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2017年4月6日木曜日

失業率2%台で油断するな! 賃金の本格上昇にまだ時間、追加金融緩和でより力強く―【私の論評】反リフレ・アベノミクス派につけ入る隙を与えるな(゚д゚)!

失業率2%台で油断するな! 賃金の本格上昇にまだ時間、追加金融緩和でより力強く

 2月の完全失業率が2・8%と、22年ぶりに2%台となった。この結果はもちろん喜ばしいが、今後も低位に安定するかどうかについては、数カ月間の観察を要する。

 筆者は、これ以上下げにくいとされる「構造失業率」を2・7%程度と推計してきたが、これは、きっちり2・7%が下限になるという精密科学のようなものではなく、2・7%程度のところに長期的に超えられない岩盤があるという意味である。したがって、今の失業率がその岩盤近くになっているのかどうかは、ちょっと観察が必要だ。

 一方、日銀が長い間主張していた「構造失業率は3%半ばである」というのは、間違っていたといえる。日銀の物価リポートなどでは「構造失業率が3%半ば」という主張は本文への記載から注釈に格下げされるなど、徐々に強調されなくなってきたが、これを機にフェードアウトしてもらいたいものだ。そして、日銀が構造失業率をいまもその程度と考えているのかを明らかにすべきだろう。

 もっとも、今の方向としては、失業率が構造失業率に近づきつつあるのは、ほぼ間違いないだろう。これは日銀が金融緩和を継続しているからである。

 そして、賃金も各業種において徐々に上がりつつある。非正規労働者のアルバイトでは多くの業種で既に高くなっているようだが、正社員の給与に伝播するにはちょっと時間を要する。少なくとも、正社員の賃金については、実質的に春闘が終わったばかりなので、上昇のチャンスはあと1年待つしかない。

 今年の春闘でも、正社員の賃上げ額は昨年をわずかに下回ったが、中小企業では、昨年を上回る水準になっている。3月29日までに1954の労働組合の交渉結果を連合がまとめたものによれば、正社員の賃上げ額は、ベースアップと定期昇給を合わせて平均で月額6147円で、昨年同時期を92円下回った。このうち、従業員300人未満の中小企業では、月額4971円と昨年を17円上回った。

 日銀は、今の金利管理政策を最善だと思っているようだ。たしかに金融は緩和基調であり、失業率も低下傾向になっているのはいいことだ。

 ただし、失業率と表裏一体の関係にあるインフレ率は上がっていない。2月のインフレ率を前年同月比でみると、消費者物価総合が0・3%、生鮮食品を除く総合が0・2%、生鮮食品及びエネルギーを除く総合が0・1%にとどまっている。もちろん、失業率が下がってインフレ率が上がっていないのは悪いことではないが、もう少しインフレ率が高ければ、経済はより力強くなるだろう。

 今の金融緩和をもう少し強化できないだろうか。そうすれば、少しインフレ率は高まり、安定的に3%を切る失業率が達成できるだろう。

 今一段の金融緩和は、賃金上昇をさらにもたらす可能性もあり、経営者には不評だろう。だが、日本経済には必要だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】反リフレ・アベノミクス派に付け入る隙を与えるな(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏が指摘している構造失業率に関しては、このブログでもその意味や過去の推移を掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日銀 大規模な金融緩和策 維持を決定―【私の論評】日銀は批判を恐れずなるべくはやく追加金融緩和を実行せよ(゚д゚)!


この記事は、2016年6月16日のものです。以下にこの記事から、構造失業率に関する部分のみを引用します。

"

構造的失業率などについて以下に簡単に解説しておきます。

総務省では、失業を発生原因によって、「需要不足失業」、「構造的失業」、「摩擦的失業」の3つに分類しています。 
  • 需要不足失業―景気後退期に労働需要(雇用の受け皿)が減少することにより生じる失業 
  • 構造的失業―企業が求める人材と求職者の持っている特性(職業能力や年齢)などが異なることにより生じる失業 
  • 摩擦的失業―企業と求職者の互いの情報が不完全であるため、両者が相手を探すのに時間がかかることによる失業(一時的に発生する失業)
日銀は、構造失業率が3%台前半で、直近の完全失業率(4月時点で3・2%)から下がらないので、これ以上金融緩和の必要がないという考えが主流のようです。

過去の失業率をみてみると、以下のような状況です。

過去20年近くは、デフレなどの影響があったので、あまり参考にならないと思ういます。それより前の過去の失業率をみると、最低では2%程度のときもありました。過去の日本では、3%を超えると失業率が高くなったとみられていました。

このことを考えると、日本の構造失業率は3%を切る2.7%程度ではないかと考えられます。

であるとすれば、現在の完全失業率3.2%ですから、まだ失業率は下げられると考えます。だとすれば、さらに金融緩和をすべきでした。

しかし、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は、すでに実際の失業率が構造失業率に近い水準まで下がっているのに、なぜ賃金が上昇しないのか、疑問を持っていたようです。にもかかわらず、今回は追加金融緩和を見送ってしまいました。
"

高橋洋一氏の記事にもあるように、昨年6月時点での日銀の構造失業率が3%台前半という見立ては、間違いであることが、今回実証されたわけです。

以下に、日経新聞の経済指標ダッシュボードから消費者物価指数の推移のグラフを掲載します。


上の高橋氏の記事には、2月末消費者物価の前年比は、0.3%となっていますが、日経の資料では0.2%です。統計のとりかたが違うのか、実測値と予測値の差異なのか、よくわかりませんが、このくらいだと誤差の範囲です。どのみち、かなり低い伸びであることには代わりありません。

上のグラフをみると、消費者物価指数が2014年度からそれまで、かなり順調に上昇していた物価が、下がり始めています。これは、無論8%増税の悪影響です。しかし、この悪影響も2016年から17年にかけて上昇しつつあります。

やはりさらに金融緩和を継続する必要があります。もし、日銀が昨年時点で追加金融緩和に踏み切っていれば、もっとはやくに失業率が3%台をきり、インフレ率もあがっていたことでしょう。

このように、日銀がグズグスしていて、物価目標がなかなか達成できないのと、実質賃金があまりあがらないことから、反リフレ派や、反アベノミクス派に、リフレやアベノミックスは失敗だったなどと論評されるなど、つけいる隙を与えてしまっています。

無論、反リフレ・アベノミクス派の論点は、すべて論破できる程度の幼稚なものですが、それにしてもそれに引きづられる政治家やメディア関係者も多数存在するのですから、日銀としては、これを牽制するためにも、さらなる追加金融緩和を実行していただきたいものです。

今からでも、遅くないです。日銀は、追加金融緩和を実行して、早期に物価目標ならびに、実質賃金の力強い上昇による、日本経済の復活を目指していただきたいです。

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2016年6月16日木曜日

日銀 大規模な金融緩和策 維持を決定―【私の論評】日銀は批判を恐れずなるべくはやく追加金融緩和を実行せよ(゚д゚)!

