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2019年2月12日火曜日

ファーウェイ問題を米中貿易交渉の取引材料にしてはいけない―【私の論評】米国は政府・議会・司法の三位一体で、中国の不正を暴き処断する体制を整えた(゚д゚)!


岡崎研究所

 2019年1月28日、米国司法省は、中国に本社があり世界中でビジネスをしている世界最大の通信機器メーカーであるファーウェイ・テクノロジーズ(華為技術)会社と、その子会社2社―ファーウェイ機器米国会社とイランの子会社であるスカイコム・テク会社―及びファーウェイのCFO(最高財務責任者)である孟晩舟(Meng Wanzhou)―46歳でCathy MengとSabrina Mengの異名も持つーを起訴したと発表した。起訴の理由には、金融詐欺、マネー・ロンダリング、米国に対する詐欺共謀及び制裁違反が含まれる。

参考:Office of Public Affairs, Department of State, Press Release, January 28, 2019



 この問題は、既に何年も前から起こっていることだったが、2018年8月22日、ニューヨークの連邦裁判所は、孟晩舟に対して逮捕状を出していて、彼女は、カナダのヴァンクーバーで12月1日に逮捕された。

 これに対して、中国は、報復するかのように、中国内でカナダ人を複数逮捕し、そのうち一人は、麻薬を理由に死刑判決を受けた。

 1月22日及び25日、カナダのマッカラム駐中国大使は、米国が孟晩舟の引き渡し要求を拒否することを望む、と述べた。これに対して、トルドー首相は、25日、マッカラムの大使の職を解任した。司法に政治が介入して、法的手続きを侵害しないことが重要であり、本人の認めるようにカナダ大使の発言は失言だった。

 カナダは、米国の孟晩舟の引き渡し要求と、中国の脅しの間で難しい立場にある。中国は、もし今後、孟晩舟が米国に引き渡された場合、中国にいる米国人を逮捕するのだろうか。こういうことが頻繁に起きると、安心して中国に行くことが出来なくなる。日本人に対しても、かつて尖閣諸島が国有化された際等に、人質的に逮捕されたことがあったし、現在もスパイ容疑等で、日本人が中国内で逮捕されることがある。

 トランプ大統領は、米中首脳会談が2月中に開催されるという中、本件に対して介入するという発言をしている。しかし、米国司法省は、きっぱり言った。「我々は、法の執行を行うのであり、貿易交渉の材料ではない。」と。

 確かに、3月1日に、米中貿易交渉の結果として、米国が中国からの輸入品に対して追加関税をかけるかどうかの判断が下される。一方、カナダから米国への孟晩舟の引き渡しの決定は、2月中には行われよう。水面下で、中国が必死にトランプ大統領を含め、米国側に交渉をしかけてきているのは容易に想像できる。

 米国は、ファーウェイを起訴した以上、司法手続きをたんたんと進めていくべきである。米中通商交渉における一つの取引材料にするというようなことはよくない。トランプ大統領は、「司法省に任せてある。」の一言で良いと思う。

 中国に民主主義国における司法の独立をよくわからせる必要がある。 カナダで逮捕され、米国に引き渡されるかどうかが問題になっている孟晩舟・華為技術副会長・CFO のケースも、米加間の犯罪人引渡条約とそれに付随する諸法律に従って処理されるべきであろう。これに対応して中国がカナダ人を恣意的に逮捕したように、在中国の米会社やその役員を起訴するなどをする場合にも、そういう人質作戦のようなものには、断固拒絶の姿勢を貫くべきである。そういう姿勢が、中国に世界的ルールを守らせることにつながる。これまでのところ、カナダはよく筋を通している。

 中国のような共産党優位の国には、本当の意味で三権分立はない。行政権も司法権も立法権も共産党の指示に従うのが正しい在り方である。したがって、中国はこういう話を政治化することが正しく、政治的に解決できない問題はないと考えている。今回の米中通商交渉でも、ファーウェイ起訴問題は取り上げられるだろう。米国が司法の独立を主張しても、中国側には、言い逃れにしか聞こえないだろう。米中間のこういう認識の差は容易に解消されないから、この問題は米中通商交渉の進展への障害になると思われる。

