2017年5月24日水曜日

アベノミクスは初心に帰れ デフレ転落阻止に不可欠な追加金融緩和と積極財政策―【私の論評】量的金融緩和、積極財政のためにも今こそ国債を刷り増せ(゚д゚)!


グラフはブログ管理人挿入 以下同じ
内閣府が発表した今年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値(1次速報)は、実質で前期比0・5%増、年率換算では2・2%増と5四半期連続のプラス成長となった。一方で名目GDPは前期比0・0%減、年率で0・1%減と5四半期ぶりにマイナスだった。これらの数字から何が読み取れるだろうか。

 実質成長率は民間予想を上回っていた。内訳をみると、民間最終消費0・4%増、民間住宅0・7%増、民間企業設備0・2%増、政府最終消費支出0・1%増、公的固定資本形成0・1%減、輸出2・1%増、輸入1・4%増であった。

 名目成長率についても、内訳をみると、民間最終消費0・2%増、民間住宅1・4%増、民間企業設備0・7%増、政府最終消費支出0・1%増、公的固定資本形成0・3%増、輸出5・0%増、輸入7・9%増であった。消費者物価と卸売物価を合わせた全体的な物価を示すGDPデフレーターは前期比でマイナス0・6%、前年同期比でマイナス0・8%だった。

 筆者がいつも注目しているのは、GDPデフレーターの前年同期比の推移である。この数字は1995年頃からほぼ一貫してマイナスであった。つまり、この数字こそ、デフレの正体を映し出しているといえる。しかし、アベノミクスが本格的にスタートした翌年の2014年1~3月に0・4%とプラスに転じると、15年1~3月期には3・3%まで上昇した。その後は再び低下し、16年1~3月期には0・9%と1%を割り込み、16年7~9月期にはマイナス0・1%と再びマイナスになった。そして今年1~3月期はマイナス0・8%と、かつてのデフレ時代に逆戻りしたのかと錯覚するような数字である。


 15、16年度をみると、実質、名目ともに公的需要(政府最終消費支出、公的固定資本形成等)が伸びていない。それぞれの年度の公的寄与度は、実質で0・3%、0%、名目で0・3%、マイナス0・1%となっており、財政要因が足りないことを意味している。

 14年4月の消費増税によって、14年度の経済は消費が痛めつけられた。その後、15、16年度は財政支出が伸び悩んでいることの余波を受けてなかなか浮上できない状態だ。

 こうした経済状況でどのような政策が必要だろうか。まず、金融政策では、あと一歩の金融緩和をすれば、人手不足感がいっそう強まり、賃金上昇の動きがさらに高まる。そうなれば、物価はそれを追うように上がっていく。

 筆者が、これ以上下がらない構造的失業率と考えるのは2%台半ばであるが、今一歩なので一層の金融緩和が必要である。二十数年間のデフレマインドは払拭しがたいので、日銀はもう一歩踏み出すべきである。

 それとともに、財政出動だ。本コラムで何度も指摘しているが、今の日本の財政状況は、すでに危機を脱している。ここは積極財政の出番である。アベノミクス当初の13年度は財政政策も金融政策も良かったが、14年度以降は、財政政策が景気の足を引っ張り、デフレ脱却の芽を摘んできている。ここは、13年度のような積極財政が必要だ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】量的金融緩和、積極財政のためにも今こそ国債を刷り増せ(゚д゚)!

今回のGDPでは、個人消費が0.4%増と、押し上げの立役者となりました。しかし、比較対象の16年10~12月期は、天候不順による野菜価格の高騰などで消費が振るわなかった時期です。

確かに、昨年のこの時期は、野菜が高騰していました。スーパーマーケットで野菜の値札を見て、うんざりしたいる人も多かったことでしょう。昨年8月末以降の天候不順の影響を受けて、野菜の価格が高騰していました。農林水産省による野菜5品目(キャベツ、レタス、タマネギ、キュウリ、トマト)の小売価格動向調査によると、10月24日〜26日の全国平均価格(キログラムあたり)は、平年比でレタスが2倍、キャベツが83%増、キュウリが63%増と軒並み平年を上回っていました。ただし、年末あたりには収まっていました。

農林水産省による野菜5品目(キャベツレタス、タマネギ、キュウリ、トマト)の小売価格動向調査
生鮮食品の価格高騰が落ち着いた今回は反動で増えた側面があり、力強い回復を裏付けたわけではありません。人手不足で雇用情勢は改善しているのですが、足元で実質賃金が伸び悩んでおり、消費に結びついていないとみられます。

消費者の厳しい懐事情を反映してか、大手スーパーなど一斉に生活必需品の値下げに踏み切っていて、一部商品の値上げも相殺し、節約志向からデフレ再来の芽もあります。GDPプラスも、物価上昇目標の2%に遠い状況で、4~6月期プラスとなるのか、注目です。

4月から電気料金や保険料などが値上がりする一方、大手スーパーやコンビニなどでは値下げの動きも活発化しています。

小売り大手のイオンは4月中に大手メーカーの食品や日用品など239品目、プライベートブランド商品15品目を値下げします。値下げ幅は平均10%程度ということです。4月は電気料金や保険料などの値上げが相次いでいますが、イオンのスーパーを運営するイオンリテールは「消費者の購買頻度が高い商品を値下げすることで、生活応援を目指したい」としています。また、セブン-イレブン・ジャパンでも今月19日から、洗剤など61品目を値下げする予定だということです。

イオンリテールは、この春、一部の食品や生活雑貨を
値下げした=千葉市美浜区のイオンスタイル幕張新都心
このような状況では、やはりブログ冒頭の記事で高橋洋一氏が主張しているように、失業率が2%台半ばになるまで、量的金融緩和を実施し、さらに政府は積極財政をするべきでしょう。そうして、財源はあります。

ブログ冒頭の記事では、「今の日本の財政状況は、すでに危機を脱している」と掲載していました。そうです、これについてはすでにこのブログでも昨年の時点で今年の予測をあげていて、統合政府(政府と日銀をあわせたもの)ベースでは、今年は統合政府は赤字どころか、黒字になっているはずです。これは、よほどのことがない限りそのようなことになっているものと考えられます。

高橋洋一氏もいずれそのような資料を出すでしょうが、このブログでもいずれ出したいと思います。

さて、以下に統合政府ベースの負債の推移や17年度の予想を掲載した過去の記事のリンクを掲載します。
蓮舫氏が語る経済政策 実行されたなら景気低迷で雇用改善はブチ壊し―【私の論評】財政再建はすでに終わっていることを知らない民進党に先はない(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から統合政府純債務残高の推移のグラフを掲載します。



このグラフから日銀の金融緩和政策の国債の買い入れによって、純債務残高が、2014年度でも政府純債務GDP比は35%まで減少していたことがわかります。

さらに、下のグラフは、統合政府の債務残高の予測まで含めた推移を示したものです。



日銀が国債を買えば買うほど統合政府の政府純債務は減ります。

日銀の年80兆円の国債買い入れペースだと、2017年度には純債務から、純資産になるため、財政再建は完璧に終了することになります。

この計算過程や、計算の元となったデータなどについて知りたい方は、是非ともこの記事をご覧になって下さい。

このように、統合政府ベースでは、借金は過去数年でどんどん減っており、しかも今年からは借金はなくなるどころか、政府は債権(お金を貸しているということ)のほうが多くなるわけです。

であれば、財務省が主張するように増税をする必要はまったくなく、積極財政をするために国債を刷りましたとしても、何の悪影響もないわけです。

市場性国債だけでみても、統合政府バランスシートの左側の「資産」には日銀保有国債が411兆円あります(16年12月末現在)。

ということは、実際に市中にある国債残高は592兆円となります。日銀の公表している資金循環勘定から推測すると、銀行200兆円、保険会社230兆円、公的年金50兆円、海外部門100兆円、その他10兆円程度とみられます。

このうち、保険会社と公的年金の計280兆円はポートフォリオ構成上なかなか売却できません。銀行の200兆円も銀行の流動性を確保するためにも売却は困難になっているのです。ということは、海外部門の100兆円くらいしか売買に応じるところはありません。しかも、「有事の円買い」によって、日本国債は海外部門にも人気があります。何といっても統合政府バランスシートの純債務がほぼゼロという日本政府の財務の健全性が背景にあります

その結果、長期国債金利は、ほぼゼロで、国債価格は高値で取引されています。一部の論者が繰り返し予想したような暴落はまったく外れで、現実は真逆の高値です。これまでにも「国債暴落本」は数多く出されているのですが、財政健全化とともに、国債が品不足になっているのが現実で、暴落論は全て的外れでした。

こうした状況下で政府が行うべきことは、デフレ脱却や教育など投資効果の認められる分野で将来に向けた投資を行い、その財源として国債を発行することです。ゼロ金利で、市場では国債が品不足ということは、国債発行を市場が求めているわけです。

実際、今年の3月には、日銀が市場に流れるお金の量を調節するオペレーション(公開市場操作)で「異例の一手」を繰り出しました。約8年ぶりに「国債売り現先オペ」という手法を使い今年の3月24日、約1兆円もの国債を市場に供給しました。これは、国債不足が「飢餓状態」にまで達していることを如実に映し出しています。

経済音痴の人々は、これに対して、市場の国債不足は日銀自身が金融緩和のため「国債を買いすぎた」ことに根本的な原因があるなどと珍妙な理屈を述べていますが、ではなぜ国債の金利は下がり続けているのでしょうか。それは、市場が国債を求めていることを示しているということです。

とにかく、まだ完璧にデフレから脱却しきっておらず、下手をすればデフレにまた舞い戻りそうな現状では、日銀はさらなる金融緩和を実施すべきですし、政府は積極財政をすべきです。そうして、積極財政のための財源には今こそ、国債をあてるべきなのです。

そうして、国債は、将来世代へのつけなどという輩は単なる経済音痴です。上記のようなことを理解できず、財務省のレクチャーを単純に信じるからそのようなことになるのです。

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2017年5月23日火曜日

高須克弥院長が「蓮舫の戸籍謄本をGET可能に」のネット記事をツイートして大反響―【私の論評】高須院長は保守の新たな戦い方を示している(゚д゚)!


