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2011年6月19日日曜日

永田町に駆けめぐる首相「原発解散」の噂 自民党に警戒感―【私の論評】これで騙されれば、国民が悪い!!悪いのは菅さんではない!!

永田町に駆けめぐる首相「原発解散」の噂 自民党に警戒感


液状化被害で大きく変形した護岸を視察する菅首相=18日午後、千葉県浦安市
菅直人首相が「脱原発」か否かを争点に衆院解散に打って出る-。永田町でこんな噂が駆けめぐり、自民党が警戒感を強めている。東京電力福島第1原子力発電所事故で原発への不信感が高まるなか、平成17年の郵政解散のように、民主党に地滑り的勝利を与える可能性があるためだ。

「菅さんの性格から、そのシングルイシュー(単一課題)で選挙をやるのかもしれない」。自民党の大島理森副総裁は18日、BS朝日とテレビ東京の番組で、表情をしかめて語った。

「原発解散」は、選挙の陣頭指揮を執る大島氏にとっては気になる噂のようで「原発をイエスかノーかだけで議論する選挙はあるべきではない。菅直人という政治家の戦略だけで、日本のエネルギー政策を判断されたらたまらない。その前に辞めていただく」と、警戒感をあらわにした。

背景には、5月6日の菅首相の中部電力浜岡原発停止発表が、有権者から高評価だったという自民党の分析がある。「首相は原発解散で勢いを挽回しようとしている。解散は8月の広島、長崎の原爆の日らしい」という、もっともらしい“尾ひれ”までついて広まっているという。

【私の論評】これで騙されれば、国民が悪い!!悪いのは菅さんではない!!
上の噂の真偽のほどはわかりませんが、ありそうな話ではあります。菅さんというと、マスコミも「空き缶」など揶揄していますが、私は、菅さんは、確かに政治、経済、社会、安全保障、そうして現在脚光を浴びているエネルギー政策など、およそ国を統治する上で重要な事に関する知識という点では確かに劣っていますが、こと権力掌握ということにかけては、左翼政治家では最高峰だと思っています。

権力掌握型の政治家は、右寄りの政治家では普通ですが、菅さんは、生粋の左翼系では数少ないうちの一人だと思います。菅さんは、総理大臣の席を温めるためには、どのような姑息な手でも使うと思います。それどころか、権力掌握に関しては、誰も想像にも及ばないような深慮遠謀を巡らしているかもしれません。だから、今回の内閣不信任案に対しても、うまくすり抜けることができたのであり、この点では菅さんをあなどってはいけないと思います。

そのことを念頭に置いていただき、エネルギー政策に関することを以下に多少まとめておきます。

下の動画は、石川迪夫氏が、月刊『WiLL』4月号の記事「間違いだらけのNHKスペシャル『原発解体』」において指摘したように、NHKは「廃炉解体」について報じた中で52箇所もの誤りを犯し、­悪質なナレーションや詐欺映像で原子力発電への恐怖を煽り立てた虚偽報道を行った事について掲載されています。NHKスペシャルでは、要するに、原子力を解体することは、とてつもなく難しく、危険であることを主張しています。原子力関係者からの抗議に対しても真摯な対応を見せないN­HKの報道姿勢についても取り上げています。詳細は、以下の動画をご覧になってください。


私は、日本のエネルギー政策は、あまり短期の視点にたてば、必ず失敗すると思います。最早、原発の安全神話は完全に崩れていますが、次の本格的な代替エネルギーがみつからない(風力、太陽光発電は、不安定であるし、発電効率が非常に悪いため今のままでは、基幹エネルギーとは成り得ない。日本の新幹線を稼動させるために一体いくつの太陽光発電パネルを設置したり、風力発電棟を設置しなければならないのか?)以上、現状の火力発電の発電効率を飛躍的に高める方法を開発したり、原発を使いつつも、無論原発の安全性を飛躍的に高めつつ、次の基幹エネルギーを模索して、さらに、あらゆる局面で、さらなる省エネをはかりつつ、短くても10年から長ければ20年かけて、移行していくというのが、もっとも安全・安心な行き方だと思います。

また、エネルギーに関して、忘れてはならないこととして、現在の中国の電力不足に関して掲載しておきます。中国では電力不足が慢性化しており、生産活動に影響を与えています。発電量の7割を石炭を中心とした、火力発電に依存していますが、政府が物価抑制のため電力料金を抑えています。資源価格の上昇に伴い、赤字を抑制するために、電力供給に制限を­設けて停電を行っているという背景があります。


中国では、石炭価格の上昇と電力卸価格の据え置きのはざまに置かれる発電会社が、次々に発電機の稼働を停止させています。それによって起こった深刻な電力不足が、工場の生産を直撃しており、中国の経済成長の勢いにも影を落としています。


これに関して、詳細は以下のURLをご覧になってください。


http://www.epochtimes.jp/jp/2011/05/html/d39884.html

中国の電力不足は、随分前から予測が十分ついたことです。それなのに、中国政府は、十分なエネルギー政策を実施してこなかったことが、今日の事態を招いてしまっています。

この不足状況はますます、酷くなるかもしれません。今日、世界の景気は上向く要素がかなりあります。中国もこの状況にあわて、ますます、経済発展できる可能性もあります。しかし、電力需要を十分に賄えなければ、せっかくのチャンスも取り逃がす可能性が高まります。

私は、この中国の姿は、将来の日本の姿に重なってみえてしまいます。多くの国民が、短期的視点のみにたち、原発をすぐに廃止することに賛成すれば、今日の中国の姿は明日の日本となるかもしれません。いや、それよりも悪くなってしまう可能性だって高いです。皆さん、本当に、会社が電力不足でどうしようもなくなって、あなたが解雇されたり、あるいは、賃金カットされたり、恒常的に実行される計画停電や、不意の停電などを本当に許容できますか?

