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2018年11月15日木曜日

入管法改正案は廃案にすべし!「外国人労働者を増やしても誰も幸福にはならない」合理的な理由とは―【私の論評】外国人労働者を増やす前に、国内の賃金を上げよ(゚д゚)!


経済評論家 / 上武大学ビジネス情報学部教授
田中秀臣




 外国人労働者の移入拡大を盛り込んだ入管法改正案の審議が本格化している。ここ数年顕在化している「人手不足」への対応を狙ったものであるという。確かに統計をみたかぎりでは、バブル経済の余韻がまだあった1992年以来の「不足感」だ。

 忘れている人や知らない人も多いだろうが、この90年代初めにも外国人労働者の受け入れ拡大が政策課題になっていた。

 私も大学院で、当時、学会の俊英であった故・清野一治氏の論文「国際労働移動と国民経済厚生—静学的影響」(『早稲田政治経済学雑誌』1994年)を、研究会で直接著者から解説を聞き、白熱の論争を教員・学生で行ったことを思い出す。

 清野論文では、外国人労働者の受け入れ国(日本)と送り出し国(諸外国)で、

 1)市場メカニズムが完全ならば労働の移動の結果、両国の賃金は同じになる。このとき受け入れ国(日本)の賃金は低下し雇用は減少する、他方で外国人労働者の賃金は上昇し雇用は増加する。日本の労働者にはメリットはないが、ただし世界全体の経済厚生は大きく改善する。要するに前者の経済厚生上の損失を後者の増加が大きく超えるのである。

 2)市場メカニズムが不完全なケース、例えば日本の雇用環境が閉鎖的であり、または賃金が下方硬直的な場合では、経済厚生は悪化する。具体的なイメージでは、高い賃金や暮らしを目的に海外から外国人労働者がきても日本企業に正規雇用されない、あるいは不況によって日本で失業してしまう場合である。また関連して国内で働く外国人労働者が日本で稼いだお金を母国に送金した場合でも日本の経済的厚生は低下する、

 と清野論文は解説していた。

 清野論文の1)を基本モデル、2)を修正モデルとしておく。

 まず、1)の基本モデルをそのまま日本の現実に適用するのは、かなり疑問だ。そもそも外国人労働者を増やすことで、世界の経済厚生を増やす前に日本の政治家がすべきことがある。それは日本の経済厚生を増やすことだ。具体的には働きたい意欲のある高齢者、女性たちの働く環境の改善である。

 また「失われた20年」に直面し、雇用機会を大きく制限されてしまった30歳代から40代の人たちが、年齢や企業規模に関係なく自由に働き場所を獲得することができることだ。日本の経済厚生は確実に上昇する。日本の働く環境をよくしてから、外国人労働者の受け入れを行えばいい。外国人労働者受け入れ問題についていえば、自国民ファーストは当たり前である。

 実際に、清野氏もまた90年代の外国人労働者問題に直面して議論してきた人たちの現実的な帰結はこのラインだった(参照: 後藤純一「少子高齢化時代における外国人労働者問題」『国際環境の変化と日本経済』)。

 いまの政府の方針はこの成果をまったく顧みていない。

 また政府が5年で最大34万規模の未熟練労働が大幅に拡大しても、他方でAIの進化やオートメーション化の変化によって、これら未熟練労働者が不用になることが今後予想されるのではないだろうか?

 政府は「人手不足」が解消されれば、受け入れを停止するとしている。だが、政府に市場の動向を的確に判断できる能力の保証はない。政府の受け入れ停止の判断はおそらくかなり遅れるか、あるいは政治的怠慢で判断さえされないかもしれない。このとき日本にきた未熟練労働者は、構造的な意味で「失業」に陥るだろう。

 ■ポスト安倍世代の緊縮政策で、外国人労働者は対立と分断の一因に?

 2)の修正モデルから考察してみる。このケースではもともと外国人労働者の移入拡大は、受け入れ側、移動してくる側双方に厳しい状況だ。

 日本の雇用が閉鎖的になるそのもっともありうるケースは、不況だ。

 このケースでは、日本にきたはいいが、職を得ることができないか、あるいは日本の未熟練労働者とパイを食い合う苛烈な競争となる。日本の労働者にも外国人労働者にも明るい未来はない。

 特に不況は緊縮政策によって生まれる。

 現在の安倍政権は積極的な金融緩和政策を採用している。ただし財政政策は、緊縮よりだ。その象徴が来年の消費増税をやめないことにある。ましてやポスト安倍といわれる人たちは、ほとんどが与野党問わず、緊縮政策、財政再建志向の政治家たちである。この増税政治家たちがいまよりも緊縮政策をとれば、日本は長期停滞に戻る可能性が大きい。

 そのときに外国人労働者は日本を経済的にも社会的にも対立と分断の一因になる可能性がある。そのことは、緊縮政策を採用した国々、外国人労働者や移民を増やしていったイギリスやドイツなどの経験をみれば自明である。

