2日、衆院選が公示された。有権者は何を判断材料とすればいいのだろうか。
まず消費増税だ。安倍晋三首相が解散を決断しなかったら、来年の10%への再増税は確実に行われていた。しばしば、「再増税は反対だが、解散の大義はない」という意見の人がいるが、単なる法律の無知である。
安倍首相が解散を打ち出す前には、自民党の大勢と民主党は財務省に籠絡され、消費再増税に賛成だったので、首相の一存では再増税をストップする法案は成立させられない状況だった。そこで、安倍首相が衆院議員全員をクビにして、財務省ではなく国民の意見を聞いてこいというのが、解散の意味合いである。
ここで多くの衆院議員は目覚めて、再増税に反対に回った。この経緯を考えれば、再増税に反対の有権者は、安倍政権を支持するのが当然だろう。
いずれにしても、今回の衆院選は、安倍政権が財務省と対峙(たいじ)する前例のないものだ。国民はそのチャンスをしっかり生かしたい。
次に金融政策。これはまず雇用が創出されているかが最重要だ。安倍政権で大規模金融緩和を始めて以降、就業者は100万人程度増えているので、職にありつけた人は安倍政権を評価するだろう。
すでに職を得ていた人は物価と賃金の関係で、賃金の上がり方が高ければいいが、そうでない場合、安倍政権に対する評価は分かれるかもしれない。ただし、その場合、物価の上昇から消費増税の影響を差し引くと、多くの人にとって、消費増税がなければ賃金の上昇のほうが大きいはずだ。そうなると、消費増税をどう評価するかが判断のポイントとなってくる。
最後に、安全保障と原発問題だ。安倍政権の安全保障は国際社会から見れば妥当な話だが、これまでの政権とは異なっている。従来のままでいいか、ある程度国際社会の動きに合わせるか、これは個人の価値判断の世界だ。
原発では、東日本大震災のような規模の災害が今後10年ぐらいで起こる確率は低いが、当面の措置をして再稼働を認めるかどうかである。その対極として、もちろん原発を即時廃止するという考え方もある。両者の中間として、当面、原発再稼働を認めるが、長期的に原発ゼロを目指すという考えもある。これも価値観が大きく影響する分野だ。安全保障や原発を重視する人は、自分の価値観に近い候補者や政党に投票すべきだろう。
自分は何に関心があって、どの分野を重視すべきかを十分に把握した上で、自分に近い候補者や政党を選択するしかない。
残念なのは、野党の政策がバラバラなことだ。自民党が嫌だとしても、野党が受け皿になりにくい。投開票までに、野合ではなく政策を統一して、どこまで勢力を結集できるだろうか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
【私の論評】マスコミ、政治家、識者などをスコーン、スコーンと籠絡するための財務省の「ご説明資料」の入手先はここだ(゚д゚)!
上の記事では、"今回の衆院選は、安倍政権が財務省と対峙(たいじ)する前例のないもの"としています。さらに、"自民党の大勢と民主党は財務省に籠絡され、消費再増税に賛成だった"としています。
財務省は、昨年も、今年も政治家などにいわゆる「ご説明資料」を持って、財政再建、増税の必要性を問いてまわったとされています。
この「ご説明」に関しては、面白いツイートがあるので、以下にそれを掲載します。
Z省のご説明。特定個人を狙い撃ちにするのをやめたほうがいいよ。個別撃破なんて、コスト(税金)もかかる。いっそのこと、Z省担当者がテレビなど公開の場で国民に対して説明すればいい。それに資料も公開して、正々堂々とやればいい。マスコミ、学者、エコノミストを隠れ蓑にして、コソコソするなよ
— 高橋洋一(嘉悦大) (@YoichiTakahashi) 2014, 12月 2
これは、高橋洋一氏のツイートでずか、財務省の官僚が政治家などを一人ひとりまわって、説明していたようです。
【財務省レク、僕も受けました。僕としては、子ども子育て支援の財源が消費税に紐づいているため、増税に賛成せざるを得ません。】と言っていた人が http://t.co/GKytCftRTV のようなブログ記事を書いていることまで暴露されたのは痛過ぎではないだろうか。大丈夫だろうか。
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) 2014, 12月 2
これは、駒崎弘樹氏に関するツイートです。この方は、NPO法人フローレンス代表理事をやられいようですが、確かに黒木氏が指摘するように、【財務省レク、僕も受けました。僕としては、子ども子育て支援の財源が消費税に紐づいているため、増税に賛成せざるを得ません。】とツイートしていました。
しかし、このことから財務省が、政治家やマスコミなどにレクチャーをしてきたのは前からも言われきたことですが、NPO法人の理事長などにも、レクチャーをしていたということです。おそらく、ご説明にうかがうところは、かなり裾野が広いのだと思います。
高橋洋一氏は、以前政治家は、すぐに財務省や、日銀などの官僚に騙されるということを語っていました。これらの役所な主催の講演会などに言って、物の見事にスコーン、スコーン、スコーン、スコーンと騙されてしまうようです。
しかし、このことから財務省が、政治家やマスコミなどにレクチャーをしてきたのは前からも言われきたことですが、NPO法人の理事長などにも、レクチャーをしていたということです。おそらく、ご説明にうかがうところは、かなり裾野が広いのだと思います。
高橋洋一氏は、以前政治家は、すぐに財務省や、日銀などの官僚に騙されるということを語っていました。これらの役所な主催の講演会などに言って、物の見事にスコーン、スコーン、スコーン、スコーンと騙されてしまうようです。
政治家は、財務省にスコーン、スコーン、スコーンと騙されてしまう |
