2016年9月15日木曜日

都議会自民“崖っぷち” 豊洲移転の延期追及から一転…世論は小池氏支持―【私の論評】ローカルでは信じられない程いい加減なことが!東京もその例外ではなかった?


内田繁氏と小池知事 写真・チャートはブログ管理人挿入 以下同じ
「都議会のドン」こと内田茂都議率いる、都議会自民党が窮地に陥っている。土壌汚染対策の決め手となる「盛り土」が一部実施されていなかった豊洲新市場(東京都江東区)について、都側の主張に沿って「安全対策は万全」として、築地市場(中央区)からの移転推進の先頭に立ってきたからだ。会派幹部らは、都職員らの「独断」「隠蔽」「虚偽説明」を責め立てているが、最大会派のチェック機能に問題はなかったのか。

28日開会の定例議会を控え、都議会が慌ただしくなっている。

各会派は続々と豊洲新市場の視察を行っており、14日は公明党都議団が現地入りする。職員の都議会への出入りも、これまでにないほど激しくなっており、都庁内には、災害や非常事態のような緊張感もみられる。

そんななか、都議会自民党は14日午後、緊急の勉強会を開催し、土壌汚染対策の最新状況について、都側から報告を受ける予定だ。移転を強力に推進してきただけに、自民党都議が職員を厳しく糾弾する可能性もある。

実際、フジテレビは13日、担当部署の現在の幹部らが「盛り土」が行われていないことを把握しながら、伝達をしていなかったと報じている。職員に対する恨み節は当然といえる。

土壌対策として本来なされるべきであった盛り土についてチャートを用いて説明する小池東京都知事

 だが、豊洲新市場への移転は、都議会自民党が石原慎太郎知事時代から推進してきた目玉プロジェクトだ。職員だけを責め立てて、「俺たちは知らなかった」ですむ話ではない。

 都政の重要政策は、ドン・内田氏率いる都議会自民党の意向を無視して進められることはなかった。幹部職員は、真っ先に都議会自民党に“おうかがい”を立てるのが常識だからだ。

 都政事情通は「築地市場の豊洲新市場への移転延期は、都民の評価が真っ二つに割れていた。都議会自民党は、移転推進派の業者と一体となって『小池百合子知事の移転無期限延期は暴挙だ。業者への補償はどうなるのか』と反転攻勢に転じる計画だった。それが今回の盛り土の問題で、世論は『小池氏はよくやった!』と拍手喝采を送っている。自民党は厳しい立場にある」と指摘した。

 都議会自民党関係者は「今回の件は、まったく知らされていなかった。移転が完全にストップすれば、業者や自治体への影響は甚大だ。都議会自民党のダメージも計り知れない。議会のチェック機能も問われる…」と絶句している。

【私の論評】ローカルでは信じられない程いい加減なことが!東京もその例外ではなかった?

市場が移転されるにあたって、都は建設予定地の土壌と地下水の汚染状況を平面で調査した結果、土壌で2地点、地下水で13地点の汚染が確認されていることがわかりました。

検出された有害物質はシアン化合物、六価クロム、カドミウム等全部で7種類ありました。

それぞれ土壌及び地下水(六価クロムを除く)での汚染が確認されています。特にベンゼンによる土壌汚染がひどく、通常の10,000倍以上の汚染が確認された地点もありました。
また、以上のような高濃度の汚染が確認された地点において、深さ方向での汚染調査が行われた所、地下数十センチの範囲で基準値を超える汚染が確認されました。

都はこのような汚染状況の対策として、「法令で求められる水準を上回る手厚い内容の対策をとる。」と説明していました。

具体的な対策案として以下のような方法が書かれています。

土壌汚染対策
ガス工場操業時の地盤面の下2メートルまでの土は、きれいな土壌と入れ替えます。その上に厚さ2.5メートルのきれいな土壌を盛ります。ガス工場操業時の地盤面の下2メートルより下の土壌から、環境基準を超える操業に由来する汚染物質を取り除きます。 
出典:東京中央卸売市場
地下水汚染対策

地下水中に環境基準を超える汚染が見つかっている区画の地下水を汲み上げて浄化します。 
出典:東京中央卸売市場
この土壌汚染対策として行われてる工程が「盛り土」というものです。実際に都のHPにある豊洲市場が完成した際のイメージ図では以下のようになっています。


この赤枠で囲っている部分が問題になっている部分です。元々の計画では、本来汚染されていた土をきれいなものと入れ替え、更にその上に土を盛ってふたをするということになっていました。

今回それが市場建物の部分は行われていなかったということで、土壌汚染対策に本当に問題はないのかという大きな問題に発展したということです。

図の青い四角の部分が、本来盛り土されるはずが、コンクリートの構築物になった部分

都は盛り土を行わなかった理由として、建物の構造上、技術的に盛り土ができないという回答をしています。

更に、水産物を扱う売り場棟の建設で配管類を通すため床下に数メートルほどの空間を設ける必要が生じたため盛り土を行わず汚染土壌を除去しただけで建設をしたそうです。

説明によると、売り場棟の下にはコンクリート層を設け安全上には問題はないとしていますが、しかし当初の説明にあった土壌汚染対策とは違う方法で建設が進められたということです。

本来盛り土を行うことで汚染への対策と安全性を主張していたはずにもかかわらず、盛り土を行わないというのであれば土壌対策はされていないという認識になるのが当たり前です。

盛り土を行わなくても安全性に問題はないという見解がありますが、地盤や建物の強度としての「安全」を言っているのでしょうか。

生鮮物を扱う上で汚染による人体への影響がないという意味での「安全」なのでしょうか。

様々な点で気になる事が明るみになっていませんが、今後の都の説明次第で、移転にも影響がでてくるかもしれません。

以下にフジテレビで報道された、豊洲市場建物の本来盛り土されるはずだった部分の地下の動画を掲載します。

実際に放送された内容の動画を以下に掲載します。




おそらく、盛り土をしていれば、これほど水が貯まることはなかったのでしょう。上の動画で、この水を都職員は雨水としていますが、そのような断定は今の時点ではできません。いずれはっきりするでしょうが、地下からの水が湧き出ているということは十分考えられます。

なお、上の動画でリスマス試験紙を用いて、PHの測定をしている議員もいて、何やら意味ありげですが、これは全く意味がありません。コンクリートの原料は石灰で、石灰はアルカリ性です。打ち立てのコンクリにたまった水が、それが雨水であろうと、地下からのものであろうと、強アルカリを示しても不思議でもなんでもないです。未だ、詳しい検査をしてみないと何ともいえません。

しかし、この地下の水が汚染されているか否かはまだはっきりはしていません。そうは言っても盛り土がされていないのは事実であり、これは大問題です。

2011~14年、約850億円かけて敷地全体を2メートル掘り下げて土を入れ替えた上で、さらに2・5メートル盛り土をする大規模なかさ上げ工事を行ったと説明していました。

盛り土をせずに、コンクリートにしたことで、経費がどの程度浮いたのか、浮いたとしたら、その経費はどこに消えたのか、徹底的に調査をしていただきたいものです。

このような事例を見ると、私はやはり地方自治体のいい加減さを思い出します。ごく最近では、富山県議の不祥事があります。

富山市議会の政務活動費の不正請求問題で記者会見する「民政クラブ」の
針山常喜幹事長(右)と高田一郎会長=平成28年9月13日午前、富山市

富山市議会で政務活動費の不正請求が相次いで発覚している問題で、民進党系会派「民政クラブ」の針山常喜幹事長(70)は13日、領収書を改ざんし政活費を不正請求するよう事務員に指示していたことを認め、議員辞職する意向を表明しました。会派会長の高田一郎氏(69)も責任を取って辞職します。

富山市議会(定数40)の政活費不正を巡っては、自民会派の議員5人が領収書偽造など不正を認め、うち3人が辞職しています。

針山氏は富山市で記者会見し、会派事務員に領収書の金額欄に数字を書き加えさせるなどして、不正請求していたと明らかにしました。水増し分は、会派の口座から針山氏と高田氏の口座に移し、選挙時に使うためプールしていたといいます。

