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2018年12月24日月曜日

【政界徒然草】いまさら「辺野古反対」で政府批判する不実な人たち―【私の論評】結局民主党政権時代の負の遺産に振り回されているだけ(゚д゚)!

【政界徒然草】いまさら「辺野古反対」で政府批判する不実な人たち

沖縄県名護市辺野古の沿岸部に投入される埋め立て用の土地

 政府は14日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾=ぎのわん=市)の移設先である名護市辺野古沿岸部の埋め立てに着手した。移設反対を掲げる玉城デニー知事(59)は計画への賛否を問う県民投票などを通じ、政府に抗戦を続ける構えをみせている。国政でも主要野党の議員が政府を批判するが、驚くのは旧民主党政権下で辺野古移設を容認した面々も平然と沖縄県に歩調を合わせていることだ。

「辺野古回帰」の過去忘れ

 「長い目で見れば日米安保にも悪い影響を与えかねない状況だと強く危惧している。沖縄の民意を意図的に逆なでしているとしか思えない。到底容認されるものではない」

 立憲民主党の枝野幸男代表(54)は15日の記者会見で、埋め立て開始をこう批判した。福山哲郎幹事長(56)も14日、「安倍晋三政権には沖縄への情もなく、法の支配や直近の民意に対する謙虚さのかけらもなく、民主国家にはほど遠い状況だ」と断じた。

立憲民主党 福山(左)   枝野(右)

 立憲民主党は「辺野古反対」を政策の重要な柱と位置づけているようだ。旧民主党出身の衆院議員らを立民会派に受け入れる際にも、辺野古反対への賛同を条件としている。

 基本政策の一致を求めるのは当然だ。ただし、問題は旧民主党政権の中枢を担った有力議員が、いまさら移設計画への反対を堂々と主張する資格があるのかということだ。

 普天間の移設先について「最低でも県外。できれば国外」といった無責任な約束で沖縄県民の感情を振り回した鳩山由紀夫政権で、枝野氏は閣僚を務めた。福山氏は外務副大臣。本人らも一応認めているが、責任の一端は免れない。

鳩山内閣が辺野古移転を閣議決定したことを伝える朝日新聞の紙面

 続く菅直人政権で枝野氏は官房長官・沖縄北方担当相として途中入閣し、福山氏は官房副長官だった。まさに政府中枢にあって、両氏は「内閣としての(辺野古移設の)方針はしっかり進める」と記者会見などで繰り返し表明していた。

 民主党が下野した後、平成26年11月の沖縄県知事選では仲井真弘多知事(当時)による辺野古埋め立て承認への評価が争点となった。この際、民主党県連代表だった喜納昌吉氏が承認撤回を掲げて出馬したが、これを「県民を混乱させ、党の信用を失墜させた」などとして除名処分の手続きを取り仕切ったのは当時の枝野幹事長だった。

具体策ないまま変節?

 そんな枝野氏らが「辺野古反対」に豹変(ひょうへん)したのは今年8月29日、党沖縄県連の設立時だ。枝野氏は那覇市で会見し「このまま基地建設を続行する状況ではないという判断に至った」と明言し、過去との整合性は「立憲民主党は新しい政党だ」と開き直った。

 会見で枝野氏は「安倍政権になってから沖縄の理解を得る努力も進んでいない」とも主張したが、事実はどうか。

 旧民主党政権は辺野古移設へ回帰した後も沖縄の信頼を取り戻すことはできず、普天間移設や、それと事実上セットになった他の米軍基地・施設の返還はまったく進まなかった。

 沖縄との関係を修復し、慎重に手順を踏んで仲井真氏による埋め立て承認を導いたのは現政権だ。移設計画の前進に伴い、米海兵隊北部訓練場(東村、国頭村)の半分以上にあたる約4千ヘクタールの返還など沖縄の基地負担軽減も進んだ。政権担当時の自分たちの無策を棚に上げて政権批判ができるのは、どういう神経だろう。

 枝野氏は官房長官時代の23年2月14日の記者会見で、沖縄の米海兵隊の抑止力に関して「高い機動性や即応性を持った海兵隊が沖縄にいることが抑止力につながっている」との認識を示していた。

