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2020年3月24日火曜日

新型コロナで首都封鎖!?:小池都知事:自粛疲れとリスクコミュニケーションの心理―【私の論評】カタカナ英語は、会議・打ち合わせでは絶対に使うな(゚д゚)!

碓井真史 | 新潟青陵大学大学院教授(社会心理学)/スクールカウンセラー

新型ウイルス肺炎の世界流行で3/23に行われた小池都知事の会見

首都封鎖。インパクトのある言葉です。

■首都封鎖!? 東京封鎖!? 小池都知事

「首都の封鎖あり得る」。インパクトのある言葉です。オリンピック延期容認につづき、都知事の言葉として注目が集まっています。
東京都の小池知事は、新型コロナウイルスの大規模な感染拡大が認められた場合は、首都の封鎖=ロックダウンもあり得るとして、都民に対し、大型イベントの自粛などを改めて求めました。
 「この3週間オーバーシュートが発生するか否かの大変重要な分かれ道であるということです」(小池百合子 東京都知事)出典:新型コロナ、小池都知事「首都の封鎖あり得る」:TBS 3/23
■新型コロナウイルス感染への適切な不安、正しく怖がる

私たちは、「適切な不安」を持たなくてはなりません。よく言われるように「正しく怖がる」です。

もしも不安がなければ、どんなに危ない道も用心しないで走って転んでしまいます。不安が全くなければ、試験勉強もしないし、ドアに鍵をかけることもなくなってしまいます。これでは、生活していけません。

ただし、不安は私たちの心を蝕むこともあります。試験に落ちる不安が高まり過ぎれば、かえって試験勉強に手がつきません。試験本番では上がってしまって、実力を発揮できません。不安な状態が長く続けば、心も体も病気になってしまいます。

不安が高くなりすぎると、動けなくなることもありますし、暴走してしまうこともあります。これでは困ります。

必要以上に人々を怖がらせてはいけませんし、油断させてもいけないのです。

■自粛疲れとリスクコミュニケーション

正しい行動のためには、適切な「リスクコミュニケーション」が必要です。専門家や政治家のメッセージが、正しく人々に届かなければなりません。

世間では、「自粛疲れ」などという言葉も出てきました。テレビも新聞も、毎日毎日コロナコロナでは、気が滅入ります。客は減るし、景気は悪い、仕事もひま。こんな状態がいつまでも続いては困ります。

学校の生徒たちは、突然の休校、部活もなし。カラオケもダメだと言われるし、繁華街に出ると白い目で見られることもある。これでは、息が詰まります。

人の心も体も、適度に活動するようにできています。活動が制限され、人との交流が制限されれば、よくうつ状態が出たり、子供若者などはイライラし始めます。

また、ヨーロッパなどと比べると、日本の生活は安定しています。医療崩壊も起きてはいません。

自粛生活にも疲れたし、ストレスはたまるし、もうそろそろ活動を再開しても良さそうだと、少なくない日本人が感じ始めています。

繁華街や観光地にも、少し人が戻ってきたようです。外国人がいないので空いていて、今がチャンスといった宣伝もあるようです。

大阪のライブハウスですら、若い人が集まっているところもあります(地下アイドルのライブ活動などが再開したと大阪の人に聞きました。決してライブハウスが悪者ではないのですが)。

公園などに行くことは、良いことでしょう。必要以上の自粛はよくありません。経済が死んでも困ります。本当に正しい行動は何なのかは難しいのですが、疲れや油断が出てきた面はあるかと思います。

この現状で、適切な緊張感を保つための、「首都封鎖」の発言とも見られます。効果はあるでしょう。

政治家は、必要に応じて、人々を安心させたり、また用心させたり、覚悟させたり、勇気を持たせたりしなくてはなりません。政治家による扇動ではいけませんが、ウイルスに関する正しい知識に基づいて、必要なメッセージを届けることが大切です。

