2015年12月25日金曜日

「日本は核武装を狙っている」 中国が進める日本悪魔化計画―【私の論評】米国の中国対応の鈍さ!本当は20年以上前にこのようなことを言わなければならなかった(゚д゚)!


悪魔といってもいろいろあるが、中国の日本悪魔化計画の悪魔はどんなものか?

 「アメリカを超える大国」を目指す中国は、その大目標の邪魔になる日本を貶める動きを加速させている。その試みは欧米の識者から日本の「悪魔化」と呼ばれ、警戒されている。産経新聞ワシントン駐在客員特派員の古森義久氏が、中国による日本の「悪魔化」の現実をレポートする。

 * * *

 中国共産党政権が日本をことさら悪として断じ、その善や和の特徴をあえて無視する実態は私自身も1998年から2年余、産経新聞中国総局長として北京に駐在した時期から、いやというほど体験してきた。

 小中高校用の歴史教科書は日本について戦時の「残虐行為」だけを誇張して教え、戦後の平和主義、民主主義の特徴はなにも教えない。日本が賠償の意味もこめて中国に供与した巨額の政府開発援助(ODA)など戦後の対中友好外交も教えない。

 官営メディアは抗日戦争での日本軍の「侵略と虐殺」の歴史を繰り返し、ドラマも同様に悪逆非道の日本人ばかりが登場する。この反日宣伝の実例は自著の『日中再考』(産経新聞社刊)などで詳述した。

中国の歴史教科書の記載

 さてこの中国の「日本悪魔化」戦略はアメリカでも中国軍事研究の最高権威によって指摘されていた。1970年代のニクソン政権時代から一貫して国防総省の高官として中国の軍事動向を研究してきたマイケル・ピルズベリー氏の指摘であり、警告だった。

 同氏は2015年2月刊行の著書『100年のマラソン=アメリカに替わりグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略』(日本語版の書名は『China2049』)で日本悪魔化戦略を明らかにした。

マイケル・ピルズベリー氏
 ピルズベリー氏は中国語に堪能で共産党や人民解放軍の軍事戦略関連文書を読みこなす一方、中国軍首脳との親密な交流を保ってきた。同氏はこの新著でアメリカ歴代政権の対中政策は間違っていたとして「中国を豊かにすれば、やがて国際社会の健全な一員となるという米側の期待に反し、中国は当初から建国の1949年からの100年の長期努力でアメリカを圧することを狙ってきた」と述べた。その世界覇権への長期の闘争を中国自身が「100年のマラソン」と呼ぶのだという。

 同氏は中国のこのアメリカ凌駕の長期戦略の重要部分が「現在の日本は戦前の軍国主義の復活を真剣に意図する危険な存在だ」とする「日本悪魔化」工作なのだと明言している。日本の悪魔イメージを国際的さらには日本国内にも投射して日本を衰退させ、日米同盟やアメリカ自体までの骨抜きにつなげる一方、「軍国主義の日本との闘争」を中国共産党の一党独裁永遠統治の正当性ともする狙いだという。

 逆にいえば、習氏にとって日本がいま平和、民主のままで国際的な影響力を強めれば、共産党統治の正当性を失いかねない。さらには中国の最大脅威であるアメリカのパワーをアジアで支えるのはやはり日本そして日米同盟であり、その両者が強くなることは中国の対外戦略全体を圧することにもなる。だから習氏はいまの日本をいかにも恐れるような異様な工作を進めるのだろう。ピルズベリー氏はその日本悪魔化工作の例証として以下の諸点を列記している。

 ◆習近平氏が愛読する書『中国の夢』(劉明福・人民解放軍大佐著)は「日本は常に中国を敵視するから中国が軍事的に日本と戦い、屈服させることが対米闘争でもきわめて有効だ」と強調している。

 ◆清華大学の劉江永教授は最近の論文で「日本の首相の靖国神社参拝は中国への再度の軍事侵略への精神的国家総動員のためだ」と断言した。

 ◆李鵬・元首相に近い学者の何新・社会科学院研究員は一連の論文で「日本は中国の植民地化を一貫した国策とし、今後もそのために中国を分割し、孤立させようとする」と警告している。

 ◆多数の中国の軍人たちが「日本は中国攻撃のための軍事能力を整備しており、日本の宇宙ロケット打ち上げはすべて弾道ミサイル開発のため、プルトニウム保有は核兵器製造のためだ」と主張している。
 
 私はピルズベリー氏とは30年以上も交流があり、今回の彼の本についても対談する機会を得たが、氏によれば、これらの主張はほぼすべて事実に反するものの、現実には中国首脳部への真剣なインプットとなっているという。

 日本はこの中国の「悪魔化」プロパガンダに対して常にその害悪を意識して正面から反撃し、論争を挑むことが不可欠だろう。

 ※SAPIO2016年1月号

【私の論評】米国の中国対応の鈍さ!本当は20年以上前にこのようなことを言わなければならなかった(゚д゚)!

『100年のマラソン=アメリカに替わりグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略』については、ごく最近このブログでも取り上げたばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
スクープ最前線】米機接近は「誤り」ではなく中国恫喝だった 南シナ海“威圧”に米激怒―【私の論評】今更「100年のマラソン」の寝言に脅威を感じる米国の感受性の鈍さが、アジアの平和を脅かした(゚д゚)!
激怒するオバマ大統領 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事元記事では、以下のような事実を提示していました。
米軍の戦略爆撃機B52が10日朝、南シナ海上空を偵察任務中、中国がスプラトリー(南沙)諸島に建設した人工島に接近した。中国が『領海』と主張する12カイリ(約22キロ)以内どころではなく、2カイリ(約3・7キロ)内への侵入だった。ほぼ真上といえる。米国防総省は『意図的ではない。悪天候のため、誤って飛行した』と説明した。
そうして、この元記事では、これは誤りではなく、アメリカの意図して意識した、中国への恫喝だとしています。そうして、なぜこのような恫喝をしたかといえば、中国の傍若武神な振る舞いに対して、激怒したためとしています。