2017年5月23日 18時30分

ガジェット通信



先日、ガジェット通信では
高須克弥院長が民進党・大西健介議員と蓮舫代表を提訴の意向! 大西議員が高須クリニックのCMを陳腐と発言
http://getnews.jp/archives/1743824[リンク]
という記事をお伝えした。

「YES!高須クリニック」のCMでおなじみ高須クリニックの高須克弥院長が、民進党の大西健介衆議院議員と蓮舫代表を名誉毀損で提訴。各メディアで大きく報じられた。その高須院長(@katsuyatakasu)が5月22日、『netgeek』の

「訴訟を起こした高須克弥院長、蓮舫の戸籍謄本をGET可能に。これが狙いか」

という記事をツイートし、更なる話題を呼んでいる。

記事では、高須院長が蓮舫代表を提訴するにあたり戸籍謄本の開示請求を行う可能性について言及。未だにネット上では蓮舫代表の国籍問題がくすぶっており、高須院長のツイートには

「マジ天才かこの人。」
「この記事をご本人がツイートされる という事は、、、マジすか?www」
「Oh~~~ Nice,高須クリニック!!」
「高須クリニックならぬ高須テクニック」

などなど、数多くの返信が寄せられ大反響。数多くの応援コメントも寄せられていた。
今後しばらくは、高須院長のツイートにこれまで以上の注目が集まるであろう。

【私の論評】高須院長は保守の新たな戦い方を示している(゚д゚)!

高須院長の裁判に向けての準備は着々と進んでいるようです。先日も「名誉毀損行為で民進党の大西健介衆議院議員(46)らを提訴した高須克弥院長(72)が22日、ツイッターで「yes!高須クリニック」を商標登録したと明らかにした。」というニュースがありました。

正確には「商標登録」ではなくて「商標登録出願」です。5月19日付けの出願だそうなので、登録は早くても数カ月先です。「高須クリニック」単独では既に商標登録されていますので、この出願もほぼ確実に登録されるでしょう。


商標登録出願の理由は上記記事中では「“yes○○クリニック”が高須クリニックだけに当てはまるものでないとする工作を防止するものと見られる」と書かれていますが、仮にこの出願が登録されたとしても、それは、その時点以降に他人が「yes!高須クリニック」と類似する商標を使えなくなるというだけの話であって、現時点で、“yes○○クリニック”の○○に当てはまるのは「高須」だけであるという主張にはあまり関係ないのではと思いますが、あまり突っ込んでもしょうがないのでやめておきます。

ただし、この事実がないよりもあったほうが、裁判では有利になると考えられます。少なくとも高須院長は「yes!高須クリニック」を商標であると考えていることを証明するための、ツールにな得るということはいえると思います。

それに、「yes!高須クリニック」は、昨日今日使い始めたというわけではなく、結構前から使用しているものです。だからこそ、大西議員も国会で事例として出したものと思います。以下に現時点での最新の高須クリニックのテレビCMの動画を掲載しておきます。



この機会に高須クリニック関係の商標登録関係(出願人が株式会社高須ホールディングスのもの)を調べてみました。前述のとおり、「高須クリニック」という名称そのもの、高須クリニックで提供されるいろいろな美容法の名称、そして、「♪たかーすクリニック」というサウンドロゴの音商標などががっちり登録されています。加えて、「高須克弥」という商標が美容サービス関連のみならず、被服、食品等広範な指定商品で登録されています。

自分の名前を商標登録するのは、自分の名前を営業標識として使う目的であれば特に問題ありません(たとえば、「イヴ・サンローラン」は人名が商標として使用されている例です)。

一般に、(法人ではなく)個人で商標権を所有する場合のデメリットとしては、訴訟になった時の費用が自腹になってしまう、公報等により個人の住所が世の中に明らかになってしまう等があると思いますが、高須氏の場合はどちらもたいした問題ではないということでしょう。

さて、このように並々ならぬ準備をして法定論争を準備している高須氏です。この法廷闘争で高須氏が、蓮舫氏の住民票や戸籍を取得できる可能性は、2chでは「戸籍謄本がとれるのは親族相続関係事件のときだけ」との意見もあるのですが、取得できる可能性はあります。

以下に取得できる場合と、できない場合を掲載します。

取得できる場合
法的な権利があって、それをいますぐ行使しないといけないとき
法的な義務がって、それをいますぐ履行しないといけないとき
国や地方公共団体に出さないといけないとき
所得できない場合
単に調べたいとか,興味があるとかいうだけ
嫌がらせしたり、プライバシーを暴こうという不当な目的でする(当然)
権利があってもまだ弁済期が来てなくて法的に請求できないとき
取れるケースに当てはまっていても,役場に身分証明を持っていかないとき
取れるケースに当てはまっていても,疎明資料(権利があると分かってもらう資料)がなく、ちゃんと役場に伝わらないとき
これについて、詳細を知りたい方は以下のサイトをご覧になって下さい。
戸籍や住民票を他人が取れるケースについてレクチャーするよ!
裁判闘争において、高須氏側が、裁判官を「取得できる場合」であることを納得させることができれば、蓮舫氏の戸籍を取得できる可能性もでてくるということです。

高須院長は過去において、裏切り者を10年かけて潰した経験があるそうです。それは、『ダーリンは70歳』というコミックに掲載されています。そのコミックから以下に一部を引用します。




人として筋を通さず、高須院長を潰そうとした者共を全員きっちり潰すのに10年もの年月をかけたということです。

このような高須院長を敵にまわした、大西議員、蓮舫代表、民進党は今頃戦々恐々としていることでしょう。

今回の訴訟そのものに関しては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その中で、その中で高須氏は今回の訴訟の動機を以下のように述べているることを掲載しました。
「謝罪を求めたかったが、裁判では金額しかないというので、1千万円を求める。大西氏は党を代表して質問した。党首もOKしているはずだ。民進党が攻撃だけで好き勝手言っていて、自民党が応戦一方で反撃しないから、国会での発言が言いたい放題なことに前から怒っていた。庶民でも怒れる、対応ができるのだと伝えたい」
 この発言を読んでいると、高須克弥院長は単なる私憤だけで、大西健介民進議員と蓮舫代表を訴訟をするのではないと思います。国会での民主党議員らの無責任な"言いたい放題"による事実上の審議妨害を封じようとの意図があるのだと思います。

しかし、国会議員による国会での発言は免責になるということで、この訴訟は負けと見る人が多いようです。実際、サイトなどの情報では、高須院長が求める損害賠償や謝罪広告の請求を裁判所が認める可能性はきわめて低く、裁判上の勝ち目は薄そうです。にもかかわらず、高須院長が提訴に踏み切った狙いはどこにあるのでしょうか。

その最大の目的は「美容業界には怪しい業者や怪しい広告が多い」という風評をはっきり否定し、高須クリニックは違法なことも、不当なこともせず正しい医療行為を正々堂々と行ってきたことをアピールすることにあると見られます。

何も声をあげずに黙っていると、「大西議員の言い分を認めたのではないか」と誤解されるリスクがあります。一方で、「提訴する」という姿勢を見せれば、少なくとも高須クリニックは真っ当に営業しているという印象を与えられるでしょう。さらに、高須院長がそこまで計算していなかったとしても、世論を味方につけ、テレビやネット上で大きく取り上げられることで、CMを放映するのと同じようなPR効果まで期待できる可能性すらあります。

