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2009年8月31日月曜日

鳩山代表に欧米から反発噴出 「東アジア共同体」に「友愛」-評論家的態度は慎むべき

鳩山代表に欧米から反発噴出 「東アジア共同体」に「友愛」(この内容、すでにご存知の方はこの項は読み飛ばしてください)

鳩山氏の寄稿が掲載された英エコノミスト誌

英エコノミスト誌の記事次期首相と目される民主党の鳩山代表に、欧米で警戒感が広がっている。米紙への投稿で、経済や安全保障のアメリカ主導を批判し、東アジアを軸に考えるとしているからだ。

 次期首相と目される民主党の鳩山代表に、欧米で警戒感が広がっている。米紙への投稿で、経済や安全保障のアメリカ主導を批判し、東アジアを軸に考えるとしているからだ。

■「オバマ政権は、相手にしないだろう」

 民主党が総選挙で圧勝し、海外でも政権交代に関心が集まっている。まだ開票から1日のため、海外のメディアで鳩山由紀夫民主党代表への論評は少ない。しかし、鳩山代表の考えに違和感を表明した向きもあり、今後、海外でも政策を巡る論議が広がりそうだ。

 鳩山代表の考えで特に注目されたのは、米ニューヨーク・タイムズ紙に2009年8月27日載った寄稿論文「日本の新しい道」(英文)。そこで、鳩山代表は、冷戦後、アメリカ主導のグローバリゼーションの中で、日本が市場原理主義の風潮にもてあそばれてきたと指摘。そして、人々が目的ではなく、手段として扱われ、「人間の尊厳が失われている」とまで言い切った。その現れとして、イラク戦争や金融危機があるという。

 鳩山代表は、代わりに、世界は多極化の時代に向かっているとした。「日米安保条約は外交の要」としながらも、日本については、友愛精神に基づいた「東アジア共同体」を提唱した。具体的には、東アジアの通貨統合や恒久的な安全保障を想定している。

 この「鳩山論文」については、アメリカ国内の専門家らから批判が相次いでいる。朝日新聞の29日付記事によると、元米政府関係者は、「オバマ政権は、論文にある反グローバリゼーション、反アメリカ主義を相手にしないだろう」と語った。米政府の担当者が日本をアジアの中心に考えなくなり、G7の首脳らにも同意が得られないとしている。

■経済政策については、影響力がなく、関心もない

 欧米のメディアからも、鳩山由紀夫民主党代表の考えに異論が出始めた。

 ニューズウイーク日本版は、2009年9月2日号で、アジア版(英文)にも載ったコラム「沈みゆく日本」(ブログ管理者加筆:Fading Japan:訳は適切でない)で、「ビジョンは内向き」と批判した。

 同誌は、日中間で海上油田の採掘権や過去の侵略問題を巡って対立し、平均年収の差もあるとして、東アジア共同体の実現困難性を挙げた。そして、中国が 2010年にも経済規模で日本を追い越す可能性があり、日本は、世界で勢いを盛り返すには、経済成長が何より大切だとした。しかし、自民党に攻撃されるまでマニフェストに「経済成長戦略」を明記していなかったと批判したのだ。

 英エコノミスト誌は、8月20日付サイト記事「間違った敵に攻撃している」で、鳩山代表が奉じる友愛に噛みついた。それは「感傷的に聞こえる概念」だというのだ。日本で鉄壁の保護を受けている農業をグローバリズムから守り、非正規労働の禁止や最低賃金引き上げだけを考えていると批判。経済政策については、影響力がなく、関心もないとの指摘が出ているとして、民主党の政策には限界があるとしている。

 また、英フィナンシャル・タイムズ紙は、28日付サイト記事「民主党代表の政策への疑問」で、友愛の概念を具体的な政策に移す鳩山代表の能力に疑問があると指摘している。

下に、ニューヨークタイムズの寄稿記事のURLを掲載します。エコノミストに寄稿したものと同じ内容です。

A New Path for Japan(The New York Times)

評論家的態度は慎むべき
鳩山さん、どういう経緯でエコノミストに寄稿することになったのか判りませんが、日本の特殊性、特異性を理解していなかったようです。エコノミスト誌への寄稿ともなれば、日本国内で鳩山さんがかつて、やってきたような責任のない「評論家」的な態度は慎むべきです。これは、日本のいままでの野党やマスコミ一般にみられる風潮です。

それに、アメリカの長期戦略などきちんと、勉強した結果寄稿したのかどうか、鳩山氏自身は「日本国内のVoiceなどに過去に寄稿したものをまとめて、鳩山事務所で英訳して掲載したものであり、全部をよく読んでもらえば、決して反米の立場ではないことを理解してもらえるはずだ」などと後から言い訳しているようです。しかし、鳩山事務所というところも問題です。エコノミストに掲載するのなら、きちんとしたブレーンか、シンクタンクの人にでもチェックしてもらうべきだったと思います。

日本は他国と比較すると非常に特殊な国ですから、日本国内で普通の人が当たり前に言っていることが、海外では異常と思われるようなことはいくつもあります。まず、政治に関しては、日本で普通に中道と思われるような発言は、左派的、左翼的と認識されます。そのため、発言するときには、これを勘案して表現を右のほうにシフトさせる必要があります。

日本国内と海外の温度差を勘案しながら、自分の言いたいことの真意は何かを相手に伝えるために、海外での基準と照らし合わせてシフトするべきです。どの程度かは、その案件によっていろいろ違ってくるでしょうが、そのまま日本国内のつもりで発言してしまっては、違和感、奇異感を相手に抱かれると思います。

このようなことはたくさんあります。一番判りやすい例をあげると、血液型による性格判定です。これは、海外で日本国内のつもりで話すと、相手は「この人は知的障害があるのか」「それとも人種差別主義者か」などと勘ぐられてしまうし、かなり違和感をもたれます。

それに、鳩山さん自身、それに鳩山事務所の人たちは、アメリカの長期国際戦略など学んでいるのでしょうか?きちんと学んでいたのなら、あのような寄稿にはならないと思います。それを知るために、あちこち、現状のサイトなど探っても、それらは所詮広報的なものにすぎません。それでも、これを垣間見ることはできます。それは、たとえば、サミュエル・ハンティントンの「文明の衝突」など、かなり参考になると思います。

「文明の衝突」では、日本国は、西暦2~5世紀において中華文明から派生して成立した文明圏であり、日本一国のみで成立する孤立文明としています。アメリカの国家戦略では、日本のことははっきり認めているのですが、逆にいえば、他のアジアとは孤立しているということです。

このあたりの背景をよくわきまえていたら、先のような論文にはならなかったと思います。特に、これは、鳩山さんの初の日本の統治者としての海外デビューのようなものだったと思います。最初は失敗しても、いまから挽回することはできると思います。鳩山さんも、それから他の民主党の皆々さまも、これからしっかりとお勉強して、二の轍を踏むことがないようにすべきです。


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