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2012年8月13日月曜日

【五輪閉会式】景気後退、将来への懸念は消えず 政争の予感も―【私の論評】イギリスの今日の姿は、明日の日本の姿である!!

【五輪閉会式】景気後退、将来への懸念は消えず 政争の予感も:


【ロンドン=内藤泰朗】テロや警備員不足、ストなど多くの不安を抱えながら開幕したロンドン五輪は12日、無事その幕を閉じた。


英中央銀行のイングランド銀行は先週、英国経済が長期的なゼロ成長に突入したとの展望を発表した。景気後退期にどこまで変革をもたらすことができるのか、将来への懸念が消えたわけではない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

しかも五輪の成功は、皮肉なことに開催地ロンドン市長で、キャメロン氏と同じ保守党の異色政治家として知られるボリス・ジョンソン氏の政治的立場を強化し、両者による政争を予感させている。

エリザベス女王を中心とした英国の伝統と、発展を求める若い世代の変革に向けた挑戦の物語は、第二章に入った。

レリン・フランコ。美女の国・パラグアイの女子槍投げ代表選手
この記事の詳細は、こちらから!!



【私の論評】イギリスの今日の姿は、明日の日本の姿である!!


大失敗した、英国の増税策の概要をみよう。2010年5月に発足したキャメロン保守党・自由民主党連立政権はさっそく付加価値税率17・5%を11年1月から20%に引き上げる緊縮財政政策を決定しました。他にも銀行税を導入するほか、株式などの売却利益税の引き上げ、子供手当など社会福祉関連の予算削減にも踏み切りました。

他方で法人税率を引き下げ、経済成長にも一応配慮しましたた。こうして国内総生産(GDP)の10%まで膨らんだ財政赤字を15年度までに1%台まで圧縮する計画でしたが、このまま低成長と高失業が続けば達成は全く困難な情勢です。



窮余の一策が、中央銀行であるイングランド銀行(BOE)による継続的かつ大量の紙幣の増刷(量的緩和)政策に踏み切りました。BOEといえば、世界で初めて金(きん)の裏付けのない紙幣を発行した中央銀行だ。

上のグラフを良く見てほしいです。BOEは11年秋から英国債を大量に買い上げ、ポンド札を金融市場に流し込みました。マネタリーベース(MB)とは中央銀行が発行した資金の残高のことです。BOEは08年9月の「リーマン・ショック」後、米連邦準備制度理事会(FRB)に呼応して量的緩和第1弾に踏み切りましたが、インフレ率が上昇したのでいったんは中断していました。


インフレ率は5%前後まで上昇しましたが、そんなことにかまっておられず、今年5月にはリーマン前の3・7倍までMBを増やしました。そうして、この事実は、このブログでも以前紹介したように、反リフレ派がいう、「不況だかといって大量に増刷すれば、ハイパーインフレになる」というおかしげな理論を裏付ける格好のケーススタディーとなっていました。

幸いというか、全く当たり前のことですが、インフレ率は需要減退とともにこの5月には2・8%まで下がりました。国債の大量購入政策により、国債利回りも急速に下がっています。

しかもポンド札を大量に刷って市場に供給するので、ポンドの対米ドル、ユーロ相場も高くならずに推移し、ユーロ危機に伴う輸出産業の競争力低下を防いでいます。それでも、イギリス経済は、未だ不況のままで、先日もこのブログで述べたように、EUの不況もあり、結局ロンドンは地元観光客も、EUの観光客も例年に比較しても少なく、閑古鳥が鳴いていたという状況で、経済波及効果はほとんどありませんでした。

ここで話を日本に話をもどすと、参院で消費増税法案が採決され、電力料金引き上げや来年からの東日本大震災復興増税などに加え、家計に負担がのしかかりますが、さっそく懸念されるのはデフレ不況のさらなる深刻化です。

このイギリスの状況をみれば、消費税増税など狂気の沙汰としか思えません。上で、見たように、わずか1年もしないうちに、経済が悪化して、イングランド銀行が、増刷せざるを得なくなっています。こんな事実をみても、増税一本で進む、民主党、自民党、公明党など、異常カルト集団にしか見えないのは、私だけでしょうか。それに、財務省も、日銀も、増税は経済に良い効果をもたらすなどと、とんでもないことを言っています。一体、日本の中枢はどうなってしまったのでしょうか?

