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2012年8月30日木曜日

増税と円高政策で「製造ニッポン」は壊滅寸前。1万9000社に迫る「為替デリバティブ倒産」の危機―【私の論評】まともな金融政策で、さっさと円高・デフレを終わらせろ!!

増税と円高政策で「製造ニッポン」は壊滅寸前。1万9000社に迫る「為替デリバティブ倒産」の危機:



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[ 伊藤博敏「ニュースの深層」 ]
増税と円高政策で「製造ニッポン」は壊滅寸前。1万9000社に迫る「為替デリバティブ倒産」の危機 
[伊藤 博敏]


絶体絶命のピンチを迎えたシャープは、なりふり構わぬリストラと台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業との資本・業務提携、及びそれを条件とした銀行支援で、なんとか乗り切ろうとしている。



【私の論評】まともな金融政策で、さっさと円高・デフレを終わらせろ!!


上の記事の結論を以下に掲載しておきます。
不況の処方箋は「財政政策」と「金融政策」 
 実は、この構造不況からの脱出には、処方箋がある。 
 米経済学者のポール・クルーグマンは、最近、上梓した『さっさと不況を終わらせろ』のなかで、「不況期には財政政策と金融政策の二つを大胆に発動せよ!」と、繰り返し述べている。話を金融政策に限れば、大胆に金融緩和、円の流通量を増やし、相対的な円安に持って行けばいい。 
 日銀批判の急先鋒の高橋洋一・嘉悦大学教授は、「5年前の1ドル=120円、せめて100円くらいの為替レートにすれば、国際市場で活動する日本企業は復活できる」(『夕刊フジ』8月24日付)と書く。
 相対的な円安に持っていくことができれば、シャープもソニーもパナソニックも海外メーカーと互角に戦え、しかも為替デリバティブに悩む中堅・中小企業も激減する。 
 処方箋は明らかだが、健全財政の財務省は野田佳彦首相を口説いて「不況下の増税」を達成、日銀は白川方明総裁のもと円高政策を継続する。 
 政局にしか興味のない政治家の体たらくもあって、このままでは日本は、奈落の底に落ちるしかない。

今日本がやらなければならないことは、はっきりしすぎています。あまりにも簡単すぎて、高校生にも理解できるくらいです。高校の政治経済の教科書には、不況の際の処方箋は、政府による積極財政政策と、中央銀行による金融緩和策です。クルーグマンの『さっさと不況を終わらせろ』に関しては、このブログにも掲載しましたが、クルーグマンも結局当たり前のことをせよと説いているだけです。
後に、50円札の肖像ともなった高橋是清
世界恐慌のときに、日本では、高橋是清が、リフレ政策=「積極財政」*「金融緩和」をやって、昭和恐慌からいちはやく立ち直りました。アメリカは、不況にあっても緊縮財政、金融引締めの罠にはまっており、戦争に参加するにおよび、大量の兵器の製造、大量の戦争遂行のための人員要請などのニーズから緊縮財政、金融引き締めをやめざるを得なくなり、その結果として恐慌から抜け出すことができました。

第二次世界大戦中のアメリカの戦意高揚ポスター
こんな先例もあるのに、なぜ、日本ではまともなことができないのでしょうか?簡単なことをいえば、普段より多く貨幣を増刷しただけで、円高傾向は是正されます。なのに、日銀は、何があっても、増刷拒否の姿勢を崩さず、円高・デフレ政策をどこまでも継続しています。

日本は、統計上では、平成10年より、完璧にデフレ状況になっています。デフレ傾向の期間も含めるとすでに20年デフレ傾向にあります。その間、政府が緊縮財政を行なってきましたが、日銀が、金融引締めばかりやってきたことも事実です。

日本では、特に日銀による金融引締めは、異常ともいえる状態です。爆走状態です。リーマン・ショックで、他国が大幅に増刷しても、日銀はしませんでした。他国が、増刷して、日本だけが増刷しなければなにが起こるかといえば、円高です。何も難しいことはありません。簡単な理屈です。



さらに、昨年の大震震災があって、復興需要が高まり、円の需要が高まっている最中でさえ、日銀は、増刷しませんでした。円需要が高まっている最中に、増刷しなければ何が起こるかといえば、円高です。これも、何も難しいことはありません。全く簡単な理屈です。小学生にも判る簡単明瞭な理屈です。

