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2017年2月1日水曜日

「日本は円安誘導」=トランプ氏、為替政策批判-日銀緩和も不満?―【私の論評】変動相場制国間の通貨戦争は単なる幻想に過ぎない(゚д゚)!


大統領令にサインしたトランプ大統領
トランプ米大統領は31日、ホワイトハウスでの医薬品大手トップらとの会談で「他国は通貨安誘導に依存している。支那は行っているし、日本は何年も行ってきた」と語り、日中の為替政策を批判した。大統領就任後に日本の為替政策に言及したのは初めて。2月10日の日米首脳会談を前に日本をけん制する意図があるもようだ。

 31日の欧米外国為替市場では、トランプ氏の発言直後、1ドル=113円台だった円相場が2カ月ぶりの高値となる112円付近まで急伸した。

 トランプ氏は「他国は通貨安を享受し、米国がばかを見ている」「他国は通貨安や通貨供給量で有利な立場を取っている」と主張し、円安・ドル高基調を批判。日銀などが量的金融緩和を実施し、市場に大量の資金を供給していることにも不満をにじませた。

 先進7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)の首脳会議などは、通貨安誘導の回避の原則を確認。一方で、通貨安をもたらす日銀などの金融緩和は、自国経済の安定が目的だとして、容認してきた。トランプ氏が他国の金融政策を批判し続ければ、G7、G20会議の議論にも波紋を広げそうだ。

 「米国第一」を掲げるトランプ氏は貿易赤字の削減に向け、自国製品の輸出に不利なドル高の進行を抑制したい考え。日米首脳会談では、トランプ氏の関心が強い自動車貿易に加え、円安・ドル高も議題に上る可能性がある。日本は2011年以降、円売り介入を避けてきたことを説明し、理解を求める構えだ。
 
 一方、英紙フィナンシャル・タイムズは31日、トランプ政権高官がユーロ安・ドル高を批判したと伝えた。報道によると、国家通商会議トップのナバロ氏は米国と欧州連合(EU)間の環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)交渉について、ドイツに対する巨額の貿易赤字が「障害になる」と述べ、ユーロ安をけん制した。

【私の論評】変動相場制国間の通貨戦争は単なる幻想に過ぎない(゚д゚)!

上の記事の内容からは、トランプ氏は、金融政策を正確に理解していないとろがあります。そうそも、通貨戦争なるものは存在しません。それについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
米中通貨戦争、敗者は支那―【私の論評】支那を敗者に追い込んだのは、米国だけではない!寧ろ日本のほうが大きな役割を果たした!!
米中通貨戦争の勝者はアメリカ?
 この記事は、2013年11月3日のものです。この時期は、アメリカの金融緩和政策(QE)が続いていました。

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、そもそも金融緩和による通貨戦争など成り立ち得ないことを示した部分をこの記事から引用します。
そもそも、通貨戦争など本来あまり成り立ちにくいものです。ある国がどこまでも金融緩和を続ければ、確かに当面の通貨戦争には勝つかもしれませんが、そのまま続けていれば、国内がインフレになってしまいます。それでも続けていれば、ハイパーインフレになってしまいます。そうなれば、金融緩和策はやめざるを得なくなります。こういうことから、通貨戦争をやり続けることは現実には無理です。
日本の場合、2013年4月からそれまで頑なに緩和をしてこなかった日銀が金融緩和に転じました。それによって、確かに円安状況にはなりましたが、その後2014年4月から、経済的には悪手である、消費税増税8%にするというとんでもないことを実施してしまいました。

金融緩和は継続してはいるものの、この増税によって、消費が落ち込み、またデフレにもどってもおかしくない状況になってしまいました。雇用はかなり良くはなったものの、日銀が金融緩和を実施する前に定めた物価目標2%はいまだに達成できない状況です。

それとこのブログにも掲載したように、日本の構造的失業率は過去の統計数値などから2.7%程度と考えられるにもかかわらず、現在の失業率は3%台であり、本来は追加の量的緩和をする必要性があると考えられるのですが、日銀はそれに踏み切らないため、実質賃金なども上昇しつつはあるのですが、目立って上がっている状況にはありません。

