天津大爆発は、中国経済に打撃を与えた=8月 |
中国経済は「アリ地獄」に落ちた。「負の連鎖」が最悪の方向へ暴走し始めたことが、種々の経済データや現状分析から明瞭に観察できる。
今年6月以来の「上海株暴落」と、8月の「人民元切り下げ」。続いた「天津大爆発」により、世界第4位の港湾施設が麻痺(まひ)し、輸出入が激減したばかりか、北京への貨物輸送が途絶えた。
この前後の、経済動態を緻密に検証してみる。リーマンショック直後からの財政出動、強気のインフラ投資、新幹線建設はまだしも、各地にゴーストタウン(鬼城)が出現したあたりから、中国経済は崩落への道に突き進み、「負の連鎖」が始まっていたことが分かる。
中国の経済政策は制度上、国務院(=日本の内閣に相当)が所管する。このため、李克強首相が経済政策の中枢を担い、彼の推進する中国の経済を「リコノミクス」と呼ぶ。
李氏自らが認めたように、中国のGDP(国内総生産)統計は水増しが多く、信頼するに値しない。「電力消費量」と「銀行融資残高」「鉄道貨物輸送量」の3つのデータを重視するとした。
となると、計算上、電力消費量が40%、銀行融資残高が35%、鉄道貨物輸送量が35%として振り分けられる「李克強指標」で見ると、7%成長をうたう中国のGDPは、本当のところ2%前後しかない。
電力消費量は横ばい、貨物輸送量は10%のマイナスだからだ。「実質はマイナス成長」に陥っていると推定できる。
中国の抱える債務はGDPの282%である。2015年末に400兆円、16年末に600兆円の償還時期がくるが、返済は無理。つまり借り換え、分かりやすくいえば、ギリシャのように「証文の書き換え」が目の前に来ているということだ。
5兆円にものぼった中国国富ファンドの日本株保有も、いつのまにか手元資金不足に陥って、静かに売却していた。
なぜなら、日本企業の株主リストは公開されており、豪のオムニバス・ファンド(=中国国富ファンドの別動隊)の名前が見つからなくなった。中国は日本株をほぼすべて売却していたのである。
あまつさえ中国は保有する米国債を取り崩し、備蓄した金も少しずつ売却している。次に地方政府の債券発行を認め、さらには住宅ローンの貸し出し分を担保の銀行融資枠を拡大し、10月には銀行金利の上限も撤廃した。
加えて、人民元建ての中国国債をロンドンでも売り出して、死に物狂いの金集めを展開している。
これは末期的症状ではないのか。
■宮崎正弘(みやざき・まさひろ)
【私の論評】今の中国が最も恐れるのは南シナ海ではない! 日銀の追加金融緩和と、アメリカの金融制裁だ(゚д゚)!
上の記事では、「中国国富ファンドの日本株保有も、いつのまにか手元資金不足に陥って、静かに売却していた」とありますが、その兆候はすでに、2013年当時から見られていました。それに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
市場から消えた中国マネー4兆円の怪 ~緊迫する尖閣との関連性~―【私の論評】消えた中国マネー4兆円は、中国国内の熱銭不足の解消に遣われただけ!日本が金融緩和という最強「対中カード」を握ったことをマスコミが報道しないのはなぜ(゚д゚)!
