2012年6月2日土曜日

【きょうの名言】AKB48総選挙の6月6日は気をつけろ―【私の論評】増税や怪しい法案審議の前に、解散総選挙をせよ!!

【きょうの名言】AKB48総選挙の6月6日は気をつけろ:


ツイートの主は、新党きずなの斎藤康範衆議院議員。




6月6日は、AKB48による第4回選抜総選挙の開票が行われる。フジテレビが当日、生放送するなどメディアの大騒ぎが予想されるが、そのスケジュールを民主党が内部文書に記載していた(産経新聞)というのだ。これは、国民は騙されないように疑ってかかっても良いかもしれない。下に当該の産経ニュースの内容を掲載します。
参院の民主党会派が発行している部外秘の国会対策委員会ニュースに、人気アイドルグループ、AKB48の選抜メンバーをファン投票で決める「選抜総選挙」の日程が盛り込まれ、波紋を呼んでいる。
話題となっている国対ニュースは25日に発行されたもので、国会日程のほか、「その他の日程」として6月10日の沖縄県議選などの政治日程を列挙。この中にさりげなく「6月6日 AKB48選抜総選挙」と明記している。
民主党若手は「どうしてこの日程が入っているのか」と首をかしげるが、衆院解散をめぐる与野党の駆け引きが活発化する中、AKB48の総選挙の行方も、今や永田町では注目の的?

【私の論評】増税や怪しい法案審議の前に、解散総選挙をせよ!!

AKB48と政治は、本来的には、特に関連性はないはずなのですが、民主党の国会対策委員会ニュースに、なぜ、そのようなことが掲載されているのか、疑問です。本日は、その謎解きをAKB48の画像・動画とともに掲載します。


AKB48総選挙、正確には AKB48選抜総選挙とは、次期シングルの選抜およびアンダーガールズ(ネクストガールズ、フューチャーガールズ)のメンバーを、ファンの投票によって決める1大イベントである。アンダーガールズとは、AKB48のシングルでカップリング曲を歌うアイドルユニットである。AKB48 13thシングル「言い訳Maybe」のカップリングの「飛べないアゲハチョウ」を歌い、メジャーデビュー。

また、これに準ずるユニットとして、

14thシングルで通常版の、16thシングルで通常版Bの3曲目を歌った「シアターガールズ」、
18th、20thシングルで通常版Type-Bの3曲目を歌った「DIVA」、

24thシングルでそれぞれ通常版Type-A、Type-Bの3曲目を歌った「アンダーガールズ ばら組」「アンダーガールズ ゆり組」

があげられる。


さて、とにかく、この総選挙のときに、民主党がやらかしそうなこととは、一体何でしょうか?私は、あるとすれば、上記の斎藤衆議院議員が指摘する、事項はむろんのこと、その他あるとすれば、日本国解体法案ではないかと思います。その中でも、特に懸念されるのは、人権擁護法案です。なにしろ、社会党から横滑りで入った、民主党事務方は、とにかく、民主党が政権の座にあるうちに、日本国解体法案の全部、全部ではなくても、いくつかは、成立させたいと、虎視眈々と狙っています。

尊皇派といわれる高橋みなみ
人権擁護法案については民主党内の反対派の努力もあって党内手続きが難航するなか、野田総理が「命を賭ける」と公言している消費増税を進めるためにも無用な党内対立を深めることをおそれ、今国会の提出をあきらめたということのようでした。

しかし、民主党内の同法案反対の急先鋒の国会議員Q氏が某議員に伝えたところによれば(先月17日頃)、民主党の政策作成の責任者の一人であるM議員が直々に、野田総理に対して人権救済法案の提出を早く行うよう強く求めたとのことです。総理がその場で了承したかどうかは定かではありません。これは、そのうち、わかれば、またこのブログに掲載します。



M氏については、かねてからいろいろな人脈との癒着が報じられてきていました。その程度はともかくとして、よりによってなぜこのタイミングなのでしょうか。上述のことが事実だとすると、M氏が人権擁護機関を設置することを強く求める組織・団体から多大な支援を受けているのではと勘ぐる人も出てくるのではないかと思います。

本件についてはまさか「言うだけ」というわけではないでしょう。そうであれば良いですが。いずれにせよ、人権擁護法案については、今後もまったく油断ならないということです。


現在、国会は社会保障と税の一体改革に関する特別委員会以外まったく動いていません。しかし、ひとたび情勢が変わり法務委員会の審議が再開されれば、どうなるかわかったものではありません。そうして、この日は、6月6日になる可能性も高いです。

この新聞記事はあくまで、フィクションです。
人権擁護法案が施行されれば、上記のような新聞記事(これはもちんフィクションです)が掲載されるようになることも十分あり得ます、本当に問題のある法案です。この法案の問題点に関しては、保守系の議員なども指摘しているとろですが、共産党系の議員ですら反対しています。その、URLを下に掲載してしておきます。問題点について知りたい方は、他のサイトも参照していただくととももに、これも是非ごらんになってください。

