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2016年5月2日月曜日

大地震を利用する増税派の悪質な手口を忘れるな 田中秀臣―【私の論評】課税の平準化理論すら理解できない輩には、復興予算の議論をさせるな(゚д゚)!


自民党の全国政調会長会議であいさつする谷垣幹事長。
隣は稲田政調会長=4月18日午後、東京・永田町の党本部
「熊本地震」による深刻な被害が次第に明らかになっている。しかも強い余震がこの原稿を書いている時点でも続いていて、現地の方々の精神的な不安と肉体的な疲労は募るばかりだろう。まだ救援活動も継続している中で、熊本地震に関わる経済的な側面について論説を書くことを早急すぎると思われる方々もいるかもしれない。(総合オピニオンサイト iRONNA)

 東日本大震災の翌々日には、菅直人首相(当時)と自民党の谷垣総裁(当時)との間で、災害対策としての「臨時増税」が議論されている。この協議自体はのちに復興特別税として結実し、またこのときの与野党協議を基礎にして消費増税路線が構築されていった。増税派のやり口は急速で、また時には驚くほど露骨かつ大胆に進められる。

 2011年当時、このような復興目的を利用して増税路線をまい進する政府と財務省、またそれを支援する経済学者・エコノミスト、マスコミに対して、私は経済評論家の上念司氏との共著で『震災恐慌』(宝島社)<後に『「復興増税」亡国論』として再刊>を出版するなどして猛烈な批判を展開した。

 経済学の常識からすれば、大規模災害は、復興目的の国債を発行して、なるべく災害に遭遇している現時点の国民に負担を集中的に課すのではなく、きわめて長時間(場合によれば一世紀でもいい)をかけてゆっくりと負担するのが望ましいとされている。もし災害に直面している国民にも税負担を課してしまうと、経済的な困難がさらに増してしまう。また被災地を救援する多くの国民にも経済的な余裕を失わせてしまうことで、復興事業自体が滞ってしまうだろう。

 だが、過去の阪神・淡路大震災のときもまだ復興の道半ばで、消費税増税が行われ、日本は経済危機に直面してしまった。もちろん経済的に弱まっていた阪神・淡路地域の方々の経済的困難は他に比べても深刻なものになってしまった。この教訓があるにもかかわらず、2011年当時の与野党の増税派は、大地震を口実に消費増税を推し進めたのである。

 2011年から12年にかけて復興税に反対するために、言論の場だけではなく、きわめて少数ではあったが、与野党の議員の中で復興税に反対する勢力が形成され、積極的に反対活動が行われた。その中で、自民党の取りまとめ役として活躍したのが、安倍首相であった。この復興税に反対する議員連盟の中で、いわゆるリフレ派(デフレ不況を金融政策の転換で克服しようとする経済学者・エコノミスト集団)との接点が生まれた。それがのちのアベノミクスに至る大きな道になった、と私は推測している。

 他方で、不幸なことに、復興特別税の法案は通過し、また消費税増税法案も決まってしまった。この消費増税がいまも日本経済の不調の主因であることは、本連載でも繰り返し強調してきたところである。

 では、今回の熊本地震に際しての増税派的な動きはどうだろうか?

 例えば自民党総務会メンバーは、4月19日に会合をもち、報道によれば「財政規律」や「(景気対策のための)財源のための増税」を主張する議員がいたとされている。景気対策のためには財源が必要であるとすることはいかにももっともらしいが、現時点で経済的な困難に直面している国民を救うために、一方では景気対策をし、一方では増税でさらに負担を増やす、という意味が不明の「悪しき財源論」は、日本の経済政策の中でも最もトンデモな議論といっていい。しかも前者の景気対策は短期的に終わってしまうが、後者の増税は恒久化してしまう。まさに国民の不幸につけこんだ非情なやり口である。

 また稲田朋美自民党政調会長は、「固定概念にとらわれることなく議論する必要がある」として消費税のまずは1%の引き上げを志向する発言も伝えられている。もし「固定観念」にとらわれないとしたら、いままでの大災害や景気対策での「財源」としての増税路線を転換することが、まさに「固定観念」を打破するものではないだろうか?

