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2020年3月28日土曜日

東京五輪延期の裏で官邸内部に異変…消えた“菅総理”の目、7月に“減税総選挙”か―【私の論評】国民生活のことなど全く考えず省益だけを追求する歪んだ怪物のような財務省(゚д゚)!

東京五輪延期の裏で官邸内部に異変…消えた“菅総理”の目、7月に“減税総選挙”か
文=渡邉哲也/経済評論家

東京五輪の延期を発表する安倍晋三首相

 東京オリンピック・パラリンピックが1年程度延期されることになった。これは、アメリカなど国際社会の要請を受ける形での決定であり、日本にとってはベストな選択といえるだろう。そして、史上初の五輪延期という決定を通して、安倍政権の内部で起きている変化が見えてくる。

 新型コロナウイルスの感染拡大が取り沙汰されていた2月下旬、永田町周辺では飯島勲内閣官房参与の姿が見え隠れし始め、安倍晋三首相と麻生太郎副総理の動きが変化した。2月29日に安倍首相は記者会見を行い、感染拡大防止策をはじめ、学校の一斉休校要請、緊急の経済財政対策、立法措置などについて発表し、自ら指揮を執る形での危機対応に転換した。

 また、3月5日に行われた未来投資会議では、産業界の中国依存の是正や生産拠点の日本回帰などについて述べている。これらの動きは、大規模な政策転換であり、内部政治の大きな変化を意味するものだ。

“菅首相”の可能性が消滅した理由

 安倍首相は2019年9月の内閣改造の際、派閥均衡人事を行い、次のリーダー候補を競わせる形をとった。加藤勝信厚生労働大臣、茂木敏充外務大臣、岸田文雄自民党政務調査会長、河野太郎防衛大臣らが、そうである。

 一方で、二階俊博自民党幹事長をあえて据え置き、菅義偉官房長官も留任させた。菅官房長官は自派閥の創設に有利になる幹事長を希望していたが、そのポストには二階氏を続投させたわけだ。菅氏は官房長官という要職に就いている限り、自派閥を立ち上げることはできない。この人事には、安倍首相の菅官房長官に対する本質的な懸念があったとも言われている。

 代わりに、菅官房長官に近い人物に3つの大臣ポストが与えられた。菅原一秀経済産業大臣、河井克行法務大臣、小泉進次郎環境大臣だ。しかし、菅原・河井の両大臣はスキャンダルで辞任し、初入閣を果たした小泉環境相も株が急落している。これらの現状を見る限り、一時は「ポスト安倍の最有力候補」とも言われた菅氏に次期首相の目はなくなったと言ってもいいだろう。

 また、IR(統合型リゾート)の問題をめぐっても、事実上の旗振り役を務めていた菅官房長官と二階幹事長についてさまざまな噂が飛び交い、実質的に暗礁に乗り上げていることで、カジノ利権による利益は期待できなくなった。さらに、新型コロナウイルスの対応で自民党内からも反発が生まれ、安倍首相がどのような判断を下すかが注目されていたわけだ。

 党内政治は「派閥の論理」と「数合わせ」で決まる。現政権は安倍・麻生の二派閥と二階派による数合わせでできており、それにより党内の圧倒的過半数を維持し、党内運営を潤滑にしてきた。ただし、一方では、二階幹事長の中国寄りの姿勢などが保守層の反発を招いていたわけだ。

首相官邸の内部で起きていた“異変”

 そうした空気を一変させたのが、安倍首相の2月末の会見であった。菅・二階切り――これには党内的なリスクはあるが、そのままでは時間切れになるだけであったため、自派閥に応援を求め、官邸内部にも手を入れた。そして、経済産業省出身の今井尚哉氏首相補佐官、警察庁出身の北村滋国家安全保障局長が主導する体制に切り替えたわけだ。

 同時に、安倍・麻生に東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長を加えた3人体制で、国際社会との連携を強めていった。それは、新型コロナウイルスの対応に関しても、東京五輪の延期においても同様だ。いずれも非常に舵取りが非常に難しい問題であるが、現時点ではベストな方法を選択できている。

 東京五輪の延期に伴い問題は山積しているが、今後はもちろん新型コロナウイルス感染症への対策も加速すべきだ。治療薬の確定と治療ガイドラインの早期確立が実現すれば、季節性インフルエンザの水準までリスクを軽減できるだろう。

 そうなれば、その後は現金給付などの消費喚起策を実施するとともに、消費税減税と憲法改正を争点にして、7月頃に解散総選挙というシナリオを描くこともできる。その場合は、安倍首相の自民党総裁4選とセットで悲願の憲法改正も現実味を帯びてくるだろう。

(文=渡邉哲也/経済評論家)

【私の論評】国民生活のことなど全く考えず省益だけを追求する歪んだ怪物のような財務省(゚д゚)!

