ラベル 識者 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 識者 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年12月12日土曜日

小保方さんの発見は真実!ネイチャーにマウスの体細胞が初期化して多能性を持つ「STAP現象」がアメリカの研究者により発表される―【私の論評】日本のマスコミや識者もSTAP細胞騒動を二度と繰り返すな(゚д゚)!

小保方さんの発見は真実!ネイチャーにマウスの体細胞が初期化して多能性を持つ「STAP現象」がアメリカの研究者により発表される

小保方さん

▼ブログ管理人より注意▼
以下専門的記述が続きますが、生物学などの専門知識のない方には、読んで理解するのは、難しいと思います。結局以下の文章での結論は、小保方さんの「STAP細胞は存在します」という発言は、おそらく正しいということがいえるということです。

これを念頭において、以下の文章を読んでいただくか、あるいは読み飛ばして【私の論評】を読んでいただければ、幸いです。 

以上
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 小保方晴子さんの発見した「外部ストレスにより体細胞が初期化して多能性を持つ」「STAP現象」が存在した事を報告する論文が、科学雑誌「ネイチャー」の姉妹紙でオンライン専用媒体「Nature.com SCIENTIFIC REPORTS」に2015年11月27日付けで掲載されました。


『Characterization of an Injury Induced Population of Muscle-Derived Stem Cell-Like Cells』 損傷誘導性による筋肉由来の幹細胞様細胞(iMuSCs)
http://www.nature.com/articles/srep17355
※下記に論文の自動翻訳有り

【怪我のストレスにより体細胞が初期化して多能性を持つSTAP現象と同じ研究結果】
この報告書では負傷したマウスの骨格筋から幹細胞になる新規の細胞集団を発見した_とあります。

「物理的ストレスで体細胞が初期化され、多能性を持つ」とされるSTAP現象と同じ原理が記されています。キメラマウス実験でもこの体細胞から多能性に変化した多能性細胞は脳や肺、心臓にそのGFPが認められたという事です。※参照の事。

【笹井芳樹博士の驚きは幹細胞学者として正しかった】
http://www.nature.com/news/acid-bath-offers-easy-path-to-stem-cells-1.14600 より〜

体細胞が物理的要因で未分化の状態に戻り、多能性を持つ細胞に変化する_小保方さんの「酸性の液に浸けるストレスにより細胞が未分化の状態に戻り、様々な身体の組織に分化できる多能性細胞になる」事をSTAP現象と名付けた研究結果と同じ原理です。
外部刺激により、体細胞を幹細胞に出来るとした小保方さんのSTAP実験について故笹井芳樹博士(享年52)はネイチャーの記者デイビット氏にこう話した。「素晴らしい成果です。私自身、外部からのストレスが細胞にこのような効果をもたらすとは思ってもみませんでした」この驚きは正しかった。ノーベル賞級の研究者も、思いもよらない未知の細胞生態を小保方さんは発見していたのだ。

【小保方晴子さんの発見は真実だった事が証明された】

小保方晴子さんは細胞培養中、細胞にストレスをかけると分化多能性を持つようになるアイデアが浮かんだという。今回のネイチャーの報告書で小保方さんのアイデアの本筋は間違っていなかった事が証明された。小保方さんは細胞にストレスをかける実験は低酸性液だけではなく、細胞膜に穴を開ける方法や物理的圧迫なども試し、多能性マーカーを発現するようになった、と報告している。

【STAP細胞と全く同じ物ではないが、STAP現象とされる細胞の初期化は証明された】
物理的圧迫で細胞が初期化し、多能性を持つとする現象が報告された事により、細胞がリプログラミングする事がある、という事が解った。「細胞はいったん分化したら未分化の状態に戻る事は無い、細胞は分化が進んで行くだけ」「体細胞が未分化細胞になり、幹細胞状態として身体組織を作れるようになるなんて事はない」とするSTAP否定派はこの実験結果をどのように捉えるのか?

論文に引用された小保方さんの論文。

ハーバード留学時代に書かれ、再生医学専門誌「ティッシュ・エンジニアリング誌」に掲載された「The Potential of Stem Cells in Adult Tissues Representative of the Three Germ three Layers」

体細胞が多能性を持つようになる研究が実験段階である事を示すために引用されています。博士号を授与される前に、多能性細胞について書いた論文が一流の研究者達の参考になっているのです。小保方さんはこの論文を元に博士論文を書きましたが、間違って草稿を製本し早稲田大学に提出したために、「不正により学位の授与を受けた」と判定され、学位を剥奪されました。



 
【ネイチャー論文日本語翻訳】 http://www.nature.com/articles/srep17355

■Abstract 要約

我々は最近、負傷したマウス骨格筋からの幹細胞の新規な集団を発見しました。これらの傷害誘導性の筋肉由来幹細胞様細胞(iMuSCs)は部分的に分化した筋原細胞から再プログラムおよび多能性のような状態を表示しています。

このような神経性および筋原分化などの複数の系統に分化する能力を含むiMuSCs展示幹細胞の性質;彼らはまた、in vivoでの筋肉の生着の強力な能力を実証する優れた移行容量を表示します。 IMuSCsには、いくつかの多能性および筋原幹細胞マーカーを発現します。

胚様体及び奇形腫を形成する能力を有し、そして3つのすべての胚葉に分化することができます。また、胚盤胞のマイクロインジェクションは、iMuSCsキメラ胚に貢献したが、生殖系列伝達を完了できなかったことを示しました。我々の結果は、iMuSCsが負傷した骨格筋の微小環境によって生成された多能性の部分的に再プログラムされた状態であることを示しています。

■Introducion 導入

損傷後の組織修復は、組織常駐前駆体および幹細胞の活性化、および局所および全身の信号に応答する細胞の浸潤の多様性を含む複雑な生物学的プロセスです。哺乳動物の骨格筋の再生には、筋線維の基底膜と筋細胞膜の間に位置する単核細胞の集団である衛星細胞と筋肉幹細胞(MuSCs)、などの常駐筋前駆cells1,2の活性化および増殖に依存しています。

 MuSCsは、細胞の機能的に不均一な集団であり、可変増殖速度、マーカー発現プロフィール、自己再生能力、クローン原性および分化capacities2,3を持っています。

