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2018年10月25日木曜日

冷戦Ⅱ?米中関係の新たな時代の幕開け―【私の論評】冷戦Ⅱは、先の冷戦と同じく米国が圧勝!中国には微塵も勝ち目なし(゚д゚)!

冷戦Ⅱ?米中関係の新たな時代の幕開け

岡崎研究所

 10月4日、ペンス副大統領は米国の保守系シンクタンクであるハドソン研究所で、トランプ政権の対中政策に関して、約43分間にわたる演説を行なった。米国政府の対中政策として包括的な演説であり、以下に要点を紹介する。なお、ペンス副大統領は11月中旬に来日予定である。

10月4日の、ペンス副大統領の演説は中国を名指しで具体的に非難するものだった

・トランプ政権は、昨年4月6日に米国で、11月8日に中国で、米中首脳会談を開催し、個人的信頼を築きながら対中関係を優先的に推進してきた。しかし中国は、政治的、経済的、軍事的手段及びプロパガンダを利用して、米国における自国の利益や影響力を高めようとした。

・昨年12月にトランプ大統領が発表した国家安全保障戦略では、「大国間競争」の時代が明記された。これら外国勢力は国際秩序を自国に有利になるように変えようとしている。この戦略で、トランプ大統領は、米国が中国に対して新アプローチを採用したことを明らかにした。

・1949年、中国共産党は政権を取るなり、独裁膨張主義に走るようになった。ともに戦った第二次世界大戦から5年しか経っていないにもかかわらず、米中両国は朝鮮半島で戦火を交えた。父は現地で参戦した。1972年、中国との敵対関係は終わり、ほどなく米中は国交回復した。ソ連が崩壊後、自由中国の出現は不可避と思ったが、希望は満たされなかった。自由の夢は中国の人々からは遠ざかったままだ。

・この17年間で中国のGDPは9倍になり、今や世界第2の経済大国である。その成功は米国の対中投資に依るところも大きい。中国共産党は、自由で公平な貿易とは相いれない政策を行なった。それには、関税、為替操作、知的財産権の窃取、技術移転の強要、産業補助等が含まれる。米国の対中貿易赤字は、昨年は3750憶ドルで、これは全世界の半分を占めた。トランプ大統領曰く、25年間で「米国は中国を再建してあげた」のである。

・中国共産党は、「メイド・イン・チャイナ2025」計画で、世界の最先端産業のロボット、AI、バイオ産業等の90%を占めようとしている。中国は、米国の財界に、中国でビジネスをしたいなら企業秘密を渡すよう要請する。

・中国は、その経済力を軍事力にも使用した。中国の国防予算は、他のアジア諸国のそれを合算したものに相当する。中国は、日本が施政権下におく尖閣諸島周辺に定期的にやってくる。南シナ海には人工島を作り対艦・対空ミサイルを配備した。自由航行作戦を展開している米国艦船に中国艦船が接近してきた。

・中国共産党は、自国民への規制、人権弾圧も強化している。チベットの仏教徒は、政府の弾圧に抗議して、過去10年で約150人が焼身自殺した。新疆では、約100万人のウイグルのイスラム教徒が収容所に入れられた。先月、中国最大のキリスト教地下教会群が閉鎖させられた。

・中国は、米国の大学、学者、メディア、シンクタンク等に、影響力を行使しようとする。資金援助をして親中派を増やしたり、また、反中派には中国に招待すると言ってサイバー攻撃をかけたりする。ビザ更新等で圧力をかけることもある。米国内の留学生や中国人団体等が中国共産党の諜報機関的役割を果たすこともある。

・米国の今年の中間選挙、2020年の大統領選挙に、共和党やトランプ大統領が勝利しないように、プロパガンダを仕掛けている。

・トランプ政権は、中国が公平、相互的かつ主権を尊重するように、様々な措置を取っている。2560憶ドル相当の品目に課す関税措置、レーガン政権以来の軍備費拡大、対米投資委員会の規制強化、司法省の中国メディアへの措置等がそうである。米国は、決して屈することはない。

参考:White House‘Remarks by Vice President Pence on the Administration’s Policy Toward China’October 4, 2018

 上記の演説内容で特徴的なのは、今回、ペンス副大統領は、中国の政治的、経済的、軍事的、社会的行動の具体例をかなり挙げて、中国を名指しで非難したことである。「攻撃」や「盗んだ」、「債務外交」等、否定的言葉が目についた。中国のことを「中国共産党」と呼ぶこともマイナスの意味合いを持つ。