2012年まで中国政府系ファンドが所有していた日本株式
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国系政府ファンド『OD05オムニバス』が2013年当時、日本株を売却していた事実を示す記事を掲載します。
消えた中国マネーが憶測を呼んでいる。中国政府系ファンド『OD05オムニバス』が9月中間決算を機に、日本の主要企業の大株主から次々と姿を消したのだ。その数、判明しているだけで実に127社。今年3月期には167社(3月決算以外の24社を含む)の大株主ベスト10に登場していたのだから、まさに“激減”の言葉がピッタリである。
繰り返せば、その中国マネーが日本市場から一気に“蒸発”したのだ。大株主から消えた企業を列挙してみると、自動車ではトヨタ、日産、ホンダ、ダイハツ、スズキ、いすゞなど、ほぼ軒並み。電機ではパナソニック、東芝、ファナック、NEC、富士通などから消えた。ゼネコンでは鹿島、大成建設、大林組、清水建設。商社では三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅。さらにJR東日本、JR西日本、JR東海、NTT、NTTドコモ、新日鉄住金、野村HD、大和証券グループ本社などからこつ然と姿を消した。
ベスト10に残っている企業でも日立、ソニー、武田薬品、ソフトバンク、三菱重工などが3月期比で半減している。一方、銘柄としては少数ながらも石油資源開発、富士重工、マツモトキヨシなどは保有株数が増えている。他にベスト10以下にとどまり、第三者にはうかがい知れないケースがあるにせよ、ざっと時価4兆円からの大枚が短期間に市場から消えた計算になるのだから“事件”といえるだろう。さて、当時中国経済の実体を知らなかったと考えられる人の書いたこの元記事では、このー連の日本株売却を「有事に備えた叩き売り」などとし、「どうやら中国が強力な対日カードを握ったことだけは確かなようだ」と結んでいますが、これはとんでもない見立て違いでした。
なぜ中国がこの時点で、日本企業の株式を売却したかといえば、ブログ冒頭で宮崎氏が説明しているのと同じであり、平たくいうと当時の中国では金融が空洞化しつつあり、万が一に備えて売却せざるを得なかったというのが事実です。
なぜ、そのようなことになったかというと、2013年の4月より、日銀はそれまでの頑な、円高・デフレ政策である、金融引き締め政策一点張りの金融政策をやめ、大規模な金融緩和政策に踏み切っているからです。
そのあたりの事情をさらに、以下に引用します。
日本が包括的な異次元の緩和を行う前の中国を支えていたのは為替操作によるキャッチアップ型の経済成長であり、円高とデフレを放置する日本銀行によるものです。からくりはこうです。
慢性的な円高に苦しむ日本企業は、過度な「元安」政策をとる中国に生産拠点を移し、出来上がった製品の一部を逆輸入しています。国内で一貫生産するより、わざわざ中国を経由した方がもうかる構造になっていたのです。つまり日銀は、「デフレ政策で日本の産業空洞化を促進し、雇用と技術を中国に貢ぎ続けた」ことになります。
これ以上、日本経済が中国に振り回されないで済むにはどうしたら良かったのか。答えは簡単でした。日銀にデフレ政策をすぐやめさせることでした。そうして、実際に日銀の金融政策は、黒田日銀になってから180度転換しています。
さて、中国では、日本の金融引締めによる、超円高・元安という恵まれた経済・金融環境の中で、中国人が海外に蓄えた大量の資金を中国国内に再投資(熱銭)して、さら儲けるということが行なわれていました。まさに、大儲けです。
熱銭については、このブログでも以前紹介したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。これは、 2013年4月の記事です。中国人民銀行総裁周小川の懸念がまさに現実化しました。
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これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、熱銭に関連した部分のみ以下にコピペさせていただきます。
さて、中国はご存知の通り、実際に人民元切り下げを行いましたが、それでも経済は低迷し、株価は低迷し、中国から海外に天文学的な数字の金が流れ続けています。
そのため、外貨準備も底をつき、マイナスに転じていることはこのブログにも掲載しました。
この日本の金融緩和による中国の経済の弱体化は、まるで日本による中国に対する金融制裁のようではありませんか?実際、2012年にまだ白川体制だった、日銀が周りからせっつかれて、いやいやながら、若干の追加金融緩和を決めたときですら、吠えまくりました。
それについても、このブログで掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。この記事は、2012年9月のものです。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、それにしても、この時の周小川の苛立ちの発言は、おかしなものでした。彼の発言は、「日本が金融緩和に転ずると、過度の資本流入の懸念がある」という、奇妙奇天烈、摩訶不思議な発言でした。
これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、熱銭に関連した部分のみ以下にコピペさせていただきます。
中国が円安の衝撃を和らげるためには人民元を切り下げるしかない。中国は通貨の自由変動相場制をとっている日米欧と違って、外為市場介入によって人民元相場の変動幅を小さくする管理変動相場制をとっている。
従って、人民元を当局の意のままに切り下げることもできるが、米国は中国が意図的に人民元をドルに対して安い水準になるよう操作していると批判している。切り下げると、米国から「為替操作国」だと認定され、制裁関税を適用されかねない。
中国自身も国内事情の制約を受けている。というのは、中国の党幹部とその一族や大手国有企業はこれまで国外でため込んだ巨額の外貨を、中国国内に投資して不動産や株で運用してきた。これらが「熱銭」と呼ばれる投機資金であり、その流入によって不動産バブルの崩落は食い止められ、株価も崩壊を免れている。
通貨当局はこれまで熱銭を国内にとどめるためもあって、人民元レートを小刻みに切り上げてきたが、一転して人民元切り下げ政策に転換すれば、1000億ドル単位の熱銭が国外に逃げ出す恐れがある。アベノミクスによる円安に対し、中国はどうにも動けない。このアベノミクスによる円安により、中国投資の魅力が失せて、実際に中国内の熱銭が底をつきはじめたというわけです。特に、 2013年7月頃ではかなり熱銭が減ったとみられます。
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さて、中国はご存知の通り、実際に人民元切り下げを行いましたが、それでも経済は低迷し、株価は低迷し、中国から海外に天文学的な数字の金が流れ続けています。
そのため、外貨準備も底をつき、マイナスに転じていることはこのブログにも掲載しました。
この日本の金融緩和による中国の経済の弱体化は、まるで日本による中国に対する金融制裁のようではありませんか?実際、2012年にまだ白川体制だった、日銀が周りからせっつかれて、いやいやながら、若干の追加金融緩和を決めたときですら、吠えまくりました。
それについても、このブログで掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。この記事は、2012年9月のものです。
中国人民銀、日銀の追加緩和にいら立ち 過度の資本流入懸念−【私の論評】中国の経済破綻が始まる?!日銀を何とかしなければ、日本は草刈場になる!!
