2014年12月8日月曜日

各党の金融政策を比較すれば明らか「自民党圧勝」予測は覆らないだろう―【私の論評】金融政策が雇用政策であることを知らない世界水準でみれば異様な日本人!この異様さから訣別することも今回の選挙の大義かもしれない(゚д゚)!


札幌にも安倍総理はやってきた。かなりの手応えを感じたに違いない(゚д゚)!

最近発表された新聞各紙の選挙予測は、自民党が300議席を超える勢いとなっている。また、yahooがやっている選挙予測は面白い。「Yahoo!検索」データから得票数の推定するものだ。投票率50%台前半でも、自民党300議席と予測されている。

お灸をすえる党首がいない

どうも、これだけ、いろいろなソースで300議席という予測結果なので、そうなる公算が高い。

筆者の1ヵ月前の予測では270議席程度なので、その後、自民党の投票する人が加速しているようだ。

今回の党首の論戦を見ているかぎり、野党党首は完全に論戦に負けている。これでは、お灸の役目を果たさない。

なお、この点はこれまでの各党首の言動を見れば明らかなのだが、1ヵ月以上前に書いた本コラムで既に予測しており、筆者にとっては珍しいものではない。

金融政策が雇用政策であることを初めて理解した首相

どうして、各党党首が安倍首相にまったくかなわなかったのか。おそらく政治記者はわからないだろうが、たった一つ金融政策への理解度がまったく違うからだ。

2年前の総選挙でもまったくかなわなかった。それが今まで続いている。金融政策が雇用政策であるという点について、野党党首はまったく不勉強としかいいようがない。

難しい理論はわからなくてもいいが、政治家たるもの、金融政策で失業をなくせるとだけ覚えておけばいい。現に、米国FRBは、雇用者数を増やしたり、失業率を下げるために金融政策をしている。これは米国だけではなくどこの先進国でも同じである。

日本では、日銀は雇用問題が苦手なので、マスコミにまともなレクをしない。このため、マスコミも金融政策が雇用政策であることをまったく理解していない。それと政治家も同じレベルなのだ。

安倍首相は、金融政策が雇用政策であることを初めて完璧に理解した首相だ。筆者の感じをいえば、安倍首相は、金融政策について、①多方面に大きな影響があること(マクロ経済政策の重要性)、②日銀人事をしっかりやった後は任せられること(日銀の手段の独立性)、③左派政策を取り込めること(政治的優位性)から、その重要性をしっかり理解していた。

だから、安倍首相は、2012年の自民党総裁戦でも、劣勢と言われながらも、勝利した。2012年12月の総選挙では、本来自民党よりも金融政策を理解して雇用政策を行うべき民主党を負かすのは簡単だった。

そして、今回は、今年4月からの消費増税の政策失敗はあったが、2015年10月からの消費増税はすんでのところでとどまった。金融政策による雇用創出効果は、遅行指標でタイムラグがあり、今のところまだ4月からの消費増税の影響は少ない。おそらく、来年春頃になると、良かった雇用も陰りが出てくるだろう。その前に、解散・総選挙を行ったのはまったく合理的である。

いかに各党が金融政策を理解していないかは、公約をみればわかる(下図)。

自民党以外は、落第である。特に、左派政党である民主党、共産党、社民党、生活の党は国際的な観点から見て、ちょっと酷すぎる。どこか、日銀法改正して、雇用義務を盛り込むなどの左派政党らしい、まともな政策がいえないのだろうか。

就業者数100万人増

安倍政権の押してきた金融政策の実績は文句をつけようがない。一番重要な経済指標をあげるとすれば、就業者数である。これが民主党政権と安倍政権では雲泥の差がある(下図)。



傾向線でいえば、民主党政権時代に50万人弱減少したが、安倍政権では逆に100万人程度増えたのだ。これに対して、民主党などは、非正規が増えただけで正規社員は増えていないという。まったく反論になっていない。正規でも非正規でも職があるほうが、無職よりいいのは自明だ。それに増加に転じる時には非正規がまず増える。

野党の自民党攻撃は、やや小ぶりの局所戦になっている。例えば、株価の上昇に着目して、資産家だけがいい思いをしている。円安等に着目してアベノミクスで潤ったのは大企業だけで中小企業に恩恵は回っていない。公務員給与は早く回復したが、民間企業ではまだできていないところもある。これらは、一部のところには恩恵が出ているが、まだ出ていないところもあるという反論だ。

