2015年11月9日月曜日

“世界で最も他人に冷たい先進国”日本が知るべき言葉「大きい者が小さい者を助けるのは当たり前」―【私の論評】過去20年近くもデフレだった日本とそうではない国々とを同列に論じるのは間違い(゚д゚)!

“世界で最も他人に冷たい先進国”日本が知るべき言葉「大きい者が小さい者を助けるのは当たり前」

松田扶美


ピアニスト内田光子さん

内田光子氏が日本の「世界文化賞」を受賞した。イギリス在住で若い頃から世界各地で活躍する彼女はあまりにも有名なピアニストだ。

受賞の言葉に「受賞金の一部でシリアから防寒着もなく逃亡してくる子供たちに1万枚の毛布を寄付したい」と語った。

私にはそれはまったくごく当たり前のことに聞こえる。彼女ほどの大物でなくても、例えば中学生でもプレゼントされた一部を自分より弱い立場の者に何か貢献したいと寄付することはよくある。

「大きい者が小さい者を助けるのは当たり前」という言葉があることを知ったのは、30年も前、貧乏で無名の創作家だったとき、知人の紹介で有名な女優が朗読してくれ、作品を救ってくれた。そのお礼を月割で支払いしたいと申し出たが、彼女は笑って「大きい者が小さい者を助けるのは当たり前」と言って、「将来いつか、あなたが大きい者になって、私を雇ってくれることになるかもしれないわよ」と言ってくれた。

こちらでは、資産家であっても、スポーツ選手であっても、芸術家であっても、大きくなって成功した者は、社会に還元するのが当たり前と考える人が多い。知る限りの有名人は自分の趣味や専門分野で財団法人を持っている。

つまり、社会的に名のある者は社会を救い、貢献できる選ばれた者だから、社会もそれを期待している。彼らは寄付しても損することはない。税金面で考慮されるし、社会的にもっと尊敬を得られる。

先日「世界で最も他人に冷たい先進国は日本」という統計がイギリスの「Charities Aid Foundation」から発表され、それに対する日本人のコメントが沢山寄せられていたのを読んだ。

その記事はこちら。

世界で最も他人に冷たい先進国、日本

私が思うに、「他人に迷惑をかけないで生きている」のだから「お前も迷惑かけるな」とか、「弱い者は自分の責任だから知ったことではない」とか、「国か誰かが面倒みてやるべきだ。自分の責任の範囲ではない」とかではないだろうか。

「日本人は『おもてなし』はできても『思いやり』はない」とスウェーデン出身の日本在住のタレントが言っているのを読んだ。私も当たっているところがあると思う。

【私の論評】過去20年近くもデフレだった日本とそうではない国々とを同列に論じるのは間違い(゚д゚)!

この記事を読んで残念に思った人は多いことでしょう。私も非常に残念に思いました。しかし、日本人が世界で最も他人に冷たいというのは、私自身は受け入れがたい事実です。

私は、決してそうではないと思います。日本人が、世界で最も他人に冷たくなったようにみえるのは、それはそれなりに原因があると思います。

なぜ、そうなってしまったのか・・・・。それには、それなりの背景があると思います。世界の他の国々には見られない、日本の特異な状況を見極めないと物事の本質を見失います。

では、他国と日本の違いは何かといえば、他国はそうではないのに、日本だけが、過去20年近くも酷いデフレに見舞われてきたという事実です。

このデフレ、せいぜい5年くらいであれば、そうでもないですが、日本では過去16年間完璧なデフレでした。デフレ気味ということでいえば、20年にもなりました。このようなことは、他国ではありませんでした。本当に日本固有の現象です。

そうして、デフレは、インフレとは異なり、年率でもせいぜい2%くらいにしかならないので、数年くらいではその悪影響はあまり目立ちませんが、さすがに10年以上も継続すると、経済的な事以外にも、人々の心にかなり暗い影を及ぼします。

それについては、昨日もこのブログに掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
借金883万円……カラダを売って大学進学?“女子大生風俗嬢”大量参入の背景とは―【私の論評】10%増税して、追加金融緩和もしないなら、さらに“女子大生風俗嬢”大量参入を促すことになる(゚д゚)!
 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事からデフレがいかに若者にとって、経済的虐待になっているかを示した部分のみを以下に引用します。

だから、私自身は、大学生活とはそんなもの(ブログ管理人注:デフレでない時の呑気な私の学生生活を示しめした)と、長い間思って過ごしていましたが、今が十年くらい前から、新卒の人と話をすると、そうではないことがわかりました。一番驚いたのは、札幌の大学で4年間過ごしながら、薄野に一度も飲みに行ったことがないという新人でした。

