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2020年3月1日日曜日

コロナウイルスの情報洪水に飲み込まれないために―【私の論評】過度に神経質にならず楽観的にもならず、政府や自治体の規制などに従いつつ状況を見守ることがベスト(゚д゚)!

コロナウイルスの情報洪水に飲み込まれないために

大野智氏(島根大学医学部附属病院臨床研究センター教授)

大野智氏
ヘルス・リテラシーという言葉を聞いたことがあるだろうか。

 リテラシーはメディアリテラシーのような形で使われ、通常は「読み解く力」と訳されることが多い。ヘルス・リテラシーは、「人間の健康や安全、人命に関わる情報を読み解く力」とでも訳せばいいだろうか。どんな分野でもメディアや誤情報に乗せられないためにリテラシーを鍛えることは大事だが、とりわけヘルス・リテラシーはこれが低いと容易にパニックが起きたり、誤った治療法や薬によって健康を害したりするなど影響が命に関わる場合が多いので、リテラシーの中でも最重要なものとなる。

 マル激では9年前の原発事故で科学の市民化と市民の科学化の両方が不足していることを痛感し、その視点から諸問題にアプローチしてきた。そして、巷がコロナウイルス情報で溢れかえる今、われわれはあらためて市民の科学化が問われる局面を迎えているのではないだろうか。

 つい3日前までは大規模な集会などは避けるように言われていた程度だったところが、27日になって突如として首相が全国の小中学校、高校の休校を要請するにいたり、コロナウイルス問題が未曾有のパンデミックにでもなったかのような空気が漂い始めている。

 たしかに既存の季節性インフルエンザ並の強い感染力を持ち、罹患した高齢者や糖尿病や高血圧など既往症のある患者には一定の死亡者が出るなど、恐ろしい感染症ではある。しかし、ここまでわかっているだけでも、新型コロナウイルス(COVID-19)は感染力、致死性ともに、既存のインフルエンザと大差はない。

 実際、日本でコロナウイルスの感染が始まった昨年12月末から2月までの約2ヶ月の間、既存の季節性インフルエンザの罹患者は1,000人を優に超えている。昨年1月のインフルエンザの罹患者は約90万人で、死亡者も1,600人を超えていた。コロナウイルスによる日本での感染者は今のところ234人(2月28日現在)、死亡者はダイヤモンド・プリンセス号の乗船者を除くと5人(同上)だ。今年はうがいや手洗いの徹底などのおかげで季節性インフルエンザの罹患者数が例年の半分程度に抑えられているが、それでもその間、80万人あまり(12月~2月末)が季節性インフルエンザに罹患し、最終的な死亡者数は約1,000人は超えるだろう。繰り返すが同時期の罹患者が80万人あまりと200人あまり、死亡者数が1,000人と5人(それぞれクルーズ船乗船者を除く)だ。

 無論、新型コロナウイルスにはまだ未知の部分もあり、単純に季節性インフルエンザと比較はできない。しかしながら、既に日本でも罹患後回復している人が33人もいるし、罹患者の大半はほとんど症状が出ないことも指摘されている。今のところ死亡者は高齢者と既往症のある患者に限られる。

 その一方で、これが世界的に広がれば、既存のインフルエンザと同様、多くの人の命を脅かす危険性はある。特に発展途上国のような医療体制が完備されていない地域では、インフルエンザが直ちに命の危険につながる。だからこそWHOなどではこの問題を非常に深刻に受け止めているのであり、日本のような医療の行き届いた先進国でこれが直ちに生命に関わるほどの深刻な問題になるとは考えられていない。

 ところがここ数日の日本の反応はどうだろう。

 島根大学医学部附属病院の教授でヘルス・リテラシーに詳しい大野智氏は、一般の市民にとって、今回は「新型コロナウイルス」という呼称が恐怖を助長した面があったと指摘する。なんといっても「新型」なので未知の部分が多く、またコロナウイルスという名前も、必ずしもわれわれの多くにとって馴染みがあるものではなかった。実際、一般的な風邪の1.5~2割程度はコロナウイルスが原因だし(4種類)、過去のSARSとMERSもそれぞれ別のコロナウイルスによるものだった。現在猛威を奮っているコロナウイルス(COVID-19)が、人類にとっては7つ目のコロナウイルスということになる。