 もちろん外国人労働者は「安価な労働」ではない。だが、どうも政府もまたこの「人手不足」を理由に受け入れ拡大を後押ししている経団連などの財界にも、単なる「安価な労働」以外にはみえていない可能性がある。長期停滞の中で、非正規雇用が増えていったが、これも経営者側からみれば「安価な労働」という視点で規制がどんどん緩和していったことを思い出せばいいだろう。いまの改正法案でも派遣形態での外国人労働者の受け入れも認める動きがある。いまは厳格な条件を採用しても、やがてなし崩し的に規制が緩和される可能性が大きい。いまの日本の財界には、日本経済や国益をみたうえでの判断はできない。経済的老害である(参照:田中秀臣『増税亡者を名指しで糺す!』悟空出版近刊)。

 日本の労働者もそして外国人労働者もともに単なる「安価な労働」や都合のいい材料ではない。生身の人なのだ。これを忘れてしまい、ましてや緊縮政策の中で外国人労働者を増やすことは、日本の社会を大きく不安定にしてしまうだろう。改正法案は廃案すべきである。

田中氏のツイッターに掲載されている本人写真
経済評論家 / 上武大学ビジネス情報学部教授

田中秀臣


上武大学ビジネス情報学部教授。早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。国土交通省社会資本整備審議会委員、内閣府経済社会総合研究所客員研究員など歴任。 著作『日本経済は復活するか』(編著 藤原書店)、『AKB48の経済学』(朝日新聞出版)、『デフレ不況』(朝日新聞出版)など多数。毎週火曜午前6時から文化放送『おはよう寺ちゃん活動中』レギュラーコメンテーターとして出演中。

https://twitter.com/hidetomitanaka

【私の論評】外国人労働者を増やす前に、国内の賃金を上げよ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事て、田中秀臣氏は「そもそも外国人労働者を増やすことで、世界の経済厚生を増やす前に日本の政治家がすべきことがある。それは日本の経済厚生を増やすことだ。具体的には働きたい意欲のある高齢者、女性たちの働く環境の改善である」と主張しています。私もそう思います。

それに、永住資格は認めないで、「技能実習」から「特定技能」に切り替えられる可能性を広げる今回の案では、必要な期間だけ雇って、用がなくなれば帰国を余儀なくされるか、日本で職探しするしかない不安定な立場の外国人労働者だけを増やすことになりかねないです。

それだと、日本での安定した生活を求めて来る人たちの期待を裏切り、「派遣労働者切り」をめぐる昨今の問題を海外にまで拡大してしまうことになりかねないです。日本が自国の都合だけで外国人労働者を使っているという批判が各国から強まり、「国際問題」化することになるでしょう。


外国人労働者を増やす前に、やるべきことがあります。それは、まずは国内の労働者の賃金をあげることです。入管法改正を求める声が、人手不足を理由に産業界から出ていることは気がかりです。産業界が「人手不足」というときには、目先のことだけを考えて「賃上げをしたくない」という本音が見え隠れします。

私自身は、人手不足はマクロ経済にとって良いことであり、この際、企業がため込んだ内部留保を吐き出す番だと思います。つまり、アベノミクスによって企業が儲かってきたのですから、これからは労働者が賃上げで潤っていいはずです。

現状は、賃金をあげられるなら上げるべきです。そうして、上げれば、それが景気が良くなることにつながり、企業の収益がますます良くなるという好循環につながるはずです。このような好循環がおこれば、中小企業もその好循環が巡ってくるはずです。

それと、入管法がどうのこうのという前に、日本は移民が増えつつあります。実際日本の移民の数が増加しています。最新の外国人移住者統計によると、日本は経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の中で、韓国を抜いて4位に上昇したとのことです。


これをもって日本はすでに移民大国などとする識者もいるようです。ただし、これは実数で比較しているので、移民数の当該国の人口との比率でみれば、日本の移民の数はさほどではないのですが、それにしても民主党政権時代から持続して増えているのは事実です。

国家規模の数字がまとまっている2015年時点で、日本への流入者は前年比約5万5千人増の約39万人となり、スペインやカナダよりも多い数字になっていました。ただし、日本の人口は1億2千万人、スペインは4千657万人、カナダは3千671万人です。ちなみに、米国は3億2千570万人です。

人口減と少子高齢化による人手不足を背景に、日本で働く外国人が増え続ける中、経済協力開発機構(OECD)加盟35カ国の最新(2015年)の外国人移住者統計で、日本への流入者は前年比約5万5千人増の約39万人となり、実数では前年の5位から韓国を抜いて4位に上昇しました。

この観点からすると、今回は入管法を改正するにしても、外国人労働者を新たに受け入れずに、今まで受け入れてきた留学生アルバイトと技能実習生にきちんとした在留資格を与えて、その後はきっちり管理するというスタンスが望ましいです。

先進国のビザは、就労条件について厳格に定められており、その点、日本のビザではそれが曖昧です。この際、入管法改正によって、先進国並みの在留資格に基づいて就労条件を明記することが必須です。そうして、適切に運用することによって、邦人の雇用が失われないようにしなければならないです。

在留者やその家族の社会保障制度などの適用についても、これまで不適切使用が何度も指摘されてきました。誰からも文句を言われないような制度作りも併せて実施してもらいたいものです。

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2015年10月18日日曜日

フザけるな!公務員だけが「幸福」になっている~下流社会化が進む中、「上流役人」が急増中だと!?―【私の論評】怨嗟の声をあげる先を間違えるな!その先はまずは財務省・日銀の高級官僚だ(゚д゚)!