普段の高須院長のツイートなどを見ていて思うことですが、今回の一件は、誰でも簡単に特定できる個人・企業が、国会において無責任な発言や批判の対象になることへの警鐘も目的だったとも考えられます。しかし、すでに世論が高須院長についてるのは明らかなので、たとえ裁判に負けても勝負には圧勝しててるということになると思います。もし、蓮舫代表の戸籍が入手可能ということにでもなれば、裁判などは関係なく、大勝利ということになります。

それから、今回の裁判に訴えるというやり方は、日本の保守層の戦い方へ一石を投じるのではないかと思います。

今まで、日本では民進党が事実上の国会審議の妨害を行おうとも、それを防ぐ手立ては全くないように思われてきました。特に、国会議員でもない一般人には何もできないかのように思われてきました。

しかし、今回のように裁判所を利用するということであれば、一般の人でもできます。たとえ、高須院長のように資産家ではなくても、大人数の訴訟端を組織すれば、個人的負担も少なくてすみます。

高須院長の「民進党が攻撃だけで好き勝手言っていて、自民党が応戦一方で反撃しないから、国会での発言が言いたい放題なことに前から怒っていた。庶民でも怒れる、対応ができるのだと伝えたい」というのは、このことを示しているのではないでしょうか。

国会で悪質な審議妨害をする民進党
日本では民進党などが政局のために国会でたとえば森友問題や、家計学園問題のように何が問題であるかも定かでないようなことを国会で発言して、野党は政局のためなら、何を言っても許され、さらに、そのために審議が遅れても、審議拒否しても許されるというような悪い風土が醸成されてきました。

それも、常識の範囲ならまだ許されますが、最近の民進党など常軌を逸しているうえに、国会審議ではまともな政策論争をせず、とにかくピントの外れた政局論争に終始しているありさまです。

前から、保守派が裁判に訴えるということは一部では行われてきましたが、今回の高須院長のやり方は違います。狙いがどこにあるかは、別にして、あくまで自ら運営する病院に対する名誉毀損に関して、国会議員と野党党首を直接訴えるもの、場合によっては国を訴えるものです。NHKを訴えるなどのこととは、一線を画しています。

これは、普段は政治などの表舞台からは遠いと感じている保守層の一般の方が、国会で自分に直接関係あることで、名誉を毀損されたと感じ、それが多くの人の賛同を得ることができれば、裁判を起こすことも可能であると勇気づけることになるのではないでしょうか。

その意味で、高須院長は保守の新たな戦い方を示しているともいえると思います。言論やデモだけでは、何も変わりません。高須院長のように実行動をすることが、世の中を変えます。高須院長は、それを身をもって世の中に示そうとしているのです。これから、長丁場の裁判を戦い抜けば、私憤を晴らすだけではなく、日本の政治を変えることにもつながるかもしれません。

さて、この裁判の行く末はこれからも見守っていきたいと思います。いずれにせよ、高須院長は最高裁まで戦い抜くと宣言しています。彼なら、必ずやることでしょう。

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2017年5月22日月曜日

落合信彦氏 「プーチンは戦争したくて仕方がない男だ」―【私の論評】ロシアによる小さな戦争はこれからも起こる(゚д゚)!

落合信彦氏 「プーチンは戦争したくて仕方がない男だ」


アメリカと北朝鮮による武力衝突が懸念されているが、「朝鮮有事とともに脅威となっているのは、米ロの衝突が起きること」と指摘するのは、ジャーナリストの落合信彦氏だ。

                 * * *

 昨年秋に上梓した『そして、アメリカは消える』で指摘したように、プーチンは戦争したくて仕方がない男だ。

 プーチンは2014年にクリミア半島を略奪し、ウクライナと戦争を起こした。さらに、アサドをIS(イスラム国)の攻撃から防ぐという口実をつけて、シリアに介入した。あの男は、自分が世界の覇者だと考えているのだ。

 米軍のミサイル攻撃は、シリアでの米ロ衝突につながる可能性がある。トランプとプーチンというまともではない指導者のことだから、それが全面的な戦争に発展することさえ懸念される。


 クリントン政権で国防長官を務めたウィリアム・ペリー氏も一昨年の講演で、「アメリカとロシアの間で核戦争が起きる可能性が大きい」と語っている。ペリー氏の主張が、信憑性を増してきたのだ。

 プーチン自身も、ISによるテロの脅威に晒され始めた。4月3日にサンクトペテルブルクの地下鉄で起きた爆弾テロに、プーチンは大きな衝撃を受けたはずだ。テロはプーチンのサンクトペテルブルク訪問中に起きた。容疑者はキルギス出身で、ISとの関係が取り沙汰されている。

 ロシアでは今、多くの若者がISの影響を受け、シリアなどでISと接触してテロの方法などを訓練された後、帰国していると言われる。爆弾を持った不満分子が多数いるという状況だ。サンクトペテルブルクで起きたようなテロは、ロシア国内で今後も繰り返されるだろう。

 経済が落ち込み、国民がテロに怯える中で、プーチンが批判の矛先をずらすために戦争を始める可能性は、十分ある。いま世界は、あちこちで戦争に向かう動きが加速しているのだ。

 ※SAPIO2017年6月号

【私の論評】ロシアによる小さな戦争はこれからも起こる(゚д゚)!

最近では、中国への対抗軸の一環として、ロシアも仲間に引き入れるべきという意見も聴かれます。私自身も、それに関してこのブログに掲載したこともあります。しかしながら、ロシアという国は一筋縄ではいかないことも十分認識すべきです。

それについては、以前このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍首相と米露のバトル口火 TPPは“トランプ版”に衣替え、北方領土はプーチン氏と論戦に―【私の論評】日米は、中国の現体制と、ロシアの中のソ連を叩き潰せ(゚д゚)!
この記事は、昨年の11月10日のものです。詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事からロシアという国を示した部分を引用します。
現代ロシアを理解するうえで大切なことは、ロシアとソ連は宿敵だということです。ロシアを乗っ取ってできた国がソ連なのですから、両者を一緒くたに考えるべきではありません。

エリツィンは現在では単なる酔っ払いとしか評価されていないのですが、間違いなくロシアの愛国者でした。そのエリツィンから大統領の地位を禅譲されたプーチンがやっていることは、ソ連邦の復活であり、ロシアに対する独裁です。
ロシアの愛国者エリツィン氏
プーチンが日本文化に詳しいから交渉しやすいなどという甘い幻想は捨て去るべきです。ロシアはそれほど単純な国ではありません。例えば、2002年にアレクサンダー・レベジというロシアの政治家が死にました。

彼はロシアの自由化を進め、チェチェン紛争の凍結にも尽力した人物です。NATOや日米同盟にも融和的でした。何より、近代文明とは何かを理解し、実行しようとしました。

ロシア史のなかでも、一番の真人間と言っていい存在です。しかし、彼の末路はヘリコプター事故死です。ロシアではなぜか、プーチンの政敵が『謎の事故死』を繰り返します。このレベジについてなんら言及せず、『プーチンは親日家だから』などと平気で言っているような輩は、間違いなく馬鹿かロシアスパイです。
アレクサンダー・レベジ
しかし、無論プーチンに限らず誰にも様々な面があります。どんな物事にも良い面もあれば悪い面もあります。『誰が善玉で誰が悪玉か』という子どものような区別の仕方はすべきではありません。 
ロシアを支配しているのは、徹底した『力の論理』です。自分より強い相手とはケンカをせず、また、自分より弱い相手の話は聞かないというものです。

日本からの投資などで、ロシア側の姿勢を軟化させ北方領土問題を一歩でも進めよう、などという声もあるようですが、話を進める気のない相手に交渉を持ち込んだところで、条件を吊り上げられるのがオチです。

そもそも、戦争で取られたものは戦争で取り返すしかない、というのが国際社会の常識です。力の裏づけもないまま、話し合いで返してもらおうなどと考えている時点で、日本は甘すぎます。これは、それこそ子どもの論理と謗られてもしかたありません。 
これは、プーチンとメドヴェージェフの役回りを考えてもわかります。子分が大袈裟に騒ぎ立てたところへ、親分が『まあまあ』と薄ら笑いで入ってくるのは、弱肉強食のマフィア社会などでは常套手段です。にもかかわらず子どものままの日本は、プーチンの薄ら笑いを友好的なスマイルだと勘違いしてしまっています。要するに、マフィアの社交辞令を真に受けているわけです。
プーチンとメドベージェフ
そもそも、多くの日本人はロシアを知らなさすぎます。ウクライナの問題にしても、ロシアの歴史を知っていれば『またやってるよ』で終了です。『アメリカの影響力の低下』を論じる向きもありますが、そもそも、旧ソ連邦であるウクライナ、とくにクリミア半島に欧米が手出しできるわけがありません。メキシコにロシアが介入できないのと一緒です。

これは、世界の通史を知れば国際社会の定跡が学べ、おのずと理解できることです。そうして、文明国として、日本が強くなるべき理由やその方法も理解できるはずです。

プーチン大統領にとって、ウクライナはあくまで自分たちの持ち物です。元KGBである彼の故郷はロシアではなくソ連邦なのです。ウクライナを狙うのは、彼が旧ソ連を取り戻そうとする行為の一環なのです。