増刷すると、ハイパーインフレになると主張する愚かな、リフレ反対論者がいますが、デフレとは、貨幣流通量が減っているいるということです。そのときに、増刷して、貨幣の流通量を増やしたら、インフレ傾向になるのは当然ですが、それをもって、ハイパーインフレになるというのは、全くおかしな理屈です。実際、多くの国が、リーマン・ショックのときに、大増刷を行いましたが、これらの国々がハイパーインフレに見舞われたという事実はありません。

第一次世界大戦後のドイツでのハイパーインフレ(道路にお札が捨てられている)
それに、付加価値税を増税して、景気が落ち込んだイギリスで、イングランド銀行が大増刷を行い、しばらくの間、4%のインフレが続いていました。これが、反リフレ派の不況の時に増刷すれば、ハイパーインフレになるとの有力な根拠となってきました。これも、最大で4%台であり、しかも、最近では2%で落ち着くようになりました。

これだけ、日本国内の産業を痛めつけても、なお、増税、円高、デフレ政策にひた走る、政府、日銀を評して、経済評論家の上念氏は、大東亜戦争に突入したときの政府である政府にたとえ、「近衛政権末期症状」と揶揄しています。

私も、その通りだと思います。現在、米国も、EUも中国も、景気が下向き、当面よくなりそうもありません。まさに、世界同時不況目前という状況です。世界同時不況にみまわれて、それでも、日銀が、円高・デフレ金融政策にひた走るというのであれば、これは、外国に対して、日本の富の簒奪を幇助するということであり、もう国民に対する反逆行為と断定せざるをえません。

そう思うのは、私だけでしょうか?それから、増税に関しては、天の声があり、増税推進派に対する鉄槌がくだされた模様です。これは、何かといえば、あの最大の増税推進派の財務次官の勝栄二郎氏の9月退任が決まったことです。



最近の国会の動き、私は、こうした動きとは無関係ではないと思います。とにかく、来年の時点で再来年の増税阻止が時の政府によって、なされるべきです。勝氏退任は、これに連動した動きであると思います。勝氏が来年も財務次官を続けていれば、さらに、増税の正当性を強調することになるため、これを排除する動きがあったものと思います。

今後、世界同時不況に見舞われたときにも、日銀が、デフレ・円高政策を堅持すれば、大変なことになります。そんなことは、とうてい許容されるものではなく、勝財務次官にくだされたような、鉄槌が、日銀および、白川総裁にも下されることになると思います。

そうして、私たちは、次の選挙では、増税反対、日銀法改正を訴える政党や、政治家に対して票を投じるべきと思います。



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2012年8月2日木曜日

五輪に沸くロンドンが「ゴーストタウン」化 短期的な景気浮揚効果の予測に疑問符―【私の論評】不況のイギリスでは増税した後で増刷して、さらにオリンピックでも景気浮揚の効果はなくなったというのに、日本ではこれから増税とはこれいかに?


ロンドンオリンピック、ビーチバレーボールの試合
オリンピックがロンドンの都心部に「ゴーストタウン」効果をもたらしている。 通常であればロンドン市内の小売店やホテル、劇場などに足を運ぶはずの観光客がいなくなってしまったためで、オリンピックが短期的な景気浮揚効果をもたらすという事前の予想に疑いの目が向けられている。 オリンピックを見にロンドンを訪れる外国人観光客は10万人に達しており、過去のオリンピックでの実績を上回っている。しかし、ロンドンでは普... -jbpress.ismedia.jp

【私の論評】不況のイギリスでは財政再建のため増税した後で増刷して、さらにオリンピックでも景気浮揚の効果はなくなったというのに、日本ではこれから増税とはこれいかに?
上の記事では、「オリンピックを見にロンドンを訪れる外国人観光客は10万人に達しており、過去のオリンピックでの実績を上回っている。しかし、ロンドンでは普通の年でも推定30万人の観光客を見込むことができ、これに比べれば見劣りする」と掲載されておらり、オリンピックによる短期的な景気浮揚効果の予測に疑問符ということを掲載していますが、この見方はあまりに一面的すぎると思います。



本当の原因は、もっと大きいところにあると思います。まずは、現在のEUの経済の状況をみてください。ギリシャの財政破綻に端をはっした、欧州の経済危機は様々なスペインをはじめ様々な国々に波及しています。この状況では、本来オリンピックで訪れるはずだった人たちも相当控えることになっているはずです。本来なら、過去に二度行ったロンドン・オリンピックなどはるかに上回るような人々もっとロンドンに訪れていたことでしょう。過去との単純比較は、成り立たないと思います。

