今回の震災で戦後始めて行われた計画停電 |
現在行っている計画停電については、事実上の「終了宣言」となる。ただ、不測の大停電を生じさせないための「緊急措置」として、計画停電の仕組み自体は残す。
また、政府の電力需給緊急対策本部は8日、東京電力と東北電力管内における夏の電力不足対策の骨格案を正式に発表した。契約電力に応じて夏のピーク時間帯の最大使用電力の抑制目標を明記し、大企業の工場など大口需要家は平年より25%程度、町工場などの小口需要家は20%程度、家庭は15~20%の節電目標を設けた。計画停電や不測の大規模停電の回避を目指す。
対策本部は幅広く意見を聞いた上で、4月末までに需給対策を最終決定する。
(2011年4月8日12時00分 読売新聞)
【私の論評】これから私たちが選択する方向は、世界のエネルギー政策の重大なターニングポイントになる!!
この、事実上の終了宣言は本当なのでしょうか?原発などの対応をみていると、不安感を感じるのは私だけでしょうか?この計画停電をなくすということは、とりもなおさず、一般家庭や、民間企業などに対して、電力の厳しい節約を求め、これが恒常化されることが懸念されます。
計画停電がないということは一見良いようにもみえますが、この節電が恒常化した場合、また、別の懸念が生じてきます。
本日テレビを見ていたら、東電副社長が今回の、計画停電終了宣言ともみられる内容に関して、余程の異常気象など、発電所のトラブルなどが無い限り、計画停電はしないとしていとしていました。7月、8月、9月の需要に対しては、目標さえ達成していただければ、計画停電はしないとしています。
しかし、これは、節電をしなければ、計画停電もあり得るということでもあるということです。夏場には、最大で5500万キロワットの電力需要が見込まれるといいます。東電が送ることができる電気に関しては、、4650万キロワットです。これを、計画停電を回避して送るということなれば、上記節電は必須となる。状況に関しては、あまり変わっていないとみて良い。
東電側として、今までの計画停電は、全く準備期間がなかったので、実施せざるをえなくなってしまったが、今後は、ある程度の準備期間を持つことができるため、過去のようなことはなくなるだろうとしています。
電力制約は今年の夏だけで終わるものではない。原子力発電の新設が難しくなったため、長期にわたると考えざるをえません。そうしたときに、最も重要なことは、節電だけではないはずです。
いま本当に必要なことは、価格メカニズムを働かせて、日本の産業構造を省電力型のものに変えてゆくことです。しかし、節電ばかり続けば、日本の産業構造は、これまでのまま継続します。そして、電力コストの上昇や、節減づかれによって疲弊してゆくことになるでしょう。
実は、いますぐではないにしても、電力セーブする方法はいくらでもあります。まずは、皆さんすぐに思いつくのは、LEDなどです。もし、家庭や企業の電灯がすべてこれに変われば、同じように使っても、かなりの節約になります。
日本では、特に、1970年代のオイルショックによって、省エネに対する意識が高まり、企業や家庭などでも、かなり省エネが進められました。車などの省エネもかなり進みました。このころの、車、テレビ、冷蔵庫などと比較すると、現在のそれは、使用エネルギーが1/10以下程度になっています。これをさらに下げるような新たな技術も蓄積されつつあります。それに、現在の日本の家屋は、諸外国と比較すると、断熱性が格段に低いということもあります。これも、高めていく必要があるでしょう。
これからは、このような動きをさらに一層進化させていることが肝要なのであって、当初は節電をやるにしても、このようなことを徹底的に助長するような方向で進めていくべきものと思います。
さらに、これだけでは省エネルギーも十分ではないと思われますが、ここにきて、また新しい方法が開発されています。それは、「スマートグリッド」という、新たな省エネ型の送電線です。
これは、新しい機能・能力を持った電力網です。最初にアメリカ合衆国の電力事業者が考案したものです。「スマート」という語が表すように、発電設備から末端の電力機器までをデジタル・コンピュータ内蔵の高機能な電力制御装置同士をネットワークで結び合わせて、従来型の中央制御式コントロール手法だけでは達成できない自律分散的な制御方式も取り入れながら、電力網内での需給バランスの最適化調整と事故や過負荷などに対する抗堪性を高め、それらに要するコストを最小に抑えることを目的としたものです。
また、最近では、家庭や工場といった通常は電力を消費する側が反対に電力系統に対して電気を送り出す電力のことを「逆潮流」と呼びます。電力系統内で配電する電力の容量は電力消費の大小、つまり需要に応じて設計されていますが、逆潮流ではこの設計時には想定しなかった供給者が電力系統に加わることになり、これを制御するためにも、ますます、スマートグリッドの重要性が高まっているわけです。
さて、節電の問題もそうですが、原発に関してもまともな議論が行われるべきです。現在日本では、20%もの電力を原発でまかなっています。そのため、原発をやめるにしても、すぐに他の火力発電所などを設立して、給電するにしても、数年間のタイムラグができるのは明らかで、その間この20%に相当する電力をストップするわけにはいきません。
そのため、原発をどうするのかという真剣な議論が必要になるものと思います。その際に、原発を推進するために、その論理的根拠ともなってきた、地球温暖化二酸化炭素説や、地球温暖化災厄説などに関しても、まともな論議をするときにきていると思います。
ご存知のように、地球温暖化二酸化炭素説の根拠となっている、IPCCに関しては、データーを改竄しているとの報告もあり、この組織そのものがかなり胡散臭いとされるに至っています。
私自身は、地球温暖化二酸化炭素説や、地球温暖化災厄説に関しては、虚偽だと思っています。これはもともと、原発推進のための有力な根拠として捏造されたか、あるいは、捏造しないまでも、原発推進派が、その根拠として利用したもののいずれかであり、もともと科学的根拠はほとんどないものと確信しています。だから、いろいろな問題を考えていく上で、これを根拠としてものを考えていては方向性を見誤ると思います。
とは、いいながら、化石燃料は、有限の資源であることも確かであり、その中で原子力はかなり有望な資源であることには変わりありません。しかしながら、今回の震災で多くの人にその危険性が再認識されたものと思います。
また、日本の近海には、メタンハイドレードを含め、今はコスト面から難しいですが、いずれ、代替エネルギーになる膨大な資源が眠っていることも事実です。
このようなこともすべて含め、日本のエネルギー政策を考えていくべきであると思います。おそらく、今回のような震災がなければ、このようなことを真摯に考える機会もなかったかもしれません。
震災をきっかけとした、こうした、エネルギー政策を考えることにより、私たちが選択する方向は、日本経済の重大なターニングポイントを決めることになるでしょう。そうして、これは、日本国内のみならず、世界のエネルギーを考える上でもターニング・ポイントととなると思います。幸か不幸か、日本は、今回の震災によって、この面での、リーダー的存在になってしまったということです。これが、たとえば、発展途上国の大震災であれば、そうはなりえなかったと思います。
だからこそ、今回の計画停電の時事質上の終了宣言を、単に、目先の節減などの問題として捉えることなく、これをきっかけに、政府・民間をも含めた、活発なエネルギー政策の論議がなされることを望みます。そうして、世界に向かって、モデルとなるような新たな日本を示すきっかけになればと期待しています。
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