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2018年8月3日金曜日

【瀕死の習中国】トランプ氏の戦略は「同盟関係の組み替え」か… すべては“中国を追い込む”ため―【私の論評】中国成敗を最優先課題にした決断力こそ企業経営者出身のトランプ氏の真骨頂(゚д゚)!

【瀕死の習中国】トランプ氏の戦略は「同盟関係の組み替え」か… すべては“中国を追い込む”ため
 
プーチン大統領(左)とトランプ大統領(右)

 ドナルド・トランプ米大統領が仕掛けた米中貿易戦争によって、新局面が拓(ひら)かれた。

 中国株は2年前の最低値に接近しつつあり、人民元は下落を続けている。対照的に米国株が上昇し、米国ドルが強くなった。原油相場は高値圏に突入した。米中の金利差が縮小したため、中国から外貨がウォール街に還流している。一方で、金価格が下落している。

 市場は微妙なかたちで、世界情勢を反映するのである。

 リベラルな欧米のメディアは相変わらずトランプ批判を続け、フィンランドの首都ヘルシンキにおける米露首脳会談(7月16日)は「大失敗だった」と興奮気味である。

 筆者は、トランプ氏の戦略は、究極的に中国を追い込むことにあり、そのために「同盟関係の組み替え」を行っていると判断している。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と会い、体制を保証する示唆を与え、「核実験・ミサイル発射実験の停止」を約束させて、完全非核化まで制裁を解除しないと言明した。北朝鮮の中国離れを引き起こすのが初回会談の目的だった。

 そのことが分かっているからこそ、中国の習近平国家主席は、正恩氏を3回も呼びつけて、真意を執拗(しつよう)に確かめざるを得なかった。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との首脳会談も、長期的戦略で解釈すれば「ロシアの孤立を救い、対中封じ込め戦略の仲間に迎えよう」とする努力なのである。

 カナダでのG7(先進7カ国)首脳会議で、「ロシアのG8復帰」と「制裁解除」をほのめかしていたように、トランプ氏はプーチン氏を次はホワイトハウスに招待すると持ち上げた。

 しかも、ヘルシンキの米露首脳会談では、戦略的核兵器削減交渉の継続で合意している。

 米国政府がもっとも懸念するのは、軍事技術の向上につながる知的財産権の守秘だ。中国による米国ハイテク企業への買収阻止にある。このトランプ氏の考え方は、ロシアにも伝播した。ドイツでも、親中派のメルケル政権のスタンス替えを引き起こした。

 ドイツ政府は、中国煙台市台海集団が狙った、独精密機械メーカー「ライフェルト・メタル・スピニング」の買収を却下する見通しになった。

 このような欧米の変化を、北京は見逃さなかった。

 中国はあれほど激越だった米国批判を抑制し、異様な静けさである。あまつさえ、トランプ氏が批判した「中国製造2025」計画は口にも出さなくなった。「対米交渉のキーパーソン」の地位も、習氏の子飼いの部下、劉鶴副首相から取り上げる動きも表面化している。

 ■宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 評論家、ジャーナリスト。1946年、金沢市生まれ。早大中退。「日本学生新聞」編集長、貿易会社社長を経て、論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウォッチャーの第一人者として健筆を振るう。著書に『アメリカの「反中」は本気だ!』(ビジネス社)、『習近平の死角』(扶桑社)など多数。

【私の論評】中国成敗を最優先課題にした決断力こそ企業経営者出身のトランプ氏の真骨頂(゚д゚)!

さて上の宮崎氏の見方、私は正しいものと思います。トランプ氏の戦略は、究極的に中国を追い込むことという見方は特に正しいと思います。

トランプ大統領あるいは、トランプ政権の当面の最大の敵は中国なのです。その理由は簡単です。経済力・軍事力など総合的に判断して、今後米国の敵になりそうなのは、中国だけです。それは以下のグラフをご覧いただければ、十分おわかりいただけるものと思います。

世界の名目GDPランキング(USD、2015年)


世界の名目GDPシェア(%、2015年)

米国は未だに軍事力でも、経済力でも世界一です。その次の経済力ではEUが続くわけですが、これは多くの国々の集合体です。意思決定にもかなり時間がかかりますし、軍事的にも多国籍軍ということですし、NATOを構成していることから米国の敵ではありません。

GDPではその次に中国が続くわけですが、この中国も多民族国家であり、本来中国は一つの国などではなく、各省が一つの国といっても良いくらいの人口を抱えています。その中国は近年、経済を伸ばし、軍事力も急速に伸ばしています。

経済的には、個人あたりのGDPでみれば、日米や、EUと比較しても未だに格段に低いですし、軍事的にみてもまだまだ発展途上にある段階です。とはいいながら、この多民族国家を中国共産党政権が統治をしています。現状のままであれば、20年後くらいには、確実に経済的にも、軍事的にも米国を脅かす存在になります。

日本は、米国の最大の同盟国であり、覇権国家として米国に挑戦しようなどということは、すくなくても今後20年間はないと見て良いです。

さて、次にロシアですが、ロシアについては日本では超大国などとみられていますが、実体はそうではありません。

ロシアは大量の核兵器を保有する核大国ではありますが、もはや経済大国ではありません。ロシアの名目国内総生産(GDP)は1兆5270億ドル(約171兆円)、世界12位にすぎないです。中国の約8分の1にとどまり、韓国さえ若干下回っています。

