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2012年11月9日金曜日

『海賊のジレンマ』が教えてくれる「未来のアイデアを育てる」方法−【私の論評】単なる天才のひらめきで、イノベーションはできない体系的なRemixのみが社会を変える!!

『海賊のジレンマ』が教えてくれる「未来のアイデアを育てる」方法:


『海賊のジレンマ ──ユースカルチャーがいかにして新しい資本主義をつくったか』(マット・メイソン著、玉川千絵子・八田真行・鈴木沓子・鳴戸麻子訳、扶桑社)は、時代とカルチャーとの関係性を把握するうえでとても刺激的かつ重要な書籍です。著者が訴えているのは、「今日の<海賊(パイレート)>は、明日の<開拓者(パイオニア)>」であるということ。既成概念に捕われず、アイデアを凝らした自由な精神で神出鬼没に跳梁する人物たちを「海賊」と称し、彼らが社会にもたらす影響力の大きさを説いているのです。

この記事の続きはこちらから!!

【私の論評】単なる天才のひらめきでイノベーションはできない体系的なRemixのみが社会を変える!!


上の記事で紹介している書籍、私はまだ読んでいません。読んでみようと思い、Amazonを探してみましたが、物理的書籍は、売っていましたが、Kindle本では販売されていないからです。なぜかというと、最近では、物理的な本よりも、電子書籍をなるべく購入するようにしているからです。これも、なぜかというと、最近も理由があって、物理的書籍の整理をして、いるものいないもの、読む可能性が高いもの、所有することを決めても、おそらくほとんど読まないものに分類して、いらないものは捨てたりしましたが、その苦労は半端ではなかったからです。

とにかく、物理的書籍には、嫌気がさしていて、よほど定評のある書籍で物理的書籍がしかない場合は、購入するのですが、その他は購入しないようにしているからです。ちなみに、最近では、Amazonでは、物理的書籍の販売画面で、電子書籍化リクエストができるようになったので、さっさくリクエストしました。電子書籍化されれば、是非読んでみたい書籍ではあります。しかし、これは本日の本題ではないので、さっそく本題に入らせていただきます。

上の書籍紹介においては、Remixの重要性と、Remixのやりかたの例があげられていました。このRemixについては、私も前々から興味があり、このブログにも以前掲載したことがあります。以下のそのURLを掲載しておきます。

なんかヘンだよ?「スマート家電」 いちいち「タッチ」面倒くさい−【私の論評】Everything is a Remix?!!

詳細は、このブログ記事をごらんいただくものとして、本題の話題Remixに関わる部分のみ以下ににコピペさせていただきます。
新しいものが、全くの無から生まれてくることはありません。バッハも、同時代の先輩格のビバルディやコレルリの曲を何曲も編曲して新しい楽曲を生み出しています。特に、バロック時代にはそのようなことは、日常茶飯事に行われていました。今のように著作権法などはありませんでした。このようなことを行っていくうちに、バッハも自分独自の素晴らしい楽曲を作成するに至りました。アインシュタインだってそうです。彼自身が、自分がやったことは、過去の人がやったことに1%を付け加えたに過ぎないと言っています。その1%が素晴らしいことだったのです。彼でさえ、99%は、リミックスだったのです。
特に、社会変革に関する企画に関してはそういうことがいえます。今まで社会でどの時代のものであれ、うまくいったことは、すべて手本にすべきです。近江商人など昔の商人のやったことだって、多いに役立ちます。だから、過去に行われたこと、現在多くの人が行っていることは、徹底的に調べて、まずは、著作権法、商標法などに違反しないかたちで、複写・変形・結合することによって、新しいものを生み出すべきです。
複写・変形は、すぐに著作権侵害をしてしまう恐れがあります。ただし、誰が最初にやったのかわからない形で、世の中に広まってものは、そのようなことはありません。複数のものを結合して新しいものをつくってしまえば、それは最早、複写・変形の域を超えています。だからこそ、結合が重要なのです。そうして、努力を重ねて、さらに運がよければ、アインシュタインのように、1%の全く新しいものを付け加えられるかもしれないです。そのとき私たちは天才と呼ばれるのかもしれません。しかし、天才と呼ばれることがなくても、商売や事業は十分やっていけます。だから、凡人は、まずは、リミックスすべきなのです。 


上で、「特に、社会変革に関する企画」と書いていますが、私の場合「社会変革」とは、広い意味でとらえています。その中には、当然、新たしい商製品を開発して、多くのお客様に使っていただくことも含めています。新た商製品などは、珍奇な発明などしても、それが、お客様に使っていただけなければ、何にもなりません。お客様に使っていただいて、はじめてイノベーションであり社会貢献・社会変革ということになります。そういう意味での社会変革ということです。