そのため、トランプ氏の語る「他国は通貨安誘導に依存している。支那は行っているし、日本は何年も行ってきた」という発言はこと日本に関しては間違いです。

日本は、通貨誘導のために何年も金融緩和政策を続けてきたわけではありません。あくまで、デフレから脱却するために実行してきたものであり、その結果として円安傾向になったものです。

これは、過去のアメリカも実施してきたことです。以下に、アメリカの金融緩和を示すグラフを掲載します。


2014年10月末に、米国連邦準備制度理事会(FRB)は量的金融緩和(quantitative easing : QE)による金融機関等からの資産追加購入を停止することを発表しました。その意味や今後の影響に関してはすでに沢山の解説や論評が出ていますので、ここでは長く続けられた量的金融緩和の実績と結果について、FRBのデータからマネタリーベース(Monetary Base)の推移を現したグラフを掲載しました。

リーマン・ショックのあたりから、かなり大規模な金融緩和を行ってきたことがわかります。それも、現在の日銀と同じように、資産の購入によって実行してきました。そうして、米国の場合は、雇用の改善度合いを目標値として、それを達成したので、QEをやめたのです。これをいつまでも続けていれば、いずれはインフレ、それでもまだ続けていれば、ハイパー・インフレになったことでしょう。

この間、日本の日銀は、金融緩和を行わなかったため、日本は超円高となり、国内では深刻なデフレスパイラルの深みに陥りました。

米国に限らず、他国の中央銀行が大規模な金融緩和を行ったにもかかわらず、当時の日銀はそれを実行しなかったため、こうした事態を招いてしまったのです。

2013年4月以降の日本も、円安誘導をするために、金融緩和政策を実行してきたわけではありません。しかし、2%の物価目標では、インフレになる可能性はありませんが、それでも量的追加金融緩和を拡大し続ければ、いずれインフレになり、それでもさらに続ければハイパー・インフレに陥り、とんでもないことになります。

そのため、金融緩和はいずれかの時点で、取りやめることになります。そうして、普通の国ならば、ハイパー・インフレにならないため、金融緩和政策をいつまでも続けるなどということはあり得ません。

2010年日本は為替介入を実施したが、その後はほとんど行っていない
通貨安誘導には、為替介入(外国為替市場介入)という方式もありますが、これは通貨当局が為替相場に影響を与えるために、外国為替市場で通貨間の売買を行うことで、正式名称は「外国為替平衡操作」といいます。為替介入の目的は、為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることです。

わが国では、為替介入は財務大臣の権限において実施することとされており、実施の決断のほか、タイミングや金額等の決定は財務大臣が行います。日本銀行は、外国為替資金特別会計法および日本銀行法に基づき、財務大臣の代理人として、その指示に基づいて為替介入の実務を遂行しています。

この為替介入についても、いつまでも続けるわけにはいきません。たとえば、円安を誘導するのであれば、ドルを売って円を買うということで確かにできますが、これも長期にわたって継続することは困難です。いつまでも、続けていればドルが枯渇してしまいます。これもいずれ収束することになります。

そのため、為替介入の目的は為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図ることであると認識すべきです。

しかし、これは無論のこと、変動相場制をとっている国の通貨にあてはまることです。


支那は、そうではありません。支那の人民元は変動相場制に対応していません。ですから、通貨の需要と供給の関係によって相場が決定されるという市場メカニズムが働いていません。

厳密に言えば、人民元は確かに完璧な固定相場制ではありません。ただ、現状では自由に売買できる通貨でもありません。うまい表現ではないかもしれませんが、「ちょっと上下する固定相場制」と言った方が良いのかもしれません。

支那は元々、資本主義国ではありませんから、自由貿易と言うものを行ってきませんでした。ですから我々のように、貿易をするのにあたって互いの国の通貨が必要となり、売買したりする必要がありませんでした。

