復興需要で宮城は2・1倍 5月の中古車販売台数 |
夏本番。震災以降、重苦しい雰囲気に包まれてきた株式市場に、強気論が台頭、期待感が高まっている。
「その最たる要因は外部環境の改善です。6月末にギリシャ議会で中期財政計画が可決され、デフォルト懸念が遠ざかりました。米国市場も活気づいている。ギリシャ不安の解消に加え、米サプライマネジメント協会が発表した6月の製造業景況感指数が改善したことで景気減速への警戒感がやや後退したことから、1日のNY市場は5日続伸、前日比168ドルの大幅高でした。先週1週間の上げ幅は648ドル(5.4%)にも達した。この上げ幅は実に2年8カ月ぶりの記録です」(市場関係者)
先週末(1日)の東京市場は、日経平均が一時9900円を回復した。5月11日以来である。ファナックが11年ぶりに1万4000円台を回復するなど明るいムードが漂う。この先発表される5月の景気動向指数や機械受注統計の数字が改善されれば、ガ然、期待感が高まりそうだ。
こうした流れの中、専門筋の見方も強気論が目立ってきた。武者リサーチ代表の武者陵司氏は先月末、こう言っていた。
「株式市場は7月以降、サマーラリー(夏の上昇相場)に突入する公算が大きく、日経平均株価は9月末にも1万1000円台を回復する可能性があるとみている。大震災後の復旧は急ピッチで進み、秋口には震災前の生産水準に戻ることはほぼ確実だ。第2次補正予算のめどがつく8〜9月以降、復興需要が本格化してくる。日本の景況感は急回復するが、株価は上場企業の6割がPBR1倍以下という空前の割安状態にある。また、菅直人首相退陣により新たな司令塔ができ、復興対策が加速することも好材料となろう。消費税増税などの懸念要因はあるものの、著しく評価が低い日本株の新たな悪材料にはならないとみる」
猛暑続きでサラリーマンには厳しい日々が続くが、投資家にはホットな季節が訪れたということか。
(日刊ゲンダイ2011年7月4日掲載)
【私の論評】日本の景気回復の救世主は復興需要だけじゃない!!
上の動画は、日本復興は原発再稼働が鍵という4月時点での、鈴木淑夫氏のものです。この動画では、主に地震の復興について、語っています。私は、今回もし震災が起こらなくても、日本はそろそろ、実体経済が回復基調に向かっていたのではないかと考えています。
そうして、今回の地震は、その回復基調をさらに加速することはあれ、逆行させることにはならないです。それと、このブログにも掲載した要因で、今回の景気回復は間違いと思います。その要因とは、日本の国内経済の復元力によるものです。復元力とは、景気が良い時期が続けば、その後悪い時期が続く、逆に景気が悪い時期が続けば、その後良い時期が続くというものです。
この原則は今まで、敗れたことはありません。これは、昔から繰り返されてきたことであり、景気が悪い時期が長く続くと多くの人が悲観的になり、不景気はいつまでも続くと思い込み、逆に景気が良い時期が続くと、その好景気が永遠に続くと多くの人が楽観的になります。しかし、そのようなことはありえません。
日本であれば、20年間にわたって、デフレ基調が続きました、その間小渕、麻生内閣を除いては、すべて緊縮財政を行ない、公共工事は全部が、ハコモノ行政と同じで、すべからく悪とされ、かなり縮小されてきました。そうして、20年たってみると、整備すべき橋、トンネル、道路などがそのままにされ、耐用年数をすぎかけ、いずれ、落ちる橋、崩壊するトンネルなどが出てくる可能性が大です。
そうなれば、いやがおうでも、公共工事を増やさざるをえないなどのこともありますし、この20年間のデフレで、消費者の間に節約の意識が高まり、場合によっては、必要なものでも、控えていたもを購入するようになり、景気は上向いていきます。そんなところに、震災が発生し、震災の復興のためには、様々な投資が必要になることから、これは、いろいろな条件が重なり、日本の景気はこれから良くなることは必定と見るべきです。
以前掲載したブログでは、この景気は、本来は、現政権による緊縮財政により駄目になる可能性があったのですが、この確率も著しく減りました。日本は、まだまだ、デフレ傾向にあるのは間違いなく、さらに、直近でデフレが解消される見込みもでてきましたが、それは、実体経済の回復によるというものではなく、原油、食料品などの値上げによる、コストプッシュ型インフレによるものであり、これは、実体経済にとって決して良いことではありません。
こうした傾向が続いているときに、たとえ、デフレが解消される傾向がみられたからといって、増税すれば、経済はかなり冷え込み、失われた20年が、30年、50年になったかもしれません。まさに、運が悪ければ、そうなったかもしれません。
しかし、その日本に、救世主ともいうべきことが二つ重なって起きたのです。それは、まずは、震災です。震災に関しては、被害にあわれたかたは、誠にお気の毒で、残念のことには違いないのですが、震災の復興には必ず復興需要というものがあります。これがまずは、日本にとっての一番目の救世主ということになります。