 ところが現在では「海兵隊の役割がこの5年で大きく変化した」とし、米国との交渉次第で辺野古の工事を止めつつ普天間返還が可能になると説く。変化したのは海兵隊の抑止力ではなく、枝野氏ではないだろうか。いずれにせよ、具体案がなければ鳩山氏と同等以下の無責任だ。

国民民主党の玉木雄一郎代表

 立憲民主党だけではない。国民民主党の玉木雄一郎代表(49)は、辺野古埋め立ての着手を「民意を踏みにじるもので、強い憤りを感じる」と述べた。旧民主党政権の失政に一定の責任を負う人たちの不実な言動に、強い憤りを感じる国民も多いだろう。

【私の論評】結局民主党政権時代の負の遺産に振り回されているだけ(゚д゚)!

タレントのローラさんやりゅうちぇるあたりの年代だと、上記のような経緯を全く知らない人もいるのではないかと思います。このあたりしっかりと振り返っておく必要があると思います。

米軍のキャンプ・シュワブ基地(辺野古)の敷地内に滑走路を建設して「世界一危険な基地」と呼ばれる普天間基地から飛行場を移転する「辺野古移転」は、米軍の制約条件の下で普天間基地周辺の安全を確保できる唯一の方策であり、沖縄県・日本政府・米国の長年にわたる議論によってギリギリ構築されたコンセンサスであると言えます。

この方策に反対することは、移転を更に遅らせ、普天間基地周辺におけるハザード発生のリスクを高めることになります。また、返還されることになっている普天間基地の土地を運用できなくなり、経済活動における機会損失が発生することになります。
根強い反対がありながらも、2006年には名護市が移設案に合意しました。しかし、2009年の政権交代選挙で、民主党・鳩山氏が「県外移設」を訴えます。ところが鳩山政権は代替案を見つけることができず、辺野古案に戻りました。そんな迷走の中で沖縄の「民意」は再び反対へと転じ、問題が長期化しています。
1997年12月に行われた名護市の住民投票では、代替施設の受け入れ反対票が過半数をしめましたが、比嘉市長(当時)は辞任と引き換えに基地の受け入れを表明しました。

その後、名護市長選挙、沖縄県知事選挙では、条件をつけながらも受け入れを容認するスタンスの候補が当選し、辺野古への移設計画は少しずつ前進していきました。

建設場所について合意形成に時間を要しましたが、2006年、当初案を修正した「V字滑走路案」で名護市も合意。5月には、日米両政府は米軍再編ロードマップを発表し、2014年を目標に、普天間基地を名護市辺野古に移設することで正式に合意しました。

この年の11月に行われた沖縄県知事選挙では、計画を容認する立場の仲井真氏が当選しています。

事態を急変させたのは、2009年の政権交代選挙でした。民主党の鳩山代表(当時)が「最低でも県外」と発言したのです。
当時の民主党マニフェストには盛り込まれていませんでしたが、選挙活動の中で代表が述べたことにより事実上の公約となり、鳩山政権は県外移設を模索します。

そのような中、2010年1月の名護市長選挙では、県外移設を主張する稲嶺進氏が当選。1996年に辺野古が移設先として浮上して以来、市長選挙では3回連続で容認派が当選してきましたが、初めて移設反対派の候補が当選しました。

しかし、5月に発表された日米共同声明では、辺野古移設案に回帰。辺野古以外に「腹案がある」と発言していた鳩山氏でしたが、結局、代替案を見つけることができなかったのです。

沖縄の世論は県外移設への期待が高まっており、当初、辺野古移設を容認していた仲井真知事も、11月の知事選挙では「県外移設」主張に転じ、再選を果たします。

国政レベルでは迷走を経て辺野古移設案に戻りましたが、沖縄県および名護市では、主張の立場が移設反対へと変わってしまったのです。

海上に進入経路がある辺野古に飛行場を移転すれば、基地周辺住民の安全性が確保され、沖縄の全体の基地面積も縮小することになります。この2点が実現することは沖縄県民の強い要望であり、辺野古移転は一定の合理性を持っている方策と言えます。

ところが、マスメディアの世論調査によれば、沖縄では辺野古移転反対の意見が多数認められます。勿論、一定の合理性を持った方策であっても、それ以上の反対理由があれば移転を反対するのは合理的です。それでは、その反対理由とは一体どのようものなのでしょうか?