自分たちは上流だ

「正直なところ、ここまで日本の下流社会化が進行しているとは思ってもみませんでした。

'05年に『下流社会新たな階層集団の出現』という本を書いたときに、一億総中流といわれていた日本社会の均質性はもはや存在しないということを指摘しました。それから10年経って、日本社会の格差が拡大し、下流意識を持つ人がさらに増え続けているのです」

こう語るのは、社会デザイン研究家の三浦展氏だ。今回、三浦氏は三菱総合研究所の「生活者市場予測システム」という毎年3万人を対象に行われる調査をベースに、日本人の階層意識について調査を行った。

その結果を読み解くと、ある事実が明らかになったという。

「一見すると、日本社会全体で下流化が起こっていると思われるかもしれません。しかし驚くべきことに、このような一億総下流化に見える状況において、『自分の階層が上がった』という意識を持つ人たちがいることがわかりました。

それが公務員です」

世間全体が暮らしぶりが悪くなっていると感じる中で、公務員だけが「自分たちは上流だ」と思えるような幸福な暮らしをしているというのだ。

一体どういうことなのか。今回の調査結果をまとめた、三浦氏の著書『格差固定』(光文社)を詳しく見ていこう。

自分が「下流」だと考える日本人は全体の43%で、上流の14%と中流の36%を大きく上回った(残りの7%は「わからない」と回答)。

さらに、職業別に見てみると「会社員(正社員)・団体職員」の階層意識は「上」が16%、「中」が41%、「下」が38%だが、一方で「公務員」の意識は、「上」が29%もおり、「中」が46%、「下」は25%しかいなかった。

現代の日本社会においては、一部の会社経営者、役員、医師などを除けば、一番強く上流階層意識を持っているのが公務員ということだ。

とりわけ30代男性に限ってみると、正社員の45%が「下」の意識を持っているのに対して、公務員では21%と、その差は歴然としている。

「たとえば、六大学を出て新卒採用で東京都庁に入ったような男性なら、35歳くらいでパナソニックのような大企業並みの給料がもらえます。同じ庁内の女性と結婚すれば、安定した高収入が2つになり、都内にマンションを持つことだってできるでしょう。

入社以来、長い不景気を経験し、将来への不安を抱えてきた民間の会社員と比べれば、公務員がいかに安定し、恵まれた立場なのかがわかります」

雇用形態の変化により、この10年で正社員は大きく減り、非正規雇用の数が増えた。新たに下流意識を持つようになった人の中には、リストラに遭って職を失った人や、出世競争に敗北して年収が大きくダウンした人もいるだろう。

だが、公務員ではそういう経験をする人が少ない。そんな環境だからか、この10年で暮らしぶりが良くなったと感じる公務員も少なくないという。

「『階層意識がこの10年でどう変化したか』ということをみてみると、男性正社員は『上』が5ポイント減り、『下』が3ポイント増加。その一方で、男性公務員は『上』が19ポイントも増えて、『下』が10ポイント減少しました。

また、10年前に『上』の意識を持っていた公務員で現在も『上』の意識を持ち続けている人はなんと100%。正社員ではたった41%の人しかいなかったことを考えると驚くべき数字です。

公務員は自分たちの給料が民間企業に比べて下がっていないために、社会全体での格差が拡大しているという意識が少ない。実際、所得に関して格差が拡大したと感じる公務員の割合は学生と並ぶ低さでした」

三浦氏によると、民間企業サラリーマンの平均年間給与は、'97年の467万円から'08年以降は410万円前後に落ち込んでいる。しかし、例えば国家公務員の平均給与は月額約41万円(平均年齢43・3歳)で、年収でほぼ500万円と、かなり高水準だ。加えて、公務員は確実に年金をもらえるし、リストラもない。

「こんなにオイシイ条件がそろっているのですから、公務員が時代劇に登場する不遜な『お代官様』のように上流意識を持つのも当然のことかもしれません。

今回の調査を通して、公務員の上流化があまりに顕著だったため、初めはこの著書のタイトルを『役人天国』としようかと思ったほどです」

世間とずれた金銭感覚

消費に関するデータにおいても、公務員は「お代官」を通り越して「お大尽」になっている。

「最近消費を減らした項目」について見てみると、「家での食費」「外食」「普段着」「家電」「映画、音楽、演劇」など、ほとんどの項目で、公務員は正社員より消費を減らしていなかった。

たとえば、公務員は1回の飲み会での平均費用が5000円程度と答えた人が6割にも及び、正社員の約2倍。昼食代も800円程度かける人が正社員よりも8%も多い。

加えて、安定した生活と高収入のため、結婚している数も公務員が多い。公務員の既婚率は70・6%で正社員の60・4%を10ポイントも引き離し、同様に持ち家率も公務員が9ポイント上回っている。