日銀 大規模な金融緩和策 維持を決定



日銀は、16日まで開いた金融政策決定会合で、国内の景気は基調としては緩やかな回復を続けているとしてマイナス金利政策を含めた今の大規模な金融緩和策を維持することを決めました。

日銀は16日までの2日間、金融政策決定会合を開き、国内外の景気や物価の現状と先行きについて議論しました。

その結果、消費は「一部に弱めの動きもみられるが、雇用・所得環境の着実な改善を背景に底堅く推移している」としました。

企業の生産は「地震による影響もあって横ばい圏内の動きを続けている」とし、住宅投資は「再び持ち直している」としました。

これらを踏まえて日銀は、国内の景気について「新興国経済の減速の影響などから輸出・生産面に鈍さがみられるものの、基調としては緩やかな回復を続けている」という判断を示しました。

そのうえで、目標とする2%の物価上昇率の達成に向け、マイナス金利政策を含めた今の大規模な金融緩和策を維持することを賛成多数で決めました。

金融市場では、今月23日にイギリスで行われる国民投票に向けて、EU=ヨーロッパ連合からの離脱派が勢いを増しているとの見方から円高や株安が進むなど不安定な値動きが続いています。

しかし、今回の決定で日銀としては、マイナス金利政策が経済に及ぼす効果や、イギリスの国民投票の結果を見極めたいと判断したものとみられます。

【私の論評】日銀は批判を恐れずなるべくはやく追加金融緩和を実行せよ(゚д゚)!

結論からいうと、日銀は追加金融緩和を行うべきでした。以前このブログにも掲載したように、いくら金融緩和しても下げられない失業率を「構造的失業率」といい、実際の失業率が構造的失業率まで下がらないと、物価や実質賃金は本格的に上昇せず、インフレ目標の達成もおぼつかないことになります。

構造的失業率などについて以下に簡単に解説しておきます。

総務省では、失業を発生原因によって、「需要不足失業」、「構造的失業」、「摩擦的失業」の3つに分類しています。 
  • 需要不足失業―景気後退期に労働需要(雇用の受け皿)が減少することにより生じる失業 
  • 構造的失業―企業が求める人材と求職者の持っている特性(職業能力や年齢)などが異なることにより生じる失業 
  • 摩擦的失業―企業と求職者の互いの情報が不完全であるため、両者が相手を探すのに時間がかかることによる失業(一時的に発生する失業)
日銀は、構造失業率が3%台前半で、直近の完全失業率(4月時点で3・2%)から下がらないので、これ以上金融緩和の必要がないという考えが主流のようです。

過去の失業率をみてみると、以下のような状況です。

過去20年近くは、デフレなどの影響があったので、あまり参考にならないと思ういます。それより前の過去の失業率をみると、最低では2%程度のときもありました。過去の日本では、3%を超えると失業率が高くなったとみられていました。

このことを考えると、日本の構造失業率は3%を切る2.7%程度ではないかと考えられます。

であるとすれば、現在の完全失業率3.2%ですから、まだ失業率は下げられると考えます。だとすれば、さらに金融緩和をすべきでした。

しかし、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は、すでに実際の失業率が構造失業率に近い水準まで下がっているのに、なぜ賃金が上昇しないのか、疑問を持っていたようです。にもかかわらず、今回は追加金融緩和を見送ってしまいました。

日銀黒田総裁
2014年10月の日銀の追加緩和は、安倍晋三政権による消費税率10%への再増税を後押しするためだったといわれており、このときの黒田相殺は、中央銀行総裁というよりは、元財務省出身者の立場が良く現れていたと思います。

しかしながら、マイナス金利の導入は、中央銀行総裁としての面目躍如というところで、見事に中央銀行総裁の立場を示したものといえました。

しかし、安倍政権は再び再増税を延期し、今回もまた増税を見送ったというか、以前のこのブロクにも述べたように、これはほんど凍結に近いものです。財務省の落胆はかなり、大きかったでしょう。この心情を理解した黒田総裁は、今回も金融緩和する気になれなかったのでしょう。まさに、今回は、中銀行総裁というよりは、旧財務省出身者の立場が貫かれているようです。

しかし、本来は金融緩和を行うべきでした。そうして今回行うべきは、「マイナス金利」の拡大ではなく、量的緩和による国債買い入れ額の拡大とすべきでした。

現在政府の景気対策として、財投債(国債の一種)発行によるインフラ整備が20兆円規模で検討されており、補正予算が秋の臨時国会で決定される予定です。その後で、量的緩和の拡大を日銀が行うと、「ヘリコプターマネー」との批判を受けたかもしれません。


しかし、インフレ率が低い現状では、全く取るに足らない批判ですが、日銀としては無駄な説明をしたくないという認識あったのかもしれません。であれば、政府が国債を発行する前に量的緩和しておけば、日銀にとっては良い選択だったと思います。

しかし、今回も量的緩和をしなかったということで、補正予算が決まった後で、量的緩和ということになると、「ヘリコプターマネー」との批判をかなり受けやすくなるといことで、緩和をしにくい状況になると思います。

それにしても、このままでは、いずれ金融緩和の効果も薄れてくるのは必定です。結局、消費税にこだわる財務省とその片棒をかづく政治家やマスコミによって日本はせっかくのデフレ脱却のチャンスを逃すことにもなりかねません。

どこかで、日銀黒田総裁は、初心を思いおこし、中央銀行総裁としての矜持を貫いていただきたいものです。

街頭演説をする安倍総理
それにしても、今回の参議院選挙は追加金融緩和の見送りでかなり厳しくなりました。今回は、ある程度国民からお灸を据えられそうな雲行きです。野党も株安や円高を責めてくることになるでしょう。野党は、「アベノミクス失敗」の連呼でずいぶんと戦いやすくなったかもしれません。

とはいっても、現在金融緩和をするしないで、すぐに7月の参院選の頃にその影響が現れるということではありません。株価や、為替は別にして、実体経済に対する金融緩和の効き目にはタイムラグがあります。1〜2年程度を経てからはじめてその効果がでてきます。

それに野党は、金融政策と雇用や経済が密接に結びついていることなど全く理解していません。だから、彼らの主張する「アベノミクス失敗」は全く頓珍漢で単なる個人攻撃に過ぎないものです。彼らの批判は一部の人にしか受け入れられません。そもそも、現状の雇用状況のかなりの改善があるのですから、「アベノミクス失敗」と連呼してもそれは一部の人にしか影響を与えません。

だからすぐにどうこうのということはないです。しかし、長期的にみれば必ずその影響は現れてきます。近いうちに追加金融緩和をしないと、あいかわらず実質賃金が上昇しないという事態に見舞われることになります。それに、せっかくかなり改善した雇用環境が悪化するかもしれません。

これまで、安倍総理を一番支えてきたのが、他ならぬ金融緩和であることを理解しないと安倍総理は退陣せざをえなくなるかもしれません。そうなれば、一番財務省が喜ぶことになります。

そうして、日本経済はまたデフレスパイラルのどん底に沈み込むことになります。

そんなことは、断じて避けなければなりません。日銀は、「ヘリコプターマネー」と批判されたとしても、近いうちに必ず追加金融緩和を行うべきです。

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2015年11月6日金曜日

【異形の中国】死に物狂いで金集めに走る中国 日本株も静かに売却していた…―【私の論評】今の中国が最も恐れるのは南シナ海ではない! 日銀の追加金融緩和と、アメリカの金融制裁だ(゚д゚)!

