2011年4月26日火曜日

2011年 日本株は大復活しバブル崩壊以来の歴史的転換点になるか―【私の論評】本来、ずっと早くこうなってもおかしくなかった!!いままでが異常だった?

2011年 日本株は大復活しバブル崩壊以来の歴史的転換点になるか

元ドイツ証券副社長・武者陵司氏
元ドイツ証券副社長・武者陵司氏によると、2010年11月にスタートしたFRB(米連邦準備制度理事会)の「QE2(量的金融緩和第2弾)」に伴い、「米景気の二番底懸念は払拭された」という。それに伴い、2011年は世界的株高が期待でき、なかでも注目は日本株だと武者氏は分析している。

* * *

米景気回復が見通せるようになった今、投資家のシナリオもデフレからインフレに転換されるに違いない。

そうなれば、歪んだ資金の流れが是正され、株式などのリスク資産へ資金が回帰するだろう。その際は、すでに先行高をしている新興国ではなく、先進国にフォーカスが回帰するはず。中でも、注目は日本株だ。

円高が止まれば、2010年(1~10月)は世界最悪のパフォーマンスであった日本株が、再評価されることは疑いない。なぜなら、米国株以上に、日本株は歴史的割安局面にあるからだ。日本株のバリュエーション(株価に対する企業価値)は、長期金利と比較すると、先進国の中では最も割安に放置されている。

日銀は、FRBに先行する形で、円高回避と資産価格押し上げのための新金融政策を打ち出しており、円高と株価下落が止まらなければ、ETF(上場投資信託)やリート(不動産投資信託)いったリスク資産の購入を、現状の5兆円から更に大幅に拡大させる可能性が高い。そうした日銀の本腰を入れた資産価格の是正によって、日本人のリスクテイクに対する意欲は大きく盛り上がってこよう。

以上のことから、2011年は日本株の大復活が予想される。国内のリスクテイクの復活と、本格的な株高、不動産価格の上昇は約20年ぶりだ。資産効果は、日本に巨額の富をもたらし、景況観を抜本的に変える可能性がある。これは、バブル崩壊以来の歴史的な転換点を意味し、日本人の人生観を変えるほどのインパクトがある。過去の例を見ても、以後、10年間は上昇局面が続いてもおかしくはない。

※マネーポスト2011年1月号

【私の論評】本来、ずっと早くこうなってもおかしくなかった!!いままでが異常だった?
日本の景気は、過去20年間ふるわず、経済成長もなく、国民の賃金も上昇しませんでした。これは、全く異常なことです。この間、特にあまり良くもなかったECでさえ、順調に経済を伸ばし、今では、国民の賃金も20年前の2倍程度にはなっています。

アメリカだって、そうです、金融危機、リーマンショックなどがありここ数年は大変な経済状況で、雇用水準もなかなか元にもどらない状況にあります。とは、いいながら、そのアメリカですら、20年前と比較すれば、経済は拡大しています。賃金も上昇しています。

日本だけが異常でした。通常20年もの長きにわたって、経済が不振などということはありえません。他国のように、数回は景気が良い時代があってしかるべきです。

この不況の発端は、たしかに、あのリチャード・クー氏が発見したように、いわゆるバランス・シート不況によるものであり、このタイプの不況は、日本以外の国では、他のどのような先進国でもみられなかったものであり確かに回復には時間がかかり一筋縄ではいかないものでした。

しかし、いくら、このタイプの不況が過去に見られない特異なものとはいっても、20年間経済の好循環を一回も迎えないことは異常中の異常です。

上記のことに関して、「失われた○年」はまだまだ続くという悲観論は間違いで、日本経済はこれから好循環期に入る。という内容で、武者陵司氏は、『失われた20年の終わり』という著書でも、上記のような内容をまとめています。元気の出る結論です。氏がこの書籍で、言っていることは、不振の元凶だった円高はまもなく終わり、20年間苦吟し続けた日本経済は今や筋肉質となって復活の条件を整えているというものです。長期デフレの最大の原因となったアメリカの日本たたきもすでに必要性が失われ、今後は米中摩擦の高まりから日米同盟が再強化される結果、日本に地政学的ボーナスがもたらされるといいます。

経済学的に矛盾する現象が続いたこの20年が終わり、日本の高物価体質は解消して、日本産業の優位性が発揮されす。そして日本本来の潜在力が発揮される時代が到来するという推論は、楽観的すぎるきらいがなきにしもあらずだが、論拠は明快かつ一貫しています。地政学と経済学を組み合わせた展開はユニークで、悲観論者の反論が待たれます。大震災後、著者は論旨を何ら変えていないことも付言しておきたいです。

ただし、私はこの書籍そのものは読んでいません。ただし、上の著書の内容から私自身の見方を掲載しておきます。

私自身は、これから10年間景気が良い時期が続くという論には、首をかしげてしまいますが、しかし、私自身も、今年は景気が上向くのはほぼ間違いないことと確信しています。その後はどうなるかは、また別次元だと思います。

なぜなら、来年は、アメリカの大統領選挙があります。そのため、オバマ氏は是が非でも、本年アメリカの景気を良くして、特に雇用問題を解消する必要があります。日本では、雇用対策というと、菅さんが実施しているように、ハローワークの職員を増やすことなど思い込んでいる愚かな人々が多いですが、アメリカではそんなことはありません。