毎年開催される「ススキノ祭り 花魁道中」出発地所 豊川稲荷
その人にどこに飲むときはどこで飲んだのかと聴くと、家飲みがほとんどで、たまに自宅近所の居酒屋に行く程度だと語っていました。そうして、この新人は、家庭は比較的裕福だとみえて、学費は親に全部支払ってもらったそうで、それでもバイトをしていたというので、遊び用の車でも買ったのかと思い、稼いだ金はどうしたのかと聴くと「ほとんどを生活費と貯蓄にあてていた」というので、本当に驚いてしまいました。 
そうして、その貯蓄額が数百万ということで、またまた驚いてしまいました。とにかく、私達の頃とは、大学生も様変わりしたということです。とにかく、私達の時代は、大学生というと、遊ぶのが当たり前でしたが、今の学生はそんなことはないのです。 
この新人も、親が比較的裕福で、学費を支払ってもらい、その上バイトまでしていたのというのですが、なにしろ、自分の周りの人のほとんどが、かなり倹しい生活をしていたので、自然とそれに合わせて、倹しい生活をして、余ったお金は貯蓄したというのが実体なのだと思います。 
全く信じがたいことです。しかし、なぜこのようなことになってしまったのかといえば、無論学費が従来よりも上がったということもありますが、それ以上に悪影響を与えたのがデフレです。 
確かに、私が学生時代のときは、不景気なこともありましたが、最低限デフレであったことはありませんでした。だから、若者が今のように、将来に不安を抱えているということはありませんでした。 
ある程度有名な大学であれば、いずれどこかの一部上場企業などには、さほど無理しなくても入れるだろうと、多くの人が思っていました。有名大学でなくても、まあ何とかなり、それなりの企業に入れるし、一人前になれるだろうと、漠然とそう思っていました。 
そうして、今から考えると信じがたいことですが、普通の若者がとんでもない高級車を購入していました。1000万以上の車を購入している若者もいました。なぜそんなことができたかというと、良い車なら、比較的メンテを良くしておけば、比較的良い価格で中古車として転売できたからです。今なら信じがたいことです。 
しかし、本当にデフレになってからは、激変しました。若者は、酒をあまり飲まなくなり、車を買うこともなくなり、あまり遊ばなくなりました。 
そうして、有名大学や大学院に行っている学生ですら、卒業と同時に数百万の借金を抱えるということも珍しいことではなくなりました。 
何よりも激変したのは、学生の親の賃金が増えるどころか、減ってしまったことです。さらには、その親もいつリストラにあうかもわからず、常に将来に不安を感じるようになりました。その親をみて、育った子どもも、親を見習い、常に節約し、無駄遣いはしなくなり、遊ばなくなりました。そうして子どもも、大学を卒業しても、まともに就職できるかどうかもわからず、将来に不安を抱えるようになりました。
紫色:デフレ状態 紺色:0 - 2% 水色:2 - 5% 緑色:5 -10% 黄緑色:10-15% 橙色:15%-25%
赤色:25%以上 (
CIA調べ、調査年度は国ごとに異なる)クリックすると拡大します

これは、20年近くも日本が経済の癌ともいわれる、デフレを放置してきたからにほかなりません。デフレは、年長者にとっても、大変なことですが、これから旅立とうとする若者にとっては、経済的虐待にほかならないものでした。 
しかし、2013年からは、日銀が金融緩和に転じ、雇用などの数値もはっきりと上向いていたにもかかわらず、昨年の4月からは、8%増税を実施し、経済は低迷しました。 
今の日本は、言葉の厳密な意味においては、もはやデフレではありません。 
しかし、過去20年近く続いた、デフレの悪影響はまだ色濃く残っています。だからこそ、実際にこのブログ冒頭の記事のようなことが未だに継続されているのです。 
こんな状況をはやく脱却するためには、財政均衡主義ではなく、やはりさらなる追加金融緩和を実行し、増税などの緊縮財政をするのではなく、公共工事の供給成約はあるものの、公共工事も増やせるだけは増やして、その他に、減税や、給付金政策を強力に実行して、経済を成長させいち早くデフレから完璧に脱却すべきです。 
そうすれば、税収もあがり、財政赤字もなくなります。まさに、経済成長なくして、財政均衡などありえません。10%増税などすれば、また深刻なデフレに見舞われ、税収が減り、財政赤字が増えることになります。 
とにかく、今の財務省や政治家や、マスコミ、識者など、あまりに現在の若者の実体を知らなさすぎます。だから、平気で10%増税などと言い出すのです。
この記事の私の論評では、デフレではなかった頃の私の学生生活と、最近の若者の世知辛い学生生活を対比しましたが、これはあくまで、私の周りの人ということで、この人たちはそれなりにまだ恵まれているのだと思います。現実には、デフレの影響は甚大です。

それを示す記事を以下に掲載します。
若年者死因トップは自殺 先進7か国で日本のみ―【私の論評】若者の死因の第一位が自殺になったのは、デフレ退治をしなかったことによる大きな罪ということを理解しない人が多いためますます、悲劇が続く?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、日本の若年者死因のトップが自殺ということは、他国には見られないことであり、そのような国は他国にはあまりありません。