国会審議で浮き彫りになった人権擁護法案の問題点


それにしても、どさくさに紛れてこの法案はもとより、他の日本国解体法案を通そうとしているなら、民主党は、どうしようもない政党だと思います。そうして、AKB48の総選挙の日を狙っているのであれば、これはかなり皮肉なことです。


そもそも、AKB48の総選挙は何のためにやるかといえば、AKB48は、もともと、ファンと近いアイドルを目指していて、この選挙もファンと近い関係を強固にするために行うものです。もし、AKB48が、内紛をしていて、総選挙で勝利をおさめるために、様々な手練手管を使ったとしたら、どうなることでしょう。

きっと、このことが、明るみに出れば、ファンとの距離は遠のくことでしょう。今の政局、まさに、このようなものです。そうして、民主党のように、AKB48のある大きな派閥がどさくさに紛れて、ファンのいやがることを勝手に決めてしまえば、完全にファンは離反することでしょう。


民主党のやろうとしていることは、こういうことです。もし、そうだとすれば、これは、大変危険です。国会議員の方々は、これを予期して、十分警戒していただいて、人権擁護法案が審議されるようであれば、ありとあらゆる手段を使って、阻止していただきたいものです。

それよりも、何よりも、民主党に限らず、政治家たるものは、たとば、日本国解体法案や、増税法案のように国民生活に甚大な影響を与える問題で、しかもマニフェストや綱領などに掲載していない事柄で与野党で紛糾した場合など、AKB総選挙のように、民主的手続きを踏んで、さらには、情報を明確に誰にでもわかりやすく開示して、その上で、選挙をしていただき国民の信を問うべきです。そうでなければ、国民は、納得しません。今の政治不信は政治家自らが招いているこを忘れるべきではありません。高級官僚や、政治家など、国民は、愚鈍だと思っているのでしょうか。これだけ、ネットなどで情報が入る時代に、国民を侮るべきではないと思います。


昔の芸能界など、芸能界の裏事情など、所詮大多数の人はわからないからという理由で、やくざやさんなどが仕切っていたこともありました。これは、芸能界だけに限らず、たとえば、相撲賭博なども同じことです。しかし、これだけ、情報が開示されるようになった時代には、そのようなことは通用しなくなってきています。AKB48の成功は、こうした慣習とは全く関係なく、情報を開示し、積極的にファンとの距離を縮めてきたことにも大きな理由があると思います。

このブログにも掲載したことがありますが、AKB48が最初にGoogleのSNSである、Google+を用いたとき、たまたま、AKB48の動画を見ていたら、YouTubeの動画から、ハングアウト(複数人で、ビデオチャットができる仕組み)に参加できるようになっていて、しかも、参加するようにと勧誘していました。だから、実際に参加してみました。アイドルと、直接手軽に話しができるということは素晴らしいことです。政治家も、自分たちの都合でだけ、政局を動かすのではなく、AKB48のように、国民との距離を縮めることを見習うべきです。

尊皇派高橋南のハングアウト画面
それにしても、こんなに弱体化している、民主党をすぐに粉砕することのできない、自民党をはじめとする野党は一体どうなっているのでしょうか?もっと、AKB48のように、大多数の国民との距離をつめるようなことをして、国民を理解し、国民のためになる政治をしていただきたいと思うのは私だけでしょうか?それから、本日は、たまたまAKB48を例として出しましたが、本来の政治家は、AKB48の姿勢を見習うべきではありますが、決定的に違うところもあります。それは、政治家および高級官僚は、本来マクロ的な見方で、国や国民の経済・日本社会・国際社会をみてそれに対処する存在であることを忘れてはならないと思います。

だから、出来ないことは、はっきり"ノー"というべきです。国民の側も、政治家の選挙は、人気投票ではなく、自分が幸せになるためには、自助努力が必要であり、政治は、国民一人一人が平等に自助努力ができる基盤をつくることが本来の役割であり、個々人の幸せに直接関わるものではないということを忘れてはならないと思います。ただし、今の国の基盤は、現在の豊になった日本(対外金融資産20年間世界第一位、家計1500兆円)であるにもかかわらず、貧乏だったときのままで、時代にそぐわなくなってきています、だかこそ、新たな基盤作りをすることも必要になってきています。これらを含めて、本来、政治家や高級官僚のやるべきことは山積しています。これに対処することなしに、今のように自分たちの都合だけで、政局を動かしているなら、国民の心は、どんどん政治から離れていくことになるだけです。いや、もうすでになっています。


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2012年6月1日金曜日

【お金は知っている】高まる“中国クライシス”…ユーロより深刻だ―【私の論評】今頃中国幻想に酔っている連中はただの馬鹿か愚鈍?