プーチンは故郷であるソ連邦の歴史をムダにしたくないし、ソ連の崩壊が敗北だったとは決して認めたくないのです。例えばプーチンは、ガスプロムという天然ガスの企業を使って、ロシア人から搾取を続けています。

かつてイギリスが東インド会社でやっていたような植民地化を自国で行っているわけです。この事実だけ見ても、彼がロシアの愛国者ではなく、ソ連への忠誠心が高いと見ていいです。
ソ連の愛国者プーチン
北方領土へのミサイル配備や担当大臣拘束という一連の動きは、北方領土・日露平和条約交渉を妨害しようというプーチンの意図の表れです。 
日本としては、米国と貿易交渉で徹底的にケンカをして、ロシアのプーチン幻想など捨て去り、米国と共同しつつ、何十年かけてもロシアの中のソ連をぶっ潰す、中国の現体制をぶっ潰すことを念頭においた外交を展開すべきです。 
さて、ロシアという国の実情がおぼろげながらでもご理解いただけたものと思います。さて、次にプーチンの人柄を以下に説明しようと思います。

プーチンの人柄を知る上で、絶対に忘れてはならないことが1つあります。それは、奴は自分にとって脅威となる政敵はことごとく暗殺する性癖があるということです。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
邪魔者は殺す プーチン大統領のデスノート―【私の論評】プーチンは、生かさず殺さず利用することが我が国の目指すべき道(゚д゚)!
ウラジーミル・プーチン
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に過去のプーチンによるものとみられる暗殺に関して引用します。
 超大国ロシア復権を目指すプーチン大統領は、政権に批判的な者を露骨に排除してきた。ロシア・旧ソ連圏の安全保障に詳しい軍事アナリストの小泉悠氏は、「ロシアの恐怖政治は今後も続く」と見ている。  
 * * * 
 2015年2月27日、ある男がモスクワ中心部の橋で4発の銃弾を浴びて死亡した。男はロシアの野党指導者ネムツォフ。反プーチンを掲げて大規模デモを開催する2日前の暗殺だった。後に当局は5人を逮捕したが「黒幕」は不明のままだ。
暗殺されたとみられる野党指導者ネムツォフ氏
 プーチンという男を批判する者の不可解な死は今に始まったことではない。
 有名な例が、プーチン政権誕生の鍵を握る事件を追及していたジャーナリストのポリトコフスカヤだ。 
 1999年、ロシア3都市のアパートが連続爆破され、約300人が死亡した。当時、ロシア首相のプーチンはチェチェン独立派武装勢力のテロと断定して報復攻撃を開始した。決断は国民に広く支持され、大統領に上り詰める基盤となった。 
 だが、後に同型の爆弾を仕掛けた不審者がロシアの諜報機関と関係していた事実が発覚。ポリトコフスカヤは、アパート爆破はチェチェン侵攻の口実が欲しいプーチンの「自作自演」ではないかと追及した。
暗殺されたとみられるポリストフスカヤ氏の葬儀
 そして彼女は標的となる。2004年のチェチェン武装勢力による中学校占拠事件を取材する際、現場に向かう機内で提供された一杯の紅茶を飲んで意識を失った。彼女は紅茶に毒を盛られたとして、「ロシア当局による毒殺未遂」だと主張した。 
 奇跡的に一命を取り止めたが、2006年10月7日、モスクワ市内にある自宅アパートのエレベーター内で射殺された。全容は不明だが、この日はプーチン54歳の誕生日であり、暗殺は「最大の贈り物」とされた。 
 3週間後、彼女と同様にロシア政府の関与を追及していた元KGB(ソ連国家保安委員会)のリトビネンコが亡命先のロンドンで体調不良を訴える。髪の毛が抜け、嘔吐を繰り返した彼は、やつれ果てた姿で死亡した。
病気の治療を受けていたリトビネンコ氏
 死体からはロシアで独占的に製造される放射性物質のポロニウム210が検出された。後に英国の調査委員会は、暗殺にロシア政府が関与しており、少なくともプーチンの承認を得ていたと結論づけた。 
 KGBには「チェキスト(情報機関員)は死ぬまでチェキストだ」との鉄則がある。KGB出身のプーチンにとって、西側に魂を売ったリトビネンコは、「許されざる裏切り者」だった。
これらの暗殺は、無論プーチンは認めてはいません。しかし、これだけ都合よく政敵が倒れるのですから、これは推して知るべき筋合いのものです。

しかしながら、そもそもプーチン氏とはどんな人物なのでしょうか。氏を動かす要因とは何なのでしょうか。氏が信じる価値とは何か。こうした事柄について、北海道大学名誉教授の木村汎氏の著書『プーチン人間的考察』『プーチン内政的考察』(いずれも藤原書店)は、合わせて1200頁余、木村氏のロシア及びプーチン分析では他の追随を許しません。


プーチン像を、木村氏は「人誑(ひとたら)し」という言葉で鮮やかに表現しました。プーチン氏は父親同様、ソ連(ロシア)の情報要員、つまりスパイとして働くべく、KGB(旧ソ連国家保安委員会)に勤めたのですが、チェキストと総称される彼らに叩き込まれるのは、「人間関係のプロフェッショナル」になることだと、これはプーチン氏自身が語っています。
 
ロシアの名門紙「コメルサント」の女性記者、エレーナ・トレーグボワは、プーチン氏とは「絶対的に対立し合う立場」だったが、プーチン氏は、「彼と私があたかも同一グループに属し、同一利益を共有しているかのような気分に」させてしまうと振り返っています。
把瑠都(右から二番目)とエレナ・トレクボワ(右)
木村氏はさらにジョージ・ブッシュ前米大統領が如何に「めろめろ」にされたかも描いきました。反ソ、反露主義のブッシュ氏は、大統領就任後、なかなかプーチン氏に会おうとしなかったのですが、2001年6月16日、とうとう会談しました。そのときプーチン氏は、幼いときに母親から貰った十字架を見せて、マルクス主義の下でロシア正教の信仰が禁止されていた少年時代に、母親の計いで洗礼を受けた体験を、ブッシュ氏に静かに語ったそうです。
 
ブッシュ氏は明らかに心を動かされ、次の言葉を残している。「私はこの男(プーチン)の眼をじっと見た。彼が実にストレートで信頼に足る人物であることが判った」。

プーチン(左)とブッシュ(右) 
英国人ジャーナリストのロックスバフ氏は、「ブッシュは、プーチンの釣針に見事に引っ掛った」と評しましたが、木村氏はこの人誑しイメージとは異なる別のプーチン評も紹介しています。

「プーチンは自己(および家族)のサバイバルやセキュリティを何よりも重視し、この目的達成を人生の第一義にみなして行動する人間」(プーチンの公式伝記『第一人者から』の執筆者)であり、プーチンの胸深くには、「己が何が何でも・サバイバル・せねばならないという欲望が、一本の赤い糸のようになって貫いている」と、断じています。
 
上半身裸で馬を駆ったり、釣りをする姿を、プーチン氏は好んで映像にとらせます。そこから連想されるマッチョなイメージとは正反対に、彼は「臆病すぎるほどの慎重居士」だと木村氏は見ています。


従ってプーチン氏はいかなる人間をも絶対的に信頼することはありません。常に複数の人間に保険をかけます。状況が動いているときにはとりわけそうです。
 
そのプーチン氏が権力保持のために注意深くコントロールしてきたのが、➀ロシア国民、➁反対派諸勢力、➂プーチン側近のエリート勢です。
 
➀は新聞・テレビなどのメディアを国営化し、人事をプーチン派で固め、自分に好都合な情報だけを報じることでコントロール可能です。ちなみに、2014年段階でロシア人の情報源は60%がテレビ、インターネットは23%にとどまります。
 
➁は上に掲載したように、苛酷で執拗で非情な手段を用いて、命まで奪いとることで押さえます。
 
最も手強いのが➂の側近による反乱、宮廷クーデターです。そのような事態が起きるとすれば、中心勢力は旧KGB関係者を含む「シロビキ」です。万が一にも反乱の可能性があれば、プーチン氏はその芽を摘みとります。それが昨年4月、関係者を驚かせた一大決定でした。プーチン氏が命じたのは国家親衛隊の創設でした。新組織は生半可なものではありません。そこに配置転換された人数は40万人、ロシア正規軍の約半分に相当する規模です。新組織の長にはプーチン氏の長年の柔道仲間で、「プーチン氏に最も献身的に尽くす人物」と評されるゾロトフという人物が選ばれました。

プーチン(前)とゾロトフ(後)
こうした中、昨年3月に行われた世論調査では、ロシア人の82%がプーチン大統領を支持し、同じく82%がロシアは深刻な経済危機に直面していると答えました。深刻な経済危機は為政者への批判につながるのが世界の常識だが、ロシアではそうなっていない。なぜなのでしょうか。
 