しかし、良心的な政治家や、多少まともな政治家の場合は、講演会などが終わった後で、高橋洋一氏のところに、訪ねてきて、「講演会では、講演者がこうこう語っていたが、あれは本当なのですか」という話をしにくるそうです。
そこで、高橋洋一が、手短に理解しやすく「これは、○○だから、完璧な嘘」、「あれも、□□だから、全くの嘘」、「▲▲については、□□の条件が整っていれば成り立つが、いまはそのよう条件は整っていないので、現状では嘘」などと教えるそうですが、それを聴いた政治家たちは一様に、かなり驚愕するそうです。
このように、財務省は政治家などを徹底的に籠絡されて、増税が正しいことと、心の底から信じてしまうようです。
さて、財務省の「籠絡」のために実行する「ご説明」とはどんなものなのでしようか。それは、同じ党でも派閥がいくつかあったり、マスコミでも、いろいろな立場があったりするので、説明の仕方はいろいろあるでしょうが、「ご説明資料」に関してはいくつかのパーターンがあるだけで、基本は同じと思います。
そうして、その基本形は、財務省のサイトをみれば「ご説明資料」のページがあります。そのURLを以下に掲載します。
さて、このサイトにアクセスすると、「ご説明資料」として、以下のようなものがでてきます。
»財政に関する資料をお届けします
»財務省の担当者がご説明に伺います
財務省に頼めば、財政に関する資料をいただいたり、ご説明にうかがっていただけるようです。
資料の送付だけなら、個人でもやってもらえるのかもしれませんが、財務省の担当者がご説明に伺うということであれば、おそらく、社会的地位の高い人とか、結構人が集まる集会などであれば、来てもらえるのかもしれません。
選挙期間中などに、ここに何回も連絡して、財務省の役人を小突きまわせるかもしません。小突き回せば、選挙妨害などのことができなくなるかもしれません。そうして、選挙が終わったら、こういうところに皆で問い合せをして、疲労困憊させて、政治家など籠絡への時間を奪うなどということも考えられます。
以下に財務省のサイトからひっぱってきた最新版の『日本の財政関係資料』の表紙と、目次のみ掲載します。
この目次を見ているだけでも、かなり胡散臭いことがわかります。まずは、デフレのデの字もでてきません。そもそも、これからだと、「財政再建」そのものを目的として書かれていることがわかります。
世界情勢も、財政に関することばかり掲載されていて、「財政関係資料」と銘打ってあるので、それはそれでも良いのかもしれませんが、世界の失敗例など掲載されていません。
たとえば、イギリスでは、財政健全化を目指して2010年に付加価値税(日本の消費税)の大幅増税をしたのですが、そうしたとろ景気がかなり悪化して、特に若者層の就業の機会が奪わて大変なことになりました。そのため、イングランド銀行(イギリスの中央銀行)が、大規模な金融緩和を実施したのですが、景気は回復しませんでした。
これは、似たような時期にイギリス以外の、スペイン、ポルトガル、イタリア、フランスなどでも同じような事を実行しましたが、全部の国で失敗しました。日本でも、当然失敗します。実際8%増税でもかなり悪影響がありました。
今必要なのは、財政再建そのものではありません。デフレで景気が落ち込み、税の源泉でもある国民所得が極端に減った状況にあります。この状況で増税ししまえば、さらに国民所得が減り、税収が少なくなることが予測されます。
実行すべきは、まずは金融緩和策気と、積極財政によるデフレからの脱却です。デフレから脱却して、しばらくして、景気が加熱気味になれば、そのときはじめて、金融引締めや、緊縮財政に走れば良いのです。
このようなことは、高校の政治経済でも学ぶことです。実際に、金融引締めや積極財政を実行するとすれば、実施方法、期間、他の経済活動などとの整合性や、兼ね合いなど、テクニカルな問題がたくさんあります。だから、素人にはなかなかできるものではありません。
ただし、現状は暫く何にをやるべきか、金融緩和策なのか、それても積極財政なのか、あるいは両方なのかという方向性に関しては、素人でも理解できると思います。
素人であったにしても、何かが実行されて、その結果の統計資料をみれば、失敗だったか成功だったか一目瞭然です。その良い例として、8%増税は、大失敗であったことは誰の目にも明らかです。
日本では、全くおかしな慣行が、まかり通っています。それは、財務省や日銀が、独自で国の財政政策やも金融政策を定められるという慣行です。日銀は、日銀法を根拠として、それが実施できます。今でも、日本国の金融政策は日銀の政策決定委員会で定められています。
財務省には、さすがに、財務省の行動を正当化する根拠法はありませんが、巨大な予算の配賦権をかさにきて、各方面に圧呂をかけたり、さらにはターゲットとなる人にご説明資料を持参して、ご説明するというこどて、籠絡して、財務省の思い通りに、財政を動かしてきました。
このようなことは、本来あってはならないことです。財務省も、日銀の政府の一下部機関に過ぎないわけで、彼らは選挙で、国民の信任を受けて、財務官僚や日銀官僚になっているわけではありません。
国の財政政策の方針、国の金融政策の方針など、本来は国民に選ばれた、国会議員で構成された、政府が方針を定めるべきものです。
国民から信任された、政府が実行すべきものです。そうして、財務省や、日銀は、政府の方針・方向性に従い、財政政策、金融政策を実行していくべきです。これが、まともな民主主義国家の正しいありかたです。
今回の選挙は、今回の衆院選は、安倍政権が財務省と対峙(たいじ)する前例のないものであり、その先には、官僚が国とって大事なことを自分勝手に決める官僚主導から、本来の正しい政治家が国とって大臣ことを国民の信託を受けて決定する政治主導への一里塚にもなるべきものです。
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