東西冷戦が崩壊し、支那が国際舞台に再び登場してくると、加工貿易を基礎とした急速な経済発展が続きました。すると、外貨と人民元の需給バランスを考えなければならなくなります。そこで登場したのが管理フロート制の採用です。これによって、まったくの固定相場ではなくなりましたが、未だ固定相場に近いのです。

こうした特殊事情から、支那の場合は、元を不当に低くして、為替操作をすることもできます。だから、支那の場合は完璧に変動相場制に移行していないため、為替操作国の謗りを免れないかも知れません。

しかし、日本をはじめとする、変動相場制に移行している国々を、為替操作しているなどというのはトランプ氏の言いがかり以外の何ものでもありません。

貿易赤字に関しても、貿易赤字そのものを家計の赤字と同じようにそれだけで悪いと思い込むのは間違いです。それについては、以下の記事を御覧ください、ここでは解説しません。
支那:1月の貿易黒字は過去最高-内需の弱さ浮き彫りに―【私の論評】安倍政権批判のためには何でもする日本の敵マスコミ諸氏! 支那は貿易黒字で大躍進ではないのですか! 嘘つき日本マスコミの実体が良く理解できる記事(゚д゚)!
貿易統計や、国際収支のみでものを語る愚かな人々?
さて、日本を為替操作しているなどとみる、トランプ大統領にはやはり、その間違いをはっきりと指摘しなければなりません。

トランプ米大統領が日本の為替政策を批判したことを受け、日本政府は反論しました。菅義偉官房長官は1日午前の記者会見で、トランプ氏の発言について「全く当たらない。金融緩和は国内の物価安定目標のためで、円安誘導を目的としたものではない」と強調しました。

菅氏は為替について(1)市場で決定される(2)通貨の競争的な切り下げを回避する(3)為替レートを目標にしない――など主要7カ国(G7)をはじめとする過去の国際的な合意に基づいて政策を進めていると説明。今後もその方針に変わりはないと強調しました。

浅川雅嗣財務官も財務省内で記者団に「日本の金融政策はデフレ脱却という国内政策目的のためにやっている。為替を念頭に置いたものでは全くない」と指摘。「(為替)介入を日本は最近していない」と説明しました。「為替相場はマーケットで動いている。操作しているわけではない。もう少し説明がないと分からない」とも述べました。

いずれにせよ、自国の経済や雇用を良くするために、金融緩和をすれば自国通貨流通量が増えるので、通貨安になるのは当然のことです。しかし、上にも述べたように、金融緩和は限度超えていつまでも実行できるものでありません。為替操作も長期間継続できるものでもありません。

その意味では、変動相場制の国々の間での通貨戦争は単なる幻想です。これをトランプ大統領に理解させないと、日本に限らず、いずれの変動相場制の国でも、金融政策に齟齬を生じる危険性さえあります。

安倍総理は、トランプ大統領と会談するときにこれをわかりやすく説明して、納得してもらうべきです。



2015年2月15日日曜日

世界各国も金融緩和へ 「通貨戦争」ではなく「デフレ戦争」―【私の論評】とんでも経済論は、日本だけではないが、過去の日本はデフレが20年も続いたという現実があることを肝に銘じよ(゚д゚)!


写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 米連邦準備制度理事会(FRB)や日銀の後を追う形で、欧州中央銀行(ECB)が1月に量的緩和導入を決めたが、カナダやインドなど世界の国々も金融緩和へ向かっている。メディアでは「通貨戦争」という言葉が見られるようになったが、本当に「戦争」といえるようなことなのだろうか。

「通貨戦争」という言葉を使う人は、1930年代の大恐慌は各国の通貨切り下げ競争によって激化したという神話を信じていることが多い。

しかし、この神話は、経済理論的に間違っていたことが最近の研究で明らかになっている。戦間期の為替切り下げ競争が生み出したものは壊滅的な結果ではなく、各国とも好ましい結果になった。