 米国の論調は、このペンス演説を、米中関係の新たな時代の幕開けと見ている。例えば、10月4日付でワシントン・ポスト紙コラムニストのジョッシュ・ロウギン氏は、米中関係はこれによりリセットされたと述べている。また、10月8日付ウォールストリート・ジャーナル紙にはウォルター・ラッセル・ミード教授が、このペンス演説は1972年のキッシンジャー訪中のように米中関係を決定的に変えるもので、この米中関係を「冷戦Ⅱ」であると呼んだ。

 この冷戦Ⅱはおそらく進行し加速する。冷戦Ⅱの事象は、演説で述べられこことだけではない。10月10日、司法省は、中国情報機関高官による産業スパイを摘発したことを公表した。同じく10日、財務省は対米投資規制の詳細を発表し、半導体、情報通信、軍事など 27産業を規制対象に指定した。9月20日には、中国がロシアから SU-35戦闘機とS-400地対空ミサイルを購入したことに関連して人民解放軍に制裁を発動した。

 こうしてみると、冷戦Ⅱは既に、米中対立が貿易戦争の枠を超えてきていることがわかる。さらに、貿易戦争自体、早期に収拾されることは期待できず、覇権争いになってきていることがうかがえる。事実、ペンス演説でも、昨年12月にトランプ大統領が発表した国家安全保障戦略に触れ、世界的に影響力を行使し国際秩序を自身の良いように変えようとしている大国がある、と指摘された。

 ペンス副大統領は、11月、シンガポール及びパフア・ニュー・ギニアで開催されるASEANやAPEC(アジア太平洋経済協力会議)など、アジア地域で行われる多国間会議に、大統領の代理で米国を代表して出席すると言う。自由で開かれたインド太平洋地域に関する演説も準備中だそうだ。安倍総理も同様の会議に参加予定である。

【私の論評】冷戦Ⅱは、先の冷戦と同じく米国が圧勝!中国には微塵も勝ち目なし(゚д゚)!

ペンス副大統領の演説は、以前もこのブログで紹介しましたが、演説内容の詳細までは掲載しませんでしたので、本日は上の記事を掲載することにさせていただきました。

というのも、この演説は歴史に残るものになると予想されるからです。しかも、米国の圧倒的勝利になることが最初から明らかだからです。

本日は、なぜそういうことがいえるのかを具体的に解説します。

米国経済はトランプ政権になってから力強い成長を続けています。米国は、貿易戦争によるマイナス面は気にする必要など全くありません。

さらに、中国の輸出依存度が24.1%であるのに対して、米国の輸出依存度はたった9.4%です。どちらに軍配が上がるかは最初から明らかです。

ちなみに日本の貿易依存度は14.6%です。20数年前までは、8%台でした。通説の「日本は輸出(貿易)立国」であるという話は全くの間違いです。ましてや、日本の高度成長は貿易によってもたらされたというのも間違いです。日本も米国にならぶ内需大国であるということができます。


そうして内需大国であるということは、悪いことではありません。なぜなら、経済の大半が自国内で完結してしまうので、外国の影響を受けることが少ないです。それは、極端にグローバル化をすすめた韓国が現状どうなっているかを見れば明らかです。ただし、ギリシャのような国はまた別です。自国内の経済の規模もかなり小さく、外需もめぼしいものがないです。

さらに、中国が13億人を養う食料を集めるのにかなりの輸入で四苦八苦しているのに対して、米国はあり余る食料を輸出しています。

また、世界最大の産油国は現在ロシアです。サウジアラビアではありません。さらに、来年(2019年)には米国が世界最大の産油国になる見込みです。近年のシェール・オイルの開発・増産が寄与しています。

エルサレムに米国の駐イスラエル大使館を移したことは暴挙とされましたが、これは米国が、湾岸戦争の時のように、産油国であるアラブ諸国に気を使う必要など無くなったからできたことです。

それに対して、中国の2018年7月の原油の国内生産量は日量375万バレルです。そして、税関発表の輸入量は同850万バレル。全体の7割の原油を輸入に頼っている状況です。

この弱点ゆえ、今回の米国との貿易戦争においても輸入原油は報復関税の対象リストに入れることができなかったのです。

日本やドイツが第2次世界大戦を起こした大きな理由の1つが、石油などのエネルギー確保のためであることはよく知られた事実です。共産主義中国もこの生命線を今まさにつかれているのです。

誰もが認める最新兵器に支えられた軍事力はもちろんのこと、前述の食料・エネルギー、さらにはシリコンバレーの頭脳など、どこをとっても世界最強国である米国に対して、中国はエネルギーも食料も自立できないですし、軍事力も遠く及ばず、しかも自国の優秀な頭脳はシリコンバレーに吸い上げられています。