【異形の中国】死に物狂いで金集めに走る中国 日本株も静かに売却していた… 

天津大爆発は、中国経済に打撃を与えた=8月

中国経済は「アリ地獄」に落ちた。「負の連鎖」が最悪の方向へ暴走し始めたことが、種々の経済データや現状分析から明瞭に観察できる。

今年6月以来の「上海株暴落」と、8月の「人民元切り下げ」。続いた「天津大爆発」により、世界第4位の港湾施設が麻痺(まひ)し、輸出入が激減したばかりか、北京への貨物輸送が途絶えた。

この前後の、経済動態を緻密に検証してみる。リーマンショック直後からの財政出動、強気のインフラ投資、新幹線建設はまだしも、各地にゴーストタウン(鬼城)が出現したあたりから、中国経済は崩落への道に突き進み、「負の連鎖」が始まっていたことが分かる。

中国の経済政策は制度上、国務院(=日本の内閣に相当)が所管する。このため、李克強首相が経済政策の中枢を担い、彼の推進する中国の経済を「リコノミクス」と呼ぶ。
李氏自らが認めたように、中国のGDP(国内総生産)統計は水増しが多く、信頼するに値しない。「電力消費量」と「銀行融資残高」「鉄道貨物輸送量」の3つのデータを重視するとした。

となると、計算上、電力消費量が40%、銀行融資残高が35%、鉄道貨物輸送量が35%として振り分けられる「李克強指標」で見ると、7%成長をうたう中国のGDPは、本当のところ2%前後しかない。 

電力消費量は横ばい、貨物輸送量は10%のマイナスだからだ。「実質はマイナス成長」に陥っていると推定できる。

中国の抱える債務はGDPの282%である。2015年末に400兆円、16年末に600兆円の償還時期がくるが、返済は無理。つまり借り換え、分かりやすくいえば、ギリシャのように「証文の書き換え」が目の前に来ているということだ。

5兆円にものぼった中国国富ファンドの日本株保有も、いつのまにか手元資金不足に陥って、静かに売却していた。

なぜなら、日本企業の株主リストは公開されており、豪のオムニバス・ファンド(=中国国富ファンドの別動隊)の名前が見つからなくなった。中国は日本株をほぼすべて売却していたのである。

あまつさえ中国は保有する米国債を取り崩し、備蓄した金も少しずつ売却している。次に地方政府の債券発行を認め、さらには住宅ローンの貸し出し分を担保の銀行融資枠を拡大し、10月には銀行金利の上限も撤廃した。 

加えて、人民元建ての中国国債をロンドンでも売り出して、死に物狂いの金集めを展開している。

これは末期的症状ではないのか。

■宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 

【私の論評】今の中国が最も恐れるのは南シナ海ではない! 日銀の追加金融緩和と、アメリカの金融制裁だ(゚д゚)!

上の記事では、「中国国富ファンドの日本株保有も、いつのまにか手元資金不足に陥って、静かに売却していた」とありますが、その兆候はすでに、2013年当時から見られていました。それに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
市場から消えた中国マネー4兆円の怪 ~緊迫する尖閣との関連性~―【私の論評】消えた中国マネー4兆円は、中国国内の熱銭不足の解消に遣われただけ!日本が金融緩和という最強「対中カード」を握ったことをマスコミが報道しないのはなぜ(゚д゚)!
 
2012年まで中国政府系ファンドが所有していた日本株式

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国系政府ファンド『OD05オムニバス』が2013年当時、日本株を売却していた事実を示す記事を掲載します。
 消えた中国マネーが憶測を呼んでいる。中国政府系ファンド『OD05オムニバス』が9月中間決算を機に、日本の主要企業の大株主から次々と姿を消したのだ。その数、判明しているだけで実に127社。今年3月期には167社(3月決算以外の24社を含む)の大株主ベスト10に登場していたのだから、まさに“激減”の言葉がピッタリである。

 繰り返せば、その中国マネーが日本市場から一気に“蒸発”したのだ。大株主から消えた企業を列挙してみると、自動車ではトヨタ、日産、ホンダ、ダイハツ、スズキ、いすゞなど、ほぼ軒並み。電機ではパナソニック、東芝、ファナック、NEC、富士通などから消えた。ゼネコンでは鹿島、大成建設、大林組、清水建設。商社では三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅。さらにJR東日本、JR西日本、JR東海、NTT、NTTドコモ、新日鉄住金、野村HD、大和証券グループ本社などからこつ然と姿を消した。 
 ベスト10に残っている企業でも日立、ソニー、武田薬品、ソフトバンク、三菱重工などが3月期比で半減している。一方、銘柄としては少数ながらも石油資源開発、富士重工、マツモトキヨシなどは保有株数が増えている。他にベスト10以下にとどまり、第三者にはうかがい知れないケースがあるにせよ、ざっと時価4兆円からの大枚が短期間に市場から消えた計算になるのだから“事件”といえるだろう。
さて、当時中国経済の実体を知らなかったと考えられる人の書いたこの元記事では、このー連の日本株売却を「有事に備えた叩き売り」などとし、「どうやら中国が強力な対日カードを握ったことだけは確かなようだ」と結んでいますが、これはとんでもない見立て違いでした。

なぜ中国がこの時点で、日本企業の株式を売却したかといえば、ブログ冒頭で宮崎氏が説明しているのと同じであり、平たくいうと当時の中国では金融が空洞化しつつあり、万が一に備えて売却せざるを得なかったというのが事実です。

なぜ、そのようなことになったかというと、2013年の4月より、日銀はそれまでの頑な、円高・デフレ政策である、金融引き締め政策一点張りの金融政策をやめ、大規模な金融緩和政策に踏み切っているからです。

そのあたりの事情をさらに、以下に引用します。
日本が包括的な異次元の緩和を行う前の中国を支えていたのは為替操作によるキャッチアップ型の経済成長であり、円高とデフレを放置する日本銀行によるものです。からくりはこうです。 
慢性的な円高に苦しむ日本企業は、過度な「元安」政策をとる中国に生産拠点を移し、出来上がった製品の一部を逆輸入しています。国内で一貫生産するより、わざわざ中国を経由した方がもうかる構造になっていたのです。つまり日銀は、「デフレ政策で日本の産業空洞化を促進し、雇用と技術を中国に貢ぎ続けた」ことになります。 
これ以上、日本経済が中国に振り回されないで済むにはどうしたら良かったのか。答えは簡単でした。日銀にデフレ政策をすぐやめさせることでした。そうして、実際に日銀の金融政策は、黒田日銀になってから180度転換しています。
さて、中国では、日本の金融引締めによる、超円高・元安という恵まれた経済・金融環境の中で、中国人が海外に蓄えた大量の資金を中国国内に再投資(熱銭)して、さら儲けるということが行なわれていました。まさに、大儲けです。
熱銭については、このブログでも以前紹介したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。これは、 2013年4月の記事です。中国人民銀行総裁周小川の懸念がまさに現実化しました。

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これも詳細は、この記事をご覧いただくものとして、熱銭に関連した部分のみ以下にコピペさせていただきます。