 他方で、与党の中では、景気の悪化や今回の熊本地震を考慮して、消費増税が困難になったという見方も強い。ただ安倍首相自身は、繰り返し消費税増税のスケジュールに変更はないことを今でも強調している。もしこれを額面通りにとれば、もちろん(地震災害と景気悪化の前では)最悪の選択となる。

 ただ消費増税をするか否かの政治的判断はまだ最終的なものではない、というのが大方の見方である。仮に現段階で、首相が消費増税の「先送り」や「凍結」を打ち出してしまうと、野党勢力はいまも公言しているが、このことを安倍政権の「口約違反」や政策のミスとして追及していくだろう。場合によっては内閣不信任案の口実とさえなりかねない。野党は(いろいろな能書きがあるようだが)表向きは消費増税に反対する態度を示しているが、政治的にみれば首相の消費増税凍結を阻止しているともいえる。参議院選挙を控える中で、首相はぎりぎりまで消費税に関する態度決定を回避することになろう。

 また首相が玉虫色な政策決定をする可能性はあるだろう。例えば消費増税と同時に、一時的な給付金や大規模な公共事業を行う政策である。しかしこのような給付金&公共事業の組み合わせは、前回の5%から8%への税率引き上げ時にも行われたが、結局は金額も過小になり、また効果も持続的なものではなかった。その証拠に、今日の景気失速の主因は2014年4月の増税開始からまったく実質消費が回復しないことである。いまは景気対策をする一方で、他方で増税するという「悪しき財源論」や「財政規律」に依存する政策から脱することが必要なのである。後者でいえば、むしろいまこそ「財政規律」を破壊すべきなのだ。国の財政はなんであるのか? それは我々国民の生活を豊かにするためだ。現時点で経済的な困難に直面している国民に対して財政的救済を行わない政府などその存在意義を疑われてしかるべきだろう。それはもちろん被災された方々の苦境を救うために必要な絶対条件ともいえるものだ。

 具体的な政策の大枠は前回のコラム「消費減税には100兆円「余剰資金」を動員するしかない!」 で書いた通りである。消費減税を中心とする財政政策がベストであり、それをサポートする金融緩和政策が必要条件になる。金融政策の決定会合は、今週27日(水)28日(木)に迫っている。例えば、長期国債の買い取りペースを拡大し、政府が震災対策として発行する新規国債を吸収して予算をバックアップするのもいいだろう。また新規発行された「財投債」、既存の地方債や社債、さらに有力候補としては外債の買い取りによって、日本銀行のバランスシートの規模を拡大させ、緩和基調の経済を生み出していく。このような金融緩和政策を前提にして、政府は「悪しき財源論」「財政規律」論を封じこめ、より積極的な財政政策を打ち出すことが、何度も繰り返すが必要であろう。

 われわれ国民ができることは、災害を利用する増税勢力をつねに監視し、警戒を強めていくことである。彼らは甘くはない。

■田中秀臣 上武大学ビジネス情報学部教授、経済学者。1961年生まれ。早稲田大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は日本経済思想史、日本経済論。主な著書に『経済論戦の読み方』(講談社現代新書)『デフレ不況 日本銀行の大罪』(朝日新聞出版)など多数。近著に『ご当地アイドルの経済学』(イースト新書)。

(総合オピニオンサイト iRONNA)

【私の論評】課税の平準化理論すら理解できない輩には、復興予算の議論をさせるな(゚д゚)!

地震などの、大規模自然災害のときに、その復興を増税で賄うなどは、古今東西どの国も実行したことはありません。ただし、これには一つだけ例外があります。それは、上の記事にも掲載されている復興税です。

日本は、失敗することがはっきりしている、政策を実行して、実際に大失敗しました。これは、現代史に残る、大きな大失敗です。そうして、この失敗に懲りることもなくまだ復興が十分とはいえない、平成14年4月からは、8%増税を実施してしまいました。

この増税は、未だデフレの影響からも抜けきっていないし、東日本大震災の復興途上にあった、日本において行われました。これによって、日本は失敗に懲りることもなく、さらに大失敗を繰り返したわけです。