都でもそのこのようなお金がブールされている可能性も十分にあります。盛り土をせずに、コンクリートの構造物にしたということで、資金が浮いた可能性があります。この資金がブールされている可能性もあり得ます。

この都の資金のプール(裏金)については、佐藤優氏も指摘しています。それに関しては、このブログにも掲載したことがあります。

地方自治体は、国政と比較するとなかなか報道されなかったり、問題を指摘される機会がないせいでしょうか、このような問題は全国のあらゆる自治体に蔓延しているのかもしれません。

大阪の問題に関しては、橋下徹元大阪府町・元大阪市長であった橋下徹氏が、いろいろと暴露しました。地方自治体は、東京、大阪にかぎらず、いろいろな問題がありそうです。

私自身も、学生のときにそれを経験したことがあります。これに関しては、資金的なものではないのですが、本当に驚いたことがあります。

それは、私が学生の時に、シンクタンクのバイトである人口10万程度の地方都市の新しい下水道の設置をするために積算をしているときに発覚しました。

私は概算を積算したのですが、どうしても市で算出した積算とは数値がかけ離れていました。私の概算のほうが何度計算しなおしても、大きい数字が出るのです。概算であっても数値にあまりの差がありました。これは自分が計算間違いをしているのかもしれないと思い、そのことをシンクタンクの主任研究員に報告したところ、概算そのものは間違いがないようなので、現地調査に行くことになりました。


しかし、その原因は現地調査をするまでもなく、その地方都市の市役所で調べたところすぐに判明しました。何と、その積算は、現在の当該市の人口が変わらぬものというか、そもそもそのようなことは全く考慮に入れず計算したものだったのです。

当時は、今と違って、その地方都市は宅地開発などが盛んで、人口が増えていました。下水道も当然のことながら、人口増を念頭に入れて積算しなければなりません。それをしないと、下水道のキャパシティが不足して、すぐに追加工事が必要となるという事態になったことでしょう。

そうして、驚いたことに、その計算をした人は、その年に高校を卒業したばかりの新人であったことが判明しました。その新人に単純に計算の仕方を教えて、でてきた計算結果について特に調べもせずに、土木課長が押印し、その上の上司の部長もこれも何も調べもせす押印していたのです。

土木課長とはいっても、たまたまそこに配置されて、土木の仕事をしているというわけで、専門家でも何でもないので、こういうことになったのかもしれません。地方自治体には、人材が不足しているので、こうなったのかもしれません。それなら、それなりのやり方というものがあると思うのですが、どうもそうはなっていないようです。

現在はこのような積算用のソフトウェアがあるので、作業は格段に楽になった。
しかし、最初の想定が間違っていれば、このようなソフトも無用の長物になる。
私はこの時初めて市役所などの地方自治体の仕事は、結構いい加減なことを知ったわけです。そうして、私は他のシンクタンクでもバイトをしたのですが、そのときにも似たような話をいくつか聴きました。本当に、その当時は、それらのことに憤りを感じたものです。その憤りは今でも、感じます。積算間違いは一歩間違えば、事故を誘発します。

このような傾向はおそらく、この地方都市だけに限らず、他の都市でもあったし、今でもあるのかもしれません。ただし、現在なら少子高齢化の傾向ですから、このようなことがあっても問題にはならないだけなのかもしれません。

そうして、このいい加減さは、地方都市に限らず、東京都や大阪府のような大きな自治体でも、多かれ少なかれあるのだと思います。実際、多くの人が内田繁氏が、都議会のドンであるなどということは、最近報道されて初めて知ったのではないでしょうか。

そうして、全国の他の自治体にもこのようなドンが存在するのかもしれません。私達が気づいていないだけかもしれません。

東京といっても、日本の首都という側面の他に、テレビに東京のローカル放送があるように、ローカルとしての東京があります。このローカルの東京のいい加減さが、今回の豊洲市場の問題の背景にあることが、今回白日のもとに晒されたのです。

このような問題、曖昧にせずに徹底的に調査して、二度とこのようなことが起こらないように、関係者を追求するだけでなく、システムそのものを変えていただきたいです。そうでないと、このような悪い体質は温存し続けることになると思います。

そうして、小池知事には是非東京だけに限らず、全国の他の自治体においても、このようないい加減さを排除するためにも、その先駆けになっていただきたいものです。また、私達もいままで以上に自分たちの身近な地方自治体に関心を持ち、何ができるのか考えていきたいものです。

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2016年9月14日水曜日

【蓮舫「二重国籍」】迷走した蓮舫氏の説明 危機管理能力に疑問の声も―【私の論評】小保方、蓮舫と続く組織的危機管理・統治能力欠如の露呈(゚д゚)!

【蓮舫「二重国籍」】迷走した蓮舫氏の説明 危機管理能力に疑問の声も

蓮舫氏

民進党の蓮舫代表代行がこれまで「二重国籍」問題で取ってきた一連の言動から浮かび上がるのは、政権交代を掲げる野党第一党のトップを目指す立場にありながら、事実確認を怠ったまま反射的に回答するというリスク管理の危うさだ。自らの疑惑に発言を迷走させた対応には、党内からも批判や懸念が上がっている。(清宮真一)

「父の台湾、母の日本、2つのルーツを持っているという程度の認識だった。本当に浅はかだった」

蓮舫氏は13日の記者会見で、参院議員に転身する前に答えた雑誌のインタビューなどで台湾籍を持っていると答えた過去をこう反省してみせた。

党代表選の最中でも発言は変化した。3日の読売テレビ番組では「生まれたときから日本人。(台湾)籍は抜いている。18歳で日本人を選んだ」と断言したが、6日の高松市の記者会見では、「18歳」を17歳に訂正した。

読売テレビでの「生まれたときから日本人」の発言も撤回された。蓮舫氏の出生当時の日本の国籍法とつじつまが合わないからだ。7日の産経新聞などのインタビューで「法律的には昭和60年から日本人だ」と修正した。

蓮舫氏は13日、台湾籍が除籍されていなかったことを表明した後にも、平成22年に行政刷新担当相として入閣したことや、今回の代表選出馬には問題はないとの認識を示した。希薄な「国籍」意識に加えて「問題点を検証しないまま言動する軽さ」(民進党ベテラン)は、一国を預かる首相を目指す資質としても疑問符がつく。


ただ、台湾籍の継続が明らかになった13日も、代表選での蓮舫氏の優勢は変わらなかった。くしくもこの日は、地方議員や党員・サポーターの郵便投票の締め切り日でもあった。

「記憶の不確かな部分でご迷惑をおかけしたことは申し訳ない。(15日の)代表選のスピーチで、みなさんに届くような言葉でしっかり説明したい」

会見でこう訴えた蓮舫氏だが、党内では危機感が募る。松木謙公衆院議員ら党内有志は13日、枝野幸男幹事長に対し、今回の国籍問題について党の見解を示すよう文書で要請した。

蓮舫氏は除籍手続きが終わっておらず、このまま代表選で勝利すれば、台湾籍を持った党代表が誕生する可能性もある。ある党中堅は「事態は相当深刻。蓮舫代表の就任直後に衆院解散を打たれたらアウトだ」と表情を曇らせた。




【私の論評】小保方、蓮舫と続く組織的危機管理・統治能力欠如の露呈(゚д゚)!


