2016年4月6日水曜日

【突破する日本】「偏った」放送を繰り返すテレビ局に電波を独占させる必要はない―【私の論評】遅れた電波行政を正し、無線事業者の競争を促し新産業を興せ(゚д゚)!


テレビ朝日本社
 テレビ朝日「報道ステーション」のキャスターだった古舘伊知郎氏は3月31日の出演最終日、「人間は少なからず偏っている。情熱を持って番組を作れば偏るんです」と語った。放送法第4条の「政治的に公平であること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に反する放送をしてきたことを、白状したに等しいのではないか。

3月18日には、古舘氏自らドイツで取材したワイマール憲法からナチスの全権委任法へ至った経緯を紹介し、緊急事態条項を盛り込んだ自民党改憲草案を批判した。コメンテーターの早稲田大学の長谷部恭男教授にも自民草案を一方的に批判させた。自民党とナチスを重ね合わせ、「安倍晋三=ヒトラー」の印象操作をしたいらしい。

しかし、ナチスの負の歴史を克服した現在のドイツ憲法(基本法)にも「防衛上の緊急事態」条項(115a~l条)は存在する。緊急時における国家機関の機能を憲法に規定することは立憲主義の要請であり、ドイツ憲法も当初は規定がなく、1968年の改正で追加された。

憲法学者の長谷部氏も知らないはずがなく、あえて伝えないのは「少なからず」ではなく「大いに」偏っていると思う。

テレビなどの放送は、新聞などのプリント・メディアとは根本的に性質が異なる。国民の共有財産である有限の電波の使用免許を得ておこなっている事業だ。電波はテレビ局やキャスターの私物ではない。公共財としての意識を持たなければならない。

今、テレビ各社の上層部が恐れているのは、政府が「電波オークション」や「多チャンネル化」などの規制緩和を打ち出すことだ。

現在、電波、例えば東京周辺のテレビの地上波はNHKと民放キー局が独占している。いずれも昭和20年代から30年代にかけて放送免許を得て今日に至っている。その後の新規参入はない。これを公開入札によって電波の使用領域を決めようというのが「電波オークション」だ。新規参入が可能になる。

民主党政権時にも導入が検討され、格安の電波使用料が問題にされた。放送法制をあからさまに無視する「偏った」放送を繰り返す放送局に、未来永劫(えいごう)電波を独占させる必要はない。

「多チャンネル化」も同様で、デジタル化した今日ではテレビ地上波も技術的には100チャンネルが可能とされる。テレビ局が増えれば、既存のテレビ局はその中の1つでしかなくなる。CMも減る。民放は死活問題だ。

放送の「規制緩和」はテレビ局を震撼(しんかん)させるが、偏向放送を正す起爆剤になるのではないか。

 ■八木秀次(やぎ・ひでつぐ) 

【私の論評】遅れた電波行政を正し、無線事業者の競争を促し新産業を興せ(゚д゚)!

テレビやラジオなどの放送局が、国から周波数を割り当てられて行っている許認可事業であることは知られています。しかし、放送局が国に対して「電波利用料」を支払っているということを知っている人は、意外に少ないかもしれないです。また、電波利用料の存在を知っていても、それがどのくらいの額なのか知っている人はもっと少ないでしょう。

総務省は2013年2月末、この電波利用料の詳細を発表していました。その前に公開したのは2008年というのですから、ほとんどの人が知らないのも無理はありません。自民党の河野太郎衆議院議員は総務省に「テレビ局ごとの電波利用料の負担金額を出してほしい」と要求したところ、総務省の担当課長は「個別の負担金額は開示しておりません」と答えていしまた。

さらに河野氏が「どうして出さないのか」と尋ねると、その課長は「テレビ局のプライバシー」だと答えました。その後、自民党が総務省に強く要請し公開が決まったのですが、当時のの発表でわかったこては、テレビ局がボロ儲けしている実態でした。

