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2017年2月9日木曜日

既存メディアにも「フェイク・ニュース」 「自らを棚に上げSNSをやり玉」は滑稽―【私の論評】日本では、新聞・テレビのフェイクニュースの悪影響ほうがはるかに甚大(゚д゚)!

既存メディアにも「フェイク・ニュース」 「自らを棚に上げSNSをやり玉」は滑稽

「フェイク・ニュース」という言葉をよく聞くようになった。トランプ大統領のツイッターでは「自分に不都合な世論調査はすべてフェイク・ニュース」とつぶやいている。一方、トランプ氏が大統領になったのも「フェイク・ニュース」のためだという意見もある。

具体的なニュースについて、どこがフェイクだったのかを検証するのはおおいにやったほうがいい。特に、ファクトの関わるところは検証可能であるので、どのような立場であっても、筆者としては大歓迎である。

「フェイクニュース」が耳目を集める
  消費税を増税しないと...

しかし、既存のメディアが、自らを棚に上げておいて、SNSをやり玉に挙げるのはかなり滑稽である。例えば、NHKが「フェイク・ニュース特集」をやっていたが、これまでのNHKの報道では、筆者の見聞きするところでは、「このまま消費税を増税しないと日本財政が破綻する」、「金融緩和すると、ハイパーインフレになる」、「消費増税で社会保障不安が消え、景気が良くなる」、「消費増税しないと国際公約違反となって国債が暴落する」などという、既にフェイクであることがわかっていることを平気で報じてきたと思う。

たとえば、最近(2017年2月7日)の「マイナス金利1年 効果と副作用は?」(NHK電子版)という記事も、筆者から見ればおかしなことが書いてある。

効果がでている住宅市場について、『バブル』と評している。一方、さまざまな『副作用』というが、金融機関の収益悪化だけしか書かれていない。

一般論として言えば、金融緩和は資金運用者から資金調達者への所得移転である。資金調達者のメリットを与えた方が、景気が良くなるので、景気低迷の時には金融緩和策が用いられる。

仲介する金融機関は所得移転との関係では、中立的なことが多いが、今回は預金調達金利を引き下げられず、運用金利の低下になるので収益悪化になる、これが、国民経済にとって『副作用』となるかどうかは意見が分かれるところだが、これまで金融機関は多額の収益を上げてきたので多少下がっても問題ない。

  経済学のマクロとミクロの区別

マイナス金利を正確に述べれば、マイナスとなるのは日銀と金融機関の間の日銀当座預金にほぼ限定される。それも、日銀当座預金全てをマイナス金利にするのではなく、ごく一部であり、全体としては、金融機関は日銀の当座預金で、プラス金利となっている。これは、一般企業が金融機関に預けた当座預金はゼロ金利であることから、金融機関全体で年間2000億円程度の利ざやを稼いでいることになる。市場金利の低下による収益悪化のみが報じられ、こうした事実の報道はなされていない。

しかも、最後の締めとして、「日本経済の復活、物価上昇率2%を実現する決定的な処方箋は『異例の政策』ではなく、産業競争力の強化や、将来のくらしを展望できる環境整備といった、より基本点な部分にある」と、急に何の脈絡もなく結んでいる。

これは、NHKでこの記事を書いた人は、マクロとミクロの区別という経済学の初歩を学んでいないのだろう。マクロ経済政策なくして、デフレは脱却できない。というのは、デフレがマクロ経済現象だからだ。記事の文中に、プリンストン大のシムズ教授の意見も引用しているが、記事が、デフレ脱却にはマクロ経済政策である金融政策と財政政策ではなく、ミクロ経済政策の産業競争力の強化が重要という結論だと知ったら、教授はさぞかし嘆くだろう。

++ 高橋洋一プロフィール

【私の論評】日本では、新聞・テレビのフェイクニュースの悪影響ほうがはるかに甚大(゚д゚)!