さて、ブログ冒頭の田中秀臣氏の記事、全く正しくこれを特段論評するなどという必要もないです。

大地震を利用する増税派の悪質な手口に関しては、このブログでも、今年だけでも二回掲載しています。

一つ目は、元記事は高橋洋一によるものです。
増税勢力はこうして東日本大震災を「利用」した~あの非情なやり方を忘れてはいけない―【私の論評】財務省、政治家、メディアの総力を結集した悪辣ショック・ドクトリンに幻惑されるな(゚д゚)!
被災地にかがみこむ若い女性
この記事は、今年の3月14日に掲載したものです。その時は、熊本地震など発生しておらず、一月後に熊本であのような大地震がおこるとは予想だにしていませんでした。

この記事も掲載したように、経済学には課税の平準化理論というものがあり、例えば百年の一度の災害であれば、100年債を発行して、毎年100分の一ずつ負担するのが正しい政策です。これは、何も私の思いつきなどで語っているのではなく、標準的なまともなマクロ経済学のテキストには普通に掲載されている理論です。

無論、標準的なテキストに掲載されるのですから、長年にわたって研究され実証された理論です。古今東西において、この理論に関して、否定する人などいません。

否定するような人は、経済の本質がわかっていない人だけです。課税の平準化理論など、とくに経済学の理論として学ばなくても、常識のある人なら誰にでもすぐにりかいできます。大震災などの大規模な災害の復興に、震災の復興を賄うのに、増税などあてれば、震災が起きた時の世代が、震災による停滞に見舞われるなかで、将来世代が使うインフラまで整備しなければならなくなります。

これはとんでもない不公平です。であれば、その災害が100年に一度起きるような災害であれば、100年債で応分に以外に見舞われた世代と、その後将来世代も応分に負担するというのが、当たり前のことです。こんなことは、小学生でも理解できると思います。

これを理解できないお粗末な政治家がいます。さらには、これを本当は理解しているのでしょうが、省益などを優先する財務省などが、経済理論など無視して、災害を利用して、増税キャンペーンを実施したというのが実態でしょう。

この記事では、大震災・大津波・原発事故を利用して、増税を実施する悪辣なこのやり方を「悪辣なショック・ドクトリン」と形容しました。

ショック・ドクトリンを提唱したジャーナリストのナオミ・クライン
ショック・ドクトリンとは、「大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革(The Rise of Disaster Capitalism)」という意味で、カナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン(Naomi Klein)氏が昨年著した本のタイトルでもあります。ただし、ナオミ・クラインは、市場原理主義を主張したシカゴ学派 (経済学) のミルトン・フリードマンを批判していますが、実際にはフリードマンの考えは悪辣な政治家などが、自分たちのとんでもない政策を正当化するために、フリードマンの理論を悪用したとみるべぎです。

しかし、震災などの復興につけ込んで、復興税などを導入し、さらにその後にも増税するという二段構えの悪辣な手口は、まさにショック・ドクトリンと形容しても良いというか、悪辣さらにおいてはさらに上手と言っても良いやり口でした。だからこそ、私は復興税を「悪辣なショック・ドクトリン」と形容したのです。

もう一つは、熊本の大地震の後まもなくの、今年の4月22日に掲載したものです。
【お金は知っている】菅直人政権時の無為無策を繰り返してはいけない 増税は論外、公共投資を粛々と―【私の論評】熊本震災復興は復興税ではなく国債発行を!東日本震災復興の過ちを繰り返すな(゚д゚)!
 
この記事の元記事は、産経新聞の田村秀男氏によるもので、上のグラフも掲載されていて、東日本大震災と阪神淡路大震災を比較していました。このグラフをみても、わかるように、阪神淡路大震災のときには、公共投資が速やかに行われ、GDPの回復も速やかであったことがわかります。このときの復興は無論のこと、復興税ではなく、国債によって賄われています。これに比較して、復興税により賄われた、東日本大震災では、公共投資が速やかには行われておらず、GDPも上昇していないことがわかります。

