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2013年8月16日金曜日

安部首相、消費税増税は凍結しましょう―【私の論評】政府の借金比率(政府の借金÷国のGDP)を減らすため、分子を少なくすることにのみ着目し続けてきたことが今日のデフレの原因。正しいのは分母を増やすことであって、増税ではない(゚д゚)!

安部首相、消費税増税は凍結しましょう



財政再建といえば、通常は「支出カット+収入増」が王道である。個人や企業の場合はそれで問題ない。国(政府)の借金が経済規模に対して小さい場合もそうだ。一般的には財政均衡への努力が、そのまま財政再建となると言って差し支えない。

しかし、政府の大きな借金となると、話は違ってくる。というのも政府の大きな支出カットや増税は、次の年の収入減となって跳ね返ってくるからである。つまり財政均衡への努力が将来の税収減につながってしまうという再帰性が、「短期の財政均衡」では「長期の財政再建」が達成できない、という矛盾を生み出すのだ。

では発想を変えて、借金を減らすことをやめてしまおう。そう書くと語弊があるが、「名目GDPを成長させて、利払いや借り換えに問題ないレベルにまで政府債務比率を下げてしまおう」というのが、残された唯一の解決策である。

幸いなことに、アメリカ政府というお手本がある。

1990年代の前半、アメリカ政府は財政破綻の淵にあると言われていた。しかし当時、実は日本もアメリカも財政赤字/名目GDP比率は70%程度であった。いまや日本のそれは200%を大きく超えているのに対し、アメリカは100%を超えた程度である。

では発想を変えて、借金を減らすことをやめてしまおう。そう書くと語弊があるが、「名目GDPを成長させて、利払いや借り換えに問題ないレベルにまで政府債務比率を下げてしまおう」というのが、残された唯一の解決策である。

異次元緩和は、名目GDPの成長を手助けすることになり、長期の財政再建に向けた強力な援軍となるだろう。2%程度の安定したインフレ環境であれば企業収益が増え、資産価値が増え、取引も活発になる。法人税も所得税も住民税も取引税も相続税も増えるだろう。デフレにするから税収が減って安定しなくなるのである。適度なインフレを続けることができれば、消費税アップは必要ないはずだ。

消費増税=「超絶デフレ政策」なら、アベノミクスは台無し

しかしここで「消費税引き上げ」という超絶デフレ政策をやってしまったら、異次元緩和も国土強靭化も、台無しである。

消費税は一見、安定した税収をもたらすように見える。しかし消費や投資にブレーキをかけ、企業収益を減らし、資産価値(株価や不動産価格)を下げ、所得税から相続税まであらゆる税収を落ち込ませてしまう「マイナスの切り札」である。

日本の「失われた20年」は奇しくも消費税の歴史と軌を一にしている。

異次元緩和はいつか終わる。しかし引き上げられた消費税は、二度と引き下げられることはない。直前に駆け込み需要は増えるだろうが、人々はその後また生活防衛のために貯蓄に励むはずだ。

そのときになって「なぜ異次元緩和や国土強靭化政策の効果が出ないのか」「なぜ消費や投資が増えないのか」と聞かれても困ってしまう。自分でブレーキを思い切り踏んでいるのだから、それ以外にどんな政策をしても前に進まないのは当たり前である。

そもそも異次元緩和は「通貨価値を下げ、資産価値を上げる」政策だ。それで真っ先に利益を得るのは企業と投資家であり、生活者への恩恵はどうしても後回しになる。それなのに、生活者から取る消費税を早々と上げてしまうのは、政策の整合性・公平性の観点から言っても容認できるものではない。

◎ 政府債務を無理に返そうとするな。その代わり名目GDPを成長させ、政府債務を問題のない比率にまで下げるほうが望ましい。

◎ 名目GDP成長のため「通貨価値を下げ、資産価値を上げる」政策は有効である。インフレ2%を目指す異次元緩和は、長期的な財政再建への第一歩となる。

◎ 消費税引き上げは、将来の経済成長と税収を犠牲にする超絶デフレ政策である。短期的な「財政均衡」には役立つかもしれないが、長期的な「財政再建」に対しては大きなマイナスとなる。

◎ したがって今回は消費税アップを見送るのが正解

安間 伸

以上は、要約です。この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】政府の借金比率(政府の借金÷国のGDP)を減らすため、分子を少なくすることにのみ着目し続けてきたことが今日のデフレの原因。正しいのは分母を増やすことであって、増税ではない(゚д゚)!

増税が財政健全化に寄与するという考えは、幻想にすぎない

上の記事あまりに正論であるし、当たり前のど真ん中の論考なので、付け加えることなどほとんどありません。多くの、増税賛成派の国会議員や、マスコミなどに参照していただければと思います。

ただし、上の記事の論考をさらに強化するために、ほんの少しだけ付け加えさせていただきます。

上の記事で、「しかし当時、実は日本もアメリカも財政赤字/名目GDP比率は70%程度であった。いまや日本のそれは200%を大きく超えているのに対し、アメリカは100%を超えた程度である」と掲載されています。

この時点で、アメリカには300兆円近くの対外純金融負債がありました。日本国は、借金ではなく、250兆円前後の対外金融純資産がありました。要するに、日本は外国にかなりお金を貸していたということです。そうして、アメリカは国全体としては外国からお金を借りまくっていたということです。