 ただ、中国側には米中通商摩擦を、取引により、終結ではなくとも緩和したいとの動機がある。米国は、多少強気で、米中交渉に臨むように思われる。 日本でもファーウェイへの警戒心が出てきているが、こういう起訴を見ると、しっかりと警戒していくのが正しいと思われる。

【私の論評】米国は政府・議会・司法の三位一体で、中国の不正を暴き処断する体制を整えた(゚д゚)!

このブログにも過去に何度か掲載したように、中国は日米を含める他の先進国のように、民主化、政治と経済の分離、法治国家化がなされていません。無論先進国も十分といえない面もありますが、中国はほとんどなされていません。

そのため、ブログ冒頭の記事にあるように、米中通商交渉でも、ファーウェイ起訴問題は取り上げら、米国が司法の独立を主張しても、中国側には、全く理解できない可能性があります。米中間のこういう認識の差は中国には容易に解消されないでしょうから、この問題は米中通商交渉の進展への障害になることでしょう。

ただし、平時においては米国司法はかなり強いので、ファーウェイ問題をトランプ政権が米中貿易交渉の取引材料にするということはないというより、できないでしょう。米司法当局は粛々と法律に従い中国の米国に対する不正を暴き、処断することでしょう。


すべてが共産党に仕切られる中国くとは異なり米国には厳格な三権分立が設立されている

中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)と副会長兼最高財務責任者(CFO)の孟晩舟(メン・ワンツォウ)を、米司法省が起訴しました。有罪が確定した場合、ファーウェイは多額の罰金の支払いを命じられる可能性が高いです。

だが、ファーウェイにとって罰金は序の口にすぎないです。その先には、さらに恐ろしい事態が待っているかもしれないのです。

起訴の内容は2件に分かれており、1件目はイランとの取引を巡るものです。ファーウェイと孟を含む経営幹部、米子会社などが絡んでおり、罪状は金融詐欺、マネーロンダリング(資金洗浄)、イランへの経済制裁に対する司法妨害など多岐にわたります。

孟は昨年12月にカナダで身柄を拘束され、カナダ政府は米政府から身柄の引き渡し要求があったことを認めています。孟がファーウェイ創業者で最高経営責任者(CEO)の任正非(レン・ツェンフェイ)の娘であることを考えれば、今回の事件のダメージは計り知れないでしょう。

もう1件はまったくの別件で、ファーウェイの関連会社がTモバイルから企業秘密を盗んだ容疑がかけられています。訴状によると、従業員が競合他社から機密情報を得た場合、特別な報酬が支払われていました。また、機密性の高い情報をやり取りする場合は暗号化した電子メールを用いるなどの指示があったとされています。

ファーウェイがTwitterで発表した声明には、「訴状で指摘されたような違法行為に、自社や子会社、および関連組織が関与していたことを、完全に否定します。孟氏については、いかなる不正行為も一切把握していません。米国の裁判所も同様の結論に達するよう願っています」と書かれています。

ファーウェイは現在も米国で企業秘密の窃盗を巡る民事訴訟を複数抱えています。ただ今回、司法省から起訴されたことで、特に孟は窮地に立たされたことになります。元連邦検察官で、いまはディキンソン・ライト法律事務所で働くライアン・K・ハート氏は、「企業を収監することはできませんが、経営幹部が有罪になれば話は別です」と話しています。

参考までに、やはり中国の通信機器大手であるZTE(中興通訊)の場合を考えてみましょう。ZTEは2017年にイランへの経済制裁違反を受け入れ、約9億ドル(988億円)の罰金を支払ったほか、幹部社員4人を解雇し、ほかにも多くの従業員に対し減給などの処分を下しました。

