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2017年6月20日火曜日

小池百合子都知事、「豊洲に市場移転」「築地を再開発」の基本方針表明―【私の論評】築地は売却すべき、都が資産をもって事業をしても大失敗するだけ(゚д゚)!

小池百合子都知事、「豊洲に市場移転」「築地を再開発」の基本方針表明

築地市場の豊洲移転問題で会見する小池百合子都知事=20日午後、都庁
 築地市場(東京都中央区)の豊洲市場(江東区)への移転問題で、小池百合子知事は20日午後、臨時の記者会見を開き、中央卸売市場を豊洲に移転する基本方針を表明した。一方、築地市場については「築地ブランドを守っていく」として、5年後をめどに市場機能を残した「食のテーマパーク」とする再開発を行い、築地に戻ることを希望する仲卸などの業者を支援するとした。

 豊洲市場については「新たな中央卸売市場だ」と明言した上で、冷凍冷蔵・物流・加工などの機能強化を図っていくとした。東京ガスの工場跡地に整備された同市場の開場条件となっていた汚染の「無害化」は達成されていないが、追加対策を実施していくとした。

 小池氏は会見で「築地と豊洲を両立させることが最も賢い(お金の)使い道だ」と述べた。一方で、そのための工程、予算、財源などについては今後、検討していくとした。

 小池氏が昨年8月に築地市場の移転延期を表明して以来、都政の懸案となった市場問題で、豊洲、築地の双方を活用する小池氏の基本方針が示された。23日告示の都議選をめぐり、小池氏と対立する自民党が公約として豊洲への早期移転実現を掲げ、小池氏と連携する公明党は選挙前の決断を求めており、選挙情勢にも影響を与えそうだ。

 東京ガスの工場跡地に整備された豊洲市場をめぐっては、環境基準超えの有害物質が検出された地下水への対応が焦点だった。都の追加対策は、(1)地下水をくみ上げ、浄化する地下水管理システムの機能強化で中長期的に水質改善を図る(2)気化した有害物質が建物の地下空洞に侵入して1階部分に入ることを防ぐため換気設備などを設置する-などとしている。

 小池氏は豊洲の汚染対策に加えて市場会計の持続可能性も重視し、築地のブランド力と好立地に注目。都は小池氏の指示で、築地の跡地を売却せずに民間に長期間貸し出し、日本の食文化の発信拠点などとして活用する案を検討してきた。

【私の論評】築地は売却すべき、都が資産をもって事業をしても大失敗するだけ(゚д゚)!

小池知事は、サンクコストという言葉の定義に関して、間違って理解していて、その間違いにもどいたサンクコストの忌避方法が、今回の小池氏「豊洲に市場移転」「築地を再開発」という基本方針であると考えられます。

1月14日に開かれた専門家会議では、都が実施した豊洲市場の地下水モニタリング調査の結果、最大で環境基準の79倍のベンゼンが検出され、シアンが数十カ所で検出さました。



しかしそもそも、この「環境基準」は飲料水の基準であり、地下水を飲まない豊洲市場では何の問題もありません。もともと去年11月に築地から移転する予定だったのを小池百合子知事が「都民の不安」を理由に延期したのですが、出てきたのは風評被害だけでした。

そもそも「基準値」には、飲用水の基準とは別に工場が下水に流す際の「排水基準」があり、排水基準の場合、飲用水基準より10~100倍の濃度まで許容されています。
9月末に豊洲の地下水モニタリングでベンゼンとヒ素が『基準値超え』と報じられましたが、これはハードルが高い飲用水基準を超えたということです。排水基準から見れば全く問題がない値でした。
建物下でもない場所の地下水で、市場の仲卸業者ですら触れもしない水なのに“生涯にわたって飲み続けて大丈夫か”というレベルの基準でチェックがなされていることをどれだけの人がわかっているのか甚だ疑問です。

これを受けて、小池知事は「豊洲には既に6000億円つぎ込んでいるがどうするのか」という毎日新聞の質問に「豊洲という場所に決めたことには私自身、もともと疑義がある。サンクコストにならないためにどうすべきか客観的、現実的に考えていくべきだ」と答えていました。