我々は以前MuSCsうち、iMuSCsの小集団が存在することを発見した、我々のlaboratory4で確立Cre-loxPシステムを用い、損傷したマウスの骨格筋から単離することができます。我々はiMuSCsは、CD34を発現するのSca1(細胞抗原-1幹)、およびPAX7(ペアボックスタンパク質7)だけでなく、vivo5に強い筋原性分化および筋肉の再生能力を提示するだけでなくことが示されています。さらに、我々はiMuSCsは、細胞の挙動を幹実証し、そのような癒さ骨格muscle4におけるCD31 +内皮様細胞などの非筋原性系統に分化することが可能であることを実証しました。

ここでは、さらに、それらの形態、マーカー発現プロフィール、多能性、渡り鳥能力と分化能力に焦点を当て、iMuSCsの特有の性質を調べます。

■Results 結果

我々の確立された細胞分離法(図1a)を適用することによりiMuSCs正常負傷したマウスの前脛骨(TA)筋から単離しました。三日後、細胞単離後、増殖iMuSCs(約全体筋細胞集団の0.1%)を培養皿に現れました。しかし、細胞は、対照から確立された培養物中に存在していない無傷の筋肉(図1b)。

顕微鏡評価は、代表iMuSCsは、直径5-7ミクロンであった比較的大きな核と細胞質の狭いリムが含まれていることが明らかになりました。それらの核はMSX1(MSHホメオボックス1)式(補足図S1aと)とヘキスト33342陽性および取り込まれたBrdU(ブロモデオキシウリジン)となりました。たてPAX7とのSca1(図1c)を発現する少数の細胞であったそのうちの陽性細胞を単離し、またはiMuSCsの初期の人口はMSX1およびCXCR4(CXCケモカイン受容体タイプ4)の割合が高いが含まれていました。全体生検負傷したTA筋肉の遺伝子発現分析は、MSX1、(またPOU5F1と呼ばれる)のOct4、Sox2の制御無傷古い脛骨筋(図1dおよび補足図と比較してアップレギュレート(SRYボックス2)およびNanogの発現がありました。S1bが)。

新たに単離したiMuSCsは筋原幹細胞関連マーカー、すなわちのSca1、PAX7およびCD34、およびコア多能性マーカー遺伝子、すなわちのOct4、Sox2のおよびNanog発現した(図1E及び補足図。S1cを)。培養iMuSCsは、13時間の平均の細胞集団の倍加時間を有する筋成長培地中でin vitroで増殖させました。細胞遺伝学的解析は、iMuSCsが正常な女性核型を持っていたことを明らかにしました。しかし、染色体異常は、染色体5(補足図S1D)のためのトリソミーで、その結果、長期培養(継代33)の間に現れました。

また、iMuSCsが顕著マイグレーション特性を有していたことを発見しました。タイムラプス運動性アッセイからのデータは、iMuSCsは対照マウス筋芽細胞株、C2C12に比べて長く、より高い速度と距離を移行していることを確認し、コントロールから分離しMuSCsは(図1F)筋肉を無傷。また、iMuSCsはmRNAレベル(図1G)でβカテニンおよびいくつかのカドヘリンを高レベルで発現しました。

Figure 1
図1 クリックすると拡大します

体外多能分化アッセイでiMuSCsはMyHC +(ミオシン重鎖)制御MuSCsとC2C12筋芽細胞(図2a)と同様の融合インデックスを持つ筋分化培地中で筋管と融合することができたことを示しました。 iMuSCsもBMP2と骨形成培地内の骨形成系統(補足図S2)に分化することが可能でした。 iMuSCsも簡単かつ効果的に、一週間のために神経幹細胞培地(方法を参照)で一度培養ニューロスフェアの形成を介して神経性系統に誘導することができた(図2b)、制御一次筋芽細胞およびMuSCsはこれらの構造を形成するの兆候を示さありませんでした。 iMuSCsによって誘発されるニューロスフェアは、神経表現型を示し、ネスチン、CNPアーゼとNefm(ニューロフィラメント)(図2b)を表明しました。 3週間後、神経分化培地にラミニン/ポリオルニチンコーティングした単層培養でメッキ再ニューロスフェアは、三つの主要な神経系統(ニューロン、アストロサイト、およびオリゴデンドロサイト)に分化することができ、彼らはMtap2を表明し、βチューブリンIII、Nefm 、ネスチンおよびOlig1 / 2(オリゴデンドロサイト転写因子1/2)(図2B、C)


さらにiMuSCsの起源を調べるために、我々は、in vivo筋肉内移植試験で行いました。 iMuSCsと制御MuSCs同数のは6 6-8週齢の雄のmdx / SCIDマウス(ジャクソン研究所、米国)のTA筋に注射しました。二三週間の細胞移植後、我々はホストのTA筋肉のユートロフィンとジストロフィン(図2d)の発現を検出し、iMuSCs制御MuSCs(図2d)と比較して、より大きく、より強固なジストロフィン+筋肉移植片を形成していることが観察されました。

図2  クリックすると拡大します。

我々はまた、iMuSCsの遺伝子及びタンパク質発現プロファイルを明らかにするために、定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)および免疫組織化学分析を行い、胚性幹細胞(ESC)および筋原幹細胞(C2C12及びMuSCs)にこれらを比較しました。 iMuSCsはESCのと同様に、(B、図3a及び補足図のS3a)のOct4、SSEA1(段階特異的胚抗原1)、Sox2の、CXCR4、MSX1、PAX7、とのSca1を発現したが、より低い発現レベルで。 QPCR分析はiMuSCsがESG1及びDAX1(図3B)を除いて、多能性マーカー遺伝子の大部分を発現することを明らかにしました。しかし、ESCは異なり、iMuSCsは筋原性マーカー遺伝子を発現し、興味深いことに、始原生殖細胞関連マーカーの一部、例えばBlimp1とフラジリス、そのようなCD45またはCD90(図3c)として、他の系統に関連した遺伝子を発現しませんでした。また、iMuSCsは、アルカリホスファターゼ(図3a)に対して陽性でした。これらの結果は、彼らが筋原性メモリ(ESCのに比べて、筋原性遺伝子の例えば、高発現を維持するため、iMuSCsは、に似ていますが、ESCのと同じではないことを示し、容易にin vitroで筋原系統に分化するように誘導され、生体内で)。

iMuSCsの多能性を明確にするために、我々はiMuSCsシャーレで胚様体(EB)(図3d、e)を形成することができることを示したin vitroでのassays6,7分化を行いました。浮遊培養で7日後、EBを拡大し、自発的分化を開始した外胚葉と中胚葉胚葉種々の誘導体にし、さらに2週間培養した後、付属のEBは、神経のような構造に包含多核筋管を収縮を形成した(図3F 、G)。