ところが商務省は昨年、ZTEが米政府との取り決めに違反したとして新たな輸出規制措置をとりました。この結果、ZTEは米企業から部品を調達することが不可能になり、一時的に営業活動を停止するところまで追い込まれました。

この問題は最終的に、ZTEが罰金など総額19億ドル(2,081億円)を支払い、経営幹部をすべて入れ替えることで決着しました。ZTEはこれに加え、米政府の選んだ「コンプライアンスチーム」の受け入れも余儀なくされています。

シカゴの特許訴訟専門事務所McDonnell Boehnen Hulbert & Berghoffのジョシュア・リッチは、「有罪と判断されればファーウェイにも同じ運命が待っている可能性はあります」と指摘しています。

一方で、ファーウェイの立場はZTEより多少は強いのではないかとの見方を示す専門家もいます。業界コンサルティング会社で働くチェタン・シャルマは、ファーウェイは財務基盤が安定しているだけでなく、米国製の部品を必要とするスマートフォン事業への依存度も、ZTEと比べれば低いと説明しています。

ただ、ファーウェイも制裁が科されればもちろん業績悪化は免れないはずです。特に、金融機関との取引が禁じられれば影響は大きいです。リッチは「米国の金融システムにアクセスできなくなると、世界中のどこでも製品を販売するのが実質的に不可能に等しくなります」と話しています。

ディキンソン・ライトのハートによれば、イラン関連の罪状のうち13件で有罪が認められれば、罰金は最大で1億ドル(109億円)になるといいます。機密情報の窃盗の罰金はさらに高く、数億ドルになるといいます。

しかも司法省は罰金だけでなく、イランとの取引で得た利益やTモバイルの技術を使ってつくられた製品の販売益も、差し押さえることを求めています。すべて合わせるとどれくらいの額になるかは明らかになっていません。

ハートはこれについて、「総額が不明なのは、双方の主張がどこまで認められるかによって変わってくるからです。ただ、司法省はどんな小さな違法行為でも追及していくはずです」と説明しています。

孟やほかの経営幹部に関しては、実刑判決が出て収監される可能性もあります。訴状によると、イランとの取引のうち1億ドル超が米国の金融機関を通じて送金されています。

この1億ドルの流れについて孟が責任を問われるかは不明ですが、そうなれば過去の事例から判断して、11年から14年程度の懲役判決が下される見通しです。ほかの罪状でも有罪となれば、収監年数は増えます。

ただ、ハートもリッチも、政治的背景を考えれば司法取引が行われるはずだとの見方を示しています。そうなればファーウェイは最悪の事態は避けることができるますが、それでも同社にとって現状が極めて深刻であることに変わりはないです。

ファーウェイの創業者で最高責任者(CEO)を務める任正非氏は、中国の人民解放軍出身で、同社は軍や政府との密接な関係が指摘されています。任氏の娘で同社幹部の孟容疑者も当然、「中国軍と中国ハイテク企業の関係」など、機密事項に熟知しているとみられます。

孟容疑者が、中国政府や軍との関係を含めて、知りうるすべての情報を話せば、司法取引が成立し、証人保護プログラムが適用される可能性は十分にあります。

主な国の司法取引制度

ファーウェイや、同じ中国の通信機器大手「中興通訊(ZTE)」に対し、米司法当局は重大な懸念を抱いています。

中国製通信機器を通じ、米国や同盟国の政府や軍事、企業の機密情報が盗まれて、共産党独裁国家が「軍事・ハイテク分野での覇権」を握る恐れがあるからです。

実際、中国では昨年6月、恐るべき法律が施行されました。

国家の安全強化のため、国内外の「情報工作活動」に法的根拠を与える「国家情報法」です。2010年に中国では、有事の際に軍務を優先し、国と軍が民間の人とモノを統制する「国防動員法」が施行されており、国家情報法は、情報戦に備えた動員法ともいえます。