私は、今回の蓮舫氏の「二重国籍問題」に関しては、上の記事にあるように、蓮舫氏の危機管理能力は無論のこと、民進党という組織の危機管理能力、政府の危機管理能力も低かったことも原因になっていると思います。

危機管理といえば、このブロクでは以前「STAP細胞」に関して、小保方氏の倫理観の問題にすり替えられ、重要な組織の危機管理能力およびガバナンスが疎かにされすぎていると批判したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
小保方さんの恩師もついに口を開いた!米高級誌が報じたSTAP騒動の「真実」―【私の論評】小保方さんの倫理問題にすり替えるな!理研と文科省のガバナンスの問題こそ本質(゚д゚)!
小保方晴子さん
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
ブログ冒頭の記事の最後のほうに、「小保方は『私はスケープゴートにされた』と書いてきた。『日本のメディアはすべて、若山先生が犠牲者で、私がまったくのろくでなしと断定した』とも」と掲載されています。 
仮に、小保方さんが「まったくのろくでなし」であったとしたら、そこでさらに疑問がわきます。では、なぜ「まったくのろくでなし」をSTAP細胞研究のユニットリーダーに抜擢したのかが疑問です。 
理研は小保方さんが、「まったくのろくでなし」あることを見抜く能力がないのか、ないとしたら何に問題があるのか、それを解決する方法や、それを防ぐための「危機管理マニュアル」など存在しないのでしょうか。 
理研は、存在しないというのなら、これから作るつもりなのか、それで本当にリスク回避ができるのかを開示すべきです。 
また、理研も組織であるので、監査や内部統制はどうなっているのか、今回の出来事で監査が有効に実施されていなかったのは、はっきりしています。どのような監査が行われていたのか、不十分だったのか、不十分であれば、どのように改善するのかをはっきりさせるべきです。
日本版SOX法における内部統制フレームワーク
さらに、内部統制は組織的に実施されていたかの問題もあります。内部統制(ないぶとうせい 英:internal control)とは組織の業務の適正を確保するための体制を構築していくシステムを指します。組織がその目的を有効・効率的かつ適正に達成するために、その組織の内部において適用されるルールや業務プロセスを整備し運用すること、ないしその結果確立されたシステムをいいます。 
これは、ガバナンスの要とも言えるもので、近年民間企業においてはその構築と運用が重要視されています。内部監査と密接な関わりがあるので、内部監督と訳されることもありますが、内部統制が一般的な呼び名となっています。 
民間企業でわかりやすい事例としては、たとえば、財務部門と経理部門を一つの組織として、1人上長が管理するようなことはすべきではないというものがあります。 
財務と経理の仕事は、中小企業などでは特に区分していない企業も多いですが、上場企業においては明確に区分されています。 
経理部門が「日々の経費の精算や帳簿の記帳などをする」「事業活動を数字に表していく処理をする」仕事がメインですが、財務部は「経理部門が作成した財務情報を基礎として企業の今後の経営戦略を財務の視点から考える」部署となります。経理部より財務部の方がより専門性が高い業務といえるでしょう。
また、財務部門は、回収と支払いのサイト管理や資金繰りの管理を通して、企業運営を円滑に進められるように、資金が足りないときは外部から調達してくる役割を担っています。 
このような区分を考えると、経理部門と財務部門の管理者が同一であるというのは内部統制上良くないことははっきりわかります。内部統制として望ましいのは、これらの部署が互いに他の部門を牽制するような仕組みをつくることこそ、正しい方向性です。 
理研も、民間営利企業ではないものの、理研としてこのような内部統制や、監査の仕組みさらに、危機管理体制がマニュアル化などしてあれば、そもそも、今回のような騒動は起こらなかったかもしれませんし、起こったにしも、あのような無様な形で、主に小保方さんの倫理的な問題にして、ようやく決着をつけるということにはならなかったと思います。 
理研の実験室など、あのうろたえぶりからすると、このような観点からすれば、たとえば、レイアウトや、入室、退室のさいの手続きとか、実験の各段階における手続きとか、明確になっていたとはとても思えません。 
こういうと、私は小保方さんを援護しているように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。そもそも、部外者である私は、小保方さんの倫理面や人格等を忖度するような立場にもありません。どんな人なのかもわかりません。だから、小保方さんを援護したり、非難したりする気も全くありません。

そんなことよりも、たとえ小保方さんが「まったくのろくでなし」であろうが、なかろうが、あるいは悪人であろうが、なかろうが、私はそんなことよりも、たとえ狡猾でかなり頭の良い極悪人が運悪く研究所内に潜り込んだとしても、何か普段では考えられないような危機が発生したとしても、余程のことがない限り、間違いが起こらないようなシステムを構築すべきということを言いたいのです。そうして、仮に間違いが起こっても、早期に収拾できるリスク管理体制を構築すべきであることを言っているのです。
倫理観に基づく、良き意図は大事です。しかし、良き意図だけでは何もできません。何も守れません。何も変えられません。そもそも、理研など国の最先端の研究機関であれば、このあたり、二重三重に備えをしておかなければ、妨害されたり、邪魔をされたり、成果を盗まれたり、あらぬ方向に操作されたりするので、そのようなことが絶対にないように、その備えを固めよと言いたいのです。

そうして、そのような備えを固めることによって、まともなガバナンス(統治)を実行するための基礎ともなると言いたいのです。このようなことを疎かにするような、理研や文科省であれば、統治の正当性が疑われるということを言いたいのです。
この記事を書いたときに、私はいずれ忘れたころに第二、第三の「STAP細胞事件」が起こる可能性があるものと予感しました。

今日、全く予期せぬ形で、それが現実のものとなりました。そうです。今回の「二重国籍
問題」は、一見事象は全く異なるものの、マスコミの論調をみても、他の識者の意見でも、結局のところ、蓮舫氏の倫理問題として、その背後にある民主党や日本政府の管理の問題や、組織のガバナンスの問題を蔑ろにしています。

無論、ブログ冒頭の記事にあるように、蓮舫氏の個人のリスク管理の問題もあります。なぜなら、蓮舫氏は小保方氏とは異なり、選挙によって国民の付託を受けた国会議員であり、さらに野党第一党の、幹部であり、さらに今回民進党の代表になったとすれば、日本の総理大臣になる可能性もあるからです。

先日もこのブログに掲載したように、国会議員さらに野党第一党の幹部となれば、本人はどう思っているか、周りの人はどう思っているかは別にして、本来「自分の命よりもその責任」が重いエリートであることには間違いありません。日本では、エリートの定義があいまいですが、本来のエリートの定義は世界共通でこのようなものです。

エリートというものは、「本人の命よりも責任が重い」という事です。だから昔のエリートである武士は毎日切腹の訓練をしていたのです。

だからこそ、蓮舫氏には自らによる危機管理能力の欠如を追求されてもいたし方ないです。

しかし、小保方さんは理研の研究員のユニットリーダーであり、無論個人の危機管理能力も問われはしますが、そうは言っても、蓮舫氏程にその責任を問われることはありません。彼女は管理職ですらないのです。本来の研究員は危機管理やガバナンスなどについて、熱心に取り組むべき存在ではありません。第一そんなことに一生懸命になっていれば、研究がおろそかになるだけです。彼女はあくまで研究に没頭すべき存在です。

小保方氏と、蓮舫氏にはこのような根本的な違いがあるのは事実です。とは、いいながら、共通点もあります。それは、マスコミや識者の論調が、両者とも両者の倫理的な側面を追求しているということです。

何か問題が起こったときに、個人の倫理に委ねることは本当に簡単です。簡単に言ってしまえば「あいつが悪い」ということです。これだと、本当にどんな問題でも頭を使わずに、簡単です。結局「STAP騒動」においては、亡くなられた若山氏が唯一の犠牲者で、悪いのは小保方氏ということで決着がついています。しかし、あれだけの事件、当然のことながら、背景には多くの事象があり、そうして、理研や文部省にも、危機管理やガバナンスに問題があるのは歴然であると思います。

このことに関しては、蓮舫氏は以下のようにツイートしています。
蓮舫氏は、これだけにとどまらず、参院内閣委員会で理研野依理事を追求しています。

2014年5月13日(火)参議院内閣委員会で理研理事を追求する蓮舫氏
私は、民主党の第1次与党期の冒頭、政府外議員だった蓮舫さんが事業仕分けをしたところ、野依理事長が自民党本部にかけこみ、部会で、「歴史という法廷に立つ覚悟があるのか」と語ったのが印象に残っています。

さて、この野依氏に対して、蓮舫氏は、小保方晴子・理化学研究所研究員が発見した「STAP細胞」に関して論文に不正があったと断定して、理研が処分した問題を取り上げました。

蓮舫さんが理事長の責任を問うと、野依氏は「研究所全体の倫理の問題として、(小保方さんを代表者とする)共同研究の事業は、若者らの意識の変化もあり、経営者(理事長)として非常に重く受け止めています。経営者の責任として、若手の研究者の自立の支援と、外部有識者による委員会の調査結果を待ちたい」と語り、辞任を拒みました。