【お金は知っている】高まる“中国クライシス”…ユーロより深刻だ:


筆者調べでは、不動産バブルが崩壊し始めた中国のバブル債務規模はギリシャなどユーロ圏の政府不良債務合計をはるかにしのぐ。

中国の地方政府の実権を握る地方の党幹部は公有制の土地を開発しては利権収入を得て私腹を肥やす。全国の地方政府が抱える債務残高は北京の公式発表ベースで2010年末に10・7兆元(約130兆円)。日本の1980年代後半のバブル融資並みの規模で、中国のGDPの4分の1に上り、5割以上が今後3年以内に返済期限が来る。しかも、地方政府は国有企業などと組んで不動産開発をやめず、国有商業銀行も融資を続けている。米欧の専門家によれば、地方債務総額は最終的に15・4兆元(約187兆円)から20・1兆元(約244兆円)に膨れ上がる。中央政府など他の債務を加えると、円換算で300兆円以上に上りそうだ。

他方、筆者が集計したところ、ユーロの問題5カ国(ギリシャ、イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランド)の11年末の政府対外債務の合計額は1兆3147億ユーロ(約136兆円)である。

もちろん、債務すべてが不良債務になるとはかぎらないが、日本では80年代の不動産担保融資の130兆円のうち8割以上がそっくり焦げ付いた。中国では返済できない地方政府が続出し、11年の返済必要額の大半は翌年以降に繰り延べられている。

重慶市共産党書記で共産党中央政治局委員だった薄煕来氏失脚を招いたのが谷開来夫人の殺人容疑で、夫人は80億元(約970億円)を海外に移し、協力者の英国人を殺害したかどで逮捕された。しかし、薄夫人のケースは巨大な不正蓄財と資本逃避のほんの一端にしか過ぎない。

中国バブルの崩壊を見て、米欧では、「ユーロ危機どころではない。チャイナ・クライシスをどうするか」との危機感が高まっている。(この記事の詳細は、こちらから・・・・・・産経新聞特別記者・田村秀男

【私の論評】今頃中国幻想に酔っている連中はただの馬鹿か愚鈍?

私は、中国に関しては、もう5年ほど前から、バブルであり、バブル崩壊が近づいていることをこのブログでも再三再四掲載してきました。しかし、そうとは考えない未だに中国幻想に酔っている人も多数いるようです。


ただし、そうはいっても、この5年ほど、中国幻想の危うさについて、このブログで警告しつづけてきたにもかかわらず、中国はそうはなりませんでした。これには、私が比較的軽視してきた、中国の特殊性が、あるためであったと思います。本日は、これについて、掲載することとします。そうして、本日は、上の記事にもあった薄煕来に関する、画像、動画がさらに、驚くべき中国の実態を示す動画など掲載しつつ、掲載させていだきます。

失脚した薄煕来氏。この犯罪者と喜んで写真撮影した日本人も多い
まずは、今まで、中国経済が急成長した理由はいたって簡単です。まずは、元の供給が多いため、元安となります。そうすると、外国と比較して、人件費が安くなるため、製商品を安く売れるので儲かることになります。そうなれば、輸出も景気も絶好調となります。そうして、さらに元の供給を増やすという、良いスパイラルを維持できたということです。

全員犯罪者家族の薄煕来の家族でのスナップ写真
では、なぜ、安心して元を擦り増しできたかといえば、まずは、共産党独裁の中国では、中央銀行の独立など存在しないため、政府が中央銀行を強力にコントロールができるということです。これが、欧米のような民主国家にはない強みです。

 

さらに、日本が絶対に円を増やさないので、安心してお札を擦り続けることができ、円に対しては無論のこと、世界の基軸通貨であるドルその他に対しても、元安誘導が可能になるということです。


中国とは逆に日本がやってきたことといえば、もともと円の供給量が少ないので、円高傾向になります。そのため、外国に比較して人件費が高くなります。そうなると、製商品を高くしか売れない、買ってくれないということになります。そうなると、不況になり、そうなると、企業は人件費を削ります。そうして、値段を下げるのですが、生産効率が落ちているので、やはり、売れません。そうなると、やはり、不況で、それでも円を刷らないという状況です。こうして、さらに、デフレスパイラルが助長されるということです。

チャン・ツィー
これは、日銀が経済法則を無視して、異常なほど円の供給をとめて、結果として金融引き締めをしているということです。日本国内では、給料が下がりデフレが進行し、円高のため、生産拠点は、中国などに移ります。それとともに、日本の生産技術とGDPも中国にもっていかれるということです。これは、まるで中国政府が打ち出の小槌を持ったようなものです。こうして、中国は、今までは、この無限ループで繁栄を続けるように見えました。