政府の経済対策は、消費減税なしで所得制限現金給付ということに落ち着きそうです。事業費でリーマン超えでも、真水は15兆円程度でしょう。真水で20兆円程度までお終いになる可能性が台大です。これは、せいぜいGDPの4%なので、米国のGDP10%などと比較するとかなりお粗末な対策です。


経済対策には大別すれば(1)公共事業(2)減税・給付金(3)融資・保証-があります。真水としては、(1)のうち用地取得費(事業費の2割程度)を除いた部分と(2)の全額、(3)は含まないことが多いです。

実際の政策としては、(2)でも消費に回らないと短期的にはGDP創出につながらないし、(3)がないと企業倒産につながり雇用の喪失を通じてGDPへ悪影響が出ます。その意味では、全ての政策が相まって重要なのですが、真水の考え方はマクロ経済政策としての有効需要増をGDPに対する比率で表すことができます。

今回のような経済ショックがあると、GDPの一定割合の有効需要が失われ、GDPが低下します。それは、GDPが減少すると失業率が上昇する「オークンの法則」から分かるように、雇用の喪失を意味します。雇用を確保するために、どの程度の経済対策が必要かを検討する際、真水の考え方は好都合です。

「オークンの法則」とは、、一国の産出量と失業の間に経験的に観測される安定的な負の相関関係のことです。いずれの国でも成り立っている法則です。

たとえば、米国では、おおよその傾向はGDPの2%減少が失業率の1%上昇になっています。日本の場合、雇用は比較的安定しているので、さらに大きなGDP減少でないと失業率は1%上昇しません。例えば、最近ではおおむねGDPの8%減少が失業率の1%上昇になっています。

オークンの法則

どの先進国でも、雇用の確保はマクロ経済政策の基本中の基本です。経済ショックが各国のGDPに与える悪影響も均一ではなく、またそれが失業に与える悪影響も同じではありません。しかし、雇用の確保という観点からみれば、経済ショックに対する各国のマクロ政策はおのずと「相場観」が出てきます。そうした議論のためにも真水の考え方で経済対策を見た方が適切だといえます。

日本では、事業費の数字を出し、経済対策を大きく見せる傾向があります。しかし、真水の数字を使ってGDPに対する割合で見たほうが、より適切に日本の世界の中での位置付けが分かりやすくなるはずです。それでみると、日本の経済対策は欧米諸国より一桁違っており、コロナ・ショックを甘く見ていると言わざるを得ないです。

そうして、なぜそうなっているかといえば、省益しか頭にない、愚鈍な財務省が盲目的に増税と緊縮財政をすることのみに固執し、多くの政治家やマスコミがこれに惑わされ、コロナ・ショックや増税10%の悪影響があってもお粗末極まりない経済対策でも、何とかなると思い込まされているからです。

増税の悪影響は凄まじく、このブログでも掲載したように、実質GDP成長率は前期比年率▲7.1%に第1次速報値同▲6.3%から下方修正となっています。

これは、消費税増税への対策としてポイント還元を実施したのですが、これが完璧に失敗したことを示しています。

これに関しては、もしコロナウイルスの問題がなければ、かなり大きな話題になっていた可能性がありますが、現状はコロナウイルスの問題が大きく、その影に隠れてあまり大きな話題にはなっていません。財務省としては、胸をなでおろしていることでしょう。

しかし、この大失敗と、今回のコロナショックで日本経済が未曾有の大ショックに見舞われるのは明らかです。

今回の、減税なしのお粗末な給付金対策等では、景気の悪化を食い止めることはできないでしょう。

安倍総理としても、これについては遅かれ早かれ気づいていると思います。多くの無能ではない政治家達も気づいているか、気づきつつあるものと思います。

これが、今後4月、5月となるにつれて明らかになるでしょう。それでも、愚鈍な財務官僚が考えを変えず、省益に拘泥していれば、それを断ち切るしかありません。

愚鈍で利省的な財務官僚の思い通りさせないため、安倍総理は消費税減税と、他の積極財政を公約に掲げ7月に解散総選挙を実行すべきです。

入省したての頃は善良だったはずの彼らがなぜ歪んだ怪物になるのか?