さらに、もう一つの原因があります。それは、無論のこと、イギリス政府は、不況の最中に財政再建をすると称して愚かな付加価値税(日本の消費税に相当)を増税しました。そうして、その後、これは、日本とは大違いですが、イングランド銀行(イギリスの中央銀行、イングランド銀行)が大増刷を行いました。その後どうなったといえば、大増刷によっても、不況からは脱出できていません。やはり、増税が間違いあったことがはっきりしました。この環境下で、オリンピックなどの短期経済浮揚策をしても、あまり効果は期待できないということです。

イングランド銀行
この事実は、このブログでも、以前紹介したことがあります。どのような内容かといえば、詳細は、当該ブログをご覧いただくものとして、要約すれば、以下のようものです。
イギリスのような不況に陥っている国では、財政赤字を是正するために、増税すべきであるとの、誤った考え方に従い、付加価値税を増税をしました。どうなったかといえば、無論のことさらなる景気の悪化です。その後イングランド銀行は、金融緩和措置として大増刷をはかりました。この増刷に対していわゆるリフレ反対派の人々は、インフレになると警告していて、実際、インフレ傾向が続いていました。そうして、リフレ反対派は、これを景気が悪くなったからといって、増刷すれば、インフレになるという持論の格好のケーススタディーとしていました。しかし、それが、最近では、インフレが収束しており、リフレ反対派の間違いが明らかになっています。そうして、イギリスの場合、増税は明らかな間違いであり、増税してしまった後のイングランド銀行の行動は正しいものであり、もし、大増刷していなければ、イギリス経済はさらに落ち込んだものと思われます。
さて、インフレが収束しているイギリスのインフレ率、いくらくらいかといえば、2%前後です。これで、インフレ収束というのが、世界の常識です。にもかかわらず、日銀は、インフレ目処を1%としていますが、これすらも実行する気はありません。1%に到達しそうになると、すぐに、緩和措置をとめてしまいます。どこまでも、デフレ路線を突っ走っています。そうして、それを財務省はおろか、政府も止めることはできません。

イングランド銀行キング総裁
なぜ、そんな馬鹿なことになっているかといえば、平成10年に日銀法が改悪されてしまったからです。それまで、日銀は、大蔵省の一部でしたが、大蔵省が分割され、財務省と、日銀とに分離されました。そうして、中央銀行の独立性が確保されることになりました。

中央銀行の独立性とは、本来の意味では、「政府が決定した日本国の金融政策に従い、中央銀行は、その金融政策を実行する際の方法を選択できる」ということです。ところが、日銀が独立して以来なぜか、日銀は、この独立性に関して勘違いしたのか、他者(外国勢力も含む)の入れ知恵か、日銀に日本国の金融政策を決定するのが中央銀行の独立性であるとの考えを貫き、勝手に日本国の金融政策を自分たちで決定し、実行しています。

日本銀行
そうして、それは、ことごとく、日本の経済を痛めつける政策であり、頑なにデフレを維持する政策を実行しています。このブログに掲載してきたように、変動相場制で比較的小さい国においては、マンデル・フレミング効果が効いて、経済対策としての、政府の財政政策は、ほとんど効果がなく、効果があるのは、金融政策であるといわれています。日本は、大国ですから、小国のようにマンデル・フレミング効果が効いて、政府の財政政策が全く無駄で、金融政策のみが有効というということはありませんが、それにしても、金融政策がかなり有効であることは間違いありません。

やはり、デフレから脱却するには、財政政策と、金融政策の両方が不可欠であることは言うまでもありません。
貧乏神(日本には、白川という貧乏神がとりついている!!)
それよりも何よりも、まず、デフレなどで、景気が落ち込んでいるときの増税は、上のイギリスの例でも明らかに失敗しており、増税は、イギリスの例をみるまでもなく、名目GDPを減らし、税収を減らすことは明らかであり、絶対にすべきことではありません。

増税しても、今のままでは、日銀は、イングランド銀行のように増刷するなどということは考えられないので、デフレがさらに進行するだけとなり、このような経済環境の中では、いくら民間企業が努力しても、どうしようもなく、雇用などますます悪化するだけです。日銀が、これを放置しておけば、不況であるにもかかわらず、円高が進行し、企業はもとより、人も海外に市場を求めて出ていくことになり、ますます、日本は地盤沈下することは間違いありません。

