2015年11月8日日曜日

借金883万円……カラダを売って大学進学?“女子大生風俗嬢”大量参入の背景とは―【私の論評】10%増税して、追加金融緩和もしないなら、さらに“女子大生風俗嬢”大量参入を促すことになる(゚д゚)!


屈託のない女子大生 写真は本文とは直接関係ありません 以下同じ
 ノンフィクションライター・中村淳彦さんは、新著『女子大生風俗嬢』(朝日新書)で、ここ10年、女子大生が風俗に続々と参入し続けているという驚愕の現実を伝えている。

これまでにも『日本の風俗嬢』(新潮社刊)、『ルポ 中年童貞』(幻冬舎刊)など、風俗業やアダルトビデオ業界についての著作に定評がある中村さんによると、どの風俗店にも一定数の女子大生風俗嬢が存在するという。

彼女たちがセックスワークを選ぶ理由は決して“遊ぶ金欲しさ”などではなく、ほとんどが「学費を払うため」だ。

いわゆるバブル世代と呼ばれる世代は、世帯収入が高く、大学の学費は親が支払うことが当然だった。しかし、慢性的な雇用不安や格差拡大を背景に、現代では大学進学までの学費を負担できない家庭も多い。多くの若者が、自力で学費を捻出しなければならなくなっているのだ。

さらに学費の高騰が学生たちを苦しめている。日本の大学の授業料は、近年上昇し続けており、1960年代の国立大学の授業料は、年間1万2000円だが、それが今では年間授業料は53万円にも上る。貨幣価値の上昇を勘案しても、格段に高騰しているのは間違いない。

学費を払うために、長時間のアルバイトで疲弊し、学業が疎かになってしまっては本末転倒。同書に登場する女子大生風俗嬢は、過労死レベルの“ブラックバイト”で消耗するよりも単価が高い風俗で働けて良かった、そのお金で海外留学したい、就職活動に集中したいと述べる。向上心が高い学生ほどカラダを売っているという、皮肉な現象が起こっているのだ。

何も風俗までしなくても、学費が払えないならば“奨学金を利用すれば学費は賄えるのでは?”と考える人も多いだろう。実際に、経済的に進学が困難でも、奨学金の恩恵を受けて高等教育を受けるチャンスを与えられた人は多い。

高円寺の風俗街
 だが、中村氏によれば奨学金制度は、使い方によってはかえって自分の首を絞めかねない面もあると述べる。

奨学金といえば日本学生支援機構(旧:育英会)の制度が代表的だが、同機構の奨学金には、無利子の第一種奨学金と、有利子の第ニ種奨学金があり、いずれも返済義務がある“貸与”だ。大学卒業後も返せない人が続出し、訴訟にまで発展していることも知られている。

たとえば同書で取り上げた、沖縄県内の私立大学に通う20歳の女子大生は、第一種奨学金を毎月6万4000円、第ニ種奨学金を毎月12万円も借り、返済額は4年間で883万円にも上る。沖縄県内では、新卒の給与は手取りで14万円が平均。そのなかから毎月3~5万円を、15~20年にわたり返済していくことになる。

中村氏は、社会人へのスタートを切る時点で1000万円近くの借金を背負うことのリスクに警鐘を鳴らす。もっとも、自己破産相当の高額な借金を負っているのは彼女だけではない。沖縄県では、ほとんどの学生が奨学金で大学に進学している。最低賃金680円のアルバイトで年間100万円近くの学費を賄うのは難しく、勉強の時間と学費を確保するための割のいいバイトといえば、「風俗嬢とキャバ嬢くらい」(同書より)なのだという。

あくまでも自身の個人的見解であるが、と断った上で中村氏は、その大学を卒業することでバリバリ稼げて、速やかに奨学金を返済できる見込みがないのならば、安易に大学に進学すべきではない。学費が安い通信制の大学を選択することも視野に入れて、現実的に自分の進路を熟考すべきだと訴えている。

大学進学のためにセックスワークに従事する彼女たちのリアルに迫った中村氏は、「これから女子大生風俗嬢は、ますます一般化することは間違いない」(同書より)と断言している。

【私の論評】10%増税して、追加金融緩和もしないなら、さらに“女子大生風俗嬢”大量参入を促すことになる(゚д゚)!