また、旅行に行く頻度も、公務員は会社・団体の役員に次いで多いという。

「結婚、マイホーム、家族旅行といった従来型の幸せな暮らしを実現しようと思ったら、公務員になるのがいいということになります」

だが、三浦氏はこの状況に対して疑問を投げかける。

「公務員の経済的ゆとりは明らかですが、これは由々しき問題だと私は考えています。公務員というのは、基本的に経済活動によって付加価値を生み出す仕事ではありません。

そういう人たちが上流化していき、新しいビジネスや価値観を創造する民間企業の社員が下流化していくような社会に発展性があるとは思えないからです。

優秀な人材が安定を求めて公務員ばかりを目指すようになっては、日本の未来は暗いものになるに違いありません」

役人ばかりが良い思いをしているような国は、やがて崩壊する。これは歴史が証明している。

【私の論評】怨嗟の声をあげる先を間違えるな!その先はまずは財務省・日銀の高級官僚だ(゚д゚)!

このような記事を読むと、頭にくる人は大勢いると思います。そもそも、公務員とは公僕であり、そいつらが自分たちよりも優雅な生活をするなんて許せないというのが本音というものです。

公務員の給与はなぜ民間より高いのか

公務員の給与水準は、100人以上の資本金10億円規模の会社を基準にしています。これでは、民間の平均よりももともと高くなってしまうのが当たり前です。

公務員の給与がこのように高くなってしまったのは田中角栄が総理大臣のときに、公立の教職員給与を一般公務員より引き上げる「人材確保法案」を施行してしまったことがきっかけとなっています。その当時教員の給与が基本給で12%、諸手当を含めれば一気に約25%引き上げられました。

田中角栄氏

地方公務員給与も、田中角栄時代に、国家公務員連動に変更しました。国家公務員は主要な民間企業の平均給与との比較で決まります。つまりは、地方公務員の給与は地元の経済環境と連動してない(同程度規模の他自治体とは比較するが)ので、非正規雇用も拡大する昨今、高給取りになるのは当然の構造になっています。

これは、田中角栄の時代には、デフレではなく、インフレ傾向だったし、その後のバブルの時代も含めて、民間の給料が良かった時代には、あまり反発をくらうこともありませんでしたし、当時はデモシカ教師といわれて、教師にでもなるか、教師にしかなれないような人が教師になっていたものを、優秀な人材も教師になるようになったこと、さらには、教員組合の組織率がかなり減ったということで、一定の効果はありました。

しかし、過去20年近く、デフレが継続したため、民間よりも公務員のほうが給料が良いという状況になりました。田舎などでは学校教師が高給取りなどというなにやら、少しおかしな状況になっていました。もう、田中角栄の頃とは、時代が違います。

とはいいなが、2013年は日銀が金融緩和策に転じてから、経済指標がどんどん良くなり、いずれデフレは完璧に解消されるはずでしたが、平成14年度4月から8%増税を実施し、せっかくの金融緩和が腰折れになり、経済が停滞してしまいました。

そのため、結局のところ、今でも公務員の給料のほうが良いという異常な常態が続いています。

公務員の給与を単純にカットすれば良いというものではない

まだまだ、現実は厳しいです。今の日本は、デフレから脱却していないので、公務員が民間よりも優雅な生活をしているからといって、公務員の賃金を機械的に大幅カットすると、政府支出が減って、さらにデフレ脱却を妨げることになります。

公務員の大幅賃金カットは、増税と同じことで、緊縮財政の一貫です。デフレからぬけ出す最中に、緊縮財政は絶対にすべきではありません。実施すべきは、積極財政です。

そんなことはわかっているのですが、さすがにこのような記事を読むと私もかなり憤りを感じます。しかし、このような現実をみれば、新卒の人たちが民間よりも公務員志望をするようになるのは当然のことです。そうして、優秀な学生の多くが公務員を目指すようになり、現実にも優秀な人材が公務員になる率も高まっていると思います。

都道府県別、地方公務員(都道府県)の給料と賞与金額トップ10(単位:円)。
地方公務員の1年間の給料、手当と賞与相当(期末手当、勤勉手当)の総額より
上位10を抜き出したもの/総務省 「平成25年 地方公務員給与の実態」より筆者編集
これをまともにするには、公務員の賃金をただ機械的に下げるだけでは、何の解決にもなりません。これを正すには、まずは何が何でも、デフレを克服する必要があります。それだけではなく、よほどのことがない限り、デフレが長期間継続するようなことをなくす必要があります。

そのために、何が必要かといえば、まずは旧日銀が金融政策を誤り、本来金融緩和をすべきときに、金融引き締めを繰り返し、日本をデフレ・スパイラルのどん底に沈めて、超円高にしたということを肝に銘ずるべきです。今の日銀は、金融緩和策に転じていますが、今のままでは、いつ金融引き締めにもどらないとも限りません。

これを正すには、日銀法の改正が必要不可欠です。日銀の独立性を見直す必要があります。日銀法における、現在の日銀法では、日銀の独立性とは、日本の金融政策を日銀の政策決定員会が定めるということになっていますが、これがそもそも間違いです。

世界の常識では、一国の金融政策は、その国の政府が定めるのが当然のことであり、中央銀行は、政府が定めた金融政策に従い、専門家的立場から、その手段を選択できるというのが、中央銀行の独立性の意味であり、日本のように、日銀の政策決定委員会のような組織が定めるものではありません。

