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2018年2月18日日曜日

FBI、孔子学院をスパイ容疑で捜査―【私の論評】今後の捜査でスパイ活動にかかわっていることがはっきりすれば日本も排除を検討すべき(゚д゚)!

FBI、孔子学院をスパイ容疑で捜査

アメリカの連邦捜査局(FBI)がアメリカ国内で活動する中国政府対外機関の「孔子学院」をスパイ活動やプロパガンダ活動など違法行為にかかわっている疑いで捜査の対象としていることが議会の公式の場で明らかにされた。孔子学院は日本の主要大学でも中国の言語や文化、歴史を広めるという活動を展開している。

クリストファー・ライFBI長官
この捜査の報告は2月13日、アメリカ連邦議会上院の情報委員会の公聴会でクリストファー・ライFBI長官自身によって言明された。ライ長官は同委員会の主要メンバーのマルコ・ルビオ議員らの質問に答えた。ルビオ議員は地元選挙区のフロリダ州での孔子学院は中国政府の命令により、アメリカの大学に影響を行使し、中国の共産主義思想などを広めるとともに、その関係者を使ってのスパイ活動までを働く疑いがある、と主張した。

マーク・ルビオ議員
ライ長官は次のような骨子の証言をした。

・中国政府はアメリカ国内の大学などに設けた孔子学院を利用して、中国共産党思想のプロパガンダ的な拡大だけでなく、米側の政府関連の情報までも違法に入手するスパイ活動にかかわっている容疑があり、FBIとしてすでに捜査を開始した。

・孔子学院は中国の言語や文化の指導を建前としているが、現実には中国共産党政権の指揮下にある機関としてアメリカなど開設相手国の中国留学生を監視し、とくに中国の民主化や人権擁護の運動にかかわる在米中国人の動向を探る手段とされている。

・中国側はアメリカでの学問の自由や大学の開放性を利用する形で主要大学などに食い込み、アメリカ人学生への思想的な影響行使のほか、中国人留学生をひそかに組織して民主化運動に走る中国人学生を取り締まっている。
孔子学院 出典:The Confucius Institute at The University of Manchester
アメリカでは孔子学院が全米的に広がりをみせた後、ここ数年はいくつかの大学で政治的な問題を起こし、閉鎖を命じられるケースも増えていた。シカゴ大学では大学当局が一度は学内に開設を認めた孔子学院を2014年に閉鎖した。だがFBI長官が公式の場で孔子学院自体を捜査の対象としていると言明したことの意味は大きい。

日本でも孔子学院は早稲田大学、立命館大学、桜美林大学など10校以上の主要大学に開設されているという。

古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

【私の論評】今後の捜査でスパイ活動にかかわっていることがはっきりすれば日本も排除を検討すべき(゚д゚)!

札幌においては、札幌大学内に「孔子学院」が設置されています。札幌大学では、2016年に、[札幌大学孔子学院設立10周年記念と銘打ち、中国・広東外語外貿大学学生芸術団の日本公演を開催しました。そのポスターが以下の写真です。
[札幌大学孔子学院設立10周年記念]中国・広東外語外貿大学学生芸術団の日本公演を開催します
クリックすると拡大します
札幌孔子学院では、ブログも解説しており、以下のような内容の記事も掲載されていました。

札幌大学孔子学院 / Confucius Institute At Sapporo University
「第12回日中経営フォーラム」が広東外大で開催され、「一帯一路」と企業の国際化を討議しました
2017年10月28日に「第12回日中経営フォーラム」が中国・広州市にある広東外語外貿大学北キャンパスの国際会議ホールで開催されました。今回のテーマは「一帯一路」と企業の国際化です。 
開幕式には、広東外語外貿大学副学長焦方太教授,華東理工大学商学院副院長李玉剛教授、札幌大学総合研究所所長・孔子学院院長輔佐汪志平教授などが出席しました。