この見方は、全く正しいものと思います。これに対して、『100年のマラソン』を引き合いに出して、私は以下のように論評しました。 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、結論部分のみ以下に掲載させていただきます。
以上のようなことから、「100年のマラソン」など最初からわかり切ったことであり、これに関して今更脅威を感じるなどとは、はっきり言わせてもらえれば、あまりにも感受性が鈍いとしか言いようがありません。 
感受性が鈍った原因として、アメリカの世論は、90%がリベラルで、わずか10%が保守であり、かつ親中派、媚中派も多かったため、中国の成長幻想の集団催眠にかかり、中国はいずれ大国となり、米国と対等のビジネスパートナーになると思い込んだためです。 
しかし、異質の中国は、とても米国の考えているようなビジネス・パートナーとはなりえません。まずは、経済は破綻しかけています、そのいきつく先は、中進国の罠にどっぷりとはまり抜け出せなくなることです。そうなれば、今後中国の経済が発展することもありません。 
軍事的にも本格的にアメリカと南シナ海で対峙することになれば、数時間で負けます。そもそも、中国の「100年のマラソン」は、中国の中華思想からでてきたものであり、根拠も何もありません。 
もともと、中国は第二次世界大戦後に独立した国であり、大東亜戦争時には日本と戦ったこともありません。直接先進国と本格的な戦争などしたことはありません。だから、戦争の悲惨さなど知りません。さらに、毛沢東施政下においては、大躍進や文革で数千万人にものぼる死者を出した国です。もともと、人命は尊重しない国です。 
このような国が本格的に超大国妄想を抱いて、それに突き進めば、それが成就されることはないにしても、アジアに様々な災いをもたらすのは明らかです。
アメリカは、このような妄想を打ち砕き、中国に対して身の丈を知らしめるべきです。そうすることにより、アジアの平和と安定がより確かなものになります。 
いずれ中国はいくつかの国々に分裂し、ほとんど国が特に珍しくもないありふれた、アジアの独裁国家の一つに成り果てます。ひょっとする、そのうち一国くらいが、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を実現して、中間層を増やしこれらに活発な経済・社会活動を行わせるようになり、驚異的に発展するかもしれません。 
しかし、そのときは、今の中国のように身の丈知らずの妄想をいだくことなく、まともな国になるかもしれません。 
今更「100年のマラソン」の寝言に脅威を感じる米国の対応の遅れが、アジアの安定と平和を脅かしたと言えそうです。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
『100年のマラソン』など、もうすでに野望をむき出しにした中国の態度から、もうすでに10年以上前から多くの人が理解していたことです。それに日本「悪魔化計画」は、1980年代から江沢民による組織的、体系的反日教育で、すでに1990年代から始まっています。

「南京虐殺30万人説」など、悪魔化計画が実行されて何十年もたって中国ではもう既成事実になっています。アメリカでも信じる馬鹿が多いです。今更、「悪魔化計画」などというキーワードを持ちださなくても、このようなことは中国が随分時間をかけて、実行してきたことです。

そうして、何のためにやってきたかということも、はっきりしています。それは、日本を悪魔に仕立てなければ、中国共産党政府の正当性を主張できないからです。確かに、日本という悪魔がいなければ、中国共産党は存立の基盤を失ってしまいます。

日本と戦争したこともない中国共産党、建国してから毎年平均2万件もの暴動が発生していたとされる中国、それも2010頃からは毎年10万件もの暴動がある中国、現在の共産幹部の先祖をたどれば、ほんどとどこの誰かもわからない、馬の骨である中国共産党幹部。

それでも、本当に抗日戦争を戦って、人民を開放したという事実でもあれば、自分たちを正当化できますが、そんな事実はありません。そのような事実がないのであれば、中国共産党政府が、中国を統治する正当性を何とか主張しなければなりません。しかし、残念ながら、中国共産党政府には何もそれがありません。だから、日本を悪魔にしたてて、歴史を改ざんして、悪魔の日本から人民を開放したという妄想を人民に信じさせなければならないのです。

このような背景を知ってか、知らずか、日本の尖閣問題や南シナ海の問題に関して、アメリカの世論はあまりに幼稚で無邪気ですらありました。

そもそも、アメリカは戦後体制の最大の戦勝国であるはずです。大東亜戦争中は、日本は米国の最大の敵です。日本の戦略のまずさから、多大な被害を被りながらも米国はからくも大東亜戦争に勝利することができました(日本が最初から無謀な戦争をしたというのは、戦後のアメリカの刷り込みに過ぎません)。

そうして、アメリカを頂点とした、戦後体制を築きました。日本もその枠組みの中にとりこまれ、その枠内での活動をしてきしまた。他のアジアの国々も同じことです。戦後体制の盟主として、それなりの利益を得るというのなら、この体制を守るという義務がアメリカにはあるはずです。

権利があれば、同時に義務があるのも当然のことで、義務を果たさなければ、戦後体制の盟主であるという統治の正当性に疑義が生じるのも当然のことです。

しかし、中国が最初に海洋進出をはじめてから、ごく最近まで、アメリカは言葉で抗議はしたものの、その他はほとんど何もしませんでした。

今から、37年前の1978年10月23日、日中平和友好条約の批准書交換のため訪日していた中国の鄧小平国務院常務副総理は、日本記者クラブで行われた会見の席上で、

尖閣諸島を中国では釣魚島と呼ぶ。名前からして違う。確かに尖閣諸島の領有問題については中日間双方に食い違いがある。国交正常化の際、両国はこれに触れないと約束した。今回、平和友好条約交渉でも同じように触れないことで一致した。中国人の知恵からしてこういう方法しか考えられない、というのは、この問題に触れるとはっきり言えなくなる。こういう問題は一時棚上げしても構わない、次の世代は我々より、もっと知恵があるだろう。皆が受け入れられるいい解決方法を見出せるだろう。
と述べています。当時、この問題を軽く考えて、日本政府が放置したことが後々の尖閣問題につながっています。このときに、日中関係が冷え込んでも「日中双方に領土問題は存在しない」とはっきりさせるべきでした。

今から21年前の、1994年にフィリピンが実効支配していたミスチーフ礁(中国名: 美済礁)を中国が占拠して建造物を構築したことを、1995年2月フィリピン政府が公表しました。

当初は、建造物を構築するとはいっても、中国は今日のような埋め立ての技術を持っていなかったので、上記のようなものでした。

この両方の出来事に関して、当時のアメリカははっきりした態度を示しませんでした。本来であれば、サンフランシスコ講和条約にもとづき、日本と中国の間には領土問題は存在しないと、アメリカの意図をはっきりと中国に伝えるべきだったでしょう。

フィリピンの中国の建造物に関しても、戦後体制の秩序を乱すものとして、徹底的に糾弾すべきだったでしょう。

その後、尖閣での中国の領空・領海侵犯をしたときにも結局米国も煮え切らない態度で、特に中国を強く非難もせず、軍事的行動もとりませんでした。

フィリピンも同じことです。結局すこしずつ埋め立てて、拡張していたのを放置しておき、最近になって大掛かりにやり初めてから、はじめて強く非難し、軍事的行動に出ました。

米国は、以上のようなことは、日本やフイリピンのことであることから、独立国である日本や、フィリピンの主権を重んじたつもりなのでしょうが、ひとつ忘れていたことがあります。それは、米国は戦後体制の立役者として、戦後体制を脅かすものがあれば、それに徹底的に対峙して、守りぬく責務があります。

そのことをすっかり忘れていて、中国のやりたい放題を許容してしまいました。これでは、米国は戦後体制を守りぬく決意がないと中国側にみなされても仕方ないところがあります。

そうして、いまさらながら「100年のマラソン」に脅威を感じるような、感受性の鈍さは、何も今に始まったことではありません。第二次世界大戦直後には、当時のソ連が、米国とともにドイツと戦ったということで、当時のトルーマン大統領はソ連やスターリンを友人と思っていました。本当の世界の敵は、ヒトラーであり、スターリンであるということをすっかり忘れていました。

