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2015年2月15日日曜日

世界各国も金融緩和へ 「通貨戦争」ではなく「デフレ戦争」―【私の論評】とんでも経済論は、日本だけではないが、過去の日本はデフレが20年も続いたという現実があることを肝に銘じよ(゚д゚)!


写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 米連邦準備制度理事会(FRB)や日銀の後を追う形で、欧州中央銀行(ECB)が1月に量的緩和導入を決めたが、カナダやインドなど世界の国々も金融緩和へ向かっている。メディアでは「通貨戦争」という言葉が見られるようになったが、本当に「戦争」といえるようなことなのだろうか。

「通貨戦争」という言葉を使う人は、1930年代の大恐慌は各国の通貨切り下げ競争によって激化したという神話を信じていることが多い。

しかし、この神話は、経済理論的に間違っていたことが最近の研究で明らかになっている。戦間期の為替切り下げ競争が生み出したものは壊滅的な結果ではなく、各国とも好ましい結果になった。

為替レートは原則としてそれぞれの通貨の相対的な存在量で決まる。相対的に希少な通貨ほどレートが上昇するので、金融緩和すれば確かに通貨安になる。

しかし、世界の先進国ではほとんど2%前後のインフレ目標を設定している。そのため、各国は、インフレ目標を超えて金融緩和することはない。つまり、各国のインフレ目標の上限までしか金融緩和しないという限界があるわけだ。

ドルをデザインしたビキニ

インフレ目標が各国に浸透した現代では、各国ともに、自国経済を一定のインフレ率と失業率に抑えようと経済運営すれば、おのずと為替切り下げ競争にはならないのだ。

通貨切り下げによる「近隣窮乏化」は一時的なもので、実際には各国経済が良くなることで、逆に「近隣富裕化」となり、世界経済全体のためにもなる。こうしてみると、自国経済を無視した「通貨戦争」はありえないということになる。

では、なぜ、各国ともに金融緩和なのだろうか。今の時代、モノの生産技術が大幅に進歩して、モノが安価に大量生産されるようになった。しかし、金融政策は旧時代のままで、相変わらず過度なインフレ恐怖症である。このため、カネがモノに対して相対的に過小になって、逆にモノはカネに対して相対的に過大となっている。モノの価値が安くなるため、世界的にデフレ傾向にある。

多くなりすぎたモノと少なすぎたカネのバランスを保つために、カネを増やす金融緩和が必要となって、各国ともにデフレにならないようにしているのだ。このため、「通貨戦争」ではなく、「デフレ戦争」というのが正しい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

上の記事は要約です。詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】とんでも経済論は、日本だけではないが、過去の日本はデフレが20年も続いたという現実があることを肝に銘じよ(゚д゚)!

各国の通貨をデザインした水着

通貨戦争なる幻想は、最近でも広く流布されています。その典型的なものをあげてみます。以下は、「通貨戦争」というキーワードで、過去一ヶ月間のものをグーグルで検索したものです。ごく一部を掲載したものですが、とにかく「通貨戦争」を前提として言説が多いのには正直いって驚かされました。

米ゴールドマン社長、世界は「通貨戦争のさなか」 

「通貨戦争」の先の副作用を警戒(加藤出)東短リサーチ社長チーフエコノミスト

円安阻む「第2次通貨戦争」の壁 編集委員 小栗太 

宣戦布告ない「ステルス」通貨戦争、ボラティリティ急騰がとどめ

「スイスフラン上限廃止で通貨戦争の新たな局面…韓国製造業に危機も」

日本もいわゆる「とんでも経済論」が流布されていて、これでもかこれでもかと、似非識者や新聞などが、新たな「とんでも経済理論」で、日本の国民さんざん引っ掻き回してくれているのですが、こうやってみると他国も似たようなものと思えてしまいます。