そうして、上の私のブログ記事は、Vimeoというアメリカの動画サイトに4会シリーズで掲載されていた"Everything is a Reimx"という動画を視聴して、それに触発を受けて掲載したものです。その動画のURLは、上のブログ記事の中に掲載されていますので、興味のある方は、是非ご覧になってください。ただし、こちらは英語のみです。


最近、この動画の作者が、あのTEDでも公演しました。そのときの、動画が以下のものです。こちらは、日本語字幕つきですので、わかりやすいです。そうして、Vimeoの動画の内容をぎっしり凝縮して、伝えています。こちらも是非ご覧になってください。


いずれにしても、あのボブ・ディランもかなりRemixしていたし、スティーブ・ジョブズ氏もそうだったということです。それどころか、上の動画では掲載されていませんが、あのアインシュタインですら、自ら自分業績のほとんどは、過去の人々の業績によるものであり、自分はそれに新たに1%を付け加えたにすぎないとしています。

これは、当然と思います。とにかく、何か新しいことを始めようとしてもまずは、古今東西の人が似たようなことをしていないかどうか調べるのは、当然のことと思います。それをしないで、ただ思いつきで、何も新しいことをして、やってみて、新しいものだと自己満足していても、それは大抵の場合違います。


おおよそ、人間の思いつくようなことは、ほとんどが過去に試みられていると考えて良いです。たとえば、コンピュータもそれこそ、前々世紀の19世紀に考え方としては、ありましたが、その当時は、半導体もトランジスターもなく、それを実現することができなかっただけです。20世紀にはいって、忽然と、コンピュータの考え方が現れて実現したわけではありません。

こんなことは、レオナルド・ダビンチのスケッチなどみると、グライダーや、ヘリコプターの原型のようなものがあることでもわかります。考えても、ダビンチの時代には、エンジンも軽い素材もなかったので、考えが考えに終わっただけです。そんなことはいくらでもあります。

Heaven feat. Glance - Sexy Girl(Vdj Rossonero Remix 2012)HD

それに、こんなことは、化学を学んだ人なら、おそらくご存知と思いますが、世界的な規模のケミカル・アブストラクトという巨大なデータベースがあります。何か新しい物質を化学合成して作ろうとした場合、まずはケミカル・アブストラクトを検索して、当該物質が作られているかどうか確認するのが当たり前です。それをしないで、自分の作ったことのない新しい物質を作ったとしても、それは、すでに他の人が作っているということのほうが多いです。そんなことをしても、新発見にはなりません。


だから、このようなことを無視して、古今東西のことを調べもしないで、何か新しいものを作ろうとしても、失敗することのほうが多いです。なぜなら、古今東西で誰かかがやってみて、失敗したことは、その後何かが変わらなければ、今でも失敗する確率が高いからです。しかし、新しい技術や、素材、それに社会の変化があった場合には、成功するかもしれません。そうして、こんなことは、何も企業の開発や、学問の世界だけのことだけではありません。政治の世界でも同じことです。今の政治は、古今東西のことを調べもせず、最初から失敗しそうなことを平気でやろうとしたりします。

これは、たとえば、イギリスでは、財政赤字の解消のため2010年に付加価値税(日本の消費税)の大幅増税しましたが、その後、イングランド銀行(イギリスの中央銀行)が、大幅な金融緩和をしても、景気が低迷して、現在でも低迷しており、未だ財政赤字解消の目処がたっていないという事例があるにもかかわらず、日本では、いわゆる自民公の三党合意で、消費税増税法案を成立させました。このようなことは、どのような業界にでもみられることです。


また、新しい技術や、素材、新しい社会の変化を見出したとき、古今東西で失敗した事例を調べて、失敗した時点ではなかったの現在ではこれらを活用することができ、そうして過去に失敗したことがが今の時点であれば、これらを活用して、かなり成功する確率が高まっているなどということもあります。そんなことを調べもせずに、何か新しいことをやろうとするのは、無謀というものです。こうした背景からも、Remixは絶対に必要です。特に商製品開発では、そのようなことがいえます。何もなしに、新しいものを開発しようというのは、あってはならないことです。Remixをするからこそ、新しい発見ができるのであり、本当に新しい1%を付け加えることができとしたら、個人であれば天才といわれ、企業であれば、革新的な会社と呼ばれるのです。