事実や数字だけでなく、気持ち、感情を伝えることが大切です。人は数字では動かず、感情で動くからです。

■新語、カタカナ言葉の問題とリスクコミュニケーション

以前の新型インフルエンザ騒動のときに、一般の人も知った新語が、「パンデミック」や「フェーズ」です(「フェーズ」は、もう忘れた人もいるかもしれません)。

今回の新型コロナウイルスに関しては、パンデミックに加えて、「クラスター」「オーバーシュート」「ロックダウン」です。

マスコミも、私たちも、新語、カタカナ語が好きなので、これらの言葉は注目されやすい良い面があります。

一方、カタカナ言葉は苦手な人もいます。

私は、新型インフルエンザ騒動の時に18を対象に調査しました。これだけ大報道がされていても、「パンデミック」の意味のわからない若者が数パーセントはいました。

また意味は分かったとしても、漢字よりもかえって実感が持ちにくい場合があることも忘れてはいけません。

感染症以外の日常生活でも、アルファベット表記やカタカナ言葉がスマートでカッコ良くても、結局日本語、漢字が、最も直感的に理解できることは、よくあることです。

新語カタカナ語は、時には日本語、漢字以上に、不気味な不安感を呼び起こすこともあります。また時には、カタカナ言葉の意味がわからなかったり、本来感じて欲しい適切な不安感情を導きにくいこともあります。

今回の記事の見出しも、「首都ロックダウン」ではなく「首都封鎖」でした。

新語やカタカナ言葉が悪いわけではありませんが、きちんと正しいメッセージが伝わるリスクコミュニケーションのためには、様々な工夫と配慮が求められています。

本当に首都封鎖などにならないように(本当に首都ロックダウンなどにならないように)、

怖がりすぎず油断せず、新型コロナウイルスと戦っていきたいと思います。

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新語解説
  • パンデミックとは:パンデミック(pandemic)は「広範囲に及ぶ流行病」「感染症の世界的な流行状態」のことです。
  • フェーズとは:フェーズ(phase)とは、局面、一側面、位相、段階、「変化する過程の一区切り」です。フェーズは、分野業界によって使い方が異なりますが、医療業界では、 パンデミックの警戒段階を「フェーズ」で表したりします。
  • クラスターとは:クラスター(cluster)とは、房、集団、群れの意味で、これも分野や業界によって使い方が異なりま。心理学の人間だと統計手法の「クラスター分析」を思い浮かべます。感染症に関しては、「小規模な患者の集団」です。
  • オーバーシュートとは:オーバーシュート(over shoot)とは、これも分野や業界で意味が違って、経済分野では為替や株価が過剰反応して行き過ぎたことを指します。感染症に関していえば、「爆発的患者急増」です。
  • ロックダウンとは:ロックダウン(lockdown)は、「封鎖」という意味ですが、IT分野ならセキュリティを強化するためにOSやアプリケーションの機能を制限する仕組みです。建物の内部の人を守るために外部の人が入れないようにするのもロックダウン。緊急事態に人の移動や情報を制限することもロックダウン。感染症で外出禁止もロックダウン。小池都知事は、「感染の爆発的な増加を抑え、ロックダウン(都市封鎖)を避けるために不便をお掛けするが、ご協力をお願いしたい」と呼び掛けました。
カタカナ言葉って、難しいですね。

【私の論評】カタカナ英語は、会議・打ち合わせでは絶対に使うな(゚д゚)!



最近は、確かにテレビ等を見ていると、「パンデミック」とか「クラスター」「オーバーシュート」とカタカナ英語が氾濫しています。これは、はっきりいいますが、良くない傾向です。

この良くない傾向に、真正面から警鐘を鳴らした人がいました。そうです、河野防衛大臣です。

「わざわざカタカナで言う必要があるのか」―。河野太郎防衛相は24日の記者会見で、新型コロナウイルスに関する用語として政府が「クラスター」や「オーバーシュート」、「ロックダウン」といったカタカナ英語を使っていることに対し、「分かりやすく日本語で言えばいい」と疑問を呈した。

河野氏は22日に自身のツイッターで、クラスターは「集団感染」、オーバーシュートは「感染爆発」、ロックダウンは「都市封鎖」にそれぞれ置き換えられると指摘。会見では「年配の方をはじめ、よく分からないという声を聞く」と語り、厚生労働省などに働き掛ける考えも示しました。

これに関し、菅義偉官房長官は会見で「国民に分かりやすく説明することは大事だ」と述べた。

このような河野防衛大臣の発言があったことを知ってか、知らずか、23日に小池百合子東京都知事は、会見で「ロックダウン」、「オーバーシュート」という言葉を使っていました。