中国製通信機器のハード面でのリスクに『国家情報法』という膨大なヒューマン・インテリジェンス(人的情報活動)の脅威が重なったことで、米国では中国への警戒感がかつてなく強まっています。

米国は8月に成立した「国防権限法」で、ファーウェイやZTEなど、中国IT5社を「米国の安全保障上の脅威」と名指しし、政府機関や政府と取引のある企業・団体に対し、5社の製品を使うことを禁止しました。さらに、同盟国にも要請して「中国ハイテク排除」を進めています。

中国IT企業はこれまで、低価格で世界中に製品を普及させて情報を盗み取っていました。米国は中国IT企業がいかに中国政府、人民解放軍との関係が深いのか、あらゆる不正を暴くために全力を尽くすでしょう。

米国の対中国冷戦は、トランプ政権から始まりました。今や米国議会も、トランプ政権の動きに関係なく、冷戦に取り組む体制を整えました。

このブログでも以前掲載したように、トランプ米大統領は31日、アジア諸国との安全保障や経済面での包括的な協力強化を盛り込んだ「アジア再保証推進法(ARIA:Asia Reassurance Initiative Act)」に署名し、法律が成立しました。

台湾への防衛装備品の売却推進や南シナ海での航行の自由作戦の定期的な実行を明記し、中国をけん制します。2019年3月1日に期限を迎える米中貿易協議も見据え、政権と議会が一体となって、中国に圧力をかける狙いがあります。

新法は議会の対中強硬派が主導し、18年4月に上院に提出されました。12月上旬の上院での法案採決では野党・民主党を含む全ての議員が賛成しました。中国の安保・経済面での台頭に対する米議会の危機感を象徴する法律といえます。

米国政府、議会、司法から追い詰められる習近平

これに、今回の米司法当局による、孟容疑者との司法取引が成立すれば、司法当局も中国によるあらゆる不正を暴き、ファーウェイやZTEだけに限らず、あらゆる中国による米国を毀損するような工作を処断することになるでしょう。

まさに、米国は政府、議会、司法ともに三位一体となり、中国の不正を暴き、処断する体制を整えつつあるのです。

たとえトランプ政権が米中通商交渉をある程度で幕引きにしたいと考えたとしても、米国議会や司法当局がそれを許さないでしょう。この冷戦は中国が体制を、米国政府・議会・司法当局が認めることができる程度に変えるか、さもなくば経済的に弱体化して、他国に対する影響力を行使できなくなるまで続くと考えるべきです。時間はかかるかもしれませんが、必ず結論がでるまで継続されるということです。

2015年12月30日水曜日

【「慰安婦」日韓合意】政府に言論弾圧要請? 民主ブレーン山口教授「公式見解に反したら処断を」―【私の論評】日本のリベラルもどきの「精神と知性の劣化」という時代風潮を代表する人?


日本のリベラルもどきの「精神と知性の劣化」
という時代風潮を代表する山口二郎氏
民主党のブレーンとされる山口二郎法政大教授が29日、日韓両政府が合意した慰安婦問題に関し、自身のツイッターに「安倍政権が自民党右派及びその背後の右翼の無知、偏見を的確に批判し、日本政府の公式見解に反することを厳しく処断することができるかどうかが問われる」と投稿した。民間の言論をも「処断」するよう政府に求め、言論の自由への抑圧を主張したとも受け止められかねない発言だ。

山口氏は、日韓外相が慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的に解決される」ことを確認した内容について、「日本の右派が韓国女性を誹謗中傷することも、不可逆解決に反する」との解釈も披露した。

山口氏は、政権から陥落した民主党が再生を目指して設置した「改革創生会議」の議長代行として報告書策定の中心的な役割を担った。党の勉強会などでも講師として呼ばれることが多い。

山口氏は6月、次世代の党(現・日本のこころを大切にする党)の和田政宗参院議員が沖縄の地元2紙を批判した作家の百田尚樹氏に非難が殺到したことをツイッターで「評論家の自由な言論活動を封じるもの」と記したところ、ツイッターで「バカ。言論の自由が何を意味するか、少しは勉強しろ」と批判していた。