これが「豊洲への移転をやめると6000億円の投資が無駄になる」という意味だとすると、小池知事はサンクコスト(埋没費用)の意味を取り違えています。サンクコストとは投資が終わって回収できない費用のことであり、6000億円はすでにサンクコストです。だから、「サンクコストにならないためにどうすべきか」という問いはありえないのです。
確かにサンクコストが問題になる場合もあります。「これだけ費用をかけたから、もう少し出費することによってこれまで払った費用が丸々損しないで済む」、と考えて赤字の事業が続けられることもあります。しかしこの経営判断は、「損している上に、もっと大損しよう」と判断しているのと同義です。過去に使ってしまって回収できないお金は既にサンクコストです。

人が行動した結果、その際に生じたコストが、後の意思決定に影響することをサンク・コスト効果と言います。図で示すと以下のようになります。


サンクコストに打ち勝つためには「勇気を伴うあきらめ」が必要なのも事実です。しかし、豊洲の移転問題はまた別です。豊洲に移転して、赤字続きでどうしようもないとか、それが今から確実に予想されるいうのなら、わかりますが、そうではありません。

それに、豊洲問題に関しては、確証バイアスの影響もあったものと思います。確証バイアス(かくしょうバイアス、英: Confirmation bias)とは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のことです。

豊洲でも、環境問題に執着するあまり、本来飲みもしない地下水を検査し、環境基準に適合しないなどとされましたが、豊洲の地下水元々使用しないものです。豊洲近辺は、不動産でもかなり人気があり、高層のタワーマンションなどもすぐに完売するほどの盛況です。

無論、この高層タワーマンションに住む人も、地下水を飲むこともないし、直接豊洲の土に触れる機会もないことから、そのようなことは何も心配していないのでしょう。

豊洲の建築途上のタワーマンション
先に示したように豊洲の6000億円はすでにサンクコストです。これは、豊洲に移転しようがしまいが、築地をどうするなどということは全く関係なしに、サンクコストです。これは、もう回収できません。

このサンクコストに加えて、築地の開発をするとなるとここでもサンクコストが発生します。

このサンクコストとは別に、支出と収入の面から豊洲問題で過去にいわれてきた方式と、今回の小池知事の方式を加えたものを比較してみます。

1.豊洲市場に移転
豊洲市場の維持費(支出) 
豊洲市場で検出された有害物質への対策費(支出)
2.移転中止・築地市場の継続
豊洲市場の維持費(支出) 
築地市場の維持費+衛生管理費(支出) 
豊洲市場の売却益(収入)
3.移転中止・第三の新市場を建設
豊洲市場の維持費(支出) 
新市場の建設費+維持費(支出) 
豊洲市場の売却益(収入)
 4.豊洲に移転・築地市場の継続・開発 
豊洲市場の維持費(支出) 
豊洲市場で検出された有害物質への対策費(支出) 
築地新市場の建設費+維持費(支出)
細かな点は別にして、結局豊洲移転・築地市場継続断念に踏み切る方がコストパフォーマンスは良い計算が成り立ちそうです。やはり、築地は売却して、地元自治体か民間業者に再開発を任せたほうが良いでしょう。過去の経緯からいっても、東京都が資産をもって事業をやろうとするとろくなことがありません。またまた、膨大なサンクコストが発生することになります。小池知事はそれを繰り返そうというのです。

感情論を先行させ、メディアを煽り、都議会で議席数を伸ばすという “政局” を目的に利用する上では豊洲問題は格好のネタです。しかし、それで利益を得られるのは知事派の界隈だけに限定されるということを覚えておく必要があります。

小池知事の豊洲と築地のダブル運営は、「築地ブランド」という魔法の言語で素人を騙しているだけです。築地ブランドはそもそも、築地という土地についたものではありません。仲卸が80年間の努力で積み重ねられた信用のことです。決して土地ではなく彼らが作り上げた誇りです。豊洲に行っても引き継いで更なる信頼の増幅を努力することによって、そのブランドは維持されるのです。ブランドは、あくまで人の努力によって形成されるものなのです。