 
 中国が円安の衝撃を和らげるためには人民元を切り下げるしかない。中国は通貨の自由変動相場制をとっている日米欧と違って、外為市場介入によって人民元相場の変動幅を小さくする管理変動相場制をとっている。 
 従って、人民元を当局の意のままに切り下げることもできるが、米国は中国が意図的に人民元をドルに対して安い水準になるよう操作していると批判している。切り下げると、米国から「為替操作国」だと認定され、制裁関税を適用されかねない。 
 中国自身も国内事情の制約を受けている。というのは、中国の党幹部とその一族や大手国有企業はこれまで国外でため込んだ巨額の外貨を、中国国内に投資して不動産や株で運用してきた。これらが「熱銭」と呼ばれる投機資金であり、その流入によって不動産バブルの崩落は食い止められ、株価も崩壊を免れている。 
 通貨当局はこれまで熱銭を国内にとどめるためもあって、人民元レートを小刻みに切り上げてきたが、一転して人民元切り下げ政策に転換すれば、1000億ドル単位の熱銭が国外に逃げ出す恐れがある。アベノミクスによる円安に対し、中国はどうにも動けない。
このアベノミクスによる円安により、中国投資の魅力が失せて、実際に中国内の熱銭が底をつきはじめたというわけです。特に、 2013年7月頃ではかなり熱銭が減ったとみられます。
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さて、中国はご存知の通り、実際に人民元切り下げを行いましたが、それでも経済は低迷し、株価は低迷し、中国から海外に天文学的な数字の金が流れ続けています。

そのため、外貨準備も底をつき、マイナスに転じていることはこのブログにも掲載しました。

この日本の金融緩和による中国の経済の弱体化は、まるで日本による中国に対する金融制裁のようではありませんか?実際、2012年にまだ白川体制だった、日銀が周りからせっつかれて、いやいやながら、若干の追加金融緩和を決めたときですら、吠えまくりました。

それについても、このブログで掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。この記事は、2012年9月のものです。
中国人民銀、日銀の追加緩和にいら立ち 過度の資本流入懸念−【私の論評】中国の経済破綻が始まる?!日銀を何とかしなければ、日本は草刈場になる!!
中国人民銀行
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、それにしても、この時の周小川の苛立ちの発言は、おかしなものでした。彼の発言は、「日本が金融緩和に転ずると、過度の資本流入の懸念がある」という、奇妙奇天烈、摩訶不思議な発言でした。

日本が金融緩和に転ずれば、当然のことながら、円安傾向になるわけですから、相対的に元高傾向になるわけです。とすれば、日本が円高で苦しんてきたようなことが、中国国内でも起こるわけです。要するに、中国の投資先としての魅力が失せるわけでてすから、当然のことながら、心配すべきは、過度の資本流入ではなく、過度の資本流出を懸念すべきです。

周小川としては、日本の金融緩和によって、本当は資本流出を恐れたのでしょうが、弱みを見せたくないということで、あのような珍妙な発言になったのでしょう。

とはいいながら、白川体制のときの追加金融緩和など微々たるもので、現実には周小川の懸念は、懸念で終わってしまいました。

しかし、日銀が黒田体制に変わり、異次元の金融緩和を実施しはじめたとたん、周小川の懸念は、現実のものとなりました。資本流出が本格的に始まったのです。

無論このときも、周小川はわめきまくりましたが、日本からいえば、円高・デフレを是正するために、金融緩和をしたのであり、これは単なる内政干渉に過ぎません。

だからこそ、2013年には、中国系ファンドが日本株の売却をはじめたということです。そうして、その状況は、今もかわらず、ブロク冒頭の宮崎氏の記事にもあるように、5兆円にものぼった中国国富ファンドの日本株保有も売却するような事態が続いているのだと思います。この流れは、まだ続きます。

瀬戸際に追い詰められた習近平



さて、このような中国が最も恐れるのは何でしょぅか。それは、もうお分かりでしょう。日銀による追加金融緩和です。これが、実施されると、ますます中国から金が逃げて、ほんとうにすっからかんになってしまいます。

それに、中国にはもっと恐ろしいことがあります。現在米国が、南シナ海にイージス艦を派遣していますが、このアメリカの示威行動に、中国が何らかの形で譲歩せずにつっぱり続けるとどうなるでしょうか。

それは、すでに米国が北朝鮮に対して行っている、制裁措置でもある、金融制裁です。実際米国は、今年一月に北朝鮮のサイバー攻撃に対する追加措置として、金融制裁を実行しています。

日本が、追加金融緩和を実施し、アメリカが大規模な対中国金融制裁を行ったとしたら、どうなるでしょうか。当然のことながら、日米もある程度火傷をするでしょうが、中国は、そんなことではすみません。中国経済は本格的に破綻します。

昨日もこのブログに掲載したように、次世代の党の和田幹事長が提唱する、金融緩和で名目成長5%を目指すなどの政策が実行されたら、中国は中国共産党幹部らは、恐慌状態に陥ることになります。

いつも強面を演出する傍若無人な中国ですが、 日米が本格的に金融制裁を発動したら、ひとたまりもありません。経済の崩壊だけではすまないです。習近平体制は完璧に崩れます。それだけで、すめば良いですが、それこそ現在の中国共産党一党独裁体制自体が崩壊する恐れも十分あります。中国が南シナ海で米国を納得させる、譲歩をしなければ最終的にはこうなります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【スクープ最前線】米中“激突”背景に習氏の外交失敗 英晩餐会では意味深長なメニュー 【私の論評】先進国は中国などあてにしなくて良い!あのドイツのメルケルも習近平の中国にあてつけをしていた(゚д゚)!




【関連図書】

今の中国は、満身創痍の状態です。それを熟知していただくための書籍三冊を以下に掲載しました。



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2014年12月25日木曜日

第3次安倍内閣は経済再生優先、アベノミクス進化―【私の論評】今年は金融緩和が効き目はまだない、財政政策がものを言う! 安倍総理は、積極財政に踏み切らざるをえない(゚д゚)!

第3次安倍内閣は経済再生優先、アベノミクス進化

第三次安倍内閣発足

第3次安倍内閣が24日、発足した。安倍晋三首相がアベノミクスを問う選挙と位置づけた先の衆院選での勝利を受け、引き続き経済最優先で政策運営にあたるため、防衛相以外の閣僚を全て再任。まずは経済対策を策定し、今年度補正予算、来年度予算の早期編成と成立を図る。

安倍首相は内閣発足後の会見で、「アベノミクスの成功を確かなものにすることが最大の課題だ。アベノミクスを進化させていく」と語った。

<閣僚はほぼ再任>

新内閣について、首相は第2次安倍改造内閣の全閣僚を再任する意向だったが、政治資金問題で野党の追及を受けた江渡聡徳防衛相が再任を固辞したことから、中谷元・元防衛庁長官を後任に起用。他の全ての閣僚は再任した。

安倍首相は会見で、中谷防衛相の下で、安全保障に関する法案準備を進め、国民の理解を得る努力続けながら、通常国会での成立を図りたいとした。

<アベノミクス前進に全力>

麻生太郎財務相、甘利明経済再生担当相ら主要経済閣僚は再任され、引き続きアベノミクスを前進させる役割を担う。

安倍首相は会見で、アベノミクスの成功を確かなものにするとしたうえで、選挙期間中に聞いた様々な声を反映してさらに「進化させていきたい」とし、消費増税先送りでも社会保障の充実を可能な限り実施していく考えを示した。

一方、「経済再生と財政再建の二兎を追う政権」(菅義偉官房長官)として、2020年度の基礎的財政収支黒字化達成に向けた財政再建への具体的な計画作りも大きな課題となる。

<統一地方選へ、地方再生が鍵>

来年4月に統一地方選挙を控える新政権にとって、アベノミクスの恩恵がまだ得られていない地方にどれだけ効果を波及させることができるかも大きな課題だ。27日に決定する予定の経済対策では、地域の実情に配慮して消費を喚起するための交付金など、地方活性化策が目玉となる。

「統一地方選で安定した政治ができる体制を完成させたい」(谷垣禎一自民党幹事長)と位置づける戦いに向け、地方再生で成果を出していきたい考えだ。

以上は要約です。詳細をご覧になりたい方はこちらから!