図3 クリックすると拡大します

我々はさらに、in vivoで奇形腫形成によってiMuSCsの多能性を検討しました。 7週間のSCIDベージュマウス(ジャクソン研究所、米国)に移植すると、iMuSCsは(90%、N = 7)は、3つの胚葉の代表組織を含む(図4a)奇形腫を形成しました。組織学的検査はiMuSCsは、神経、筋肉、および脂肪組織、および上皮に分化することを明らかにしました。奇形腫は、移植された細胞から直接形成されたことを確認するには、iMuSCsは、注射の前にβ-galで事前に標識し、我々はLacZを(図で染色したとき奇形腫内のすべての3つの胚葉誘導体は、β-galの+細胞を含んでいた検出した。図4b )。

iMuSCsはキメラマウスを生じさせることができるかどうかを評価するために、胚盤胞注入アッセイを行った(図4c)。我々は、標準的なprocedures8以下のマイクロインジェクションによってのBALB / c(ジャクソン研究所、米国)胚盤胞に未分化のβ-gal +および単一細胞としてのGFP-予め標識iMuSCsを移しました。我々は、6が適切に開発され、胚にGFP + iMuSCsの寄与を示し、E14で8胚を得ました。 β-galおよびGFP発現細胞の高〜中程度の貢献は、これらのE14のキメラ胚(図4c、dおよび補足図S4aでは)で見ることができました。組織学的分析は、iMuSCsはすべての3つの胚葉(図4E及び補足図S4bと)に寄与していることを確認しました。 iMuSCs注入した胚盤胞由来子孫が生まれ、正常に開発されました。この実験を3回繰り返した後、私たちは白衣(補足表S1)を持って生まれた23匹の子、すべてを得ました。自分の髪がiMuSCsが表示されませんでしたが、生殖系列伝達、免疫染色およびqPCR分析は、図(例えば、皮膚、筋肉、心臓、肺、腎臓、脾臓、および脳などの仔のいくつかの組織でのLacZ +およびGFP + iMuSCsの存在を明らかにした。4Fと補足図ステップS4c)。


図 4 クリックすると拡大します

■Discussion 議論

矛盾した結果が、様々なgroups9,10,11,12,13,14,15によって報告されているので、成体組織における多能性細胞様細胞の存在は、年間の論争の種となっています。しかし、研究は、これまで、そのような多能性幹細胞は、分化した体細胞組織から生じ得ることを証明していません。本研究では、細胞の再プログラミングが骨格筋を負傷しているときに発生する強い刺激することによって開始することができることを明らかにしました。このように、我々が負傷骨格筋から再プログラムさiMuSCsを単離することができました。

まとめると、我々の知見は、iMuSCsこれまで研究されたすべての細胞型とは異なる特性(形態、大きさ、および遺伝子発現プロフィール)を有する細胞のユニークな、非常に敏感な集団であることを示しています。 IMuSCsはESCの代表的ないくつかの特徴を表示する(細胞質の狭い縁に囲まれた例えば大型核、高い核/細胞質比、開いたクロマチン、非構造化核質、及び染色体の二倍体数)(表1)だけでなく、いくつかの多能性を表現するだけでなく、マーカー遺伝子は、筋原性遺伝子の高い発現レベルを維持します。

また、本研究の最も注目すべき発見はiMuSCsは、in vitroおよびin vivoでの多能性のための基準のいくつかの成就ということでした。しかし、我々は、胚盤胞のマイクロインジェクション後に生殖系列伝達とiMuSCsを得ることができませんでした。これはiMuSCsは、多能性マーカーの低い遺伝子発現プロファイル(例えば、あるOct4、Nanogの、及びSox2の)を有するとのESCと比較した場合、ESG1及びDAX1発現を欠いているという事実に起因し得ます。

それはiMuSCsによってのBlimp1、フラジリスおよび筋原性マーカー遺伝子の比較的高い発現がこの観察に寄与​​し得ることももっともらしいです。これらの結果は、iMuSCsが多能性を完全に退行し、おそらく彼らの筋原組織起源のエピジェネティックな記憶を保持していないことを示しています。このようなDNAメチラーゼまたはNanogの過剰発現の阻害などiMuSCsのさらなる操作は、潜在的に完全な多能性を達成するためにiMuSCsをプッシュすることができます。

【私の論評】日本のマスコミや識者もSTAP細胞騒動を二度と繰り返すな(゚д゚)!

さて、以上のことから、小保方さんの行った実験が正しいものだったのか、そうではないかは別にして、小保方さんの語っていた「STAP細胞は存在します」という発言をはきり否定することはできなくなりました。

小保方さんの実験は、何度も追試された結果、再現されないことが明らかにされていますが、それはもしかすると、小保方さんも気づいていない、他の条件などが見過ごされているということなのかもしれません。これから、さらに他の実験などがこれを明らかにするかもしれません。

ただし、少し前までは、世界中で小保方さんの実験の追試などが行われましたが、その結果一度も成功していなかったのですが、ブログ冒頭の記事で、小保方さんの発見したSTAP細胞とは、全く同じ物ではないものの、STAP現象とされる細胞の初期化は実在したことが証明されたようです。

さて、小保方さんについては、このブログでも何度か掲載したことがあります。その主なものは、ブログ記事の一番下のほうの【関連記事】に掲載しますので、是非ご覧になってください。