リーマンショックは、2008年でしたが、その後増税に踏み切り緊縮財政を取ったイギリスは猛烈な不況に陥りました。しかし、メディアを含め政府、財務省、日銀、はこのことは発表しません。


現在、消費税増税法案が、参院を通過したばかりですが、このまま増税してしまえば、日本もイギリスと同じようになることでしよう。なんでこんな袋小路にわざわざはまらなければならないのでしょう。

イングランド銀行は、増税後に大増刷をやっていました。これは、順番が逆です。増税前に、大増刷をすべきでした。そうしていれば、大増刷により、インフ気味となり、景気が加熱します。そうなったときに、増税すれば、ベストのタイミングでした。そうすれば、景気の加熱も冷ますこともでき、税収も増え、財政再建もできたことでしょう。

順番を間違えれば、日本もイギリスと全く同じことになります。まずは、日銀あたりがデフレ対策として、大増刷を行い、政府も財政支出を増やし、インフレ傾向にして、インフレが加熱した後に、増税すべきです。



ものごとには、順番と、集中すべきことがあります。それを間違えれば、とんでもないことになります。その事例は、日本国内でも、このブログでも掲載したように、昭和恐慌のとき、国外では、上のイギリスの例が典型的です。そのような、例が世界にはゴマンとあるにもかかわらず、今や、マスコミなど、もうすでに、増税は規定路線であるかのような報道ぶりです。

消費税増税法案は、参院を通過したとはいえ、まだ、本決まりではありません。景気条項は、まだ生きており、再来年の4月に増税するためには、来年の秋にそのときに政権を担っている政府が決定する必要があります。

09年7月の衆院解散
来年の秋といえば、まだ、1年あります。その間に選挙があれば、有権者として、増税しないと公約する政党に投票すべきです。



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五輪に沸くロンドンが「ゴーストタウン」化 短期的な景気浮揚効果の予測に疑問符―【私の論評】不況のイギリスでは増税した後で増刷して、さらにオリンピックでも景気浮揚の効果はなくなったというのに、日本ではこれから増税とはこれいかに?





2012年8月2日木曜日

五輪に沸くロンドンが「ゴーストタウン」化 短期的な景気浮揚効果の予測に疑問符―【私の論評】不況のイギリスでは増税した後で増刷して、さらにオリンピックでも景気浮揚の効果はなくなったというのに、日本ではこれから増税とはこれいかに?


ロンドンオリンピック、ビーチバレーボールの試合
オリンピックがロンドンの都心部に「ゴーストタウン」効果をもたらしている。 通常であればロンドン市内の小売店やホテル、劇場などに足を運ぶはずの観光客がいなくなってしまったためで、オリンピックが短期的な景気浮揚効果をもたらすという事前の予想に疑いの目が向けられている。 オリンピックを見にロンドンを訪れる外国人観光客は10万人に達しており、過去のオリンピックでの実績を上回っている。しかし、ロンドンでは普... -jbpress.ismedia.jp

【私の論評】不況のイギリスでは財政再建のため増税した後で増刷して、さらにオリンピックでも景気浮揚の効果はなくなったというのに、日本ではこれから増税とはこれいかに?
上の記事では、「オリンピックを見にロンドンを訪れる外国人観光客は10万人に達しており、過去のオリンピックでの実績を上回っている。しかし、ロンドンでは普通の年でも推定30万人の観光客を見込むことができ、これに比べれば見劣りする」と掲載されておらり、オリンピックによる短期的な景気浮揚効果の予測に疑問符ということを掲載していますが、この見方はあまりに一面的すぎると思います。



本当の原因は、もっと大きいところにあると思います。まずは、現在のEUの経済の状況をみてください。ギリシャの財政破綻に端をはっした、欧州の経済危機は様々なスペインをはじめ様々な国々に波及しています。この状況では、本来オリンピックで訪れるはずだった人たちも相当控えることになっているはずです。本来なら、過去に二度行ったロンドン・オリンピックなどはるかに上回るような人々もっとロンドンに訪れていたことでしょう。過去との単純比較は、成り立たないと思います。

さらに、もう一つの原因があります。それは、無論のこと、イギリス政府は、不況の最中に財政再建をすると称して愚かな付加価値税(日本の消費税に相当)を増税しました。そうして、その後、これは、日本とは大違いですが、イングランド銀行(イギリスの中央銀行、イングランド銀行)が大増刷を行いました。その後どうなったといえば、大増刷によっても、不況からは脱出できていません。やはり、増税が間違いあったことがはっきりしました。この環境下で、オリンピックなどの短期経済浮揚策をしても、あまり効果は期待できないということです。