山口氏は安全保障関連法に反対する国会周辺でのデモなどにも積極的に参加し、「安倍(晋三首相)をたたき斬ってやる」などと主張してきた。来年夏の参院選に向け、安保関連法廃止を訴える「野党統一候補」を支援するために複数の市民団体が今月20日に結成した「市民連合」の中心メンバーにもなっている。

【私の論評】日本のリベラルもどきの「精神と知性の劣化」という時代風潮を代表する人?

またまた、山口氏の爆弾発言です。もう、呆れ果てて、二の句が告げない、この低レベルはどこから来るのでしょう?以下にブログ冒頭の記事にある山口氏のツイートそのものを以下に掲載します。



本日は、まずは、山口氏の略歴などから、はじめましょう。以下にwikipediaから引用します。
略歴 
1977年3月 岡山県立岡山操山高等学校卒業。 同年4月東京大学教養学部文科1類入学
1981年3月 東京大学法学部卒業
1981年4月 東京大学法学部助手1984年7月 北海道大学法学部助教授1987年7月 コーネル大学留学(フルブライト奨学生(1989年6月まで)
1993年12月 北海道大学法学部教授
1997年3月 オックスフォード大学セントアントニーズ・カレッジ客員研究員(1997年6月まで)
2000年4月 北海道大学大学院法学研究科教授(附属高等法政教育センター長兼任、2004年3月まで)
2000年4月 北海道地方自治土曜講座実行委員(2006年3月まで)
2004年4月 北海道大学大学院公共政策学連携研究部教授
2005年3月 ウォーリック大学客員研究員(2005年6月まで)
2014年4月 法政大学法学部教授 
研究・言論活動 
元々は行政学、特に大蔵省意思決定に関する研究からスタートしたが、平成に入ってからは論壇で政治評論を多く執筆している。特に、自由民主党の長期にわたる一党支配体制にはかねてから批判的で、細川内閣誕生前後は選挙制度改革や政界再編など「政治改革」の旗振り役となり、村山内閣ではブレーンとして政策提言を行った]。 
民主党のブレーンとして 
日本社会党政権を離れて社会民主党に党名変更後、新しく結成された民主党のブレーンになった。民主党代表となって以降の小沢一郎の政策を後援し、小沢が掲げた「生活第一」のスローガンの発案者の一人とされ[2009年政権交代までは民主党の応援団を自任して「政権交代が日本を変える」との主張を続けた。第45回衆議院議員総選挙では、民主党の公約を「財源の裏付けのない、まやかし政策」という批判に対して、「政権を目指す政党に最も重要なことはこぢんまりした整合性ではなく、現状を批判することと、よりよい社会を提示する構想力である」と反論した。 
政権交代が実現すると「今回の政権交代によって、ようやく本物の民主主義が日本に現れたということができる。いわば、政権交代によって市民革命が成就したのである」と絶賛した。政権交代後は、菅直人総理大臣と民主党政権が進める政治主導システムの確立について意見交換を行うなど、民主党政権のブレーンとして政権を支えた。その後、民主党政権が公約を実現できずに批判されたことについて「(政権交代を支援してきた自分は)リフォーム詐欺の片棒を担いだ詐欺師の気分で身の置所がない」と発言したが、自民党への政権交代の後も民主党のブレーンとして活動を続けている。 
2006年に小泉純一郎について「『心の問題』を持ち出して靖国参拝を正当化したが、これは攻撃的引きこもりともいうべき状態である。ネット右翼たちは、これを見習って、蛸壺に閉じこもりつつ、気にくわない言説への攻撃に精を出す。政治家の跳ね上がりにお株を奪われた右翼は、より過激な闘いを求めて放火事件を起こす」と小泉純一郎と「ネット右翼」を関係付けて批判したが、小泉純一郎が自民党を離脱して、安倍晋三が総理大臣になると「権力を求めて解散を断行した中曽根、小泉といった政治家の指導者らしさとは雲泥の差である。」「ネトウヨ言説に代表される精神と知性の劣化という時代風潮を、安倍首相こそ象徴している」と批判している。 
現在は安倍内閣を打倒するために、民主党が共産党と連合することを提案しており、「民主党は日本における社会民主主義の政党になるべきだ」と主張している。 
橋下徹への批判 
橋下徹大阪府知事に就任すると橋下の政治手法が独善的であると批判を始め、2011年大阪市長選挙に橋下が出馬すると、橋下の政治手法を「ファシズム」と断じる『橋下主義(ハシズム)を許すな!』を出版した。橋下の対立候補である平松邦夫の応援演説で「チンピラにいちゃんの野望打ち砕け」「(橋下の政治手法は)上から枠をはめないといけないという貧困な人間観しかない」などと批判した。 
2012年1月15日テレビ朝日報道ステーション SUNDAYで橋下徹大阪市長と直接討論した際、「愛知県犬山市のように立派な人を教育長に選んで、改革のプランを作らせ予算をつけるのが首長の仕事」と持論をぶつけた。橋下は「1700の自治体の一例に過ぎない。しかも犬山市は(後で選挙で方針が変えられ)上手くいっていない」「中身の問題ではなく仕組みの問題。現場でやったことがない学者の意見」と指摘した。これに対し、山口は「学者として観察すれば大体の事は分かる」と反論した。また、橋下が教育最大の問題と定義している調書人事の仕組みを「知らない」と答えた。ほかにも「大阪府は私学助成を切った」と指摘するも「再建の為に一回切って、拡充しました。大阪府が今一番拡充してるんですよ。」と橋下に切り返された。 
山口の橋下批判について、東浩紀は「橋下氏との討議の流れで戦略を変えられず、硬直した原理論しか展開できなかった山口二郎氏は力がない」と評している。 