市場のブランドは土地ではなく、市場で働く人々によって創造される

要するに小池知事は、とてつもない将来債務を発生させる装置をふたつ抱えます、と断言しているということに過ぎません。

それも自分の都議選勝利のために選挙直前まで引き延ばして、それに伴う都民の金銭的負担も別物で発生させつつ、結局この有様です。

無駄遣いなくすと言ってた小池知事が究極の無駄遣いをすると断言しているに過ぎません。小池さん、ずいぶん前からおかしくなっていたようですが完全にぶっ飛んでしまったようです。

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2016年3月27日日曜日

韓国政府に都有地「貸し出し」 片山さつき氏が元夫・舛添知事に異議「政策順序が違う」―【私の論評】住民福祉のほうが都市外交よりも、都にとって優先順位が遥かに高いのは自明の理(゚д゚)!



片山さつき氏

舛添要一知事率いる東京都に批判が殺到している。待機児童問題に対応するため、新宿区が昨年夏、都有地である元都立高校を借りたいと都に申し出たが受け付けてもらえず、今ごろになって「韓国人学校を増設する」ためとして韓国政府への賃貸計画が浮上したからだ。外交や社会福祉に詳しい、自民党の片山さつき参院議員が異議を唱えた。

「政策の優先順序が間違っていると思います」

片山氏はこう断言した。新宿区の一等地にある都立高校跡地貸し出しを主導しているとされる舛添氏は、元夫でもある。舛添氏は会見で、新宿区による申し出について「そういう話は聞いていない」と語っている。

今回の計画は16日に明らかになったが、直後から都庁には連日メールなどで意見が寄せられている。総数は約2500件といい、多くが「保育所の整備に利用すべきだ」という苦情だという。

片山氏も「東京都は、人口も経済・財政規模も、ヨーロッパ諸国に匹敵する巨大都市ですが、法的には地方自治体の1つです。最優先の役割は『子育てや医療、介護など、住民(都民)の福祉を増進すること』です。当然、待機児童問題は最重要事項です」といい、続けた。

「もちろん、地方自治体として『国際親善』に取り組むことは構いません。ただ、韓国以外の国々が今回のような要請をしてきた場合、東京都はすべてを実現させるつもりでしょうか。それでは、いくら都有地があっても足りるはずがありません」

舛添氏は「都市外交」を掲げて、日韓関係の改善に意欲を持っているとされる。2014年2月の知事就任後、韓国を3回も訪問し、朴槿恵(パク・クネ)大統領とも会談している。

片山氏は「外国への配慮のために、住民の福祉が損なわれることは絶対にあってはいけません。都知事の職にある人は『どうやったら都民が幸せになるのか』を常に考えるべきだと思います」と語っている。

【私の論評】住民福祉のほうが都市外交よりも、都にとって優先順位が遥かに高いのは自明の理(゚д゚)!

ここで、片山さつき氏だけの意見を掲載すると、バランスを欠くので、舛添東京都知事の意見等も掲載しておきます。
舛添氏は18日の定例記者会見で、ソウルの日本人学校が老朽化に伴い、10年に新校舎に移転した際、ソウル市から用地売買の斡旋(あっせん)を受けた例を挙げて、「(ソウル市とは)姉妹都市。こちらもお世話になった。恩返しでやる」「東京のグローバル拠点として、その街を活力のある街にするために非常に良い」と語りました。 
韓国朴槿恵大統領と会談した舛添都知事
しかし、記者団はこの説明に納得しませんでした。「保育施設に充てる手もある」「韓国だけに便宜を図る理由づけが難しい」「都民から批判的な意見が出ている」などと次々に質問しました。 
舛添氏は「いろいろな声があるのは当たり前だ。政策の判断なので、私の判断でやった」「保育所について、何もやっていなければ別だが、きちんと取り組んでいる」「なぜ、韓国にこだわるのか」と反論。フランスの学校に都有地を有償で提供した例にも触れて、「世界に開かれた街として、できるだけのことをしたい」と強調しました。
さらに、都立高校跡地近くに住む都民の意見も掲載しておきます。
都立高校跡地の近くに住む都民は「現在の東京韓国学校の校舎(若松町)から、この都有地(矢来町)に移転するなら、まだ話は分かる。でも、若松町の校舎も使いながら『こっちの敷地も使わせろ』ってわけでしょう。都民が使う土地に余裕がないのに、あまりにも異常な対応だ」と語っていました。 
使途が注目される都立高校跡地=新宿区矢来町
新宿区の意見を掲載します。
新宿区によると、昨年4月時点の待機児童は168人。問題の都有地周辺は近年マンションの新築が相次ぎ、今後も保育需要が見込まれるとして、保育所の重点整備地域に設定されています。
また東京韓国人学校の現況も記しておきます。
東京韓国人学校は実質定員割れをしています。特に、2011年東日本大震災が起こった年には、根拠のない放射能の恐怖から、半数以上もの生徒が帰国しました。そのため、新たなに韓国人学校を建てる必要性などもともとありません。
東京韓国人学校と、都立高校跡地の位置関係