野依氏は、2015年に理研理事長退任しました。ただし、野衣氏は、当時会見で退任はSTAP細胞問題の引責辞任ではないと強調しました。また、STAP細胞論文に疑念が生じた後の理研の対応について、「社会が求めるスピード感とは乖離があった」と認めたものの、対応は十分だったと総括しました。

私自身は、野依氏に関しては、引責辞任するしないは別にして、あのようなことがお凝らないように、あるいは起こってしまっても傷口を広げないように、危機管理システムを充実してから辞任すべきであったと考えています。

当時の理研監督省庁であった文部省の大臣だった下村博文氏
さて、当時の理研監督省庁であった文部省の当時の下村文部大臣はというと、「STAP細胞」の再現実験には小保方さんも加わるべきだという発言などはしていますが、理研の危機管理システムやガバナンス上の問題に関する発言や、ましてや文部省のそれに関する発言などは全くなかったと思います。

小保方氏は、当理研OBの石川智久・元上級研究員ES細胞窃盗の容疑で告発されましたが、結局警察の取り調べは受けたものの、立件には至っていません。

結局は、この事件若山氏一人が犠牲者で、小保方氏が「ろくでなし」ということで幕引きです。その後、マスコミも専門家も、危機管理の問題や、ガバナンスの問題など有耶無耶にされて、今日に至っています。多くの人は、「小保は悪いやつ」で止まってしまい、そこからさらに背景を追求しようなどとはしません。まるで思考停止してしまっているようです。

そうして、今回の蓮舫氏の「二重国籍問題」です。この出来事に関しては、さすがに、蓮舫氏の倫理問題として片付けるだけではないようではあります。

日本維新の会の馬場伸幸幹事長
日本維新の会の馬場伸幸幹事長は8日、国会議員や国家公務員らが日本以外の国籍を持つ「二重国籍」を禁じる法案を国会に提出する考えを示しています。早ければ今月末に召集される臨時国会への提出を検討しています。

馬場氏は都内で記者団に「国政に携わる者が二重に国籍を持つことはあってはならない」と述べ、国籍法や公職選挙法などの改正で対応する考えを示しました。

菅義偉官房長官も7日の記者会見で「ご自身が説明すべき問題だ」といい、「一般論として申し上げれば、外国の国籍と日本の国籍を有する人は、22歳に達するまでにどちらかの国籍を選択する必要があり、選択しない場合は日本の国籍を失うことがあることは承知している」と語りました。

自民党では、衆参の予算委員会や法務委員会で、法務省の見解などをただすことも検討しているといいます。中国、台湾の法律も絡むため、外務委員会でも質問が出る可能性もあります。

法務行政に精通する自民党のベテラン議員は「もし、蓮舫氏が『二重国籍』のまま、民主党政権の閣僚をやっていたことが確認されれば、その時点で議員辞職だろう。民主党は2009年の政策集に『重国籍容認に向け国籍選択制度を見直します』と掲げていた。当然、民進党の姿勢も問われる」と語っています。

さて、国会での追求ですが、これも「STAP細胞」騒動の反省にたち、蓮舫氏の危機管理能力の欠如や倫理観のみに焦点をあてるだけではなく、民進党の組織としての責任を危機管理やガバナンスの観点から追求して、追求するだけはなく法律は無論のこと、システムも変更していただきたものです。

そうして、忘れてならないのは、政府の責任の追求です。何やら、この問題、蓮舫氏や民主党にのみ責任があるような受け取り方をする人も多いようですが、政府にも明らかに責任があります。

このブログでも以前掲載しましたが、二重国籍者は推定で日本国内に40、50万人存在するとされています。日本の国籍法は二重国籍を認めていません。二重国籍になった場合は、一定期間内にどちらかの国籍を選択しなければなりません。また、自ら志望して外国籍を取得した場合は、日本国籍を喪失しなければなりません。

そうして、期限までに国籍を選択しない場合は、法相が書面による催告をしてから1カ月以内に日本国籍を選択しなければ「日本国籍を剥奪できる」と規定しています。にもかかわらず、二重国籍の人々は年々増加の一途をたどっています。

どうしてこういうことになるかといえば、この規定が守られていないからです。つまり、いつまでも国籍を選択しない者が多いにもかかわらず、法相による催告・国籍剥奪は、一度たりとも行使されたことがないのです。

これは、どう考えても異常です。全員に対してそういうことができないというのなら、国会議員や国家公務員に対してはこれを実行すべきでしょう。そうして、少なくとも反社会勢力に対しては、これを実行すべきでしょう。

いずにしても、「STAP細胞」騒動の時のように、曖昧にして小保方氏一人の倫理問題で片付けるようことがあってはならないです。そうしなければ、いつまでたっても、このような問題は何度でも繰り返し発生することになると思います。

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2016年9月13日火曜日

朝日新聞が戸惑う「改憲賛成」圧倒多数―【私の論評】どうして朝日新聞独自の調査では全く逆の結果がでるのか?

朝日新聞が戸惑う「改憲賛成」圧倒多数

Japan In-depth 9月10日(土)18時0分配信

改正を求める人たちの最も多くが憲法9条を問題にしている
という結果も朝日新聞の社論を否定することとなった。
朝日新聞が9月7日朝刊で報じた自社の世論調査で憲法改正の賛成が反対の2倍近く、つまり圧倒的に上回るという結果が出た。

しかも改正を求める人たちの最も多くが憲法9条を問題にしているという結果も朝日新聞の社論を否定することとなった。だが肝心のこの調査結果を報じる朝日新聞の記事の見出しはまったくそんな事実を隠す形となっていた。

朝日新聞の長年の読者としての私にとってもこの世論調査結果はショッキングだった。

朝日新聞が東京大学の特定の研究室と合同で定期的に実施する日本の国内政治に関する世論調査である。私の記憶では、かなりの年月、続いてきたこの調査でも、また朝日新聞が実施した他の世論調査でも、憲法改正に関して賛成が反対をこれほどの大差で上回るという実例は皆無なのだ。こんな結果だった。

≪憲法改正への賛否について聞いたところ、「賛成」「どちらかと言えば賛成」の賛成派が42%、「どちらとも言えない」の中立派が33%、「どちらかと言えば反対」「反対」の反対派が25%だった≫

要するに、憲法改正に賛成が42%、反対が25%と、改憲派が2倍近い大差で多かったのである。この数字は改憲絶対反対のキャンペーンを長年、必死で続けてきた朝日新聞にとっても衝撃的なはずだ。

しかも同じ世論調査で改憲賛成派の多くがまず第一に憲法9条の改正を求めるという結果が出ていたのだ。この点は朝日新聞の年来の主張とは正反対である。朝日新聞は憲法の改正をたとえ考えても、9条だけは絶対に変えるな、というスタンスできたのだ。改憲を求める安倍晋三首相でさえ、9条改正を迂回して進もうという姿勢をみせている。なのにこんな結果が出てしまったのだ。この点の朝日新聞の報道結果は以下のようだった。

≪改憲賛成派に改憲すべき項目を選んでもらったところ、最も多かったのは「自衛隊または国防軍の保持を明記」で57%、次いで「集団的自衛権の保持を明記」が49%≫

国防軍の保持の明記も、集団的自衛権の保持の明記も9条の範疇である。朝日新聞としてはなんとも不都合な世論調査結果だったのだ。

さてでは朝日新聞はこの結果をどう報じたのか。以下がその記事の見出しだった。

≪7月参院選の投票先 憲法重視層は民進 経済分野自民強み≫

上記のような見出しからはこの世論調査の対象者たちの圧倒的多数が憲法改正を求めていた、という最大のニュース要因は想像もできない。つまり朝日新聞はこの結果を矮小化し、隠蔽に近い見出しの表現を選んだのだ。よほど困ってしまったのだろう。

古森義久(ジャーナリスト・国際教養大学 客員教授)

古森義久氏

【私の論評】どうして朝日新聞独自の調査では全く逆の結果がでるのか?