これは、為政者の能力がどうのこうのというより、やはり、復興税が大失敗であったことを物語っています。

そうして、この記事の私の論評は、以下のように締めくくりました。
以上のようなことから、今回の熊本震災による復興は復興税ではなく国債によるべきであり、東日本震災復興の過ちを繰り返すべきではありません。 
今後の政治課題は、10%増税は見送りは当然のこととして、熊本震災復興そうして、未だ停滞している東日本大震災復興にも、国債を用いて十分な財源を確保して、一日も早く復興を成し遂げることです。
この結論、ブログ冒頭の田中秀臣氏の記事を読んで、ますます確信をもてようになりました。

熊本の震災復興に復興税を用いたり、それだけではなくさらに来年4月に10%増税してしまえば、日本経済はまたまた落ち込み、とんでもないことになります。

そんなバカ真似は断じてさせるべきではありません。復興は、国債ではなく、復興税でと考えるような政治家は、そもそも物事の基本的な仕組みがわかっておらず、本来は政治家などになべきではありませんでした。そうはいっても、選挙で候補者から選ばれているわけですから、すぐに政治家をくびにするというわけにもいきません。

しかし、経済に関して、課税の平準化理論すら理解できない政治家には、復興予算の議論をさせるべきではありません。彼らの存在が、足を引っ張り、議論を混乱させ、いたずらに危機を煽るだけになります。

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2012年10月19日金曜日

“仕分けコンビ”、復興予算で開き直り連発 自公に責任転嫁―【私の論評】「復興税制」も「仕分け」も全くの間違い!!誰が正しい間違いではなく、何が正しい何が間違いという姿勢が重要!!

“仕分けコンビ”、復興予算で開き直り連発 自公に責任転嫁


東日本大震災の復興予算の「流用」問題を審議した18日の参院決算委員会で、かつての「仕分けコンビ」が開き直りとも取れる発言を連発した。平成21年の政権交代直後の「事業仕分け」では、歯切れ良く予算のムダ削減を訴えていた枝野幸男経済産業相と蓮舫元行政刷新担当相。3年余りの与党暮らしの末、「言い訳」を余儀なくされる場面が目立った。

「あのー、ミソもクソも一緒にした議論はやめていただきたい」

普段は理路整然と答弁することが多い枝野氏の冷静さを欠いた答弁に、委員会室は騒然となった。自民党の森雅子氏が、流用問題で地元・福島の企業向け立地補助金が不足していることを厳しく指摘したときのことだ。

山本順三委員長(自民)はすかさず、「言葉は慎重に選んでください」と注意したが、枝野氏は「間違ったことを言っているとは思わない」と収まらず、「被災地以外に予算が使われていることは、理由も原因も全然別の話だ」とまくし立てた。自民、公明両党にも責任があるといわんばかりだった。

枝野氏は自ら発した「ミソもクソも」という発言だけは、「あまり上品でなかったので、おわびして撤回する」と謝罪したが、復興予算に計上された立地補助金の大部分が被災地以外の企業を対象としているのは事実。激高したことで、かえって所管する「省益」を堅持しようという姿勢を印象づける結果となった。

民主党委員として質問の先陣を切った蓮舫氏は、より露骨な形で自公両党に流用問題の責任を転嫁した。


「一言言わせていただきたい。もともと内閣が出した復興基本法案は対象を被災地に限定していたが、自民党さん、公明党さんからの建設的な意見も踏まえ、対象は日本全国になった」

蓮舫氏は、被災地以外の全国防災事業に復興予算が充てられた経緯に関し、こう強調した。

初の本格的復旧・復興予算となった23年度第3次補正予算の編成をめぐる自民党の行状について「さらに7・1兆円上積みしろといわれた」「立地補助金が足りないから5千億円上乗せしろと指摘された」-などと“暴露”したが、逆に政権与党としての責任を棚上しようとする姿勢が浮き彫りに。

そこには、かつての「仕分けの女王」の面影はなかった。(桑原雄尚)

【私の論評】「復興税制」も「仕分け」も全くの間違い!!誰が正しい間違いではなく、何が正しい何が間違いという姿勢が重要!!