省益しか頭にない、しかも省益を考えるにしても最悪の悪手しか打とうとしない愚鈍財務省には、最近ではさすがに東大生も就職先としてあまり重視していないようです。さもありなんです。現状の財務省に入省してしまえば、馬鹿になるだけです。正しい判断です。

今のままでは、財務官僚というだけで、マクロ経済を理解しない愚鈍で常識なしであるとか、国民生活のことなど全く考えず省益だけを追求する歪んだ怪物であるとみなされるようになるかもしれません。いや、すでにもうそうなりかけています。

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2015年2月6日金曜日

国の債務超過490兆円を意外と簡単に減らす方法―【私の論評】正体見たり枯れ尾花!財務省が省益と考える、自らの配賦権を強化するために国民や政府などないがしろにし日本は借金漬けのようにみせかけているだけ(゚д゚)!

国の債務超過490兆円を意外と簡単に減らす方法

財務省は、2013年度末の国のバランスシートをまとめ、2014年3月末時点で資産・負債差額(負債が資産を上回る債務超過額)は490兆円と発表したという報道があった。

まず、その資料をみてみよう。

日本国の貸借対照表 クリックすると拡大します

資産は総計653兆円。そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。

負債は1143兆円。その内訳は、公債856兆円、政府短期証券102兆円、借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他45兆円。

先進国と比較して、日本政府のバランスシートの特徴をいえば、政府資産が巨額なことだ。政府資産額としては世界一である。政府資産の中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合がきわめて大きい。

巨額な資産をオープンにせず
債務の多さだけを強調した過去の政府


実は、国のバランスシートは前から公表されている。20年前にはじめて国のバランスシートを作ったのは筆者である。

その当時、政府内で資産・負債総合管理(ALM)を行う必要があり、国のバランスシートを作成したが、幹部から口外しないようにかなり注意を受けた。あまりに資産が多額にあったからであり、それまで国の借金いくらと、資産をいわずに負債だけで財政危機を説明してきたからだ。

その結果、国のバランスシートを公表しても、あまりマスコミへ説明しなかった。このため、バランスシートの資産・負債差額(債務超過額)の数字があっても、財務省が説明しないので、マスコミは記事を書けない状態だった。

今回、資産・負債差額が報道されたということは、財務省がマスコミにレク(説明)したはずだ。どうして、このような方向転換があったのか。

為替介入で得た外債で運用含み益、
いわば借金で財テクという実態


資産・負債差額に着目するのは世界標準なので、財務省もようやく世界に近づいたというのが一つの理由だ。もっとも、ほかの国は政府資産が少額なので、ネットの資産・負債差額で見ても、グロスの負債額だけを見ても大差ない。日本の場合、政府資産額が大きいので、債務額をグロスで見るか、ネットで見るかは大きな違いがある。

もう一つ考えられる理由は、債務超過額をいっている以上、政府資産の売却・整理はあまりいわれないですむ。売却・整理しても債務超過額はそれほど変わらないからだ。

これは、資産のうち外貨債権が100兆円以上あり、それが最近の円安で20兆円程度の含み益が出ていることが大きく関係している。これは、外為特会に関わる部分で、バランスシートでいえば、資産の有価証券と負債の短期政府証券にあたるところだ。

日本の外貨準備が大きいことに着目して、その運用をもっと積極的に行うという政府系ファンドの提言がしばしばある。実態をいえば、実際に外資系証券会社をはじめとして「運用」の委託を財務省から受けている会社は確かに存在している。

外為運用の秘密ということで、100兆円の運用なので、証券会社への実入りも大きい。これが財務省の利権を担っているのが問題だ。外為特会をみれば、政府短期証券という「国債」によって資金調達をして、為替介入という名目で外債購入し、その後「運用」しているわけだ。