さらに、中国の場合、上の記事にもあるように、政府主導による「飛ばし」がバブルの後始末の常套(じょうとう)手段であることがあります。負債を債券に置き換えて、返済期限を先延ばしするということにより、いずれ融資も投資をやめてしまうと、まるで巨大な二輪車のようにばったりと中国経済全体が倒れてしまうことにつながります。いわゆる、バランスシート不況の中国版が、目前にせまっています。



このようなことが、進行しているため、いままで、中国は、いく度となくバブルが崩壊しつつあるとささやかれながら、何とかなってきました。それでも、限界があります。特に、数年前からは、都市部でのインフレ率が高くなってきました。たとえば、豚肉などの生活必需品の価格が、年で数十パーセントもあがるようになっていました。そうなると、庶民も生活に窮するようになってきます。そうして、全国各地で、労働争議がおこるようになりました。

(下の動画は、内容が相当グロいので食事中にはご覧にならないでください)


しかし、そこは、共産国家中国です、最初のうちは、首謀者など逮捕して、ぶち込めばそれですんでいたのですが、さすがに、このブログにも掲載してきたように、建国以来毎年平均で2万件の暴動があった中国でも、最近ではさらに件数や規模が大きくなり、警察や軍隊でも、収めきれない状況になり、労働者の言い分を聞いて、給料を増やすようになってきました。そうなると、先にあげた、中国の無限ループであると思われた打ち出の小槌もきかなくなってきたということです。



そうなんです。いよいよ、この無限ループは完全に壊れる時が迫っているということです。だからこそ、このブログでも、紹介したことがある、数少ないマクロ経済を理解して記事を書いている田村氏が上のような記事を掲載して、警告を発しているということです。しかし、日本でも、バブル崩壊した直後には、まだまだバブル期の感覚をひきずっている人たちが大勢いました。たとえば、あのバブルの象徴のようにいわれる「ジュリアナ東京」はバブル崩壊後に誕生しています。バブルの崩壊などは、その最中にいる人々にはなかなか認識されないことがあます。崩壊しても、人々の頭には、「これは一時的なものだ」とか「すぐに元に戻る」などと考え、なかなか、行動様式を改めないことがあります。


こんな状況は、前々からわかっていたことで、多くの人が中国の経済をポンジ経済(ねずみ講のようなインチキ経済のこと)として指摘して警告してきたのですが、この打ち出の小槌小槌でいままでのところは、何とかなってきたのですが、これからは、何ともならない状況になるということです。


さて、中国のバブル崩壊の危機、随分前から、私以外の人も当然、察知していて、もう数年まえから、対中国直接投資よりも、インド投資のほうが増えています。インドも後進的なところはありますが、それにしても、中国よりは、法治国家化されていますし、政治と経済の分離はかなりなされています。さらに、民主化も中国よりははるかに進んでいます。それよりも何よりも、親日的です。今頃中国幻想に酔っている連中はただの馬鹿か愚鈍だと思います。あの日本のバブル崩壊後に、それも知らずに、「ジュリアナ東京」のお立ち台で踊り狂っていた女の子のようにはなりたくないものです。

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2012年5月31日木曜日

急にクローズアップされた生活保護問題デフレ脱却と「負の所得税」が合理的な解決策 - 高橋洋一の俗論を撃つ!―【私の論評】日銀がお札を増刷すれば、生活保護問題はなくなる?!

急にクローズアップされた生活保護問題デフレ脱却と「負の所得税」が合理的な解決策 - 高橋洋一の俗論を撃つ!:

母親の生活保護に関して、釈明会見をする河本純一さん
 生活保護問題が急にクローズアップされた。生活保護の増加の背景に不正受給があると思われているからだ。だが、増加の主な要因は不正受給だけではない。金融政策によるデフレ脱却と「負の所得税」の導入、この両輪で生活保護問題は合理的に解決できるだろう。

生活保護問題に金融政策が関わっていることに違和感を持つ人もいるだろう。しかし、米国の金融政策は雇用の確保が法的に義務づけられている。バーナンキFRB議長に対する記者会見でも、話題はもっぱら失業率の話だ。

金融政策で失業率を低下させることができるので、生活保護問題の解決には有効だ。日本では、雇用・労働問題を構造問題としてとらえる経済学者、社会学者、法学者ばかりだ。雇用、労働問題をマクロの金融政策で対処しようとしないのは、筆者から見れば奇妙なことに思える。

マクロにおける金融政策によるデフレ脱却と、ミクロにおける縦割り行政の打破になる「負の所得税」(歳入庁と番号制を含む)の導入、この両輪で生活保護問題は合理的に解決できるだろう。


釈明会見をする梶原雄太さん


【私の論評】日銀がお札を増刷すれば、生活保護問題はなくなる?!