当然のことながら、このフォーラムでは「一帯一路」の良い面ばかり協調した極悪な内容が喧伝されたのでしょう。

孔子学院については、以前からその存在のいかがわしさが指摘されていました。このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「孔子学院」にノー 米シカゴ大、契約打ち切り―【私の論評】中国の思想侵略にノーをつきつけたシカゴ大!学問の独立を守るということはこういうことだ。日本の大学も見習え(゚д゚)!
シカゴ大学キャンパス
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から一部を引用します。
米シカゴ大学は27日までに、学内の中国語教育機関「孔子学院」との契約更改交渉を打ち切ったと発表した。中国政府の方針に基づく運営が「学問や言論の自由を脅かす」として、多数の教授が連帯し、学院の閉鎖を求める運動が起きていた。名門シカゴ大の決定は、孔子学院を抱える他の大学にも影響を与えそうだ。 
大学の担当者によると、孔子学院との契約は9月末で切れるため、既に予算が拠出された講座や研究計画の終了後、閉鎖される公算が大きい。 
孔子学院は中国の「ソフトパワー」拡大の拠点として中国政府が全面的に出資し、世界各国の大学に開講されている。一方で運営をめぐるトラブルも相次ぎ、米大学教授協会は「中国政府の一機関」と批判、各大学に契約の打ち切りを促す声明を出している。
さて孔子学院がなぜ問題になるのか、そのヒントになる内容として、南開大学周恩来政府学院国際関係学部の韓召頴教授が2011年の季刊「公共外交(パブリック・ディプロマシー)」誌(秋季号)に、孔子学院設立目的を分かりやすくまとめているので以下に抄訳します。
 孔子学院は中国公共外交における重要な役割を担っており、中国外交の選択肢を大きく広げるものである。 
 20世紀の1990年代にはいると、中国の総合国力と国際影響力の増強スピードに比較して、各国の対中理解は乏しく、むしろ中国脅威論やその変種のチャイナリスク、中国崩壊論、中国分裂論などが広がっている。これらの対中観が一部の人間に意図的に扇動されているのでなければ、中国に対する理解不足、認識不足が原因である。この多くの国々が中国に対して持つ不安や心配を緩和・解消し、中国が平和と発展と協力の外交を行っているのだとアピールすることが、中国外交の新たな課題である。このため、公共外交が国家の外交政策における手段の一つとなる。 
 大衆の世論は国家の外交政策に影響する。いかなる国家・政府とも対外政策を決定するとき、国内の大衆世論を顧みるだけでなく、自国の国家利益に有利なように外国の大衆の世論を作ろう、あるいは誘導しようと試みるものだ。語学教育などの教育文化交流を通じた公共外交は、外国の大衆に自国国家の政治、経済、社会および文化を理解させ、支持を取り付けやすくする。このため、公共外交という外交政策の効果はますます明らかに重要度を増している。
表現は取り繕っていますが、孔子学院の設立の趣旨は、要するに漢語授業を通じて、中国当局に都合の良い中国の歴史や政治や経済・社会制度を理解してもらうことで、中国支持者を増やしていき、中国脅威論を解消していこう、という明確な政治目的を備えた外交政策だと、中国自身が認めているわけです。

語学の基本は丸暗記と暗誦です。丸暗記というのは、洗脳の定番の手法です。毛沢東語録も丸暗記させることで、学生たちを熱狂させました。大人ならまだしも、子供なら中国当局の思惑通りの中国イメージを植え付けることはできるでしょう。

そういう面もあるので、2010年2月に、南カリフォルニア州アシエンダでは、中学校の孔子教室開講を共産主義の洗脳だとして住民の抗議活動が起こったこともあります。地元教育委員会は9月、中学校に対する中国側の資金援助も教師派遣も拒否する決定をしました。

2011年7月、オーストラリアのシドニーでは7カ所の学校に開設された孔子教室の閉鎖をもとめる4000人の署名が地元議会に提出されました。テキストに天安門事件や中国の人権問題に触れていないことへの反発からだといわれています。

またカナダのナショナル・ポスト紙(2010年7月9日付)によれば、カナダ情報局が国民に対し、外国の諜報活動に気を付けるよう警告し、そのリストの中に孔子学院が含まれていました。

前アジア太平洋局責任者の作家、マイケル・ジュノー・カツヤが「孔子学院は慈善的理念で設立したものではなく、中国共産党の戦略の一部であり、諜報機関と関連のある組織から資金提供も受けている」とコメントしています。日本の大阪産業大学の事務局長も孔子学院を「文化スパイ機関みたいなもの」と発言し留学生から猛反発をくらい、平謝りしたことがあります。

ちなみに、孔子学院に否定的な動きのある地域が、中国からの移民が多い地域であることは偶然ではないでしょう。米国やカナダやオーストラリアなどの中国移民の中には文化大革命や天安門事件を契機に祖国を捨てた人も多く、普通の外国人以上に中国共産党アレルギーが強いです。