何も考えずに、原発の稼働を短期のうちにとめてしまえば、間違いなくそうなります。夏の暑い日に、クーラーなしで過ごせますか?病人はどうしますか?デフレで失われた20年が続いた日本が、今度は、30年、いや、50年続くかもしれません。そうなればますます、雇用は減り続けることでしょう。

そうして、菅さんが、総理大臣で居続けるためだけに、上記のような解散を行ない、新たなエネルギー政策を発表したとして、それがバラ色だったとしても、今までの民主党のマニフエストのように本当にそれが信用できるものだと考えますか?いままで、菅さんや、民主党が約束してきたことはどうなりましたか。

私自身は、政権交代の選挙のときには、民主党には投票しませんでした。なぜなら、そのときから十分今日の姿が予測できたからです。しかし、今から考えると、そのことをこのブログでは再三にわたって掲載してきたのですが、自分のまわりの人には、それを理解してもらう努力が足りなかったと思います。その意味では、私も政権交代に加担した一人だと思い忸怩たる思いがします。

この問題は、一政治家の権力欲を満たすためだけの選挙にはどんなことがあっても、委ねるべきではありません。もっと、広範な情報と、広範な議論により明らかにしていくべきことがあります。日本の伝統文化や低エネルギー社会の理想も考慮していく必要があります。もっと、息の長い、政策論争の末に、民意も十分に反映した政策決定が必須です。そうして、どのような道を歩むにしても、一大イノベーションが必須になると思います。

もし今回、菅さんの手に多くの政治家や国民がのせられて、愚かな道を選んでしまうことにでもなってしまえば、本当に残念でなりません。

福沢諭吉の「学問のすすめ」に次の項があります。

この人民ありてこの政治あるなり
西洋の諺に、愚民の上に苛き政府ありとはこの事なり。 
こは政府の苛きにあらず、愚民の自から招く災なり。 
愚民の上に苛き政府あれば、良民の上には良き政府あるの理なり。 
故に今、我日本国においてもこの人民ありてこの政治あるなり。 
仮に人民の徳義今日よりも衰え、尚無学文盲に沈むことあらば、政府の法も今一段厳重になるべく、若し又人民皆学問に志して、物事の理を知り文明の風に赴くことあらば、政府の法も尚又寛仁大度の場合に及ぶべし。 
法の苛きと寛やかなるとは、唯人民の徳不徳に由て自から加減あるのみ。 
人誰か苛政を好て良政を悪む者あらん、誰か本国の富強を祈らざる者あらん、誰か外国の侮を甘んずる者あらん、是即ち人たる者の常の情なり。 
(福沢諭吉の学問のすすめから引用)
この内容、文語体で書かれているので、難しく感じる方もいらっしゃると思いますので、これを現代口語訳して大意を掲載します。
政治家が好き勝手にやらかすから、勉強せにゃいかんよ。 
悪い政治家が悪い政治をするんじゃなくて、バカな国民が悪い政治家をのさばらせるんだよ。 
それって、自ら招いた人災で自業自得。 
賢い国民がちゃんとした政治家を選べば、良い政治になるもんだよ。
さて、皆さん、日本のエネルギー政策を考えるには、考慮しなければならないことが山のようにあります。くれぐれも、短期的な視点で捉えることなく、短期での問題・課題点を十分に吟味し、長期のそれも十分に吟味し、それらの間のトレードオフを明確にしておく必要があります。

ちなみに、 トレードオフとは、何かを達成するために別の何かを犠牲にしなければならない関係のことを言います。いわゆる「あちら立てれば、こちらが立たぬ」に相当します。 たとえば、在庫管理にはトレードオフがつきまといます。製品の在庫を減らすと、顧客の需要に答えられず、販売機会を逃します。逆に、製品在庫を増やすと、売れ残りが生じ、無駄に保管場所をとったり、余計な費用がかかります。経営者は、このトレードオフの問題を解消しなければなりません。単純にものを考えていては、会社が潰れます。

そんなことを考えるのは、面倒と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、自分、自分の家族、自分の勤めている会社、地域、国はどうなるのか、そうしてそれに対する対応はどうあるべきかという基本的な考えをもっていなければ、次の選挙では、誰に投票して良いのかわからなくなってしまいます。今すぐに、答えを出せとはいいませんが、少なくとも、次の大きな選挙まではこの問題を考えないわけにはいきません。

あまり考えずに、投票してしまえば、上の福沢諭吉先生がいう、『愚民』になってしまいます。それだけは、避けていただきいものです。

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