復興予算に関しては、もともと復興税によって、賄うこと自体が間違いであり、そんなことをするから、他のことに流用されるような余地をつくってしまったことは、このブログにも掲載しました。

「日本再生」というばらまきに群がった官僚や政治家たち!「復興予算の乱用」を自民や公明、そしてメディアがいまごろになって批判する資格はあるのか−【私の論評】復興税法案と日本再生シナリオは、日本国解体の一里塚!!何でも増税すれば良いという愚かな考えがこのような事態を招いた!!

詳細は、上の記事をごらんいただくものとして、この記事では、大自然災害が発生したときなど、その復興のために、税金で賄ったような事例は、日本は無論のこと、古今東西でそのような事例はないことを掲載しました。当たり前の真ん中では、世界中で、日本でいえば、建設国債などをあたることであることも掲載しました。


そうして、こんな先例をつくってしまえば、運悪く、大自然災害などが、特にある年に集中するようなことが起こった場合に、後の世代の負担になるからといって、大自然災害を被災した世代が全部賄うことになれば、後の世代に引き継ぐべきまともな日本自体がなくなってしまうおそれがあることを掲載しました。

それに、日本再生などとして、役所主導で、日本再生シナリオを描いて、それを実行しても絶対うまくいかないことも掲載しました。その理由としては、政府主導のシナリオが大成功するというのなら、共産主義、社会主義の計画経済もうまくいったはずであり、そのようなことはなかったからです。

民主党以外の政党・政治家や官僚も復興税による復興予算に群がったという責任はあります。だから、一見枝野や蓮舫の言い訳は正しいようにもみえます。しかし、この愚かな復興税法案をつくり、国会で通してしまったという責任は重く、やはり、復興税法案はそもそも間違いであったことを認めるべきです。消費税法案も、これと同じ文脈で、全くの間違いです。絶対実施させるべきではありません。

それに、上の記事で、「「事業仕分け」で歯切れ良く予算のムダ削減を訴えていた」などとしていましたが、事業仕分け自体も完璧な誤りであったことは、今でははっきりしています。これについても、このブログで掲載したことがあります。

事業仕分け:JICA大幅縮減 4法人8事業「廃止」判定―劇場型政治の小粒なSMショー第二段始まる!!

詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、以下に主要な部分をコピペしてきます。
事業仕分けは、スケールの小さな小粒な劇場政治と変わりません。かつて、小泉さんの演出で有名になった劇場型政治。劇場型政治とは、政策より政局やパフォーマンスを多用する政治。またそうのような政治状況のことです。小泉さんのいわゆる小泉劇場は随分と有名になりました。 
先回と、今回の事業仕分、両方共はっきりいって、低級なSMショー並の小粒な劇場型政治といっても良いと思います。やるなら、小泉劇場くらいことをして欲しいものです。
そうです。蓮紡議員がSの女王様で、鞭打たれるMが、天下りしたもとの高級官僚などてす。どちらも、大きな枠組みの中では高級官僚が描いた予定帳場の演技をしているだけです。先回も、そうして、今回も大きなシナリオは官僚が書いています。政治家ならこんなシナリオは自分で書いて、そうして、こんなくだらない仕分けはしないで、特別予算に関連する部分に殴り込みをかけるべきだったでしょう。まったく、低俗なショーです。こんなものにいつまでも、国民がだまし続けられると思ったら大間違いです。
「事業仕分け」は、政治の具体的な仕事のできない民主党が、いかにも仕事をしているように見せかけるための、パフォーマンスにすぎなかったことが明らかになっています。


そうして、パフォーマンスだけに終わっていれば、さほど悪影響もなかったのですが、あの蓮舫による「一番じゃないとダメなんですか」という発言に象徴されるように、各方面に悪影響を与えました。

このわかりやすい事例としては、たとえば、あの「はやぶさ」の予算です。

はやぶさ、後継機の予算3000万に縮小…着手できず―事業仕分けは正しいことですか?