そのような、愚かな増税は、イギリスの例をみるまでもなく、絶対に実行すべきでありません。そのためには、野田政権には、辞めていただくべきです。自民党の総裁選では、谷垣氏のような増税を主張する人にはやめてもらい、増税反対派の人を総裁にすべきです。それに、忘れてならないのは、日銀法を改正することを主張する政党や、人達を支持すべきです。この両方で、増税を阻止して、金融政策をまともにすれば、日本は必ず経済的復活を果たすことができます。


特に、今まで、一般の人たちも、政治家も、金融政策の重要性を見逃してきたと思います。たとえば、日本では、雇用対策というと、厚生労働省の管轄と考えられがちですが、本当の意味での雇用対策は、中央銀行の大きな役割の一つでもあります。なぜなら、中央銀行の金融政策一つで、雇用そのものが大きく増減するからです。実際、アメリカでは、中央銀行(FRB)の大きな役割の一つとして、雇用対策があります。ひらたくいうと、経済への影響や雇用のミスマッチなど無視して、インフレ率を2%上昇させたすると、日本や、アメリカのような大国では、そのとたんに数百万もの雇用がだまっていても発生します。

厚生労働省などの役割は、その後の雇用のミスマッチなどをどうするとか、労働環境をどうするかなどの問題を解決するのが、主要な任務であって、雇用そのものを生み出すことはできません。このような基本的なことが、政治家も理解できていなかったと思います。自民党など、金融政策の重要性を理解していれば、未だ政権与党の地位を保てたかもしれません。日本人以外の人とは、そんなことはないのですが、日本人の場合は、それ相当の立場の人とさえ、雇用問題に関して金融政策の話をしたりすると、怪訝な顔をされたことがしばしばあり、私自身が困惑したことも再三あります。それだけ、認識されていないという事だと思います。まあ、増税キャンペーンが徹底されている日本国では無理からぬところもあるのかもしれません。

金融政策は、経済に大きな影響を及ぼします。だから、日本がデフレから脱却するためには、増税阻止と、まともな金融政策を実施するための、日銀法改正は必要不可欠です。そのためには、立場を乗り越えて、多くの人達が結託すべきです。そのことについては、下に経済評論家上念氏の動画が詳しく、分かりやすく、解説しています。是非ご覧にって下さい。


以下に、上の動画の説明をコピペしておきます。
あまりにも強くなりすぎた日銀の独立性。この20年のデフレ脱却失敗の歴史を振り返れば、デフレ脱却のためには日銀法の改正こそが必要なのではないだろうか?新自由主義や­社会主義などのイデオロギーを抜きにして、日本再生のために各党が結束する事を強く望みます。その第一歩と成りうるのか、みんなの党と社民党の「内閣不信任案」提出の動き­などと共に、政治の動きを解説していきます。
とにかく、今の日本では、デフレを克服しなければ、先への展望など開けてきません。左翼、左派、中道、右派、右翼などのイデオロギーの違いなど乗り越えて、とにかく、増税だけは、何が何でもも阻止すべきであると思うのは、私だけでしょうか?皆さんは、どう思われますか?

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【緊急掲載】06.13 衆議院社会保障・税特別委員会公聴会 上念司氏―【私の論評】日本国解体推進無限ループの端緒となる増税阻止!!大拡散希望!!






2012年7月21日土曜日

【日本の解き方】白川日銀総裁は“デフレ・円高大魔王” - 経済・マネー - ZAKZAK―【私の論評】財政ばかりでなく、金融政策にも目を向けよ!!

【日本の解き方】白川日銀総裁は“デフレ・円高大魔王” - 経済・マネー - ZAKZAK

高橋洋一氏
日銀は12日の金融政策決定会合で追加の金融緩和を見送った。この決定に市場は失望し、同日の日経平均株価は6営業日続落、下げ幅は130円を超えた。

白川方明日銀総裁は、決定会合後の記者会見で「現在も間断なく強力な金融緩和を進めている。効果の波及には時間がかかる」と説明した。と同時に、2012年の物価上昇率見通しを4月時点の0・3%から0・2%に引き下げ、13年度は0・7%に据え置いた。1%のインフレ目標達成は「2014年度以降」に「遠からず達成」という見方だ。

日銀は、2月にデフレ脱却の目標として1%のインフレ「目途」を掲げ、強力な金融緩和を進めると表明。白川総裁の任期は来年4月までだが、自らの任期期間中の目標達成をギブアップしている。このままでは、白川総裁は「デフレ・円高大魔王」ということになるだろう。

(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】財政ばかりでなく、金融政策にも目を向けよ!!