2013年に発表さた、電波使用料の詳細を以下に掲載します。



テレビ局全体の電波利用料負担は、総計で34億4700万円にしかならないのに対し、営業収益は3兆1150億8200万円もありました。電波の“仕入れコスト”は、営業収益のわずか0.1%に過ぎないということが暴露されてしまいました。

河野太郎氏

これは、とてつもなく低いです。民間企業において、小売業で仕入原価が0.1%とか製造業で原材料費が0.1%などということにでもなれば、それこそ、タダ同然です。これでは、放送局など、よほどバカな真似をしないかぎり、安泰で、潰れようもないです。これでは、競争の原理など働きようもないですし、テレビ局等がなぜ、旧態依然としてしまうのか、納得できます。

電波法や総務省の資料によると、「電波利用共益費用」、つまり「電波の適正な利用の確保に関し無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用」の財源に充てるため、テレビ局やラジオ局、携帯電話会社など無線を利用する者が支払うものとなっています。

要するに、違法電波による混信障害などから電波環境を守るための経費を徴収するという名目でつくられた制度でする。

しかし、電波利用料を支払っているのはテレビ局などの放送局だけではありません。電波を使っている携帯電話会社も支払っていて、全額通話料として携帯電話ユーザーに転嫁されています。具体的には、携帯電話1台につき年200円ですが、携帯の支払い明細書に「電波利用料」という記載がないので、利用者が知らないのも無理はありません。

12年度の電波利用料収入は約715億円でしたが、内訳は携帯電話事業者が72.3%なのに対し、放送事業者はたったの7.2%に過ぎませんでした。NHKは電波利用料を受信料に転嫁していますし、民放は企業が支払うCM料に転嫁しています。つまり、電波利用料のほとんどは、携帯電話を使っている消費者が負担しているといってよいのです。

2011年の地上アナログテレビジョン放送の放送終了
テレビのデジタル化の財源はなんだったのか?

では、その電波利用料を、国は具体的に何に使っていたのでしょうか。

主な内訳は、次のようになっていました。

・地上デジタル放送総合対策:45.0%
・研究開発:18.0%
・総合無線局管理システム:9.8%
・電波監視:8.3%

支出の半分近くを占める地デジ対策費は、実質的には放送局などへの補助金であり、とくに地デジ化の資金繰りに苦しむ地方テレビ局を救済するかたちになっていました。

つまり、携帯電話利用者が支払っている電波利用料で、テレビ局を支えている構図になります。そのテレビ局はといえば、社員の給料が高いのは誰でも知っており、民法キー局の平均年収は軒並み1200万円以上です。公共放送たるNHKの平均年収も1185万円であることが 2013年2月に発表されていました。許認可事業のため事実上新規参入のないテレビ業界が濡れ手で粟というのには、かなりの違和感を感じざるを得ません。
電波オークションについて報じた当時の週刊誌
過去においては、自民党時代から、国民の公共財産ともいうべき電波の周波数を競争入札にかける「電波オークション」を導入しようという話が進んでいました。民主党政権では次回の電波割り当てから入札を実施することを閣議決定し、2012年の国会に電波法改正案を提出していました。

しかし、安倍政権に交代するや、当時の新藤義孝総務相は「今国会に(オークション導入の)法案を提出することはない」と言明し、電波オークションを葬り去ってしまいました。
当時も総務省が裁量で放送局や通信事業者に電波を割り当てて電波利用料を取っているのですが、その当時から利用が進む第4世代携帯電話向け電波などを入札にかければ、数千億円の収入になるとみられていました。

また、民主党政権下で電波オークション導入を提言した大阪大学の鬼木甫名誉教授によれば、当時テレビが占拠していた帯域も含めてすべてをオークションにかけたとすれば、30兆円近くの価値があるとのことでした。

安倍政権は国庫に入るはずだった数千億円に上るオークション収入をフイにしてまで、テレビ局などによるタダ同然の電波使用という利権を維持させることにしたのです。安倍政権がオークションを取りやめた理由として、「大メディアに恩を売りたかった」との見方もありましたが、真相はわかりません。