上の記事の結論は、「マクロにおける金融政策によるデフレ脱却と、ミクロにおける縦割り行政の打破になる「負の所得税」(歳入庁と番号制を含む)の導入、この両輪で生活保護問題は合理的に解決できるだろう」ということです。そうして、このマクロと、ミクロの政策、どちらが優先順位が高いかといえば、当然マクロ政策です。これ抜きにミクロ政策だけやっても根本解決にはなりません。今の政府、まともなマクロ政策はせずに、目先のミクロ政策だけやって、結局モグラ叩きに終始しています。

上の記事を見て、高橋洋一氏も指摘していたように、金融政策と、生活保護の問題との関連性を奇異に感じる人もいるかもしれません。しかし、これは、本当です。どこの国でも、その時点で2%程度のインフレになれば、その後どうなるかは別にして、それだけで、一夜にして大きな雇用が創出されます。

日本や、アメリカなどであれば、一夜にして、数百万の雇用が創出されます。また、その逆も真であり、デフレになれば、それだけで、一夜にして、数百万人の雇用が失われます。これを否定する人は、経済を語る資格がありません。

そうして、これは、マクロ経済学上の常識であり、これを否定することはできません。そうして、何もこれは、いわゆる教条主義ということではなくて、古今東西の事実が示す真理です。まずは、これを否定するまともな経済学者いないでしょう。そうして、米国では、金融政策が雇用の確保に法的に義務付けられているということです。

アメリカで大恐慌時にパンを求めて行列する人の像
そんなに簡単なら、雇用問題などすぐに解決できるではないか、という方もいらっしゃるかもしれません。確かにそうです。無論、雇用問題のすべてが、金融政策だけで解決できるとは限りません。たとえば、雇用のミスマッチの問題もあります。金融政策が雇用と密接に結びついていると認識されているアメリカでさえ、雇用問題はあります。しかし、アメリカでは、日本などと比較すると、比較的短期間に雇用問題を解決できています。今まで、アメリカでも深刻な雇用問題に直面しても、少なくとも日本よりは、早く解決できています。これは、金融政策を雇用問題解消の大きなツールであることを認識し、このツールを活用してきたからにほかなりません。雇用問題の根底には、金融政策が不可欠であるということです。

バーナンキFRB議長
とにかく、雇用と金融政策が密接な関係にあるということが、日本では、ほとんど認識されていません。これが、一般の人であれば、そこまで考える必要はないのかもしれませんが、それにしても、ある程度社会的に高い地位にある人は、どのような分野で働いていたとしても、常識として知っておくべき重要な事柄だと思います。


そうして、生活保護は、雇用と密接に関係しています。雇用が増えれば、生活保護受給者数は減ります。雇用が減少すれば、生活保護は増えます。これも当然のことです。

だから、上記の記事のように、生活保護の問題を考える際には、金融政策が不可欠であり、これを変えずに、この問題を考えていても、根本的な解決にはなりません。そうして、個人のモラルなどのことばかり考えていても、何の解決にもならないわけです。金融政策を抜きにこの問題を考え、対策を打ったとしても、結局は何の解決にもなりりません。モグラ叩きになるだけです。


無論個人のモラルの問題もあると思います。しかし、それは、金融政策などで、十分雇用が確保されるような状態になっているときに、論じられるべきであって、そうではないときに、論じても仕方のないことです。まずは、デフレを解消しなければどうにもなりません。

それに雇用の問題は、生活保護だけの問題ではありません。これは、学生の就職にも密接に連なる問題です。最近、就活の問題もクローズアップされていますが、この場合も、多くの人が、デフレのことは問題にせずに、ミクロ的な問題である企業サイドの問題、学生サイドの問題にばかり集中しています。これでは、なんら根本的解決にはなりません。デフレで雇用が減少している最中に、企業や学生のことだけ考えていても、これもモグラ叩きになるだけです。


ところで、総務省が25日発表した4月の全国消費者物価指数(CPI、2010年=100、生鮮食品を除く)は、前年同月比0・2%増となり、3カ月連続でプラスになった。ただし、食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合指数は前年同月比は0・3%の下落となりました。

この数字は変動の大きい食料とエネルギーを除く米国型コア指数で、基本的な物価動向を示すものとされているが、09年1月から3年4カ月マイナスのままです。

このようにデフレは若干緩和しつつあるものの、依然として継続中です。5月23日には日銀が追加緩和を見送ったことで、円高と株安が進みましたが、現状の金融政策のスタンスでは、リーマン・ショック時のような日本の独り負け状態になってしまうのでのではないでしょうか?とにかく、日銀は、自ら提示した、1%インフレ目処も実行するつもりはないようです。

スペイン中央銀行
中央銀行の独立性は、政府の金融政策の指示に従って、その金融政策を実施する際の手法を専門家の立場から選ぶ自由があるというのが本来の姿であり、これが、世界の常識です。ところが、日銀法が平成10年に改正されて、日銀がやってきたことは、金融政策まで独自で決定して、実行するというスタンスをとってきました。そうして、ことあるごとに、結局は、デフレを促進する金融政策である金融引き締めばかりを実行してきました。