いってみれば、借金が大変といいながら、さらに借金して財テクを行っているわけだ。

しかも、変動相場制という建前とも、今の外為運用は矛盾している。変動相場制であれば、一度為替介入して外債を購入しても、その外債の償還期限が来たら償還し、それで調達した政府短期証券も償還し、資産と負債を両方ともに減少させるのが筋だ。ところが、日本の外為特会では、外債のロールオーバーを行うことで、事実上の為替介入を継続している。その結果、先進国では類を見ない巨額な外為資金になっている。



国際的な観点からいえば、外為資金を圧縮して、同時に政府短期証券を減らすことが望ましい。しかも、現在では円安で結果として上述のような20兆円程度の含み益があるので、絶好の機会だ。

これまで財務省は、政府資産は道路などを例に挙げて、換金できないと説明してきた。ただし、これは有形固定資産178兆円にはあてはまるが、その約2倍にもなる金融資産ではあてはまらない。特殊法人などを廃止または民営化すれば換金可能だ。

また、政府資産に含まれる運用寄託金105兆円を将来の年金のために処分できないといってきたが、それを処分せよなんていう人はいない。問題は金融資産である。財務省はこれからどのような説明をするのだろうか。

BS上は債務超過でも
徴税権という「簿外」資産が


最後に考えられる理由は、債務超過を強調して財政再建の必要性をいうことだ。普通の企業であれば、債務超過であれば、破綻である。しかし、国の場合には事情が異なる。

他の国のバランスシートをみても、債務超過は珍しくない。日本の債務超過額は名目GDPの90%程度であるが、たとえばアメリカの債務超過額も名目GDP比でみればやはり90%程度であり、日本とほとんど同じである。もし日本が財政破綻というなら、アメリカも財政破綻だが、そうなっていない。

国の場合、形式的には債務超過であっても、国家としての徴税権という「簿外」の資産があると考えてもいい。日本の場合、少なくとも年間で40~50兆円くらいの税収が確実にある。これが将来も続くとすれば、それらの現在価値は割引率4%で1000~1250兆円程度である。これを資産と考えてもいいのであるから、少しぐらいの債務超過は問題にならない。

さらに、国のバランスシートだけで判断するのもミスリーディングだ。企業のバランスシートを見るとき、単体ベースと連結ベースの両方を見るように、国の場合も単体だけではなく、連結ベースも見なければいけない。

今でも、政府の子会社である特殊法人などを含めた連結ベースでのバランスシートは作成されている。国の単体ベースより2ヵ月くらい遅れて公表されているので、今年も3月末くらいに公表されるだろう(2012年度末の連結バランスシートは、財務省HP 平成24年度連結財務書類pdf にある)。
【ブログ管理人注:この連結財務書類現在では、見ることができません。財務省に何か思惑があるのでしょうか・・・・】

日銀のBSを連結すると
国の負債超過は200兆円減?


ただし、ここでは日本銀行が連結対象になっていない。日本銀行は認可法人であるが、連結ベースに含めて考えた方がいいこともある。荒っぽい方法だが、日本銀行のバランスシートを合算してみよう。他の政府子会社をすべて連結として含めて、債務超過額は若干低くなるはずだが、簡潔にするために、日本銀行だけを連結に含めてみよう。

日本銀行のバランスシートは単純にいえば、資産に国債、負債は日銀当座預金と日銀券である。日銀当座預金は日銀券と代替可能なので、日本銀行の負債は日銀券のみとみても、間違いではない。

となると、アバウトには、日本銀行のバランスシート(2014年3月末)は、資産の国債200兆円、負債の日銀券200兆円とみてもいい。これを国のバランスシートに合算すれば、負債の中の公債・政府短期証券が200兆円減少し、その代わりに日銀券200兆円が入るわけだ。

ここで、日銀券200兆円は、形式的には負債だが、利息負担もないし、返済義務もない。いってみれば、この分は負債とみなさない考え方もありうる。その考え方にたてば、債務超過額は490兆円から290兆円にあるわけだ。このあたりについて、公会計で定説はないと思うが、日銀保有国債分については、国にとって償還も利払いも必要ないので、債務超過額が減ったといってもいいだろう。

こうした点について、経済財政諮問会議はしっかり議論する必要があるが、今のメンバーではとてもできそうにないのが気になるところである。

(高橋洋一)

この記事の詳細は、こちらから!

【私の論評】正体見たり枯れ尾花!財務省が省益と考える、自らの配賦権を強化するために国民や政府などないがしろにし日本は借金漬けのようにみせかけているだけ(゚д゚)!

