職場の困った「何様」上司&部下には、こう対処しろ!本書の帯には、こんな言葉が躍ります。『「上から目線」の扱い方』(榎本博明著、アスコムBOOKS)は、会社において誰しもが経験するであろう人間関係にひとつの解を与えてくれる一冊です。部下に対して、または上司に対してどう接するべきか。手助けのつもりで声をかけた部下から「偉そうに」と陰口を叩かれたり、はたまた上司に威張り散らされ辟易としたり...。いずれの場合にも人間関係を阻害する一因となるのが「上から目線」であるとして、それに対し、いかに対応していくべきか書かれています。本書より一部紹介します。円滑なコミュニケーションのために必要な、「相手の懐に飛び込んで、話をしっかり聴く」ための9つのスキルです。
【私の論評】 組織内外のことはドラッカーに原点がある!!
プレゼンスキルだけで、人を感動させることはできない |
上の記事では、以下の9つのスキルを掲載しています。
相手に興味をもつ
相手の話に意識を集中する
うなずきを多用する
あいづちを打ちながら聴く
共感しながら聴く
相手の言葉の一部を繰り返す(反映の技法)
はっきりつかみきれないところは確認する(明確化の技法)
質問をすることで、関心をもって聴いていることを暗に示す
似たような経験が自分にもあれば、それを簡単に話すこの書籍は、あくまで、比較的若い人を対象として、自己の立場から、どのように話を聴けば良いのか、そのスキルを掲載したものだと思います。だから、対象の人が読むには、これは、これで良いことだと思います。また、この書籍の著者もそれを意図しているのだと思います。しかし、コミュニケーションを深めるという立場からは、これだけでは不十分です。
もし、この書籍に書いてあることを部下が実施すれば、たちどころにコミュニケーションが成立すると考える管理者や経営者がいるとすれば、それは愚かなことです。
上記のスキルは、スキルという言葉が示すように、所詮ツールにすぎません。ツールがどんなに優れていたからと言って、それで良しということはありません。どんなに優れたツールをもっていようとも、それで仕事がうまくいくとは限りません。たとえば、切れ味の良い素晴らしい包丁を持ったからといって、素晴らしい料理ができるとは限りません。素晴らしいグローブや、バットを持ったからといって、野球に勝てるわけではありません。では、どうすれば、良いのでしょうか?
ドラッカーは、コミュにーションを深めるためには、目標管理を導入せよと主張しています。
目標管理を導入せずして組織の円滑なコミュニケーションはない 「耳を傾けることはコミュニケーションの前提である。だが、耳を傾けるだけでは、効果的なコミュニケーションは実現しない」(『マネジメント[エッセンシャル版]』)
耳を傾けることは、上の者が下の者の言うことを理解できて初めて有効となる。ところがドラッカーは、下の者は当然のことながら、上の者であってもコミュニケーション能力を持ち合わせているとは限らないという。
そこでドラッカーは、組織におけるコミュニケーションの近道を教える。しかも、近道であって王道である。それはドラッカーが開発した目標管理(MBO)だ。
ドラッカーは目標管理を導入して初めて組織の円滑なコミュニケーションが成り立つという。なぜなら部下は、会社もしくは自らの部門において、いかなる貢献ができるのかを明らかにすることが求められるからである。
部下の考えが上司の期待どおりであることは稀である。事実、目標管理の最大の副産物は、上司と部下のものの見方の違いを明らかにすることにある。
同じ事実を違ったように見ていることを互いに知ることこそが、コミュニケーションの第一歩である。
「コミュニケーションは私からあなたへ伝達するものではない。それは、われわれのなかの一人から、われわれのなかのもう一人へ伝達するものである。組織においてコミュニケーションは手段ではない。それは組織のあり方そのものである」(『マネジメント[エッセンシャル版]』)ドラッカーは、コミュニケーションは「われわれのなかの一人から、われわれのなかのもう一人へ伝達するものある」としています。まさしく、そういうことです。これは、コミュニケーションをかわす人たち、かわさなければならない人たちは、「私とあなた」「私と大勢」「大勢と私」という関係ではなく、「われわれ」という関係になっていなければならないことを言っているのです。
これが、コミュニケーションの本質です。そうして、「われわれ」「私たち」「俺たち」という関係にならければならないということです。そうして、ドラッカーが目標管理が友好であるというのは、無論こうした文脈においての話です。ただ、目標管理をやりさえすれば、すぐにコミュニケーションがなりたつということではありません。しかし、こういう文脈の上で、目標管理管理を実施すれば、コミュニケーションがより深まるということです。
実際に、目標管理を導入しても、いっこうにうまくいかない企業があります。このようなことをせずとも、コミュニケーションが良い企業もあります。「われわれ」という関係になるのは、どういうことかといえば、様々な「経験」を共有するということです。
仕事をただ機械的にするだけではなく、うまくいけば皆で喜ぶ、失敗しても、皆で残念に思い反省し、次に生かすようする。たまには、飲みに行ったりしたり、飲みだけでなく、趣味の集まりとか、会社でも、様々な行動をともにするこによって、「われわれ」という関係が生まれます。そういう下地ができているところで、目標管理を実施するとますます、コミュニケーションが深まるということです。そうして、さきほどのスキルも生きてきます。
スキルや、ツールをよくしただけでは、何も変わらないということです。本日のように、コミュニケーションに関することでも、こと、企業内外というより、組織内外ということで考えてみた場合は、やはり、どのようなことでも、原点はドラッカーにあるといっても過言ではありません。できたら、やはり、ドラッカーを読んで考えてみることが、近道だと思います。「上から目線」に関することも、ドラッカーの書籍をみれば、多くの書籍に、宝石のようにあちらこちらに、智慧がきら星のごとく、輝いて見えることでしよう。とにかく、いわゆる組織内外のマネジメントに関わることなど、まずはドラッカーの書籍を読むのが一番と思います。
皆さんは、どう思われますか?
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