イングランド銀行
この事実は、このブログでも、以前紹介したことがあります。どのような内容かといえば、詳細は、当該ブログをご覧いただくものとして、要約すれば、以下のようものです。
イギリスのような不況に陥っている国では、財政赤字を是正するために、増税すべきであるとの、誤った考え方に従い、付加価値税を増税をしました。どうなったかといえば、無論のことさらなる景気の悪化です。その後イングランド銀行は、金融緩和措置として大増刷をはかりました。この増刷に対していわゆるリフレ反対派の人々は、インフレになると警告していて、実際、インフレ傾向が続いていました。そうして、リフレ反対派は、これを景気が悪くなったからといって、増刷すれば、インフレになるという持論の格好のケーススタディーとしていました。しかし、それが、最近では、インフレが収束しており、リフレ反対派の間違いが明らかになっています。そうして、イギリスの場合、増税は明らかな間違いであり、増税してしまった後のイングランド銀行の行動は正しいものであり、もし、大増刷していなければ、イギリス経済はさらに落ち込んだものと思われます。
さて、インフレが収束しているイギリスのインフレ率、いくらくらいかといえば、2%前後です。これで、インフレ収束というのが、世界の常識です。にもかかわらず、日銀は、インフレ目処を1%としていますが、これすらも実行する気はありません。1%に到達しそうになると、すぐに、緩和措置をとめてしまいます。どこまでも、デフレ路線を突っ走っています。そうして、それを財務省はおろか、政府も止めることはできません。

イングランド銀行キング総裁
なぜ、そんな馬鹿なことになっているかといえば、平成10年に日銀法が改悪されてしまったからです。それまで、日銀は、大蔵省の一部でしたが、大蔵省が分割され、財務省と、日銀とに分離されました。そうして、中央銀行の独立性が確保されることになりました。

中央銀行の独立性とは、本来の意味では、「政府が決定した日本国の金融政策に従い、中央銀行は、その金融政策を実行する際の方法を選択できる」ということです。ところが、日銀が独立して以来なぜか、日銀は、この独立性に関して勘違いしたのか、他者(外国勢力も含む)の入れ知恵か、日銀に日本国の金融政策を決定するのが中央銀行の独立性であるとの考えを貫き、勝手に日本国の金融政策を自分たちで決定し、実行しています。

日本銀行
そうして、それは、ことごとく、日本の経済を痛めつける政策であり、頑なにデフレを維持する政策を実行しています。このブログに掲載してきたように、変動相場制で比較的小さい国においては、マンデル・フレミング効果が効いて、経済対策としての、政府の財政政策は、ほとんど効果がなく、効果があるのは、金融政策であるといわれています。日本は、大国ですから、小国のようにマンデル・フレミング効果が効いて、政府の財政政策が全く無駄で、金融政策のみが有効というということはありませんが、それにしても、金融政策がかなり有効であることは間違いありません。

やはり、デフレから脱却するには、財政政策と、金融政策の両方が不可欠であることは言うまでもありません。
貧乏神(日本には、白川という貧乏神がとりついている!!)
それよりも何よりも、まず、デフレなどで、景気が落ち込んでいるときの増税は、上のイギリスの例でも明らかに失敗しており、増税は、イギリスの例をみるまでもなく、名目GDPを減らし、税収を減らすことは明らかであり、絶対にすべきことではありません。

増税しても、今のままでは、日銀は、イングランド銀行のように増刷するなどということは考えられないので、デフレがさらに進行するだけとなり、このような経済環境の中では、いくら民間企業が努力しても、どうしようもなく、雇用などますます悪化するだけです。日銀が、これを放置しておけば、不況であるにもかかわらず、円高が進行し、企業はもとより、人も海外に市場を求めて出ていくことになり、ますます、日本は地盤沈下することは間違いありません。

そのような、愚かな増税は、イギリスの例をみるまでもなく、絶対に実行すべきでありません。そのためには、野田政権には、辞めていただくべきです。自民党の総裁選では、谷垣氏のような増税を主張する人にはやめてもらい、増税反対派の人を総裁にすべきです。それに、忘れてならないのは、日銀法を改正することを主張する政党や、人達を支持すべきです。この両方で、増税を阻止して、金融政策をまともにすれば、日本は必ず経済的復活を果たすことができます。


