、円高は景気に悪影響を与えるとする従来のスタンスから離れ、堅調な内需の背後にある5つの要因の1つとして円高メリットを挙げた。日本経済は1-3月期、内需主導で4.7%の成長率を記録している。 
「円高による景気への悪影響を無視しているわけではないが、プラス面もあることを言っているのだろう」と日銀の政策に詳しい関係者は語る。 
従来の日本経済の回復は、まず、輸出の持ち直しがけん引役となり、それが生産と消費の回復につながってきた。そのため、政策当局は、日本製品の国際競争力を損なう円高の阻止に注力してきた。 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
白川総裁は、企業マインドの改善も経済成長の背景にある5つの要因の1つとして挙げた。 
ただし、当局は急激な円の動きに対して警戒を緩めているわけではない。日銀関係者は、総裁の発言は、急激な円高が日本経済全体にとって悪影響であるとの日銀の見方を変えるものではないとした。 
為替政策を担当する安住財務相は、「過剰な円高」は経済と金融の安定に悪影響を与えると考えており、「(メリットとデメリットは)それぞれあるとは思う。総合的に勘案し、我が国にとって今の水準がどうかということを、私の立場では常に考えなければならないと思っている」と述べ、最近の水準については「実態を反映していない」との見解を示した。

白川総裁も、安住財務大臣も、すっかり何かを忘れています。それは、日本がデフレである状況は、未だに変わっていないということです。それに、円高が景気に良い影響を及ぼしているというのは、全くの見当違いもはなはだしいです。この二人、金融と、財政を根本的にわかっていないか、外国の司令を受けて動いているとしかみえません。

上の記事で、WSJは、白川総裁にどちらかといえば、好意的な書き方をしていますが、それは、白川総裁のように増刷拒否の姿勢を堅持すれば、アメリカは増刷していますから、このことによって、アメリカドルはある程度日本の円高に担保されたようなもので、増刷による悪影響であるインフレなどから免れますから、当然のことです。アメリカの新聞などは、日本の売国新聞とは異なり、根本的には、アメリカの国益に合致した記事を掲載します。


今、景気が多少回復しているようにみえるにのは、円高のせいではありません。理由は、震災復興によるもの以外の何ものでもありません。復興のために、政府は一時的にでも、財政支出をふやさざるをえず、日銀も上の記事にもあるように、最近では金融緩和措置を見送ったものの、昨年や今年も緩和措置を実施し、若干緩めた時期もあり、その余波とみるべきです。

この超円高が続けば、企業の海外移転はますます増え、中国などを利するだけです。ただし、中国へ移転する企業は最近へりつつありますが、それにしても、中国政府は、固定相場制という金融環境の中で、日銀が増刷拒否の姿勢を崩さない限り、あたかもそれを担保として、元を刷りたいだけ刷ることができます。そうなれば、日本はさらにデフレスパイルの深みにはまっていくだけです。



私もかつてそうでしたが、どうしても多くの人の目は、政府の財政政策のまずさにばかりいき、日銀の固くな、増刷拒否の姿勢、金融引き締めの姿勢に目がいきません。WSJの記事の中の、白川発言などにすぐにだまされてしまいます。また、日銀の発表など、しばしば、明らかに嘘があるにもかかわらず、マスコミなどの不勉強のためその嘘を見抜けず、そのまま垂れ流しで報道してしまいす。これは、高橋洋一氏も指摘しているところです。

デフレの克服には、金融緩和政策が不可欠です。このブログには、以前マンデル・フレミング効果について掲載しました。これは、小国で変動相場制にある国において、景気対策としての財政出動はあまり効果がなく、金融緩和などの金融政策のほうが効果があるというものです。


日本は、陸地の面積は小さいですが、排他的経済水域は世界のトップレベルですし、経済的にも大国です。それに、日本のGDPに輸出が占める割合は、16%にすぎず、この点40%を超えるドイツや中国くなどとは根本的に異なるところがあります。だから、この効果がいつも働くというわけではなく、確かに働かない局面もあります。しかし、景気回復のため、デフレ克服のため、金融緩和措置は絶対に必要です。財政政策と、金融政策の両方が必要なのです。

日銀の、インフレ目処1%に関しては、最初からヤル気がないとこのブロクで掲載しました。そうして、実際そのとおりの推移になっています。上の記事で、1%のインフレ目処としていますが、平成14年あたりでは、原発の稼働が進まなければ、原油・天然ガスの大量輸入により、コストプッシュインフレとなり、1%でも、かなりのデフレ状況になっている可能性も大です。


こままでは、たとえ、結局増税しないことになっても、デフレ状況から抜け出せないかもしれません。先日イギリスの消費税増税の失敗をこのブログに掲載しましたが、イギリスで、増税後にイングランド銀行が、増刷を行い金融緩和をしていますが、日銀は、上の記事などみている限りそのようなことはすることは期待できないので、さらに、デフレの深みにはまっていくことでしょう。

このようなことから、やはり、白川総裁に任期を満了されてしまっては、とんでもないことになります。デフレ克服のためにも、白川総裁の任期満了は絶対に避けるべきです。


それから、日銀が暴走して、総裁が、デフレ・円高魔王になるには、それなりの背景があります。それは、平成10年に、日銀法が改悪され、日銀が大蔵省から分離され、日銀の独立性が確保されたためです。


本来、ガイトナーが日本に来て公演したように、「一国の中央銀行は、政府の金融政策に従い専門家の立場から、その時々で最も効果があるように、金融政策を選ぶことができるという」のが世界の常識のはずです。しかし、日銀は、そうではなく、拡大解釈をして、政府から独立し、全く自分独自に金融政策を実施できるものとして、実際上に掲載したように、暴走しっぱっなしどころか、さらに輪をかけて爆走しようとしています。そうして、あろうことか、日銀のガイトナー公演の発表では、「中央銀行の独立性とは、中央銀行が独自に金融政策を決定することと」とすり替えられています。こんなことを指摘する新聞もほとんとありません。

日銀の爆走は、何がなんでも阻止しなければなりません。白川征伐と、日銀征伐は、日本のデフレを克服するために、喫緊の課題です。多くの人に、財政だけでなく、金融政策にも目を向けてもらいたいです。次の選挙では、財政ばかり言う政治家ではなく、金融政策そうして、日銀法改正に言及する立候補者や政党に投票すべきです。


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