ロシア人は今日の食事に困っても、ロシアという「偉大な国家」が国際社会で存在感を示し、大国の栄光を回復するなら、精神的に満足するからだと解説されています。加えて、プーチン氏は経済的困難を外敵の所為にして、対外強硬路線を取って求心力を高め、自身への支持率上昇につなげています。クリミア、シリアなどとの「小さな戦争」は、ロシア国民のナショナリズムを呼び醒ます効果を生みます。米欧諸国はそれに対して対露制裁を強化します。するとプーチン氏は新たな小さな戦争を始めて国民のナショナリズムに訴えるのです。
 
完全な悪循環の中にあるのがプーチン大統領なのです。ブログ冒頭の記事では、落合氏は、「プーチンは戦争したくて仕方がない男だ」と評していますが、というよりは「小さな戦争をせざるを得ない、悪循環におちいつている」とみるべきなのでしょう。

現在のロシアは、最盛期の頃のソ連と比較すれば、国力は衰えました。現在では、米国と戦争などとてもできるような状況ではありません。米国抜きのNATO軍と戦ったとしても、今や勝ち負けを論じるようなレベルではありません。とても戦争を遂行できるだけの、軍事力も経済力もありません。

しかしながら、小さな戦争をする力はあります。これからも、クリミア、シリアなどとの「小さな戦争」を仕掛ける可能性は十分にあります。

中国・ロシア・北朝鮮の国境が接する、中国の琿春市。展望台にはロシア・中国・北朝鮮の国旗。
しかし、世界情勢はこれからもどうなるかわかりません。朝鮮半島においても、当然のことながら、プーチンは、機会をうかがっていることでしょう。多くの日本人は、意識していませんが、ロシアと北朝鮮は国境を接しています。

無論、ロシアが北朝鮮に攻め入るなどという単純な図式ではないと思いますが、現在の緊張がロシアにとって少しでも有利になるように、チャンスをうかがっているであろうことは、確かです。

世界は、プーチンの頭の中に、ソ連的なものがよぎるのを阻止し、そうして日本は何十年かけてでも、ロシアの中のソ連的なものを破滅させるべきなのです。

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2017年5月21日日曜日

民進党、お決まりの空騒ぎ 「加計問題」追及も現地視察門前払い、法務委では大騒ぎ―【私の論評】歴史は繰り返す!牛歩戦術で社会党はどうなったか?


「加計学園」獣医学部建設予定地を視察する今井雅人衆院議員(前列左)ら
民進党プロジェクトチームのメンバー=19日、愛媛県今治市
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)が、国家戦略特区に獣医学部を新設する計画をめぐり、民進党が国会で追及していた「文書」について、松野博一文科相は19日、「存在が確認できない」と発表した。現地視察では地元自治体関係者にも会えず、お決まりの「空騒ぎ」となりつつある。

民進党の「加計学園疑惑調査チーム」は同日、同学園が獣医学部新設を目指す愛媛県今治市の建設予定地を訪れた。現地では地元の市民団体から意見を聴取したが、視察そのものはフェンス越しだった。

また、視察に先立ち、愛媛県庁と今治市役所を訪問。説明を求めたが、それぞれ「担当者らが不在で対応できない」と告げられたという。

それでも桜井充参院議員は「森友学園問題とは性質が異なり、忖度(そんたく)ではなく、新設について首相からの直接の指示があったのではないか。とことん追及していかなければならない」と記者団に話した。

「総理の意向」をバックに内閣府が文部科学省に早期実現を迫ったことを示唆する「文書」の存在が確認できないと発表されたことについて、桜井氏は「(発表内容を)よく承知していないが、存在する信憑(しんぴょう)性は高いと思っている」と述べた。

「信憑性が高い」と主張するのであれば、自分たちで証明すべきだが、なぜかそこには踏み込まない。ある永田町関係者は「『第2の偽メール問題』を恐れているのだろう。自分たちで存在を証明できないような出処不明の文書を使い、国会の質問に立つ神経が信じられない」と述べた。

民進、共産、自由、社民の4野党の国対委員長らは同日、国会内で会談し、問題の「文書」をめぐり、衆院予算委員会で集中審議を求めることで一致した。もっとも、学部新設をめぐっては民進党の議員が熱心に各所に働きかけていたことが分かっており、党内の調査も必要となりそうだ。

テロ等準備罪に反対する国会前デモ参加者の前で
演説する民進党の蓮舫代表=19日午後、東京・永田町
 この日の午後には、衆院法務委員会で、「テロ等準備罪」の新設を含む組織犯罪処罰法改正案を可決した。そこでは「叫ぶ」「ヤジる」「アジる」の三拍子がそろった、おなじみの“民進党劇場”となった。

これまで民進党は緊迫した採決の場面では、議員がメッセージを書き込んだ「プラカード」を掲げ、大声を上げながら委員長席を取り囲むのがお決まりだった。

だが、世論受けが悪いことから今回はプラカードを取り出す議員はおらず、与党の賛成多数で同改正法案は可決された。

民進党のプラカードが見られないのは、ちょっと寂しい。

【私の論評】歴史は繰り返す!牛歩戦術で社会党はどうなったか?

民進党の加計学園問題に関する、行動は安倍総理や自民党に対する単なるイメージダウン戦略だとしか思えません。それを裏付けるような事実がいくつかあります、それを以下に掲載します。

まず第一に、民進党は過去に加計学園関与していて、学部新設を強硬に要求していたことがありました。それについては、以下の記事をご覧になって下さい。
民進またブーメラン、加計学園関与していた… 学部新設を強硬に要求「ぜひ実現してほしい」
獣医学部新設を要求していた民進党の高井議員(左)。右は蓮舫代表
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分のみ掲載させていただきます。
 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)が、国家戦略特区に獣医学部を新設する計画をめぐる「文書」が注目されている。民進党は、内閣府が「総理の意向」をバックに文部科学省に早期実現を迫ったか否かについて徹底追及している。だが、同党の若手議員も国会などで学部新設を強硬に要求していたのだ。これは、ブーメランではないのか。 
 「これは、ぜひ実現をしていただきたい」「(加計学園の)獣医学部の件も含めて、省庁がいろいろ抵抗することに対して、それを説得する役割が石破(茂)大臣(地方創生担当相=当時)じゃないか!」 
 この発言は「官邸の最高レベル」の意向を受けた与党議員のものではない。岡山1区を地盤とする民進党の高井崇志(たかい・たかし)衆院議員=比例中国=が、昨年4月26日、衆院地方創生に関する特別委員会で発したものだ。
高井氏は中国、四国地方の獣医師が足りず、地域によって偏っているとして、国家戦略特区を使って岩盤規制を突破するよう求めた。
さらに、民進党玉木議員が、獣医学部を新設する計画をめぐる「文書」に関して、違法ではないとの見解を示していたことも明らかになっています。それに関する動画を以下に掲載します。


この動画は、フジテレビ系『ユアタイム』に民進党・玉木雄一郎衆議院議員が出演。加計学園問題について話した音声と画像をまとめたものです。
動画内の4分過ぎあたりからの発言を以下にまとめます 
玉木議員「二日目私質問に立った際にはですね、この加計学園の事を聞こうと思ってましたが、朝日新聞の朝刊がその日、出る事は全く知りませんでした。 
で、私が聞こうと思っていたのはですね、その文書があるとか真偽がどうこうでは無くて、2015年の閣議決定、それが何かというと、その特区として認めるけれども、もう獣医師の定員は今もう十分足りてると、これは文科省・・・」 
別所哲也氏「ですからどこが違法性があるんですか?」 
玉木議員「言ってきましたから」 
別所哲也氏「どこに違法性があるんですか?この文書が見つかって、そして民進党としては何を」 
玉木議員「いや、違法性はですね」 
別所哲也氏「何を論点にされようとされてるんですか?」
玉木議員「2015年の閣議決定違反が行われてるかどうかです」 
別所哲也氏「2000?何ですか?」 
玉木議員氏「2015年6月30日に閣議決定が行われて、特区で認めるけれども、例えばですね、従来の大学では提供できないような教育をすると、言うような4つの条件が付されてるんですね」 
別所哲也氏「それが閣議決定されてると、その時点で何か違法性が発生するという事なんですかね」 
玉木議員「いや違法性ではありません。閣議決定違反がまずあるのかどうかと」
結局のところ、この文書が事実だとしても、違法性がないとのことを玉木氏は認めています。

それと、玉木氏は日本獣医師政治連盟から献金100万円(2012年)を受け取っています。既存の獣医師は新設大に反対です。

さらに、玉木氏の父親は獣医師であることを自身のブログで公開しています。そのブログのリンクを以下に掲載します。
http://ameblo.jp/tamakiyuichiro/entry-10897029715.html


