音楽や映像などに関する28の権利者団体で構成される「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」(以下権利者会議)は15日、「Culture First~はじめに文化ありき」の理念のもとに行動することを宣言した。今後は「文化」の価値を訴え、消費者の私的複製によって発生する権利者の経済的 不利益を穴埋めする「私的録音録画補償金制度」の拡大を求める考えだ。
Culture Firstとは、世界各国の著作権管理団体が加盟するCISAC(著作権協会国際連合)などが2006年9月に発足させた連合で、「文化」が重要視される 社会の実現を目指している。現在、音楽や映像などの17権利者団体やコンテンツ産業グループが賛同し、欧州を中心に、私的録音録画補償金制度の拡大を求め る活動などを展開している。権利者会議では今後、Culture Firstのシンボルマークと行動理念を共有して文化の重要性を訴えることで、改めてコンテンツやクリエイター保護を呼びかけていくという。
「Culture First」を表明するにあたって権利者会議では、Culture Firstの行動理念として、次の3つを掲げている。
1)文化の振興こそが、真の知財立国の実現につながることについて、国民の理解を求めるとともに、その役割を担っていくことを表明します。
2)経済の発展や情報社会の拡大を目的としたどんな提案や計画も、文化の担い手を犠牲にして進められることのないよう、関係者並びに政府の理解を求めます。
3)知財先進国の経済発展を支えるのは、市場を賑わす種々の製品だけでなく、文化の担い手によって生み出される作品やコンテンツの豊かさと多様性でもあることを強調します。
● コンテンツ軽視に対抗、欧州で補償金制度を救った「Culture First」を日本にも
実演家著作権隣接権センター(CPRA)運営委員の椎名和夫氏 |
実演家著作権隣接権センター(CPRA)運営委員の椎名和夫氏は、こうした活動実績が日本でも必要と考え、「Culture First」を宣言するに至ったと説明する。「コンテンツに関係する権利者は、補償金問題に関して足かけ4年にわたってメーカーや消費者と議論してきた が、この辺できちんとしたシンボル、『Culture First』の旗印があった方が良いと判断した。現在、権利者団体は既得権者のレッテルを貼られ、コンテンツの流通を阻害する元凶とされている。また、我 が国ではコンテンツを活用したビジネスが叫ばれる一方で、コンテンツが単なる嗜好品に過ぎないと考えられている。このようにコンテンツを単なる『もの』と しか見ない日本の風潮を改めたい」。
15日に開催された会見では、権利者会議から私的録音録画補償金制度に関する資料が配付された。資料では、消費者による私的録音録画が増えてい る一方で、補償金の徴収額が減少していることを指摘。その理由として、現在使われている録音録画機器の大半が補償金の課金対象外となっていることを挙げ、 「私たち(権利者)が受け取る補償金の額も激減するという危機的な状況」にあるとしている。権利者会議では、補償金制度の見直しにより法改正を実施し、 iPodをはじめとする携帯音楽プレーヤー、PC、携帯電話、カーナビ、次世代DVDレコーダー・メディアなどを補償金対象とすべきと主張している。
「文化の視点で補償金制度の見直しを考えてもらいたい」と語るのは、日本音楽著作権協会(JASRAC)常務理事の菅原瑞夫氏。「権利者は文化 の担い手だが、文化を享受する国民は、単に文化を消費するだけでなく、文化の後援者であるべき。そこには、経済的なスポンサーシップも必要になる」。さら に、日本映画製作者連盟事務局長の華頂尚隆氏も、「著作物と(録音録画)機器・媒体は『鶏と卵』に例えられるが、先に生み出されるのは間違いなく著作物」 と述べ、まずは文化ありきであると「Culture First」のキャッチフレーズを強調した。
会見ではこのほか、作曲家の船村徹氏やすぎやまこういち氏、都倉俊一氏、川口真氏のほか、狂言師の野村萬氏、歌舞伎役者の市川團十郎氏、落語家の三遊亭小遊三氏らのビデオメッセージを紹介。各人が「Culture First」の重要性をアピールした。
この考えに関して、私自体は概ね賛成です。ただし、条件があります。まず、音楽CDゃ映画のDVDを少なくともアメリカ並みに安くして欲しいということです。いつも思うのは日本は高すぎです。新作の映画など、日本のものは3000円以上です。アメリカでは2000円とか、1000円台というのが相場です。新作以外だと1000円台の安さです。この程度の安さであれば、違法コピーまでして法律違反をする気持ちは起こらないのだと思います。
それから、私はナップスターを利用していますが、海外ものだとすべての音楽をコピーできるのが普通ですが、日本のものとなると、ちょっと売れているスターの場合だと、そもそも、提供されていない(というより著作権のからみで提供できない?)とか、提供されていたとしても購入しなければならないのが一般的です。この状況が改善されない限りは、簡単にYESとは言えません。
それからも、いつも気になるのは、音楽づくりでも、映画づくりでも、いわゆる日本のAV関連の製作には、あまりに人が多すぎると思います。特にテレビの撮影は本当に人が多すぎです。アメリカなど、本当にわずかの人間で製作しています。このへんは徹底的に効率化できる余地があるのではないでしょうか?これをなおざりにして、要求することだけはするというのであれば、私自身もそういう傾向になりつつあるのですが、日本のAVは鑑賞しなくなるかもしれません。日本人の演奏や、映画を見たり聴いたりするにも、日本国内のCDゃ、DVDではなく、海外のものを見るようになるかも知れません。そうなったら、元も子もないと思います。日本の業界も、権利だけ主張するのではなく、国際競争力をつけてください!!
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