さて、上の記事は高橋氏によるものですが、さすがに以前は大蔵省にいたので、内部事情も詳しく、客観的にいろいろと指摘しています。そうして、高橋氏は、この記事に関して以下の様なツイートをしています。
さて、高橋氏のツイートのこの3点に関しては、上記の記事で詳細に説明されているわけではありません。というより、このことを前提として上の記事が書かれているといっても良いと思います。よって、この記事を理解するためには、この3点について理解しておく必要があると思われますので、以下にそれを掲載しようと思います。

①中銀の独立性の意味

日本の中央銀行である日本銀行

これについては、昨日解説したばかりです。詳細については、昨日のこのブログの記事をご覧いただくものとして、以下に中銀の独立性に直接かかわる部分のみビックアップして掲載しておきます。
世界標準の中央銀行の独立性は、政府が国の金融政策の方針を定め、中央銀行はその方針に従い、専門家的な立場から、具体的な金融政策の方法を他から独立して、自由に選択し実行できるし、それに失敗すれば、責任をとるというものです。 
特に、中央銀行の「目標の独立性(goal independence)と手段の独立性(instrument i
ndependence)の違いを認識すべきです。中央銀行が自由に目標を設定できるという目標の独立性を民主主義社会で正当化することはできません。なぜなら、中央銀行のメンバーは全員が官僚であって、国民から選挙で選ばれるわけではないし、国民から信託を受けた人々ではありません。 
しかし、中央銀行が干渉を受けずに適切な金融政策を実施できるような手段の独立性は、経済安定のために極めて重要です。手段の独立性は守られるべぎてす。 
しかし、現状の日銀法では、「目標の独立性」が保障されているのです。  
日本銀行も、このような世界標準の中央銀行の役割を担うようにすべきであって、そのためには、日銀法の改正が必要です。
②日銀は政府子会社

これに関しては、すでに①で一部述べています。「中央銀行のメンバーは全員が官僚であって、国民から選挙で選ばれるわけではないし、国民から信託を受けた人々ではありません」というくだりです。

国民から民主的な手続きである選挙選ばれた、与党を中心とする政府自体が、大企業にたとえれば、本部機能を有する本社であり、日本銀行はその子会社にすぎないということです。

日銀は、政府にとっては、一下部組織にすぎないということです。実際、日本銀行は株式会社であり、JASDAQに上場会社でもあります。とはいえ、もちろん日本銀行の株式の過半数は日本政府が保持しています。現実に、日本政府は日本銀行の親会社に該当いているのです。

なお、会計基準では親会社と、小会社の決算は、それぞれ単独で出すとともに両者の連結での決算もださなければならないことになっています。

大企業においては連結財務諸表を作成することが義務付けられている

なぜそういうことになるかといえば、過去には連結決算をしないで、赤字をすべて小会社に押し付け、本社は真っ黒であるかのように見せかけていた例があり、とんでもないことになったことがあったからです。それまでは、公にする必要のなかった、連結決算の必要性が叫ばれ、今では連結決算をするのが当たり前になりました。

日本政府の日銀の関係もそれと同じことです。政府は政府で決算を出します、日銀も日銀の決算を出さなければなりません。それとともに、政府と日銀を含む、政府の子会社である特殊法人などを含めた連結ベースで決算書をだすべきです。連結決算を見なければ、日本政府とその関連組織の全体像は見えてきません。

連結決算のルールにより、親会社と子会社間のお金の貸し借りは相殺されます。また、親会社から子会社への利払い(逆も同じ)も連結決算で相殺されてしまいます。日本政府が「子会社」の日本銀行からお金を借りた場合、返済や利払いの負担など生じません。

これを国債の実例で説明します。国債の購入とは、「政府にお金を貸す」という意味です。日本銀行が日本国債を購入するということは、「日銀が日本政府にお金を貸す」ということです。この場合、まさに「子会社から親会社へのお金の貸付」に該当し、親会社側は返済や利払い負担が発生しません。無論、親会社である日本政府が日銀に利払いをしても構わないし、実際にしています。しかしこれは、日銀の決算後に「国庫納付金」として返還されています。

