2016年4月23日土曜日

【緊迫・南シナ海】中国が「海上原発」建設を計画 人工島に電力を安定供給―【私の論評】核戦争瀬戸際までいったキューバ危機の再来になる可能性も十分にあり(゚д゚)!


4月22日、中国共産党機関紙・人民日報傘下の有力国際情報紙、環球時報は、南シナ海で行う
活動に電力を供給するため、中国が海上浮動式の原子力発電所を建設する計画だと報じた。写真は
衛星から撮影した南沙諸島のミスチーフ礁。1月8日撮影
 中国共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙、環球時報は22日、中国が周辺諸国と領有権を争っている南シナ海の人工島などに電力を供給するため、海上浮動式の原子力発電所の建設を計画していると伝えた。海上原発の設計・建設を担当する造船大手の幹部が同紙に計画を明らかにした。

 海上原発は南シナ海の人工島や軍事転用可能な施設に電力を安定供給することが期待される。中国の専門家は同紙に、「長期的な南シナ海戦略に重要な役割を持つ」と指摘。「防衛のための軍備」にも電力を提供できるとしている。2019年の実用開始を目指し最終的に20基が建設されるとの情報もあるという。

 一方、中国外務省の華春瑩報道官は22日の定例記者会見で「そうした報道に関する情報は持ち合わせていない」と確認を避けた。

【私の論評】核戦争瀬戸際までいったキューバ危機の再来になる可能性も十分にあり(゚д゚)!

上の記事では、掲載されていませんでしたが、ニューヨーク・タイムズによれば、この原発は遠隔地に「移動」させることができ、安定的な電力を供給するといいます。

原発の設計・建設を担当する造船大手の中国船舶重工集団幹部が同紙に対し、計画を進めていることを明らかにしました。この幹部は「何基の原発を建設するかは需要次第だが、需要はかなり強い」と述べました。

この「海上原発」は、おそらく浮体原子力発電所(ふたいげんしりょくはつでんしょ)のことを指していると考えられます。

これは、水上/海中の船体・浮体に原子炉が実装された発電所です。現在、フランスにおいて海底設置型の原子力発電所の開発、および ロシアにおいて海上に浮かべられた原子力発電所の建造が進められています。地震に強い、陸上から遠く離れた沖合いに設置して原子力災害の損害を押さえ込める、移設が可能などの、陸上原発にはない長所を有しています。

ロシアの浮体原子力発電所概念図
海中型の場合 陸上の原発に比べ下記のような特徴を有しています。

長所
  • 地震に強い
  • 津波に強い
  • 落下物および軍事攻撃に強い
  • 全電源喪失でも海水の注水は容易
  • 船体が海水で冷やされているのでメルトスルーしにくい
  • 万一爆発しても水圧で爆発が減殺されセシウム散布半径が狭まる
  • 離島沖合いに設置した場合、万一爆発しても本土にセシウムはかからない
  • 移設が可能で、先進国に運搬してメンテナンスすることも可能
短所
  • 船体建造費がかかる(浜岡堤防程度1000-3000億円の費用がかかる)
  • 通勤が困難(無人・遠隔操縦化するか 家族とも支援船で生活か)
  • 海中送電線は数百kmクラスが実用化しているが費用が多少かかる
  • 海中への固定・位置保持が問題である。
  • 現状、存在するフランスのフレックスブルー(Flexblue、後述)計画は、原子力災害への対応を想定した設計というより、途上国への輸出や遠隔植民地の島嶼への設置を設計意図としているために、陸地との離隔、潜水深度が充分ではない。原子力災害を想定するなら陸地から数百km沖合いで、あんこう等の商業海産資源の生存域(水深500m)より深海設置でなくてはならない。
このような、発電所をつくるとなると資金もかなりかかりますし、時間も相当かかります。ロシア等はすでに計画に着手していますが、中国ではまだ構想段階に過ぎないと思われます。