しかし、これだけだと、民主党の経済の舵取りや、原発対処の方法がまずくて、景気が回復しないうちに、電力供給不足や増税などがあって、なんとなく、復興が終わってしまい、尻切れトンボのような結果になってしまったかもしれません。
しかし、今回は、都合の良いことに、来年の秋にアメリカで、大統領選挙があります。そうして、これは、以前のブログにも書いたのですが、オバマ大統領は、選挙に勝つためには、今年から来年に欠けて、是が非でも経済を良くして、雇用を改善して、有権者の支持をとりつける必要があります。
そうして、アメリカの経済を振り返ってみると、金融危機前までは、日本などから比較すれば、景気の良い状況が続いていました、いっとき落ちたとしても、日本などから比べれば、軽微なもので、金融危機、リーマンショックなども、公的資金をどんどんつぎ込んで、あっという間に回復基調まで、もっていきました。そうして、多くの人がいずれもっと景気はよくなるだろうと楽観的な観測をしていました。
しかし、最近のアメリカから出された景気の統計などをみると、その楽観的な見通しは間違いであることがはっきりしてきました。そうです。GDPの予想はもとより、雇用も改善されていません。
これは、アメリカの経済の復元力からいって、ここ数年は、景気、特に、アメリカの国内の景気は、悪くなるとみるのが妥当です。要するに、ここしばらく、やってきたアメリカの内需拡大策は効果がでていないし、これからも、難しいということです。
だからこそ、オバマ大統領は、ここ数年、外需主導でアメリカの経済を短期間でも良いから、底上げしたいのです。そうなれば、現在、その可能性がある国は、日本です。震災による需要は、期待できるし、経済の復元力による内需の拡大が期待できます。そうして直近で内需拡大で景気の浮揚が期待できるのは日本だけです。
このあたりに関しては、詳細は、以前のブログを読んでいただきたいです。日本が、外需主導型ではなく、内需主導型での景気浮揚をして、本来の姿を取り戻せば、海外からの輸入も増え、世界経済に良い影響を及ぼします。そうなると、アメリカも輸出しやすくなります。アメリカが輸出を増やすためには、ドル安、円高の状態が望ましいわけです。そのため、アメリカは、ドル安傾向にもっていくため、アメリカのデフォルトを演出するなどの手を打っています。このへんのところも、前回のブログを参照してください。
円高、ドル安で、日本の内需拡大が進めば、アメリカとって、輸出がしやすくなる条件が揃うため、いまのアメリカは、日本の景気の浮揚を強く望んでいます。これが、日本の景気回復の第二の救世主となります。
アメリカというより、オバマ大統領は、アメリカの外需主導型の景気回復、すなわち、輸出の振興を強く望んでおり、それを達成するためには、日本の内需主導型の景気回復は是が非でも達成されなければならいというわけです。これを実現するため、ありとあらゆる手段を講じることでしょう。
現在日本の政局は、最低の状況で、菅内閣に任せておけば、復興も、景気回復もままならないなどということがいわれており、私自身も、このままでは、せっかくの千載一遇のチャンスに恵まれているのに、このままでは、さらにデフレ状況が続き、失われた30年、50年ということが続くかもしれないという危機感をいだいていましたが、今度ばかりは、そうではありません。
菅内閣、あるいは、次の内閣が、復興や、日本の景気回復にもたついていれば、いままでは、野党の攻撃にさらされるだけですみました。しかし、今度ばかりはそうではないということです。
もし、景気回復がもたつけば、オバマが黙ってはいません。そんなことになりそうであれば、今後、アメリカは、内政干渉ぎりぎりの圧力をかけてくることになることでしょう。そうなれば、日本政府は、なぜアメリカがこんなことを言い始めのかを判断しかねて、丁度尖閣での、中国漁船の日本巡視艇の体当たりのときのように右往左往し、慌てふためくことでしょう。
場合によっては、それが、政局にかなりの影響を与えるかもしれません。しかし、結局はアメリカ側の意図を受け入れることなります。そうなれば、景気を落ち込ませるようなバカ真似は簡単にはできなくなります。それに、上の動画でも言われているように、日本復興の鍵である原発の再稼働について、ノラリクラリとしていれば、内政干渉ギリギリの圧力をかけられることになるでしょう。
さて、このような観点から、今後、景気は間違いなく良くなります。しかも、過去にもあったように、1~2年外需主導型で少し上向き、多くの人々に「実感なき景気浮揚」などいわれた、過去のようなものとは、一線を画した、内需主導型で、多くの国民が実感できる景気浮揚であり、しかも、短くても3年、長ければ5年以上景気の良い時期が続くことが確実です。
そうなれば、企業の経営方式も大幅に梶を切り替えなければなりません。そうです、今までだと、経済があまり成長しなくても、やっていける体制を整えることに注力してきたのですが、今後は、本当の意味での成長戦略が必要になってくるということです。
【関連記事】