放送局と通信事業者にすれば、オークションが導入されれば外資など新規業者がライバルとして参入し、新たな脅威になっていたでしょう。それに対抗するには、現在支払っている電波料に加えて、オークションで競り勝つ高額な費用が必要になったはずです。特にテレビ局は、なんとしてもオークションを阻止したかったはずです。

総務省も実は、本音ではオークションをやりたくなかったと言われています。電波利用料は税金ではないため、財務省による再分配の対象とはならず、形の上では一般会計の総務省予算になっています。



ただ、電波法によって使い道が決められている特定財源であり、全額が総務省によって使われることになります。総務省の「隠れ特別会計」との指摘もあり、総務省が自分たちの裁量で使える予算でもあります。もし、オークションが導入されていたら、総務省はこの貯金箱を失い、財源を財務省に取られていたとの声もあります。

先ほど、電波利用料の使途内訳で「研究開発:18%」と掲載しましたが、これなどは天下り先である特殊法人へのばらまきとの指摘もあります。これまでのように電波利用料を握っておくことが、総務省にとってもおいしい話なのです。

電波オークションは世界の常識になりつつあります。OECD加盟国の約3分の2はすでに電波オークションを導入していて、欧米諸国はほぼすべての国で導入しています。アジアでも一般化しつつあり、導入していないのは、モンゴル、北朝鮮、そして日本などだけです。

安倍政権は首相就任後の「ハネムーン期間」と呼ばれる、まだ支持率が高いうちに、電波オークション廃止を打ち出すことで大メディアに大きな恩を売ったのかもしれないのですが、テレビ局側は、その音を仇で返したわけです。

テレビ局などのメディアが偏向しすぎているというのは、前々から指摘されていました。だから、安倍総理としては、テレビ局に対しては、偏向報道がなくならないまでも、各報道局が少なくとも、新聞や雑誌などか用いる姑息な手段でもある、両論併記のような形ぐらいにはするであろうと、期待していたに違いありません。

TBSの典型的な偏向報道

しかし、昨年安保法案審議の過程での、各テレビ局の報道ぶりは、非常に偏っていました。テレビ報道を検証している任意団体「放送法遵守を求める視聴者の会」は今月1日の記者会見で、安保法制を扱ったTBSの昨年9月13~20日の全番組が、法制への「反対」意見の報道に大半の時間を費やしていることを問題視しました。

番組編集に当たっての政治的公平や多角的な論点の提示を義務付けた「放送法4条違反」を指摘し、TBSの見解を求めました。同時に、TBSから「誠意ある」回答を得られなかった場合、スポンサーに調査報告書や提言書を送るなどの注意喚起運動を検討する考えも示しました。

放送法遵守を求める視聴者の会

これに対して、TBSは「自律的に公平・公正な番組作りを行っている」とした上で、スポンサーへの呼びかけを示唆した同会の声明を問題視。同会は8日までの回答を求めていますが、TBS広報部は「回答する考えはない」としています。

TBSが発表したコメント全文は以下の通り。

 「弊社スポンサーへの圧力を公言した団体の声明について」
2016年4月6日 株式会社TBSテレビ 
 弊社は、少数派を含めた多様な意見を紹介し、権力に行き過ぎがないかをチェックするという報道機関の使命を認識し、自律的に公平・公正な番組作りを行っております。放送法に違反しているとはまったく考えておりません。 
 今般、「放送法遵守を求める視聴者の会」が見解の相違を理由に弊社番組のスポンサーに圧力をかけるなどと公言していることは、表現の自由、ひいては民主主義に対する重大な挑戦であり、看過できない行為であると言わざるを得ません。 
 弊社は、今後も放送法を遵守し、国民の知る権利に応えるとともに、愛される番組作りに、一層努力を傾けて参ります。以上
さて、この「放送法遵守を求める視聴者の会」の方々は、この記事で上で述べた電波オークションの日本での状況について無論熟知しているのだと思います。

そうして、今がこのような行動をする最適な時期であると考えておられるのだと思います。安倍自民党政権が電波オークション導入を見送ったにもかかわらず、安保法制のときの報道ぶりは、著しく偏向しており、問題外の報道ぶりでした。偏向どころから、完璧に左巻きでネジが曲がりすぎて、壊れたような報道ぶりでした。これについては、先日もこのブログで指摘したばかりです。