舛添知事は、知事選で『子育てや福祉の充実』を訴えていました。それなのに、なぜ、福祉施設の整備に使わないのか不思議です。都有地の貸し出しは、都議会の承認を必要としない案件で、舛添氏の一存で決まるそうです。

しかし、それにしても、国と地方自治体の関係をいえば、安全保障と外交は国の専権事項です。地方自治体は国に従わなければなりません。そもそも、都市外交などあくまで、親善程度の範囲ですべきものであって、外交は国が主体となって行うべきものです。

日本は、都市国家ではないのですから、東京都知事の親善と、外交のどちらが重要かといえば、日本国の外交がすべてであり、東京都知事の外交など日本にとって、本当に余計なことです。

そうして、舛添氏が韓国に行って、朴槿恵大統領と会談するのも、全く無意味です。合うのだったら姉妹都市関係のあるソウル市長などと会談するというのならわかりますが、位置地方自治体の首長が、朴槿恵大統領と会談して何になるというのでしょうか。首長クラスでは、何の約束もできないです。


それに、舛添知事の出張費も異常です。韓国訪問のときはどの程度だったのか、わかりませんが、舛添要一知事らが昨年10~11月、ロンドン・パリを訪れた海外出張費約5千万円が「高額すぎる」などと指摘されていた問題で、東京都は今月23日、この出張にかかった経費の内訳をホームページで公開しました。透明性を高める狙いで、「今後は節減に努める」そうです。

これによると、知事や職員ら20人の渡航にかかった「旅費」は総額約2623万円で、東京-欧州間の往復航空費(約1500万円)の占める割合が大きかったそうです。知事のみがファーストクラス(約266万円)を利用。特別秘書ら7人がビジネス、その他の職員12人はエコノミーでした。

宿泊費はロンドン・パリともに、同行職員を含めて全員が一流ホテルに泊まり、5泊で約922万円を支出。知事はスイートルーム(1泊19万8千円)を使ったそうです。このほか知事を含む20人に、計約123万円の日当が支払われていました。

また、現地ガイドや通訳、車のレンタル費などの「賃借料など」に計約2417万円を費やしました。内訳は、車両借り上げ費(約623万円)▽現地ガイド雇用費(約532万円)▽知事の講演会の会場代(263万円)-などが大きく、職員がラグビーW杯を視察するためのチケット代(2試合分)にも約127万円を費やしていました。


バカ真似はやめろと言いたいです。それこそ、カネと時間の無駄遣いです。舛添氏は何か勘違いしています。そんなに外交がやりたければ、東京都知事になどなるべきではありませんでした。外交は、東京都知事の仕事ではなく、外交官や、外務大臣、総理大臣の仕事です。これこそ、驕り高ぶりというものでしょう。

最後に、待機児童は地方問題であり、住民福祉と都市外交いずれが地方自治にとって優先順位が高いかといえば、当然住民福祉です。この点やはり、舛添知事の考えは、間違いです。片山さつき氏の意見がまともで、正鵠を射たものです。

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