中央銀行は、日本国の金融政策の方向性を考え、それを政府に提案することはできますが、方向性を最終決定するのは政府の役割です。そんなことは、当たり前のことです、なぜなら、日銀や、日銀の政策決定委員会のメンバーは選挙という手続きで選ばれたメンバーではありません。やはり、選挙で選ばれた議員による政府がこれを最終的に定めるというのが、正しいあり方です。

日銀法を改正して、政府が金融政策を責任をとることとし、その最終責任は選挙において国民に信を問うというのが、自然な姿であり、民主的です。

そうして、何かといえば、増税ということで、過去三回にわたる増税が全部大失敗しているにもかかわらず、さらに10%増税を強力に推進する財務省に関しても、なんとかしなければなりません。

この財務省なる組織は、もともとは大蔵省で、大蔵省から日銀が分離独立して、今の財務省になりました。この組織は、 分割すると10年くらいかけて植民地を拡大する手段に使うので、まずは1)公的金融部門の廃止(第一次安倍政権の挫折の原因)、2)財務省官僚が目下においてる官庁の下部組織に財務省を分割の上で編入するなどのことをすれば、大蔵省や財務省が過去に行ってきたような、デフレの時に増税するなどというバカ真似はできなくなります。

このようにして、長期デフレに至ることがない状況をつくりだせば、民間よりも公務員のほうがはるかに給料が良いという状況は打開されるはずです。その後に、公務員の給料の改革をすべきです。

公務員の給料の改革

適正な財政をするということから、民間の給料が良すぎて、加熱気味のときには、財政制作の一貫として、公務員の給料少なめにする、逆に民間の給料が低くなれば、これは財政政策の一環として高めにする、ただし、どちらも極端に高い、低いということではなく、大体民間全体の中間くらいを少し上下する程度にすれば良いと思います。

無論、賃金の水準は100人以上の資本金10億円規模の会社を水準とするのではなく、もっと民間全体の平均に近い水準に近づけるべきと思います。ただし、ブラック企業とか、零細企業の水準まで加味すべきではないことはいうまでもありません。

こうするこにより、何が期待できるかといえば、公務員の給料は民間給料次第だということで、現状のように民間の給料が著しく下がった状態では、公務員の給与水準も著しくさがるため、それを回避しなけれぱならないということになり、官僚もそちらに向けて、必死に努力することになるからです。

今のまま、民間が悪くなっても、公務員はあまり関係ないということでは、役人も全く努力しないのが当たり前です。ただし、現状のまま、ただ公務員の賃金を下げても、何も良い結果はうみません。まずは、日銀法改正、財務省解体を視野にいれるべきです。

それも、加味せずに、ただただ公務員の給料を減らすというのであれば、とんでもないことになります。これは、デフレ傾向に拍車をかけることになります。

役人ばかりが良い思いをすれば果ては中国のようになる

ブログ冒頭の記事では、著者が「役人ばかりが良い思いをしているような国は、やがて崩壊する。これは歴史が証明している」と結論を述べています。

これはまさに正鵠を射ています。ただし、歴史だけではなく現実も証明しています。それは、今の中国を見ていれば良くわかります。

財務省の省益という自分たちの都合で国民生活や経済におかまいなしに何度も増税されたり、旧日銀のように何がなんでも、金融引き締めというように、自分たちの都合や趣味で、長期デフレ・超円高状況を好き勝手にできるような状況を放置しておけば、日本もいずれ中国のようになります。

中国のGDPはデタラメ、電力消費量からみれば
すでにマイナス成長に入っているという観測も・・・

中国は、幹部たちの都合で政治・経済が運営されています。そのため、ここしばらくブログで、批判してきたように、個人消費がGDPのわずか35%しかないというとんでもない状況になっており、これでは、インフラ投資が一巡して、めぼしい大規模投資がなくなってしまえば、経済はどん底まで落ち込んでしまいます。

というより、そもそも中国の経済はいびつで、インフラ投資で、官僚や官僚につながる民間業者などが、富裕層になり一般人民は、全く関係なく、いつまでも賃金が低く、地べたを這いずりまわるような生活しかできないというのが実情です。

日本もここまで酷くなるとは考えられませんが、それでも、財務省をこのまま放置しておき、10%増税が実行されたり、日銀がとち狂ってまた金融引き締め一辺倒になれば、日本経済は坂道を転がり落ちるように崩壊して、中国のように抜き差しならぬ状況に追い込まれることも十分考えらます。

だからこそ、公務員の賃金が割高なこの異常な状況に怨嗟の声をあげるなら、まずは財務省や日銀に対してあげるべきですし、怨嗟の声をあげるだけではなく、実際に来年参院選挙などで、増税阻止、日銀法改正を主張する候補者に票を投じるべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2013年11月5日火曜日

プア充拡大 280円牛丼、100円DVDなど上質なサービスが背景―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!過去20年間デフレだったことを忘れていないかい!デフレが「プア充」「ウチ充」を生み出していることを!本当はいろいろな「リア充」を自由に選べることが社会の安定と幸福につながることを!!