さて、過去に掲載したもののうち、本日のこのニュースに接して思い出されたのは以下の記事です。
ドクターZは知っている STAP騒動と論文問題―【私の論評】学問の世界を歪めるどころか、とんでもない惨禍をもたらす、マスコミの『空気』醸成に乗るな、そそのかされるな、加担するな(゚д゚)!
お昼のワイドーショーの番組に流れた笹井氏死亡のテロップ。
何やら、今の日本の状況を象徴しているような気がした。
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では私の学生時代の経験を掲載しました。その部分のみ以下に掲載します。
そうなんです、まさに、「論文といっても学術誌に掲載された段階では、エンドではなくあくまでスタートであり、その論文が学術界に受け入れられることもあるし、逆に批判されることもある」のです。

これは、学問界の常識です。私は学生の頃生物学を学んでいました。その時経験したことからもこのことは確かです。

私は、学生だったころ、当時助教授(現在では、准教授と呼称する)と、いわゆるポスドク(後に若くして地方大学の助教授になった人)と3人で、とはいっても、これが当時の講座の全員で、大学内で開催された学会に行きました。今から思えば、本当に贅沢な環境だったと思います。一つの講座がたった、3人ですよ。そのかわり、それなりにシンドかったですが・・・・・・・(笑)。そうして、学会での発表を聴くのはこのときが初体験でした。

3人は、自由行動することとして、時間を決めて昼には、レストランに集合して、食事をすることにしていました。そのため、私は私で、自分の聴きたい発表を聴きました。そうして、これは後でどのようなものだったのか報告することになっていました。

報告する以上、いい加減なことはできず、まともな発表と、その内容しっかりと控えておく必要がありました。

そうして、いくつかの発表を聴いてみたのですが、驚くべきことを発見しました。

いくつか、「タイトル」から非常に面白そうだったので、2つほど聴いてみましたが、これが素人目にもすぐにわかるような酷い内容で、何といえば良いのか、カルト的とも言いたくなるような内容だったので、時間の無駄と思い途中で退席しました。

このカルト的ともいえるような、発表ですが、聴いている人はわずか数人とか、多くても十数人でしたが、それでも聴いている人いるし、私が退席した後でも聴いている人は聴いていました。

さて、昼飯時に助教授(当時の年齢はおそらく38歳くらいの新進気鋭の方でした)にその話をしてみたところ、驚くことに別にその発表の内容自体を完全否定はされませんでした。

もう、随分昔の話なので、カルト的な内容の発表自体も、助教授の話も良くは覚えていませんが、そのときの助教授の話は、「確かに今カルト的に聴こえるかもしれませんが、実はそうした研究が、数十年後に世界を変えるかもしれないし、あるいは、まったくこの世から消えてしまうかもしれません。しかし、最初から全部を否定していては、学問は進展しません」というような内容でした。

世の中の人の多くは、学会での発表というとそれこそ、上の記事のSTAP細胞の論文のように「学術界で確立したもの」と見る傾向があるのではないかと思います。

私も当時は、そのように考えていて、助教授に、では私も場合によっては、あのようなカルト的な内容を発表することができるのかという質問をしたところ、先生は、「学会員となり、手続きをきちん踏んでなら、無論できます」ということでした。

学会での発表もまさしく「学術界で確立したもの」が発表されているわけではないのです。

学問界で発表されるのは学術界で確立したもの」ではない。
そんなことは学者は最初から知っている。知らないのはマスコミ?
しかし、そもそも、出鱈目を発表したとしても、まずは最初からあまり聴く人はいないですし、そのとき発表した内容も誰からも引用されず、いずれ世の中からきれいさっぱり消えるわけです。

ただし、きれいさっぱり消えたと思われていたものが、数十年後に別の学者の目にとまり、その後発展した技術やノウハウなどを用いて実験をしてみたら、本当であるどころか、画期的で次世代を切り拓くようなものであったことが再発見されることもあります。無論、そうなることは滅多にはありません。

しかし、このようなことがあるからこそ、学問の世界、特に科学の世界においては、新たな芽を摘むことにならないように、学会での発表や、論文発表など手続きさえ踏めば自由にさせているしすべての発表や論文を保存しているのです。

STAP細胞も存在する可能性も十分あり得るわけです。ただし、何かが足りなくて、再現できないのかもしれません。それは、ひょっとすると、今後の新たな技術やノウハウ、新素材などを用いると克服できるものである可能性は否定できません。
まさに、ブログ冒頭の記事は、可能性は否定できないことを実証したようです。もし、世の中の学者がすっかり諦めて、STAP現象などありえないものと決めつけて、すっかり諦めてしまえば、この方面の研究がないがしろにされて、この分野の学問がかなり遅れてしまったかもしれません。

しかし、上記の科学者らによって、STAP現象はあり得ることが実証されたようです。今後さらなる追試やその他の新たな実験が行われて、この分野の新しい展開が期待できます。

この記事には、現在では外科手術やお産のときに滅菌するのは当たり前になっていますが、その滅菌をするべきことを最初に発見した医師は、誰にも信じてもらえず、不遇の人生を送ってしまったということがあります。

STAP細胞に関しては、たとえ発表や論文掲載が過ちであったとしても、先の滅菌の件のように、いたずらに多くの一般人の犠牲者を出すということはありません。もし、本当であれば、様々な可能が膨らむということになります。しかし、とにかくSTAP細胞も、STAP現象もあり得ないことと、最初から決め込んでは、夢も希望もありません。

STAP細胞報道に関しては、本来はたいしたことではなかったにもかかわらず、まずは功を焦った理研の対応か悪かったことと、マスコミが騒ぎ過ぎたことが原因だと思います。

幸いなことに、今回は、ブログ冒頭の記事のような内容は、マスコミには一切報道されていないようです。そうして、これはそれで良いのだと思います。マスコミが下手に騒ぎすぎると、笹井氏の死亡などというとんでもない騒動をまた、招きかねません。関係当局などの、今後の冷静な判断を期待したいと思います。

そんなことより、日本の研究者の方々は、STAP細胞騒動など乗り越えて、頑張っていただきたいものです。

とにかく、日本のマスコミや識者などもこのような騒動を二度と繰り返さないで欲しいです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?