 未知の物に対しては、誰も怖れを持つのは当然だ。しかし、とは言え今回のコロナウイルスは感染力としては既存の季節性インフルエンザ並かそれ以下であり、致死性ではSARSやMERSを遙かに下回ることが既にわかっている。また、各都道府県の医師会などがガイドラインを出しているが、手洗いやうがいなど既存のインフルエンザ対策が有効であることもわかっている。咳やくしゃみが出る人は、コロナであろうが何であろうがマスクをすべきだし、熱が出たり具合が悪い人は仕事や学校に行かずに家で安静にしているべきだ。インフルエンザが流行っている時期はあまり人混みには行かない方がいいだろうし、風邪気味だったり、糖尿などの既往症がある人、妊婦、高齢者もその時期は人が多く集まるところは避けた方がいい。

 何だかあまりにも当たり前のことを列挙してしまったが、結局、コロナであろうが季節性インフルであろうが、あるいは通常風邪であろうが(かぜの2割前後はコロナウイルスが原因だが)、こういう常識的なことをやっていればある程度の蔓延は防げる。逆に言えば、どんなに沢山の情報を集めても、市民一人ひとりができることは、その程度のことしかないのだ。

 一方で、政治や政府には、また別の心配事がある。今回PCR検査が進まないことで、日本が感染症に対する備えを怠ってきた実態が露呈してしまったが、もし大量感染が起こり、感染者、とりわけ重篤な症状を呈する患者が現在の日本の医療のキャパシティを超えてしまえば、いわゆる医療崩壊が起きる。その「崩壊レベル」が思った以上に低ければ、医療体制の整備を怠ってきた政治の不作為が露呈することになり、その責任が問われることになる。

 そこで政府は大量感染を起こさない、あるいは起きたとしても、発現のタイミングをできるだけ遅らせることで、医療体制の拡充を進め、「崩壊レベル」をあげることに時間を稼ぐ必要が出てきた。

 また、IOCの理事の一人が、5月末までに収束しなければ東京五輪は中止もあり得ると発言したことも、明らかに政府を焦らせ、今回のやや唐突とも思える措置の遠因となっているように見える。万が一五輪が中止になどなろうものなら、政府の責任が問われることは必至だからだ。

 このように政治は政治で、いろいろ心配しなければならない問題がある。しかし、それはわれわれ市民の問題ではない。そうした政治的な動きや、それに乗っかり、悪戯に危機を煽ることで数字を稼ごうとするメディアによる情報洪水に巻き込まれると、実際は国産シェアが97%もあり品不足になる理由がまったくないはずのトイレットペーパーが品薄になるような、いつもの馬鹿げたパニックが起きてしまう。

 今まさに市民のヘルス・リテラシーが問われている。情報洪水の中から、自分にとって意味のある情報だけを拾い上げる作業は骨の折れる作業かもしれないが、それをせずに真偽不明の怪しい情報に踊らされることのコストの方が実際には遙かに大きいはずだ。今こそリテラシーを発揮して、これまで何度も政府やメディアに踊らされてきた苦い経験を活かそうではないか。

 今週のマル激では大野智・島根大学教授と、情報洪水の中で誤情報に踊らされパニックしないための方策をジャーナリスト神保哲生、社会学者宮台真司が議論した。

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大野 智(おおの さとし)
島根大学医学部附属病院臨床研究センター教授
1971年静岡県生まれ。98年島根医科大学(現・島根大学医学部)卒業。博士(医学)。同年同大学第二外科(消化器外科)入局。2018年より現職。共著に『「がんに効く」民間療法のホント・ウソ―補完代替医療を検証する』など。
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【私の論評】過度に神経質にならずに楽観的にもならず、政府や自治体の規制などに従いつつ状況を見守ることがベスト(゚д゚)!