 

そうして、この背景にはデフレの悪影響があります。

さらに、デフレの悪影響に関しては、さらに辛辣なことを言う、経済学者もいます。それに関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

【田中秀臣氏TW】財務省は「人殺し」の機関の別称だといって差し支えない―【私の論評】政治主導を実現するため、財務省殺人マシーンは分割して破壊せよ!日銀殺人マシーンの亡霊を蘇らせないために、日銀法を改正せよ(゚д゚)!
この記事も、詳細は、元記事をご覧いただくものとして、この記事では、以下の田中秀臣氏の以下ツイートを掲載し、それに対する私の論評を掲載しました。

財務省は「人殺し」の機関の別称だといって差し支えない。もし私の前に財務省の官僚で(現状の日本経済での)増税派がいれば、遠慮なく「この人殺しめ」といわせていただく。それぐらい言わないではこの世は浮かばれない。批判したいバカはどうぞご自由に。こちとら実名でやってる覚悟があるんだよ。

さて、このツイートを皆さんは過激だと思うでしょうか。私は、そうは思いません。それは、統計数値にしっかりと示されています。そのグラフをこの記事から以下にコピペさせていただきます。


当時の日本は、日銀は金融引き締め政策を頑なに維持し、97年には5%増税がなされました。そうして98年には、日本は完璧にデフレに陥りました。前の年までは、自殺者数は2万人台だったのですが、98年には3万人台になりました。そうして、内訳をみてみると、経済苦を理由に自殺する人がかなり増えた時期でもあります。

デフレが以下に悲惨なものか、このブログでは過去にいくどもそれに関して掲載してきましたので、その記事のリンクを以下にさらに掲載します。

「子どもが生まれたら10人に1人、離婚したら半分以上が貧困になる時代を生きる」―【私の論評】ちょっと待ってくれ、貧困の大きな原因の一つとして、個々人の努力や社会制度の問題の前にデフレがあるのでは(゚д゚)!
40歳未満の非正規社員57%が「自活できない」 9割が年収「300万円未満」-【私の論評】ちょっとまってくれ、非正規社員の多くが自活できないのは、デフレのせいではないのかい!朝日新聞をはじめとするメデイアの虚偽報道によって創作されたもう一つの歴史問題に注目せよ(゚д゚)!

これらの記事は、ほんの一部に過ぎません。このブログでは、デフレの悪影響をかなり掲載してきました。

そうしてた経緯から、このブログ冒頭の記事のように、デフレではなかった他国と単純に比較しいて、日本人には「思いやり」がないなどと断じるのは、間違いだと思います。

ことわざに、「衣食足りて礼節を知る」というものがありますが、まさに過去の日本人はデフレで、衣食も足りていないような状況でした、将来にそこはかとない、不安を感じている人が、心に余裕を持てるはずはありません。

このような環境にあったからこそ、日本人は心に余裕を失い、一見「思いやり」がないように見えるようになってしまったのです。

日銀は、2013年より、金融緩和に転じ、デフレが解消される兆しが随所に観られるようになりました。ところが、平成14年4月から、8%増税が導入され、せっかく金融緩和によって、良くなった経済が振り出しに戻ってしまいました。

こんなことは、はっきりしているにもかかわらず、財務省は、財政均衡のために、10%増税を声高に叫び、それに賛同する人々も大勢います。しかし、財政均衡を目指して、増税しても税収は減り、財政赤字は期待できません。

まさしく、経済成長なくして、財政均衡はありえないのです。にもかかわらず、財務省は増税を声高に叫びます。

そうして、ブログ冒頭の記事には、寄付の話がでてきました。そうして、日本人は寄付をしないから、「思いやり」がないなどと日本を批判しています。

しかし、それは真実ではありません。欧米では、とにかくNOPなどに寄付すると、かなりの減税措置があります。だから、お金を儲け過ぎで、税金で取られるくらいなら、自分の金の使いみちのわかるNPOや社会事業に寄付したほうが良いと考える人も大勢います。

しかし、日本では、財務省による財政民主主義という壁があります。財務省の立場としては、多くの金が寄付にまわるということは、財政民主主義の考え方からすると、好ましくないというのです。

ですから、日本では、NPOや社会事業に多額に寄付したとしても、減税措置がないか、あったにしても、微々たるものです。だから、日本では寄付金文化が根付いていません。

だかからこそ、これをもって、日本人には「思いやりがない」などと断定することは間違いだと思います。

それにしても、財務省は、増税もそうですし、似非財政民主主義といい、本当に罪深い組織だと思います。

日本がデフレから完璧脱却し、数年すれば、日本人にも余裕ができ、本来日本人が持っている「思いやりの心」も、「おもてなしの心」と同じように日本人の美徳として、認識される時代がくると思います。

私は、そう思います。みなさんは、どう思われますか?

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