この中国が米国に刃向かったのは無謀以外の何ものでもありません。

過去を振り返ると自由主義を信奉する米国は、もともと共産主義独裁国家を毛嫌いしていました。
ただ、米中国交回復以後は米国は「豊かになれば共産主義独裁国家もいつか民主化するのでは無いか?」という考えで積極的に中国の発展を支援しました。米国だけでは無く欧州でもその考えが主流でした。
ところが、中国は一人あたりのGDPなどでは、未だ日米は愚か他の先進国には及ばない状況ながらも、人口が13億以上と多いため、総体のGDPでは米国の背中が見えるほど巨大になったにもかかわらず、共産主義中国の民主化は一向に進展せず普通選挙さえいまだに実現されていません。行われているのは共産党が仕切る人事と幹部の指名です。
それどころか、習近平氏は、大躍進と文化大革命で中国人民を大量虐殺した毛沢東を目指すとまで言い始めています。
テロ容疑者として中国に逮捕された15歳から30歳のウィグル人男性たち
さらに、中国によるウイグルに対する弾圧は見過ごせない状況になってきています。また、尖閣や、南シナ海などでの領土的野心を隠さない行為も米国を大いに刺激しています。。
多くの日本人同様、多数の米国民も「共産主義中国に恩をあだで返された」と感じています。

中国が豊かになれば、いずれ先進国並みに、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がされるのではないかという甘い考えが幻想であることが分かれば、共産主義中国にどのように米国が対応すべきかは明らかです。

関税だけでは無く、中国企業の米国内の活動そのもの国防上の観点から大幅に規制しようとするZTEに対するようなアクションは、まさに「戦争に備える国防問題」なのです。

北朝鮮のICBMが米国本土に届くかもしれないということが話題になり、それを阻止することもトランプ大統領にとって重要課題ですが、共産主義中国の核兵器やICBMは、米国にとってそれをはるかに上回る現実の軍事的脅威です。

ただ、現在、徴兵制を停止(制度そのものは現在も存続。停止したのは議員の息子が徴兵されることによって、ベトナム反戦運動が激化したため)している米国が、米国の若者の血を大量に流す本物の戦争を長期間続行するのは、国民からの人気を人一倍気にするトランプ大統領が避けたいことです。

北朝鮮や共産主義中国などのならず者国家は、その事情を見透かしているところがあります。

しかし米国は、どのような国も太刀打ちできない最新兵器に裏打ちされた強大な軍事力だけでは無く、血を流さない戦争=「無血戦争」においても圧倒的な強さを持っています。

「貿易戦争」もその1つですし、本当の戦争で言えば「海上封鎖」に相当するような「経済制裁」も、ボディーブローのようにじわじわ効いてくる効果的な戦略です。対北朝鮮では、この戦略を極めて有効に活用しています。

世界最大の金融街 ウォール・ストリート

しかし、「無血戦争」における米国最大の武器は「金融」です。世界の資金の流れを支配しているのは間違いなく米国です。戦争用語の「制空権」ならぬ「制金権」を米国が握っているのです。

そもそも、米国ドルは国際決済で、最も用いられています。人民元の信用度は現在まだ高いですが、それは中国がおびたたしい量のドルと、米国債を所有していることによるものです。これがなくなれば、人民元は紙切れです。

米国はドルが足りなくなれば、勝手に自分で刷り増すことができますが、中国にはそれができません。やれば、単なる偽札づくりです。

このこと一つとっても、米国の「制金権」は圧倒的であり、中国は足元にも及ばないことが理解できます。

その他にも例えば、北朝鮮やイランの高官の口座を経済制裁の一環として凍結したというようなニュースを聞くことがあります。その時に、「どうやって口座を調べたのだろう」という疑問を持つ人も多いのではないかと思います。

このような人物が本名で海外に口座を開くとは考えにくく、当然偽名やトンネル会社などを使用します。しかし、そのような偽装をしても、FBIやCIAの捜査官は、例えば田中一郎という口座名義人が、実は大原浩であるということを、口座間の送金履歴、入出金履歴などを解析して簡単に見つけ出すことができるのです。この基本技術は、30年ほど前から実用化されているといわれています。

その後、日本でもテロ対策、マネー・ロンダリング対策で銀行口座開設や送金の際の本人確認が非常に厳しくなって「面倒くさい」と思っている方も多いと思います。これは日本政府や銀行協会の方針でというよりも、米国の指示によるものです。つまり日本だけでは無く世界的な現象なのです。