昨日の記事にも書きましたが、私自身はここ20年ほどは風邪やインフルエンザになったことはありません。無論、鼻水が出たとか、咳が出る程度のことはありますが、熱が出るとか、体調不良などの症状は出たことはありません。ましてや、風邪、インフルで会社を休んだなどのこともありません。

このような話をすると、「なぜ」と多くの人に聞かれるのですが、冬季間はいつもマスクをしていること、手洗い、うがいを励行したくらいのことしかありません。もう一つは、加湿機能付き空気清浄機を特に冬季間には使っているということもあるかもしれません。

マスクに関しては、以前から特に冬は寒いので、寒さ対策のためにマスクをしていました。実際、マスクを着用しただけで、一枚余分に衣服をつけたような感覚で、特に風邪、インフル防止という意識はありません。

マスクでは感染症を防ぐことはできないという専門家もいますが、多くの専門家はきっぱりと否定しているわけではありません。

「Face touching: a frequent habit that has implications for hand hygiene.」(PMID: 25637115)によれば、平均して一時間に23回も、人は自分の顔に触れていることがわかりました。

ウイルスの多くが病気を引き起こす経路は飛沫感染であり、接触感染です。この論文の結果から、マスクをすればウイルスが手指についても口や鼻の粘膜からの感染を防げる可能性があるといえます。


ただし、マスクがないからといって、パニックになって街中を探し歩いたりすれば、感染する率は高くなります。マスクがないならその分、手洗いやうがいの頻度を増すなどのことで充分対応できると思います。それに専門家の中には、マスクはどちらかというと、感染舌人が他にうつさないためのものと捉えている人もいます。

湿度に関しては、私は比較的敏感なほうで、40%以下になれば、必ず加湿します。加湿機能付空気清浄機は、自宅では2台使っています。それに、もう一つ、あまり湿度の下がらない部屋には、空気清浄機を一台設置しています。これも、あまりインフルエンザや風邪を意識して用いているわけではありません。

これ以外には、特に食べ物に気をつけたとか、サプリなどを意識して飲んだということもありません。運動もとくに他の人よりも多くしているなどということもありません。また、人混みを避けることにに関しては、普通の人と同程度だと思います。

こうしてみると、冒頭の記事にもあるとおり「結局、コロナであろうが季節性インフルであろうが、あるいは通常風邪であろうが(かぜの2割前後はコロナウイルスが原因だが)、こういう常識的なことをやっていればある程度の蔓延は防げる。逆に言えば、どんなに沢山の情報を集めても、市民一人ひとりができることは、その程度のことしかないのだ」ということなのだと思います。

そうして、上にはそれを裏付けるような事実を列挙されていますが、さらにわかり易い事例もあります。新型ウイルス対処により、日本では通常インフルエンザ感染者が昨年よりも400万人も減少しているという事実があるのです。以下にこの記事のリンクを掲載します。
インフルエンザ昨年比400万人減 新型ウイルス対策と暖冬の効果か

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、なぜインフルエンザが400万人もへったかといえば、

新型コロナウイルス騒ぎで以下のことをする人が増えたからです

・まともに手洗いする人
・咳エチケットが浸透

過去には、インフルエンザ対策はまるで放置だった人たちがまともに手洗い、マスクなどで咳エチケットをするようになったからでしょう。

もし新型ウイルス騒動がなければ暖冬とはいえ何十万人〜何百万人もの人たちがインフルエンザにかかって高熱だしたりしていたはずです。

新型コロナウイルスの騒ぎは行き過ぎの感もありますが、それに伴い400万人もインフルエンザ感染者が減ったということはすごいことです。通常のインフルエンザは今シーズンは400万人も減ったとはいえ、695万人が感染しているのです。

例年であれば、1000万人程度が感染しインフルエンザによる直接間接が原因で年間1万人が死亡しているのです。
出所:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/02.html

1000万人が感染し1万人が死んでいる通常のインフルエンザが毎年起きていても2週間も全国一斉休校にならないしイベントも中止にならないですし、時差通勤も在宅勤務もないしライブが中止になることはないです。

一方現時点で新型コロナウイルスは国内感染者230名で死亡は5名。
*河野太郎氏がツイッターで詳細を逐次報告
https://twitter.com/konotarogomame/status/1233727963666894848


検査体制が十分とはいえないところもあるので、感染者はさらにいるのかもしれませんが、それにしても230名です。通常のインフルエンザは695万人です。通常は、インフルエンザで毎年1万人がなくなっているのに現時点で新型コロナウイルスでは5名です。