実はそれが今よくわかっていないのです。

極めて不可解なことに、地元有力紙の沖縄タイムス・琉球新報、全国紙の朝日新聞・毎日新聞、テレビ放送のテレビ朝日・TBSといった移転反対の論調を持つメディアは、沖縄県に反対者が多いことについては頻繁に報じますが、反対の具体的理由については思わせぶりだけでけっして明示しません。

また、世論調査においても、なぜか反対者に移転反対の具体的理由を聞きません。さらに、[辺野古基金][沖縄平和運動センター]といった反対運動を行っている団体も反対の具体的理由を明示していません。彼らが掲げている唯一の反対理由らしきものは「みんなが反対しているから民主主義のために反対している」ということだけなのです。

辺野古移転の反対派が反対理由を述べない理由として考えられるのが、その理由を述べると、いとも簡単に論破されてしまうことです。例えば、玉木デニー沖縄県知事は反対の具体的理由を明示している数少ない一人ですが、その内容は次の通りです。

玉木デニー沖縄県知事候補(現・同知事)
基地反対について、私が一番訴えたいことは辺野古の新しい基地の建設、そしてそのための埋め立て工事は断念するべきだ、ということです。この6~7割の県民の思いは揺るぎません。このように訴えている理由は、戦後73年経ってもいまだに、日本の0.6%の面積しかない沖縄県に日本の70%あまりの米軍基地が集中させられているためです[記事]

この主張は明らかに不合理です。既存の基地であるキャンプシュワブへの移転によって基地の面積は減少するからです。また、キャンプシュワブ内に建設される辺野古の滑走路は新基地ではなく、新たに接収される土地もありません。さらに「日本の70%あまりの米軍基地」という統計値は正確でなく「日本の70%あまりの米軍専用基地」です。

ちなみに、自衛隊が一部供用する「米軍一時使用施設」を含めた「米軍施設」という観点では、沖縄のシェアは20%程度であり、自衛隊の専用基地も含めた「米軍+自衛隊施設」という観点では、沖縄のシェアは15%程度ということになります[記事]。「日本の70%あまりの米軍基地」というのは、いわゆる (半分真実 half-truth)と呼ばれるレトリックに過ぎません。

一方最近、芸能人のローラ氏が環境破壊を根拠して辺野古移転に反対する[署名]を集めました。
美しい沖縄の埋め立てをみんなの声が集まれば止めることができるかもしれないの。名前とアドレスを登録するだけでできちゃうから、ホワイトハウスにこの声を届けよう。芸能以外のことが、すっごくやりたくて。[記事]

ローラのインスタより

合理です。ローラ氏のいう「美しい沖縄」ではこれまでも多くの地点で埋め立て工事が行われてきましたし、今後も10か所以上の地点で大規模な新規埋め立ての計画があります。

環境を問題視して埋め立てに反対するのであれば、むしろジュゴンの出現頻度が高い沖縄本島西岸に位置する現在進行中の那覇空港の増設工事に反対した方が効果的です。

「芸能以外のことをやりたい」という自己実現目的で目立つネタにとびつくというのはどうかと思います。ちなみに、辺野古の滑走路の場合には、建設予定地が当初案から移動したため、ジュゴンの餌場とされる辺野古周辺の豊かな海草藻場がそのまま保存されることになりました。

具体的理由がないのにも拘わらず、沖縄の大衆が自らの要望と矛盾しない辺野古移転に反対する理由として唯一考えられるのが、繰り返されるマスメディアの扇情報道の結果として大衆の内面に生じていると推察される【ルサンチマン ressentiment】の影響です。

ルサンチマンとは、元々ニーチェのキリスト教批判における中心概念で、「恨み」や「妬み」を意味します。『道徳の系譜』(1887年)において、ニーチェは、キリスト教の起源をユダヤ人のローマ人に対するルサンチマンに求め、キリスト教の本質はルサンチマンから生まれたゆがんだ価値評価にあるとしました。