【私の論評】来年は追加金融緩和の効き目はまだ期待できない、財政政策がものを言う! 安倍総理は、サプライズを伴う積極財政に踏み切らざるをえない(゚д゚)!

以下に、選挙前のものではありますが、最近の経済状況を網羅的に解りやすく説明した、高橋洋一氏の動画を掲載します。



この動画で高橋洋一氏が述べているように、アベノミクスは、当初は金融緩和で始まりましたが、この動画で高橋洋一氏が語っているように、金融効果のが効いてくるのは、1年以上たってからということで、今年の10月の金融緩和は、来年の経済には寄与することはあまり期待できません。

また、円安については、円高と比較すれば、円安のデメリットもあるものの、円高のデメリットのほうがかなり大きく、円安が大変だとするのは間違いです。その間違いをいろいろ、屁理屈をつけて、以下の動画で辛坊治郎が語っています。これじゃ、辛坊が財務省の回し者であると言われても仕方ないと思います。



とにかく、現状の円安水準をどうのこうのいう輩は胡散臭いです。円安は、今の日本にとっては、非常に良いことです。野田政権のときの、1ドル70円台のとを思い出してみて下さい。本当にとんでもないことになっていました。深刻な円高倒産が質、量ともに最悪の水準であったという事実があります。これを無視して、円安がさもかなり悪影響があるかのような、話をする連中は辛坊に限らず本当に胡散臭いです。

さて、平成15年度に、金融緩和が実体経済に及ぼす良い影響はあまり期待できないとすれば、安部首相が、アベノミクスとして打ち出す効果のある経済政策は、積極財政ということになります。

この積極財政で今のところはっきり打ち出されているのは、3.5兆円です。これについては、このブログでも紹介しました。その記事のURLを以下に掲載します。
経済対策3.5兆円に 27日にも決定 地方支援で規模拡大―【私の論評】8%増税悪影響は甚大、対策を怠れば、デフレからの脱却は遠のく!しかし、最も警戒しなければならないのは昼行灯の似非識者と財務省か(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、経済対策として地方支援で規模拡大をするということで3.5兆円で編成するという政府の方針について紹介しました。これでは、規模があまりにも少なすぎて、焼け石に水であることを掲載しました。

ただし、どの程度少ないのかについては、述べませんでした。これに関しては、需給ギャップが参考になります。

日本における直近の需給ギャップがどの程度あるかは、内閣府が定期的に公表しています。それによると、現状では、需要不足なお30兆円であり、デフレ脱却の道はまだまだ厳しいです。

内閣府は4日、日本経済の需要と潜在的な供給力との差を示す「需給ギャップ」が、7~9月期にマイナス2.7%になったとの試算を発表しました。名目では年率換算で14兆円の需要不足になる。前期(マイナス2.2%、11兆円)から需要不足が拡大しました。増税後の個人消費の低迷が長引き、実際の経済成長率が1.6%減となったことが響きました。

需給ギャップは経済全体の供給力に対する需要を示したもので、物価動向などに影響を与える。需給ギャップがマイナスになるのは2008年7~9月期以降、約6年連続で、デフレ脱却にかかる時間の長さを印象付けます。

この「需給ギャップ」、2009年10~12月期はマイナス6.1%で、金額にすると年換算で約30兆円の需要が不足だったので、震災による公共工事や、その後の金融政策などで現在の規模にまで縮小いているわけですが、それでも、年率にするとまだ10兆円以上のギャップが存在しているという深刻な状況です。


さて、これを是正するためには、3.5兆円程度の経済対策では全くもって、不十分なわけです。来年は、少なくとも、年間で10兆円以上の経済対策が必要になります。


この意味するところは、いろいろありますが、平たくいうと天下国家論よりも、まずは経済を安定させて、生活不安がなくなってから、それから天下国家論をするべきとの国民の審判がなされたものとみなすべきです。次世代の党の、経済政策はかなりお粗末でした。それに、主だったメンバーは、マクロ経済を理解していないと思われるような発言を繰り返していました。

安全保障でも、戦後体制からの脱却も、改憲もまずは、目先の経済がまともにならなければ、あまり意味を持ちません。これらが、全部成就しても、経済がズタズタになっていれば、国防費も満足に捻出できません。まずは、この異常なデフレを克服するのが最優先課題です。

次世代の党は経済を軽んじすぎた!

すでに、15年以上も日本はデフレが続いており、今のままでは、良かれと思って何かを実行すると、他の何かが駄目になるというモグラ叩き状態にあり、閉塞状況にあります。おそらく、安倍政権が経済を軽んじて、戦後体制から脱却とか、改憲などのことばかり打ち出せば、支持率はかなり低下するものと思います。

だからこそ、安倍総理は、今回の解散総選挙の大義を「増税見送り」「アベノミクスの継続」を掲げて、勝利することができたのです。

だから、安倍政権としては、まずは経済対策を優先することになると思います。そうして、8%増税によって、経済が悪化することが明々白々であったにもかかわらず、日銀の黒田総裁は、追加の金融緩和策をしなくても、日本経済は落ち込むことはないと主張しましたが、実際に8%増税をしたところ、その主張は脆くも打ち砕かれ、過去二年間にわたる、アベノミクスの成果は水の泡と消え、アベノミクス実施直前の状況に戻ってしまったわけです。

この状況を打破するため、黒田日銀総裁は、今年の10月31日に追加金融緩和に踏み切ったわけです。しかし、これは遅きに失しました。本来は、8%増税が決まった直後に実施すべきでした。なぜなら、先に述べたように、そうして高橋洋一氏も語っているように、金融緩和政策は、実体経済に効き目があらわれるまでには、少なくとも一年くらいはかかるからです。

そうすると、来年の経済を良くするためには、財政政策が大きな鍵をにぎるわけです。そうして、先ほど述べたように、名目では年率換算で14兆円の需要不足が生じている現在、少なくても10兆円以上の政府による経済対策が必須となるわけです。

今後安倍政権が、安定して、長期政権になるためには、少なとくも10兆円規模の財政出動が必要不可欠となります。そうして、公共工事の供給制約のある現在では、できるなら、消費税を5%に戻すか、それができないというのなら、8%増税を帳消しにする程の規模の所得税減税と、給付金政策を行うべきです。