日銀白川総裁

このデフレのままでは、雇用問題も解消せず、生活保護問題も解消しないということです。さて、本日は、生活保護、雇用の側面を中心に掲載してきましたが、このような問題に対しても、生活保護の受給者のモラルの問題など、生活保護の制度自体とか、いわゆる、ミクロの見方だけでは、この問題の根本的解決にはならないということてず。金融政策などの、マクロな見方ができなければ、解決になりません。


そうして、ミクロ的な見方による解決方法は、私たち個人や、企業でも、直接介入して解消することもできます。しかし、マクロ的な事柄に関しては、直接はできません。しかし、間接的にでも、できる方法があります。

そうです。それは、国をマクロ的な見方で、見てそれに対策を打つべき主体であるべき、政治家を選挙で選ぶという行為です。そうして、失われた20年を30年にしないためには、日銀法を改正して、本来の中央銀行の役割にもどすことを主張する政治家を選ぶべきです。


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2012年5月30日水曜日

クリエイティブなアイデアが出やすくなる、ワーキングメモリを鍛える方法―【私の論評】ワーキングメモリを増やすには、記憶そのものを増やすことだ!!しかも、若いうちに!!

クリエイティブなアイデアが出やすくなる、ワーキングメモリを鍛える方法:


作業記憶(ワーキングメモリー)の容量、もしくは一度に記憶できる情報量というのは脳内で簡単にアクセスできる場所にある量だけ、というわけではないようです。 心理学者のArt Markman博士が「Psychology Today」に書いていた記事によると、作業記憶が良くなればなるほどクリエイティブなアイデアが生まれる容量も増えるとありました。

さて、この記事の結論、以下のようなものです。

では、作業記憶の容量を増やすにはどうすればいいのでしょう? 確実な方法というのはありませんが、効果があると言われている方法はいくつかあります。たとえば読書量を増やしたり、頻繁に本を読むようにしたり、読んでいるものに関する理解を深めて読解力を身につけるというのも一つの方法です。一時的な記憶でもいいので、すべての文章をあとで思い出せるようにしてみましょう。この練習をすれば違いが表れます。

サイコロジー・トゥディの表紙
さらに、「二重Nバック課題」という聴覚と視覚を同時に使う練習をすることで、実際に脳が作業により集中しやすくなり、作業記憶を強化することになります。まずは手始めに、無料のゲーム「Brain Workshop」(英語)で練習してみてはいかがでしょう。集中力が増すと覚えたい情報を細分化され、物事を覚えやすくなります。単純な情報というのは常に覚えやすいのです。

研究はまだ継続中で明確な答えというのはありませんが、作業記憶の容量を増やして鍛えることはどんなことを考えるにおいても重要になります。練習を何度か繰り返せば、良いアイデアが浮かびやすくなるかもしれません。アイデアが出ずに行き詰まりがちな人は、ぜひ試してみてください。


【私の論評】ワーキングメモリを増やすには、記憶そのものを増やすことだ!!しかも、若いうちに!!

皆さん、上の記事をどう思われますか。このような心理学実験、わざわざやらなくても、ほとんど結論が出ているような気がするのは、私だけでしょうか。ワーキング・メモリがどうのこうのと言っていますが、結局のところ、創造性のことだと思います。創造性は、どこから出てくるのかといえば、日本の愚かな教育学者や、多くの人が語るように、個性の尊重などからは生まれるものではありません。



上の結果では、結局、ゲーム以外のことでは、読書ということを語っています。読書といえば、結局は、何のためにやるかといえば、体系的にかかれた文章を読んで、記憶にとどめるということだと思います。そうなんです。結局人間の頭は、コンピュータのメモリのように、機会的に増やすということはできませんが、いわゆる、記憶がより多ければ記憶容量や、いわゆる、ワーキングメモリが増えるということだと思います。


こんなことは、昔からいわれていて、それを実際に査証するようなことは、心理学実験などしなくても、以前から多くの人に知られているところです。本日は、まずは、その査証となる事柄をあげておきます。

ボンクラ養成学校?

その事例として、昨日のスパイ事件でも、スパイが入り込んでいたといわれる、松下政経塾と、海外の優秀なリーダー養成校の比較をしてみたいと思います。無論、松下政経塾は、昨日の「松下政経塾出身の主な政府与党幹部」というリストに、12人もの人間が名前を連ねているにもかかわらず、一人の例外もなく全員ボンクラであるということから、この塾はリーダー養成には、完全に失敗しています。

松下幸之助氏を囲む松下政経塾塾生たち

しかし、昔から、西欧では、優秀なリーダー養成学校があります。こんなことを言うと、皆さん、MBSや、ハーバード・ビジネススクールなどを思い浮かべるかもしれませんが、そうではありません。大学院で、本当の意味でのリーダーを育てているわけではありません。リーダーたる器は、その前に形作られます。大学院などでは、手遅れです。大学院では、器は形成しませんが、実際に社会で活躍するために、必要な行動様式などを教えているわけであり、リーダーを養成しているわけではありません。こんなことでは、すでに手遅れなのです。