しかし、このような海上原発が南シナ海に配備されるということになると、大規模な軍隊など駐屯しやすくなります。

中国は完璧に南シナ海を実効支配しようとしているのは、前からも明らかですが、今回のこの発表によって一層明白になりました。

その中国は、東シナ海や尖閣でも実効支配を企んでいます。それについては、このブログでも以前掲載したことがあります。

その記事のリンクを以下に掲載します。
中国紙が社説で「尖閣に自衛隊派遣なら軍艦出動」「数、日本の比ではない」―【私の論評】中国が一番恐れるのは、日本の武力によって尖閣付近から中国の勢力が排除されること(゚д゚)!
2012年10月4日午後6時から7時にかけ、沖縄県の宮古島の北東海域で中国艦艇7隻が通過。写真は
そのうちの三隻。上より、ルージョウ級ミサイル駆逐艦(116)、ジャンカイⅡ級フリゲート艦(546)、
ダーラオ級潜水艦救難艇(864)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分を以下にコピペします。
私としては、中国側は、本当に軍艦を出せば良いと思います。そうしてそのような場合は、日本側としては、領海や領空を侵犯した場合、撃沈、撃墜すれば、それで良いと思います。そうしたからといって、当の中国は屁理屈をつけて吠えるかもしれまんせんが、中国と日本が本格的な総力戦をはじめたりすることもないでしょうし、世界中のどこの国も中国に同調することはありません。

というより、アジアの中国、北朝鮮以外の国々は、これを歓迎することでしょう。それに、中国が尖閣付近で、前々から度重なる挑発行為を繰り返してきたこと、日本と中国の間にはもともと、領土問題など存在しないことをアピールすれば、アジア以外の国々も、歓迎することでしょう。

ロシアなどは異議を唱えるかもしれませんが、そのあたりは、このブログにのべたように、従来から比較するとかなり北方領土の交渉がやりやすくなっていますから、意外と唱えなくなることも考えられます。いずれにせよ、圧倒的多数の国々が、異議を唱えるなどということはしないでしょう。

さらに、南シナ海での米軍もこれに勇気づけられ、南シナ海の中国の軍事基地に対しても、艦船や潜水艦で包囲し、それを妨げようとする艦船、航空機に攻撃を加え、南シナ海からの中国の軍事基地の排除に踏みきる良いきっかけになることでしょう。
中国側としては、南シナ海ではこのブログでも先日もご紹介したように、海自護衛艦の“歴史的”寄港で南シナ海「対中包囲網」ができあがりつつあること中国にみせつけ、日米比越4カ国で中国を威嚇したこともあり、それにたいする報復として、「海上原発」の南シナ海への派遣を表明したのだと思います。

海上ヘリコプター搭載護衛艦「いせ」は、今月12~16日の日程でインドネシアの
パダンで開かれた多国間共同訓練「コモド」や国際観艦式に参加
 今月3ユチフィリピンのスービック港に寄港した海上自衛隊の
潜水艦「おやしお」(左)、護衛艦「ありあけ」と「せとぎり」
中国側としては、米軍と本格的に対峙するとなると、全く勝ち目はないので、南シナ海に米国が介入してきたことにより、相当の危機感を抱いています。

さらに、海軍力では中国よりはるかにまさる、日本の自衛隊が艦を派遣してきたことにより、日米双方と、周辺諸国による中国囲い込み体制が完成しつあることに対してかなりの脅威を感じているはずです。

中国では、このブログでも何度か掲載していますが、習近平は権力の掌握に未だ成功ししていないどころか、権力闘争に一歩どころか、数歩も後退しています。

習近平国家主席を後ろから手をかけて呼び止め、話しかけた
王岐山氏。習近平の権力闘争が数歩後退した?