たしかにそれは一面の事実だ。異次元金融緩和の後、2年くらいすれば本格的な景気回復であっただろうが、1年の道半ばのところで、消費増税してしまったので、波及が遅れた。

また、雇用についてみても、就業出来た人は、新卒者や解雇されていたパートが復職出来た場合などであり、正規雇用の人には関係ない。賃金も非正規の人はかなりの急ピッチで上がるが、正規の人ではまだら模様だ。賃金では、平均賃金を算出するとき、職を得ている人で計算するが、無職から有職になったわけで、すべての人の賃金を合算すれば大きくなっている。

パイの拡大が多くの経済問題を解決する

消費も、資産効果で一部の金持ちが活発になっているが、消費増税の影響を受けた低所得者層は苦しい。こうした「限界的なところ」で恩恵があるのは事実だ。

サッチャー元首相が「お金持ちを例え貧乏にしても、それで貧乏な人がお金持ちになるわけでない」といったが、どうも、今回の選挙では、格差といいながら、やっかみ話が多い。

パイが拡大しているのに、自分のところがまだかという愚痴のようなものだ。パイの拡大が多くの経済問題を解決する。

恩恵を受けている層は、新卒者などの雇用弱者・非正規雇用と金持ちであるが、これは金融政策から予想されたことで、政策が正しい方向であることを示しているにすぎない。政策波及経路が間違っていなければ、その政策を進めるだけになる。

金融政策による雇用の増加は、自殺率の低下、強盗率の低下、生活保護率の低下にもなる。こうした社会環境に大きな影響を与える金融政策について、左派政党は早く目覚めないと、左派の受け皿がなくなってしまう。

この記事は要約です。詳細はこちらから(゚д゚)!

【私の論評】金融政策が雇用政策であることを知らない世界水準でみれば異様な日本人!この異様さから訣別することも今回の選挙の大義かもしれない(゚д゚)!

 高橋氏が指摘するように、日本では金融政策が雇用政策であるということはまだまだ理解されていません。野党の党首らも理解していないのですから、一般の人はまだまだ理解していないというのが実情でしょう。そもそも、これが理解できないのであれば、今回の選挙は、投票率がかなり減るのではないかと思います。

そもそも、人は理解のできないことには関心は示しません。私自身は、金融政策は雇用政策であるということは、それこそ、高校生の頃から理解していました。なぜ理解していたかといえば、高校の『政治経済』という教科書にそう書かれていたからであり、その他参考書などにもそう書かれていたからです。

受験科目に『政治経済』も選択したので、それなりに勉強したので、金融政策が雇用政策になるという事自体は、あたり前のことであり、何の疑念も抱いたとこはありません。

日本でみられる就活風景

しかし、それから社会人になって、投票をするときに、候補者の話を聴いたり、あるいは周りの人と話しをしていると、金融政策と雇用政策とは全く関係ないと思い込んでいる人がほとんどであることが良くわかりました。

それは、政治家や役人などは、言うに及ばず、社内や取引先のほとんどの人がそのようでした。たまに、結構まともな大学の経済学部を卒業した人と話をしても、たいていは、金融政策と雇用政策との関連を意識している人などほとんどいませんでした。

ただし、まともな大学院で経済を学んだ人の中には、これを理解する人がいて、ある程度話があったということを記憶しています。ただし、大学院卒でもそうではない人も散見しました。内心では、一体こういう人は何を勉強してきたのかと疑問を感じました。

しかし、この現象は最近でも続いているようです。たとえば、本日以下のような報道をNewsPicsで見ました。
【世界一笑えないアニメ】日本の就活がどれほど狂っているのか?
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事には以下の動画が掲載されています。



「就活狂想曲」animation "Recruit Rhapsody"
ごく普通の大学生として何となく過ごしてきた主人公。ところが近頃友人たちの様子がお­かしい。聞けば、彼らは噂の"就活"に躍起になっているらしい。­それが一体どのようなものなのか見極められぬまま、主人公もまた「ニッポン式就活」の­渦中へと引きずり込まれて行く。
吉田まほ 2012年度作品。http://blog.goo.ne.jp/damaho