通貨戦争については、このブログでも掲載したことがあります。
「円安で近隣窮乏化」という誤解 デフレ対策の緩和、堂々主張を―【私の論評】まともな国にとっては、まずは国民経済をきちんと運営することが、世界経済もうまく運営していく前提となる!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ある国が本気で、「通貨戦争」と称して徹底的にどこまでも金融緩和を継続したらどうなると思いますか? 行き着く先はあまりにもはっきりしすぎています。ほとんど頭をつかわないでも、答えはすぐにでます。そうです。お金が増えすぎるわけですから、確かに通貨安にはなるものの、ハイパーインフレになってしまいます。

ハイパーインフレになりかけか、最悪ハイパーインフレになってしまえば、どの国でも、必ずこれを収拾しようとするはずです。これを収拾するには、金融引締を行うことになります。

だから、「通貨戦争」なるものは、単なる幻想にすぎないのです。

ECは、デフレ傾向が続いていて、金融緩和をすべきなのに、ECBが、なかなか金融緩和政策をしなかったので、あの経済学者クルーグマン氏は、日本への謝罪を表明したことがあります。それについては、このブログでも取り上げたことがあります。

その記事のURLを以下に掲載します。

クルーグマン教授“日本に謝りたい…” 教訓生かせぬEUのデフレ危機を嘆く―【私の論評】同じ内容の記事を読んでも、受け取る人によって様々、EUも日本の既存マスコミも黄昏時をむかえたか?
クルーグマン博士
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は昨年11月のものであり、ポール・クルーグマン氏の主張を掲載しました。その部分のみ以下に掲載します。
世界経済の低迷が続く中、海外メディアでは特にユーロ圏の経済危機に警鐘鳴らす記事が目立ちはじめている。多くは、1990年代後半以降の日本を例に挙げ、デフレスパイラルに陥る危険性を論じている。中でもノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン教授は、ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙上で「欧米は日本以上に深刻なスランプに陥った」と悲観的だ。
クルーグマン教授は、日本の「失われた20年」は、「反面教師として、先進国経済が進むべきではない道を示してきた」とNYTに寄せたコラムで述べている。そして、自身も日本が取った政策を批判してきた一人だと記している。しかし、「我々は今、日本に謝らなければならない」と心情を告白。批判そのものは間違ってはいなかったが、認識が甘かったとしている。
それは、欧米が日本の教訓を全く生かすことなく、「起きるはずではなかった」数々の失敗を積み重ね、日本よりもさらに深刻な状態に陥ったからだという。
 しかし、これだけ辛辣にクルーグマン氏に批判されていたEUも結局は、金融緩和に踏み切ったわけです。

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏は「多くなりすぎたモノと少なすぎたカネのバランスを保つために、カネを増やす金融緩和が必要となって、各国ともにデフレにならないようにしているのだ」と述べています。

これは、実は昔から「ワルラスの法則」として知られています。これについても、このブログで掲載したことがあります。その記事の中で、これに関する上念司氏の動画を紹介しました。これは、非常に理解しやすいので、以下にその動画を再掲させていただきます。


この動画をご覧いただければ、おわかりになるように、「ワルラスの法則」は本当に簡単で、誰にでも理解できるものです。多くなりすぎたモノと少なすぎたカネのバランスを保つために、カネを増やす金融緩和が必要ということです。

EUもこのことに気づいて、ようやっと金融緩和に動き出したということです。

しかし、過去の日本においては、このことが理解されず、デフレ気味になっても金融緩和がなされず、結局デフレを阻止できず、15年以上も完璧にデフレ状況に陥ったという現実があります。

そうして、日銀は、こんな簡単なことも理解できずに、デフレ・円高政策を性懲りもなく長期間にわたって継続させてしまったのです。

ドルをデサインしたビキニ
それだけではなく、マスコミも似非識者もそうして多くの政治家もこぞって、とんでも経済理論で、結果としてし日本のデフレを長期化させてしまいました。

私達は、「通貨戦争」なる幻想にとりつかれることなく、ましてやデフレ・円高政策を正当化するような「とんでも経済理論」にとりつかれることなく、正しい認識をすべきです。

そうでないと、また「とんでも経済理論」が幅を効かせ、実体経済とは関係なしに、増税や金融引き締めが行われて、「失われた20年」が、「失われた40年」になりかねません。

マスコミや、似非識者、マクロ経済音痴の政治家などの言説にだまされないようにしましょう。このことは、このブログでも過去何回も主張してきましたが、何回主張しても良いことだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年2月4日水曜日

実はモチベーションと生産性が低い日本人――理由はこれだ―【私の論評】過去の日本が、デフレ・スパイラルのどん底に沈んでいたことを無視して、日本企業の生産性や社員のモチベーションを語っても百害あって一利なしと心得よ(゚д゚)!