上の記事どの程度実体を表しているかは、疑問符がつきます。とにかく、この手の報道や、書籍など昔からあるように、「犬が人を噛んでもニュースにはならないが、人が犬を噛むと大ニュースになる」という具合に、センセーショナルなことを取り上げがちです。

そうしてなぜ、女子大生が風俗でバイトをするのか、その背景についてはミクロ的な説明はありますが、マクロ的なものは一切ありません。これでは、このような不幸な事態がなぜおこるのか十分に理解することはできません。

ただし、それを割り引いても上の話は、統計的にどうのこうのとか、マクロ的にどうのこうのと言う前にありそうな話しではあります。

というのも、最近の新卒の人たちと話をすると、特に10年前くらいから、奨学金といはいいながら、実体は就学ローンとでも言ってよいくらいの、借金を抱えている人が結構増えていたからです。

今や大学や大学院を卒業したとたん、数百万円の借金を抱えている人など珍しくもありません。



それも、私立大学ではなく、有名国立大学や大学院卒の人でもそういう人は珍しくはありません。実際、そういう人たちと話をしたことなど、何度もあます。一人、二人の話ではありません。毎年新卒の中にそのような人は必ずいます。

女性の新卒の人でも、そのような人は珍しくはありません。だから、女性の場合、数多くの中には、上記のように風俗でバイトをして、借金を背負わないにすることを考える人も、実数はどうなのかは別にして、出てくるのが自然の流れだと思います。

それにしても、私が大学生だった頃は、相当昔ですが、少なくとも私の身の回りには、このように借金を抱えている人はかなり少なかったと思います。

私自身は、当時は今から比較すれば、学費も破格の安さだったので、学費は全部親に払ってもらっていました。にもかかわらず、バイトをしていました。なぜバイトをしたかというと、遊ぶ金欲しさというのが一番で、その次の同期が社会経験を積みたいとというものでした。

どんなバイトをしたかというと、今でいうところのブログラマーもどきというやつです。大学での専門は、コンピュータ関係ではなかったですが、それでも大学ではコンピュータ・サイエンスも習っており、実習もありました。

その時に一生懸命勉強して、あるシンクタンクで、プログラミングのバイトをしました。ただし、ブログラミングとはいっても、そんなに高度なものでもなく、今からすると、良くあんなことでお金がもらえたものだと思ってしまいます。しかし、これが予想以上に良いバイトで、かなり稼いだことを覚えています。特に夏休みなどは、毎日のようにシンクタンクに行ってプログラミングをしました。

そうして、半年後には、ブログラミングだけではなく、他の企画の仕事もこなすようになり、後輩のバイトを指導するようになり、給料はさらにあがりました。

わからないところは、シンクタンクの上司にも聴きましたが、さらに大学の先生にも聴いたりして、かなり勉強にもなり、実利もありました。夏休みなどは、月30万以上も稼いだことがあります。

このようなこともあり、卒業して、普通の会社に入るのが怖くもありました。なぜなら、会社に入れば、最初は給料が少なく、バイト時代よりも現金収入が少なくなるのを恐れたからです。

こういうと、私ばかりがかなり稼いでいたと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。私の知り合いで塾講師をしていた女子学生もいましたが、その人もかなり高給で、夏休みなどは私と同じくらい稼いでいたようです。

女性の塾講師

それどころか、その塾は会社組織で、かなり大きい会社だったので、毎年研修旅行と称してハワイ旅行などをしていましたが、いくつかの条件をクリアしていると、バイト講師でも、その旅行に参加できるということで、その人も参加していました。今もその会社はありますが、さすがにハワイへの研修旅行はしていません。

同じ大学の知人の中には、要領が悪くて、マクドナルドでバイトをしていた人もいましたが、それでも、今の水準からすれば、結構賃金は高かったと思います。それに、大学4年間ずっと、バイトをしていたので、後のほうでは、バイトのリーダーをしていました。

夜遅くまでバイトしていたので、学校ではいつも眠そうで、実際寝てしまうこともしばしばありましたが、それでも、留年することもなく、まともに卒業して、結構良い会社に就職していました。

マックのバイト募集のHP


こんな状況だと、多少無理すれば、親が学費を払えなくても、バイトすれば奨学金を貰わなくても何とか卒業できるし、たとえ奨学金をもらっても、少額ですみますし、それになんといっても、卒業すれば、よほどのことがない限り必ずどこか、それなりのところに就職できるのは間違いないような状況なので、少なくとも私の周りには、卒業したとたん数百万の借金などという話はあまり聴いたことがありませんでした。

だから、私自身は、大学生活とはそんなものと、長い間思って過ごしていましたが、今が十年くらい前から、新卒の人と話をすると、そうではないことがわかりました。一番驚いたのは、札幌の大学で4年間過ごしながら、薄野に一度も飲みに行ったことがないという新人でした。

毎年開催される「ススキノ祭り 花魁道中」出発地所 豊川稲荷
その人にどこに飲むときはどこで飲んだのかと聴くと、家飲みがほとんどで、たまに自宅近所の居酒屋に行く程度だと語っていました。そうして、この新人は、家庭は比較的裕福だとみえて、学費は親に全部支払ってもらったそうで、それでもバイトをしていたというので、遊び用の車でも買ったのかと思い、稼いだ金はどうしたのかと聴くと「ほとんどを生活費と貯蓄にあてていた」というので、本当に驚いてしまいました。

そうして、その貯蓄額が数百万ということで、またまた驚いてしまいました。とにかく、私達の頃とは、大学生も様変わりしたということです。とにかく、私達の時代は、大学生というと、遊ぶのが当たり前でしたが、今の学生はそんなことはないのです。