さて、重要なのは、子会社である日本銀行が、親会社の日本政府に「カネを返せ」などということはあり得ません。結果的に、日本政府は日銀に国債を購入させることで、借金の返済や利払いの負担が消滅してしまうのです。

日本政府が発行している国債は「外国人保有分」を含め100%日本円建てです。日本の中央銀行である日本銀行は、市中の国債を買い取る代金として「新しい日本円」を発行します。日本円の発行は日本銀行の主業務の一つです。日本銀行は通常業務として日本国債を「買わねばならない」のです。そして、日本銀行は日本政府の子会社です。
であれば、日本政府は国債の償還(返済)不能などのデフォルトに陥ることはできないのです。財政破綻「しない」のではありません、財政破綻「できない」のです。日銀が政府の子会社であり、日本国債が100%円建であるかぎりは、この事実は覆ることはありません。

日銀が政府の子会社であるというのは、こういう意味です。

③統合政府

統合政府とは、経済学では政府と政府の子会社である特殊法人などを含めたものを「統合政府」と呼びます。これだけでは、何を意味するのか、理解することができないと思われますので、以下では、日銀の買いオペによる、民間銀行の保有する国債を買い入れを例として、統合政府と政府、小会社の関連について述べていきます。

政府の借金は1000兆円を超えており、さらなる借金の増大を危惧する人は多いです。ところが、実は近年「国の借金」は減少傾向にあります。ただしここでは、政府の借金=国の借金という馬鹿な考えで話をしているのではありません。

以下では、話を単純にするため、政府と中央銀行を合わせて「統合政府」と呼ぶことにします(下図)。

政府と中央銀行はともに公的部門であり国の機関であるはずなので、「国の借金」とは「政府の借金」ではなく「統合政府の借金」を意味していなくてはならないはずです。



中央銀行が買いオペにより、民間銀行の保有する国債を買い入れれば、それだけ民間部門の国債は回収されます。近年、日銀による国債の買い入れ額は、国債の新規発行額を上回っています。つまり、民間部門の国債保有額は減っており、「国の借金」も減っているのです。それゆえ、今のところ増税は必要ありません。これは、10%増税は、無論のこと、8%増税もしかりです。

ただしこの場合、日銀による国債の買い入れが政府支出の財源となっています。これは「財政ファイナンス」と呼ばれ、財政の信頼性を損ない金利を高騰させるものと繰り返し批判されてきました。しかし、実際には、長期国債の金利ですら長期下落傾向にあり、今や0.5%を割り込んでいます。

これだけ日本の財政危機が叫ばれている中で、長期金利が低位安定している事態は不思議でも何でもありません。マーケットは、デフレやディスインフレ(低い率のインフレ)の下での財政ファイナンスに何の危険性もないことを無意識に理解しているのです。

懸念される弊害は過度のインフレですが、2%といったインフレ率目標はそれを防ぐ役割も果たし得ます。また、景気が十分回復して2%のインフレ率を超えたならば、自然に税収は増大するし、増税によって景気の過熱を抑えることもできます。したがって、インフレ率目標達成後、金利の引き上げにより政府の利払いが増えたとしても、それを超える税収増が財政再建を可能とするでしょう。逆に言うと、インフレ率目標が達成され、ゼロ金利政策が解除できるようになるまでは、増税する必要はないし増税すべきでもないのです。

以上、高橋洋一氏のツイートにでてきた、3点について説明させていただきました。

ここまで、説明すると、高橋洋一氏ははっきりとは述べていませんが、巨額な資産をオープンにせず債務の多さだけを強調すると、借金で財テクという実態や、日銀のBSを連結すると国の負債超過は200兆円減になるにもかかわらず、連結決算が公表されていないなどの不可思議なことがなぜ起こっているのかが、よくご理解できると思います。

要するに、財務省が省益と考える、自らの配賦権を強化するために、国民や政府などないがしろにしてあたかも日本は借金漬けのようにみせかけているということです。ありもしない、200兆円の謝金をあかたもあるかのように見せかけ、さらに自分たちの手元に金を引き寄せようとしているということです。

これが、財務省による10%増税推進の本質です。とんでもないです。こんなことに騙され続ける、マスコミや政治家は馬鹿です。これに騙され続けるということは、大勢の人々を不安に陥れるだけのことです。しかし、そんな不安やおそれは全くないということです。まさに、正体見たり枯れ尾花という故事の通りです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!

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