ドラッカー氏は、イノベーションについて以下にのように語っています。
イノベーションとは、天才のひらめきによって、生み出された目の覚めるような新しい発明ではなく、社会や経済の文脈の中で仕事に携わる人々が、体系的に取り組むべき仕事の一つであり、社会の変化を利用したり、社会変化を起こすもであり、社会を変えるものでなければならない。
さて、この記事の冒頭では、Amazonの話をくだくだしく述べました。それには、意図があります。Amazonは、事業を開始したばかりのころを覚えていらっしゃると思いますが、最初の商品は、何と電子書籍ではなく、物理的な書籍でした。この商売のことを最初聞いたときには、今時、インターネットで、情報そのものが届くし、電子書籍や電子新聞などではなく、このような商売が本当に成り立つのだろうかと、思ったものです。しかし、そのような私の杞憂などは、無論あたらず、Amazonの事業はどんどんと伸びていきました。


Amazon.comでは、昨年あたりですか、ようやっと電子書籍のほうが物理的書籍よりも、売り上げが上がったそうですが、今でも、かなり売れていることは確かです。そうして、なぜ、物理的書籍を商売に選んだのか、サイトで掲載されていましたので、そのURLを以下に掲載しておきます。

Amazonはなぜ本を売るのか〜その戦略にビジネスを学ぶ

このなかに、なぜ書籍を選んだのか、八つの理由が書いてあります。これを読めば納得がいきます。Amazonが事業を始めたばかりのときは、まだまだ、電子書籍に社会は対応していなかったのです。しかし、それから事業を開始して、書籍で市場に地位を築き、電子書籍リーダーkindleをはじめて世の中に出したのは、2007年です。そうして、その後アップルのiPadが世の中にでて、これもAmazonに有利に働いたと思います。これを機会に多くの人が電子書籍だけではなく、音楽を聴いたり、アプリを使うようになりました。そうして、その社会の変化対応して、Amazonは、電子書籍リーダーkindleだけではなく、タブレットと端末のKindle Fireを世に出したのです。そうして、とうとう日本でも、kindle本が売られるようになり、Kindleだけでなく、Kindle Fire(HD)の予約受付をするようになりました。


考えてみると、日本では、まだフロッピーディスクが使われていたような時代に、電子書籍リーダーが開発され、発売されていました。私は、このときは、電子書籍リーダーは購入しませんでしたが、フロッピーディスクに収められた電子書籍をいくつか購入して、パソコンで読んでみたことがあります。しかし、その当時のパソコンのディスプレイなど、まだ、600×400くらいだったと思います。あまり読みやすいものとはいえず、その後は、購入はしませんでした。そうして、これらは、ものの見事に失敗しました。そうして、現在電子書籍リーダーでは、後発であったはずのAmazonが日本の電子初期市場を席巻しようとしています。

この日本のメーカーと、Amazonの違いはどこからきているかといえば、やはり社会変化に適切に対応したかしないかの差だと思います。考えてみると、かつては、Amazonで書籍をかなり購入しました。とにかく、物理的書籍であっても、どこにいても買えるというのが魅力でした。それだけで十分でした。とにかく、どんな書籍でも、オンラインですぐ買えることは、とてつもない魅力でした。

そうして、次には、電子書籍で勝負して、見事に勝利をおさめています。こうしたAmazonの戦略は、単なる天才の閃きではないことは明らかです。きっと、AmazonのCEOのベゾス氏は、緻密で、体系的なRemixを重ねていたに違いありません。Kindle FireもiPadや他社のタブレットを研究して、Remixして、開発していることは間違いないです。日本のメーカーのように、フロッピーディスクの時代に電子書籍リーダーにこだわっていたら、Amazonの今日の姿はなかったと思います。

こうしたAmazonの事例をみても、イノベーションとは、単なるひらめきではなく、上記のようなRemixを仕事として、体系的に常日頃行うことによって生まれるということが理解できます。天才の単なるひらめきではイノベーションなどできないということです。ひらめきは、一時のものにすぎず、そんなものに頼って継続的なイノベーションなどできません。日々体系的に、仕事としてとりくむべきものです。皆さんはどう思われますか?




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2012年7月8日日曜日

【アンケート結果発表】kindleとkobo、買う? 買わない?―【私の論評】koboは単なる電子書籍端末ではない、いずれKindle Fireのようになり、世界中のありとあらゆる、コンテンツ・商品・サービスを提供するようになる!!

【アンケート結果発表】kindleとkobo、買う? 買わない?:

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たくさんのご回答、ありがとうございました!

みなさんにご協力頂いたアンケート「kindleとkobo買う? 買わない?」の結果を発表します。この記事執筆時まで頂いたアンケート結果はなんと2436票! コメントもひとつも漏らさずすべて目を通させて頂いています。本当にたくさんの方のご参加ありがとうございました!
気になる結果はこうなりました!