この新人も、親が比較的裕福で、学費を支払ってもらい、その上バイトまでしていたのというのですが、なにしろ、自分の周りの人のほとんどが、かなり倹しい生活をしていたので、自然とそれに合わせて、倹しい生活をして、余ったお金は貯蓄したというのが実体なのだと思います。

全く信じがたいことです。しかし、なぜこのようなことになってしまったのかといえば、無論学費が従来よりも上がったということもありますが、それ以上に悪影響を与えたのがデフレです。

確かに、私が学生時代のときは、不景気なこともありましたが、最低限デフレであったことはありませんでした。だから、若者が今のように、将来に不安を抱えているということはありませんでした。

ある程度有名な大学であれば、いずれどこかの一部上場企業などには、さほど無理しなくても入れるだろうと、多くの人が思っていました。有名大学でなくても、まあ何とかなり、それなりの企業に入れるし、一人前になれるだろうと、漠然とそう思っていました。

そうして、今から考えると信じがたいことですが、普通の若者がとんでもない高級車を購入していました。1000万以上の車を購入している若者もいました。なぜそんなことができたかというと、良い車なら、比較的メンテを良くしておけば、比較的良い価格で中古車として転売できたからです。今なら信じがたいことです。

しかし、本当にデフレになってからは、激変しました。若者は、酒をあまり飲まなくなり、車を買うこともなくなり、あまり遊ばなくなりました。

そうして、有名大学や大学院に行っている学生ですら、卒業と同時に数百万の借金を抱えるということも珍しいことではなくなりました。

何よりも激変したのは、学生の親の賃金が増えるどころか、減ってしまったことです。さらには、その親もいつリストラにあうかもわからず、常に将来に不安を感じるようになりました。その親をみて、育った子どもも、親を見習い、常に節約し、無駄遣いはしなくなり、遊ばなくなりました。そうして子どもも、大学を卒業しても、まともに就職できるかどうかもわからず、将来に不安を抱えるようになりました。

紫色:デフレ状態 紺色:0 - 2% 水色:2 - 5% 緑色:5 -10% 黄緑色:10-15% 橙色:15%-25%
赤色:25%以上 (
CIA調べ、調査年度は国ごとに異なる)クリックすると拡大します

これは、20年近くも日本が経済の癌ともいわれる、デフレを放置してきたからにほかなりません。デフレは、年長者にとっても、大変なことですが、これから旅立とうとする若者にとっては、経済的虐待にほかならないものでした。

しかし、2013年からは、日銀が金融緩和に転じ、雇用などの数値もはっきりと上向いていたにもかかわらず、昨年の4月からは、8%増税を実施し、経済は低迷しました。今の日本は、言葉の厳密な意味においては、もはやデフレではありません。

しかし、過去20年近く続いた、デフレの悪影響はまだ色濃く残っています。だからこそ、実際にこのブログ冒頭の記事のようなことが未だに継続されているのです。

こんな状況をはやく脱却するためには、財政均衡主義ではなく、やはりさらなる追加金融緩和を実行し、増税などの緊縮財政をするのではなく、公共工事の供給成約はあるものの、公共工事も増やせるだけは増やして、その他に、減税や、給付金政策を強力に実行して、経済を成長させいち早くデフレから完璧に脱却すべきです。

そうすれば、税収もあがり、財政赤字もなくなります。まさに、経済成長なくして、財政均衡などありえません。10%増税などすれば、また深刻なデフレに見舞われ、税収が減り、財政赤字が増えることになります。

とにかく、今の財務省や政治家や、マスコミ、識者など、あまりに現在の若者の実体を知らなさすぎます。だから、平気で10%増税などと言い出すのです。

確かに、パブルの時代にも女子大生の風俗嬢がいたという話は聴いたことがあります。しかし、この時代であれば、多くの女子大生が、風俗嬢をして学費を楽に稼ぐことも、他のバイトでも何とかできたはずです。そうです。選択の自由度がかなり高かったのです。

しかし、デフレの時代には、選択の幅はかなり狭くなります。選択の幅が極端に狭いということは、虐待と同じことです。

10%増税をするということは、さらに若者の経済的虐待を強化することに他なりません。これを実行すれば、このブログ冒頭の女子大生風俗嬢”大量参入"をさらに促すことになります。

そんなことは、これからの日本を将来を背負っていく若者のため、断じて許すわけにはいきません。また、若者も自分たちの将来を脅かす10%増税には、反対の声をあげるべきです。少なくとも、私たちが若かった時くらいの、選択肢を今の若者にも提供すぺきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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【関連図書】

日本の若者に関する書籍三冊を以下に掲載させていただきました。以下の書籍は、いずれもミクロ的分析ばかりで、マクロの視点を書いています。ただし、マクロ的視点を持ちながら読むと、日本のマクロ政策の間違いの証拠の宝庫でもあるといえます。非常に参考になります。

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