【関連記事】




【関連図書】

STAP細胞 残された謎 (Parade books)
佐藤貴彦
パレード (2015-12-07)
売り上げランキング: 22,128

あなたのせいではない 笹井氏の自殺、小保方氏を巡るSTAP細胞の今
ゴマブックス株式会社 (2014-08-16)
売り上げランキング: 51,308

nature (ネイチャー) ダイジェスト 2014年 03月号 [雑誌]

ネイチャー・ジャパン (2014-02-25)

2014年12月3日水曜日

【日本の解き方】「首相VS財務省」前例なき衆院選 消費増税への評価が判断材料に―【私の論評】マスコミ、政治家、識者などをスコーン、スコーンと籠絡するための財務省の「ご説明資料」の入手先はここだ(゚д゚)!

【日本の解き方】「首相VS財務省」前例なき衆院選 消費増税への評価が判断材料に


2日、衆院選が公示された。有権者は何を判断材料とすればいいのだろうか。

まず消費増税だ。安倍晋三首相が解散を決断しなかったら、来年の10%への再増税は確実に行われていた。しばしば、「再増税は反対だが、解散の大義はない」という意見の人がいるが、単なる法律の無知である。

安倍首相が解散を打ち出す前には、自民党の大勢と民主党は財務省に籠絡され、消費再増税に賛成だったので、首相の一存では再増税をストップする法案は成立させられない状況だった。そこで、安倍首相が衆院議員全員をクビにして、財務省ではなく国民の意見を聞いてこいというのが、解散の意味合いである。

ここで多くの衆院議員は目覚めて、再増税に反対に回った。この経緯を考えれば、再増税に反対の有権者は、安倍政権を支持するのが当然だろう。

いずれにしても、今回の衆院選は、安倍政権が財務省と対峙(たいじ)する前例のないものだ。国民はそのチャンスをしっかり生かしたい。

次に金融政策。これはまず雇用が創出されているかが最重要だ。安倍政権で大規模金融緩和を始めて以降、就業者は100万人程度増えているので、職にありつけた人は安倍政権を評価するだろう。

すでに職を得ていた人は物価と賃金の関係で、賃金の上がり方が高ければいいが、そうでない場合、安倍政権に対する評価は分かれるかもしれない。ただし、その場合、物価の上昇から消費増税の影響を差し引くと、多くの人にとって、消費増税がなければ賃金の上昇のほうが大きいはずだ。そうなると、消費増税をどう評価するかが判断のポイントとなってくる。

最後に、安全保障と原発問題だ。安倍政権の安全保障は国際社会から見れば妥当な話だが、これまでの政権とは異なっている。従来のままでいいか、ある程度国際社会の動きに合わせるか、これは個人の価値判断の世界だ。

原発では、東日本大震災のような規模の災害が今後10年ぐらいで起こる確率は低いが、当面の措置をして再稼働を認めるかどうかである。その対極として、もちろん原発を即時廃止するという考え方もある。両者の中間として、当面、原発再稼働を認めるが、長期的に原発ゼロを目指すという考えもある。これも価値観が大きく影響する分野だ。安全保障や原発を重視する人は、自分の価値観に近い候補者や政党に投票すべきだろう。

自分は何に関心があって、どの分野を重視すべきかを十分に把握した上で、自分に近い候補者や政党を選択するしかない。

残念なのは、野党の政策がバラバラなことだ。自民党が嫌だとしても、野党が受け皿になりにくい。投開票までに、野合ではなく政策を統一して、どこまで勢力を結集できるだろうか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】マスコミ、政治家、識者などをスコーン、スコーンと籠絡するための財務省の「ご説明資料」の入手先はここだ(゚д゚)!

上の記事では、"今回の衆院選は、安倍政権が財務省と対峙(たいじ)する前例のないもの"としています。さらに、"自民党の大勢と民主党は財務省に籠絡され、消費再増税に賛成だった"としています。

財務省は、昨年も、今年も政治家などにいわゆる「ご説明資料」を持って、財政再建、増税の必要性を問いてまわったとされています。

この「ご説明」に関しては、面白いツイートがあるので、以下にそれを掲載します。
これは、高橋洋一氏のツイートでずか、財務省の官僚が政治家などを一人ひとりまわって、説明していたようです。
これは、駒崎弘樹氏に関するツイートです。この方は、NPO法人フローレンス代表理事をやられいようですが、確かに黒木氏が指摘するように、【財務省レク、僕も受けました。僕としては、子ども子育て支援の財源が消費税に紐づいているため、増税に賛成せざるを得ません。】とツイートしていました。

しかし、このことから財務省が、政治家やマスコミなどにレクチャーをしてきたのは前からも言われきたことですが、NPO法人の理事長などにも、レクチャーをしていたということです。おそらく、ご説明にうかがうところは、かなり裾野が広いのだと思います。

高橋洋一氏は、以前政治家は、すぐに財務省や、日銀などの官僚に騙されるということを語っていました。これらの役所な主催の講演会などに言って、物の見事にスコーン、スコーン、スコーン、スコーンと騙されてしまうようです。

政治家は、財務省にスコーン、スコーン、スコーンと騙されてしまう
しかし、良心的な政治家や、多少まともな政治家の場合は、講演会などが終わった後で、高橋洋一氏のところに、訪ねてきて、「講演会では、講演者がこうこう語っていたが、あれは本当なのですか」という話をしにくるそうです。

そこで、高橋洋一が、手短に理解しやすく「これは、○○だから、完璧な嘘」、「あれも、□□だから、全くの嘘」、「▲▲については、□□の条件が整っていれば成り立つが、いまはそのよう条件は整っていないので、現状では嘘」などと教えるそうですが、それを聴いた政治家たちは一様に、かなり驚愕するそうです。

このように、財務省は政治家などを徹底的に籠絡されて、増税が正しいことと、心の底から信じてしまうようです。

さて、財務省の「籠絡」のために実行する「ご説明」とはどんなものなのでしようか。それは、同じ党でも派閥がいくつかあったり、マスコミでも、いろいろな立場があったりするので、説明の仕方はいろいろあるでしょうが、「ご説明資料」に関してはいくつかのパーターンがあるだけで、基本は同じと思います。