もちろんこの先新型ウイルスが猛威をふるい多くの感染者や死者数がこれから出るかもしれないですが通常のインフルエンザ感染者1000万人で死亡1万人にまでなったとしても通常のインフルエンザ程度ということです。

通常のインフルエンザで1000万人もの感染者がいて1万人もの人が死んでも何の自粛もされず国民の多くは無関心で、手洗いもろくにしてこなかったということです。

ただし、過度に楽観的になるべきでもないと思います。通常のインフルエンザは素性がわかっているし、治療法も確立しています。それでも亡くなる人はいるわけですが、それにしても未知のウイルスへの対処法は慎重にしなければなりません。

ウイルスなどによる感染症は常に新たなタイプが出現します。今後どのような新たなタイプが出現するのかは定かではありません。現状では、新型コロナウイルスが過去に生じた新型ウイルスと比べてどの程度危険かも分かっていません。

重要なのは、一つの事実からでも異なる判断を引き出せる点を自覚することでしょう。今後、感染が増えていくのはほぼ確実です。その中で、専門家は厚生労働省や世界保健機関(WHO)などの信頼できる情報を収集し、できることを見極めていくべきです。一般の人もできること、するべきことを考えると、現状では手洗いなどが重要であり、ある意味それで充分ともいえます。というより、一般の人は、それ以外にできません。

現状は過度に神経質にならずに、過度に楽観的にもならず、政府や自治体の規制などに従いつつ状況を見守ることがベストであると考えます。ただし、この当たり前のことが、結構難しかったり、難しいときもあります。

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2014年11月1日土曜日

習政権の陽動作戦か 小笠原沖で“不審船”が急増 サンゴ密漁はダミー?―【私の論評】猿芝居には、日本としては、神経質にならず、もっと大雑把に対応しても、国際法などを遵守していれば、何の問題にもならない(゚д゚)!


2014年10月31日 17時12分

ZAKZAK(夕刊フジ)

伊豆諸島の須美寿島(東京都)周辺海域で確認された中国のサンゴ
漁船とみられる多数の外国漁船=30日(第3管区海上保安本部提供)
    小笠原諸島沖などで30日、中国船とみられる不審船が計212隻も確認された。「日本を揺さぶる陽動作戦の面もあるのではないのか」と専門家は指摘している。あちらこちらで不審船が現れれば、警備にあたる海保が疲弊するとも・・・・・・・。

東京・小笠原諸島沖などで30日、中国船とみられる不審船が計212隻も確認された。中国で高値で取引されているサンゴを狙った密漁という見方が有力だが、別の観測もある。沖縄・尖閣諸島周辺での海上保安庁の警備を手薄にさせるため、中国当局が陽動作戦を仕掛けているという見方だ。経済は墜落寸前といわれ、香港のデモで厳しい立場にある習近平指導部が、なりふり構わぬ攻勢に出ているのか。

「大型巡視船や航空機を集中的に投入し、特別な態勢で臨む」

海上保安庁の佐藤雄二長官は15日の定例会見で、小笠原周辺海域の取り締まり強化に乗り出す方針を明らかにした。

中国船とみられる外国漁船は9月から増え始めた。200トン級などの大型船が大挙して現れるのが特徴で、第3管区海上保安本部(横浜市)は30日、同諸島周辺や、約400キロ北に位置する伊豆諸島の須美寿島や鳥島(いずれも東京都)周辺の領海および排他的経済水域(EEZ)内で、中国のサンゴ漁船とみられる計212隻の外国漁船を確認したと発表した。

さらに、横浜海上保安部は同日、小笠原諸島・北之島(東京都)沖の日本のEEZで違法にサンゴ漁をしたとして、漁業主権法違反(無許可操業)の疑いで、中国漁船の中国人船長、張財財容疑者(45)を現行犯逮捕した。中国人船長の逮捕者は今月5人目。日本政府は逮捕を受け同日午後、中国側に「遺憾の意」を伝え、再発防止を求めた。

ただ、国際政治学者の藤井厳喜氏は「小笠原まで航行してくるには高額の燃料代がかかる。必ずサンゴが獲れる保証もない。ここまで大挙して押し寄せるのは不自然だ」と指摘し、こう続ける。