これは以前、スイスのプライベートバンクの匿名性が攻撃され、口座情報が丸裸にされたのもこの戦略と関係があります。ナチス残党の秘密口座などがやり玉に挙がっていましたが、本当のところは、米国の敵国(実は同盟国も……)の指導者の口座情報を得るための手段であり、米国はスイス政府に猛烈な圧力をかけたのです。

結局、少なくとも米国の同盟国・親密国においては、どのような偽装をしても米国の監視の目からは逃れられないということです。

そして、北朝鮮、共産主義中国など米国と敵対している国々のほとんどの幹部は、汚職で蓄財した個人資産を時刻に保管しておくには適さないです。いつ政権が転覆したり革命が起きるかわからないので、米国やその同盟国(親密国)の口座に保管をするしかないのです。

米国と敵対する国々の指導者の目的は、もちろん国民の幸福では無く、建前は色々と言っていますが、個人の蓄財と権力の拡大ですから、彼らの海外口座の個人資産を締めあげれば簡単に米国にひれ伏すことになります。

そんなことによりも、彼らの海外口座の個人資産を凍結したり、あるいはサイバー攻撃により消滅させるようなこともできると思います。私は、そのうち習近平をはじめとする、中国の幹部の中で、不正に蓄財した財産を消滅させられて、無論誰に訴えることもできず希望を失って発狂する者もでてくるのではないかと思っています。

さらに、米国はすでに挙党一致で、議会主導で中国を叩いています。一方の中国は、未だに権力闘争が続いていて、とても一致協力して米国と闘う体制にはなっていません。そのうち、冷戦Ⅱを権力闘争に利用し、習近平派を潰そうとする輩が目立つようになることでしょう。

その時には、習近平派は失脚するかもしれません。しかし、中国は次の体制になっても、基本的には中国共産党一党独裁は変えないでしょうから、その後も冷戦Ⅱが続き、いずれソ連崩壊の二の舞いを舞うことになるでしょう。

その後は、中国もかなり弱体化し、現ロシアなみのGDPに落ち込むことになるでしょう。ちなみに、現ロシアのGDPは韓国よりも少し少ないくらいです。韓国は、東京都なみのGDPです。今やロシアは、どうあがいても米国に立ち向かうことはできません。ロシアの人口は1億4千万人で、日本より二千万人多いくらいで、中国は13億を超えていますから、そこまではいかなくとも、かなり弱体化することになるでしょう。

孫子は「戦わずして勝つ」ことを最良の戦略としていますが、まさに多くの手法を駆使した「無血戦争」で、連勝を続けているトランプ氏は、歴代まれに見る策士なのかもしれません。

1989年のベルリンの崩壊と1991年のソ連邦の崩壊で冷戦が終了し、共産主義国家はいずれ消え去ると思われていました。ところが共産主義国家群はしぶとく生き残り、共産主義中国のように国家資本主義体制ともいえる体制に移行して、一時的に繁栄する国まで出てきました。

しかし、全体主義的・専制主義的国家が現代の先進的経済社会で繁栄し続けることはありえないです。

小手先で市場化・民主化を気取っても、「国家の繁栄」によって人民が民主化、政治と経済の分離、法治国家化をを要求するようになることが、共産党にとって最大の脅威なのです。それが達成されてしまえば、中共は統治の正当性を失うことになります。そうなば、中共は崩壊するしかありません。だから、結局経済的繁栄よりも一党支配による独裁を選ばざるを得ないのです。

1936年ナチス政権下で行われたベルリンオリンピック
全体主義国家であった、ナチス・ドイツはベルリンオリンピック開催後10年以内に崩壊しました。同じ全体主義国家であった、ソビエト連邦も、モスクワオリンピック開催後ほぼ10年で崩壊しました。

中国は、2008年に北京オリンピックが開催されて、今年で10年ですが、中国の場合はさすがに崩壊しませんでしたが、今年は事実上崩壊が決まった年となりました。

中間選挙でのトランプ氏の行く末が注目を浴びていますが、それがどうなろうと、あるいはトランプ氏が来年の選挙で大統領になろうとなるまいと、そうして、習近平が失脚しようがしまいが、長年準備されてきた「対中無血戦争」は、中国が全面降伏するまで延々と続くことになります。

この戦争は「自由主義社会」と「全体主義(専制主義)」との全面対決であり、ペンス副大統領が言うように、冷戦Ⅱ(無血戦争)と呼ぶことができます。そして勝敗は初めから分かっています。

米国が勝ち、中国が負けるのです。ペンス副大統領は、勝ち戦をすると言っているのです。

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