プア充拡大 280円牛丼、100円DVDなど上質なサービスが背景

デフレの象徴 280円牛丼

高収入を求めず、そこそこ働き自分の生活を充実させていく「プア充」という生き方を宗教学者の島田裕巳氏が提言し、注目を集めている。なぜ「プア充」が支持され、広がるのか。背景には戦後から続いてきた社会の仕組みが大きく変化したことがあるという。関西学院大学社会学部准教授で理論社会学を専攻する鈴木謙介氏(1976年生まれ)が解説する。

* * *
日本型雇用と日本人が共有してきた「成長のイメージ」は密接に関係していた。「正社員として入社し、定年を迎えるまで会社に勤めれば豊かになれる」という人生設計の階段(あるいはレール)が見えやすかった。昇進が決まったサラリーマンは「俺も今度は係長になるし、家を買おう!」といった考えを持てた。

ところが、今の雇用環境を見ると、安定した正規雇用の口が少ないだけでなく、仮に正社員の職を得たとしても「出世の階段」の意味が大きく変わってしまった。かつては出世して中間管理職になれば、ある程度は部下に仕事を任せる「マネージャー」業務が主であった。

ところが、近年は出世をしたとしても求められるのは「プレーイング・マネージャー」の役割だ。自らも成果をあげながら部下を管理する役割を求められるようになった。ビジネス環境の変化に加え、不況で採用人数が減らされてきたため、部下に任せるだけでは業務が回らない。

そもそも正社員になれない若者は言うまでもなく、正社員の若者も「出世は忙しさや辛さに直結するもの」ととらえるようになってきた。これまで幸せだとされてきたライフコースが敬遠されるようになったのだ。

デフレの象徴 100円DVD

これだけでは単なる「プア」にも思えるが、さらに要素として加えられるのが「プアでもそこそこ充実した生活が送れるサービス・環境の拡大」という点であろう。デフレが20年も続き、企業は安くてそこそこ質の良い商品を提供する努力を続け、そうしたサービスの質は格段に高くなった。

昼食に280円の牛丼を食べ、100円払えばTSUTAYAでDVDを借りられる。高級ワインは飲めないけれども、2000円もあればスーパーで売っている格安ワインや第3のビールを友人たちと飲んで楽しむことはできる。高級品・サービスとの差異がどんどん感じにくくなってしまった。

デフレの象徴 1000円以下のボジョレー・ヌー・ボー

各種調査を見ていると「これからは心の豊かさに重きをおきたい」と考える国民の割合は、1970年代からおおむね上昇傾向で推移してきた。だが、結局は1990年代頃までの「心の豊かさ」とは、優雅に高級ワインを飲むといった「お金で買うもの」であった。

それが1990年代以降の長いデフレ期間を経て、「お金」と「心の豊かさ」が本格的に切り離されるようになってきた。「プア充」が拡大することの本質はそこにある。

※SAPIO2013年11月号

【私の論評】ちょっと待ってくれ!!過去20年間デフレだったことを忘れていないかい!デフレが「プア充」「ウチ充」を生み出していることを!本当はいろいろな「リア充」を自由に選べることが社会の安定と幸福につながることを!!

少し前までは、SNS等で「リア充」が幅を利かせていたこともありましたが、最近では「プア充」
「ウチ充」などが話題になることが多くなりました。

ここで、いわゆる「充」モノ言葉について整理をしておきます。

1.リア充(ウィキペディアより)

リア充 新歓女子会?
概念自体は2005年頃[要出典]に2ちゃんねるの大学生活板で成立しリアル充実組と呼ばれていたが、2006年初頭に今のリア充の形として使われ始めた[要出典]。その後2007年夏頃[要出典]からブログやtwitterでも流行した[2]。未来検索ブラジルの主催するユーザ投票企画「ネット流行語大賞2007」では21位となった。2011年には女子中高生ケータイ流行語大賞の金賞に選ばれるまでに成長し、ギャル語として確固たる地位を獲得するに至った。 
当初は、インターネット上のコミュニティに入り浸る者が、現実生活が充実していないことを自虐的に表現するための対語的造語だった。当時は友達が1人でもいればリア充とされた。その後、このニュアンスは、従来のネット文化に(触れずにいた事から)染まっていない、携帯電話を介したネットの利用者たちが流入するにつれ、彼らの恋愛や仕事の充実ぶりに対する妬みへと変化していった。 
日経BPの記事では、アンサイクロペディアの「リア充」の項目に列挙されているリア充の条件から、いずれも携帯電話さえ持っていればパソコンを必要としていないことを指摘し、そこから、ネットとは別にリアルの充実に価値を見いだす、ネットとリアルの住み分けが進んでいるのではないか、と分析している。 
メール転送サービス「CLUB BBQ」を提供する株式会社アイシェアは、2009年3月に同サービス利用者を対象に、「リア充」を含むインターネットスラングに関する意識調査を実施・発表した。「リア充」の意味を分かると答えたのは436人中115人の26.4%、また「趣味・仕事・人間関係など、実生活が充実しているのを『リア充』だとすると」という前提で、自分を「リア充」だと思うかとの質問には、「かなり」「どちらかというと」を含めて436人中233人、53.4%が「リア充」であると答えた。「リア充」であると答えた層の方が、そうでない層よりインターネットを使用する時間が短めで、また睡眠時間が長い傾向にある、とアイシェアは分析している。 
プア充も、ウチ充もこの「リア充」から派生してきた言葉ですが、これらも以下にその定義を掲載しておきます。