被支配階級であるユダヤ人は、支配階級であるローマ人の力強さ、能動的に生を楽しむこと、自己肯定的であることに対して恨みや妬みを抱き、このルサンチマンから、強い者は「悪い」、強くない私は「善い」、という屈折した価値評価を作り出しました。

この価値の転換はさらに屈折の度合いを深め、「貧しき者こそ幸いなり」ということばに代表されるような、弱いこと、欲望を否定すること、現実の生を楽しまないことこそ「善い」とする価値評価が生まれ、最終的にキリスト教の原罪の考え方、禁欲主義、現世否定主義につながっていった、とニーチェは考えました。

ルサンチマンを利用したマスメディアによる扇動の極みが、2018年12月15日の朝日新聞社説です。
朝日新聞社説「辺野古に土砂投入 民意も海に埋めるのか」 
安倍政権が沖縄・辺野古の海への土砂投入を始めた。(中略)「辺野古ノー」の民意がはっきり示された県知事選から2カ月余。沖縄の過重な基地負担を減らす名目の下、新規に基地を建設するという理不尽を、政権は力ずくで推進している。「いつまで沖縄なんですか。どれだけ沖縄なんですか」先月の安倍首相との会談で玉城デニー知事が発した叫びが、あらためて胸に響く。
■まやかしの法の支配
政府の振る舞いはこの1年を見るだけでも異様だった。(中略)政権は聞く耳をもたなかった。中国や北朝鮮を念頭に、日ごろ「民主主義」や「法の支配」の重要性を説く安倍首相だが、国内でやっていることとのギャップは目を覆うばかりだ。
■思考停止の果てに
その首相をはじめ政権幹部が繰り返し口にするのが「沖縄の皆さんの心に寄り添う」と「辺野古が唯一の解決策」だ。本当にそうなのか。辺野古への移設方針は99年に閣議決定された。しかし基地の固定化を防ぐために県側が求めた「15年の使用期限」などの条件は、その後ほごにされた。そしていま、戦後間もなく米軍が行った「銃剣とブルドーザー」による基地建設とみまごう光景が繰り広げられる。(中略)既成事実を積み重ねて、県民に「抵抗してもむだ」とあきらめを植えつけ、全国の有権者にも「辺野古問題は終わった」と思わせたい。そんな政権の思惑が、土砂の向こうに透けて見える。
■「わがこと」と考える
何より憂うべきは、自らに異を唱える人たちには徹底して冷たく当たり、力で抑え込む一方で、意に沿う人々には経済振興の予算を大盤振る舞いするなどして、ムチとアメの使い分けを躊躇しない手法である。その結果、沖縄には深い分断が刻み込まれてしまった。国がこうと決めたら、地方に有無を言わせない。8月に亡くなった翁長雄志前知事は、こうした政権の姿勢に強い危機感を抱いていた。沖縄のアイデンティティーを前面に押し出すだけでなく、「日本の民主主義と地方自治が問われている」と繰り返し語り、辺野古問題は全国の問題なのだと訴えた。(中略)そんな国であっていいのか。苦難の歴史を背負う沖縄から、いま日本に住む一人ひとりに突きつけられている問いである。

この社説では、辺野古移転の反対理由という問題の論点を一切語らずに、まるで共産主義国の[プロパガンダ映画]のようにひたすら政府を悪魔化してルサンチマンを煽りに煽っています。文章を読む限り、日本政府は日本を支配しようとする悪の結社であるかのようです。

この朝日新聞の造ったストーリーにおける最も大きな論理破綻は、政府が「自分たちのため」に何としてでも辺野古移転を行いたいと考えているかのような思い込みです。日本政府も米国も、沖縄県民が普天間基地を残してもよいと考えるのであれば、辺野古移転を実施する必要はありません。

また、普天間基地を残すのもダメで辺野古移転を実施するのもダメというのであれば日米安保条約を解消するしか解決方法はありません。この場合、防衛費は現在の5兆円から20兆円に膨れ上がり、日本は重税に苦しむ軍事大国となるはずです。

勿論、この場合には日本国民が安保条約解消を許容するわけはなく、憲法改正してでも辺野古移転を進めるものと考えられます。この程度の自明なバックワード・インダクションもできずに、誰のためにもならない無責任な扇動社説を書いているプロパガンダ新聞社は淘汰された方がよいと考えます。