為替レートは原則としてそれぞれの通貨の相対的な存在量で決まる。相対的に希少な通貨ほどレートが上昇するので、金融緩和すれば確かに通貨安になる。

しかし、世界の先進国ではほとんど2%前後のインフレ目標を設定している。そのため、各国は、インフレ目標を超えて金融緩和することはない。つまり、各国のインフレ目標の上限までしか金融緩和しないという限界があるわけだ。

ドルをデザインしたビキニ

インフレ目標が各国に浸透した現代では、各国ともに、自国経済を一定のインフレ率と失業率に抑えようと経済運営すれば、おのずと為替切り下げ競争にはならないのだ。

通貨切り下げによる「近隣窮乏化」は一時的なもので、実際には各国経済が良くなることで、逆に「近隣富裕化」となり、世界経済全体のためにもなる。こうしてみると、自国経済を無視した「通貨戦争」はありえないということになる。

では、なぜ、各国ともに金融緩和なのだろうか。今の時代、モノの生産技術が大幅に進歩して、モノが安価に大量生産されるようになった。しかし、金融政策は旧時代のままで、相変わらず過度なインフレ恐怖症である。このため、カネがモノに対して相対的に過小になって、逆にモノはカネに対して相対的に過大となっている。モノの価値が安くなるため、世界的にデフレ傾向にある。

多くなりすぎたモノと少なすぎたカネのバランスを保つために、カネを増やす金融緩和が必要となって、各国ともにデフレにならないようにしているのだ。このため、「通貨戦争」ではなく、「デフレ戦争」というのが正しい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

上の記事は要約です。詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】とんでも経済論は、日本だけではないが、過去の日本はデフレが20年も続いたという現実があることを肝に銘じよ(゚д゚)!

各国の通貨をデザインした水着

通貨戦争なる幻想は、最近でも広く流布されています。その典型的なものをあげてみます。以下は、「通貨戦争」というキーワードで、過去一ヶ月間のものをグーグルで検索したものです。ごく一部を掲載したものですが、とにかく「通貨戦争」を前提として言説が多いのには正直いって驚かされました。

米ゴールドマン社長、世界は「通貨戦争のさなか」 

「通貨戦争」の先の副作用を警戒(加藤出)東短リサーチ社長チーフエコノミスト

円安阻む「第2次通貨戦争」の壁 編集委員 小栗太 

宣戦布告ない「ステルス」通貨戦争、ボラティリティ急騰がとどめ

「スイスフラン上限廃止で通貨戦争の新たな局面…韓国製造業に危機も」

日本もいわゆる「とんでも経済論」が流布されていて、これでもかこれでもかと、似非識者や新聞などが、新たな「とんでも経済理論」で、日本の国民さんざん引っ掻き回してくれているのですが、こうやってみると他国も似たようなものと思えてしまいます。

通貨戦争については、このブログでも掲載したことがあります。
「円安で近隣窮乏化」という誤解 デフレ対策の緩和、堂々主張を―【私の論評】まともな国にとっては、まずは国民経済をきちんと運営することが、世界経済もうまく運営していく前提となる!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ある国が本気で、「通貨戦争」と称して徹底的にどこまでも金融緩和を継続したらどうなると思いますか? 行き着く先はあまりにもはっきりしすぎています。ほとんど頭をつかわないでも、答えはすぐにでます。そうです。お金が増えすぎるわけですから、確かに通貨安にはなるものの、ハイパーインフレになってしまいます。

ハイパーインフレになりかけか、最悪ハイパーインフレになってしまえば、どの国でも、必ずこれを収拾しようとするはずです。これを収拾するには、金融引締を行うことになります。

だから、「通貨戦争」なるものは、単なる幻想にすぎないのです。

ECは、デフレ傾向が続いていて、金融緩和をすべきなのに、ECBが、なかなか金融緩和政策をしなかったので、あの経済学者クルーグマン氏は、日本への謝罪を表明したことがあります。それについては、このブログでも取り上げたことがあります。