安倍総理は、是が非でも日本をデフレから脱却させなければならない

これを実行するための、方法としては、私自身は国債で賄っても良いと思うのですが、赤字国債を嫌う人も多いので、財源としては、それこそ、高橋洋一氏も主張しておられるように、いわゆる「埋蔵金」を活用すれば良いのです。今の段階なら、円安で含み益が10兆円以上あると思われる外国為替資金特別会計(外為特会)の活用が良いです。もちろん、外為資金百数十兆円すべてが埋蔵金ではなく、あくまで含み益の部分です。

こういう含み益のことも言わず、円安のネガティブな面ばかり強調する辛坊氏の経済論は、どことなく、胡散臭く信用なりません。

いずれにせよ、安倍政権がまともな積極財政にとりくまず、過去の政府のように焼け石に水のような、桁違いに小規模な経済対策に終始するならば、支持率は激減し、安倍長期政権の夢は水泡に帰することは、火を見るよりも明らかです。

それにしても、異次元の包括的金融緩和で口火を切ったアベノミクスを実行に移したのは、安倍総理です。この安倍総理が、現在の状況から、積極財政に踏み切る、それもサプライズを伴う積極財政を実行に移すのは間違いないと思います。

選挙前は、そのようなことは不可能だったかもしれませんが、選挙で大勝した今ならできます。財務省も面従腹背ではありますが、安倍総理の打ち出す、積極財政に従うことになると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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以下の書籍をお読みいただければ、現時点の日本経済に関する疑問はことごとく、払拭されます。経済を理解したい、経済を語りたいなら、新聞や、SNSでは得られない体系的な書籍による情報を得られることをおすすめします。


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2014年11月16日日曜日

消費再増税延期は朗報?トンデモ時限爆弾仕込む財務省の愚行、露呈した専門家らの出鱈目―【私の論評】狂気の沙汰としか言いようがない10%増税が見送られるのは当然だが、日銀の追加金融緩和だけでは8%増税による悪影響への対策は不十分。なのに組織的認知症を患った財務省は一体何をしている(゚д゚)!

消費再増税延期は朗報?トンデモ時限爆弾仕込む財務省の愚行、露呈した専門家らの出鱈目

文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授

消費再増税延期、衆議院解散・総選挙の可能性について報じる新聞各紙

 今週、政府が2015年10月に予定していた8%から10%への消費再増税を延期する方向で最終調整に入っており、安倍晋三首相は再増税延期の是非を国民に問うために衆議院を解散する意向だと一斉に報じられた。ただし、現在首相は外遊中で帰国は17日であり、首相の公式発言からはこうした話は一切聞こえてこず、憶測だけが一人歩きしている状態だ。だが、衆院議員の中にはすでに選挙事務所などを確保している人も多く、もはや解散は止められない様相を呈している。

 こうした中で、これまで再増税一辺倒であった民主党も一転して延期容認に傾いているという報道も出てきており、野党も急な選挙で混乱状態に陥っている。何しろ民主党は先の総選挙から2年も経過するにもかかわらず、全選挙区の半分にも候補者を立てられておらず準備不足だ。日本維新の会との連携も不調であり、頼みの野党間での選挙協力も期待できず、あたふたと方針を変更している。日本経済にとっては、民主党を方針転換させただけでも政府の消費再増税延期は評価できる。自民党内の増税派も姿勢を変えるだろう。

 そもそも、経済悪化の下での増税はセオリーでない。経済が悪い時には減税、良い時には増税が常識だ。何しろ4月の5%から8%(注:元記事は、11月16日の朝現在では、3%から5%となっていたが、管理人訂正)への消費増税は、従来の消費増税と異なり、他の減税なしでの増税だった。引き上げ幅も3%と諸外国に比べて大きかったので、筆者の予想通り景気は悪化した。安倍首相は経済を重視しているので当然の判断ができるわけだが、再増税をしたい財務省に媚びて誤った内容を伝えるエコノミストやマスコミが多すぎる。そういった人たちの邪推を打ち砕く意味でも延期の意義は大きい。

●財務省が狙う景気条項削除

 今、財務省と首相官邸との間では激しいやりとりが行われている。財務省は、1年半の再延長を認める代わりに消費増税法に含まれる景気条項を削除せよと要求しているのだ。景気条項とは、再増税の条件として判断時の景気を見極めることを明記するものだが、これを削除するということは1年半後がいかなる経済状況でも自動的に再増税される時限爆弾といえる。経済政策としては信じ難い内容だが、経済が生き物だということを肝に銘じながら、弾力的な対応ができるよう法整備をしておく必要があることはいうまでもない。

前述の通り、今回の消費再増税延期は日本経済にとっては朗報である。ここ数日間株式市場が上昇トレンドをみせているのは、4月の消費増税で景気が低迷していた分を取り戻しているためであろう。消費再増税を延期すると日本売りが進むという専門家の見方は早くも外れた。延期で当面経済が良くなるわけで、政府はその間に本格的な経済成長策を仕組める。さらに世界経済への貢献という点でも、日本経済が好調なほうがいい。

 ちなみに、「海外は消費再増税を国際公約とみなしているので再増税を実行すべき」という意見もあったが、米国財務長官など海外からは「見送るべき」という声も寄せられており、国際公約ではないことが明らかとなった。このように出鱈目な意見が露呈するという意味でも、再増税の見送りは評価されるべきだといえよう。

(文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授)

【私の論評】狂気の沙汰としか言いようがない10%増税が見送られるのは当然!追加金融緩和だけでは8%増税による悪影響への対策は不十分!なのに組織的認知症を患った財務省は一体何をしている(゚д゚)!

上の記事、誤りを訂正した上で、全文掲載させていただきました。この誤りは、いずれ訂正されるかもしれませんが、明らかに間違いなのでここに訂正させていただきます。残念なミスです。

なお、これがミスであることの根拠は以下の記事をご覧いただければ明白です。
“ネット増税”で景気動向は悪化している―【私の論評】ネット増税ならびにデフレ下での増税は、我が国でも初めてのこと、これを考えれば、景気はかなり悪化することが予想されるが、なぜ今大騒ぎにならないのか(゚д゚)!
 