では、西欧のリーダー養成学校とはどのようなものか、掲載します。これについては、私自身は、以前から良く知っていたことなのですが、実際に、これらの学校に行ったことのない私よりも、それを良く知り抜いている人の記事などが参照になると思い、探してみたところ、ぴったりの記事がありましたので、以下に紹介します。

現代イギリスのボーディングスクールの寮
詰め込み教育復活を!世界のリーダー養成校から学べ

詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、以下に一部分をコピペしておきます。

アメリカでいえば、エリート教育は中高一貫のボーディングスクール(全寮制・寄宿制学校)から始まる。ボーディングスクールの特徴は、
・進学の準備校ではない
・全寮制
・少人数
・留学生も1~2割
・田舎にある
・教師も住み込み
・図書館から体育施設まで充実
というものです。
とにかく中高一貫教育、全寮制というところが、世界のエリート養成学校に共通しているとろです。この記事を書いた人は、たまたま、アメリカを例に出していますが、私は、おそらく、アメリカのボーディンクスクールの原型になっているのは、イギリスのパブリックスクールだと思います。

イートンスクールのユニフォーム

さて、boarding とは、本来は「寄宿、下宿生活」のことで、寄宿学校が原義。両親の家を離れての団体生活の中で心身ともに鍛えられ、学業のみならず、生活も指導されることで、規則と自分に対する克己の態度が育まれるといわれています。

イギリスの寄宿教育は19世紀末にドイツに影響を与え、ヘルマン・リーツが田園教育舎と呼ばれる数多くの寄宿学校を立ち上げた。第二次大戦後、ソ連軍により、その多くは廃校に追い込まれたが、オーデンヴァルトシューレやスイスエコール・ド・ユマニテなどは現在も存続しています。

こうした実践を範とした学校がアメリカやオーストラリアなどにもいくつかあります。中でも伝統と実績のある世界各地の学校が、共通の教育理念で連帯したものに、クルト・ハーンがその設立を推進した「ラウンドスクエア」と呼ばれる団体があります。盟主となるイギリスのゴードン・ストウン校の建物が、ローマ風の円形競技場と四角い建物からなるのにちなんだものです。



同じ寄宿学校でもフィニッシングスクールは、良家の女子が社交界デビューに備える行儀作法のための学校で、これとは区別しなくてはならないです。

女の子のフィニシッングスクール

ボーディングスクールは王侯貴族が通う学校でもあり、スウェーデン王室のプリンスたちが卒業名簿に載るスウェーデンの「Lundsbergs skola」、ベルギー王室やルクセンブルク公国やモナコ公国のプリンスたちが卒業名簿に載るスイスの「ル・ロゼ校」、イギリス王室のプリンスたちが卒業名簿に載るイギリスのイートン校などがあります。
中高一貫とはいえ、ボーディングスクールの敷地は東大キャンパスの5倍から15倍くらいある。東大の10分の1くらいの生徒数でそうなのだ。そこには陸上トラック、プールはもちろん、ゴルフコース、アイスホッケーリンク、テニス・スカッシュのコート、ジムまである。立派な音楽堂や美術館もある。勉強の合間はスポーツや芸術活動を徹底的にやる。その合間にボランティア活動。超多忙な中で子供たちは時間管理術を学び、自らの適性を知っていく。こういう詰め込みの中でこそ本当の個性や適性がわかってくるのだ。
アップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズは「創造とは結びつけること」と話しているが、創造力とはつながっていない知識をつなげることで違う考えを発見することだ。アイシュタインも「創造的思考とは組み合わせ遊び」と言っていた。世界的な発見は知識の出合いから始まっている。それを歴史家はメディチ効果という。ルネサンス期のフィレンツェ、そしてメディチ家。ここに世界を探検する最高の学者が集まり、斬新なアイデアが合体してイノベーションを引き起こした。生まれたのが、口紅、日焼け止めローション、温度計、デオドラント、歯の漂白、魚雷、防火服、慈善信託など。
メディチ家礼拝堂
多様な人材に幅広い教養を詰め込み共同生活させることでメディチ効果も生まれるのだ。世界中の古典から始まる多様な知識を詰め込まれ、運動から音楽からボランティア活動まで徹底的にやらされ、24時間他人と暮らす。若いうちから、いろんな知識をつなげる思考ができていくだろう。 
さて、筆者は、ここで、松下政経塾の大失敗と、ゆとり教育の間違いを語ります。
松下政経塾もこれを狙ったのだろうが、間違っている。一つは時期。大学を出た者では遅い。実務経験の期間が無くなり頭でっかちになるだけ。先生のレベルも違う。世界のエリート教育を受けた人でないとエリート教育はできない。いまどき日本語でやっているから多様性もない。松下さんの最大の失敗策であることは今の内閣をみれば一目瞭然。 
今の日本の若者の多くは日本の教育制度の犠牲者である。ゆとり教育と大学全入時代のせいで、“極度の詰め込みによる受験戦争”を勝ち抜くという経験をした者が、昔に比べて極端に少ない。知識が詰め込まれていないところに創造力も個性もない。芸術や音楽やスポーツだって知識の詰め込みが脳や肉体にないといいパフォーマンスはできないし、いいものかどうかの評価さえできない。
 さて、以上のようなことから、本題に戻ります。このような、詰め込み教育をされた人たちの頭の中は、どうなっているかといえば、それこそ、本日の本題となる、ウォーキング・メモリが増えているのだと思います。この状態で、さらに、新たな知識や経験をつめば、かなりクリエーティブな思考の持ち主になれるのだと思います。