そうして、民進党白石議員は、かつて今治に獣医学部を設置すべきことを訴えていました。これも自身のブログで明らかにしていました。
http://ameblo.jp/shiraishiyouichi/entry-10548862498.html

安倍総理がスピード感をもって岩盤を壊されたら既存の獣医師らは、文句をいいたくなるわけです。だから、玉木議員は過去の経緯など全く無視して、日本獣医師政治連盟の考えを利用して、今回の一連の加計学園問題を追求し、安倍総理や自民党のイメージ低下に利用しているということも十分に考えられます。

しかし、森友問題や、家計学院問題の国会での追求など、民進党にとっては断末魔の状況ではないでしょうか。これは、形を変えたかつての社会党の牛歩戦術と同じようなものではないでしょうか。

牛歩戦術(ぎゅうほせんじゅつ)とは、議会内での投票の際、呼名された議員が故意に投票箱までの移動に時間をかける行為です。牛の歩みのようにゆっくりと移動することからこの呼び名があります。日本の国会において少数派が議院規則の範囲内で議事妨害を行う手段の一つとして用いられました。

牛歩戦術の狙いは次の3つです。しかし牛歩のみによって妨害が成功した例は少ないです。
  1. 議場(議会が開かれている部屋)を一度出てしまうと、その議会が終了するまで議場に入れないという決まりがある(議場閉鎖)。このため、たとえば賛成派議員の中からトイレを我慢できなくなって、投票する前に部屋を出る議員が現れてくれれば、その分賛成票を減らすことができる。
  2. 午前0時、つまり日付が変わった時点で投票が終了していない場合は、その投票自体が無効になるという決まりがある。このため、議題の可決をある程度先延ばしすることができる。
  3. 法案は、国会の会期中に可決するか、継続審議の手続きを行わないと廃案となる。会期末まで牛歩を続ければ、理論上は廃案にできる。
第二次世界大戦の敗戦後、初めて議会に進出した日本社会党や日本共産党もまた、牛歩戦術を使うようにないました。日本国憲法が公布され、帝国議会から国会となってから、本格的な牛歩の最初は、野党時代の日本自由党が、大野伴睦の発案で行われました。自民党が政権を握っていた55年体制下では、日本社会党や日本共産党が得意とした戦術であり、その後の自公政権下でも民主党などが行うことがありました。

ただし、民主党は党としては行わず、議員個人の裁量に任せるという形を取っていました。一回の投票での最長記録は1992年のPKO法案採決阻止を目的とした下条進一郎参院国際平和協力特別委員長問責決議案での13時間8分です。

ちなみに、社会党が存続していたときには、この「牛歩戦術」を最も頻繁に行ったのは社会党でした。そうして、その社会党はこの最大の牛歩戦術をとった次の選挙では大敗を喫し、その後なくなりました。

衆院本会議場でのPKO協力法案の投票を真剣な表情で見守る傍聴人=1992年6月15日
上の写真は、衆院本会議場でのPKO協力法案の投票を真剣な表情で見守る傍聴人の写真です。傍聴人以外にも、当然のことながら、テレビなどで多くの国民がこれを見守りました。

その衆人環視ともいえる最中に、社会党は牛歩戦術という審議妨害活動を敢行したのです。社会党としては、自分たちは国民のために、努力している姿を見せたつもりだったのでしょう。そうして、次の選挙で多数の国民は、社会党に厳しい審判を下したのです。

このように国民から大ききな批判を受けた『牛歩戦術』。 今の民進党は、同じことをしています。 

彼らはここ数年、戦争法案というレッテル貼りや、森友学園問題、加計学園問題という論点が不明確な事で、安倍総理、自民党のイメージ低下を訴求しています。しかし、その根底は「牛歩戦術」と同じ議事妨害を展開しています。 

しかし、よく考えてみるべきです。『牛歩』のあと、当時、最大野党だった社会党はどうなったのか、ということを。 歴史は繰り返します。

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2017年5月20日土曜日

「9条は危険」米国大手紙が日本に憲法改正を促す―【私の論評】WSJの主張も利用し国内でまともな憲法論議を(゚д゚)!


フィリピン海を航行する米海軍原子力空母カールビンソン(手前)と海自護衛艦2隻
「日本の憲法9条は同盟国との集団防衛を阻止するため、日本にとって危険となりつつある」――。

 米国の大手新聞が最近の社説で日本の憲法9条を取り上げ、日本自身の防衛にとって危険だと断じ、改正を促した。

 このところ米国では、日米同盟の片務性という観点から日本の現行憲法への批判が出てきていた。そうした状況の中で、この社説は論点を憲法9条に絞り、現行の制約のままでは日本が中国や北朝鮮の軍事脅威に対処できなくなるから危険だとして改正を訴えた。

   「日本の憲法改正の論議は遅すぎた」
「ウォール・ストリート・ジャーナル」(5月8日付)は「日本の憲法の賭け」と題する社説を掲載した。

 ニューヨークを拠点とする同紙は米国で最大の発行部数を誇り、全米規模の販売網を持つ。インターネット版の読者数も新聞サイトとしては全米でトップを走っている。政治的には共和党寄り、保守志向とされるが、トランプ政権に批判的な論評も多く、政権側からたびたび非難を浴びてきた。

 5月8日付同紙の社説は、まず、安倍首相が最近、現行憲法を2020年までに改正したいと言明したことを取り上げ、「日本憲法は新しい現実に適合させるために刷新する必要があるという点で、安倍首相の改正への動きは正しい」と賛同する。そのうえで以下のような主張を述べていた。

・戦後の米国にとって日本に対する大きな懸念は、日本の軍国主義の復活を防ぐことだった。米軍の日本占領期に、ダグラス・マッカサー司令官の幕僚たちによって草案が作られた日本の新憲法は、9条で戦争を放棄し、軍隊の保有や「武力による威嚇または武力の行使」を禁じている。

・これらの禁止事項は、日本が民主主義国家となった以上、もう不要となった。だが、日本は米国の安全保障の傘下に避難していることに満足してきた。

・憲法9条は、もはや日本にとって危険になりつつある。なぜなら憲法9条の制約は、日本の同盟諸国との集団自衛を阻止するからだ。

・自衛隊は、日本が外部から直接的に攻撃された場合にのみ自衛を許されるという条項によって正当化されてきた。だが、今や北朝鮮の核兵器が日本や世界に対する脅威となった。中国も軍事力の行使範囲を拡大している。日本は自国が直接的に攻撃を受けていない状態でも、米国などとの共同の軍事行動に参加できる攻撃能力を持つ軍隊が必要となったのだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナルの社説は以上のように述べ、経済改革のための諸課題が後回しになる政治リスクがあるとしながらも、「日本の憲法改正の論議は今や遅すぎたくらいであり、その議論は日本にとって極めて健全である」と強調していた。

   明らかに変わってきた米国の態度

 日本が同盟相手である米国とともに集団的防衛活動に加われない問題については、トランプ大統領も大統領選中から「今の日米同盟では、日本が攻撃されたときに米国は助けるが、米国が攻撃されても日本は助けない」などと発言し、繰り返し批判してきた。

 民主党側からも同様の声が上がっている。今年2月、下院外交委員会のアジア太平洋小委員会の同党側筆頭メンバーのブラッド・シャーマン議員は、「米国は日本の尖閣諸島を守る必要はない。なぜなら日本は同盟相手の米国が攻撃されても助けようとはせず、憲法の制約をその口実にするからだ」と述べ、日本の憲法の制約を「不公正」だと非難した。

 このように米国では最近になって、日本の憲法9条の規定が日本の集団防衛活動を阻み、日米同盟を一方的にしているという批判が広まってきた。

 これまで、憲法9条の規定が日本の防衛にとって、さらには日米同盟の機能にとって「危険」な障害になっていると断じる意見はほとんどみられなかった。だがここに来て、ウォール・ストリート・ジャーナルが社説で日本の憲法9条を正面から取り上げて「危険だ」と断定したことは、米国の日米同盟や日本の防衛努力に対する態度が根本から変わってきたことの反映だと言えそうだ。

【私の論評】WSJの主張も利用し国内でまともな憲法論議を(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事のように、米国では憲法9条の規定が日本の防衛にとって、さらには日米同盟の機能にとって「危険」な障害となっているという意見がみられるようになったのは当然といえば当然です。

しかし、私としては、現行の日本憲法典の字面を変えるという改正は絶対に望ましいことではないと思います。このような継ぎ接ぎではなく、全面改訂というか新憲法制定が望ましいことだと思います。

これについては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。
【参院予算委】安倍晋三首相が民進党に改憲案提出を要求 蓮舫代表は答えず… 首相批判に終始―【私の論評】土台が狂った日本国憲法典の字面を変えてもまともな憲法はできない(゚д゚)!

詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事では、憲法改正はGHQによってわずか1週間程度で草案された日本国憲法はそもそも土台が狂っており、日本国憲法の字面を変えるだけでは、まともな憲法はできないことを主張しました。
そうして、まともな憲法をつくるなら一度帝国憲法に立ち返ってそこから、新たな憲法をつくるということをしなければ、まともな憲法など永遠にできないと主張しました。 
以下に日本国憲法と帝国憲法の比較を示した表を掲載します。
大日本帝国憲法と日本国憲法の相違点
以上の表は、第日本国帝国憲法について若干の間違いはありますが、それにしても、この表からですら、そもそも日本国憲法は日本人のために作られたものではないことがはっきりわかります。 
さらに、大日本国帝国憲法制定時の世界水準で考えると、大日本帝国憲法は世界の他の先進国と比較して、かなり民主的でありあらゆる点で斬新で進んだものであったことは確かです。 
ただし、制定された時代は日本国憲法より遥かに古く、現状には即していない部分も多々あります。しかし、それでも日本という国ができときの経緯やその後培われた日本国の国柄を反映したものです。日本国憲法にはそのような内容は皆無です。 
だからこそ、本来の憲法論議をしようとした場合、日本国憲法の条文の字面を変えただけではまともな憲法にはならないのです。 
しかし、まともな憲法論議をするということになれば、少なくとも5年〜10年の時が必要です。そうなると、緊急を要する事柄に対しては、対応できないということも十分考えられます。
大日本帝国憲法制定の中心となった伊藤博文公
たとえば、自衛隊がそうです。自衛隊がすでに存在して、自衛隊員の方々が、場合によっては命の危険にさらされながら、我が国、我が国民を守ろうとしているときに、自衛隊は違憲だとか、法律違反ということにでもなれば、これこそ自衛隊員の方々に失礼なことであるし、自衛隊の方々の士気をくじくことになります。

そうして、教育の無償化も最近の日本の若者の姿をみれば、緊急を要する課題です。現在の若い世代は、将来の日本を担うわけですが、その若い世代がまともな教育も受けられないということにでもなれば、日本の将来は危ういです。

だから、このような緊急を要する、課題を克服するためには、日本国憲法典の字面を部分的変えるということもやむを得ないところがあります。

しかし、かつて伊藤博文が中心として10年もの年月をかけて、日本の国柄などを反映した憲法を草案しその後世界の伍することができたように、これからの日本の運命を左右する新たな憲法も、そのくらいの時間と手間が必要になるのはいうまでもありません。

安倍首相はまずは日本国憲法の部分改正をした上で、残り全任期をまともな憲法論議が日本でできるように雰囲気を醸成し、それだけではなく将来日本国憲法は完璧に葬り去り、新たな日本人による日本人のための憲法づくりができるように努力していただきたいものと思います。

戦後70年にもわたって、日本国憲法典の一字一句も変えることすらできなかったわけですから、憲法典に手が加えられたとしたら、それはそれで画期的なことです。 
安倍首相による憲法改正は、まともな憲法論議の始まりに過ぎないのです。これを契機にいずれまともな憲法を制定するための、偉大な一里塚とすべきなのです。
確かに、ウォール・ストリート・ジャーナルが主張するように、九条二項改正が急務だと思いますが、公明党の賛成を得られるとは思えず、かつ左翼とマスコミが猛反対し、国民投票で勝てるかどうか定かではありません。

であるならばまずはデフレ脱却に全力を傾け、現役世代の経済状態を改善することで安倍政権への支持を固めつつ、防衛費増加や領域警備法制定など現行憲法の枠内でできることに取り組むべきだと思います。

とはいいながら、「憲法改正という実績を作っておきたい」という意見もあります。その場合、「憲法改正は与野党の合意に基づいて行われた」という先例づくりを重視すべきです。

具体的には民主党やマスコミも反対できない改正、例えば「第七条の四 国会議員の総選挙」の「総」という誤植の削除に取り組む方法があります。この誤植すらながきにわたって変えることができなかったというくらい、日本では憲法改正はタブーだったのです。

私は憲法改正を切望しています。そのための理論的な準備と、国民的な支持が必要です。
そして、憲法改正のためには、衆議院または参議院法制局がその準備にあたるわけですが、そのお粗末な現実をどこまで皆さん、理解されているのでしょうか。

参議院と衆議院には、それぞれに法制局という機関があり、議員立法の作業のためのサポートを行っているのですが、参議院の法制局の職員は75名、衆議院の法制局の職員は84名しかいません。議員総数と比較すれば、その数の少なさが際立ちます。

しかも、法制局の職員は、各省庁からの出向職員です。これでは、独立した立法機関としての満足な立法活動が出来ません。

内閣にも法制局があるが、ここには36名の職員がいて、ホームページでは、職員名簿も公開されています。

一件少ないように見えるますが、法律案の原案作成は、各省庁の何万という職員で行っているわけですから、国会議員の環境とは桁違いです。

法律を作ったり変えたりするのが、国会議員の仕事だというのに、これはあまりにもお粗末です。議案の乱発を抑えるための方策なのかも知れないですが、国会議員には、選挙区の得票に象徴される国民の支持があるのであり、国民の信託を得ているのです。国会議員が立法をしやすいように、もっと手厚いサポートをするべきです。

そうして、何よりも、防衛費を国際標準のGDP2%にすることもできず、尖閣などの警備に海上自衛隊が平時から当たる任務を付与する領域警備法も制定することができない現状で、とても憲法九条改正などは困難だという認識です。

とにかく、高校生のサッカーチームがいきなりワールドカップに出場することなんて無理です。まずは経済を回復し、若者が将来に希望をもてるようにしていくことです。

そして、憲法九条改正のためには、憲法改正派の国会議員が全体の三分の二を占めるよう、地元議員を懸命に支えるとともに、九条改正を推進する憲法の専門家をせめて百人ぐらいは生み出すことです。残念ながら、現在の日本の憲法学者では全く役にたちません。本当に悔しいですが、こちらの陣営は、圧倒的に力不足です。

しかし、米国のウォールストリートジャーナルですら、「憲法9条は、もはや日本にとって危険になりつつある」と指摘するくらいに世界は変わっているのも事実です。

このような動きを利用して、日本でもまともな憲法論議をすすめていくべきです。

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2017年5月19日金曜日

安倍首相、慰安婦問題を門前払い 領土問題挑発にも怒りの言及 韓国特使と会談―【私の論評】七面倒臭い韓国とはもう付き合うな(゚д゚)!

安倍首相、慰安婦問題を門前払い 領土問題挑発にも怒りの言及 韓国特使と会談

文特使(左)と会談する安倍首相。文特使から聞くべき話はなさそうだ=18日午前、首相官邸
   安倍晋三首相は18日午前、韓国大統領特使の文喜相(ムン・ヒサン)国会議員と官邸で会談し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の就任を受け、「未来志向の関係を築きたい」「日韓合意を含む2国間関係を適切にマネージしていきたい」と語った。慰安婦問題に関する日韓合意の見直しを掲げる文大統領の願望を、事実上、門前払いしたことになる。韓国は特使派遣と並行して、領土問題で日本を挑発してきたが、安倍首相はこれにも断固抗議した。「極左・従北」とされる文政権に対し、決然とした姿勢を示した。 

 注目の会談で、文特使は「文大統領は早急にお会いすることを望んでいる」といい、両国間のシャトル外交の再開を求める親書を手渡した。安倍首相はこれに同意し、日韓首脳会談を早期に実現したい考えを表明した。

 「核・ミサイル開発」を強行し、アジアと世界の平和と安定を脅かす金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮に対処するため、日韓で緊密に連携することでも一致した。

 一見、友好的な会談にも思えるが、慰安婦問題については違う。

 安倍首相は会談で、「日韓合意を含む2国間関係を適切にマネージしていきたい」と明言したのだ。「適切に~」というのは、「『最終的かつ不可逆的に解決される』とした日韓合意を順守せよ」「国家間の約束だぞ」という意味の厳命である。安倍首相の一歩も引かない姿勢におびえたのか、文特使から歴史問題への言及はなかったという。

 11日の日韓電話首脳会談でも、安倍首相は、文大統領に同じ発言をしていた。そのうえで、「合意は日韓両国間で約束したもので国際社会から高く評価された。未来志向の日韓関係を築いていくために欠くことができない基盤だ」と通告していた。

 2015年に結ばれた日韓合意は、米政権が支持し、韓国出身で、当時の潘基文(パン・ギムン)国連事務総長も歓迎していたのだ。

 日本側の「日韓合意の見直しは許されない」とのメッセージに対し、文特使は17日の岸田文雄外相との会談で、次のようなくせ球を投げてきた。

 「韓国国民の大多数が(日韓合意を)受け入れられない雰囲気だ」

 国家間の約束を、韓国は国民感情で反故(ほご)にする可能性を示唆したわけだ。まともな国とは思えない。

 慰安婦問題に詳しい拓殖大の藤岡信勝客員教授は「『話せば分かる相手』という前提で韓国と接してきたことが間違いだった」といい、続けた。

 「日本は、韓国について『隣国で大事な国だ』という扱いで、さまざまな配慮や譲歩をしてきた。これは、まったく逆効果しか生まない。相手がまともであれば、誠意が通じるかもしれないが、そうでない相手には逆効果でしかない。未来永劫(えいごう)裏切られ、未来永劫悪者にされる流れは変わらない。なるべく韓国とは関わりを持たない方がいい」