しかし、そうではなかったことが、その後の東西冷戦が示しています。

米国が、これからも戦後体制を守ることに消極的だというなら、日本も安全保証を根本から見直す必要があります。

それこそ、核武装なども自前でし、中国の言う悪魔にならなければならないです。とはいつつ、中国の論理は完全に破綻しています。

そもそも、中国は核保有国ではありませんか。自分で核を保有することは、普通で、日本が核武装すると「悪魔」になるというのでは、完全に論理が破綻した、ダブルスタンダードです。しかし、日本の核保有は中国にとっては、かなりの脅威なのでしょう。もし日本が核武装した場合、中国の想定は根本から覆され、「100年のマラソン」も見直しを迫られることになります。

「100年のマラソン」ではなく、「1000年のマラソン」になります。というより、事実上不可能になります。アメリカが戦後体制を守りぬくという確かな決意があり、中国がアジアで核を用いれば、アメリカも必ず報復するというのなら、中国は最初から「1000年のマラソン」に挑むということになり、そもそも最初から「100年のマラソン」などに挑戦しなかったことでしょう。

それに、中国では未だ民主化、政治と経済の分離、法治国家化が十分になされていません。そうして、このような近代化の遅れから、国内では、臓器売買や、ありとあらゆる弾圧行為やら、それこそ、悪魔的なことが今でも手広く行われています。これでは、共産党政府の正当性の根拠が疑われても仕方ありません。

そうして、人民の多くも、中国共産党の統治の正当性など本当は心の底では信じていません。

このような悪魔のような国中国の本質に気づき、アメリカは戦後体制を本気で守る気があるのでしょうか。今回の南シナ海では、武力対立も辞さないとい態度で臨むなら、その気があると見て良いでしょう。

しかし、あいかわらず、感受性が鈍く、危機感がないというのなら、日本は日本で、安全保障の問題を根本から見直すべきと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月24日木曜日

今日は何の日 12月24日は「クリスマス・イヴ」―【私の論評】日本人の独自の精神世界に感謝し、目に見えないのの存在も信じる寛容さを持とう(゚д゚)!

今日は何の日 12月24日は「クリスマス・イヴ」


「目に見えなくてもサンタクロースはいるのです。」100年以上も語り継がれる、8歳の少女の問いに答えたニューヨーク・サン新聞の有名な社説です。
今日、12月24日は「クリスマス・イヴ」です。

明日のクリスマス当日よりもなぜか盛り上がるイエス・キリストの降誕前夜祭の日です。キリスト教圏では、クリスマスは主に家族で過ごし、クリスマスツリーの下にプレゼントを置いて互いに贈りあう日です。キリスト教徒の割合が少ない日本では、宗教的なことは抜きにして、家族や恋人、友人などとパーティをし、プレゼント交換をする年中行事として定着しています。

意外にもこのクリスマスを祝う習慣は、明治時代から徐々に広まり、戦前の昭和初期にはすでに日本に定着していたようです。バブルの頃と前後して恋人たちのイベントになり、クリスマスに恋人がいないことが、まるでこの世の終わりのように絶望的な雰囲気になっていたこともありましたが、最近では家族と過ごすという人が増えているようです。

クリスマスを巡るお話は世の中にたくさんありますが印象に残っているのはやっぱりあの有名な「サンタクロースはいるのという8歳の少女の投書に答えたニューヨーク・サン新聞の社説の話です”Yes, VIRGINIA, there is a Santa Claus.”と言い切ったこの社説は目に見えないものを信じることの素晴らしさを語った名文として100年以上も語り継がれています絵本にもなっているのでご存知の方も多いことでしょう

「誰もサンタクロースを見たことがないことは、サンタクロースがいないことの証明にはならない」ほんとうに、サンタクロースや目に見えないモノすべてが“いない”と信じる世界は、とてもさびしいものです。現実に押しつぶされそうになっている方も、目に見えないもの、人のあたたかい心を、せめて今日くらいは信じてみませんか。

最後に、INSIGHTNOW!に毎年この時期投稿されている純丘教授のクリスマス・コラムをいくつかご紹介しておきます。2015年 「クリスマスの夜、サービスエリアで」 、2014年 「なぜサンタは太っているのか」 、2013年 「最後のクリスマスプレゼント」 、2012年 「サンタはきっとどこかにいると思うんだ」 どれもクリスマス・イヴにぴったりの心やさしいお話です。

【私の論評】日本人の独自の精神世界に感謝し、目に見えないものの存在も信じる寛容さを持とう(゚д゚)!

クリスマス(: Christmas)は、イエス・キリスト降誕(誕生)を祝うミサです(降誕を記念する日)。12月25日に祝われるますが、正教会のうちユリウス暦を使用するものは、グレゴリオ暦1月7日に該当する日にクリスマスを祝います。 ただし、キリスト教で最も重要なミサと位置づけられるのはクリスマスではなく、復活祭です。

キリスト教に先立つユダヤ教の暦、ローマ帝国の暦、およびこれらを引き継いだ教会暦では日没を一日の境目としているので、クリスマス・イヴと呼ばれる12月24日夕刻から朝までも、教会暦上はクリスマスと同じ日に数えられます。

一般的年中行事としても楽しまれます。ジングルベルなどのクリスマスソングは多くの人に親しまれています。


日本では、クリスマスや、ハロウィーンなど外国習慣などを容易に受け入れて、自分たちのものにしてしまう習慣が昔からあります。これによって、私たちの生活が豊かで、彩りのあるものになるのなら、それはそれで良いことだと思います。

最近では、日本でもかなり盛んになったハロウィーンだってそうです。

特にアメリカのハロウィーンは、日本と同じく、宗教的な意味あいは全くありません。

ハロウィン、あるいは、ハロウィーン(: Halloween または Hallowe'en)とは、毎年10月31日に行われる、古代ケルト人が起源と考えられているのことです。

もともとは収穫を祝い、悪霊などを追い出す宗教的な意味合いのある行事であったのですが、現代では特にアメリカ合衆国民間行事として定着し、祝祭本来の宗教的な意味合いはほとんどなくなっています。

カボチャの中身をくりぬいて「ジャック・オー・ランタン」を作って飾ったり、子どもたちが魔女お化け仮装して近くの家々を訪れてお菓子をもらったりする風習などがあります。

キリスト教の祭ではない。ハロウィンに対してはキリスト教からは容認から批判まで様々な見解があります。とは、いいながら、アメリカで多くの人達は、ハロウィーンを楽しみにしています。
ジャック・オー・ランタン

ハロウィーンに関しては、行き過ぎもあり、ハロウィーンの仮装行列で人々がねり歩いた後がゴミだらけなどという負の側面もありましたが、このような人に迷惑をかけるような行為をしなければ、やりたい人がやるのは、あまりとやかくいう必要もないと思います。

そうして、ブログ冒頭の記事のように、私も「目に見えないもの、人のあたたかい心を、せめて今日くらいは信じてみませんか」と言いたいです。

こちらは、札幌ですが、最近以下のようなことがありました。
札幌市児相に「伊達直人」 ランドセル4個届ける 
 札幌市は24日、漫画タイガーマスクの主人公「伊達直人」を名乗る匿名の男性が市児童相談所を訪れ、ランドセル4個を寄付したと発表した。 
 市によると、男性は21日夜に訪れ、警備員に黒、ピンク、水色、茶色のランドセルを渡した。「いっぱいあそんで、いっぱいべんきょうしてください」と書いた手紙も添えられていた。市は児童養護施設などで、来春小学校に入学する子どもに贈る予定。 
 男性は、40代後半に見えたという。札幌市へのランドセルの寄付は2010年から6年連続という。
このニュース以外にも、「伊達直人」と名のる人が、登別観光協会にあらわて、神楽鈴の贈り物をしたという話もありました。