私も高橋洋一氏のように、NHKなどの日本の特に大手メディアが、マクロとミクロの区別もつけずに、報道することに憤りを覚えています。

上の高橋洋一氏の出している例には、たとえば、円安・円高の問題があります。日本の大手メディアは、円高・円安の要因に関して、ミクロ的な事象ばかり報道し、マクロ的な事象を報道しません。

円安・円高はかなり複雑なミクロ的な現象もともなうので、確かに100%正しく予測することはできません。しかし、マクロ的な現象で少なくとも60%の確率では予測はできます。

マクロ的には、金融緩和をすれば、円安傾向になります。金融引き締めをすれば、円高傾向になります。なぜそうなるかということは、簡単に理解できます。

金融緩和をして、円が増えて、ドルがそのままであれば、相対的に多くなった円が安くなるのは当然の理です。これが円安です。

金融引き締めをして、円が減って、ドルがそのままであれば、相対的に少なくなった円が円が高くなるのか当然の理です。これが円高です。

小学生にでもわかるあまりにも簡単な理屈です。しかし、なぜか日本の大手メデイアはこのことは全く出さず、円高・円安をあくまで、ミクロ的な事象からしか報道しません。これせは、確かにフェイク・ニュースだといわれても致し方ないと思います。

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏が"NHKが「フェイク・ニュース特集」をやっていた"としていますが、それは、『クローズアツプ現代』の"フェイクニュース特集 “トランプの時代” 真実はどこへ"のことです。これについては、どのような内容なのか、以下のリンクからご覧になることができます。


高橋洋一氏が上の記事で主張しているように、確かにこの番組では、SNSなどのネットをやり玉にあげていますが、テレビや新聞などのフェイク・ニュースについてはとりあげていませんし、NHKが自ら流していたフェイク・ニュースについては全く触れておらず、いささかバランスが欠けています。

私は、SNSなどにフェイク・ニュースが流れるのは当然のことであり、それを取捨選択するのが、SNSを視聴するときの前提条件だと思います。

SNSをみていると、実際明らかにフェイク・ニュースであることがわかるものも、結構流れています。しかし、私自身はそれは、当然のこととして、まずは匿名で流しているものは、ほとんど信用しません。ただし、匿名のものであっても、ニュース・ソースが明らかにされていて、それが信用できるものであれば、信用します。

しかし、ほとんどの場合、信用できると思われる人の発信する内容しか読みません。無論、自分と意見や、考えが異なる人のものも見ますが、それでもやはりその本人を知っているか、過去の発言などから信用できる人の場合は読みますが、そうでないものは流し読みです。

中には、匿名のものでも興味をひかれるものがありますが、それを拡散したり、このブログに掲載するときには、ニュース・ソースを確かめるようにしています。そうして、はじめて拡散したり、ブログに掲載したりします。このようなことをしていれば、SNSのフェイク・ニュースに騙されることはまずは滅多にないと思います。

はっきり言わせていただくと、特に匿名のSNSで、ニュース・ソースをはっきり示さないものなどは最初から話半分に受け取り、信用すべきではありません。私自身は、すべてのSNSとブログを実名で使用しています。

実名だと、さすがにフェイク・ニュースは載せられないという意識が働き、何か掲載するるにしても、その真偽など確かめて掲載します。

実名のもの、ニュース・ソースがはっきりしているもののみある程度信用するようにしていれば、SNSでフェイク・ニュースに騙されるなどということはまずないでしょう。一般社会人は、自らそのように行動するように習慣づけること、学校などでもそのような指導をすることにより、フェイク・ニュースの害毒を十分に防ぐことができことでしょう。

そんなことより、高橋洋一氏が指摘するように、NHKをはじめとする既存メディアのフェイク・ニュースのほうが余程危険です。そうして、クローズアップ現代では、米国の話題を多くとりあげて、フェイク・メディアの危険性を強調していますが、この見方自体も非フェイク・ニュースといえなくもないと思います。

そもそも、トランプ新大統領が誕生したということ自体が、米国民はフェイク・ニュースに惑わされなくなったことの証かもしれません。

最近では、CNNがトランプ氏に関する「不名誉な情報」を含む元英情報機関の諜報員による調査メモの存在を、そしてと米バズフィードがその全文を、報じたということがありました。

元英情報局秘密情報部(MI6)諜報員によるとされる、トランプ氏に関する「不名誉な情報」を含む調査メモが存在し、それが元諜報員から米連邦捜査局(FBI)にもわたっていることについて、すでに昨年10月末、マザー・ジョーンズのワシントン支局長、デイビッド・コーン氏が報じていました。

しかし、この「不名誉な情報」に関しては、FBIが信憑性に欠けるということで、公表しなかったことが後からわかっています。にもかかわらず、CNNや米バズフィードがそのような「不名誉情報」のメモが存在することを報道してしまったのです。これにより、CNNは終わったのではないかと評する人も存在します。