さて、朝日新聞の元記事はどうなっているか、残念ながら私は朝日新聞を購読してないので、以下に朝日新聞デジタルのそれらの記事のリンクを掲載します。
「憲法」は民進、「経済」は自民 有権者が重視した政策
笹川翔平

2016年9月6日21時49分

ブログ冒頭の記事で、古森氏が掲載していた9月7日の朝日新聞の記事のタイトル「7月参院選の投票先 憲法重視層は民進 経済分野自民強み」とは若干異なりますが、おそらくWEB版の記事をそのままか、若干加筆して朝日新聞に掲載したのでしょう。この記事には、確かに世論調査の詳細は掲載されいません。

詳細が掲載されているのは、この記事の中でリンクを貼ってある以下の記事です。

特集:朝日・東大谷口研究室共同調査
この特集では、確かにアンケートの詳細が記されています。そうして、アンケート解説は以下の3つの柱で構成されています。
改憲、有権者の関心は9条 
消費増税、当選者の見解と差 
民進・共産、互いの好感度低調
WEB版で見ている限り、元記事からは、ブログ冒頭の記事で古森が指摘しているような、重大な結果が掲載されているとはとても思えません。この記事を読んだ人の大半は、アンケートの内容に重大な結果があるとはまず思わないでしょう。

第1の柱に付随している、チャートを以下に掲載します。



この結果から確かに、憲法改正に賛成が42%、反対が25%と、改憲派が2倍近い大差で多かったことがわかります。

そうして、同じ世論調査で改憲賛成派の多くがまず第一に憲法9条の改正を求めるという結果が出ていたこともはっきりしています。

これは、確かに朝日新聞の社論からは、かけ離れた結果です。しかし、朝日新聞としては、この結果を読者にはっきりとわかる形で掲載し、世論が変わったことの潮目であったことをはっきり認識すべきです。

去年のこの調査の結果はわかりませんが、古森氏上の記事で分かる通り、憲法改正派がこのように多かったのです。

古森氏の繰り返しになりますが、なんとも意外な結果です。2012年の総裁選で強く改憲を訴えた安倍総理でも、最近は国民的理解が深まっていないと明言し、9条改正を急がない姿勢を見せています。それもこれも、これまでの各種世論調査の結果がそれを求めているからでした。

ではここで、過去のアンケートを振り返ってみます。、この春に朝日新聞が憲法記念日を前に実施した世論調査ではどんな結果だっただろうか。
改憲不要55%、必要37% 朝日新聞世論調査
朝日新聞デジタル 2016年5月2日22時41分


 憲法記念日を前に朝日新聞社は3月中旬から4月下旬にかけ、憲法に関する全国世論調査(郵送)を実施し、有権者の意識を探った。それによると、憲法を「変える必要はない」が昨年の調査の48%から55%に増え、「変える必要がある」は昨年の43%から37%に減った。大災害などの際に政府の権限を強める「緊急事態条項」を憲法に加えることに「賛成」は33%で、「反対」の52%が上回った。

   憲法改正については、2014年の郵送調査から「必要はない」が「必要がある」を上回っており、その差は今回さらに開いた。
(以下略)
もう一つの、アンケート結果を掲載します。
世論調査―質問と回答〈3・4月実施〉
2016年5月2日22時39
〈調査方法〉 全国の有権者から3千人を選び、郵送法で実施した。対象者の選び方は、層化無作為2段抽出法。全国の縮図になるように338の投票区を選び、各投票区の選挙人名簿から平均9人を選んだ。3月16日に調査票を発送し、4月25日までに届いた返送総数は2077。無記入の多いものや対象者以外の人が回答したと明記されたものを除いた有効回答は2010で、回収率は67%。 
 有効回答の男女比は男47%、女52%、無記入1%。年代別では20代8%、30代14%、40代18%、50代16%、60代21%、70代16%、80歳以上7%。
この調査で興味深いのは、以前は電話調査だったのが安倍政権に変わった2013年3月の調査から郵送方式に変わったことです。そして、安倍政権になってから『変える必要がない』が急に増え始め、逆転しています。

方式変更の影響は不明ですが、特定秘密保護法や安全保障法制にからむ朝日をはじめとするネガティブキャンペーンが影響を与えていることは間違いないようです。この問題で国会で紛糾するたびに内閣支持率は低下し、憲法改正賛成の数字は下がっていきました。

TVジャーナリストらによる「特定秘密保護法案」反対会見
特に昨年の集団的自衛権を含む安保法案の審議過程においては、朝日新聞に限らず、他の新聞や、テレビそうして野党も加わって大ネガティブキャンペーンが繰り広げられました。

では、なぜ今回の調査では逆の結果となったのでしょうか。逆の結果となった原因には2つあると思います。

まず一つ目は、質問方法の違いです。今回の東大との共同調査の質問内容(文言、質問の順番など)は不明ですが、朝日新聞が春に行った調査では、「◆いまの憲法を変える必要があると思いますか。変える必要はないと思いますか」の質問の前に以下のような多くの質問をしていました。
◆今度の参議院選挙で一番大きな争点は、憲法だと思いますか。ほかに重要な問題があると思いますか。
一番大きな争点は憲法だ32
ほかに重要な問題がある60

◆憲法を変えるには、衆議院と参議院でそれぞれ3分の2以上の議員が賛成して提案し、国民投票で過半数が賛成することが必要です。今度の参議院選挙の結果、憲法改正に賛成する政党の議員が参議院全体で3分の2以上を占めたほうがよいと思いますか。それとも、占めないほうがよいと思いますか。
占めたほうがよい39
占めないほうがよい51

◆以下は、憲法第9条の条文です。(憲法9条条文は省略)憲法第9条を変えるほうがよいと思いますか。変えないほうがよいと思いますか。
変えるほうがよい27
変えないほうがよい68

◆集団的自衛権を使えるようにしたり、自衛隊の海外活動を広げたりする安全保障関連法に、賛成ですか。反対ですか。
賛成 34  反対 53

◆安全保障関連法が、憲法に違反していると思いますか。憲法に違反していないと思いますか。
違反している50
違反していない38

◆いまの自衛隊は、憲法に違反していると思いますか。違反していないと思いますか。
違反している21
違反していない69

◆憲法第9条を変えて、自衛隊を正式な軍隊である国防軍にすることに賛成ですか。反対ですか。
賛成 22  反対 71

◆テロや大災害などに対応するため、政府の権限を強める「緊急事態条項」をいまの憲法に加えるべきだ、という意見があります。一方で、法律を充実すればいまの憲法でも十分対応できる、という意見もあります。いまの憲法に「緊急事態条項」を加えることに、賛成ですか。反対ですか。
賛成 33  反対 52

◆憲法で国家権力の濫用を防ぎ、国民の権利を保障する「立憲主義」という考え方があります。「立憲主義」に共感しますか。共感しませんか。
共感する77
共感しない13

◆憲法は、簡単に変えないほうがよいと思いますか。それとも、柔軟に変えるほうがよいと思いますか。あなたの気持ちに近い方を選んでください。
簡単に変えないほうがよい62
柔軟に変えるほうがよい31


◆いまの日本の憲法は、全体として、よい憲法だと思いますか。そうは思いませんか。
よい憲法67
そうは思わない23


◆いまの憲法を変える必要があると思いますか。変える必要はないと思いますか。
変える必要がある37
変える必要はない55

この質問の繰り返しが最後の質問に対する回答に影響を与えた可能性があると私は考えます。尚、さらにそう答えた理由を聞く質問もあるのですが、それは割愛しました。
(詳細はこちらから→http://www.asahi.com/articles/ASJ4N63MMJ4NUZPS00F.html

以上のような憲法に関する様々な質問をしたうえで、最後に憲法を変える必要があるかないかの二択に答えさせています。

例えば、自衛隊は憲法違反かどうかで「違反ではない」と7割の人が答えているのですが、そう答えた人は「変える必要がない」と答える可能性が高いです。

また、直前に「いまの日本の憲法は、全体として、よい憲法だと思いますか。そうは思いませんか。」と聞いているのも「変える必要がない」に誘導しようとする意図が見え隠れします。

