2016年6月2日木曜日

【石平のChina Watch】怪しげな国際会議…中国政府・軍の「沖縄分断工作」に警戒せよ―【私の論評】中国の国家戦略に乗って踊る愚かな人々(゚д゚)!

【石平のChina Watch】怪しげな国際会議…中国政府・軍の「沖縄分断工作」に警戒せよ

米軍普天間飛行場の移設先、辺野古沿岸部の制限区域に入り海上
保安庁の船に囲まれる反対派のカヌー=平成27年、沖縄県名護市
 先月17日配信の琉球新報ネット記事によると、「第2回琉球・沖縄最先端問題国際学術会議」が同16日までに中国・北京で開かれたという。主催者は中国戦略・管理研究会、北京大学歴史学部などである。

 日本の沖縄をテーマとした「国際会議」が、那覇でもなければ東京でもなく、中国首都の北京にて開催されたのはいかにも奇妙な出来事である。さらに不可解なのはその中身だ。同じ琉球新報記事によると、会議において「沖縄の自己決定権や米軍基地問題、独立などをめぐって意見を交わした」という。

 沖縄の「米軍基地問題」や「独立問題」は言うまでもなく、日本の国防・主権に関わる重大問題である。このような問題が、中国という第三国の研究機関主催の会議で議題にされたことは異常というしかない。日本の内政に対するあからさまな干渉でもある。

 さらに問題視すべきなのは、会議の筆頭主催者となった「中国戦略・管理研究会」である。中国の場合、名称に「中国」と冠することのできる機関は中央政府直属の組織である場合が多いが、上述の「研究会」は政府のどこの所属であるか、いっさい明らかにしていない。研究会の本部は中国政府が国賓を迎えるための「釣魚台国賓館」に住所を置いているから、それが普通の「研究機関」でないことは明らかだ。

研究会の理事会の構成を見ると、国防相を務めたこともある人民解放軍の元上将など、大物軍人が名を連ねているから、この研究機関の背後に中国軍があることはよく分かる。

 そして、中国政府・軍をバックにしたこの怪しげな研究機関の主催で、沖縄の「米軍基地問題」や「独立問題」を討議する「国際会議」が開かれたわけだ。それはどう考えても、中国政府と中国軍の戦略的意図に基づく高度なる「沖縄工作」の一環であろう。

 「国際会議」といっても、参加者は中国側のメンバー以外には、日本からの沖縄関係者ばかりだ。その中には、琉球新報東京報道部長、沖縄タイムス学芸部記者など県内のマスコミ関係者や、「琉球独立」と「全米軍基地撤去」を一貫して主張している沖縄国際大教授や龍谷大教授などの研究者が含まれている。

 参加者のひとりの教授に至っては、2014年に中国戦略・管理研究会のホームページに寄せた論文において、「われわれの目的は琉球の独立だけでなく、軍事基地を琉球から全部撤去させることだ」と宣言している。今回の国際会議においても、「全基地撤去」を前提とした論文を発表したという。

 もちろん、沖縄を日本から切り離して「独立」させることと、米軍基地を沖縄から追い出すことは、中国の国益と戦略にとってこの上なく望ましい展開となるから、中国政府と中国軍をバックにした件(くだん)の研究機関が、同じ政治主張の沖縄マスコミ関係者や日本人学者を招聘(しょうへい)して「国際会議」を開くことの意図は明白であろう。

 中国政府と軍による「沖縄分断工作」は、今や堂々と展開されている。

 問題は、中国側の工作が実際、どれほどの効果を上げているかであるが、ここではひとつ、事実関係だけを指摘しておこう。

 「米軍基地問題」を討議した北京国際会議から1週間もたたぬうちに、沖縄で元米兵の女性暴行・殺害事件が発生した。それをきっかけに、北京の国際会議に参加者を出した琉球新報と沖縄タイムスが旗振り役となって、「全米軍基地撤去」を求める運動を展開し始めた。

 北京会議とこの運動の間に果たして関係があるのか。それはむしろ、当事者たちが答えるべき問題であろう。

                  ◇

【プロフィル】石平

【私の論評】中国の国家戦略に乗って踊る愚かな人々(゚д゚)!