すき家HPにある雇用用のバナーの写真

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、上の記事の著者と同じ、この記事の元記事の高橋洋一氏の記事は、以下のように締めくくられています。
消費税増税の効果は、金融政策の緩和効果を相殺し、さらに悪影響を与えている。というのは、97年増税時には、先行減税があり、レベニュー中立(増税と減税が同じ)で行われた。89年消費税創設時には、物品税が廃止され、ネットで減税であった。しかし、今回の増税はネット増税である。これの悪影響がないはずない。
89年の消費税創設のときは、消費税が3%に設定されましたが、物品税が廃止されたためネットでは減税でした。97年増税のときには消費税率が3%から5%に引きあげられましたが、これに先行して、先行減税していたので、現実には相殺されていたということです。しかし、今回の増税(5%から8%への増税)は、ネット増税(正味の増税)ということを、高橋洋一氏が書いています。

よって、ブログ冒頭の記事の文書は「5%から8%への消費増税」というのが正しくて「3%から5%への消費税増税」という表記は間違いです。

そうして、この記事で私は、さらに今回の8%増税に関しては、日本では初の、デフレの最中での増税であることを付け加えました。

89年の増税のときには、日本は緩やかなインフレでした。緩やかなインフレ下では、物価もあがりますが、賃金もあがるということで、この時には給料は緩やかでしたが上昇していました。

そうして、97年当時では、デフレ傾向ではありましたが、あくまでデフレ傾向ということであり、増税直前まではまだデフレではありませんでした。完璧にデフレになったのは、98年からです。だから、このときも、少なくともデフレの最中、すなわち、雇用状況が悪化し、給料が下がり続ける最中での増税ではありませんでした。

しかし、今年4月からの5%から8%への増税はデフレの最中での増税です。過去の増税と比較すると、破滅的な増税であったことが理解できます。

4月からの増税は実は破滅的なものだった

そうして、増税直後から、増税推進派が軽微であると言い繕ってきましたが、明らかに悪い状況が続きました。そうして、これは、まだ序の口に過ぎません。

97年の増税を振り返ってみると、この頃に日銀は金融引締めに転じています。そうして、98年から日本経済は完璧なデフレ状況になり、その状況が今も続いています。

この頃と比較すると、日銀が金融緩和に転じているだけましかもしれません。しかし、そうはいっても、先ほど述べたように、デフレの最中の、ネットの増税です。この悪影響ははかりしれません。

このままでは、金融緩和の効果はかなり緩慢になることは、明らかです。このままの状況を続けていると、いつまでたってもデフレからの脱却ができず、金融緩和の効き目もなしと判断されて、十分効果が出ないうちに打ち切られことにもなりかねないことになります。

そんな状況なのに、さらに10%増税ともなれば、とんでもないことになります。日本では、増税派が多数ですが、まさに、狂気の沙汰と言わざるを得ません。

だから、10%増税を見送るのは、当然として、8%増税による経済への悪影響を避けるために、日銀の金融緩和の他に、政府による積極財政による、経済対策が絶対に必要です。

そうして、それは当面は、公共工事の供給制約がある現在、消費税減税もしくは所得税減税と、給付金政策を実行するべきです。特に、給付金政策に関しては、再配分的な政策を実施できれば、その効果は絶大です。

財務省は、諸費税10%増税を見送れば、社会保障予算を削ると政治家や官僚を恐喝しているが、
増税してしまえば、消費が低迷し税の源泉である国民所得が減り、税収が減りとんでもないことに

このような状況にもかかわらず、財務省は政治家や官僚などに10%増税しないと、とんでもないことになると、恐喝していましたが、上の記事でも高橋氏が指摘しているように。財務省は、1年半の再延長を認める代わりに消費増税法に含まれる景気条項を削除せよと要求しています。

ここまでくると、狂気の沙汰どころか、認知症です。このような組織的認知症を患っている組織は、この世から消したほうが良いです。

しかし、ただ分割したとすれば、これは財務省の植民地を増やすだけの結果に終わります。財務省という組織を分割して、分割したいくつかの部分を他省庁の下に配置するという完全分割消滅をはかるべきでしょう。

このブログにも過去に掲載してきたように、多くの増税派政治家や財務省に蚊帳の外におかれ無視され続けてきた安倍総理の胸中には、当然のことながら、もし長期政権が実現できたら、当然財務省の完全分割消滅は視野に入っているものと思います。

これから、財務省と官邸との抗争はさらに苛烈になっていくものと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 「小泉郵政選挙」のように野党埋没 「消費増税先送り」賛否を明確にせよ―【私の論評】政局すらまともに見られなくなった政治家とマスコミの劣化ぶりは、目を覆いたくなるほどの酷さだが、これは日本国にもまともなトップ・リーダーが生まれる前兆なのかもしれない(゚д゚)!






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2014年10月31日金曜日

日銀 追加の金融緩和を決定―【私の論評】日銀が、追加金融緩和を実行し、政府が積極財政に踏み切れば、数十年ぶりの快挙になるのは間違いない。そうなれば、安倍政権支持率はかつてないほどに上昇することだろう(@@)


追加の金融緩和を発表した日銀黒田総裁
日銀は31日に開いた金融政策決定会合で、目標としている2%の物価上昇率の達成を確実にするために、日銀が市場に供給するお金の量を年間80兆円まで増やす追加の金融緩和に踏み切ることを決めました。日銀が去年4月に大規模な金融緩和を導入して以降、追加の金融緩和は初めてです。

声明の中で、日銀は、国内の景気について基調的には緩やかな回復を続けているとしつつ、物価面では消費税率引き上げ後の需要の弱さや原油価格の大幅な下落が下押し要因になっているとしています。そのうえで、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがあるとして、追加の金融緩和に踏み切ったとしています。日銀が去年4月に大規模な金融緩和を導入して以降、追加の金融緩和は初めてで、今回は9人の政策委員のうち、賛成が5人、反対が4人という異例の投票結果になりました。

追加緩和策の内容

日銀が今回決定した追加緩和では、まず、マネタリーベースと言われる日銀が市場に供給する資金の量を拡大することを決めました。日銀はこれまで、年間60兆円から70兆円増やすとしていたマネタリーベースを、今回の追加緩和では10兆円から20兆円追加し、年間80兆円増やすことにしました。資金を供給するにあたっては、市場から買い入れる国債などの資産の額を増やします。具体的には、市場から買い入れる資産のうち長期国債については、これまで保有残高が年間50兆円増えるペースで買い入れるとしていましたが、これを30兆円増やし、年間80兆円にします。また、ETFやREITと言われる投資信託を買い入れる額についても、それぞれこれまでの3倍とし、ETFは年間3兆円、REITは年間900億円まで増やします。日銀は、去年4月に今の大規模な金融緩和策を導入した際、黒田総裁自身が「これまでと次元が異なる」としていましたが、今回の追加緩和で、それをさらに上回る資金を市場に供給することになります。

2%物価目標と民間予測

日銀は、目標としている2%の物価上昇率について、これまで、今の大規模な金融緩和の効果で来年度を中心とした時期に実現する可能性が高いとしてきました。その一方で、公益社団法人の「日本経済研究センター」が毎月行っている民間のエコノミストを対象にした調査では、来年度の物価上昇率は消費増税の影響を除いたベースで1.18%にとどまり、日銀はいずれ追加の金融緩和に踏み切ることが必要になるという見方が大勢を占めていました。

この記事は要約記事です。詳細は、こちらから(*_*;

【私の論評】日銀が、追加金融緩和を実行し、政府が積極財政に踏み切れば、数十年ぶりの快挙になるのは間違いない。そうなれば、安倍政権支持率はかつてないほどに上昇することだろう(@@)

まずは、私の上記の記事に関する、論評の結論を書いておきます。

少し遅れましたが、まあまあの内容。あとは、増税しないことと、第三の矢である、成長戦略など余計なことをしないことで、日本はデフレ脱却に一歩近づきます。

できたら、減税や給付金対策など実行すれば、さらに近づきます。公共工事は、現状では、人手不足などによる、公共工事の供給制約があるため、現状では有効な経済対策とはなり得ません。