その記事のURLを以下に掲載します。

クルーグマン教授“日本に謝りたい…” 教訓生かせぬEUのデフレ危機を嘆く―【私の論評】同じ内容の記事を読んでも、受け取る人によって様々、EUも日本の既存マスコミも黄昏時をむかえたか?
クルーグマン博士
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は昨年11月のものであり、ポール・クルーグマン氏の主張を掲載しました。その部分のみ以下に掲載します。
世界経済の低迷が続く中、海外メディアでは特にユーロ圏の経済危機に警鐘鳴らす記事が目立ちはじめている。多くは、1990年代後半以降の日本を例に挙げ、デフレスパイラルに陥る危険性を論じている。中でもノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン教授は、ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙上で「欧米は日本以上に深刻なスランプに陥った」と悲観的だ。
クルーグマン教授は、日本の「失われた20年」は、「反面教師として、先進国経済が進むべきではない道を示してきた」とNYTに寄せたコラムで述べている。そして、自身も日本が取った政策を批判してきた一人だと記している。しかし、「我々は今、日本に謝らなければならない」と心情を告白。批判そのものは間違ってはいなかったが、認識が甘かったとしている。
それは、欧米が日本の教訓を全く生かすことなく、「起きるはずではなかった」数々の失敗を積み重ね、日本よりもさらに深刻な状態に陥ったからだという。
 しかし、これだけ辛辣にクルーグマン氏に批判されていたEUも結局は、金融緩和に踏み切ったわけです。

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏は「多くなりすぎたモノと少なすぎたカネのバランスを保つために、カネを増やす金融緩和が必要となって、各国ともにデフレにならないようにしているのだ」と述べています。

これは、実は昔から「ワルラスの法則」として知られています。これについても、このブログで掲載したことがあります。その記事の中で、これに関する上念司氏の動画を紹介しました。これは、非常に理解しやすいので、以下にその動画を再掲させていただきます。


この動画をご覧いただければ、おわかりになるように、「ワルラスの法則」は本当に簡単で、誰にでも理解できるものです。多くなりすぎたモノと少なすぎたカネのバランスを保つために、カネを増やす金融緩和が必要ということです。

EUもこのことに気づいて、ようやっと金融緩和に動き出したということです。

しかし、過去の日本においては、このことが理解されず、デフレ気味になっても金融緩和がなされず、結局デフレを阻止できず、15年以上も完璧にデフレ状況に陥ったという現実があります。

そうして、日銀は、こんな簡単なことも理解できずに、デフレ・円高政策を性懲りもなく長期間にわたって継続させてしまったのです。

ドルをデサインしたビキニ
それだけではなく、マスコミも似非識者もそうして多くの政治家もこぞって、とんでも経済理論で、結果としてし日本のデフレを長期化させてしまいました。

私達は、「通貨戦争」なる幻想にとりつかれることなく、ましてやデフレ・円高政策を正当化するような「とんでも経済理論」にとりつかれることなく、正しい認識をすべきです。

そうでないと、また「とんでも経済理論」が幅を効かせ、実体経済とは関係なしに、増税や金融引き締めが行われて、「失われた20年」が、「失われた40年」になりかねません。

マスコミや、似非識者、マクロ経済音痴の政治家などの言説にだまされないようにしましょう。このことは、このブログでも過去何回も主張してきましたが、何回主張しても良いことだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年1月25日金曜日

「円安で近隣窮乏化」という誤解 デフレ対策の緩和、堂々主張を―【私の論評】まともな国にとっては、まずは国民経済をきちんと運営することが、世界経済もうまく運営していく前提となる!!