小池知事は、今回に限らず、元からカタカナ英語を多様する人です。東京都知事選の頃から多様していました。それについては、このブログでも解説したことがあります。

詳細は、当該記事をご覧いただくものとして、以下に当該記事から、画像を以下に貼り付けておきます。


小池知事に限らす、現状ではコロナウイルス関連で、日々「カタカナ英語」が流れています。この風潮が、止むどころか、どんどん広まる傾向があったので、ついに河野太郎防衛大臣にまで言われてしまったというところだと思います。

河野氏は英語ができますから、これまでは堪え難きを堪えていたのでしょうが、ついに「我慢できずに」言ってしまったのでしょう。いくらなんでも、おかしすぎです。

常識的な人なら、ほぼ全員が同じことを思っていたと思います。何しろ、「クラスター」から始まって、このコロナ禍の真っ最中に、次から次へと政府から「カタカナ英語」の数々が発せられる必然性があるのでしょうか。

 しかもそれらは、ほとんどが「なにやら妙な使いかた」をしているカタカナ英語ばかり、です。ちなみに、これらの言葉は、「新語」とされていますが、英語自体の言葉としては、新語でも何でもなく、使い古された言葉です。

しかし、新聞記事などでは、記事中に「新語」として、説明や注釈やらがついています。

しかし、「それだけで」十二分に説明が可能なのですから「クラスター」は「感染者小集団」で良いではありませんか。私自身は、「より正確な意味が伝わる」はずの、日本伝来の「漢語的表現」で十分用が足りると思います。

「クラスター」は英語のclusterのカタカナ表記で、辞書を引けば、「花、果実などの房やかたまり」、「動物、人、物などの群れ、集団」というように書かれています。

これまで日常的な英単語としてはあまり知られていなかった「クラスター」ですが、実際のところは、今回の感染症疫学的な用語としてだけでなく、様々な分野で使われています。

たとえば、日本の大学では、関連性のある学科の科目をまとめたものを「クラスター」と称するのがトレンドになっています。日本語では「科目群」ということですが、専門分野重点型、あるいは分野横断的なクラスターを作って、学生が深く、幅広く学べるようにするという「クラスター制度」を導入する大学が増えています。また、研究者の幅広い取り組みのために、関連分野を統合して「研究クラスター」という共同研究体制を作っている大学もあります。

そのほか、次のような分野でも「クラスター」が用いられています。

【天文学】

星の観測がお好きな方はよくご存知だと思いますが、星がまとまって集団となっているものを英語ではstar cluster(「スタークラスター」)と言います。日本語にすると「星団」です。有名な「すばる」もスタークラスターで、英語ではthe Pleiades star cluster(プレアデス星団)。

肉眼でも6個ほどの星が見えますが、望遠鏡では100個以上の密集した星々を見ることができるのだそうです。こうした数百ほどの星がまばらに集まっている星団をopen cluster(散開星団)、数万個以上の星が丸く球状に集まっている星団をglobular cluster(球状星団)と言います。

【人文社会学一般】

人々の嗜好やライフスタイル、意見などについて、様々なアンケート調査がよく行われますが、その結果を分析するのに「クラスター分析」(cluster analysis)が使われることがあります。

統計解析の手法の一つで、簡単に言えば、雑多な集団の中から似たもの同士をまとめて「クラスター」にして対象を分類するテクニックです。商品アンケートなどの調査データをマーケティングに利用するのに、このクラスター分析がよく用いられます。

この手法は、人文科学だけではなく、生物学でも系統樹を作成するときなどに、用いられます。

【IT】

「クラスター」はコンピューター関係のIT用語でもあります。色々なことを指して使われていますが、複数のコンピューターを連結させた一つのユニットを「コンピュータークラスター」(computer cluster)、あるいはもっとシンプルに「クラスター」と呼びます。

クラスター化してシステムを運用することで、1台のコンピューター以上の処理能力などの高い性能を発揮することができるだけでなく、クラスター内のコンピューターのどれかが故障や障害で停止しても、システム全体を継続して稼働させることができるので、システムの安定性強化につながります。