米国でも、このように既存のメデイアがフェイク・ニュースを報じるということはよくあることです。
既存メディアを糾弾するトランプ大統領のツイート
そうして、以前からこのブログで述べていることですが、米国のメディアは、90%がリベラル・左派が90%を占めており、保守メディアは10%程度に過ぎないという厳然たる事実があります。実際、米国の新聞のほとんど全部がリベラル・左派です。テレビ局も、かろうじてFOXTVのみが保守系であり、後はすべてリベラル・左派です。

そうして、実際には、米国には保守層の人々も人口の半分くらいは存在するはずなのに、アメリカのメディアはこれを無視して、リベラル・左派的な考えが、米国の考えであるかのような報道を繰り返してきました。米国の人口の半分を無視した報道は、フェイク・ニュースであると言っても過言ではないと思います。

そのためもあってか、ご存知のように、大統領選期間中もトランプ氏に対してはかなり偏った報道を繰り返し、トランプ大統領の誕生をほとんどのメデイアが予測できませんでした。

しかし、米国は既存メディアがこのように偏っていたとしても、多くの国民はメディアの報道することを真に受けたわけではなかったのです。もし、真に受けていたとすれば、トランプ大統領が誕生する余地はなかったはずです。

そうして、これは数字からも裏付けることができます。

以下にガベージニュースから引用します。

【World Values Survey(世界価値観調査)】から、「主要国における新聞・雑誌やテレビ(要はマスコミ)に対する信頼度」について確認をしていきます。
今調査結果は世界数十か国(80か国以上)が参加して実施している国際的プロジェクト「世界価値観調査」によるもの。各国・地域毎に全国の18歳以上85歳以下の男女1000サンプル程度(実際には1000-2000人程度)の回収を基本とした個人対象の意識調査。調査そのものは5年おきに実施されていますが、調査期間によって一時的に対象外となる国も少なくありません。例えば直近の調査結果は2010年から2014年に渡って行われたものですが、現時点でフランスやイタリア、イギリスなどは調査結果が掲載されていません(現在も精査中で今後掲載される可能性はある)。 
次に示すのは従来型メディアのうちテレビ、及び新聞・雑誌に対する信頼度。選択項目として「非常に信頼する」「やや信頼する」(以上肯定派)「あまり信頼しない」「全く信頼しない」(以上否定派)「わからない」「無回答」が用意されており、どれか一つを選択することになっています(「無回答」は選択する、というよりは結果的なもの)。 
この選択肢のうち今回は「非常に信頼する」「やや信頼する」の肯定派を単純に加算して、その値から「あまり信頼しない」「全く信頼しない」の否定派の値を引き、各メディアへの信頼度(DI値)を算出することにした。つまりこのDI値が大きいほど、その国では対象メディアが信頼されていることを意味します。
世界各国における新聞・雑誌への信頼度(2010-2014年)
(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)
世界各国におけるテレビへの信頼度(2010-2014年)
(非常に信頼・やや信頼-あまり信頼しない・全く信頼しない)
今サイトが主に日本在住者に向けて情報発信をしていることもあり、日本の項目を赤で着色しまし。第一印象として把握できるのは、日本は先進諸国の中ではずば抜けて、そして全体でも相当の上位に位置していること。特に「新聞・雑誌」では「妄信」に近い群を抜いた高値となっています。【「新聞って信頼できるよね」「正確だよね」はそれぞれ6割、ただし若者と高齢者の間には大きなギャップも】【新聞記事や特集7割・テレビ番組8割……シニア層の情報源、テレビや新聞が圧倒的】でも解説している通り、日本国内では特に高齢者において新聞などの従来型紙媒体のメディア、そしてテレビを信頼する傾向が強いです。
例えばアメリカでは(でも)【アメリカ人がいつテレビを見ているのかがひとめで分かる図】の調査結果などのように、高齢者の方がテレビ視聴時間は長いです。にもかかわらずテレビへの信頼度が全体として低いままなのは、「テレビは信頼できないもの」と割り切った上で、娯楽として視聴しているからなのでしょう。 
また、国の名前の並びを良く見ると、全般的にアジア系諸国は「新聞・雑誌」「テレビ」への信頼度が高いです。民族性という言葉でくくるのは多分にリスクがあるが、メディアや情報に対する考え方が地域単位で根底部分から異なるのかもしれません。 
今件調査結果は2010年から2014年に至るもの。精査の上ではその5年の間の値として扱われています。日本の場合は2010年調査とあり、先の震災による大規模なメディアに対する価値観の変容ぶりは反映されていません。次回調査結果が出る5年後に、いかなる値が呈されることになるのか、気になるところではあります。
この結果からすると、米国では新聞・雑誌、テレビの信頼度がかなり低いことがわかります。残念ながら、SNSのこのような国際比較はありませんが、既存のメディアを信頼しない人が、SNSだけは信じるということは考えられません。