浜田宏一エール大名誉教授


 アベノミクスに対して、海外から批判が出ている。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が「競争的な通貨切り下げには反対」、米自動車大手3社(ビッグ3)は「日本が円安を通じた近隣困窮政策を取ろうとしている」、ドイツのショイブレ財務相は「日本の新政権の政策は心配」、ロシア中央銀行幹部は「日本は円を下落させており、他国も追随しかねない」など、それぞれ通貨安競争を懸念する発言が相次いだ。

 20日のNHK番組で、浜田宏一エール大名誉教授は、ラガルド氏の発言を引用して「変動相場制の論理を理解しない議論。(経済学者の)ジェフリー・サックス、アイケングリーンが(懸念する必要のないことを)証明している。どうしてIMFのトップが基本的な国際金融の原理を理解しないのか」と疑問を呈した。

 どこかの国が通貨切り下げをすると、短期的に外国はマイナスの影響を受けるが、外国も金融緩和をする。両国ともにインフレ率が高くなるが、それぞれ許容できるインフレ率に限界があるので、金融緩和競争はいつまでも続かない。と浜田教授は言いたかったのだろう。

 現在、先進国ではインフレ目標を設定しているので、この話はよりわかりやすい。2%程度のインフレ目標を持つ先進国では、4、5%のインフレにはならないような金融政策の運営が行われる。要するに、各国ともに、自国経済を一定のインフレ率と失業率に抑えようと経済運営すれば、おのずと為替切り下げ競争にはならないのだ。

この記事の続きはこちらから!!

私の論評まともな国にとっては、まずは国民経済きちんと運営することが、世界経済うまく運営してい前提となる!!


周小川中国人民銀行総裁  
昨日も日本の新たな金融政策について、中国がよこやりをいれてきたことについて、このブログで批判したばかりです。中国の経済は異常でかなりインフレ気味ですらか、上の浜田先生が語っていたことは当てはまらないと思います。もともと、駄目な社会構造で経済もよくなるはずのないところを、無理やり人為的に良くしてきたというのか、過去20年の中国のやりかたですから、これは、社会構造を変えない限り、日本などが金融緩和に走れば、中国経済はズタボロになります。というより、もうすでにそうなっています。だからこそ、裸官などが暗躍するのです。


しかし、そうではない、変動相場制にあるまともな国ならば、日本がいくら金融緩和に走ったとしても、インフレ率を無限大に高めて円安誘導をどこまでもやるということはあり得ないので、ある一定水準で、円安もとまるわけですから、さほど心配するにはあたらないわけです。しかも、日本は、2%ととしているわけですから、おそらく、この目標をせい一杯やったとしても、円安もある一定限度内に収まるのははっきりしています。

中国元
  だから、中国のような特異な国は、例外として、国家主権を持っている国は、日本が金融緩和に走ったからといって、何もあわてる必要はなく、日本や他国などが金融緩和に走ったため、自国通貨の希少性が増して通貨高傾向になれば、自国も増刷などをして金融緩和をして自国通貨の希少性を減らすようにして、それもインフレ傾向になればやめれば良いだけです。これは、どこの国でもあてはまることです。自国のみ都合で金融緩和をしたとしても、他国も金融緩和をするし、金融緩和をするにしても、インフレ率はある程度までしか許容できないので、おのずと通貨競争などおこらないわけです。

通過競争を主張する愚かなIMFラガルド専務理事


しかし、特にIMFのラガルド氏やドイツの ショイブレ財務相 が懸念を表明するのはわかります。なぜなら、ラガルド氏は、もとフランスの財務相の経験もあるし、ドイツのショイブレ財務相は無論のこととして、EUを念頭にして日本の金融緩和に異議を唱えているのだと思います。EUの場合は、EU域内に経済など本来全く別の国々が、無理に一つにまとまってEU域内の金融政策、財政政策をとっています。本来EUなど全くなく、それぞれの国が独立して、金融政策や財政政策をできるというのなら、先と同じ理由で、そんなに悪影響をこうむるはずもありません。

ドイツの ショイブレ財務相
  しかし、EUの場合、原則として一国の金融政策や財政政策などできないわけで、そうなると、世界的な金融の変動などがあった場合、なかなかすぐに対応できないし。対応するにしても、域内の平均的・標準的な金融政策しかとれないので、国によっては、かなり甚大な影響を蒙ってしまう場合もありえます。だから、ラガルド氏のような発言になるのです。