この記事の著者ロッシェル・カップ

日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』という私が最近出した本のタイトルを見て、日本のビジネスパーソンの多くが「本当にそうなの?」と思うことだろう。実際、この本を書いている最中にも同様のことを聞かれた。「日本人はバリバリ働いて、とても頑張っているのに」という意見が多かった。しかし私は、「勤労意欲が高い」「仕事の生産性が高い」という日本人が自分たちについて思うイメージに、本書の中で多くの疑問を呈している。

社員が自分の仕事についてどう思っているかを測定する手段として、最近アメリカで注目を集めているのが、社員のエンゲージメントというコンセプトである。また、社員のアウトプットを測定する直接的尺度となるのが、経済学者の言う生産性である。これらを通して、日本人の働き方と昨今の経済不振の間にどのような関係があるのかを探ってみよう。

社員のエンゲージメントとは、社員の企業に対する関与の度合いと、仕事に対する感情的なつながりを表現するものである。 これは「活力、献身、没頭などに特徴付けられる、仕事に関連するポジティブで充実した精神状態」と表現することができ、エンゲージメントの高い社員は「仕事にエネルギッシュで効果的なつながり」を持っている。つまり、仕事に対して社員が感じている包括的な情熱というレベルにまで焦点をあてているのが、エンゲージメントである。

社員のエンゲージメントが最近アメリカで注目を浴びている一番の理由は、高いエンゲージメントによって数多くの恩恵がもたらされるためだ。エンゲージメントの高い社員は企業に留まる傾向が高く、さらに企業とその製品・サービスの支持者として、より熱心な営業と優れた顧客サービスを提供する。ここで最も重要なのは、そのような社員は、仕事に対するやる気が非常に高いことである。このような社員が、顧客との関係を深め、企業が提供する製品やサービスを刷新し向上する原動力となる。

逆に、エンゲージメントの低い社員は、やる気がなく、仕事にも関心がなく、必要最低限のことしかしない。このような社員は欠勤が多く、安全に関する事故を起こしたり、品質問題を発生させたり、顧客を遠ざけたりする原因となる。また、ネガティブな態度で自分の周囲のモラルを低下させる原因にもなる。多くのアメリカ企業は、エンゲージメントの高い社員を増やし、低い社員を減らすことが、ダイナミックで成功した企業となる秘訣であることを認識し始めた。

社員にやる気を起こさせるためにエンゲージメントが重要であるとしたとき、日本企業の社員のエンゲージメントのレベルは一体どの程度であろうか? 例えば、エンゲージメントの国際比較研究の先駆者、タワーズワトソンの「2014年グローバル労働力調査」によると、日本でエンゲージメントレベルが高い社員は21%(持続可能なエンゲージメントの3要素すべてが高得点)、ある程度高い社員は11%(従来のエンゲージメントは高いがイネーブルメントとエネルギーが低い)、低い社員は23%(イネーブルメントとエネルギーは高いが従来のエンゲージメントが低い)、非常に低い社員は45%(持続可能なエンゲージメントの3要素すべてが低得点)であった。これに比較して、世界平均は同順に40%、19%、19%、24%、アメリカは39%、27%、14%、20%であった。 タワーズワトソンのコンサルティングディレクター、クリス・ピンツによると、少なくとも過去8年間、日本はこの調査の対象国中最低スコアを記録し続けているという。その他エンゲージメントの調査を行っている会社も、似たような結果を示している。