政府主導による成長戦略など、どこの国でも成功したためしはないです。政府主導で成長戦略ができるなら、共産主義も大成功していたはずです。現実は、周知のとおりです。

それから、最近日銀黒田総裁の増税推進派的な発言が気になっていましたが、これはトーンダウンしたことも報じられています。

その記事のURLとその内容を以下に掲載しておきます。
〔BOJウオッチャー〕黒田日銀総裁の増税タカ派度、トーンダウン
[東京 31日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁の消費税をめぐる発言が変化した。昨年の夏以来、財務省よりタカ派と呼ばれるほどに消費増税による財政再建の重要性を繰り返し発言してきたが、31日の会見では「関与するところでない」とトーンダウンした。政府の増税判断をめぐる動きと関連した事象なのか注目される。 
黒田総裁は今年4月の増税の是非が議論された昨年夏以来、「消費税引き上げを行った場合のリスクに対しては財政・金融政策で対応が可能だが、行わなかった場合のリスクが顕現化した場合、なかなか対応しがたい」と繰り返してきた。 
今年9月の定例会見では、増税を見送る場合「確率は低くても、その影響は甚大なものになる可能性があるという意味では、リスクが大きい」と断言した。 
増税判断は政府の専権事項で、日銀がみだりに口をはさめばリスクがあるとの見方が、政府・与党や日銀周辺にあったのも事実。そうした中で黒田総裁の発言は、目立つ存在でもあった。 
一方、安倍晋三首相周辺では増税延期論がくすぶっており、首相の経済ブレーンである内閣官房参与の本田悦朗・静岡県立大教授は、黒田総裁の増税発言について「日銀総裁の矩(のり)を超えている」と痛烈に批判していた。 
31日の会見では、政府が消費税率10%への再増税を決断する前に追加緩和に踏み切った経緯と、増税への見解を求められ、「再引き上げは、政府で経済動向を見極めて決定するということになっており、それはまさに政府で決定されることであり、わたくしどもの関与するところではまったくない」と発言。「従って、(政府の増税判断に)影響を与えようとか、どうこうしようと言うつもりもないし、そのようなことにもならない」と述べた。
この黒田総裁の増勢タカ派発言は、前から気になっていました。現状はどう考えても、日本はデフレのど真ん中であり、このようなときには、金融政策でも、財政政策でもできることは何でも実施して、なるべくはやく、デフレ状況から脱するべきにもかかわらず、なせあのような発言をするのか、非常に疑問に思っていました。

そうして、増税するしないは、あくまで安倍総理の専権事項です。政府の一下部機関に過ぎない、日銀の長がそのような発言をするのは、非常におかしなことです。日銀のトップは、日銀のやるべき事に集中すべきであり、増税判断などに口をはさむべきでありません。

日銀の今回の、追加金融緩和に関しては、多くのマスコミが、増税支援などと掲載していますが、黒田総裁は、そのような発言はしていません。マスコミは相変わらず馬鹿です。いくら今回追加金融緩和をしたところで、また増税してしまえば、日本は再びデフレ・スパイラルの底に沈んでしまうことは明らかです。

このブログにも掲載したように、最近では、安倍総理は増税見送りに関わる発言をするようになりましたし、総理の周辺でも、

それに関しては、このブログにも掲載していますかので、その記事のURLを以下に掲載します。
消費再増税、アベノミクス成功のため冷静に判断=安倍首相―【私の論評】安倍総理は、長期政権樹立のため増税パスの政治的な賭けを実行する可能性が高まってきた!しかし、日本のマスコミはこれをスクープできないだろう(・・;)
安倍首相が消費増税の延期示唆、経済への影響踏まえ判断=FT―【私の論評】安倍総理は、外国の新聞社には増税見送りの示唆をするが、殺人マシーンと化した財務省に諜略された日経・朝日新聞をはじめとする大手新聞にはそのようなことはしない。しかし、本当にそんな事で良いのだろうか(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、本日また安倍総理は、増税見送りを示唆するような発言をしました。その記事を以下に掲載します。
<衆院予算委>安倍首相「財政健全化目標は国際公約と違う」2014年10月30日(木)20:47

安倍晋三首相は30日、衆院予算委員会の集中審議で、借金以外の歳入で政策経費をどれだけまかなえるかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字を2015年度にGDP(国内総生産)比で10年度から半減させる財政健全化目標について、「国際公約とは違う。何が何でも絶対という約束は果たせない」と述べた。今井雅人氏(維新の党)への答弁。 
 首相が「国際公約」を否定したのは、消費税率を10%に引き上げるかどうかを年末
首相はまた、再増税に向けた経済環境について「(4月の消費増税後の)反動減は想定していたが、想定の中では最も悪い数字に近い」と述べ、消費増税後の景気回復の厳しさを認めた。【葛西大博】
少し前までだと、増税するのがあたり前のど真ん中ような雰囲気でしたが、女性2閣僚の相次ぐ辞任などもあり、最近では安倍内閣支持率も加工気味です。

日銀は、追加金融緩和を決めました。ここで、政府が財政出動に踏み切れば、それこそ、数十年ぶりに、日銀の金融緩和と政府の積極財政による、両方の経済対策により、かつてない勢いで、経済が回復します。それにしても、数十年ぶりというのが情けないです。本来ならば、ずっと前に実行していなければ、ならないことです。



今の政府は、デフレの最中に増税するという大きな間違いをしてしまいました。とんでもないことです。

もし、再増税を見送ったとすると、直近では、多数の増税派が、安倍総理を大批判するかもしれませんが、ほんのすこしの間で、経済対策がすぐに効果を表すので、市場も好感し、国民も安倍総理をかつてないほどに支持することになると思います。

確かに、これは大きな政治的賭けですが、安倍総理が、金融緩和と積極財政に踏み切った場合、景気は、急速に回復基調に向かい、また怒涛の勢いで、安倍政権への支持率が増し、長期政権樹立の道はかなり容易になることでしょう。支持率は、かつてなかった程上昇すると思います。

増税してしまえば、逆の道をたどるでしょう。もし、それで安倍政権が崩壊することにでもなれば、自民党は下野する可能性もあります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

消費再増税、アベノミクス成功のため冷静に判断=安倍首相―【私の論評】安倍総理は、長期政権樹立のため増税パスの政治的な賭けを実行する可能性が高まってきた!しかし、日本のマスコミはこれをスクープできないだろう(・・;)






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増税と政局・暗闘50年史 (イースト新書)
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財務省の逆襲: 誰のための消費税増税だったのか
高橋 洋一
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経産省が素案公表「エネルギー基本計画」の読み方 欧米と比較、日本の原子力強化は理にかなっている 国際情勢の変化を反映すべき―【私の論評】エネルギー政策は確実性のある技術を基にし、過去の成功事例を参考にしながら進めるべき

高橋洋一「日本の解き方」 ■ 経産省が素案公表「エネルギー基本計画」の読み方 欧米と比較、日本の原子力強化は理にかなっている 国際情勢の変化を反映すべき まとめ 経済産業省はエネルギー基本計画の素案を公表し、再生可能エネルギーを4割から5割、原子力を2割程度に設定している。 20...