2.プア充



プア充は、宗教学者の島田裕巳氏が自著『プア充─高収入は、要らない─』で提言し、話題となっている。これに関しては、詳細を知りたい方は、この著書をごらんいただくものとして、以下にアマゾンの書評からその内容紹介など掲載しておきます。
年収300万円だからこそ、豊かで幸せな毎日が過ごせる! 『葬式は、いらない』の著者が物語形式で描く、現代版少欲知足のすすめ。 
「仕事量に合わない、それなりの収入で不安だらけの毎日」と、「高くはないが、安定した収入で希望あふれる未来」あなたはどちらを選ぶ? 
●誰かと年収を比べて勝っていると、なんとなく安心する人
●「お金は、いくらあっても困ることはない」と思っている人 
●恋人はいるけど、貯金がないから結婚できない人 
●ブラック企業で働いている人 
●仕事のストレスで、肉体的・精神的にきつい人 
●ローンを組んで、家や車を買おうとしている人 
●今の日本、今の働き方、今の生き方に疑問を持っている人
――プア充になって、豊かで幸せな生活を送りませんか?
3.ウチ充



ウチ充に関しては、このブログでも紹介したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
イマドキカップルは「ウチ族」「ウチ充」? 定番化しているウチデートの実態―【私の論評】ちょっと待ってくれ、過去20年間デフレだったことを忘れていないかい!デフレは、本来の「ウチ充」の最大の敵であることを!(◎_◎;)

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の内容は、「ウチ族」とは家のなかで恋愛や消費を楽しんでいる人たちで、自宅の生活環境を充実させて、豊かにポジティブに過ごしているのが「ウチ充」なんだそうですが、実際に現状の「ウチ充」を検証してみると、テレビやインターネットをして過ごしていることがおおく、これなら別にウチでなければできないことでもないわけで、新たなトレンドというよりは、数年前に言われた巣篭もり消費とあまり変わりないというものです。

上の記事では、「1990年代以降の長いデフレ期間を経て、「お金」と「心の豊かさ」が本格的に切り離されるようになってきた。「プア充」が拡大することの本質はそこにある」と結んでいます。

まさに、その通りであると思います。デフレとは経済の癌とも呼ばれる病です。正常な状態ではありません。正常な状態でないからこそ、他人の「リア充」が妬ましく思われたり、「ウチ族」「ウチ充」が脚光を浴びるのではないでしょうか。

私は、デフレという異常状態を普通と考えて、物事を語ってはいけないと思います。異常な事態には、異常な事象がつきものです。実は、「リア充」を妬むとか、中途半端な「ウチ充」がもてはやされること自体も本当は異常事態なのかもしれないと思っています。

これらは、デフレが終息すれば、雲散霧消する現象なのかもしれないのだと思います。このプア充については、極端な意見を述べる人います。その例として典型的な大前健一氏のプア充についての考えを以下に掲載します。大前健一氏は、金なくとも幸せな「プア充」時代は続かないとしています。
 日本の現状を見ると、バブル崩壊後の「失われた20年」の停滞によって、いくら努力しても昇進・昇給はなく、よしんば昇進したところで忙しくなるだけという状況になった。だから、個人的なライフスタイルとしてプア充を選択する人を否定はできない。 
 すでに日本はこの10年あまりで手取り年収がどの所得階層も約100万円減った。それでもデモや暴動は起きていないのだから、みんな多かれ少なかれ「プア充時代」に納得しているのかもしれない。 
 しかし、多くの人が「プア充でいい」と考える社会は活力を失う。なぜなら、プア充が増えれば、当然のことながら付加価値を生み出す人が少なくなるからである。しかも、プア充は税金をあまり納めてくれない人々なので、社会的には負担となるばかりだ。国家に蓄えがあるうちは彼らもなんとか生きていけるかもしれないが、蓄えがなくなったらプア充だらけの国家は立ち行かなくなるだろう。 
 もし今のレベルの行政サービスを守ろうとして、税を負担できる大企業や富裕層の税率を上げれば、スウェーデンのように海外に逃避してしまうからである。つまり、プア充が幸せに暮らせるのは、ほんの一時期なのだ。 
 したがって、日本の「プア充時代」も長くは続かないだろう。おそらくスウェーデンやデンマーク、イギリスよりも短く、せいぜい数年間で終わると思う。社会を維持するコストを負担するのは勤労者だけなのに、負担する気のない“ぶら下がり”の国民が増えていくという現象が長続きするわけはないのである。 
 では、これから日本はどうなっていくのか。スウェーデンのように大胆な改革ができるのか? はたまたイギリスのサッチャーのように強力なリーダーシップで変わることができるのか?  残念ながら今の日本には、両方とも期待できない。
この大前健一氏の論考には、明らかにいくつかの間違いがあります。特に、日本の経済をマクロで捕らえていないという重大で根本的なミスを犯しています。