特に、今まで、一般の人たちも、政治家も、金融政策の重要性を見逃してきたと思います。たとえば、日本では、雇用対策というと、厚生労働省の管轄と考えられがちですが、本当の意味での雇用対策は、中央銀行の大きな役割の一つでもあります。なぜなら、中央銀行の金融政策一つで、雇用そのものが大きく増減するからです。実際、アメリカでは、中央銀行(FRB)の大きな役割の一つとして、雇用対策があります。ひらたくいうと、経済への影響や雇用のミスマッチなど無視して、インフレ率を2%上昇させたすると、日本や、アメリカのような大国では、そのとたんに数百万もの雇用がだまっていても発生します。

厚生労働省などの役割は、その後の雇用のミスマッチなどをどうするとか、労働環境をどうするかなどの問題を解決するのが、主要な任務であって、雇用そのものを生み出すことはできません。このような基本的なことが、政治家も理解できていなかったと思います。自民党など、金融政策の重要性を理解していれば、未だ政権与党の地位を保てたかもしれません。日本人以外の人とは、そんなことはないのですが、日本人の場合は、それ相当の立場の人とさえ、雇用問題に関して金融政策の話をしたりすると、怪訝な顔をされたことがしばしばあり、私自身が困惑したことも再三あります。それだけ、認識されていないという事だと思います。まあ、増税キャンペーンが徹底されている日本国では無理からぬところもあるのかもしれません。

金融政策は、経済に大きな影響を及ぼします。だから、日本がデフレから脱却するためには、増税阻止と、まともな金融政策を実施するための、日銀法改正は必要不可欠です。そのためには、立場を乗り越えて、多くの人達が結託すべきです。そのことについては、下に経済評論家上念氏の動画が詳しく、分かりやすく、解説しています。是非ご覧にって下さい。


以下に、上の動画の説明をコピペしておきます。
あまりにも強くなりすぎた日銀の独立性。この20年のデフレ脱却失敗の歴史を振り返れば、デフレ脱却のためには日銀法の改正こそが必要なのではないだろうか?新自由主義や­社会主義などのイデオロギーを抜きにして、日本再生のために各党が結束する事を強く望みます。その第一歩と成りうるのか、みんなの党と社民党の「内閣不信任案」提出の動き­などと共に、政治の動きを解説していきます。
とにかく、今の日本では、デフレを克服しなければ、先への展望など開けてきません。左翼、左派、中道、右派、右翼などのイデオロギーの違いなど乗り越えて、とにかく、増税だけは、何が何でもも阻止すべきであると思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

【緊急掲載】06.13 衆議院社会保障・税特別委員会公聴会 上念司氏―【私の論評】日本国解体推進無限ループの端緒となる増税阻止!!大拡散希望!!






2012年7月21日土曜日

【日本の解き方】白川日銀総裁は“デフレ・円高大魔王” - 経済・マネー - ZAKZAK―【私の論評】財政ばかりでなく、金融政策にも目を向けよ!!

【日本の解き方】白川日銀総裁は“デフレ・円高大魔王” - 経済・マネー - ZAKZAK

高橋洋一氏
日銀は12日の金融政策決定会合で追加の金融緩和を見送った。この決定に市場は失望し、同日の日経平均株価は6営業日続落、下げ幅は130円を超えた。

白川方明日銀総裁は、決定会合後の記者会見で「現在も間断なく強力な金融緩和を進めている。効果の波及には時間がかかる」と説明した。と同時に、2012年の物価上昇率見通しを4月時点の0・3%から0・2%に引き下げ、13年度は0・7%に据え置いた。1%のインフレ目標達成は「2014年度以降」に「遠からず達成」という見方だ。

日銀は、2月にデフレ脱却の目標として1%のインフレ「目途」を掲げ、強力な金融緩和を進めると表明。白川総裁の任期は来年4月までだが、自らの任期期間中の目標達成をギブアップしている。このままでは、白川総裁は「デフレ・円高大魔王」ということになるだろう。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財政ばかりでなく、金融政策にも目を向けよ!!