マスメディアが政権チェックというミッションを遥かに超えて、束となって政治運動を先導している現状は、1930年代から朝日新聞と東京日日新聞(毎日新聞の前身)が国民を扇動して日本を無謀な戦争に巻き込んだ事例とよく類似しています。マスメディアに対する監視は、沖縄県民を含めて、いま日本に住む一人ひとりに突きつけられている問いに他なりません。

不良グループに挑発されて無意味なチキンレースに興じることで損するのは自分であると同時に周辺の人をも不幸にすることを大衆はよく認識すべきであると考えます。「理由なき反抗」はムダの極みです。結局民主党政権時代の負の遺産に沖縄の人々も、政府も振り回されているだけです。

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2018年1月19日金曜日

難民認定制度、厳格化の背景に…民主党政権下の就労許可制度 正しいルールで外国人雇用を―【私の論評】また一つ民主党政権の負の遺産が払拭された(゚д゚)!


総務省
 難民認定制度の厳格化が行われている。法務省は、難民認定申請から6カ月後に一律就労を認めている現行の制度を見直し、借金逃れなど明らかに難民に該当しない事情を述べている申請者には就労を認めず、在留期限後に退去強制の手続きを取ることとした。

まず、しばしば引用される数字を示そう。2016年の先進7カ国(G7)諸国と韓国の難民認定者数(認定率)は次の通りである。ドイツが26万3622人(41%)、フランス2万4007人(20%)、米国2万437人(62%)、英国1万3554人(33%)、カナダ1万226人(67%)、イタリア4798人(5%)、韓国57人(1%)、日本28人(0・3%)。

 この数字について、いわゆる「人権派」から、日本の難民認定があまりに厳しすぎると批判の対象になることもある。日本は、難民条約に加入しており、その条約における難民の定義に即しているが、批判者から見れば、難民条約そのものが「政治難民」を主に対象としているため既に時代遅れになっており、難民の範囲が狭すぎるという意見である。

 ちなみに、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、「経済・紛争難民」もやや広い範囲で含みうるガイドラインも作っているが、それは法的拘束力を持っていないので、日本としては難民条約に基づいて法執行しているという立場である。

 このスタンスが人権派から批判されているのだが、あくまで難民条約は遵守している。それは日本の移民政策の反映でもある。難民条約だけなのか、難民条約にガイドラインを加えるのがいいのかはそれぞれの価値判断によるので、政策判断でもある。

 いずれにしても、現在の法務省の難民認定行政では、「難民」と認定できない人が大量に難民申請をしてきたと言わざるを得ない。

 それは、現行の難民申請6カ月後から一律に就労許可が得られる仕組みの影響が大きい。この仕組みは民主党政権において2010年から導入された。この運用方針によって、就労目的で難民申請する人が増えてきたのは事実だろう。

 現状について法務省は、難民申請の多くが出稼ぎを目的とした「偽装難民」とみている。そこで、法務省は1月12日、申請者を分類し「偽装難民」に該当する場合には就労許可を出さない方針を公表したというのが、厳格化の背景である。

 難民申請6カ月後から一律に就労許可が得られるというのは、明らかにおかしい。今回の方針によって「偽装難民」だけに一律の就労許可を与えないだけなので、「難民」には関係のない話である。

 一方、こうした「偽装難民」を生み出すのは、アベノミクスの成果である国内の雇用環境が好転したことも影響している。国内で人手不足になって、海外からの雇用が必要になっていることも一因だ。国内雇用を損なわない形で、正しいルールでの外国人雇用も必要である。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】また一つ民主党政権の負の遺産が払拭された(゚д゚)!