そうして、その基本形は、財務省のサイトをみれば「ご説明資料」のページがあります。そのURLを以下に掲載します。


さて、このサイトにアクセスすると、「ご説明資料」として、以下のようなものがでてきます。
»財政に関する資料をお届けします
»財務省の担当者がご説明に伺います

財務省に頼めば、財政に関する資料をいただいたり、ご説明にうかがっていただけるようです。

資料の送付だけなら、個人でもやってもらえるのかもしれませんが、財務省の担当者がご説明に伺うということであれば、おそらく、社会的地位の高い人とか、結構人が集まる集会などであれば、来てもらえるのかもしれません。

選挙期間中などに、ここに何回も連絡して、財務省の役人を小突きまわせるかもしません。小突き回せば、選挙妨害などのことができなくなるかもしれません。そうして、選挙が終わったら、こういうところに皆で問い合せをして、疲労困憊させて、政治家など籠絡への時間を奪うなどということも考えられます。

以下に財務省のサイトからひっぱってきた最新版の『日本の財政関係資料』の表紙と、目次のみ掲載します。



この目次を見ているだけでも、かなり胡散臭いことがわかります。まずは、デフレのデの字もでてきません。そもそも、これからだと、「財政再建」そのものを目的として書かれていることがわかります。

世界情勢も、財政に関することばかり掲載されていて、「財政関係資料」と銘打ってあるので、それはそれでも良いのかもしれませんが、世界の失敗例など掲載されていません。

たとえば、イギリスでは、財政健全化を目指して2010年に付加価値税(日本の消費税)の大幅増税をしたのですが、そうしたとろ景気がかなり悪化して、特に若者層の就業の機会が奪わて大変なことになりました。そのため、イングランド銀行(イギリスの中央銀行)が、大規模な金融緩和を実施したのですが、景気は回復しませんでした。

これは、似たような時期にイギリス以外の、スペイン、ポルトガル、イタリア、フランスなどでも同じような事を実行しましたが、全部の国で失敗しました。日本でも、当然失敗します。実際8%増税でもかなり悪影響がありました。

今必要なのは、財政再建そのものではありません。デフレで景気が落ち込み、税の源泉でもある国民所得が極端に減った状況にあります。この状況で増税ししまえば、さらに国民所得が減り、税収が少なくなることが予測されます。

実行すべきは、まずは金融緩和策気と、積極財政によるデフレからの脱却です。デフレから脱却して、しばらくして、景気が加熱気味になれば、そのときはじめて、金融引締めや、緊縮財政に走れば良いのです。

このようなことは、高校の政治経済でも学ぶことです。実際に、金融引締めや積極財政を実行するとすれば、実施方法、期間、他の経済活動などとの整合性や、兼ね合いなど、テクニカルな問題がたくさんあります。だから、素人にはなかなかできるものではありません。

ただし、現状は暫く何にをやるべきか、金融緩和策なのか、それても積極財政なのか、あるいは両方なのかという方向性に関しては、素人でも理解できると思います。

素人であったにしても、何かが実行されて、その結果の統計資料をみれば、失敗だったか成功だったか一目瞭然です。その良い例として、8%増税は、大失敗であったことは誰の目にも明らかです。

日本では、全くおかしな慣行が、まかり通っています。それは、財務省や日銀が、独自で国の財政政策やも金融政策を定められるという慣行です。日銀は、日銀法を根拠として、それが実施できます。今でも、日本国の金融政策は日銀の政策決定委員会で定められています。

財務省には、さすがに、財務省の行動を正当化する根拠法はありませんが、巨大な予算の配賦権をかさにきて、各方面に圧呂をかけたり、さらにはターゲットとなる人にご説明資料を持参して、ご説明するというこどて、籠絡して、財務省の思い通りに、財政を動かしてきました。

このようなことは、本来あってはならないことです。財務省も、日銀の政府の一下部機関に過ぎないわけで、彼らは選挙で、国民の信任を受けて、財務官僚や日銀官僚になっているわけではありません。

国の財政政策の方針、国の金融政策の方針など、本来は国民に選ばれた、国会議員で構成された、政府が方針を定めるべきものです。

国民から信任された、政府が実行すべきものです。そうして、財務省や、日銀は、政府の方針・方向性に従い、財政政策、金融政策を実行していくべきです。これが、まともな民主主義国家の正しいありかたです。

今回の選挙は、今回の衆院選は、安倍政権が財務省と対峙(たいじ)する前例のないものであり、その先には、官僚が国とって大事なことを自分勝手に決める官僚主導から、本来の正しい政治家が国とって大臣ことを国民の信託を受けて決定する政治主導への一里塚にもなるべきものです。

【関連記事】

財務省が仕掛けた罠 増税にお墨付きを与える解散総選挙―【私の論評】勝って兜の緒を締めよという言葉もあるが、ここは素直に喜んでも良いのでは?最終的には政府が財政政策の方針を設定できるようにすること(゚д゚)!

財務省に敗北感濃く 財政健全化 巻き返し狙う―【私の論評】増税見送り、解散選挙だけでは財務省の勝利!その後も続々登場する隠し球が安倍総理にはある!まともな経済対策のできる国になるためにも世論を盛り上げよう(゚д゚)!

高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 増税路線を遮二無二進める財務省 ついに「消費税10%超」が動き出した―【私の論評】このままでは、いずれ財務省は解体される、組織として本当は何をどうすれば良いのかよく考えて立ち直っていただきたい(゚д゚)!

天下の財務省夏の人事は「増税人事」―【私の論評】やすやすと、10%増税がなされ、日本が再度デフレスパイラルのどん底に沈み、安倍総理が辞任を余儀なくされることが、朝日新聞の描く日本の望ましい近未来だ(゚д゚)!

財務省、日銀人事に次いで安倍官邸に2度目の"敗戦"―【私の論評】木下に勝利した安倍総理、自民党内でコンセンサスが取れている事柄に関しては安倍内閣は無敵か(゚д゚)!

【関連図書】

日本は世界1位の政府資産大国 (講談社+α新書)
高橋 洋一
講談社
売り上げランキング: 69,638
アベノミクスの逆襲
アベノミクスの逆襲
posted with amazlet at 14.12.03
高橋 洋一
PHP研究所
売り上げランキング: 590

日本経済はなぜ浮上しないのか アベノミクス第2ステージへの論点
片岡 剛士
幻冬舎
売り上げランキング: 306

2014年5月12日月曜日

インフレで、日本の起業精神は復活する なぜ日本では、いままで起業者が減少していたのか―【私の論評】ちょっと待ってくれ、日本で最大の問題はデフレではないのかい?そう思わない、馬鹿な政治家・識者・専門家があまりにも多くないかい(゚д゚)!