 動画は、ブログ管理人挿入
そのほかの政治活動 
国立大学の独立法人化に伴い教員が公務員でなくなったため、選挙では応援演説を積極的に行っている。佐藤優とともに、北海道に根を下ろした活動という点で鈴木宗男の「新党大地」を応援している。2005年の総選挙では、辻元清美などの応援演説を行った。また、普天間基地移設問題では和田春樹らと共に、アメリカ海兵隊が日本から全面撤収するよう求める声明を発表した。安全保障関連法案の反対集会では、安倍晋三首相に対し「昔、時代劇で萬屋錦之介が悪者を斬首するとき、『たたき斬ってやる』と叫んだ。私も同じ気持ち。もちろん、暴力をするわけにはいかないが、安倍に言いたい。お前は人間じゃない! たたき斬ってやる!」と叫んだ。これに対して石平は、「言葉の暴力平気な人間は平和を語る資格なし」「日本の「リベラル」はすでに死んだ」と批判した。
この方は、経歴からみてバリバリのリベラル派ではあるようですが、それにしても、安倍総理に対する言動や、今回の政府に対する言論弾圧要請発言といい、これはもう本当の意味でリベラルとはいえないのではないかと思います。

このような暴言をはくような人がリベラルと言われるのですから、もはや日本には、石平氏の言うように、贋リベラルしかいないのかもしれません。以下に、政治原理としてしてのリベラリズムを表す単純な図表を掲載します。

*リベラリズム:個人的自由は重視するが、経済活動は政府による規制が必要。
福祉国家。大きな政府。 
*リバタリアニズム:個人の自由も経済活動の自由も最大限重んじる。
小さな政府。福祉は廃止。夜警国家。 
*愛国的保守主義:愛国的思想統制(外国人排斥)。経済活動は規制緩和。 
*全体主義:国家による思想統制・計画経済。