この結果をみると、日本は米国と比較すると、新聞・雑誌、テレビに対する信頼度はかなり高いことがわかります。

ということは、日本こそ、新聞・雑誌、テレビがフェイク・ニュースを流すことの弊害が米国よりもはるかに大きいということがいえると思います。

であれば、NHKのクローズアップ現代は、このような事実を無視して、SNSをやり玉にあげているということで、非常に問題であるといえます。

新聞・テレビは自分たちの垂れ流したフェイク・ニュースについて、十分反省すべきです。

【関連記事】



2016年11月21日月曜日

蓮舫氏、配偶者控除政策を批判 廃止見送りは「挫折」―【私の論評】滑稽な財務省のピエロ蓮舫氏は安倍政権の強力な応援団(゚д゚)!


蓮舫氏


民進党の蓮舫代表は10日、政府、与党の協議で配偶者控除の廃止が見送られる方向になっていることについて「安倍晋三首相は『廃止』と指示を出したはずなのに頓挫したのはやる気がない。中途半端な(見直しは)挫折だ」と批判した。さいたま市内で記者団の質問に答えた。

首相が掲げる「働き方改革」に関し「『女性の活躍』と同じでスローガンで終わるのではないか。非常に残念だ」と指摘した。【共同通信 10月10日】

【私の論評】滑稽な財務省のピエロ蓮舫氏は安倍政権の強力な応援団(゚д゚)!


ブログ冒頭の記事、先月10月10日のものです。

滑稽な財務省のピエロ蓮舫氏

配偶者控除の見直しに関しては、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
麻生大臣を怒らせた、佐藤慎一・財務事務次官の大ポカ―【私の論評】日本の巨大政治パワー財務省の完全敗北は意外と近い?
参院本会議で、民進党の蓮舫代表の代表質問を
聞く安倍晋三首相(左奥右)=9月28日午前


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より一部を引用します。
2017年度税制改正について、8月末から9月にかけて盛り上がった配偶者控除見直しの動きが10月上旬、一気にしぼんだ。新聞報道によると、その理由は「衆院解散風」が吹き、有権者の反発を怖れた自民、公明両党が消極的になった、とされている。 
だが、首相官邸筋によると、迷走させた張本人は財務事務次官・佐藤慎一と主税局長・星野次彦だという。 
彼らは財務省内の合意を得ないまま、与党幹部には「首相官邸の了承を得ている」とウソをつき、暴走した。それを止めたのは副総理兼財務相・麻生太郎と官房長官・菅義偉だった。
この佐藤と星野の暴走には、さすがに財務大臣である麻生氏も激怒したようです。この記事にも掲載してあるように、結局財務省案をそのまま実行すると、かえって増税になるという内容でした。その部分を以下に引用します。
一見、良さそうに見えるが、夫婦控除を受けられる世帯主の年収は「800万円~1000万円以下」。これ以上の年収を得ている人は配偶者控除がなくなっただけとなり、年間数万円、税負担が増えることになる。 
つまり、年収が少ない人にとっては減税となるものの、多い人にとっては増税となる。社会の平準化は進むが、配偶者控除を「民法上の扶養義務」ととらえるなら、これを無くすことは社会の根幹を揺るがすことになる。
蓮舫氏は、このようなことは一切無視で、まるで財務省の応援団のような発言をしていたということです。

さて、以下に配偶者控除の見直し議論に関してまとめた内容を掲載します。



配偶者控除とは、専業主婦やパートなど収入が一定額以下の配偶者がいる家庭で所得税や住民税が軽減される制度です。妻の年収が103万円以下であれば、所得税は38万円、住民税は33万円が世帯主の課税所得から引かれます。このため、控除の対象外になることを心配して、「103万円の壁」といわれるように、女性が働く時間を自ら制限してしまう現象が生じていました。

さらに、「130万円の壁」もあります。妻の年収が130万円以下の場合は、夫の扶養になり、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料など)を負担する必要はないのですが、年収130万円を超えると夫の扶養から外れ、社会保険料が自己負担になるのです。