次に生産性を比較してみよう。生産性は一定のインプットでどれだけのアウトプットを作り出すことが可能かの測定である。 OECDが提供する2013年の数値によると、実労1時間あたりの国民総生産GDP(米ドル、時価、現在の購買力平価)は、日本が41.1、OECD平均が47.4、G7平均が56.8、アメリカが66.6となっている。つまり、2013年の日本の生産性はアメリカの61.7%、G7の72.3%、OECD全体の86.7%しかないことを意味する。この数値は、 日本企業の社員は他国企業の社員と比較して、時間を生産的または効果的に使うことをしていないことを示唆している 。

他国と比較して日本企業のエンゲージメントと生産性が低い原因は何だろうか? 幾つもの要素が複雑に絡んでいるため 、どこから始めてよいかわからないくらいだが、大きく分けて、雇用の構造、人事管理の慣行、 人材育成の方法、企業文化の4つのエリアに問題があると私は考える。(これらの問題点については、本書で詳しく解説している)

雇用の構造
  • 「仕事とは何か」に対する柔軟性に欠けるアプローチ
  • 柔軟性に欠ける労働力の区分
  • 「非標準的」労働者の女性、外国人、高齢者などの活用に消極的
  • 社員が自分の仕事内容を選べないシステム
人事管理の慣行
  • 報酬と業績評価の関連性の低さ
  • リスクに立ち向かうことへのサポートの欠如
  • 仕事内容の明確な定義の欠如
  • 社員を解雇する効率的プロセスの欠如
  • 社員のやる気育成への取り組みの欠如
人材育成の方法
  • ソフトスキルに価値が置かれない
  • マネジメントスキルの不足
  • 人事異動の計画性の欠如
企業文化
  • 過度の緊急性の風潮を作り出すヒエラルキー構造
  • お役所仕事的な柔軟性に欠けるプロセス
  • 長時間労働によるワークライフバランスの難しさ
  • 権限付与と自主性の欠如
これらの問題は、今日の日本企業のあり方に内在しているため、取り組むためには著しい構造的変化が必要とされるだろう。しかし今のままでは、日本はこれから他の先進国にどんどん取り残されていってしまう。日本のビジネスは今、将来を左右する重要な分岐点に立たされているといっても過言ではないだろう。

注)上記記事で、太文字はブログ管理者が施しました

【私の論評】過去の日本が、デフレ・スパイラルのどん底に沈んでいたことを無視して、日本企業の生産性や社員のモチベーションを語っても百害あって一利なしと心得よ(゚д゚)!

日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?
上の記事の元となっている書籍


上の記事、一見新しい『日本ダメ論』なのかもしれないと思い、全文掲載しました。私は、この書籍を読んでいないので、論評して良いかどうか迷いましたが、上の記事の内容だけでも、十分に論評できると判断したので、以下に論評させていただきます。

最初に結論を言いますが、過去の日本がデフレスパイラルのどん底に沈んていたことを無視して、日本企業の社員のモチベーションの低さを論評しても無意味ということです。

日本がデフレに突入した直後の1998年より、それまで自殺者が2万人台だったものが、一挙に3万人台にはねあがりました。これについては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
【田中秀臣氏TW】財務省は「人殺し」の機関の別称だといって差し支えない―【私の論評】政治主導を実現するため、財務省殺人マシーンは分割して破壊せよ!日銀殺人マシーンの亡霊を蘇らせないために、日銀法を改正せよ(゚д゚)!
 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、 この記事では、デフレと年間自殺者数との間には、相関関係があるということを前提として、経済学者の田中秀臣氏のツイートなどを掲載しました。

過去の日本においては、15年以上もデフレが続いたという異常事態に見舞われていました。それが、社会に悪影響を及ぼしてきたことも事実です。経済対策は場合によっては人を殺す場合もあると田中秀臣氏もそう思っているようですが、私もそのよう思います。自殺まではいかなくても、モチベーションが下がる人々が多くなることも十分あり得ると思います。