これでは、安倍政権だけではなく、上記で示したように結局高い電波料を負担している国民も、高い料金で偏向番組をみせられるという不利益を被るわけです。

安倍自民党としては、本当に忸怩たる思いをしているに違いありません。この時を逃さずすかさず、行動をおこせば、安倍政権は「電波オークション」導入へと大きく舵を切り替える可能性が大です。

「電波オークション」を導入して、既存のテレビ局には、それ相当の負担をしてもらい、その上で自分たちの思う通りの放送ができるようにすれば良いと思います。実際アメリカなどでは、「電波オークション性を導入しつつ、テレビ局に対して放送内容には一切制限をつけていません。

しかし、テレビの放送局は日本よりはるかに多いですし、ケーブルテレビも加えるとかなりのチャンネル数になります。そうなると、視聴者は自分の見たいチャンネルだけを見て、偏向したチャンネルなど一生見なくても用が足ります。それに、競争の原理が働き、面白くないとか、役に立たないような報道ばかりする放送局は淘汰されることになります。

そのような形が望ましいです。

電波は国民の財産であるはずです。政府が、巨額のオークション収入を得た上で、多くの電波事業者が新規参入し、テレビ局も携帯電話会社も競争状況に入り、国民には新たなサービスや事業者の選択肢が増えるメリットがあります。

携帯電話での通信制限もなくなるかもしれません。最近、" いまどきの女子中学生の音楽を聴く手段はスマホのストリーミングだけ――こんな主旨の投稿がTwitterで話題になりました。あるユーザーがツイートした内容によると、いまどきの中学生は、「月々のデータ通信量に制限があるから自分の好きな音楽を能動的に聴くことはない」そうです。これに対して、従来の音楽プレーヤーに馴染んできた世代は衝撃を受けているそうです。

今時の女子中学生が音楽を聴く手段はストリーミングだけ?

結局、「電波オークション」などが導入されないことにより、まわりわまって、一般ユーザーにつけが回ってきているという構図なのだと思います。

私自身も、自宅ではインターネット回線を導入して、ルーターを設置してWIFIを利用できる環境にしているので、スマホやタブレットはそれを使うので、自宅にては無制限に使えるのでよいのですが、外出時にはwimaxを使用していました。

外出時には、スマホもタブレットも、ノートパソコンもwimax経由でインターネットにつないでいました。このwimaxもwimax2になってから、速度制限がつけられるようになりました。それに伴いwimaxは速度制限はないものの、速度が以前よりも遅くなりました。

ただし、外出時のwimaxは、SNSの閲覧や、ブログの作成、音楽を聴くなどに限られていますので、多少遅くても事が足りますので、wimax2に乗り換えすることなく、そのままwimaxを使用しています。ただし、最近やはり、速度の遅さに不満を感じるので、Yahooモバイルは速度制限がないようなので、これに乗り換えようとも思っています。

結局このような手間や不便を感じるのも、「電波オークション」が導入さていないことにも原因がありそうです。自由競争を原則として、様々な新サービスや新方式の開発を促進させ、それを用いるメデイアには、放送内容は原則として自由にするという方向性が最も良いと思います。

そうでないと、またまた日本は、せっかく良い技術があって、素晴らしい携帯電話を開発にしたにもかかわらず、現在のスマホでは後塵を拝することになってしまいました。

現状のままの電波行政では、政権与党にとっても、国民とって一つも良いことはありません。日本でも、一日はやく「電波オークション」を導入すべきです。

そうして、せっかく導入するのでしたから、国民にとって良いサービスがどんどん生まれるような形で導入すべきと思います。これによって、今までには考えられなかったような、新産業の興隆を促すことも可能だと思います。

そうすれば、旧態依然として、偏向報道を繰り返すような、面白みも何もないようなテレビ曲など競争に負けて自然と淘汰されていくと思います。

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