これらの質問のなかに「北朝鮮や中国を脅威と感じるか」との質問があれば、最後の質問への答えも変わる可能性があるのですが、それはないのです。今回の東大との共同調査では、学術的な方法が遵守されて、上記のような露骨な誘導はなかったのでしょう。

そうして、最も大きな違いは、春の調査では「変える必要がある」と「変える必要はない」の2択に対し、今回の調査は「どちらとも言えない」を含む5択となっていることです。

この問題に関しては、「変えるか変えないか」の2択で迫られと、取りあえず「変える必要はない」を選ぶ人が多くなるのが普通です。

この「変える必要はない」には、「それほど急がなくても良い」や「よく分からないから反対」なども入っているはずです。それが、「どちらかと言えば反対賛成(反対)」や「どちらとも言えない」に分かれたのでしょう。

このように両方の調査結果を見ることで、憲法に対する国民の姿勢が見えます。はっきりと「賛成」「反対」の人より、その間で揺れ動く人のほうがずっと多いのです。だから、昨年のテレビ・新聞による「戦争法案反対」大キャンペーンに揺り動かさた人も多かったのです。やはり、安倍総理の言うように国民的議論を深めることが重要なのでしょう。

SEALDsによるデモ
もう一つの原因としては、多くの国民はごく最近の頻繁な北朝鮮のミサイルの発射による脅威や、中国が尖閣をいつ軍事基地化するかもしれないという脅威に晒されていることを強く認識するようになったいうことでです。

そうして、現在のままの憲法もしくは憲法解釈によれば、北朝鮮によるミサイル発射や中国が尖閣に上陸したときに、反撃することは難しいです。

朝日・東大谷口研究室共同調査と、朝日新聞による2つの世論調査の大きな違いには上記のように、朝日新聞の情報操作と、昨年より一層厳しさをみせているここ数か月の間の安全保障上の脅威も関係しているのでしょう。

憲法改正への道はまだ長く険しいですが、道筋は少し見え始めてきたのではないでしょうか。それにしても、朝日新聞のアンケート調査能力にはかなり問題がありそうです。朝日新聞などのメディアが全くかかわらない、公正な第三者機関によるさらなる、調査が必要だと思います。

【関連記事】



「日本は憲法改正せよ」が米国議会で多数派に―【私の論評】憲法を改正するか、中国の属国になるか、アメリカの51番目の州になるか、あなたはどの道を選択しますか?


【関連図書】

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2016年9月12日月曜日

「二重国籍問題」蓮舫氏が最も恐れているシナリオはこれ!―【私の論評】二重国籍はこんなに危険!この問題を軽々に扱うべきではない(゚д゚)!

「二重国籍問題」蓮舫氏が最も恐れているシナリオはこれ!

蓮舫氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 誰が勝ったところで、経済政策は…

民進党代表選(15日投開票)が後半戦に突入した。蓮舫氏、前原誠司氏と玉木雄一郎氏のうち、蓮舫氏が優勢とされている。

ただ、経済政策の観点からみると、候補者3人のうち誰が勝っても期待はできないことを最初に指摘しておきたい。

3人の過去の言動からみると、いずれも安倍政権と比べて「緊縮財政」と「金融引き締め」路線だといえる。3人とも10%への消費増税に賛成であり、同時に安倍政権の金融緩和についても批判的で、金融引き締め指向だ

この3人ともに、旧民主党時代のマクロ経済政策とほぼ同じであり、どうして安倍政権に負けて政権交代になったのか、まったく勉強していないと言わざるをえない。

すべての政治家がひとつだけ覚えておくべきことは、デフレ脱却をするまで緊縮財政と金融引き締めはやってはいけない、ということだ。

デフレから脱却しないと、雇用の確保も財政再建もおぼつかない。3人の意見を聞いていると、雇用の確保を無視し、財政再建を追い求めているが、肝心のデフレ脱却ができないので、雇用の確保も財政再建もできない、という未来しか見えてこない。

安倍政権がまともなのは、金融緩和を継続している点だ。積極財政は2014年4月からの消費増税で一時失敗したが、その後の再増税局面では過ちを繰り返さなかった。

それらの結果、国内総生産(GDP)成長率はいま一歩であるが、失業率や倒産は史上最低水準となっている。GDPと雇用が最重要な課題であるので、この点からいえば、満点ではないが安倍政権はまずまずである。

それを超えるものが、民進党代表候補の3人から出てこないのは残念である。

新たな民進党代表が決まれば、一定のご祝儀で政党支持率は少し上がるだろうが、経済政策で安倍政権に勝ることは考えられないので、脅威にはならない。デフレ脱却を掲げ、金融緩和強化、消費増税凍結でより強力な積極財政を主張するチャンスなのに、みすみすこれを逃すのは野党第一党なのに情けない。

 「二重国籍」そもそも何が問題か


それに追い打ちをかけるかのような話も出ている。蓮舫氏の「二重国籍問題」だ。

蓮舫氏が民進党代表になる可能性は高いが、二重国政問題を国会で追及する動きもある。蓮舫氏は1985年に日本国籍を取得しているが、台湾籍が放棄されたがどうかが問題とされているわけだ。



日本維新の会の馬場伸幸幹事長は8日、国会議員や国家公務員らが日本以外の国籍を持つ「二重国籍」を禁じる法案を国会に提出する考えを示した。早ければ今月末に召集される臨時国会での提出を検討している。

蓮舫氏の言い分は、「国籍放棄問題の渦中にある蓮舫氏、単独インタビュー」(http://news.yahoo.co.jp/feature/349)が詳しい。それによれば、

「蓮舫氏の説明が本当ならば、1985年に日本国籍を取得して以降、台湾の国籍放棄については、本人は台湾政府に確認していないし、確認が必要だという認識もなく、その点について家族からも説明はなかったので、一切の放棄のための行動を取ってこなかったということだ。

一方で、蓮舫氏が台湾籍であることを自覚し、パスポートを取得して台湾に入国したり、投票や納税などの権利・義務を行使したりしたことはなく、台湾の国籍者としての具体的な振る舞いはなかったということになる。

そうなると、残された問題は台湾籍が形式上残っているかどうかである。日本の国籍法上、二重国籍者は認められていないが、外国籍の離脱は努力義務にとどまり、離脱していなくても罰則はなく、厳格な運用は行われていない。もし台湾籍が残っていた場合、蓮舫氏はどう対応するのだろうか」

とのことだ。蓮舫氏は、念のために、台湾籍の離脱証明を取り寄せているようだ。

もともと、蓮舫氏の二重国籍問題は、元経産官僚の八幡和郎氏がネット上で問題提起したことにはじまる。

おそらく、蓮舫氏が国会議員でない一般人であれば、それほど問題にならなかっただろう。実際、これまで厳格な法運用がなかったために、二重国籍者は数万人程度はいると思われる(実際の国会答弁では「平成14年には約3万3千人を超えている」とされた)。

 国家公務員なら知っていること

ただし、外務公務員法第7条で「国籍を有しない者又は外国の国籍を有する者は、外務公務員となることができない」と規定されている。

筆者のように官僚出身であると、この話は知っているはずだ。特に、キャリア官僚であれば、海外勤務も多く、外務省に出向することがしばしばだからだ。

筆者の経験からいうと、財務キャリアであれば、ほぼ全員が海外勤務を経験する。そのやり方は、外務省に出向する、国際機関に派遣される、海外の大学などに長期出張で派遣されるという3種類がある。どれになるかは、確率3分の1程度なので、二重国籍かどうかは、当然チェックされる。

かつて外務公務員については、配偶者が日本国籍を有さない場合、または外国の国籍を有する場合についても外務公務員の欠格事由となっていたので、外国人配偶者の場合、外務省には出向しないといわれていたこともある。

もっとも、国家公務員では、人事院規則8118第9条では「日本の国籍を有しない者」は採用試験を受けることができないとされているが、二重国籍者を排除していない。

一方、地方公務員では、人事委員会規則で、基本的に「外国籍の職員については、公権力の行使に当たる業務又は公の意思形成に参画する職に就くことができない」と規定されており、二重国籍者は制限を受けることがはっきりしている。