このブログでは、もともと、EUなど成り立たないことを昔から主張してきました。たとえば、ドイツや、スペイン、ポルトガルましてやギリシャなどの経済はあまりにも違いすぎます。これらが、同じ経済圏で一つの通貨で財政政策や、金融政策を実行するなど、もともと無理な話です。

EUには最初から無理がある?
  ギリシャだって、もし、EUに加盟していないで、独自の金融政策、財政政策をとることができれば、あそこまで深刻な状況に陥らないですんだ可能性が大です。

EUなどのいわば、経済のグローバル化などは、そもそも問題がありすぎるのです。だから、EUの問題も、特殊事情ととらえるべきと思います。EUは、今後特に金融・財政政策に関しては、緩い統合として、各国がある程度自由に金融政策などとれるようにしていくべきと思います。そうして、100年、200年かけて、各国の経済を平準化して統一していくことが望ましいと思います。そうはいっても、100年、200年かけても、地域間格差は残って、真の経済統合は難しいかもしれません。


EUは例外として、日本、アメリカ、他国のいわゆる国民経済という立場をとっている国々で、変動相場制をとっているまともな国は、日本が多少金融緩和に走ったからといって、特に通貨戦争などという状況になるなどということはありません。

国民経済のお金の流れ。日本の国民経済は、無借金どころか貸付大幅超過!!


それに、上の記事にも掲載されているように、1930年代の大恐慌は各国の通貨切り下げ競争で激化したという「神話」はなど全くの間違いです。大恐慌の原因は、1990年代の研究で明らかになったように、デフレが原因です。そうして、デフレが深化したのは、通貨切り下げ競争によるものでなく、本来デフレならデフレ対策を実施すればよいものを、さらなる財政緊縮策や、金融引き締めなどを行ったのが原因です。

日本での恐慌は、昭和恐慌といわれますが、この昭和恐慌に当時の高橋是清内閣は、すぐにリフレ政策をとって、世界で一番はやくデフレから脱却しました。その他の国はアメリカなども含めて、リフレ政策をとることはなく、結局戦争に突入し、戦争を遂行するために、積極財政や金融緩和をやらざるをえなくなって、実施したところデフレから脱却できたという経緯があります。

昭和恐慌時代の日本の典型的な家庭の食事風景
  戦争目的遂行のために、積極財政や金融緩和をせざるを得なかったということが、未だに真実を覆い隠しているようです。それに、リフレ政策をとって世界でもっともはやくデフレから脱却できた日本ですら、その真相があまり理解されていません。最近ようやっと一部の人々が理解しはじめたという状況です。

デフレのときは、まずは、変動相場制をとっているなら、他国のことなどあまり気にせずに、各々の国が自分の国のことを考えて、金融緩和、財政出動を行えば良いのです。そうして、なるべく早くデフレが脱却すれば良いのです。そうすれば、他国は、自国の通貨を調整しますが、それらにもおのずから限度があり、けっして通貨戦争になどなりません。

恐慌時代の各国のGDP、日本がいち早く回復している
  EUはその限りではないと述べましたが、それも、EUの都合にすぎません。もともと、無理な体制なのですから、EU域内で、デフレなどに陥った場合単一国で、ある程度自由な金融政策をとることがてきるように制度を組みなおせばよいだけです。それをしないというのなら、いつまでたっても、他国の金融政策などの変化におびやかされるだけです。EUがいまのまま金融政策や、財政政策を継続して、域内のどこかの国の経済が酷く停滞したとしても、それは、そもそもEUのシステムの問題です。他の国民国家が、それにあわせる必要はもうとうありません。無論日本も例外ではありません。

私たちは、そういう次元でものごとをみて、まずは日本国内のことを最優先すべきものと思います。だから、他国のいう通貨下げ競争などの意見に耳を貸す必要はありません。それに、日本は、過去20年間も実質上金融を引き締めっぱなしだったのですから、どうどうと金融緩和、円安を主張すべきです。

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