インフレで、日本の起業精神は復活する なぜ日本では、いままで起業者が減少していたのか

村上 尚己 氏

4月下旬に公表された最近の中小企業白書では、2012年時点の「起業希望者」は約84万人と、1997年の約167万人から約半分にまで大きく減少した、と分析されている(下表)。「起業希望者半減」と、センセーショナルに伝えたメディアもあった。

実際に起業して成功している、あるいは将来の起業を目指している人々は、日本での起業精神の冷え込みを嘆いたり、「日本経済の停滞の象徴」と喝破している。

では、なぜ、日本人は起業しなくなったのだろうか。過去10数年余りで、日本人が臆病になったのか?日本人の意識が大きく変わったのか?日本の教育が大きく変わったのか?それとも起業を支援する制度が、かつては充実していたのか? 

いずれも筆者は違うと思う。日本で起業活動が衰え始めた時期と、物価に責任を持つ日本銀行の政策でデフレという異常な経済状況が始まった時期はほぼ同じだ。デフレが長期化して、起業というリスクをとる行動に、経済合理性を見出すことが難しかったから、と考えるのがもっとも自然である。

戦後は、正しいマクロ安定化政策が続き、このため経済が安定的に成長した。だから、既存企業が切磋琢磨し、あるいは起業による新たなプレーヤーによる技術革新が経済活動を活性化させ、日本の経済発展を支えた。

バブル崩壊後の経済安定化政策を誤り、「デフレでも仕方がない」と考える中央銀行の政策により、日本経済は常に抑制されてしまった。このため、低成長が続き、起業というリスクをとるコストが、多くの合理的な日本人にとって極めて大きくなっていたのだ。

日本で起業が停滞した理由は、「日本人は起業が苦手だから」ではなく、起業という行動の本質を、多くの日本人が良く理解しているから、というのが本当の理由である。だからこそ、実質金利が極めて高いという経済環境に直面し、起業に慎重になるという、合理的な行動が広がったということなのだ。

こうした認識が正しく、今後2%の物価安定と脱デフレが定着する経済正常化が進めば、日本における起業活動は再び正常化するだろう。

1990年代半ばのような経済状況になれば、2012年段階で落ち込んでいる「起業する人の数」は再び20%くらいは増えるだろう。そして、起業で成功する人が増え、それが魅力的な選択であると認識されれば、起業を考える人(起業希望者)も、倍増してもおかしくない。

アベノミクスがもたらすインフレ時代の到来は、日本の起業精神を復活させるのである。なお、この統計は5年に1回しか発表されないため、アベノミクス発動で景気回復が始まった2013年の起業者数の動きは残念ながら把握することができない。5年後が楽しみである。

村上 尚己 :アライアンス・バーンスタイン マーケット・ストラテジスト兼エコノミスト

上の記事は、要約です。詳細をご覧になりたい方はこちらを御覧ください(゚д゚)!

【私の論評】ちょっと待ってくれ、日本で最大の問題はデフレではないのかい?そう思わない、馬鹿な政治家・識者・専門家があまりにも多くないかい(゚д゚)!

上の、村上 尚己氏の記事、まったくこの通りです。あたり前のど真ん中です。とにかく、デフレの最中の起業は、余程のことがない限り控えるというのが、経済合理的な行動です。

しかし、日本では、なぜかこのデフレということを全く忘れたか、存在しないかのごとく、様々な経済問題や社会問題を考える人が多すぎです。特に多くの分野の専門家といわれる人々が、デフレなどなきがごとくに、様々な論議をしています。こういう人たちの頭の構造はどうなっているのか、私は理解できません。

日本は、過去15年間デフレでした。このことを忘れて、あたかもデフレがあたり前、通常の状態であるかのように、それを前提として日本の起業率が低いことを嘆いても意味がなく、まずはデフレ解消が喫緊の課題です。



デフレであることを前提として、起業率の問題を考えるのはもとより、社会福祉、医療、雇用の問題いや、もっと大きく社会問題を考えたとしても、すぐに行き詰まり、閉塞感にさいなまれるのは当然のことです。

そもそも、日本ではデフレがあまりにも長く続いたせいか、デフレを軽く考え、あたかも通常の経済循環の好景気、不景気のうちの不景気くらいに考えてものを語る頭の軽い政治家、識者、専門家といわれる人が多すぎです。

私は、デフレそのものよりも、こういう頭の軽い政治家、識者、専門家が日本にあまりにも多いということのほうが、よほど危険なことだと思います。

デフレ下では、税収の拡大は見込めない


デフレは、正常な景気循環の範疇には収まらないそこから逸脱した異常事態です。デフレは、実体経済の癌です。すぐにでも直さなけれはならないものです。

このことは、このブログでも、何回かタイトルに「ちょっと待ってくれ」というフレーズを入れた、シリーズで掲載してきました。

そのうちで、まずは起業に関係ある記事のURLを以下に掲載します。
従来の説はほとんどウソだった。日本でベンチャー企業が発達しない本当の理由。―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、ベンチャーの最大の敵であることを!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、ある方が日本のベンチャー企業が発達しない本当の理由を以下のように記述していることを掲載しました。
ベンチャーと大企業との関係でいえば、手塩にかけて作り上げた技術を、ベンチャー企業が大手企業の前でプレゼンテーションするとします。その時に、いつも決まって返ってくる答は「既存技術の価格より安くしてくれないと取引できない」だったのです。大手企業は、技術の価値は認めるものの、それ以上は、踏み込めません。
日本のベンチャー企業は良いモノを作ることはできます。しかし規模が大きくはないため、「安売り競争」には耐えられません。そのために、優秀なベンチャー企業は、幾度も臍(ほぞ)をかんできたのです。
しかし、私はこれに対して、「大手企業の担当者も忸怩(じくじ)たる思いであったと思います。デフレというマクロ環境がすべての企業行動にマイナスの影響を与えていたことを指摘したいだけです」ととして、デフレの最中では、大企業の担当者だって、新たな技術を取り入れるよりは、すでに定評のあるものをより低価格でと考えるのは当然のことであり、問題は大企業のスタンスではなく、デフレであることを強調しました。