中国人民銀行 |
日本が金融緩和に転ずれば、当然のことながら、円安傾向になるわけですから、相対的に元高傾向になるわけです。とすれば、日本が円高で苦しんてきたようなことが、中国国内でも起こるわけです。要するに、中国の投資先としての魅力が失せるわけでてすから、当然のことながら、心配すべきは、過度の資本流入ではなく、過度の資本流出を懸念すべきです。
周小川としては、日本の金融緩和によって、本当は資本流出を恐れたのでしょうが、弱みを見せたくないということで、あのような珍妙な発言になったのでしょう。
とはいいながら、白川体制のときの追加金融緩和など微々たるもので、現実には周小川の懸念は、懸念で終わってしまいました。
しかし、日銀が黒田体制に変わり、異次元の金融緩和を実施しはじめたとたん、周小川の懸念は、現実のものとなりました。資本流出が本格的に始まったのです。
無論このときも、周小川はわめきまくりましたが、日本からいえば、円高・デフレを是正するために、金融緩和をしたのであり、これは単なる内政干渉に過ぎません。
無論このときも、周小川はわめきまくりましたが、日本からいえば、円高・デフレを是正するために、金融緩和をしたのであり、これは単なる内政干渉に過ぎません。
だからこそ、2013年には、中国系ファンドが日本株の売却をはじめたということです。そうして、その状況は、今もかわらず、ブロク冒頭の宮崎氏の記事にもあるように、5兆円にものぼった中国国富ファンドの日本株保有も売却するような事態が続いているのだと思います。この流れは、まだ続きます。
瀬戸際に追い詰められた習近平 |
さて、このような中国が最も恐れるのは何でしょぅか。それは、もうお分かりでしょう。日銀による追加金融緩和です。これが、実施されると、ますます中国から金が逃げて、ほんとうにすっからかんになってしまいます。
それに、中国にはもっと恐ろしいことがあります。現在米国が、南シナ海にイージス艦を派遣していますが、このアメリカの示威行動に、中国が何らかの形で譲歩せずにつっぱり続けるとどうなるでしょうか。
それは、すでに米国が北朝鮮に対して行っている、制裁措置でもある、金融制裁です。実際米国は、今年一月に北朝鮮のサイバー攻撃に対する追加措置として、金融制裁を実行しています。
日本が、追加金融緩和を実施し、アメリカが大規模な対中国金融制裁を行ったとしたら、どうなるでしょうか。当然のことながら、日米もある程度火傷をするでしょうが、中国は、そんなことではすみません。中国経済は本格的に破綻します。
昨日もこのブログに掲載したように、次世代の党の和田幹事長が提唱する、金融緩和で名目成長5%を目指すなどの政策が実行されたら、中国は中国共産党幹部らは、恐慌状態に陥ることになります。
昨日もこのブログに掲載したように、次世代の党の和田幹事長が提唱する、金融緩和で名目成長5%を目指すなどの政策が実行されたら、中国は中国共産党幹部らは、恐慌状態に陥ることになります。
いつも強面を演出する傍若無人な中国ですが、 日米が本格的に金融制裁を発動したら、ひとたまりもありません。経済の崩壊だけではすまないです。習近平体制は完璧に崩れます。それだけで、すめば良いですが、それこそ現在の中国共産党一党独裁体制自体が崩壊する恐れも十分あります。中国が南シナ海で米国を納得させる、譲歩をしなければ最終的にはこうなります。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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今の中国は、満身創痍の状態です。それを熟知していただくための書籍三冊を以下に掲載しました。
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