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39%が「買う」と回答

じゃん。全体の39%の方がkindleとkoboどちらも、もしくはどちらかを買うと回答しています。まだどちらもサービス開始前、kindleに至っては詳細がわからない中でのこの39%という数字は多いと言えるんじゃないでしょうか。

みなさんのコメントは「デバイスが安いので試しに買ってみる」「kindleの実績に期待する」「電子書籍はkindleかkoboを使う。それ以外はiPadで使い分け」あたりが目立ちました。低価格を打ち出したkoboがkindleの実績を超えられるか、kindleが期待に沿った端末とサービスを展開できるか、というところがポイントになりそうですね。もしKindle Fireのようなカラーの端末が出た場合はiPadから乗り換える人も多そうです。

様子見・買わないが33%

一方「様子見・買わない」と回答した方が33%でした。コメントでもいくつか頂いた「コンテンツの品揃えが大事」というところがいちばんネックになっているようです。確かにデバイスを買っても読みたい本・コンテンツがなかったら本末転倒ですもんね。ここはやはりみなさん慎重なようです。
それからもうひとつ目立ったのが「iPadやNexus 7、Kindle Fireでいい」という声です。必ずしも電子インクの端末が必要ではない、タブレットひとつで完結したいというコメントを頂きました。また少ないながらも「本は紙で読む」という声もありました。やっぱり「紙の本」は強いですよね。

28%のiPad好きからはいろんな声が

この28%も「様子見・買わない」の中に含めてもいいと思うんですが、いろんな意見を頂きましたよ。「専用端末が必要なほど本を読まない」「読書のためだけに端末を増やすのではなく、マルチに使えるiPadが便利」「噂されているより小さいサイズのiPadが気になるから」「iPadのkindleアプリを使う」などなど。

確かに読書のためだけに専用タブレットを持ち歩くというのは、コンスタントに本を読む人でないと負担になってしまうところもあるのかもしれません。でもiPodの登場でiPodを持ち歩いて音楽を聴く人が増えたように、kindleやkoboで電子書籍が日本でも普及すれば専用タブレットを持ち運ぶことも普通のことになるかもしれませんね。

まとめ

まだはじまっていない新たな分野の商品に対して「買う」と前向きな姿勢をしている方が39%もいたことは多いと見てもいいんじゃないでしょうか。kindleの詳細がわからない中ですが、kobo Touchの低価格と今年こそは! という期待も後押しした結果でしょうか。

「様子見・買わない」「iPadしか見えない!」の回答を足すと61%です。実に6割の方はまだ手を出さずに見守る段階。しかしこの中で電子書籍にまったく興味がない・本は紙で読むと応えた方はごく少数でした。今回のアンケートに参加して頂いた方は少なからず電子書籍に興味がある方々でしょうから、一概には言えない部分があるにせよ、やっぱりみんな電子書籍に興味があるということが言えるんじゃないでしょうか。

そしてみなさん、今回はアンケートへのご協力、本当にありがとうございました! みなさんからのコメントはすべてどなたでも見ることができるので、目を通してみるのもいいですよ。いろんな意見があっておもしろいです。日本での電子書籍、1年後、3年後にはどうなっているんでしょうね。
あ。kobo Touchを注文済みな僕は、価格次第でkindleも買ってみたいと思っているんですが、さっき編集部の河原田さんに「鈴木さん、iPad持っててNexus 7も買うんでしょ? それでkoboもkindleも買ったらタブレットまみれじゃないですか」なんて言われちゃいました。冗談で「たくさんディスプレイがあったらデイトレーダーみたいでしょ?」って答えましたが、正直言われるまで自分がそこまでたくさん買おうとしてるの、気づかなかったよ...。

Special Thanks!:アンケートに参加してくれた読者のみなさま
(鈴木康太)

【私の論評】koboは単なる電子書籍端末ではない、いずれKindle Fireのようになり、世界中のありとあらゆる、コンテンツ・商品・サービスを提供するようになる!!