その上で、古いタイプの企業から、新興企業への労働力人口の移動の事実にもとづき以下のように掲載しました。
古い企業から新興企業への労働人口の移動があるということは、起業家予備軍も相当いるはずです。今後アベノミクスで、経済がまともになれば、ベンチャー起業も増え、ベンチャキャピタルを活用してくる人も増えてきます。 
そうして、デフレ脱却により、人々の選好がお金からモノに移行するということは、購入する時の判断のウエイトが、モノの値段からモノの機能・価値にシフトするということです。そうなれ ばベンチャー企業が持つ技術力に目が向けられるようになります。彼らは自らの得意分野で「相撲」を取ることができるようになります。 
そうして、デフレ解消は目前です。そうなれば、どんどんベンチャー起業がおこり、ベンチャーもモノの機能・価値を提供しつつ、発展していけるようになります。そんな時代はもう少しで来ます。最近中国の特許件数が伸びているかのような誤った印象操作がありますが、良く調べてみると、中国は特許の出願数が世界一なのであり、特許取得数は未だに日本が世界一です。そんな国日本で、デフレ以外にベンチャー企業が、起業できない、成長できないという理由はないと思います。
ベンチャーの起業が少ないことを大企業が新しい技術を導入しないということを原因とするのは、ミクロ的な見方であり、マクロ的にいえば、大企業がこのような購買傾向になるのは、デフレのせいです。大局的にみれば、大企業の購買傾向を責めても何の解決にもなりません。まずは、デフレを解消しなければなりません。

大企業の購買行動を責めているだけで、デフレを解消しなければ、モグラ叩きに終始するだけで、いつまでたっても、問題は解消されず、閉塞感に苛まされるだけとなります。その果てには、包括的大金融緩和の以前見られた、日本駄目論、日本人駄目論です。

日本がデフレであることを前提として、それが永遠に改善も改革もされないという考えで、物事を考えれば、結論はこうなるしかありません。しかし、それは違うでしょう! 全くの間違えでしょう!

デフレが解消されれば、日本も起業家が増える(゚д゚)!
(社)日本女性起業家支援協会 代表理事 近藤洋子さん

どこかで、水道のパイプに亀裂が入り、水が漏れだしたとして、それに対する対処として、皆で水を汲み出したとしても、根本的な解決にはなりません。まずは、どこかで元栓を止めて、亀裂の入ったバイブを取り替えるべきです。

しかし、ことデフレとなると、多くの政治家、識者、専門家などが、亀裂のはいったパイプを取り替えるのではなく、水を汲み出す方法の論議しかしません。これは、全く異常です。

このデフレ、実は日本国内で10の大きな問題があったとして、デフレを解消すれば、10のうち、6くらいは芋づる式に解消します。残りの4つも、解消飲めどが立つ可能性が高いです。しかし、デフレが解消しなければ、10の問題全部を解消できません。

上では、ベンチャー起業について取り上げましたが、 実は様々な問題の源はデフレです。

その典型的なものは、雇用の問題です。

大企業100社の内部留保99兆円に! “異次元の給与増額”は可能か―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、雇用・給与の最大の敵であることを!!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、デフレであれば、雇用環境が悪くなる、賃金も下がるというのはあたり前のど真ん中です。しかし、日本ではなぜか、雇用問題となると、雇用のミスマッチばかり強調され、企業側の問題点や、学生側の問題点ばかり指摘する専門家などがほとんどで、デフレのことを言う人は少ないです。

日本の以外の国では、雇用の問題となると、中央銀行の金融政策が問題という認識です。しかし、日本では、これがほとんど問題にされてきませんでした。今でも、その傾向があります。雇用というと、金融政策によって雇用枠を増やすことは論議されず、もともとある雇用枠を巡って、その中で企業側や、求職者側の問題などを指摘するにとどまる専門家があまりに多すぎます。

こういう専門家は、専門家ではなくただの馬鹿ではないかと私は思います。雇用問題の専門家と称する馬鹿の皆さんは、大反省すべきです。

デフレが解消されれば、雇用も良くなる(゚д゚)!

これは、起業とか、雇用に限らず他の問題でも同じことです。日本人は、優秀なのに、ことデフレに関しては、未だに正しい認識を持つことができない人々が多いです。この原因は、やはり、デフレを軽く認識する頭の軽い、政治家、識者、専門家が、御託を並べて論議をするというとこが間違えているのだと思います。

だから、デフレ下であるにもかかわらず、財務省主導の増税となどという馬鹿げたことが実施されてしまうのです。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

【関連記事】

従来の説はほとんどウソだった。日本でベンチャー企業が発達しない本当の理由。―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、ベンチャーの最大の敵であることを!!

大企業100社の内部留保99兆円に! “異次元の給与増額”は可能か―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、雇用・給与の最大の敵であることを!!











【関連図書】

ベンチャー創造の理論と戦略―起業機会探索から資金調達までの実践的方法論
ジェフリー・A ティモンズ
ダイヤモンド社
売り
上げランキング: 58,054

イノベーションと企業家精神 (ドラッカー名著集)
P.F.ドラッカー
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 8,870

起業家精神に火をつけろ!―会社のために働くのではなく、あなたのために働いてくれる会社をつくる7つのルール
マイケル E.ガーバー
エレファントパブリッシング
売り上げランキング: 57,392


横須賀基地の「いずも」ドローン撮影、「本物」の可能性 防衛省が分析公表―【私の論評】ドローン脅威とますます高まる対潜戦の重要性 - 浮き彫りにされた現代海戦の二つの側面

横須賀基地の「いずも」ドローン撮影、「本物」の可能性 防衛省が分析公表 まとめ 自衛隊の横須賀基地で護衛艦「いずも」をドローンで撮影した可能性が高い動画がSNSで拡散され、防衛省はその分析結果を公表した。 自衛隊基地でのドローン無許可飛行は法律で禁止されており、防衛省は万が一の危...