2012年度といえば、日本はデフレスパイラルのまっただ中であり、デフレ・円高不況のど真ん中でした。そうして、日本銀行はこうした日本の経済の停滞をみても、何の対策も打たないどころか、金融引締のスタンスを崩していませんでした。

金融引締をすれば、雇用は悪化するし、デフレはさらに深化するだけで、何も良いことはありません。企業も日本国内では、物が売れないため、設備投資も控え、新規採用も控えます。無論、借金などとんでもありません。なるべくお金を借りないようにして、借りているお金は一刻も早くかえすというのがあたり前でした。

あれだけの、デフレ状況であれば、企業がこのような行動とるのは、あたり前です。そうしなければ、潰れてしまいます。人の新規採用も、積極的なものではなく、毎年ある程度は人を採用しておかなければ、人員構成がいびつになり、将来的に不都合が生じるので、そんなことにならないように採用するだけで、積極的な採用でありません。

また、こういう採用では、個性がどうのとか、特技がどうのというよりは、無難な人材を採用するということになり、特にコミュニケーション能力を重視する企業が増えました。コミュニケーション能力といえば、聴こえは良いですが、要するに無難さの最たるものです。

だからこそ、画一的になり、このアニメのような酷い有様になっていたのは事実です。しかし、このアニメでは、雇用問題の本質は何なのかには全く触れていません。無論、このアニメを政策した人も、金融政策と、雇用政策の関連など知らないのでしょう。

知らないからこそ、こういう現象に恐怖を感じるのだと思います。もし、知っていれば、金融政策の異常性を訴えたものと思います。

NewsPicsには、記事に対してコメントができるので、私はこの記事に以下のようなコメントをしました。
このアニメ表面的なことしか扱っていないのが、残念。この問題の本質は、企業や就活生などに問題があるわけではなく、15年以上も、デフレを放置してきたことに原因があります。特に、金融政策について、リベラル派も労働組合もそのまずさを追求してこなかったことにも原因があります。 
他国ではあたり前になっている、金融政策が直接雇用に結びついている事を知らない日本人のほうが、私にはかなり異様にみえます。 
雇用というと、何やら日本では、厚生労働省管轄のような感覚しかないのが不自然です。他国では、雇用といえば、まずは中央銀行の金融政策ということになり、雇用状況が悪いと中央銀行がやり玉にあげられるのが普通です。 
そのあたりが、全く表現されていない、底の浅いアニメです。この底の浅さが、日本の異様さを感じさせます。
しかし、こうした傾向もここ数年では、ある程度は緩和されて来たように思います。最近では、小数ながら、雇用と金融政策とが密接に結びついている事を理解する人が増えてきました。そもそも、政治家の中にも、安倍総理のようにキチンと理解する人がでてきました。

 上の記事では、高橋氏が、以下のように締めくくっています。
金融政策による雇用の増加は、自殺率の低下、強盗率の低下、生活保護率の低下にもなる。こうした社会環境に大きな影響を与える金融政策について、左派政党は早く目覚めないと、左派の受け皿がなくなってしまう。
本当にこのとおりだと思います。 今回の選挙において、特に野党は、金融政策が雇用に密接に結びついている政策なのかをしっかりと理解していただきたいものだと思います。

8%増税で低迷気味の消費。このままデフレへ逆戻りすることは、若者世代に対して経済的虐待をしているのに等しい

欧米などでは、金融政策によって、雇用を増やすという政策は、左翼やリベラルや、労働組合の人たちが推進しようとする政策です。そもそも、お金持ちにとっては、雇用などどうでも良いわけであって、金融政策による雇用の拡大になどさほど興味もないわけです。

だからこそ、私は金融政策が雇用政策であることを知らない世界水準でみれば異様な日本人!この異様さから訣別することも今回の選挙の大義かもしれないと思っているのです。

そうして、この異様さから訣別できれば、日本の経済だけではなく、政治もかなりまともになると思います。私は、そう思います。


皆さんは、どう思われますか?

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金融政策が雇用政策であることのその真の意味を知るためにも、以下の書籍ご覧になって下さい。経済の潮流に乗り遅れるな(゚д゚)!

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