「中国当局が漁業者に対し、『(燃料代などを)補償する』と言って差し向けていることも考えられる。サンゴ密漁だけではなく、日本を揺さぶる陽動作戦の面もあるのではないのか。あちらこちらで不審船が現れれば、警備にあたる海保の疲弊は避けられない」

海保では、小笠原周辺は第3管区海上保安本部、尖閣周辺は第11管区海上保安本部(那覇市)が担当しているが、不審船が急増すれば、別の本部から応援を受けることがある。ある海域に不審船が集中すれば別の場所が手薄になることもあり得る。「モグラたたきをやらされているような状態」(藤井氏)だ。

この記事は要約記事です。詳細はこちらから(@_@;)

【私の論評】猿芝居には、日本としては、神経質にならず、もっと大雑把に対応しても、国際法などを遵守していれば、何の問題にもならない(゚д゚)!

上の記事で、藤井厳喜氏は、小笠原付近への中国船の侵入は、日本を揺さぶる陽動作戦の面もあるのではないのかとの指摘をしていました。

私も、そのように思っていた時期もありました。私自身は、藤井氏よりももっと具体的に中国の意図を感じました。それについては、このブログにも掲載したので、その記事のURLを掲載します。
小笠原に押し寄せる中国船、「宝石サンゴ」密漁か 「守るすべない」「島民は不安」―【私の論評】これは第二の尖閣問題に発展するかもしれない!尖閣問題は中国の第一次列島線に関係するが、小笠原侵入は、第二列島線の下準備かもしれない(゚д゚)!
この記事では、中国が第二列島線の下準備に入ったのかもしれない可能性を指摘しました。

第二列島線とは、中国が自分の都合で決めた、中国の防衛ラインの海域を指します。

これについては、この記事にも掲載したので、その部分のみ下にコピペします。



第一列島線とは、上の図の緑の線であり、中国の海域における軍事的防衛ラインの一つで、九州・沖縄から台湾・フィリピン・インドネシアの諸島群などを結ぶ線。中国海軍は1980年代半ばに提唱された「近海積極防衛戦略」などに基づいて軍事力を増強し、それまでの沿岸防衛から近海・外洋へと展開してい。この軍事戦略において近海と外洋を分ける目標ラインとされる。 
第二列島線とは、上の図の紫の線であり、中国の海域における軍事的防衛ラインの一つで、伊豆・小笠原諸島からグアム・サイパンを含むマリアナ諸島群などを結ぶ線。中国海軍は1980年代半ばに提唱された「近海積極防衛戦略」などに基づいて軍事力を増強し、それまでの沿岸防衛から近海・外洋へと展開している。この軍事戦略において外洋の範囲を示す目標ラインとされる。
第二列島線には、小笠原諸島も含まれていることから、私は、中国は第二列島線の確保に入ったのではないかとの懸念を抱いたのです。

しかし、これはどうも私の勇足であったようにも思います。

なぜなら、現在の中国の状況を考えるとそのような状況にはないことが良くわかります。まずは、経済の状況がそのようなことを許しません。

それに関しては、このブログにも掲載したので、その記事のURLを以下に掲載します。
中国経済、崩壊か…中国版アベノミクス不発 社会主義国家を待ち受ける“2つの罠”とは―【私の論評】『保八』も確保できない中国は、本当は雇用状況もかなり悪化しているのに、金融緩和政策も実行できない、その理由は「金が消えた」という驚愕の真実(゚д゚)!
7~9月期のGDP速報値を発表する中国国家統計局の盛来運報道官=先月21日、北京

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、 この記事では、中国は「保八」も維持できなくなったばかりか、2000年から2011年統計で、中国からの海外逃避資金のトータルが3兆7900億ドルとなると、史上空前の新記録になったことを掲載しました。これは、邦貨換算で417兆円弱。日本のGDPの80%にあたります。これは中国の金融が空洞化していることを示して余りあります。

ちなみに、「保八」とは、「8%以上の成長率を保とう」という意味合いですが、2009年の全国人民代表大会(全人代)においても、温家宝首相は「保八」への決意を高らかに宣言し、政府の経済運営の最大の数値目標として設定していました。

経済の成長率が8%以下に落ちると、失業がさらに拡大して社会的不安が広がり、体制安定の基盤が根本から脅かされかねない。そういう切実な不安と恐怖感があるからこそ、党と政府は「保八」という政策目標の実現に執念を燃やしていました。