そういう人がわが子に「我是中国人、不是美国人」という例文を暗誦させられれば、洗脳か!と敏感に反応するのは当然のことと思います。

孔子学院が単なる語学学校でないことは、その資金の潤沢さからわかります。

孔子学院が海外に作られ始めたのは2004年。最初は韓国のソウルにできました。以来、世界各国に急速に増え続け、目下、世界106カ国に350カ所以上の孔子学院が設立され、500カ所以上の小中学校に孔子教室が開講されています。

孔子学院を管轄しているのは中国教育部傘下の俗に「漢弁」と呼ばれる国家漢語国際推進指導弁グループ弁公室ですが、世界のどこかに一つ孔子学院が開設するとなると、漢弁から準備金として10万ドルの資金が降りるといわれています。

しかも中国側はボランティア教師を派遣し、奨学金を出して留学プログラムも組んでくれるそうです。提携先の外国の教育機関としては、さほど予算がなくても、ほとんど全部中国側がやってくれるのでありがたいです。

漢弁は2010年までに孔子学院開設費用として5億ドルを投じたとしていますが、それ以外に毎年1校につき年間10万~15万ドルの運営費が投じられ、年間2000~3000人の派遣のボランティア教師には1人当たり1万ドル以上の手当てを出しているほか、数万人単位の外国人漢語教師の育成、教材の寄贈、各国における宣伝広告費も中国側が請け負っているといいます。年間平均予算は、ドルにして億単位と見られています。
1989年から始まった希望工程(中国国内の学校のない貧困地域に国内外の寄付によって学校を建てるプロジェクト)で集まった寄付金が2009年までの20年間で計約50億元(7.5億ドル)ということを考えれば、孔子学院に投入されているお金の多さが半端ではないことがわかります。

しかし、中国側にしてみれば、対象国の世論を自国に有利になるように誘導することは国家として当然の戦略であり、中国共産党がさんざん孔子を否定してきた歴史もさらりと忘れたふうに、孔子を持ち上げることにも矛盾も感じないのでしょう。

「毛沢東学院」じゃ外国人は誰も寄ってきません。中国が対外的にプラスイメージ発信に利用できるのはパンダが孔子ぐらいしかないのだからしかたないのかもしれません。

それを洗脳などと批判されることは彼らからすれば心外なのかもしれません。中国からみれば、それなら米国のフルブライト・プログラムだって洗脳だ、ということになります。

フルブライト・プログラムにも、親米派を育成し、米国の影響力を拡大する戦略性はあります。結局のところ、留学生の招聘や自国語学習者の拡大に、相手国の世論を自国に有利なものに導く公共外交としての政策性や戦略性を持たせることは「どこの国もやっている」当たり前のことでもあります。それを露骨に出すか出さないかだけの差かもしれません。

そもそも公共外交とは民間に直接しかけられた外交でもあります。カウンターパートは政府ではなく民間、つまり孔子学院を受け入れる教育機関であり、授業を受ける大衆なのです。政府が政策的にこれを退けることは、お角違いなのかもしれません。

だからこそ、こういう公共外交による“洗脳合戦”時代に大切なのは、民間の普通の人々の外交意識なのだと思います。自らが外交の担い手であり、孔子学院が公共外交の一種であるという意識を持って向き合えば、少なくとも一方的な「洗脳」ではなく、むしろ相手国の文化や思考を知った上で、いかに対処すれば自国に有利な外交ができるかを考えるようになることでしょう。

日本にも孔子学院は相当増えてきました。安価で中国語を勉強できる機会が得られるという点では良いともいえます。洗脳されるのか、外交的ライバルを研究する機会とするか、それはあなた次第ということかもしれません。

ただし、自我がまだまともに形成されていない、現代の若者は、洗脳ばかりされてしまい、外交的ライバルを研究する機会にすることはできないかもしれません。これには、学生自身というよりは、その親も関与すべきですし、その判断に委ねられるべきなのかもしれません。

何しろ、これは実際に有名大学に通われている息子や息子さんの複数の親御さん直に聴いた話ですが、最近の大学生の精神の発達度合いは遅れていて一昔前の高校生なみだということです。彼らを決して、昔の大学生並に扱ってはならないといいます。

確かに、私自身も、新入社員と話をするとそのように感じることも多いです。孔子学院で学ぶかどうかは、親御さんも参加して意思決定したほうが良いように私自身は思います。

とはいいながら、最近の若者はマスコミには印象操作されなくなりつつあります。彼らの多くは、情報の入手先がマスコミではなく、インターネットであり、自分で判断しながら情報を取捨選択しています。