これらの職以外にも、国籍条項が規定されているものは多いが、日本国民を要件とするものが多く、二重国籍者の扱いはあまり明確ではない。

例えば、国会議員などの公職政治家では、被選挙権者の規定である公職選挙法第10条により「日本国民」であることを要件とし、また地方自治体の公職政治家は地方自治法第19条により「日本国民」であることを要件としているだけだ。

日本維新の会の法案提出は、これらの二重国籍のグレーゾーンをすっきりさせるものである。国家公務員については、二重国籍不可は常識なので、外務公務員法のほうに、「国籍を有しない者又は外国の国籍を有する者は、国家公務員となることができない」とされても、支障がないだろう。

そもそも、国籍条項を規定されている職種では、国益と外国籍との利益相反を防止するために国籍条項があるわけで、本来であれば、国籍条項は直ちに二重国籍を不可とするもののはずである。この意味で、日本維新の会の法案は、これまでの法律の不備を埋めるものともいえる。

2007年の参院選で、元ペルー大統領のフジモリ氏が国民新党から立候補したが、フジモリ氏はペルーと日本の二重国籍であった。重大な問題だが、あまり議論はされなかった。日本維新の会の法案が成立すれば、そうした問題は回避されることになる。

筆者としては、国籍条項を必要とする職は必ずある、と考える。そのような職では二重国籍は否定すべきである。これは、一般の二重国籍問題とは区別して考える必要がある。

一般の二重国籍問題では、国際法で「人は必ず唯一の国籍を持つべき」とする国籍単一の原則があるのは知っているが、実際には二重国籍を認めている国は少なくない。この意味では、現在のところ二重国籍者に過度な規制を強いる必要もないと思っている。

ただし、二重国籍を認めている国であっても、国家の権力を行使する職では二重国籍が禁止されているのが普通であるので、その常識を日本でも適用したらいい。

 蓮舫氏が最も恐れていること

以上が政策論であるが、政治論から見ても日本維新の会の法案提出は大きな意味がある。

というのは、この法案が通れば、蓮舫氏の政治的な行動がかなり制約される可能性があるからだ。少し説明しよう。

民進党代表になるということは、政権交代すれば首相になるべき人である。現在、蓮舫氏は参議院議員だ。別に参議院議員は首相になれないという決まりはないが、首相の伝家の宝刀である衆院解散権を行使しにくくなる、というデメリットがある。

参議院議員は衆院を解散しても議席を奪われないので、解散して衆院議員のクビを切りながら、自分は安泰、という批判を受けるからだ。

そうした事情もあるので、蓮舫氏はいずれ衆院に鞍替えしたいはずだ。実は、小池都知事誕生とともに、東京10区(豊島区、練馬区の一部)で10月23日に補欠選挙が予定されている。蓮舫氏にとって、自身がその補欠選挙に出るのは、民進党を浮上させる好手のはずだった。

東京10区は、2005年の郵政選挙で小池氏が刺客として出馬して以来、民主党(民進党)女性候補と戦うという面白い選挙区だった。そこで、蓮舫氏が「私も崖から飛び降りる」と言って今回の補欠選挙に出馬すれば、かなり盛り上がっただろう。

ところが、日本維新の会の法案提出が、それにブレーキをかけるのだ。今度の臨時国会は今月26日に招集されるが、日本維新の会の法案は自民党にとっても関心事であるし、そもそも現在の法の不備を埋めるものなので、成立する可能性は高いだろう。となると、「二重国籍者」であった場合、蓮舫氏の鞍替えでの東京10区出馬は微妙になる。

ネットの威力は侮れない。台湾籍の離脱は日本でいうところの官報に掲載されているが、それを調べる限り、蓮舫氏の台湾籍離脱はないという指摘がネット上にはある(http://www.honmotakeshi.com/archives/49510141.html)。

蓮舫氏は台湾籍の離脱証明を取り寄せているようだが、実際に証明書が入手できるかどうか、その日付などで様々な議論が起こるはずだ。そうなると、蓮舫氏の東京10区出馬の可能性はかなり少なくなるだろう。

実際にどうなるかは予断できないものの、日本維新の会の法案が国会で審議されれば、民進党や蓮舫氏にとってはかなり痛い話になろう。

【私の論評】二重国籍はこんなに危険!この問題を軽々に扱うべきではない(゚д゚)!

民進党代表候補3人の経済政策がとんでもないものであることは、このブログでも以前掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
民進代表選候補者3人 野党連携は理念や政策の一致前提に―【私の論評】財務省の使い捨て政党民進党とその代表に明日はない(゚д゚)!
民進党代表選候補者三人 左より玉木氏、前原氏、蓮舫氏
詳細は、この記事をご覧にいただくものとして、玉木氏は元財務官僚ですから、理解できるところがあるのですが、他の二人まで、こと経済政策になると、まるでテープレコーダーのすり減ったテープのように、財務省のパンフレット以下の内容を語り続けるだけです。

本当にこんなことでは、政権交代でも起きて、今回の代表選で選ばれた代表が日本の総理大臣でもなって、その経済対策を実行したら、日本は再びデフレに突入して、日本の全国民がまた塗炭の苦しみに追いやられることになります。

代表選の候補者がこの有様です。過去の民主党政権のときの反省がまるでありません。これは、自民党でも似たり寄ったのところがあるのですが、それにしても安倍総理は、過去の自民党のときのデフレ・円高政策を反省して、一度は14年度4月からの増税を決断して、財務省の口車に乗りかけたのですが、その後は一環して、増税見送りの立場を貫いています。

さらに、金融政策でも緩和策をとるように日銀を説得し、最近ではなかなか日銀が追加金融緩和に踏み切らないものの、少なくとも緊縮に戻ることもなく、雇用関係の統計値はかつてなかった程に改善しています。

しかし、民進党の代表候補者は、なぜか全員、増税すべきとか、金融緩和策に懐疑的です。なぜこのようになってしまうかについては、この記事では掲載しませんでしたが、私自身は民進党、その中でも幹部は、財務省の走狗に成り果てているのではないかと睨んでいます。

財務省としては、経済対策に関して、財務省のパンフレットの内容のようなことしか、話せない代表が存在する民進党が与党になれば、自分たちのやりたいことが、国民などにはおかまいなしに、存分にできます。民進党が与党になれば、財務省は我が世の春を謳歌できます。

しかし、民進党の支持率は下がるばかりで、とても再度政権交代をする可能性はありそうにはありません。しかし、財務省はもしかするとという淡い期待は捨てきれないでいるのでしょう。

だから、民進党幹部と財務官僚の間には、財務省が民進党を応援することと引き換えに、民進党が財務省にとって良い経済対策を流布するということで、何らかの形で合意ができているのではないでしょうか。そうでないと、先ほども述べたように、代表候補者の3人ともが財務省のパンフレットの内容以下のことくらいしか、経済政策に関して語らないなどということはあり得ないと思います。


このことだけでさえ、大問題であるにもかかわらず、最近ではにわかに蓮舫氏の二重国籍問題がクローズアップされるようになりました。

この問題に関しては、なぜかテレビなどのメディアはほんど報道しません。不思議といえば、不思議です。著名人の中には、これを大した問題でないかのように発言する人もいます。さらには、どうでも良いことのように発言する人もいます。

しかし、ブログ冒頭の記事で高橋が指摘しているように、"国家公務員では、人事院規則てで「日本の国籍を有しない者」は採用試験を受けることができないとされているが、二重国籍者を排除していない"とあります。

「一方、地方公務員では、人事委員会規則で、基本的に「外国籍の職員については、公権力の行使に当たる業務又は公の意思形成に参画する職に就くことができない」と規定されており、二重国籍者は制限を受けることがはっきりしている"と指摘しています。

とはいいながら、二重国籍に関しては曖昧であることも指摘しています。とはいいながら「国籍条項を必要とする職は必ずある、と考える。そのような職では二重国籍は否定すべきである。これは、一般の二重国籍問題とは区別して考える必要がある」とも言及しています。

ネットをみると少なからずの人が、蓮舫氏の「二重国籍問題」を一般人の「二重国籍問題」として同列に考えてしまい、蓮舫氏に同情的な意見に傾きやすいようです。しかし、上の高橋洋一氏の論説は利益相反の可能性のある領域(国会議員、国家公務員)での二重国籍問題を論じています。