しかし、直近の中国は、この「保八」も継続できなくなってしまいました。10%以上の経済成長率を維持してきた時でさえ、中国では毎年数万件以上もの暴動が起こっていました。「保八」が継続できないということなれば、中国の雇用状況は最悪となり、暴動はますます増えることになります。

このような状況では、経済が悪くなったからといって、昨日日銀がやったような、追加金融感もままらないということで、本当にとんでもない状況にあります。

このような状況で、官僚などの腐敗も日本と比較すれば、それこそ、日本の官僚の不正行為が、天使の戯事にみえるほど酷いです。

このような状況においては、中国人民の習近平体制に対する不満はますますつのるばかりです。党内の権力闘争もすさまじいです。


そうして、これは、当時の胡錦濤・温家宝体制と、習近平派との権力争いの一環として行なわれたものです。

このような過去と、現在の中国の状況を考え合わせると、小笠原近辺への中国船の出没は、中国内の権力闘争の一環であり、習近平が仕掛けているかどうかまではわかりませんが、習近平一派と、これに対抗する他の派閥の中での、抗争の一環であるとみて良いと思います。

習近平側が仕掛けたとすれば、最近の尖閣問題は、そもそも権力闘争の一環として行ったまでのことであり、最初から日本と戦争するつもりもないし、できるほどの能力もないですから、現在以上に進展することもないし、よって、中国人民の目をひきつけることもできないです。

であれば、新たな火種を起こして、反習近平派に対しての示威行動と、人民の習近平体制への不満を日本に向けさせるという意図であると考えられます。

習近平反対派によるものであれば、このあたりで、騒ぎを起こし、統治能力のなさを演出するという目的かもしれません。

いずれにせよ、私は、最近の中国には、かつてのように、南シナ海で派手な示威行動をする等のような、大規模な陽動作戦に打って出る余力はないとにらんでいます。

結局、小笠原沖で“不審船”が急増している背景としては、中国には、最早大規模な陽動作戦に打って出る余力はないことから、中国内部の権力闘争の一環か、人民の怒りのマグマを日本に向けさせるための猿芝居であるか、あるいは両方であると結論づけて良いのではないかと思います。

しかし、いずれにしても、中国の都合で、日本が振り回される必要など毛頭ないですから、ここは、日本としては、徹底的に取り締まりをして、取り締まり妨害などあれば、日本側も対抗して、場合によっては撃沈などしても良いと思います。

そうなったとしても、もともと、中国の都合によるものですから、確かに吠えまくるかもしれませんが、だからといって、戦争はおろか何もできないと思います。それに、きちんと国際法的な手順を踏んでさえいれば、国際的にも何の問題にもなりません。

日本は、こうした中国漁船の侵入などには、神経質にならず、もっと大雑把に対処すべきと思います。それは、尖閣周辺でも同じことです。

たとえ、間違って中国漁船や、公船を撃沈したり、航空機を撃墜したりして、人が死んだにしても、きちんと国際法など守って対処すれば、自国の領海、領空であれば、何の問題にもなりません。

こんなことは、逆の立場になればすぐに理解できることです。このような問題は、世界中でおこってますが、侵犯されだ側が、国際法を守っていれば、侵犯した側が、撃沈されようが、撃墜されようが、死人が出ようが、何ら問題になりません。ましてや、戦争になど絶対になりません。


日本においても、平成13年には北朝鮮の工作船とみられる船を射撃して、工作船が自爆したということがありました。その時の動画が上のものです。自爆していなかったら、撃沈したかもしれません。しかし、これが大問題になったでしょうか。これは、相手国が中国であろうと、韓国であろうと、ロシアであろうと変わりません。そもそも、日本の領海・領空の問題なのですから、他国にあれこれいわれる筋合いなどないです。

この種の問題は、過去の政府が、神経質に及び腰で対応してきたからこそ、中国側に便利に利用されただけです。現在のままの対応であれば、いつまでも都合よく利用されるだけです。

神経を尖らせたり、疲労困憊するというのなら、きちんと国際法を守って、一隻でも撃沈すれば、いくら燃料を支給されようとも、いくら金を積まれても誰も来なくなります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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