そのような若者は、精神的に一昔前よりは脆弱なところもありますが、容易に印象操作は受けないという面が確かにあります。であれば、さほど心配する必要はないのかもしれません。かえって心配なのは、団塊の世代あたりかもしれません。孔子学院で中国語を学んでいる学生は、孔子学院で話される理想の中国と、現実の中国は違うということ前提としているのかもしれません。

そもそも、いくら精神的に多少脆弱であったにしても、大学生にもなってすぐに洗脳されるような人は、将来役に立つような人材にはなりえないです。いつまでも、人に指示されないと何もできない人になる可能性が高いです。

しかし、ブログ冒頭のように、孔子学院がスパイ活動にかかわっている容疑があることや、中国の民主化や人権擁護の運動にかかわる在米中国人の動向を探る手段にされている可能性、アメリカ人学生への思想的な影響行使のほか、中国人留学生をひそかに組織して民主化運動に走る中国人学生を取り締まっている可能性などが、指摘されており、今後FBIの捜査の進展により明らかにスパイ行為などかあることが立証された場合話は違ってくることになります。

明らかにスパイ活動をしているというのなら、米国でもはっきりと廃止の方向に向かうでしょう。その時は、日本も排除を検討すべきでしょう。

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2014年9月28日日曜日

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「孔子学院」にノー 米シカゴ大、契約打ち切り

シカゴ大学キャンパス

米シカゴ大学は27日までに、学内の中国語教育機関「孔子学院」との契約更改交渉を打ち切ったと発表した。中国政府の方針に基づく運営が「学問や言論の自由を脅かす」として、多数の教授が連帯し、学院の閉鎖を求める運動が起きていた。名門シカゴ大の決定は、孔子学院を抱える他の大学にも影響を与えそうだ。

大学の担当者によると、孔子学院との契約は9月末で切れるため、既に予算が拠出された講座や研究計画の終了後、閉鎖される公算が大きい。

孔子学院は中国の「ソフトパワー」拡大の拠点として中国政府が全面的に出資し、世界各国の大学に開講されている。一方で運営をめぐるトラブルも相次ぎ、米大学教授協会は「中国政府の一機関」と批判、各大学に契約の打ち切りを促す声明を出している。

【私の論評】中国の思想侵略にノーをつきつけたシカゴ大!学問の独立を守るということはこういうことだ。日本の大学も見習え(゚д゚)!

孔子学院に関して、このブログも取り上げたことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
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毎年太宰府天満宮で開催される曲水の宴
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で、孔子学院に関する部分のみを以下に掲載させていただきます。
欧米などの第三国に対しては「政府よりも学者、有識者、記者による発信」を積極的に利用、欧米主要メディアに「中国の発信に影響を受けた報道がある」という。さらに、国営中国中央テレビ(CCTV)の多言語チャンネルや、世界120カ国で1086校に及ぶ中国語・文化教育拠点「孔子学院・課堂」が「独自の主張を重層的に発信している」と記した。中国は2020年までに孔子学院・課堂を全世界に配置する構えだ。
ちなみに、あの石平氏はこの出来事について、以下のようなコメントをしています。
wikipediaには以下のよう概要が掲載されています。これは概要なので、詳細を知りたい方は、wikipediaをご覧になって下さい。
孔子学院(こうしがくいん)は中華人民共和国が海外の大学などの教育機関と提携し、中国語や中国文化の教育及び宣伝、中国との友好関係醸成を目的に設立した公的機関。
教育部が管轄する国家漢語国際推広領導小組弁公室が管轄し北京市に本部を設置し、国外の学院はその下部機構となる。
孔子の名を冠しているがあくまでも語学教育機関であって、儒学教育機関ではない。
 なお、孔子77代目の嫡孫である孔徳成が1949年に移住して以降、孔子直系の系譜は中華民国に居住しており(2009年9月以降は孔子79代目の嫡孫、孔垂長が世襲職大成至聖先師奉祀官となっている)、孔徳成が重慶で主宰した孔学会と孔子学院とは歴史的な繋がりは存在しない。
カナダにある孔子学院