さて、上の記事の内容など、下のグラフをご覧いただければ、一目瞭然であることがおわかりになると思います。リーマン・ショック後、世界主要先進国の他の中央銀行が、マネタリーベース(花柄通過量)をかなり増やしているのにもかかわらず、日銀がほとんど増刷していないことが良くわかります。


リーマン・ショックが起こった直後に、私をはじめ日本では多くの人たちが、日本はあまり影響を受けないだろとうと予測していましたが、実際には大きな影響を受けたことは、皆さんご存知だと思います。これは、本来は日本があまり影響を受けるはずがないというのが正しい見方であり、なぜそうならなかったかといえば、日銀のかたくなな増刷拒否によるものです。リーマン・ショックでは、本家本元のアメリカは、増刷などの金融緩和措置をすぐにとったので、日本よりもはるかにその影響を削ぐことができました。私を含め、多くの人の予測が崩れたのは多くの国が増刷したあとでも日銀が増刷拒否の姿勢を崩さず、頑なに金融緩和政策をとらないなどという、何というか、全く本来の仕事を放棄するなど、あり得ない状況を全く予知できなかったからです。



日本は、他国がこうして増刷して金融緩和措置をはかったにもかかわらず、日銀の増刷拒否の姿勢により、まるで、他国の増刷によるインフレの害を担保するような形になり、一人負けの状態に陥りました。本当に愚かなことです。

こうした日銀の対応のまずさもあり、日本は、3.11から円高傾向であり。3.11後さに超円高傾向になったことは皆さんご存知だと思います。このとき何が起こったかといえば、当然震災・津波の被災者に対する応急措置のため、円の需要は平時の時よりもはるかに高まり、そのまま放置しておけば、円高が進行することはわかりきっているのに、またまた、日銀は、増刷拒否の姿勢を崩さず、いたずらに超円高の事態をまねいてしまいました。


白河総裁に関しては、以前このブログで、デフレ悪魔という呼び方をしましたが、上の記事の白川総裁の発言や、下に掲載するWSJにおける発言などみると完璧にデフレ悪魔から、デフレ・円高大魔王に変身し、どこまで凶暴化するのか、先の見えない展開となってきました。

こんな大魔王なら魅力的だか、白川大魔王はお断りだ!!
さらに、下のWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の記事では、円高を許容し、円高のために日本の景気が良くなっているかのような発言をしています。
日銀総裁、景気の底堅さの一因として円高メリットに言及
【東京】日本の政策当局者は長らく、円高を日本経済にとり「悪」とみなしてきたが、内需主導で景気が緩やかに回復するなか、日本銀行の白川方明総裁を含む一部関係者は円高のプラス面に言及し始めている 
白川総裁は先週、円高は景気に悪影響を与えるとする従来のスタンスから離れ、堅調な内需の背後にある5つの要因の1つとして円高メリットを挙げた。日本経済は1-3月期、内需主導で4.7%の成長率を記録している。 
「円高による景気への悪影響を無視しているわけではないが、プラス面もあることを言っているのだろう」と日銀の政策に詳しい関係者は語る。 
従来の日本経済の回復は、まず、輸出の持ち直しがけん引役となり、それが生産と消費の回復につながってきた。そのため、政策当局は、日本製品の国際競争力を損なう円高の阻止に注力してきた。 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
白川総裁は、企業マインドの改善も経済成長の背景にある5つの要因の1つとして挙げた。 
ただし、当局は急激な円の動きに対して警戒を緩めているわけではない。日銀関係者は、総裁の発言は、急激な円高が日本経済全体にとって悪影響であるとの日銀の見方を変えるものではないとした。 
為替政策を担当する安住財務相は、「過剰な円高」は経済と金融の安定に悪影響を与えると考えており、「(メリットとデメリットは)それぞれあるとは思う。総合的に勘案し、我が国にとって今の水準がどうかということを、私の立場では常に考えなければならないと思っている」と述べ、最近の水準については「実態を反映していない」との見解を示した。

白川総裁も、安住財務大臣も、すっかり何かを忘れています。それは、日本がデフレである状況は、未だに変わっていないということです。それに、円高が景気に良い影響を及ぼしているというのは、全くの見当違いもはなはだしいです。この二人、金融と、財政を根本的にわかっていないか、外国の司令を受けて動いているとしかみえません。

上の記事で、WSJは、白川総裁にどちらかといえば、好意的な書き方をしていますが、それは、白川総裁のように増刷拒否の姿勢を堅持すれば、アメリカは増刷していますから、このことによって、アメリカドルはある程度日本の円高に担保されたようなもので、増刷による悪影響であるインフレなどから免れますから、当然のことです。アメリカの新聞などは、日本の売国新聞とは異なり、根本的には、アメリカの国益に合致した記事を掲載します。