そもそも、リベラリズムとは、近代社会が不可避的に抱え込む価値対立とその克服のために構想された政治哲学原理であるはずです。欧州における価値対立の問題は、宗教改革が引き起こしたカトリックとプロテスタントの宗教戦争を起源としています。

異質な価値観を持った者同士の共存は個々人の自由を認め合い、共生することでしか解決しないという考えに基づき、ホッブズ、ロック、ルソー、カント、ヘーゲルといった近代哲学者は、「自由」を権利の基本原理とするリベラリズムの立場を深めてきました。

ところが現在、リベラリズムに対しては様々な立場からの批判があります。フェミニズムや多文化主義は、その普遍性と公私の区分を批判しています。

また共同体主義はリベラリズムの想定する人間を、共同体の伝統や慣習から切り離されて具体的な内実を失った抽象的な個人とみなし、批判しています。伝統的価値や人種や性別のような具体的な属性なしに、諸個人が「善き生」の構想を持つことはできないとしています。

また現代のリベラリズムは、権利や政治的正当性の基礎となる原理として必ずしも「自由」に依拠するわけではなく、論者によって様々な考え方がある。その意味でリベラリズムの一般的な訳語としての「自由主義」は適切とはいえません。

例えば初期のロールズは公正を、ドゥオーキンは平等を基底的理念として提示ししました。ロールズは初期にはリベラリズムを人類的普遍性を持つものとして基礎付けようとしたのですが、後に近代市民社会という特殊な社会だけに適応できる政治思想としてその普遍性を否定しました。

ジョン・ロールズ

その結果、権利の基礎の哲学的探求を放棄し、ローティやグレイらと同様に「政治的リベラリズム」の立場に立ちました。このようにリベラリズムの根本原理は何であるのか、またそれは必要なのかを巡っては、現在でも多くの議論がなされています。

しかし、リベラリズムの原点は、近代社会が不可避的に抱え込む価値対立とその克服のために構想された政治哲学原理であり、異質な価値観を持った者同士の共存は個々人の自由を認め合い、共生することでしか解決しないという考えに立脚するものです。

この原点からしても、山口氏のような、安倍総理に対する発言や、今回の政府に対する発言をするような行動は、本当のリベラリズムとは相容れないものです。何が間違いで、何が正しいのかを論ずるのではなく、いわゆる安倍嫌い発言をする人たちは本当の意味での、リベラルではないと思います。

現代日本における「リベラル派」とされてる人たちのことは「新左翼」「ニューレフト」と呼ぶべきなのでしょう。従来の意味での新左翼は学生運動や成田闘争といったものに代表されるように、暴力的革命運動をする人々でした。

成田空港建設反対 三里塚闘争の画像
彼らのネットの活動を見ていると「あべしね」というワードがちらほら出てきます。今の総理大臣安倍晋三氏に対して「死ね」という言葉を投げつけてるわけです。これは、暴言以外のなにものでもないです。

この他、デモ活動における暴力的な言語表現などなどを見るにつけて、「火炎瓶やゲバ棒を言葉の暴力に持ち替えた新左翼」として良いと思います。

このように定義してしまえば、彼らはリベラルではなく、本来の意味での自由主義、中道左派をリベラルと呼ぶことができると思います。暴言を口にする者、暴力を働くものをリベラルと呼ぶのをやめるべきです。

そうして、日本にも本当の意味でのリベラリズムを樹立すべきです。そうして、リベラリズムは古くは日本にも息づいていました。

日本の近代は江戸時代に始まっていて、いわゆる市民社会も成立していたので、日本独特のリベラリズムが江戸時代に完成していたといえます。だから福澤諭吉はいわゆる「リベラル」であると同時に伝統主義者でもあり得ました。

自由民権運動もそういう視点で捉え直す事が必要だと思います。この日本独自のリベラルは、欧米左派とは違います。ましてや、新左翼などではありません。

いずれにしても、日本のリベラルもどきの「精神と知性の劣化」という時代風潮を代表するのが、まさに山口二郎氏であるということは言えそうです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?


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