さて、この孔子学院、表向きは単なる語学研修機関のようでもありまずか、いろいろと問題があります。

孔子学院は、全世界の各国で中国語や中国文化の教育を広めることを目論見として、ほとんどは大学内部に設置され、資金や教員は中国持ちです。世界で1000校以上、日本でも立命館大や早大、桜美林大など10数大学にあります。

こちら札幌でも、私立札幌学院大学に、孔子学院が設置されています。下は、その入口の写真です。

札幌大学孔子學院 香港教育学院一行与札幌大学孔子学院师生的合影
教師は原則として、現地採用ではなく中国国内から派遣され、教科書も全て中国当局の作成したものを 使用しています。

政府主導で自国の言葉や文化を広める組織としては中国の孔子学院だけではなく、英国のブリティッシュ・カウンシルや、フランスのアリアンス・ フランセーズなどがあります。しかし、ほとんどは独立した語学学校という形を取っていますし、あくまでも語学学校です。

しかし、孔子学院は各国の大学と提携し、その大学の中で授業を行っています。教師の給料などの費用も中国政府が支給し、 採算を完全に度外視していることが最大の特徴です。

中国の教育関係者は「大学の中に設置されていると、学生たちは、孔子学院の授業はその国の公的教育の 一環と理解しがちだ。また、その方が中国の価値観と文化を浸透させやすい」と話しているそです。

孔子学院に詳しい中国共産党関係者によると、同学院がつくられた背景には、1989年の民主化を弾圧した 天安門事件があるといいます。

事件後、海外に亡命した多くの知識人は各地で中国語教室を開きました。 言葉を教えると同時に中国共産党の一党独裁体制をも批判しました。「このままでは世界中で反中分子が増える」 と焦った中国当局が、その対策として孔子学院の設置に取りかかったとされています。

かつて中国教育省の高官は講演で、「わが国の外交と対外宣伝工作の重要な一部だ」と強調したように、孔子学院は、中国政府の政治宣伝の一翼を担っているのは周知の事実です。中国当局の価値観を現地の学生に押しつけるなど、これまでも各国で批判されてきましたし、米国のニューヨーク大では大学への強い圧力で中国の人権活動家を追放したことなどが大問題となりました。何かと大学に影響力を行使しようとす姿勢が「学問の自由」との兼ね合いで問題となっているのです。

こうした孔子学院に対しては、2012年には米国で、同学院の講師の査証(ビザ)更新が一時認められなかったこともありました。今年の5月には、シカゴ大学の教授100人以上が、同大学に設置された孔子学院の今年9月の契約更新反対の署名活動を行ったというニュースが流れていました。

請願書には、「中国政府の意向で大学職員や講義内容が決定するのは『学問の自由』に反する」と批判し、昨年7月に閉鎖されたカナダの大学でも、派遣された中国語教師たちが天安門事件や台湾問題などに触れぬよう指示されていた、と指摘していました。

中国政府から中国語教師と中国語教材が無償で提供されるため、経営にゆとりのない大学にとっては魅力のある教育機関かもしれません。しかし、「工作機関」という側面を忘れてはいけません。日本の大学はそこらあたりをどう考えているのか。おそらく何も考えていないのが実態でしょう。

アメリカの孔子学院大学の女子学生
それにしても、シカゴ大学の今回の判断は正しかったと思います。シカゴ大学は名門といわれる大学です。私も実際にシカゴ大学の講義をオンラインで受講したことがあります。素晴らしい内容でした。

アメリカの思想を押し付けるなどということはなく、純粋に学問的でありながら、かなり実用的な内容のものでした。明らかに日本の大学のものとは異なると思いました。


このような名門大学が下した決断、他の大学にも影響を及ぼすものと思います。

日本の大学なども、こうした中国による思想侵略に対しては、断固としてノーをつきつけるべきです。

シカゴ大の女子学生
確かに、日本の地方大学など、予算も厳しいですが、それと学生が教育を受ける権利とは別次元の問題です。特定の、それも明らかに間違っている思想などを学生に押し付けるべきではありません。それが、学問の独立を守るということです。

シカゴ大学が、名門であるのは、単に伝統があるとか、卒業生が各方面で働いているとか、それだけが所以ではないと思います。学問の独立を守るために、今回のように毅然とした態度で具体的な行動で対処してきたことによるものと思います。

日本の大学もこのような行動をせずに、ただただ中国の思想侵略を受け入れるのであれば、いずれのに日にか、朝日新聞やNHKのようになってしまい、国民の信頼を失い社会から離反され、存続さえ危ぶまれるようになってしまうと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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