しかし中国では、まだ習近平失脚の報道はなされないところから、習近平と反習近平派の権力闘争の決着はついていないようです。

そうなると、習近平にしても反習近平派としても統治の正当性を強調するためには、東シナ海や、南シナ海の手詰まり状況を打開する必要があります。

おそらく、今回の「海上原発」は、どちらの派閥からでてきたものかは、わかりませんが、そういった流れの中の一つであると考えられます。

とにかく、「海上原発」を南シナ海に派遣して、電力供給に成功したということになれば、中国内の評価は高まります。計画を発表したり、実際に着手するだけでもかなり効果があるかもしれません。これは、海軍力では日米に比較して、圧倒的に劣る中国の窮余の一策であると考えられます。

本格的な軍事衝突では、全く勝ち目がないので、「海上原発」の派遣と、南シナ海軍事基地への電力供給ということで、中国国内に向けた示威行動の一つということが考えられます。

しかし、これはすぐにできることではありません。それなりに時間のかかることです。

とはいいながら、これを許せば、南シナ海は中国の実効支配が成立することになります。日米ならびに周辺諸国は絶対にこれを許すべきではありません。

日米ならびに周辺諸国は、南シナ海の中国の軍事基地を艦船や潜水艦で包囲し、「海上原発」派遣ならびにその他の補給物資の供給を絶つべきです。それを妨げようとする艦船、航空機に攻撃を加え、撃沈、撃墜すべきです。

日本としては、直接攻撃には加わることはできませんが、世界トップ水準の対潜哨戒活動に参加し、中国の艦船、潜水艦の位置を把握し、中国海軍を丸裸にして、米軍や周辺諸国に強力すべきです。

いまのところ、「海上原発」の建造スケジューなどはっきりしませんので、あまりマスコミでも報道されていませんが、これを中国側が本当に実施するならば、第二のキューバ危機のような様相を呈することになるかもしれません。

キューバ危機の折にソ連の貨物船の上空を飛行するアメリカ軍のロッキードP-3(1962年10月25日)
キューバ危機(キューバきき、英: Cuban Missile Crisis、西: Crisis de los misiles en Cuba、露: Карибский кризис)は、キューバを舞台に1962年10月14日から28日までの14日間に亘って米ソ間の冷戦の緊張が全面核戦争寸前まで達した危機的な状況のことを指します。

中国が南シナ海に「海上原発」を派遣したり、さらに軍事力を強化すれば、さすがにアメリカも黙ってはいないと思います。

及び腰オバマはもう、すでにレームダック化していますが、アメリカ議会や次期アメリカ大統領はこのようなことを傍観することはないでしょう。

現在日本は、熊本震災への対応に追われていますが、このような危機も迫っているかもしれないことは忘れるべきではありません。

日本のパヨクの方々は、熊本震災で被害も受けていない川内原発の稼働を停止しろなどという要求をしてみたり、震災地でのオスプレイの救援活動などに難癖をつけているようですが、そんなことをするくらいなら、被災地の人々の声を聴き、そのニーズやウォンツに沿った活動を行うととも、中国の新た脅威に対しても非難の声をあげるべきです。

日本のパヨクの方々も、自然保護団体の方々もこのような中国の動きに声をあげないのは本当に不思議なことです。サンゴ礁を埋め立てただけでも、力による現状変更の実施であり、環境破壊でもあります。

シーシェパードなども太地町で漁民いじめるくらいなら、南シナ海の中国が埋め立てたサンゴ礁の上に上陸するとか、付近の中国艦船に体当たりするとか、そのような行動をとるべきです。

しかし、彼らはそんなことは絶対にしません。それは、中国に対してそのようなことをすれば、金にもならないし、命の保証もないからです。日本にすれば、金を出してくれる人がいるし、命の危険もないからです。

日本のパヨクも同じなのでしょう。中国のやることに反対しても、金を出してくれる人はいないし、やり過ぎれば命の危険もありますが、日本に対してなら、金を出す人がいるし、どんな場合でも命の危険などありません。

「海上原発」はまだまだ先のことかもしれませんが、今度こそ、国際社会は何がなんでも中国のこのような行動を阻止しなければなりません。そうして、日本としても今から覚悟を決めておく必要があります。

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