そうして、この事実は、現在でもあまり変わっていません。アメリカは未だ、300兆円前後の外国への借金があります。日本は、最新の資料では、260兆円ものお金を外国に貸し付けています。

そうして、日本の場合は政府の借金のほとんど全部が、国民からの借金であり、外国からの借金ではありません。

そもそも、日本政府はかなりの借金をしていますが、日本国には、政府以外の経済主体である、家計、企業、金融機関その他の経済主体があり、これらをあわせると、日本国自体が借金をしているどころか、外国にお金を貸し付けているのです。しかも、その貸付額たるや過去20年以上も世界一であり、その額は260兆円を超えています。

要するに、日本国の経済はバランスがかなり崩れているだけです。政府は、国民から多大な借金をしていますが、これは、一般家庭でいえば、一家の柱である、お父さんが、家族からお金を借りているだけであって、家の外からはお金を一切借りていないどころか、かなりお金を貸しているということです。このような日本の経済は、諸外国の経済とは全く異なり、本来当たり前のど真ん中をやれば、デフレからの脱却などそう難しいことでありません。これが、諸外国のように、そもそも、外国からの借金が多大にある国は、デフレからの脱却もかなり難しいです。

「日本の「失われた20年」は奇しくも消費税の歴史と軌を一にしている」のとの発言もありますが、これは、結局、過去の日本がまさに、消費税増税、緊縮財政をして財政赤字を立て直そうとしたのが、見事に失敗し続けていてデフレに陥ったということです。

であれば、やり方としては、国の借金そのものを減らすというよりは、右の式のうち、(政府の借金/国のGDP)、過去20年以上もやってきて失敗し続けてきた分子の借金そのものを減らすということではなく、分母の国のGDPを増やそうというわけです。これが、アベノミクスの第一段の金融緩和と、第二段の積極財政をしようということなのです。そうして、(政府の借金/国のGDP)の式の名称を政府の借金比率という名称をつけます。

正解は無論9ですよ(゚д゚)!
先に、「要するに、日本国の経済はバランスが崩れているだけです」と掲載しましたが、まさしく、政府の借金比率のバランスが崩れていたということです。とにかく、政府の借金比率を減らすためには、あたかも家庭の主婦が家計のことを考えるように、直情的に政府の借金比率の分子である、借金を減らすことだけに着目して、国のGDPは無視し、実際に、金融引締め、緊縮財政ばかりを繰り返してきたからこそ、分母がかなり小さくなり、デフレに陥り、相対的に財政赤字も増えたというのが真相です。

そうして、政府の借金比率が異常に高い日本、それも世界一の日本では、このあたりをかなり理解しにくい状況になっています。多くの人は、国のGDPよりも、借金の方にばかり目がいってしまい、とにかく借金を減らせ、そのために、てっとり速いのは増税だと思い込んでしまうのです。

現在の状況で増税を主張する人は分数の計算ができないのでは?

しかし、この文脈からすれば、デフレの現在増税をするということは、本末転倒であり、過去に20年以上も失敗し続けてきた政策をまた繰り返しましょうと言っているに過ぎないということです。

今回増税すれば、短期間では、増税直前の駆け込み需要が増えますが、その次は消費も投資も減るということで、国の借金比率の分母のGDPが減りさらに、財政赤字が相対的に増えてしまうということです。本来、こんなことを主張するのは、かなり異常です。過去の失敗を見ていないということになります。それとも、分数の計算ができないということかもしれません。

これが、かなりインフレ傾向ということであれば、事情が変わってきます。政府の借金比率の式のうち、政府の借金を減らす。すなわち、増税することにより、政府の借金は相対的に小さくなります。また、インフレ加熱により、GDPが増えるということもなくなり、非常に良い状態になります。

要するに、経済はその時々のバランスが肝要だということです。アベノミクスが功を奏して、日本国がデフレではなく、かなりインフレになり、悪性インフレの一歩手前になれば、金融緩和はやめなければなりません。積極財政をやめて、緊縮財政をしなければなりません。

私は、上の記事を書いた人は、安倍総理は増税すると見ているようですが、私はそうではないと思っています。なぜなら、安倍首相は、過去においてはまさしく、政府の借金比率(政府の借金/国のGDP)のアンバランスで悩み、特に第一次安倍内閣のときは、最初は日銀の金融緩和により、デフレから脱却する直前までいき、政府の借金比率も減り、後一歩で、財政規律も保たれ、デフレから脱却できる要件がととのいつつありました。

ところが、なぜか当時の、日銀は、とち狂い、まだデフレから脱却できていないというのに、金融引締めに転じ、日本はまたデフレスパイラルの泥沼に落ちこみ、政府の借金比率も増すことになり、第一次安倍内閣は崩壊しました。

安倍総理は、このような苦い経験を持っています。増税すれば、結局政府の借金比率も、分母の国のGDPが減り、とんでもないことになることは重々承知のはずです。

日本だけではなく、国際的にも分数の計算ができない人がいる?特にドイツの首相・・・・

そもそも、アベノミクスの、第一段の金融緩和、第二弾の積極財政は、先の政府の借金比率(政府の借金÷国のGDP)のうち、国のGDPを増やそうと企図するものです。

これを企図する安倍総理が、単純に増税に走るとはとても思えません。私は、日本ではなぜか、経済に関してはのみは、分数の計算ができない人があまりに多すぎるので、これらの人たちを納得させるために、時間を使って増税先送りのソフトランディングを目指しているのだと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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