 韓国の許しがたい行動はまだある。文特使の派遣に合わせるように、領土問題で挑発してきたのだ。

 韓国の海洋調査船「Hae Yang 2000」が、島根県・竹島(韓国名・独島)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、日本の同意を得ずに海洋調査を行ったことを17日、日本政府が確認した。日本政府は同日、韓国外務省と在日本大使館に強く抗議し、即時中止を求めた。

韓国の海洋調査船「Hae Yang 2000」
 「極左・従北」の文大統領は昨年7月、竹島に上陸している。特使を通じて「早急にお会いしたい」と伝えながら、領土問題で挑発するなど完全に常軌を逸している。安倍首相は、文特使との会談でも、この抗議について怒りの言及をした。

 安倍首相は7月にドイツで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に合わせ、文大統領との首脳会談を検討している。ただ、国民感情で突っ走る韓国側が“理性”を取り戻すとはとても想像できない。

 前出の藤岡氏は以下のように語った。

 「韓国と断交しても、日本は経済的にやっていける。そう腹をくくって対処すべきだ。日本が譲歩する必要は1ミリもない」

 日韓通貨交換(スワップ)協定再開など、永遠に必要なさそうだ。

【私の論評】七面倒臭い韓国とはもう付き合うな(゚д゚)!

韓国大統領特使の文喜相(ムン・ヒサン)国会議員は、過去にどのような発言をしていたか、以下に掲載します。

文喜相
以下に簡単に文喜相の経歴を掲載します。
文喜相(ムン・ヒサン、1945年3月3日 - )は、韓国の政治家。1980年代に金大中の下で民主化運動を行いました。1988年の国会議員選挙で出身地の京畿道議政府市選挙区に平和民主党(金大中総裁)から初出馬するが落選。 
1992年の国会議員選挙に民主党から出馬し初当選。1996年には新政治国民会議から出馬しふたたび落選したのですが、2000年に新千年民主党から出馬して返り咲き、以後、通算5回当選(2004年からは議政府市選挙区が分割されたため議政府市甲選挙区から出馬)。 
この間、金大中大統領の下で大統領府政務首席や国家情報院企画調整室長を、盧武鉉大統領の下で大統領秘書室長や政務特別補佐官を務めた他、新千年民主党最高委員、ヨルリン・ウリ党(開かれたウリ党)議長、国会副議長などを歴任。 
派閥色が薄く、民主統合党が2012年大統領選挙で敗北直後に非常対策委員長を務めた他、朴映宣院内代表の離党問題で内紛状態となった新政治民主連合でも非常対策委員長に選出されるなど、選挙の敗北などで党が混乱した度毎に党を取りまとめる立場に推されることが多いようです。

2006年4月19日YTN
<韓日議員連盟(当時)会長である「開かれたウリ党」ムン・ヒサン議員は、日本が私たちの排他的経済水域水路測量計画をキャンセルすることを要求する内容の書簡を、日韓議員連盟会長の森喜朗元首相に送ったと明らかにした・> 
http://v.media.daum.net/v/20060419174312886
2014年11月20日YTN
ムンヒサン議員の発言

「チョイノミクス(※当時の韓国経済政策のこと)は、失敗した日本のアベノミクスのモノマネにすぎない」

「アベノミクスの失敗を反面教師にすべき」

「庶民増税は失敗した日本を真似すること」

http://v.media.daum.net/v/20141120180502362
2014年12月29日聯合ニュース
ムンヒサン議員「韓米日軍事情報共有約定締結はすぐに中止すべき」

<・・「約定は、米国主導で行われたもので、日韓の軍事情報保護協定が国民の反対に直面したから、別の抜け道を考えついただけのもの」とし「軍事情報共有の目的は、3国間のMD(ミサイル防衛体制)の構築にあると考えても無理がなく、米国のアジア回帰戦略に合わせた対・中国包囲の一環として認識されるしかない」と指摘した。 
ムン委員長は「また、日本の軍事大国化と集団的自衛権の導入に正当性を付与すると見られる恐れもある」とし「日本の歴史歪曲発言が続く状況で、軍事情報の共有は、国民の理解と共感が優先されなければならない」と強調しした・・>

http://v.media.daum.net/v/20141229095410970
2015年6月29日京畿北部市民新聞
<ムン・ヒサン議員が最近、国際的な問題として浮上した日本の強制徴用施設の世界文化遺産登録の試みに対応するため、国際的な外交活動を広げている。
ムン・ヒサン議員室によると、ムン・ヒサン議員は、自分が担当している、韓国・マレーシア議員親善協会会長の名義で、5月21日、外交部を介してTiong King Sing、マレーシア側議員親善協会長に書簡を渡して、日本が推進する世界文化遺産登録と関連した、私たちの立場を説明し、支援を要請した・・>
http://www.simin24.com/?doc=news/read.htm&ns_id=61157
2017年1月13日韓国経済TV
(当時、ユン・ビョンセ外交部長官が「慰安婦像の設置場所について知恵を集める必要がある」と発言したことで)
<同じ党(共に民主党)ムン・ヒサン議員は「日本の安倍晋三総理が10億円を出したと、恩着せがましい態度だ」とし「たった10億円にプライドを売ったと考えている国民も多い。被害者のおばあさんたちが合意に同意できないでいるからだ」と批判した・・>
http://v.media.daum.net/v/20170113203852849
2017年4月13日SBS
<共に民主党ムン・ヒサン議員は「少女像(慰安婦像)の問題で長嶺在韓日本大使が帰国したのは、前例のないことで、外交的欠礼だ。ところが、何もなかったかのように帰任して黄教安権限代行の会おうとするなんて、傲慢の極致でしかない」と指摘しました・・>
http://v.media.daum.net/v/2017041312050601
過去の発言等から筋金入りの反日であるようです。

この文と面談して、安倍首相は、慰安婦問題に関する日韓合意の見直しを掲げる文大統領の願望を、事実上、門前払いしたということです。

韓国の海洋調査船「Hae Yang 2000」が、島根県・竹島(韓国名・独島)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、日本の同意を得ずに海洋調査を行ったことを17日、日本政府が確認したとありますが、このようなことは今回だけではありません。

以下に韓国が過去に行った、我が国排他経済水域における我が国の同意のない海洋調査の事例を表にまとめたものを掲載します。


韓国がこの付近で海洋調査活動を行うのは10年ぶりの事です。前回(2006年)の日本は、韓国が試みた海底地形に名称を付与するための調査実施を認めず、同海域で日本も調査を行うことを表明し、日韓は一触即発寸前の状態まで緊迫しました。

今回は10年間動きの無かった韓国海洋調査が突然実施され、これを確認した海上保安庁巡視船が哨戒し中止を呼びかけ、韓国調査船が海域を離脱するまで追走し対処しました。日本は韓国に対し、こうした行為を絶対に見逃さないという厳然たる対応をしていかなければなりません。

同様に、台湾による尖閣諸島周辺の海洋調査も、昨年は従来に比べ過去最多の8回も行われています。

どのケースも海上保安庁が厳正対処していますが、台湾側が我が国のEEZ内で何の意図を持って調査しているのか、国際条約上認められない不法な行為をこれ以上実施させないよう何らかの対処が必要です。

それにしても、韓国は文特使と安倍首相が会談する前の日にこのようなことを実行しているのですから、無礼です。

このような国とはまともに付き合うべきではありません。藤岡氏はブログ冒頭の記事で、「韓国と断交しても、日本は経済的にやっていける。そう腹をくくって対処すべきだ。日本が譲歩する必要は1ミリもない」と述べていますが、まさにそのとおりです。

韓国のGDPは東京都のそれとほぼ同じです。韓国とは国交を断絶したとしても、韓国が生産できるものはすべて日本国内で生産できます。輸出に関しても、このような七面倒臭い国など相手にしなくても、他国で十分代替できます。

安倍首相の一歩も引かない姿勢におびえたのか、文特使から歴史問題への言及はなかったといいますが、まさに今までの日本は韓国の言い分を聴いたり、譲歩してきたからこそ、韓国はつけあがったのです。

今後は、冠婚葬祭程度のつき合いにとどめて、その他は、慰安婦問題や竹島問題で韓国が理不尽な態度に出た場合は、厳重に抗議して、その他は一切無視で良いと思います。

現状は北の脅威があるので、長峰大使は韓国に戻っていますが、北の脅威がなくなったあかつきには、長峰大使も呼び戻して実質上の国交断絶で良いと思います。

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