さて、上の記事の内容など、下のグラフをご覧いただければ、一目瞭然であることがおわかりになると思います。リーマン・ショック後、世界主要先進国の他の中央銀行が、マネタリーベース(花柄通過量)をかなり増やしているのにもかかわらず、日銀がほとんど増刷していないことが良くわかります。


リーマン・ショックが起こった直後に、私をはじめ日本では多くの人たちが、日本はあまり影響を受けないだろとうと予測していましたが、実際には大きな影響を受けたことは、皆さんご存知だと思います。これは、本来は日本があまり影響を受けるはずがないというのが正しい見方であり、なぜそうならなかったかといえば、日銀のかたくなな増刷拒否によるものです。リーマン・ショックでは、本家本元のアメリカは、増刷などの金融緩和措置をすぐにとったので、日本よりもはるかにその影響を削ぐことができました。私を含め、多くの人の予測が崩れたのは多くの国が増刷したあとでも日銀が増刷拒否の姿勢を崩さず、頑なに金融緩和政策をとらないなどという、何というか、全く本来の仕事を放棄するなど、あり得ない状況を全く予知できなかったからです。



日本は、他国がこうして増刷して金融緩和措置をはかったにもかかわらず、日銀の増刷拒否の姿勢により、まるで、他国の増刷によるインフレの害を担保するような形になり、一人負けの状態に陥りました。本当に愚かなことです。

こうした日銀の対応のまずさもあり、日本は、3.11から円高傾向であり。3.11後さに超円高傾向になったことは皆さんご存知だと思います。このとき何が起こったかといえば、当然震災・津波の被災者に対する応急措置のため、円の需要は平時の時よりもはるかに高まり、そのまま放置しておけば、円高が進行することはわかりきっているのに、またまた、日銀は、増刷拒否の姿勢を崩さず、いたずらに超円高の事態をまねいてしまいました。


白河総裁に関しては、以前このブログで、デフレ悪魔という呼び方をしましたが、上の記事の白川総裁の発言や、下に掲載するWSJにおける発言などみると完璧にデフレ悪魔から、デフレ・円高大魔王に変身し、どこまで凶暴化するのか、先の見えない展開となってきました。

こんな大魔王なら魅力的だか、白川大魔王はお断りだ!!
さらに、下のWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)の記事では、円高を許容し、円高のために日本の景気が良くなっているかのような発言をしています。
日銀総裁、景気の底堅さの一因として円高メリットに言及
【東京】日本の政策当局者は長らく、円高を日本経済にとり「悪」とみなしてきたが、内需主導で景気が緩やかに回復するなか、日本銀行の白川方明総裁を含む一部関係者は円高のプラス面に言及し始めている 
白川総裁は先週、円高は景気に悪影響を与えるとする従来のスタンスから離れ、堅調な内需の背後にある5つの要因の1つとして円高メリットを挙げた。日本経済は1-3月期、内需主導で4.7%の成長率を記録している。 
「円高による景気への悪影響を無視しているわけではないが、プラス面もあることを言っているのだろう」と日銀の政策に詳しい関係者は語る。 
従来の日本経済の回復は、まず、輸出の持ち直しがけん引役となり、それが生産と消費の回復につながってきた。そのため、政策当局は、日本製品の国際競争力を損なう円高の阻止に注力してきた。 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
白川総裁は、企業マインドの改善も経済成長の背景にある5つの要因の1つとして挙げた。 
ただし、当局は急激な円の動きに対して警戒を緩めているわけではない。日銀関係者は、総裁の発言は、急激な円高が日本経済全体にとって悪影響であるとの日銀の見方を変えるものではないとした。 
為替政策を担当する安住財務相は、「過剰な円高」は経済と金融の安定に悪影響を与えると考えており、「(メリットとデメリットは)それぞれあるとは思う。総合的に勘案し、我が国にとって今の水準がどうかということを、私の立場では常に考えなければならないと思っている」と述べ、最近の水準については「実態を反映していない」との見解を示した。

白川総裁も、安住財務大臣も、すっかり何かを忘れています。それは、日本がデフレである状況は、未だに変わっていないということです。それに、円高が景気に良い影響を及ぼしているというのは、全くの見当違いもはなはだしいです。この二人、金融と、財政を根本的にわかっていないか、外国の司令を受けて動いているとしかみえません。

上の記事で、WSJは、白川総裁にどちらかといえば、好意的な書き方をしていますが、それは、白川総裁のように増刷拒否の姿勢を堅持すれば、アメリカは増刷していますから、このことによって、アメリカドルはある程度日本の円高に担保されたようなもので、増刷による悪影響であるインフレなどから免れますから、当然のことです。アメリカの新聞などは、日本の売国新聞とは異なり、根本的には、アメリカの国益に合致した記事を掲載します。