伊達直人から贈られた神楽鈴をPRする湯鬼神
これは、たまたま北海道の事例ですが、こんなことは全国ではいろいろあるのでないでしょうか。それに、これらは報道されたものですが、報道されないようなこともいろいろあると思います。これら報道された人たちも身元を明かさず、それに報道されなかった人たちも、まるで目に見えないサンタクロースのようではありませんか。

それに、クリスマスケーキを買ったとか、クリスマスパーティーをしたとか、そういう人も多いと思います。とにかく、外国の習慣を取り入れて、贈り物とか、様々なイベントが日本国内で繰り広げられているわけです。

そうして、この日は、目に見えなものの存在を素直に信じても良いのでないかと思います。目に見えないものでも信じるということは素晴らしいことです。そうして、私達日本人は、外国の習慣まで取り入れて、目に見えないものをテーマにして、イベントにしてしまっています。

そうして、このようなことは、根本的には、日本人の豊かな精神世界にもその背景があるのではないかと思います。

このブログでは、以前日本人の豊かな精神世界について、掲載したことがあります。

その記事のリンクを以下に掲載します。
「中韓」とは異質な日本人の「精神世界」…仏作家は「21世紀は霊性の時代。日本は神話が生きる唯一の国」と予言した―【私の論評】日本は特異な国だが、その特異さが本当に世界の人々に認められ理解されたとき世界は変る。いや、変わらざるをえない(゚д゚)!
式年遷宮「遷御の儀」で現正殿から新正殿に向かう渡御行列。
伊勢神宮は日本人と心のふるさと、未来への道しるべだ
=平成25年10月2日夜、三重県伊勢市の伊勢神宮

詳細は、この記事をご覧いただくものして、私たちの国は、今なお霊を重んじる精神を失っていません。日本は、未だに霊性の国なのです。

考えてみると、霊とは、人種はもとより、宗教違いも乗り越えるものです。それどころか、山や石や、木や川にまで、霊が宿るとするのが私達日本人です。

そうして、霊とはめに見えないものです。しかし、私達日本人は、それがあらゆるものに宿るとしてきたのです。

そんな私たちですから、大昔から他の宗教に敵対するというのではなく、八百万の神を受け入れてきました。

そんな私達が、クリマスやハロウィーンを自分流に受け入れることは容易なことです。

霊という「目に見えないもの」を信じる私達の精神文化は、他の国でも昔は残っていたのですが、今や宗教にとって変わられ、霊性を失ってしまいました。ただし、多くの民俗学者などか、文明から取り残された少数民族を研究して、アニミズムとかシャーマニズムという形で残っていることを確かめています。

そうして、世界中の国々で、今ではキリスト教、イスラム教、仏教、その他の宗教を信奉する前の人類は、アニミズム、シャーマニズムなどで、霊性の世界を信奉していたと考えられています。

ところが、日本だけが、この霊性の世界を現在まで、維持、継続、発展させて、現在の神道という形式にまで昇華させてしまいました。

この記事を読んでいいただけると、おわかりになるように、フランスの文学者マルローや、ドイツの心理学者ユングなどは、21世紀は霊性の時代になるであろうことを予言しています。

確かに、今の世界をみていると、宗教の時代には限界があるかもしれません。しかし、私達日本人は生まれながらに、目に見えない霊性を尊ぶ習慣があります。そうして、そもそも霊には、国も習慣も、人種や、考え方どころか、人と動物、自然との差異すらないことを思い起こすべきです。

根底にこのような霊性を重んじる、精神があるからこそ、私たちはクリマスなど、外国の宗教に関係する習慣でも容易に受け入れて、自分たちの生活習慣に取り入れることができるのです。この寛容さを私達は、当たり前と思ってはならないと思います。

私たちは、この豊かな精神世界を持つことができたことに感謝して、クリスマスを楽しく過ごそうではありませんか。クリマスなど外国の宗教儀式に過ぎないなどと、いわず渡したちの生活を彩る、習慣としてこれからも受け入れていくべきものと思いますし、将来的にもそのように多くの日本人に受け止められるでしょう。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年12月23日水曜日

天皇陛下82歳 皇居で一般参賀―【私の論評】「皇尊弥栄」(すめらみこといやさか)!

天皇陛下82歳 皇居で一般参賀

参賀者に手を振られる天皇、皇后両陛下=23日、皇居

天皇陛下の82歳のお誕生日を祝う一般参賀が23日、皇居で行われた。宮内庁によると、午前10時20分からの1回目には1万3160人が訪れた。

陛下は皇后さま、皇太子ご夫妻、秋篠宮ご夫妻、眞子さま、佳子さまとともに、宮殿の長和殿のベランダから参賀者に笑顔で手を振って応えられた。

陛下は「みなさんから寄せられたお祝いの気持ちを誠にうれしく思います」とお言葉を述べられた。さらに、豪雨などの被災者を気遣いながら、来年が「明るい良い年となるよう願ってやみません」と語られた。

【私の論評】「皇尊弥栄」(すめらみこといやさか)!


本日、12月23日は「天皇陛下の誕生日を祝う日」として法律で定められました。第二次世界大戦終結までは、天長節と呼ばれていました。


日本国民統合の象徴である「天皇陛下」

旧暦の9月22日は明治天皇の誕生日(新暦の11月3日で、現在の"文化の日")で、4月29日は昭和天皇(現在の"みどりの日")でしたが、天皇の亡くなられた後に現在の名称に改名されました。

戦前は天皇は神様として崇められており、その誕生日は「祝日」として扱われていました。しかし戦後、天皇は神様ではなく「日本国民統合の象徴」という新しい意味を持つようになりました。その事を受け、天皇を神格化した行事では無く天皇の誕生日を純粋にお祝いし、国民と天皇との距離を縮めることを目的とした日として「天皇誕生日」が設けられました。



奈良時代の天長節から現代まで
天皇誕生日の前身というべき天長節は奈良時代、光仁天皇(775年)の時に初めて行われました。

1948年からは、毎年宮中で祝賀の儀・宴会の儀・茶会の儀・一般参賀という催しが行われるようになりました。その後、宮殿造営のため一時中断されましたが、現在も皇居の二重橋の門が開放され、天皇は一般参賀者に答礼されています。


天の主宰者、造化の神
現在のカレンダーには「天皇誕生日」と記載されていますが、戦前までこの言葉(「天皇」)は神聖なものだから軽々しく使ってはいけないと禁止用語にしていました。「天皇」と言う言葉は「天帝」とも言い、「天の主宰者、造化の神」の意味をもちます。

「皇」の字はオウともコウとも読みますが、前者が「呉音」で後者の「漢音」より早い時期に入って来た読み方です。

天長節を祝う、日章旗を掲げた商店街 こんな商店街がもっと増えると良いです!