昨年4月茨城県護国神社の神前で突如始まった謎の舞

以下に、ブログ冒頭の記事にもでてきた、「第2回琉球・沖縄最先端問題国際学術会議」に関する琉球新報の記事を以下に掲載します。
沖縄を平和の拠点に 北京の研究者会議 自己決定権、米軍基地で議論 
琉球と中国の交流史などについて議論する研究者ら=16日、中国北京市の北京大
【北京で新垣毅】沖縄、中国双方の研究者らが琉球・沖縄史や中国との交流史を議論する「第2回琉球・沖縄最先端問題国際学術会議」(中国戦略・管理研究会、北京大学歴史学部、北京市中日文化交流史研究会主催)は最終日の16日、中国の北京大学で沖縄の自己決定権や米軍基地問題、独立などを巡って意見を交わした。その中で、中国の研究者から沖縄の自己決定権行使に理解を示す意見が聞かれた。双方の発表者から、沖縄は東アジアの平和的要、交流の拠点として重要との意見が相次いだ。 
 最終日は、比屋根照夫琉球大名誉教授や又吉盛清沖縄大客員教授ら沖縄側7人、中国側12人、日本本土から2人が研究成果などを報告した。
比屋根照夫琉球大名誉教授 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 比屋根氏は近代沖縄の知識人がアジアをどう見ていたかについて報告。「沖縄ほど抑圧の歴史を分かる人々はいない」と述べた。又吉氏は「沖縄戦の被害が大き過ぎて沖縄では戦争の被害の側面ばかり言われているが、加害責任も追及されねばならない。東アジアの人々と共通認識を持つためにも必要だ」と話した。 
又吉盛清沖縄大客員教授
 八重山郷土史家の大田静男氏は尖閣諸島問題に触れ「小さな島から見えることは、未来に向かって国民国家の壁を取り払い、共同体社会をつくり上げる必要性だ」と主張した。 
八重山郷土史家の大田静男氏
 松島泰勝龍谷大教授は「先住民族としての琉球人の自己決定権行使」、友知政樹沖縄国際大教授は「全基地撤去後、全補助金撤廃後の琉球・沖縄経済に関する一考察」と題し発表した。 
松島泰勝龍谷大教授
 新垣毅琉球新報東京報道部長は、なぜ沖縄で自己決定権が叫ばれているかを説明。「日中の紛争が起これば沖縄は真っ先に戦場になる。両国、あるいはアジアの懸け橋になる資格があるし、役割を果たせる。そのためにも自己決定権が重要だ」と強調した。吉田伸沖縄タイムス学芸部記者は在沖米軍基地の現状を解説し、日本本土側の無関心を批判した。
新垣毅琉球新報東京報道部長
吉田伸沖縄タイムス学芸部記者
この会議、石平氏が指摘しているように、学術会議などと銘打っていますが、そうではないことはすぐにわかります。学術会議なら出席者はほとんどが学者のはずですが、そうではありません。

また、上記で学者である人々の主張もこの会議での主張はおかしなものですが、そもそも普段から学者らしくない発言を繰り返しています。まずは、比屋根照夫琉球大名誉教授の過去の発言を見てみましょう。


上の写真は、沖縄タイムスの過去の記事です。オスプレイの沖縄配備一年を記念して、沖縄タイムスは「識者談話」というコラムを連載しました。上の記事では、比屋根照夫琉球大学名誉教授(七十四)の談話を掲載していました。比屋根琉大名誉教授の専門は沖縄近代思想史です。

上の記事で、比屋根教授は以下のように述べています。

オスプレイ配備に反対して、昨年の県民大会から普天間飛行場のゲート封鎖、今年の全市町村による東京行動へと続いた一連の運動は、一九五〇年代の土地接収に対する島ぐるみ闘争を想起させた。戦後六十八年間続く占領状態の不条理に対し、沖縄は非暴力で抵抗してきた。
比屋根氏は琉大の名誉教授です。彼は学者です。政治家でもなければ市民運動家でもありません。学者であるなら事実を客観的に把握することがなによりも大切なはずです。主観で判断するのは学者として失格です。ところが比屋根名誉教授の談話は主観だらけであり、学者というより革新政治家といったほうが良いです。いや、政治家ではなく政治屋のほうがよりふさわしいかもしれません。