本日は、Koboか、Kindleかという上の記事の内容や、どちらが読みやすいとか、ハードがどうのこうのという話は、他のサイトに譲るとして、もっと本質的な、koboの強みはグローバルな版権と決済システムであることを掲載します。koboが他と一線を画すのは、Eブックの版権をグローバルに獲得していることです。ここに目をつけ、買収してしまうとは、楽天も本当に良いところに目をつけたものだと関心してしまいます。


日本国内販売に先駆けて、日本でキンドルを入手した人なら経験があるでしょうが、アメリカのアマゾンのサイトに行って、欲しい本を見つけても、いざダウンロードしようとしたら「日本でのお取り扱いはできません」とメッセージがかえってきててガッカリしたことがあると思います。これはアマゾンがキンドルの版権を扱うときに、アメリカを中心にテリトリーごとにマーケットを作ってきたからです。

その点、koboは最初から英語以外のヨーロッパ言語や、さらにアジアの言語でも表記ができるように、フォーマットが「緩い」のです。EPUBベースなので、最初から日本語の縦書き表示もできます。もちろん、グローバルスタンダード、つまり世界のどこでも使えるものは、それぞれの地域に細かく対応できないというマイナスはあります。しかしながら、世界標準としフレキシブルに対応できるという利点があります。


アマゾンも世界進出を目論んではいるのですが、マーケットを分けてその国ごとにキンドル本を用意してきました。世界の地域のキンドルストアごとに分断されているのです。だから日本で同じキンドルを使っているのに買えないタイトルが出てきたりするのです。ただし、これは、以前よりは、きつくはなくなってきていることも事実です。

それに対してkoboは、人口の少ないカナダの企業だからだということもあり、自国のマーケットで流通させるコンテンツを集めるときも最初から世界を意識して世界版権か全英語圏版権であることを重視してきました。そうすることによって、koboの端末で、あるいはパソコン上で、北米、ヨーロッパ、オーストラリアのどこにいても同じ本が買えるのです。とくにヨーロッパの人は、母国語が英語でなくても英語の本を読める人が多いので、自国でアマゾンや他の電子書籍サービスが遅れていても、koboであれば、そのようなことはないのです。日本でも、同じようになることでしょう。


こういうマーケット戦略のおかげでkoboは最初から、同じ本を通貨単位の違う国で売れるように決済システムを構築してきました。ユーロでもカナダドルでも、米ドルは無論のこと、世界各地で同じものを販売して、決済処理できるシステムとノウハウをもっているのです。そうしたところに、円の決済を導入することなど、たやすいことです。

そのkoboを楽天が買ったということは、そのノウハウを搭載した端末で、世界中でモノが売れる道筋を作ったというこことなのです。 国内でアマゾンと電子書籍で競争するためだけに236億円を投じたとは思えません。これによって、世界でアマゾンと闘うための投資だと考えると、これ以上適した端末はないのではないのではないでしょうか。楽天は、書籍だけを販売する会社ではありません。無論皆さんご存知のように、ありとあらゆるものを売る物販サイトです。その出展内容など、まだ、世界には進出してはいないとはいえ、Amazonに匹敵するほどだと思います。


そうして、当然のことながら、Amzonが電子書籍のKindleに甘んずることなく、Kindle Fireで、本以外の幅広いコンテンツ、物販も可能としたように、楽天同じようなことを意図しているのです。世界のどこにいてもkoboがあれば、世界中の本が読めるようになったり、世界中のモノが買えるようになったりしたとしたら、これは、Amzon並み以上になるかもしれない、潜在能力を秘めています。

私は、こういう背景から縮む一方の日本国内の書籍市場のためだけに楽天がこんな買い物をしたのではなく、いずれ、世界に打って出るために、このような買収をしたのだと思っています。


電子書籍で成功するであろう楽天は、すでに日本語の本を売ってどうこうという狭くて小さい世界を超えた大きなビジョンを持って未来のeコマースを見据えているのです。そうして、そこから、現在までをたどって、今着々と駒を進めているのです。

そうして、いずれ楽天も、Koboを電子書籍端末のままにしておくのではなく、いずれ、iPadや、Kindle Fireのように、それ以外の種々様々なありとあらゆる、コンテン・商品・サービスを提供できる端末を開発し提供し始めることでしょう。


とはいいながら、いくら、koboと、それを買収した楽天が素晴らしいとしても、現状の日本の電子書籍は、楽天も含めて、あまりに貧弱です。とにかく、電子書籍の奥行きも、幅も極端に狭いです。とにかく、読みたい本があまりありません。特に、日本語電子書籍コンテンツが少なすぎです。たとえば、アメリカのアマゾンで普通に販売されているようなドラッカーの書籍ですら、日本では、まだ日本語による電子書籍が販売されていません。あるとすれば、ドラッカー直筆ではなく、その関連書籍だけです。とにかくアマゾンだろが、koboだろうが、日本語書籍のコンテンツを増やすことができなければ、日本では、成功できないでしよう。アマゾンでも、koboでも良いので、とくにかくこの現状を変えていただきたいと思うのは私だけでしょうか?



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