吉田松陰肖像
そうして、日本だって、昔はそうでした。それこそ、今でいえば、特に武家では、丁度今でいえば、中高という時期に、徹底的に書物を読まされたり、武術の鍛錬などをやらされました。

室町時代の武家の教育について、参考になる記述がお伽草子の『筆結物語』にあります。

この内容がどの程度一般化できるのかわからないのですが、簡単に以下に掲載しておきます。
【読書】
1)孝経…忠臣は孝門から出るので
2)四書五経…孝経の後に読んで、仁義道徳を学ぶ
3)武七書…兵法を学ぶ
4)東坡・山谷詩・三体詩・詩学大成…詩・聯句の座での詩作のため
5)三代集・源氏物語・伊勢物語…歌・連歌の便りに
1)2)は修身道徳、3)は専門、4)5)は教養といったところでしょうか。 
しかし、読書=学文(学問)だけではだめで、しっかり体を使うことも必要だといいます。
いわば【体育】ですね。
飛越・早技・力技・荒馬・強弓・山を走る・水練
これが具体的な内容です。
面白いのは、山を走って鍛錬するのに鷹を使うこと、それから水練(水泳)をするのに鵜を使うことです。
こういった、伝統は、無論江戸時代にも引き継がれ、江戸時代には、藩校というものが各地につくられました。内容や規模は多様ですが、藩士の子弟は皆強制的に入学させ、庶民の子弟は入学できませんでした。後に、庶民に開放された藩校もあります。広義では医学校・洋学校・皇学校(国学校)・郷学校・女学校など、藩が設立したあらゆる教育機関を含みます。

全国的な傾向として、藩校では「文武兼備」を掲げ、7〜8歳で入学して第一に文を習い、後に武芸を学び、14〜15歳から20歳くらいで卒業する。教育内容は、四書五経の素読と習字を中心として、江戸後期には蘭学や、武芸として剣術・槍術・柔術・射術・砲術・馬術などが加わりました。

会津藩藩校 日新館
藩校は、全寮制ではありませんでしたが、若い時期に徹底的に詰め込みをするということでは、ボーディングスクールに似ています。江戸時代には、藩校のほかに、私塾も多くつくられました。その中で、一番成功したのは、吉田松陰の松下村塾です。これは、松下政経塾とは、対照的に明治維新の立役者を多数輩出しました。

とにかく、いわゆる、リーダーを育てるような学校は、古今東西をとわず、若い時期に詰め込みをするということでは共通点があります。そうして、日本では、近代的ないわゆる大学や、大学院という教育機関がなかったにもかかわらず、幕末、明治維新には、多くの傑出した人物が現れました。やはり、日本では、伝統的な若い時代の詰め込み教育が、藩校などにも引き継がれていて、だからこそ、未曾有の転換期にも対応できたのだと思います。だからこそ、明治の先達は、世界でも稀有ともいわれる、無血大革命に成功し、日露戦争に勝利するという大偉業を達成できたのだと思います。

萩藩校 明倫館跡
やはり、頭の中に知識がある程度詰まっていなければ、クリエーティブにもなれないし、クリエーティブさが欠けていたては、リーダーたるものの器ではなく、そんなものに、国の政治など司ることなど到底不可能であるため、自然とこうした形が出来上がったのだと思います。

日新館での学習風景(再現)
若いうちに、頭の中に様々な知識を詰め込むというということが、やがて、大人になったときに、知識と知識をつなげるクリエーティブな頭になれるということです。だから、最近の教育は、「ゆとりの教育」などといって、中高あたりで詰め込みをやらせないため、クリエーティブではなく、リーダーとしての器の欠ける人間をつくりだしてきたということで罪深いことだと思います。

そうして、松下政経塾もその例外ではないということです。どうして、こんなことになったのか、本当に理解に苦しみます。

今からでも、遅くはないので、詰め込み教育を再開すべきです。松下政経塾も、やり方を改めるべきと思います。



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