比屋根氏は一九五〇年代の土地接収に反対する運動を「島ぐるみ闘争」と断定していますが、現実には土地接収反対運動は宜野湾の伊佐浜と伊江島の二か所だけで起こったのであり、ほとんどの土地接収はスムーズに行われました。市民運動家ならまだしも、学者である比屋根氏が「島ぐるみ」と何の疑問もなく言い放つのはどうだろうか。「島ぐるみ」は学者としての発言としては、全く不適切なものです。

それに、そもそもオスプレイ批判など、全く不合理です。これに関しては、このブログでも何度か掲載しているのでここでは掲載しません。この記事末尾のほうの【関連記事】のほうにその記事を掲載しますので是非ご覧になってください。

松島泰勝龍谷大教授に関しては、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「スコットランド独立」は他人ごとでない 沖縄の日本からの分離独立、法的に可能か―【私の論評】日本にとって、沖縄独立は虚妄に過ぎず、スコットランド独立は対岸の火事。しかし、台湾独立それに続く他の中国自治区等の独立は十分にあり得る話(゚д゚)!

 詳細は、この記事をご覧いただくものとしてこの記事は、2014年9月18日のものであり、ちょうどスコットランドで、独立の是非を問う住民投票があったときの直前のものです。

この記事では、スコットランド独立運動と沖縄独立運動を対比して、沖縄独立も対岸の火事ではないとするJキャストニュースの元記事に関して、論評したものです。結論としては、スコットランド独立は、日本にとって対岸の火事であるというものです。そもそも、アンケートでは沖縄県民のほとんどが、独立には反対です。

この記事では、「琉球独立への道」などの著書がある龍谷大学の松島泰勝教授は、週刊誌「アエラ」2013年6月24日号のインタビューで以下の様に答えていたことを掲載しています。
独立に必要なのは住民の意志と国際社会の承認だけで、日本の承認はいりません。
しかし、皆さんもご存知のようにスコットランドは独立しませんでした。当然といえば、当然かもしれません。

それに、もし中国が熱心に沖縄独立運動を推進したとすれば、自己矛盾に至ります。それはこの記事でも掲載したことですが、そもそも、中国は終戦直後から版図を広げて、そもそも、異民族の別の国である満州、チベット、ウイグル、内蒙古などに侵略しています。

以下にこの記事にも掲載した現在の大陸中国である、中華人民共和国が建国直後の版図を示す地図を掲載します。


満州は現在は、中国の東北地方となっています。内モンゴルは内モンゴル自治区となっています。チベットはチベット自治区になっています。ウィグルは新疆ウイグル自治区になっています。

こんなことをしておきながら、沖縄の独立を推進するというのでは、全くの自己矛盾です。

中国が国家がらみで、沖縄に関する国際会議を北京で開催するというのは、日本がこれら自治区などに関する国際会議を東京で開催するのと同じようなものです。これは、完璧な内政干渉です。

それに、沖縄県民のほとんどは、独立の意思などないですが、これらの自治区などはアンケートをとれば、ほとんどの自治区の人民が独立したいとの意思を示すことでしょう。無論こんなことは、わかりきっているので、中国共産党はこのようなアンケート調査をしたことはありませんし、これからもないでしょう。

こんなことから、そもそも、松島泰勝龍谷大教授の発言も矛盾しています。

この国際会議に参加した、他の学者や、ジャーナリストも似たり寄ったりです。

さらに、沖縄の県民は、遺伝的にも日本人であり、中国人や韓国人とも遺伝的には遠い存在であることが、遺伝学的に確かめられています。それに関しては、過去のこのブログにも掲載しました。その関係の記事を【関連記事】のところに掲載します。これも是非ご覧になってください。

そうして、石平氏も指摘しているように、北京会議と、会議の後に1週間もたたないうちに発生した沖縄の女性遺棄事件の直後から展開された「全米軍基地撤去」運動の間に何らかの関係があるのではないかと疑われても致し方ないと思います。

いずれにしても、この国際会議に出席した人々、中国による「日本と沖縄の分断工作」という国家戦略にのせられて踊っている愚か者のようにしか私には見えません。

【関連記事】

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