皇尊弥栄

本日のサブタイトルともなっている「皇尊弥栄」(すめらみこといやさか)の意味を以下に示します。

「中韓」とは異質な日本人の「精神世界」…仏作家は「21世紀は霊性の時代。日本は神話が生きる唯一の国」と予言した―【私の論評】日本は特異な国だが、その特異さが本当に世界の人々に認められ理解されたとき世界は変る。いや、変わらざるをえない(゚д゚)!


【全国戦没者追悼式】「深い悲しみを新たに」 天皇陛下お言葉全文―【私の論評】式典の後で、映画『陸軍』を視聴し、戦争の悲惨さが胸迫り「深い悲しみ」を新たにした!

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  • 2015年12月22日火曜日

    【スクープ最前線】米機接近は「誤り」ではなく中国恫喝だった 南シナ海“威圧”に米激怒―【私の論評】今更「100年のマラソン」の寝言に脅威を感じる米国の感受性の鈍さが、アジアの平和を脅かした(゚д゚)!

    【スクープ最前線】米機接近は「誤り」ではなく中国恫喝だった 南シナ海“威圧”に米激怒

    激怒するオバマ大統領 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
    オバマ大統領率いる米国が、中国への怒りを沸騰させている。米国が中東問題で忙殺されている間に、中国は南シナ海での覇権強化を進めているうえ、大威圧行動に出てきたというのだ。米軍のB52戦略爆撃機が先々週、中国の人工島上空を飛行したが、これは「誤り」ではなく「意図した軍事行動」との指摘が飛び込んできた。急浮上する「2016年、南シナ海開戦」情報とは。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。

    「米国は、中国の暴挙を許さない。今回の一件で、中国は内心震えたはずだ。米国は軍事衝突も辞さない。本気だ」

    旧知の米軍関係者は緊張した声で、こう語った。「今回の一件」とは、米国防総省が18日に明らかにした“軍事行動”のことだ。概略は以下の通りだ。

    《米軍の戦略爆撃機B52が10日朝、南シナ海上空を偵察任務中、中国がスプラトリー(南沙)諸島に建設した人工島に接近した。中国が『領海』と主張する12カイリ(約22キロ)以内どころではなく、2カイリ(約3・7キロ)内への侵入だった。ほぼ真上といえる。米国防総省は『意図的ではない。悪天候のため、誤って飛行した』と説明した》
    米軍戦略爆撃機B52とその全武装 核兵器も搭載できる
     これに対し、中国国防省は翌19日、「米国側の挑発的行動に対し、あらゆる手段と措置を講じて国の主権と安全を守る」との声明を出した。

    ただ、冒頭の米軍関係者の話でも分かるように、核兵器搭載可能なB52の飛行は「誤って」ではない。米国がそこまで激怒しているということだ。少し説明しておく。

    中国は以前から国際法を無視して、世界のシーレーンである南シナ海のほぼ全域を囲む9つの線からなる「九段線」(赤い舌)を引き、「自国の領海だ」と強弁。複数の岩礁を勝手に埋め立てて軍事基地化してきた。

    こうした暴挙を阻止するため、米国は10月27日、イージス駆逐艦「ラッセン」を、中国の人工島12カイリ内で航行させる「フリーダム・オブ・ナビゲーション(航行の自由)作戦」を決行した。

    ところが、この直後、ロシア旅客機墜落事件(10月31日)や、パリ同時多発テロ事件(11月13日)が続発し、米国は中東での過激派組織「イスラム国(IS)」殲滅作戦に集中せざるを得なくなった。トルコ軍機によるロシア機撃墜(11月24日)まで起きた。

    中国はこれ幸いと、南シナ海の人工島の軍事基地化を急いだが、米国の同盟国であるオーストラリアと日本が毅然たる姿勢を見せた。

    オーストラリア軍の哨戒機が11月25日、「飛行の自由の権利を実践する」として南シナ海上空を飛行した(英BBC、12月15日報道)。若宮健嗣防衛副大臣は翌26日、沖縄県石垣市役所で中山義隆市長と会談し、南西諸島の防衛力を強化するため、陸上自衛隊の部隊を石垣島に配備する計画を説明、受け入れを正式要請した。

    米国と日本、オーストラリアによる「対中包囲網の構築」といえるが、これに中国が大威圧行為で対抗してきたのだ。

    防衛省によると、11月27日、中国軍のH-6戦略爆撃機8機、Tu-154情報収集機1機、Y-8情報収集型1機、Y-8早期警戒型1機が、沖縄周辺を飛行し、その半数が東シナ海を周回、もう半数は沖縄本島と宮古島の間を通過して戻ったという。自衛隊は、戦闘機を緊急発進させて対応した。

    中国軍のH-6戦略爆撃機
     以下、複数の米情報当局関係者から得た極秘情報だ。

    「米国は激怒した。中国は『西太平洋への進出訓練と、東シナ海のパトロール飛行を行った』と説明したが、これは米国と日本、オーストラリアに対する威圧行為に間違いない。『いつでも、西太平洋に展開する米艦艇や自衛隊艦艇、沖縄やグアムの米軍基地、東京などの都市も攻撃できるぞ』という恫喝だ。米国は絶対に許さない」

    そして、12月10日の戦略爆撃機B52による「2カイリ以内の飛行」につながるのだ。極秘情報はさらに続く。

    「B52飛行直後の11日と14日、オバマ氏と、中国の習近平国家主席は立て続けに電話会談を行った。表向き、『パリ郊外での国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)について』と伝えられているが、当然、南シナ海や東シナ海についても話したはずだ。この時、オバマ氏が激高し、習氏はそれに反論できず、B52の件の公表を『中国側が嫌がった』という情報がある」

    防衛省関係者がいう。

    「米中電話会談後の16日、オバマ政権は、中国の懇願を無視して、台湾に対してミサイルフリゲート艦2隻など総額18億3000万ドル(約2228億円)相当の武器を売却する方針を決定し、議会に通告した。米国の対中政策は激変した。日米豪中心の対中包囲網が完成し、中国は孤立している。一方、習氏はB52侵入時に手も足も出せず、弱腰だとバレ、軍の信頼を失った。追い詰められる可能性がある」

    こうしたなか、「2016年、南シナ海開戦」情報が浮上している。

    外務省関係者は「ベトナムの国内が異常に熱くなっている。南シナ海で中国に奪われた権益を取り戻そうと、来年早々、衝突覚悟で動く臨戦態勢に入っているとの極秘情報がある」という。

    その時、米国はどう対応するのか。南シナ海の情勢は緊迫している。

     ■加賀孝英(かが・こうえい)

    【私の論評】今更「100年のマラソン」の寝言に脅威を感じる米国の感受性の鈍さが、アジアの平和を脅かした(゚д゚)!