実際には、妻の年収が103万円を超えたとたんに、配偶者控除が適用されなくなるわけではありません。妻の年収が103万円から141万円以下の場合、配偶者特別控除が適用され、段階的に控除を受けられます。ただし、夫の所得が1000万円以上ある場合には適用になりません。


こうした制度の下では、妻の年収が130万円から150万円くらいの範囲だと、家計全体での年収は増えるのに、手取りの可処分所得が少なくなってしまう恐れがあります。

これが問題だとして財務省は配偶者控除の廃止ありきとしてきました。しかし、女性の社会進出を助けるというなら、配偶者控除の金額を引き上げるのも効果的な政策のはずです。配偶者控除の拡充で多少は税収が落ちますが、女性に働いてもらって、その所得に課税して税収を増やすことも可能です。

制度見直しでは、配偶者控除の代わりに「夫婦控除」の導入が検討されていました。そうなると、所得税がこれまでの「個人課税」から、「世帯課税」の色彩を強めることになりりそうでした。これは、世帯課税から個人課税へという世界の趨勢(すうせい)に逆行するものでした

税制の比較が容易な経済協力開発機構(OECD)の主要24カ国では1970年代以降、世帯課税から個人課税に移行したのは9カ国、世帯課税から選択制への移行は2カ国、そして選択制から世帯課税に移行したのが1カ国です。

世帯課税から個人課税への流れの理由は、個人課税のほうが、課税の中立性が高いからです。たとえば、専業主婦が働こうとするとき、世帯単位課税では累進税率が効いて不利になりますが、個人課税では中立的です。

税制には、簡素、公平、中立の三大原則があるとされていますが、個人課税のほうが中立性の点で優れています。

安倍政権の取り巻きは個人単位より家族単位のほうが良いと信じているようです。財務官僚は、こうした情報をうまく利用して、個人課税から世帯課税として、結果として配偶者控除の廃止をもくろんでいる。あまりにひどい「増税指向」です。

この内容がまともでないことと、財務事務次官・佐藤慎一と主税局長・星野次彦の暴走があったからこそ、麻生財務大臣は激怒し、官房長官・菅義偉氏がこれを止めたのです。

麻生財務大臣(左)と菅官房長官(右)
さて、本日は以下のようなニュースも入ってきています。
自民税調 配偶者控除の収入上限めぐり調整へ

詳細は、この動画もしくは記事をご覧いただくものとして、以下に「配偶者控除」に関する部分のみ引用します。
自民党税制調査会は、来年度の税制改正に向けて、21日から本格的に議論を始めることにしていて、焦点の所得税の「配偶者控除」の見直しについては、控除を受けられる配偶者の収入の上限をどの程度まで引き上げるかなどをめぐって調整が行われる見通しです。

自民党の税制調査会は、来年度の税制改正に向けて、21日、総会を開き、本格的に議論を始めることにしていて、来月中旬までに税制改正大綱を取りまとめる方針です。 
議論では、配偶者の給与収入が年間で103万円以下の場合に所得税を軽減する「配偶者控除」の見直しが焦点で、税制調査会の幹部は、「女性の就労を阻害する要因になっている」として、控除を受けられる配偶者の収入の上限を引き上げる方針を確認しています。 
このため、控除を受けられる収入の上限を、どの程度まで引き上げるかや、上限を引き上げた場合、全体の税収が落ち込むことを踏まえ、世帯の所得がどの程度であれば控除の対象から外すのかをめぐって調整が行われる見通しです。
これでは、配偶者控除廃止や夫婦控除を主張していた財務省や蓮舫氏を含めた財務省の応援団が赤っ恥をかいたとも言えそうです。

それにしても、ブログ冒頭の記事、財務省の悲願である配偶者控除廃止を安倍総理がやめることにすると、民進党は財務省の味方をするという格好の実例となりました。まるで、民進党は財務省の別働隊のようです。

おそらく、財務省の官僚は、民進党の幹部のところに、ご説明資料を持って足繁く通い、自分たちの望ましいと考える、政策を民進党に何度も刷り込んでいるのでしょう。経済・金融・雇用に疎い民進党幹部らは、これらの資料を批判的に読んだり、財務官僚の話を批判的に聴くなどということもできず、単純に鵜呑みしているのでしょう。

このような民進党の代表である、蓮舫氏はまるで滑稽な財務省のピエロのようです。このような民進党と、蓮舫代表が存在する限り、安倍政権は安泰です。支持率もあがっています。これからも、民進党と蓮舫代表は、安倍政権の強力な応援団として頑張っていただきたいものです。


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