そもそも、デフレでは企業が物がサービスを売りだそうとしても、なかなか売れません。そのような中で企業は、新しく製品やサービスを創造するよりは、既存の製品やサービスを品質を落とさずにいかに低価格で提供するかに知恵を絞るしかありませんでした。さらに、デフレに起因する、超円高で輸出産業にとっても、まるで手枷・足枷をされながら、グローバル市場での戦いを余儀なくされました。

こういう環境下では、企業も当然のことながら、採用を控えます。ただし、ある一定年齢層を全く雇用しないとか、極端に少なくしか採用しないということにでもなれば、将来特定の期間に管理職不足に悩まされることにもなりかねません。だから、消極的ではあるものの採用は続けてきました。

しかし、デフレ下においては、創造性・能力・才能があっても、それを十分に活用することもできませんでした。だから、企業としては、結果として「コミュニケーショ能力のある人」などして、あたりさわりのない採用を行ってきたというのが実情です。

無論、コミュニケーション能力が必要ないなどというつもりはありません。しかし、「コミュニケーション能力」など当たり前であり、これが欠如する人はそもそも、社会生活を営むことができません。企業側としては、この先もデフレが継続するものと想定して、あたりさわりのない採用をして、将来の特定年代の管理職の候補として、調整型の「コミュニケーション能力」をもっとも重視してきたのだと思います。

上の記事の筆者は、このようなデフレの影響は、無視して、日本人の働き方と昨今の経済不振の間にどのような関係があるかを探ろうしています。そもそも、経済不信は日本人の働き方に問題があると考えているようです。また、生産性の低さもそれが原因であると考えているようです。

しかし、これは、原因と結果をはき違えています。私は、長期デフレによる経済不信が日本人の働き方に問題をもたらしたのです。さらに、生産性の低さもそもそも、デフレ下においては、低価格にせざるをえず、低価格にすれば、必然的に生産性が低くなるのも当然の帰結です。

さらに、この筆者は、他国と比較して日本企業のエンゲージメントと生産性が低い原因は大きく分けて、雇用の構造、人事管理の慣行、 人材育成の方法、企業文化の4つのエリアに問題と考えているとしています。

本当に日本人だけがモチベーションが低いといえるか・・・

しかし、デフレであたりさわりのない採用をしている企業が、これらの改革に熱心に取り組むでしょうか。そんなことよりも、ありとあらゆる方面で、コストを下げて、企業の存続をはかることが精一杯だったと思います。

かといって、私は企業などを責めるつもりはありません。企業がデフレ下で、企業を存続させるために、防衛的な行動をすることは、やむを得ないことです。それは、個々人の努力や、企業努力も超えたものであり、その責任は日本銀行の金融政策の失敗によるものです。それを助長した日銀官僚や、政治家、マスコミによるものです。

このような最中に、過去のデフレを無視して、日本人のモチベーションが低いとか、その理由は、今日の日本企業のあり方に内在しているなどとするのは間違いです。

無論、個々人や、日本企業に問題がないなどとはいいません。しかし、欧米でも、欧米企業でも、問題がない企業はありません。

しかし、現状ではどうなるかわかりませんが、日本が長期のデフレ・スパイラルのどん底に沈んでいるときは、欧米は景気が悪いことはあっても、少なくともデフレではありませんてでした。

長期デフレであった日本の過去を無視して、日本人の生産性やモチベーションが低いなどと論ずるのは、百害あって一利なしであると思います。

この記事は日本人の現状のエンゲージメントや、生産性の低さを一方的に日本人のモチベーションの低さに結びつけているという点で、既存の「日本ダメ論」の域を全く超えておらず、全く無意味な論評だと思います。

デフレから完璧に脱出したとき真の日本がみえてくる・・・・・・・

最近の日本は、もはやデフレではありませんが、過去15年以上にもわたって、続いたデフレの悪影響はまだまだ続いています。デフレではないとはいっても、物価目標2%にはまだまだほど遠い上記ょうです。しかし、物価目標が達成され、デフレが完璧に過去のものとなり、緩やかなインフレが続く時代となれば、そのときこそ、日本人の真の姿や、日本企業の真の姿が見られるようになると思います。それだけ、過去のデフレは酷かったということです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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