    上の記事では、米軍の戦略爆撃機B52が10日朝、南シナ海上空を偵察任務中、中国がスプラトリー(南沙)諸島に建設した人工島の2カイリ(約3・7キロ)内への侵入をしたことが取り上げられ、しかもそれを意図して意識して行ったものであるとしています。

    しかも、これが大きなスクープのような取り上げ方です。しかし、私としては、このようなことは、スクープでもなんでもなく、アメリカがこのような軍事行動をとるのは、遅きに失したと思います。

    この程度の行動は、できれは3年くらい前、望ましくは5年ほど前に行っておくべきでした。そうすれば、現在のような南シナ海や、東シナ海の中国の海洋進出はなかったことでしょう。それにともない、無論のこと、日本の尖閣問題もあそこまで複雑化することもなかつたことでしょう。

    今日のアジアの不安定は、その元凶は無論中国ですが、アメリカが中国に対して煮え切らない態度をとり続けたことにも大きな原因があります。

    どうして、このようなことになってしまったのか、それは、1970年代のニクソン政権から現オバマ政権まで一貫して国防総省の中国軍事動向を調べる要職にあったピルズベリー氏は最新の自著「100年のマラソン=米国と交代してグローバル超大国になろうとする中国の秘密戦略」が、アメリカで衝撃的であると受け止められているようです。

    しかし、私はその事自体が、中国の横暴を許してきた最大の原因ではないかと思います。中国の覇権主義は今に始まったことではありません。にもかかわらず、今頃こうして、『100年マラソン』の書籍にショックを受けること自体が非常に問題だと思います。

    まずは、『100年のマラソン』について以下に掲載します。これについては古森義久氏の記事があり、よくまとまっているので、それを以下に一部引用します。
    【あめりかノート】中国「100年のマラソン」戦略 古森義久
    北京の人民大会堂で開かれた中国全人代
     この書の内容は衝撃的である。もう40年以上も中国の対外戦略を研究してきた同氏が中国は「平和的台頭」や「中国の夢」という偽装めいたスローガンの陰で、実は建国から100周年の2049年を目標に経済、政治、軍事の各面で米国を完全に追い抜く超大国となり、自国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を確立しようとしている-と総括するのだ。 
     同書がいまワシントンの外交政策関係者たちの間で熱っぽい議論の輪を広げているのは、米国側のこれまでの対中観や対中政策が著者自身の認識も含めて根本から間違っていた、と断ずるからである。米国の官民は中国に対し「欧米や日本の犠牲になった貧しく弱い国」との認識から始まり、「建設的関与」により中国を最大限に支援してその根幹を強くし、豊かにすれば、国際社会への参加や協力を強め、西側に同調すると考えてきたが、それは巨大な幻想だった、と強調するのだ。 
     だから同書は米国側の年来の「対中関与は協力をもたらす」「中国は民主主義へと向かっている」「中国は米国のようになりたいと願っている」という想定はみな錯誤だったとも断じる。そのうえで次のようにも指摘する。 
     「中国共産党の中核は米国が実は中国の現体制を骨抜きにし、国際的にも封じ込めて変質させ、米国主導の国際秩序に従属的に参加させる意図だと長年、みてきた」 
     「しかし中国指導部は米国の主導と関与の誘いに従うふりをしながら、国力を強めて米国の覇権を奪い、中国主導の国際秩序を築く長期戦略を『100年のマラソン』として進めている」 
     ピルズベリー氏によると、中国はその世界覇権への野望の主要手段として「現在の日本は戦前の軍国主義の復活を真剣に意図する危険な存在だ」とする「日本悪魔化」工作を実行してきた。アジア諸国と日本国内をも対象とするこの反日工作は日本が米国の主要同盟国として安保と経済の大きな柱である現状を突き崩すことを目的にするという。冒頭の中国の日本糾弾もその路線に含まれるわけである。 
     この書は日本の対中政策形成のうえでも重視すべき新たな指針だろう。
    『100年マラソン』などの書籍を読まずとも、中国が覇権主義であることは、前々から十分に世界中に知られていることでした。

    このブログでも、ブログを解説してから1年後くらいには、中国の覇権主義について警鐘を鳴らす記事内容が多くなりました。それに、中国が日本人の想定するような国でもないし、世界の他の国とは著しく異なる、異形の国であることも掲載してきました。

    このブログでは、すでに2010年には、中国の長期国家戦略に関する記事をとりあげました。その記事のリンクを以下に掲載します。
    日本「衝突の真相を世界に説明」 中国、「対日重視」と「関係修復」に初言及―【私の論評】これから内部分裂でますます、精神病理疾患国家中国は不安定化する!!リスク管理の観点から、中国からは手をひくべき!!

    詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では上記に示すような、中国の長期国家戦略を示す地図を掲載しました。この地図は、元々は、櫻井よしこさんが、中国のある情報筋から入手されたものです。

    この地図は、2050 年の極東マップですが、この頃には、朝鮮半島は、南北とも中国の一つの省になっており、日本の西半分は中国の東海省に、東半分は日本自治区になっています。

    確かに、このような状況を築いてしまえば、建国から100周年の2049年あたりには、経済、政治、軍事の各面で米国を完全に追い抜く超大国となり、自国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を確立できるようになります。

    中国と日本の経済力が、衰えることなく、維持発展して、これが一つになれば、アメリカも凌ぐことになります。さらに、日本の高い技術力をや、インフラを手にしてしまえば、軍事的にも今のアメリカを凌ぐ力を得ることになります。

    今でも、すでにヨーロッパは黄昏時であり、経済的にも軍事的にも従来の面影はなくなりました。かつての強国ロシアも、今ではGDPは日本の1/5程度しかありません。

    本当にこれが、実現すれば、強力な軍事力と経済力を背景に、政治的にも米国を完全に追い抜き、世界一の超大国になり、中国の価値観や思想に基づく国際秩序と覇権を確立できることでしょう。

    以前天皇皇后両陛下が中国を訪問された直後に、中国の当時の総理李鵬がオーストラリアを訪問したときに、「日本という国はいずれなくなる」と発言していたという事実があります。これは、日本のテレビ番組の「TVタックル」でも、報道されていました。これを語った李鵬の頭の中には、中国の長期国家戦略戦略があったことは確かだと思います。


    以上のようなことから、「100年のマラソン」の内容などは、このキーワード自体は別として、概念的には多くの人がすでに理解していることでした。このブログでも、これを前提に中国の問題をブログに掲載し続けてきました。

    そうして、このブログでも、何度か掲載してきたように、現代の大陸中国は元々侵略国家です。それに関しても、このブログで何度か掲載したことがありますが、最も最近の記事のリンクを以下に掲載します。
    【佐藤優】中国はこれから深刻な国家的危機に陥る!!!―【私の論評】日本の安全保障は、第二イスラム国の脅威が中国西端に迫っていることも考慮に入れよ(゚д゚)!
    詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事から中国が侵略国家であることを示す部分を以下に引用します。
    日本では、あまり知られていないことですが、新疆ウィグル自治区は現中華人民共和国が独立したときには存在せず、現中国が建国して以降に侵略によって無理やり中国の版図に収めたものです。それは、新疆ウィグル自治区だけではありません。それは、以下の地図をご覧いただければ、お分かりになると思います。 
    上の地図にはでてはいませんが、朝鮮半島の上にあたる、中国の東北部も、大東亜戦争中に日本が建国させた満州国がありましたが、ここも厳密にいえば、もともとは大陸中国とは異なる満州族(ツングース系民族)が住む外国のようなものでした。
    このように、現中国は独立後に膨張して現在の版図になったものです。それだけに飽きたらず、尖閣列島、南沙諸島にまで膨張しようとしてきたのが、つい最近までの中国の状況でした。
    このように中国は建国当初から、侵略国家であり、中国建国当初は、経済的も軍事的にも遅れていたため、自分たちでも与することができる、周辺の弱小な国だけを侵略しました。