今、景気が多少回復しているようにみえるにのは、円高のせいではありません。理由は、震災復興によるもの以外の何ものでもありません。復興のために、政府は一時的にでも、財政支出をふやさざるをえず、日銀も上の記事にもあるように、最近では金融緩和措置を見送ったものの、昨年や今年も緩和措置を実施し、若干緩めた時期もあり、その余波とみるべきです。

この超円高が続けば、企業の海外移転はますます増え、中国などを利するだけです。ただし、中国へ移転する企業は最近へりつつありますが、それにしても、中国政府は、固定相場制という金融環境の中で、日銀が増刷拒否の姿勢を崩さない限り、あたかもそれを担保として、元を刷りたいだけ刷ることができます。そうなれば、日本はさらにデフレスパイルの深みにはまっていくだけです。



私もかつてそうでしたが、どうしても多くの人の目は、政府の財政政策のまずさにばかりいき、日銀の固くな、増刷拒否の姿勢、金融引き締めの姿勢に目がいきません。WSJの記事の中の、白川発言などにすぐにだまされてしまいます。また、日銀の発表など、しばしば、明らかに嘘があるにもかかわらず、マスコミなどの不勉強のためその嘘を見抜けず、そのまま垂れ流しで報道してしまいす。これは、高橋洋一氏も指摘しているところです。

デフレの克服には、金融緩和政策が不可欠です。このブログには、以前マンデル・フレミング効果について掲載しました。これは、小国で変動相場制にある国において、景気対策としての財政出動はあまり効果がなく、金融緩和などの金融政策のほうが効果があるというものです。


日本は、陸地の面積は小さいですが、排他的経済水域は世界のトップレベルですし、経済的にも大国です。それに、日本のGDPに輸出が占める割合は、16%にすぎず、この点40%を超えるドイツや中国くなどとは根本的に異なるところがあります。だから、この効果がいつも働くというわけではなく、確かに働かない局面もあります。しかし、景気回復のため、デフレ克服のため、金融緩和措置は絶対に必要です。財政政策と、金融政策の両方が必要なのです。

日銀の、インフレ目処1%に関しては、最初からヤル気がないとこのブロクで掲載しました。そうして、実際そのとおりの推移になっています。上の記事で、1%のインフレ目処としていますが、平成14年あたりでは、原発の稼働が進まなければ、原油・天然ガスの大量輸入により、コストプッシュインフレとなり、1%でも、かなりのデフレ状況になっている可能性も大です。


こままでは、たとえ、結局増税しないことになっても、デフレ状況から抜け出せないかもしれません。先日イギリスの消費税増税の失敗をこのブログに掲載しましたが、イギリスで、増税後にイングランド銀行が、増刷を行い金融緩和をしていますが、日銀は、上の記事などみている限りそのようなことはすることは期待できないので、さらに、デフレの深みにはまっていくことでしょう。

このようなことから、やはり、白川総裁に任期を満了されてしまっては、とんでもないことになります。デフレ克服のためにも、白川総裁の任期満了は絶対に避けるべきです。


それから、日銀が暴走して、総裁が、デフレ・円高魔王になるには、それなりの背景があります。それは、平成10年に、日銀法が改悪され、日銀が大蔵省から分離され、日銀の独立性が確保されたためです。


本来、ガイトナーが日本に来て公演したように、「一国の中央銀行は、政府の金融政策に従い専門家の立場から、その時々で最も効果があるように、金融政策を選ぶことができるという」のが世界の常識のはずです。しかし、日銀は、そうではなく、拡大解釈をして、政府から独立し、全く自分独自に金融政策を実施できるものとして、実際上に掲載したように、暴走しっぱっなしどころか、さらに輪をかけて爆走しようとしています。そうして、あろうことか、日銀のガイトナー公演の発表では、「中央銀行の独立性とは、中央銀行が独自に金融政策を決定することと」とすり替えられています。こんなことを指摘する新聞もほとんとありません。

日銀の爆走は、何がなんでも阻止しなければなりません。白川征伐と、日銀征伐は、日本のデフレを克服するために、喫緊の課題です。多くの人に、財政だけでなく、金融政策にも目を向けてもらいたいです。次の選挙では、財政ばかり言う政治家ではなく、金融政策そうして、日銀法改正に言及する立候補者や政党に投票すべきです。


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