無論、その対策は景気を良くすることです。そうして、オバマ大統領は何がなんでも、これを実施することでしょう。現在新興国なども景気が従来ほどには伸びていません。なぜかといえば、新興国のほうとんどは、日本やアメリカとことなり、輸出がGDPの半分近くを占めているからです。いくら、頑張っても、たくさん輸入してくれる国がなければ、景気が悪くなります。ちなみに、日本のGDPに占める輸出のわりあいは、16%程度です。アメリカは、10%前後です。世界で、この比率が日本より低い国はアメリカ以外にありません。

しかし、アメリカの景気がよくなれば、これらの国々からの輸入が増え、これらの国々の景気も良くななるわけです。そうなると、日本の輸出も米国や、新興国への輸出が加速されるわけです。このように、日本の景気の良くなる条件が揃いつつあるのです。

さらに、地政学的にみれば、昨年の尖閣問題に象徴されるように、中国の軍事的台頭も目につくようになってきました。中国と日本との位置関係をみると、沖縄を含む日本列島は、縦にながく、それこそ、中国の主要都市から中国海軍が、外洋にでるときに、まるで、障壁のようにたちはだかっています。それに、見方によって、日本は、そけだけではなく、中国の前にたちはだかる不沈空母のようであります。

中国の台頭は、アメリカにとって良いことばかりではありません。無論、アメリカも、中国の広大な、しかも、まだ十分に開拓されていない市場がアメリカにとっては魅力です。しかし、以前と比較すれば、経済力も増し、軍事力も、現状でたいしたものではありませんが将来はどうなるかわかりません。

アメリカは、このブログにも掲載したように、戦後60年間ずっと日本の弱体化をはかってきました。しかし、その弱体化の最終段階にあたって、アメリカは日本が本格的に弱体化すれば、アメリカの国益が大きく損なわれることに気がついたとみえます。そうです。もし、日本が中国の傘下に入るようなことにでもなれば、アメリカは、太平洋方面でも、巨大な軍事力を差し向けることが必要になり、決して良いことではありません。だから、アメリカは、これ以上の日本の弱体化を望まなくなったのです。そうして、このブログにも以前書いたように、アメリカ議会では、日本の憲法改正賛成派が多数を占めるまでになったのです。

こうした傾向が、日本経済にも良い影響を及ぼすことになります。アメリカは、日本がある程度の軍事力を持つことを許容するようになりました。しかし、経済が疲弊していては、アメリカが期待するような軍備など望むべくもありません。このようなことから、アメリカは、日本の経済が良くなることを本気で望むようになってきています。

このような背景から、ここしばらく経済が良くなることは間違いないでしょう。そうして、私自身がこのブログでも、以前掲載したように、日本人の考え方も大きく変わりつつあります。それに、関しては、以下の記事をご覧になってください。

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上記の内容を煎じ詰めると、結局は、日本人は失われた20年を経験し、一昨年は、政権交代をし、結局は政府はあてにならないことを実感して、

しかし、武者陵司氏は、証券会社の福社長であることから、やはり、株価や、さらには、外需主導型の景気浮揚ばかりを考えているようです。しかし、私は、これでは、なかなか長続きしないと思います。先ほど、述べたように、日本のGDPに占める輸出は16%に過ぎないからです。これだけでは、数年まえにあった、いわゆる輸出主導型の中途半端な「実感なき経済成長」で終わってしまうと思います。

この「実体なき経済成長」は当然のことです。日本では、輸出型企業は少数派だからです。だからこそ、これだけでは、多くの人が景気の良さを実感できないからです。

だからこそ、こうして、景気が上向いたとしたら、それだけではなく、内需を喚起し、国内消費を拡大させていく必要があります。しかし、これには、政府が従来のように、緊縮財政ばかりやっていては、ほとんど期待できません。全く新たな考えで、財政出動ができる政府が絶対に必要です。

だからこそ、私たち国民は、次の選挙では、今までのように、20年間変わらず、基本的に緊縮財政ばかりやってきた既存政党以外の、柔軟な政府が必要です。ちなみ、過去20年間、緊縮財政をやらなかった総理大臣といえば、小渕氏と麻生氏だけです。これは、本当に異常です。これ以外の首相はなんだかんだといいながら、経済対策として行ったのは、緊縮財政です。現民主党政権も、基本的には、そうですし、現自民党総裁谷垣氏も、緊縮財政を志向しています。困ったものです。

いずれにせよ、どんな形にせよ、本年は、最初の四半期くらいは、震災の影響で景気が下むくことでしょぅが、第二四半期あたりから上向きはじめ、第三四半期でかなり上向き、第四四半期から来年にかけて、かなり上向くことでしょう。多少前後があって、ほぼ間違いのないところと思います。

ただし、この景気浮揚は、民主党政権とは何の関係もありません。民主党政権は、日本経済の足を引っ張るだけです。かれらは、たんなる経済オンチの集団です。かれらが、経済に対して何かを一生懸命やれば、日本経済をダメにするだけです。何もやらないことが、今回の景気の浮揚を確実なものとするでしょう。今の時期での、復興税などとんでもありません。

私たちは、それに今から備えをしておく必要があります。今の、目先の、自粛などに幻惑されて、備えをしておかなければ、それこそ、「実感なき経済成長」で終わってしまうと思います。たとえ、外需主導型であっても、日本国内は潤うことには間違いなので、これを誘い水として、自らの事業を発展させるべく今から準備をしておく必要があります。


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