ポール・クルーグマン氏 |
同教授はベオグラードでの講演で、米国には「もう一弾の景気刺激」が必要で、金融当局は成長回復を支援するために「できることを全て」する必要があると指摘。欧州では単一通貨を救うため、財政同盟が必要だと述べた。
「欧州は緊縮には限界があること、これ以上の緊縮は社会を崩壊の縁に追いやるだけだということを認識しなければならない」とし、「各国に余りに多くの苦痛を与え過ぎたとドイツと欧州中央銀行(ECB)が気付くまで、いかなる国も繁栄しないだろう」と語った。
ECBも米連邦準備制度理事会(FRB)も危機対応策を打ち出している。ドラギECB総裁は無制限の国債購入の計画を示し、バーナンキFRB議長は量的緩和第3弾(QE3)実施を表明した。
クルーグマン教授は欧州について、「困難な状況にある国々への金融面の脅威・・・・・・・・・
【私の論評】日本は、はやくデフレから脱却して、世界に範を示せ!!
財政赤字だからといって、それを解消するために、増税するという考え方が正しいかどうかは、その時々の経済の状況によります。好況でインフレのときには、これは正しいです。不況で、デフレのときは間違いです。そうして、このような間違いは、よくあることです。たとえば、日本では、通常の国であれば、不況ともみなされないような不況や円高に、輸出産業(当時は、輸出が日本全体のGDPに占める割合は8%)が悲鳴をあげ、これに対して、財政出動、金融緩和などを推し進めた結果、あのバブル崩壊を招いてしまいました。このときは、本来何もしないほうが良かったのです。おそらく、現在からみれば、多くの人が理解できると思います。その意味では、日本のバブルは決して必然的なものではありませんせでした。
次に、バブル崩壊後には、崩壊後5年くらい、最大限譲歩しても、10年くらいなら、緊縮財政、金融引き締めをしても無理はなかったた思います。しかし、ごく一部の例外を除いて、日本政府も日銀も、バブル以降ずっと緊縮財政、金融引き締めのやりっぱなしです。ちなみに、バブル崩壊後は、積極財政、金融緩和を同時に実施したということは一度もありません。一度バブルに落ち込んだらかと言って、今度は、とにかくバブルやバブル崩壊に少しでもつながりそうなことは、絶対にやらないというのが、ここ20年の日本です。まさに、「過ぎたるは及ばざるがごとし」の典型例といえます。
今世界は、恐慌を繰り返そうとしているのかもしれない |
しかし、この緊縮財政・金融引き締めは、どこかでやめなければなりません。それは昨日このブログに掲載した日本では、リチャード・クー氏が最初に言い始めた、「バランスシート不況」により、多くの民間企業が設備投資のための借金をしなくなったということがデフレの最大の原因であるためです。借金をしてまで、設備投資をしても自己資金を使えばできる範囲での投資しかしない、あるいは、不良債権処理のため、無借金経営をして、銀行に金を返すことばかりしているというのが、今の日本の状況だからです。個人でも同じように借金をあまりしなくなっています。
個人の生活では、借金をしないことは良いことのように思われますが、国という単位で借金をする企業、個人が少ないということは経済にとっては良いことでありません。誰も新しいことをしたくでも、できないということです。だから、まずは、国が積極財政をして、日銀も同時に金融緩和をする必要があるのです。そうして、まずは、国内のGDPそのものを増やす方向にもっていかなければなりません。そうでなければ、この不況からは、いつまでも脱出することはできません。
不況で、税収が減って、財政赤字になるからといって、税率をあげたとしても、GDPがますます減るだけで結局税収が減るだけで、ますます、財政赤字が増えるだけです。これは、当たり前の真ん中の、理論です。そうして、この理論は、2010年に日本でいえば、消費税にあたる、付加価値税を大幅増税したイギリスで、さらに不況が深刻化して、財政赤字改善の目処が全くたたない状況に追い込まれていることでも、実証されています。
そうして、上の記事のクルーグマン氏が語っているように、今のEU、アメリカなど多くの国々が、日本の二の轍を踏もうとしています。一体世界はどうしてしまったのでしょうか?
1930年代は、多くの国々が当時よりも豊かになって、GDPもはるかに大きくなったことを除いて、まるで今日と同じような状況にあります。そうです。不況になったから、財政赤字になり、これを解消するため、国によって、やりかたは異なるのですが、増税、緊縮財政、金融引き締めに走ったり、不十分な金融緩和でことたりとするという状況がまるでそっくりなのです。
世界は、1930年代の反省にたち、様々な経済学者などが、不況になれば、積極財政、金融緩和をすべきというマクロ経済学の理論を発展させてきたはずなのに、今の世界は、金融恐慌時代と同じような過ちを繰り返そうとしています。
1930年代に、日本は、同じく世界恐慌に飲み込まれ、さらに悪いことには、不況であるにもかかわず、緊縮財政、金融引き締めなどをして、経済がかなり落ち込んでいました。この落ち込みを日本では、昭和恐慌と呼んでいました。しかし、この状況を高橋是清が、典型的なリフレ政策によって、世界で一番はやく、収束させたことは、このブログでも掲載しました。
当時このように素早く、恐慌から立ち直ったのは、日本だけです。他国は、そうではありませんでした。アメリカなども、ずっと恐慌が続き、恐慌から立ち直ったのは、本格的な戦争がはじまってしばらくしてからでした。アメリカでは、大戦争を遂行するため、ヨーロッパや、太平洋に、大量の人員、大量の武器を送らなければならず、そのためには、かなりの財政出動、金融緩和をせざるおえず、実際それを実施したからこそ、恐慌から脱することができたのです。戦争がなかったとしたら、アメリカの不況はまだまだ長引いたに違いありません。
B25戦略爆撃機の最終組み立てライン |
今世界のほとんどすべての国々が、同時に不況に陥れば、世界はまた、1930年代の世界に逆戻りです。そのようななかで、日本がデフレから脱出すれば、世界第二の経済大国に返り咲くことも可能性です。そうして、人口などから比較して、アメリカよりも規模の小さい国ですから、実質的に経済が最も強い国に返り咲くこともできるかもしれません。
そうなれば、日本は、世界経済の牽引車になることも可能です。さらに、牽引車になることができれば、日本の経済政策の正しさを証明することにもなり、他国も、自分たちの経済政策の過ちに気づき、まともな経済対策をとるようになり、世界経済も恐慌に陥らないか、陥ったとしても、昭和恐慌時代の日本のようにはやく立ち直ることができるうようになる可能性も高いです。
今まさに、日本はあらゆる意味で転換期にあると思います。日本は、もともと、大きな潜在可能性を秘めた国であるにもかかわらず、ここ20年間、デフレ政策を続けてきたために、一時的に疲弊しているにすぎません。そうして、このようなこと、日本では多くの国民、企業経営者、政治家など気づかずに、デフレを前提にものごとを考え方、八方ふさがりの閉塞感にさいなまされています。
今のような状況は、一刻もはやく終わらせ、国内だけではなく、世界に範を示すような日本になるべきです。そうして、このような文脈を理解していて、これを現時点で、最も実現することができそうな、リーダーは、現在では、安部自民党総裁だけです。残念ながら、自民党の他の総裁候補は、そのような考え方を持っていないことが、総裁選挙で明らかになったと思います。民主党などは、はなから圏外です。その他の野党のリーダーたちも似たり寄ったりです。
そう思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どうお考えになりますか?
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