大前健一氏

プア充が、もてはやされたり、そのような人々が出てきたのは、日本人が突然「怠け者」になったから出てきたのではなく、過去の日本がデフレであったことが原因です。そうして、鈴木謙介氏が言うことにも間違いがあります。

鈴木謙介氏

そもそも、デフレは異常現象であり、それに普通であれば、このよに長引くデフレはありません。これは本当に異常なことです。鈴木氏も大前健一氏らも、この観点がありません。それにしても、鈴木氏は大前氏と比較すれば、まだ若くて、その意味では生まれてこのかたデフレで、景気の良い時代など経験したことがないのだと思います。

それに、諸外国から比較すると、日本では昔から平等意識が強くて、いわゆるプア充的な商品・サービスは昔からありました。お菓子や食べ物などでは、本当に低価格でおいしいものがありました。着るものにしてしも、とくに1970年代以降は、様々なものがだされており、プア充向きもありました。それよりも、何よりも、日本ではいわゆる富豪という人向けの商品や、サービスが少なく、いわゆる富豪といわれる人たちは外国の商品・やサービスを活用することが多く、日本ではあまりありませんでした。たとえば、オリエント急行のようなものはありませんでしたが、最近ようやっと日本でも、JR九州の「ななつ星」でようやっと日本でも実現されるようになりました。日本では、欧米に比較すると本当に富裕層向けサービスは少ないです。

であれば、これからもずっとデフレであることを前提でものを語ることは、ある意味仕方ないのかもしれません。しかし、大前健一氏は、ご高齢であることから、デフレでない頃の日本も良く知っているはずです。デフレが日本の長い歴史からみれば、異常な状況゛であることを頭でも、ご自分の実体験からも重々承知しておられるはずです。

日本は、経済的に本抜きん出た存在なので、人口が数百万しかないような、スウェーデンのような大胆な改革をする必要はありません。 はたまたイギリスのサッチャーのように強力なリーダーシップで変わらなくても、十分にやっていける余地があります。どちらの道も選ばなくても、余裕をもって十分に独自の路線を歩むことができます。ただし、それには前提条件があります。それは、無論、古今東西に稀な、このデフレを終焉させることです。そうして、これは不可能なことではありません。

大前氏も、鈴木氏も、まずはこの観点からの論評がなければ、バランスを欠いているとしかいいようがありません。現在の日本の社会・経済を考えれば、何をさておいても一番はデフレから脱却を語るべきです。

これが、実現さえすれば、日本はもともと豊かな国ですから、様々な形の「リア充」を個々人が追及できる時代がやってきます。

無論、「ウチ充」、「プア充」もありです。デフレが終息すれば、多くの人が、会社であまり給料が高くなくても、地位が高くなくても、それなりの幸福を見出したいという「ブア充」は無論のこと、現状の「ウチ充」も、さらに自宅を充実させる本来の「ウチ充」、それどころかもともとの意味での「リア充」を比較的自由に選べる時代がやってきます。

多くの人が自分の価値観に応じた「リア充」を追及できる社会をめざすべき


そもそも、「ウチ充」や「プア充」だって、「リア充」の変種だと考えると、多くの人が個々人の価値観を反映した「リア充」を比較的自由に選べる時代になります。

昔は、財産を何も持たず、知識もない人が最初はリヤカーを引いて雑品回収をしていたものが、20年から30年粉骨砕身して、財をなそうと努力して、一大財産を築いたなどという話はいくつもありました。しかし、最近は、そのような話は耐えて久しく聞きません。やはり、デフレであるということが影響しているのだと思います。

多くの人々は、完璧にデフレを前提としてものごとを考えていますが、穏やかなインフレであれば、このブログでも以前紹介したように、たとえば、「プア充」を目指した人が、20年間同じ職場で同じ職種、職位で過ごしたとすればどうなるかといえば、インフレ分を差し引かなければ、給料が2倍、差し引いたとしても1.5倍なるのが普通です。それが、過去20年間デフレであった国と、ソウではなかった国の違いです。

かつての日本はそれが当たり前だったのに、20年前にデフレ基調になり、1998年からは誰もが否定できないような、デフレとなり、そこから今日まで継続しているせいでしょうか、多くの人がゆで蛙のように、なりこの事実を理解できなくなりました。大前健一氏などその典型でしょう。

デフレで、多くの人々が「プア充」や「ウチ充」しか選べない社会と、個々人に応じて、楽に、場合によってはそれなりの努力すれば、様々な「リア充」を選べる社会とどちらが良いかという異なれば、無論後者に決まっています。

これだけ、デフレが続いた日本、そろそろデフレから脱却して、すべての人々が楽に、あるいはそれなりの努力をすれば、個々人に応じた「リア充」を得られる社会を実現すべき時に来ていると思います。こう考えると、来年の4月からの増税は、本当に無意味です。経済対策を実施しようが、何をしようが、デフレからの脱却は増税すれば、遅れます。本当に困ったものです。今後は、何が何でもデフレからの脱却を遅らさないように、15年度の10%増税など何が何でも絶対に見送るべきです。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

【私の論評】

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【関連図書】

プア充―高収入は、要らない―
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