今、景気が多少回復しているようにみえるにのは、円高のせいではありません。理由は、震災復興によるもの以外の何ものでもありません。復興のために、政府は一時的にでも、財政支出をふやさざるをえず、日銀も上の記事にもあるように、最近では金融緩和措置を見送ったものの、昨年や今年も緩和措置を実施し、若干緩めた時期もあり、その余波とみるべきです。

この超円高が続けば、企業の海外移転はますます増え、中国などを利するだけです。ただし、中国へ移転する企業は最近へりつつありますが、それにしても、中国政府は、固定相場制という金融環境の中で、日銀が増刷拒否の姿勢を崩さない限り、あたかもそれを担保として、元を刷りたいだけ刷ることができます。そうなれば、日本はさらにデフレスパイルの深みにはまっていくだけです。



私もかつてそうでしたが、どうしても多くの人の目は、政府の財政政策のまずさにばかりいき、日銀の固くな、増刷拒否の姿勢、金融引き締めの姿勢に目がいきません。WSJの記事の中の、白川発言などにすぐにだまされてしまいます。また、日銀の発表など、しばしば、明らかに嘘があるにもかかわらず、マスコミなどの不勉強のためその嘘を見抜けず、そのまま垂れ流しで報道してしまいす。これは、高橋洋一氏も指摘しているところです。

デフレの克服には、金融緩和政策が不可欠です。このブログには、以前マンデル・フレミング効果について掲載しました。これは、小国で変動相場制にある国において、景気対策としての財政出動はあまり効果がなく、金融緩和などの金融政策のほうが効果があるというものです。


日本は、陸地の面積は小さいですが、排他的経済水域は世界のトップレベルですし、経済的にも大国です。それに、日本のGDPに輸出が占める割合は、16%にすぎず、この点40%を超えるドイツや中国くなどとは根本的に異なるところがあります。だから、この効果がいつも働くというわけではなく、確かに働かない局面もあります。しかし、景気回復のため、デフレ克服のため、金融緩和措置は絶対に必要です。財政政策と、金融政策の両方が必要なのです。

日銀の、インフレ目処1%に関しては、最初からヤル気がないとこのブロクで掲載しました。そうして、実際そのとおりの推移になっています。上の記事で、1%のインフレ目処としていますが、平成14年あたりでは、原発の稼働が進まなければ、原油・天然ガスの大量輸入により、コストプッシュインフレとなり、1%でも、かなりのデフレ状況になっている可能性も大です。


こままでは、たとえ、結局増税しないことになっても、デフレ状況から抜け出せないかもしれません。先日イギリスの消費税増税の失敗をこのブログに掲載しましたが、イギリスで、増税後にイングランド銀行が、増刷を行い金融緩和をしていますが、日銀は、上の記事などみている限りそのようなことはすることは期待できないので、さらに、デフレの深みにはまっていくことでしょう。

このようなことから、やはり、白川総裁に任期を満了されてしまっては、とんでもないことになります。デフレ克服のためにも、白川総裁の任期満了は絶対に避けるべきです。


それから、日銀が暴走して、総裁が、デフレ・円高魔王になるには、それなりの背景があります。それは、平成10年に、日銀法が改悪され、日銀が大蔵省から分離され、日銀の独立性が確保されたためです。


本来、ガイトナーが日本に来て公演したように、「一国の中央銀行は、政府の金融政策に従い専門家の立場から、その時々で最も効果があるように、金融政策を選ぶことができるという」のが世界の常識のはずです。しかし、日銀は、そうではなく、拡大解釈をして、政府から独立し、全く自分独自に金融政策を実施できるものとして、実際上に掲載したように、暴走しっぱっなしどころか、さらに輪をかけて爆走しようとしています。そうして、あろうことか、日銀のガイトナー公演の発表では、「中央銀行の独立性とは、中央銀行が独自に金融政策を決定することと」とすり替えられています。こんなことを指摘する新聞もほとんとありません。

日銀の爆走は、何がなんでも阻止しなければなりません。白川征伐と、日銀征伐は、日本のデフレを克服するために、喫緊の課題です。多くの人に、財政だけでなく、金融政策にも目を向けてもらいたいです。次の選挙では、財政ばかり言う政治家ではなく、金融政策そうして、日銀法改正に言及する立候補者や政党に投票すべきです。


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