法務省は今月12日、難民申請制度について、申請6カ月後から就労を許可する現在の運用を廃止すると発表しました。就労目的の難民申請が急増していることを受け、「濫用・誤用的な申請を抑制する」としています。15日から適用しました。

上川陽子法相
上川陽子法相は午前の会見で「(難民の)受け入れを消極的にするという趣旨ではない。保護が必要な難民への適正な対応に傾注したい」と述べました。

今回の見直しでは、難民申請後2カ月以内に申請者を、1)難民の可能性が高い人、2)明らかに難民に該当しない人、3)再申請を繰り返している人、4)その他──に分類する。1)には速やかに就労を許可する一方、2)や3)については就労不可として、在留期限終了後に新たな在留資格を付与しないことにしました。

日本では2010年3月から、難民申請を行った6カ月後から認定手続きが完了するまでの間、就労が認められるようになりました。これは、本当に摩訶不思議な制度です。運転免許の資格試験を受けて、まだ合格もしていないのに、合否が決まるまでの間は、運転できるようなものです。

上の記事を読んだだけでは、なかなか理解できない部分があると思います。難民申請は何度できるるし、しかも審査に2年以上かかるというところが肝です。

とにかく外国人が、本当に難民であろうがなかろうが、難民申請をして半年過ぎれば、申請が認可されようがされまいが、審査が終了する2年後までは、日本で働くことができるということです。これでは、申請を何回か繰り返せば、自分の好きなだけ働けることになります。

申請数はその後増加を続け、2016年の申請者は1万0901人と初めて1万人を上回りました。認定数は28人にとどまりました。

2017年1─9月の申請者は1万4043人に上り、前年同期からさらに1.8倍に増加しました。認定数は9人でした。

説明を追加

これをこのまま放置しておけば、この事実が世界中に広まり、世界中から日本に偽装難民が押し寄せることなったかもしれません。それを恐れたからこそ、政府はこの制度をやめて元に戻したのでしょう。

それにしても、民進党も、立憲民主党も希望の党も、このことには一切触れません。自民党安倍政権には何でも反対なのに、なぜでしょう。やはり、そんなことをすれば、逆に自民党側から自分たちの旧悪を暴露されれば、自分たちに不利になると考えているのでしょう。それは、マスコミも右にならえというところなのでしょう。

さらに、高橋洋一氏の記事には掲載されていませんが、日本は難民・移民を受け入れていないし、最近でも受け入れていないという認識が多くあるようですが、それは明らかな間違いです。

日本は、戦後多くの朝鮮半島からの難民・移民を多数受け入れています。これについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。
パリ同時多発テロの根底にある100年の歴史―【私の論評】本当の歴史を知らなければ、今の世界も日本国内の難民・移民問題も見えなくなる(゚д゚)!
パリ同時多発テロがあったレストラン前に集まり、ろうそくに火をともすパリ市民ら
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、現在の中東難民などを多く生み出してしまう原因を作り出した、EU諸国について掲載するとともに、日本ではマスコミも政治家も口を閉ざしていますが、いわゆ在日朝鮮人・韓国人の中にも難民・移民が存在することを掲載しました。

それにしても、場合によっては難民を事実上無制限に受け入れてしまいかねないようなこのような仕組み、それも法律にも基づかないような仕組みを入れた当時の民主党は何を考えていたのでしょうか。

これは、明らかに日本を破壊しようとしていたといわれても、致し方ないでしょう。そうして、民主党政権は他にも日本を破壊しようとしたとしか思えないようなことをしていました。たとえば、外交・経済・安全保障面での衰退です。その他数え上げればきりがないです。

民主党政権が崩壊してから、5年になりますが、この5年間で多くの国民がこの民主党政権の悪辣さを忘れてしまったようです。

民主党政権を率いた菅直人氏始め多くのメンバーは社会主義者であり、社会主義者の本質は破壊主義です。多くの破壊主義者は、まずは自分自身を善人であるとまわりを騙して、その次に自分が属する組織(国家や社会、自分の属する会社や学校、地域社会)を騙し扇動して破壊しようとするのです。このような性質があるからこそ、党の名前を変えたり、挙句の果は分裂するということも平気でできるのです。

最近の心理学では、以前は人間が物事を判断し決定をするのは理性だとされていましたが、実は人間の理性を支配するのは感情であることが判明しています。人は必ずしも合理的には動いていないのです。

破壊主義者は建設精神よりも破壊本能が大きいので、自分勝手に夢想して、建設的であると称して破壊に専念します。ヒトラー、毛沢東、スターリン、ポルポト等がその最も典型的で極端な例です。

このような日本弱体化への推進勢力である、民主党はなくなりましたが、そのDNAは民進党へ、そうして立憲民主党、希望の党へも受け継がれていることを忘れはならないと思います。

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