詳細は、上記の記事をご覧いただくものとして、この記事では以下のように結んでいます。
事業仕分けは、大岡裁きのようなものです。無論、これは、悪い意味で言っているのです。大岡裁きは、昔から日本人うけするのですが、現在の世の中で、大岡裁きに多数が拍手喝采をおくるような国民であれば、問題ありと言わざるをえません。
大岡裁きは、法律などに基づかない恣意的な裁定ということで、現代の法治国家では問題です。「事業仕分け」も、大岡裁きのように、基準もあいまいなものでした。このあいまいさのおかげで、「はやぶさ」の予算も削られらました。たった、3000万円でどうしょうというのでしょうか?何もできないですね。できることとしては、有能な技術者の飼い殺しくらいなものです。

これに関しては予算がある程度復活したようですが、世界一の技術に関する予算としては、まだまだ微々たるものです。これは、なんしかしなければ宝の持ち腐れになる可能性が大です。

他にもわかりやすい例があります。それは、今回のノーベル医学生理学賞を獲得した、京都大学の山中教授による、iPS細胞に関する研究の予算です。これは、直接事業仕分けで削減されたことはありませんが、それにしても、山中教授は、ノーベル賞受賞の記者会見の記事では以下のように掲載されています。
会見では国への感謝を口にしたが、決して研究資金が潤沢だったわけではない。iPS細胞そのものが対象ではないが、09年には、科学技術関連事業の予算が「事業仕分け」され、削減や見直しが相次いだ。その際、山中教授は批判と不安の気持ちを述べている。今年3月には、研究資金の“カンパ”を訴え、アピールするため、京都マラソンに自ら出場した。
山中教授の研究は、かなり進んでいましたから、仕分けの対象にはなりませんでしたが、もし、うん悪く10年くらい今よりも研究が遅れていたとすれば、どうなったでしょか?対象となった可能性は十分あります。そうなれば、せっかくの素晴らしい可能性が摘み取られていたかもしれません。


それを考えると、「事業仕分け」は本当に罪深いです。ひよっとすると、多くの人が気づかないで、将来大イノベーションにつながる何かが、摘み取られているかもしれません。

上記のように、復興税法案は全くの間違いです。役所による日本再生もまったく間違いです。これら、根本的なくす必要があります。

それから、「事業仕分け」です。このようなものも完全になくすべきと思います。しかし、科学研究における予算というものの取り扱いは、事業仕分けをなくすだけではでは良くすることはできないです。

誰が、限られた予算を配布するのか、その最終意思決定は誰がするのかという重要な問題があります。これも、役所の官僚の裁量に任せておけば、ろくなことには、ならないと思います。

これに関しては、やはり、アメリカのように有力なシンクタンクをいくつかつくり、それらに任せるという形をとるべきと思います。ただし、日本では、有力なシンクタンクがないので、それを作れるように環境を整える必要があります。アメリカでは、主だった大規模で、有名なシンクタンクは、たいていは、NPOであり、政府の機関などではありません。


だからこそ、何か研究発表をしても、日本のような政府の紐付きである、行政独立法人とは全く異なります。このような複数の機関が、専門家を活用うして、調査研究ならびに政府に報告書を提出し、その報告書にもとづき、政府で意思決定をする、その過程は、シンクタンクの報告書の情報開示も含めて、開示するということで、「事業仕分け」のような出鱈目や、役人の恣意的な選択をまぬがれると思います。

皆さんんは、どう思われますか?いずれにせよ、民主党は数々の間違いを犯してきました。しかし、これを目の当たりにしてきた私たちは、誰(民主党)が良いとか、誰(民主党)が悪いという視点ではなく、何(システム)が良いとか、何(システム)が悪いのかという視点にたって、見直していく必要があります。民主党のやり方は、ご存知のように非常まずかったですが、それを民主党のせいばかりにしても、らちがあきません。無論民主党はやり方が悪すぎるので、次の選挙で大敗するのは間違いないですし、そうなるべきであります。

しかし、多くの人たちは、自民党時代に自民党(誰)が悪いということで、民主党(誰)にさえ変われば、少しはまともになると思い、政権交代を実現したはずですが、その結果は、惨憺たるものでした。こうした見方すれば、次の選挙でも何も変わらないかもしれません。誰がという視点ではなく、何がという視点にたつべきです。そうならなれれば、何も変わりません。そう思うのは私だけでしょうか?


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