    その後ベトナムを侵略しようとして、中越紛争を起こしましたが、米国を打ち負かしたベトナムは、当時の中国にはあまりに強すぎて、撤退を与儀なくされました。

    また、中ソ国境紛争などであわよくば、ソ連領にも侵略しようとしましたが、その当時のソ連は、軍事的に数段上で、とても中国の手に終えるものではありませんでした。これに関しては、後にソ連が崩壊した後のロシアと講和をして、一方的にロシア側に譲歩して、現在に至っています。

    現在のロシアは経済的には、中国のGDPの1/5程度のGDPしかない小国に成り果てましたが、軍事的には技術力などは圧倒的にロシアのほうが勝っており、未だとても中国など手に負える相手ではありません。

    現モンゴルは、ロシアの緩衝地帯という意味もあり、中国が侵略しようとすれば、ロシア軍がでてくるか、ロシアがモンゴルに対して、積極的に軍事協力を行うことが予想され、苦戦が強いられることが予想されるので、中国も今のところ、侵略できない状況です。

    しかし、近年中国は海軍力を増強したため、海軍力が弱小な国しかない、南シナ海に海洋進出を始めたわけです。さらに、日本は、経済的にも軍事的にも決して弱小ではない(海軍はアメリカに次いで世界第二位)のですが、平和憲法なる規制があって、与し易いので、東シナ海や尖閣に手を伸ばしたのです。

    そうして、中国はこの方面でいろいろやってみて、米国の顔色を伺っていたてのですが、米国は抗議はするものの、直接的な軍事行動に出なかったので、中国が増長して、今日のような結果を招いてしまったのです。

    以上のようなことから、「100年のマラソン」など最初からわかり切ったことであり、これに関して今更脅威を感じるなどとは、はっきり言わせてもらえれば、あまりにも感受性が鈍いとしか言いようがありません。

    感受性が鈍った原因として、アメリカの世論は、90%がリベラルで、わずか10%が保守であり、かつ親中派、媚中派も多かったため、中国の成長幻想の集団催眠にかかり、中国はいずれ大国となり、米国と対等のビジネスパートナーになると思い込んだためです。

    しかし、異質の中国は、とても米国の考えているようなビジネス・パートナーとはなりえません。まずは、経済は破綻しかけています、そのいきつく先は、中進国の罠にどっぷりとはまり抜け出せなくなることです。そうなれば、今後中国の経済が発展することもありません。

    軍事的にも本格的にアメリカと南シナ海で対峙することになれば、数時間で負けます。そもそも、中国の「100年のマラソン」は、中国の中華思想からでてきたものであり、根拠も何もありません。

    もともと、中国は第二次世界大戦後に独立した国であり、大東亜戦争時には日本と戦ったこともありません。直接先進国と本格的な戦争などしたことはありません。だから、戦争の悲惨さなど知りません。さらに、毛沢東施政下においては、大躍進や文革で数千万人にものぼる死者を出した国です。もともと、人命は尊重しない国です。

    このような国が本格的に超大国妄想を抱いて、それに突き進めば、それが成就されることはないにしても、アジアに様々な災いをもたらすのは明らかです。

    アメリカは、このような妄想を打ち砕き、中国に対して身の丈を知らしめるべきです。そうすることにより、アジアの平和と安定がより確かなものになります。

    いずれ中国はいくつかの国々に分裂し、ほとんど国が特に珍しくもないありふれた、アジアの独裁国家の一つに成り果てます。ひょっとする、そのうち一国くらいが、民主化、政治と経済の分離、法治国家化を実現して、中間層を増やしこれらに活発な経済・社会活動を行わせるようになり、驚異的に発展するかもしれません。

    しかし、そのときは、今の中国のように身の丈知らずの妄想をいだくことなく、まともな国になるかもしれません。

    今更「100年のマラソン」の寝言に脅威を感じる米国の対応の遅れが、アジアの安定と平和を脅かしたと言えそうです。

    私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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    2015年12月21日月曜日

    【原発最新事情】「われわれは愚かだった」 米有力紙が“反省” 誇張されすぎた被曝リスク―【私の論評】日本のマスコミも、誤ったときには今回のWSJのようにすぐにそれを改めよ(゚д゚)!


    「われわれは愚かだった」と被曝リスクについての
    報道を反省するウォールストリート・ジャーナルの記事
    東京電力福島第1原発事故以降、放射線被曝リスクに対し、過剰に恐れる極端な反応もみられ、混乱と迷走を続けてきた。そうした中、米有力紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が12月3日付で、「原子力のパラダイムシフト」と題して、被曝リスクは誇張され過ぎているとした上で、「われわれはどれほど愚かだったのか」と自戒する記事を掲載した。その理由と背景は何か。被曝リスクについて振れ過ぎた針を戻す試みが、海外から出てきている。(原子力取材班)

    WSJの名物記者が執筆

    記事を執筆したのは、WSJ編集委員で、コラムニストのホルマン・ジェンキンス氏。同紙のホームページによると、ジェンキンス氏は1992年から同紙に所属、97年には、金融や経済分野で優秀なジャーナリズムをたたえる「ジェラルド・ローブ賞」を獲得している同紙の名物記者だ。現在は週に2回、「ビジネスワールド」という欄を担当し、今回の記事もそこに掲載された。

    記事ではまず、パリで開催されていた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を題材に、フランス国民一人当たりの所得が世界20位にもかかわらず、温室効果ガスの排出量はなぜ、世界50位なのかという問いを投げかけている。

    答えは、フランスが電力の75%を原発でまかなっているからである。その上で、記事は「『放射線被曝はいつも被曝量に直接比例して危険である』という根拠のないドグマ(独断)に、世界は1950年以来、屈服してきた」と指摘する。

    ジェンキンス氏はこのドグマを「秒速1フィートで発射された弾丸で死ぬ確率は、秒速900フィートで発車された弾丸で死ぬ確率の900分の1だと言っているものだ」と皮肉っている。

    LNT仮説の欺瞞性

    この記事が議論しようとしているのが、「閾値(しきいち)なしの直線仮説」(Linear Non-Threshold=LNT仮説)と呼ばれるものだ。

    単純に言ってしまうと、放射線被曝線量と、その影響の間には、直線的な関係が成り立つという考え方である。

    ところが、年間100ミリシーベルト以下では、広島や長崎の原爆の被爆者を対象とした膨大なデータをもってしても、発がんリスクの上昇は認められない。つまり、100ミリシーベルト以下の低線量では、どれだけ被曝しようと、直線的関係は成り立たないということだ。

    国際的に権威がある国際放射線防護委員会(ICRP)もLNT仮説を支持していないが、福島の事故以後、「被曝すればするほどリスクが高まる」という言説が流布した。

    記事では、米国の原子力規制機関のトップが2001年、「チェルノブイリ原発事故(1986年)に起因する白血病の超過発病はなかった」と認めていることにも触れている。

    さらに1980年代、台湾で1700戸のアパートが、放射性コバルトに汚染されたリサイクルの鉄を使って建設されたが、2006年の調査で、住人のがんの罹患率が大変低いことが分かった。その研究者は「米国のリスク評価が修正されれば、原発の稼働で多くの金が節約できるし、原発の拡大が促進される」と主張している。