【英語】

「クラスター」は言語学でも使われ、英語に限らず、単語中の母音の連続をvowel cluster(「母音クラスター」の意味)、子音の連続をconsonant cluster(「子音クラスター」の意味)と言います。日本人の英語の発音の問題でよく取り上げられるのが、子音クラスターについてです。

英語には子音が2つ、3つと続く単語がたくさんあって、子音連結とも言われますが、日本人はこうした子音クラスターを含む単語を発音するのに、連続する子音の間にありもしない音をつけて発音してしまいがちなのです。

わかりやすい例をあげると、電車のtrainは、単語の最初にtrと2つ子音が続きますが、カタカナでトレインと書くこともあって、trの間にはないはずの母音oをつけて「ト(to)」と発音してしまいがちです。日本語と英語の構造の違いによるところが大きいのですが、日本人はこうした「子音クラスター」の発音には注意が必要です。

【軍事】

国際社会で、「クラスター爆弾」(cluster bomb)の使用の是非が問われています。クラスター爆弾は多数の小型の爆弾(子爆弾)を内蔵する爆弾で、空から投下されるか、地上からロケット弾や砲弾として発射され、空中で炸裂して子爆弾を広範囲にまき散らします。無差別に殺傷する能力が高い非人道的な兵器として、使用禁止を求める声が集まっています。

ほかにも、化学分野で「金属クラスター」の研究が、物理学分野で「量子クラスター」の研究が、それぞれ盛んになってきています。ある意味、学術の世界では「クラスター」ブームが起こっているといっても差し支えない状況があります。

このように、色々な分野においてそれぞれの意味でよく知られている「クラスター」なのですが、この度の新型コロナウイルス感染拡大で、感染者集団としての「クラスター」は、一気に私たちの日常用語になった感があります。

しかし、私としては、感染者集団としての「クラスター」は、わかりやすく「小集団」などとすべきと思います。元々、「クラスター」には感染などという意味はありません。

実際、新聞やテレビを見ていると、「クラスター」を「感染者小集団」の意味で使ったり、「集団感染」の意味で使ったりしています。これは、無用な誤解を生みかねません。

そもそカタカナ英語の多様は、誤解を招く元です。
私たちのミッションを考えると社員一丸となって、コンセンサスをとらなければ、モチベーションは下がってくると思うんだよね。だから、何から行うかプライオリティをつけそれをみんなにコミットメントさせればいいんじゃないかなぁ。
このようなカタカナ英語の会議は危険です。

例えば、「モチベーション」という言葉について考えてみましょう。あなたは、このー「モチベーション」をどのような意味で解釈して使っていますか?以前、ある上司と部下が「モチベーション」について話をしていて、言った言わないと話がかみ合わないことがありました。「モチベーション」は、どういう意味で使われていますか?


上司は、「動機づけ」と解釈し、部下が自ら企画の提案をしてくれるきっかけになればと考えていました。部下は、「やる気」と解釈してました。お互い「モチベーション」の解釈が違っていることが判明したのです。これが複数人数での会議だったらどうでしょうか?解釈の違いに気づかず、話はかみ合わない事態を引き起こします。

カタカナ英語を頻繁に使うことに何の得もありません。先にあげたカタカナ英語の会議は、以下のような日本語で十分に意味が通じるのです。
私たちの使命を考えると社員一丸となって、合意をとらなければ、やる気は下がってくると思うんだよね。だから、何から行うか優先順位をつけそれをみんなに約束させればいいんじゃないかなぁ。
この表現であれば解釈の相違は低くなります。しかし、日本語ですら、育った環境や、学歴、言語能力などにより、違って受け取られることもあるのです。だから、日本語でもできるだ誰にでもわかるように、平易で誰にでも知られている言葉を用いる必要があるのです。ましてやカタカナ英語を多用するようなことがあれば、そもそも会議など成り立たないのです。

やはり、カタカナ英語は使わないほうが良さそうです。どうしても必要なら語義をはっきさせる必要があります。最初に必要な意味づけをしておくことで誤解は防ぐことができます。しかし、そもそも、使用の是非について吟味をする必要性があります。

最後にはっり言います、カタカナ英語などを多用する人は馬鹿です。

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