私自身は、やはり高橋氏の指摘が正しい思います。一般人は別にして、国会議員や国家公務員は、このような観点から、私自身はやはり、蓮舫氏個人がどうのこうのというより、そもそも二重国籍であってはならないと思います。ましてや、野党第一党の代表が二重国籍者あるべきではないと思います。そうして、この前提は当然のことと思います。

そうして、私自身は、いわゆるエリートと呼ばれる人たちは、当然のことながら、二重国籍であってはならないと思います。

こう述べると、エリートの定義が日本ではあまりに曖昧なので、以下にエリートについて述べておきます。

エリートというと、倉山満氏が以前「エリートの定義」をツイートしていたのを思い出します。

そのツイートを以下に掲載します。

エリートの定義がおかしいと思ってて日本でしか通用しない定義があって、偏差値が高い人がエリートっていうのがあるじゃないですか。東大出身の人がいたら絶対聞いて欲しいんですが万国共通のエリートの定義は「そいつの命よりも責任が重い」って事ですよ。だから武士は毎日切腹の訓練をしてたんです
確かに、国会議員は東大を出ていないとなれないとか、偏差値の高い大学に入っていないとなれないなどということはありません。企業の役員だってそうです。一部上場の大企業であれば、東大卒などはいて捨てるほどいる中から選定されます。そんな中では、東大出身とか、偏差値が高かったなどということは何の意味も持ちません。

切腹の作法
あくまで、もっとも注目されるのは、責任の重大さに耐えられるかどうかの観点になると思います。ただし、国会議員の選挙や、企業の役員の選定にあたって、実際にこれが重視されているかは別問題です。最近の議員をみていたり、東芝の旧社長らなどをみていると、そうとは限らないことが良く理解できます。

しかし、本当のエリートの定義は「当人の命よりも責任が重い人」ということです。

責任のない人は、自分の命が大事なのだと思います。自分の命を太く未来につなげていくことが一大事なのだと思います。

そもそも、本来エリートは命がけでなるものなのです。偏差値の高い大学に自分の子どもを入れようとしている親の大部分は、そんなことは考えてはいないでしょう。

一昔前ならば、武士の家に生まれれば、自分がどう考えようとも、そういうエリートになるものとして育てられたわけです。いざというときに、自分の命よりも重い責任を取るために、切腹の作法も学ばせたのです。

そうして、国会議員は、当人たちがどう思っているか否かは別にして、「当人の命よりその責任が重い」人です。野党第一党の代表ともなれせば、さらに責任が重いです。国家公務員も、全員ではありませんが、そのくらい責任の重い人は存在すはずです。

こういう意味での、エリートは当然のことながら、二重国籍であってはならないはずです。

そうして、蓮舫氏の「二重国籍問題」に関しては、これを当然のこととして、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
40、50万人との推定もある二重国籍の実態 「偽装日本人」に深刻リスク―【私の論評】蓮舫の二重国籍問題を契機に、これを放置するのはやめるべき(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分を以下に掲載します。
世界的には二重国籍を容認する潮流であるともいわれます。国籍の異なる両親から生まれた子が2つの国籍を持つことは、2つの言語、歴史、文化、生活習慣の中で成長する彼らにとって当然の帰結なのだから、二重国籍を容認すべきという意見は根強いです。 
しかし、だからといって我が国の根幹法規というべき国籍法が形骸化し、偽装日本人による日本パスポートの不正取得、不法入国、不正投票などが蔓延している状況や、今回の蓮舫氏の二重国籍疑惑を放置して良いわけがありません。 
国籍のあり方についての国民的議論、そしてそれを踏まえた国会での検討が早急にすべきです。蓮舫氏以外の議員にもこの問題がないかどうか至急調査すべきですし、問題のある議員が出てきた場合、そうして蓮舫議員にも問題があればこれも含めて厳正な措置をとるべきです。 
特定秘密保護法で公務員の身辺調査をするのですから、政治家の身辺調査も当然のことながら実施すべきです。配偶者、親族に外国人がいる、いないの調査を実施すべきです。政治家本人の帰化の有無。政治家の親族に外国人、または帰化者がいないかの公表もすべきです。政治家等の帰化基準が反日勢力に甘すぎるから、蓮舫氏の二重国籍問題が起こるのです。
この結論に書いたように、私自身は、政治家、国家公務員などのエリートはもとより、一般の人の二重国籍もやはり、日本の国籍法にのっとり厳格にある程度以上の年齢になれば、日本国籍を選ぶか外国籍を選ぶかはっきりさせるべきと思います。二重国籍を認めるというのなら、その要件もはっきりさせるべきです。

なぜなら、この二重国籍にはかなりの潜在的な危機が予め予見されるからです。たとえば、中国など日本に多数の中国人民を入国させ、それらをことごとく二重国籍にさせます。そうなると、ある一定数の中国人が二重国籍になったとする、その二重国籍の中国人に対して、中国政府は国防総動員法を発令することができます。

国防総動員法とは、(2010年7月)に中国共産党政府が成立させ、施行したものです。同国の国防に関わる有事にいたった場合に、国内外の支那(China)国籍者の財産の接収(没収)、同国籍者の徴兵(国内・在外を問わない同国籍者の徴兵(兵員化)と、および、同国内での外国資本の没収まで含まれているのです。


長野五輪の聖火リレーの沿道で暴れる動員された中国留学生 1998年
何故、このような法律を性急なまでに施行したのでしょうか。その目的は、中国共産党政府がごく近い将来に有事(および戦争)の発生を想定してのことで、たとえば、対日政策の上では、侵攻による沖縄県尖閣諸島、さらには沖縄本島の収奪・領土化とそのための有事を視野に入れてのことであろうことは邪推の余地も有りません。

もとより、沖縄の領土化は日本本土を次の視野に入れてのことで、日本の属国化、ひいては「日本自治区化」を置いているであろうことは推察に難くありません。 

そうして、在日中国国籍者もこの法律の動員対象となっていることです。在日中国人は65万6403人も居て他の在日外国人と比べて圧倒的に多いです。留学や技能研修など日本に学びに来ている人が多いが、働いている人も多いです。

職種は技術・人文知識・国際業務や調理師から社長や大学教授まで幅広く、数も圧倒的です。男性中心の他の在日外国人と比べて20代・30代の女性が多く、若くて元気です。在日中国人は戦前から居て横浜中華街などを形成しましたが、1990年代から倍増し2000年代前半に激増しました。

最初は集団密航で入国した人も居たが、そのうち留学などを通じて増えて行き企業に新卒採用されたり、犯罪に手を染めたりしました。他、“観光”などで一時的に渡航して来ている者や15万人を超えたとされる同国の留学生も、「有事」発生時点での動員対象になります。
北海道喜茂別町にある中国語で書かれた中国人専用ゴルフ場の看板
さらに、後者の一時的渡航者、留学生の中から絶えない「法律上は日本に存在していない」はずの不法残留(オーバーステイ)者や、さらには、数値ではその掌握が測りかねる不法滞在者(密航者)もその例外ではないのです。

さて、これらの在留華人の多くが、二重国籍者になったらどういうことになるでしょうか。小さな地方自治体などであれば、中国が国防総動員法をこれらの二重国籍者に発動したらどいうことになるでしょうか。

中国と日本との二重国籍者であれば、日本人としての権利・義務を有しながら、中国の国防動員法にも従わなければならないです。

二重国籍者であるということから、日本人でありながら、中国人でもある多くの人間が、どこか地方の町や村に多く集結すれば、実質上その町や村を乗っ取ることだって可能ではありませんか。もし中国が意図的に、数百万もの中国人を日本に送り込み、中国国籍を持ったまま日本の国籍を取得させたらどうなりますか。

こんなことを考えると、一般人の二重国籍者についても、何らかの措置が必要になるのは当然のことです。

二重国籍問題は、軽々に考えるべきではありません。二重国籍問題というと、蓮舫氏個人のことばかりが、問題にされますが、この問題はその低次元の問題ではありません。場合によっては、日本の存亡の危機につながりかねない重大な問題です。

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