    原子力のパラダイムシフトが起きている

    これを受け、ジェンキンス氏は「放射線に対する過度な恐れが、原発の安全や廃棄物の貯蔵、原発の許可費用にとって大きな問題となっている。しかし変化は起きている。パラダイムシフトが起きつつある」とみている。

    米国の原子力規制委員会は、安全基準を改定することに関して意見募集を開始。変更を求めた申請者の大学教授が「LNT仮説には根拠がない」と指摘したという。

    さらに、オックスフォード大学のウェード:アリソン名誉教授(物理学)、マサチューセッツ大学マースト校のエドワード・カラブレーゼ氏(毒物学)の名前を挙げて、「この2人は何十年も前からLNT仮説と闘い続けてきた」と称賛。学術誌の10月号の論文では、「1950年代のマンハッタン計画に関わった放射線遺伝学者が、自分たちの研究分野の地位を高めるために、わざとLNT仮説が採用されるように促した」という経緯を暴露した。今では、何百もの論文がLNT仮説に反対する証拠を提出しているという。

    大統領は屈服する?

    続いて、石炭火力と原子力について比較している。

    石炭は21世紀初めに世界の主力なエネルギー源となった。しかし、安全面や効率の点でどうだったかについて疑問を投げかけた。

    記事は「今なら中国もインドも石炭を選ばず、先進国で開発された安価で安全で、クリーンな原発を選ぶだろう」とした上で、「われわれは何と愚かだったのだろう」と嘆く。

    石炭は原子力よりも危険であり、米国肺協会によると、石炭火力発電所から排出される粒子状物質や重金属、放射性物質で年間1万3200人が死亡していると試算しているという。

    ジェンキンス氏は最後に、温室効果ガス削減に前向きなオバマ政権とリベラルなニューヨーク・タイムズ紙をチクリとやった。

    「オバマ大統領は気候変動問題で有益な態度を示しているが、もしニューヨーク・タイムズが『(原発の増設は)環境保護主義者への背信だ』と社説で非難すれば、大統領は屈服してしまうだろう」

    【私の論評】日本のマスコミも、誤ったときには今回のWSJのようにすぐにそれを改めよ(゚д゚)!

    さて、上の記事の趣旨は、「放射線被曝は被曝量に比例して危険」は嘘ということです。上の記事を簡単にまとめてしまうと、以下のようなものです。
    ・低線量ではどれだけ被曝しようと無害 
    ・石炭は原子力よりも危険
    ・原発恐怖症はNYTのせい?
    これらの三点を無視して、WSJは被曝リスクは誇張され過ぎているとして、反省しているわけです。

    以上の三点は、日本の多くの科学者もエビデンスをあげて、前から指摘しているところで、特にこれについ勉強しなくても、サイトを調べてみれば、すぐに見つけることができる内容です。

    さて、原発に関しての私の考えは、以前からこのブログで何度か表明してきました。再度、掲載します。

    まともな代替エネルギーがみつかれば、それに移行すべきですが、現在までまともなものはまだみつかっていません。それは、原子力も同じことです、現在のような核分裂によるエネルギーではなく、核融合によるものであれば、はるかに安全ですが、残念ながら、実用化には至っていまん。

    その他、風力・火力・風力なども、まだまだ本格的に実用化には至っていません。一方、現在日本では、東日本大震災よりも後は、ほとんどすべての原発が稼働中止となっています。

    しかしながら、稼働していない原発でも、核燃料は保存されているわけで、これを保存するだけでも、危険であることには変わりありません。このまま稼働を中止しても、核燃料保存のためのコストはかかります。

    であれば、事故をおこした福島原発1号機のような、日本製ではない、アメリカ製の古い危険な原発は別にして、東日本震災でもびくともしなかったような、比較的新しい原発は稼働すべきです。

    これが、私の立場です。

    そうして、この立場に至ったわけは、自分なりにサイトなどで調査をし、分析をした上で、このような結論に至りました。

    調査・分析の過程で、"放射線被曝は被曝量に比例して危険というわけではない"ということも、当然のことながら理解した上での、結論です。

    このブログでは、以前福島の高校生らが福島県における、被ばく量は「国内外で差はない」ことを組織的、体系的な計測を行い、それをレポートにまとめ、その内容が英学術誌に論文として掲載される運びになったことを掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。

    被ばく量「国内外で差はない」 福島高生、英学術誌に論文―【私の論評】発言するならこの高校生たちのように感情ではなく、エビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)に基づき行え(゚д゚)!
     

     詳細は、この記事をご覧いただくものとして、まずは測定結果についは下に画像で掲載します。


    この画像を御覧いただくとお分かりになるように、確かに福島県内と、日本国内の福島県外、日本以外と比較しても、福島県内が特に被曝量が高いなどということはありません。

    これは、素晴らしい高校生の研究です。高校生に限らず一般の人でも、福島の放射線量に関しては、おそらく高いだろうくらいのことで、様々な論評をしてしまいがちですが、この高校生たちは、散発的に測定するだけというのではなく、時間をかけて組織的、体系的に測定をして、レポートにまとめています。

    私たちは、このような態度を忘れてはならないと思います。とにかく、何かモノを語る場合には、エビデンス(証拠・根拠、証言、形跡)に基づき話をしなければなりません。

    ましてや、新聞などのマスコミは絶対にそれを怠ってはなりません。なぜなら、マスコミの影響力は、私達個人よりも、はるかに影響力が大きいからです。

    それから、個人でも、マスコミでも、人間の行うことには間違いがつきものです。だから、間違いをする事自体は否定はしません。ただし、間違いに気づいたときの後の行動が重要です。

    間違ったときに、すぐにそれを改めるということが重要です。

    朝日新聞の「慰安婦報道」のように、誤りを認めるのに、何十年もかけるとか、認めるだけでWSJのように反省しないということには問題があります。以下に朝日新聞と慰安婦問題に関して図のまとめを掲載します。


    以下に朝日新聞の慰安婦問題を簡単に掲載しておきます。
      ・慰安婦にするため女性を暴力で強制したと、著書や集会で証言した男性がいた。
      ・80年代から90年代初めに記事で男性を取り上げ証言は虚偽という指摘がされる。
      ・男性は吉田清治氏。著書で山口県労務報国会下関支部の動員部長をしていたと語った。
      ・朝日新聞は吉田氏について確認できるだけで16回記事にしている。
      ・90年代初め、他の新聞社も吉田氏を記事で取り上げていた。
      ・92年4月30日、産経新聞や週刊誌も創作疑惑を報じ始めた。
      ・吉田氏は虚偽疑惑について問われると「体験をそのまま書いた」と答えた。
      ・む済州島での取材で裏付けは得られず。「真偽は確認できない」と表記した。
      その後、朝日新聞は吉田氏を記事に取り上げていない。
    そういう意味では、今回のブログ冒頭のWSJが、被爆リスクについて誇張したことを認めて反省したことは、潔の良い、素晴らしい行動だと思います。

    私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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