韓国といえば、韓国のGDPは東京都のそれと同程度です。ロシアのGDPはそれを若干下回るというのですから、どの程度の規模かお分かりになると思います。さらには、人口も1億4千万人であり、これは日本より2千万人多い程度であり、中国などとは比較の対象にもなりません。

輸出産業はといえば、石油と天然ガスなど1次産品が大半を占め、経済は長期低迷を続けています。

ロシアはかつてのソ連をイメージして、超大国の1つに数えられがちですが、実態は汚職と不況、格差拡大にのたうち回っている中進国なのです。そんな国だから、米国に真正面から対決して、世界の覇権を握ろうなどという気はありません。

そんなことよりも、国内の経済を立て直し、さらには台頭する隣国の中国への備えをどうするかというのが最大の課題でしょう。

それに最近は、プーチンのロシア国内での支持率は急速に落ちています。ロシア連邦議会の最大勢力を誇る与党・統一ロシアの人気は、プーチンあってのものでした。ところが、サッカー・ワールドカップ(W杯)の開幕直前に年金受給開始年齢を引き上げる改革案を発表し、急いでそれを可決しようとする議会の動きが伝わると、あらゆる世論調査で統一ロシアとプーチンに対する支持率は急降下しました。
全ロシア世論調査センター(WCIOM)によれば、最新のデータでは、政府の改革案を最も強く推した統一ロシアへの支持率は、37%にまで下落。2011年に記録した史上最低の34.4%に非常に近いです。
プーチン政権に対する支持率低下はさらに激しく、31.1%でした。別の国営調査機関や独立系のレベダ・センターによる調査も、同じような結果になっています。なぜこのようなことになるかといえば、当然のことながら、経済がうまくいっていないからです。
このようなことから、ロシアが世界の覇権国家を目指すというのは当面無理な話です。
では、北朝鮮はどうかといえば、核はあるものの、もともと米国の覇権に挑戦する能力がないことは明白です。そんなことより、米朝交渉は米中関係と連動しているとみるべきです。北朝鮮は米国が中国と本格的な貿易戦争に突入したのを見て、米国に対して強気に出ているようです。
しかし米国からみれば、北朝鮮問題は中国問題の従属関数であり、派生問題に過ぎないです。北朝鮮を片付けようと思えば、中国を本格的片付けなければならず、中国を片付けずに北朝鮮を片付けることはできないとみていることでしょう。
そうなると、米国にとって経済的・軍事的にも20年後あたりに脅威になるのは、中国のみということになります。

そうして、その中国は数年前から、強力な覇権国家目指していることを隠さず公にするようになりました。さらに、最近はっきりと覇権国家を目指すことを公言しました。

それについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国がこれまでの国際秩序を塗り替えると表明―【私の論評】中華思想に突き動かされる中国に先進国は振り回されるべきではない(゚д゚)!
ドナルド・トランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、一部を引用します。
 中国の習近平国家主席が、グローバルな統治体制を主導して、中国中心の新たな国際秩序を構築していくことを宣言した。この宣言は、米国のトランプ政権の「中国の野望阻止」の政策と正面衝突することになる。米中両国の理念の対立がついにグローバルな規模にまで高まり、明確な衝突の形をとってきたといえる。 
 習近平氏のこの宣言は、中国共産党機関紙の人民日報(6月24日付)で報道された。同報道によると、習近平氏は6月22日、23日の両日、北京で開かれた外交政策に関する重要会議「中央外事工作会議」で演説して、この構想を発表したという。
米国による「中国は年来の国際秩序に挑戦し、米国側とは異なる価値観に基づく、新たな国際秩序を築こうとしている」という指摘に対し、まさにその通りだと応じたのである。米国と中国はますます対立を険しくしてきた。
トランプ政権としては、こうした中国の野望を打ち砕くように動くのは当然といえば当然です。そうして、中国の態度は一言でいえば、思い上がりの身の丈知らずというところだと思います。

ここまで、野望を露わにすると、米国にとっても対中国戦略がかなりやりやすくなります。今から10年前あたりに、米国が中国に対峙して、本格的な貿易戦争などをはじめたら、中国はもとより他の多くの国々から反発をくらったことでしょう。しかし、今ならそのようなことはありません。

中国のこの宣言は20年はやすぎたと思います。先ほども述べたように、20年後なら中国は覇権国家を目指すことができた可能性もありますが、現在では全く無理であるにもかかわらず、覇権国家を目指す野望を明らかにしたため、その芽は完璧に米国によって摘み取られようとしているのです。20年後であれば、また違ったことになっていたかもしれません。

米国、特にトランプ政権にとっては、北朝鮮問題もクリミアの問題も、小さなものに過ぎず、本命は中国なのです。中国こそが、米国にとっての安全保証上、そうして経済上の最大の脅威なのです。この問題が解決すれば、他の問題などおのずと解決するか、解決するための労力も少なくてすみます。
そうして、本命の中国への対決へとトランプ政権はシフトしたとみるべきです。要するに、中国成敗を最優先としたのです。
ロシアと対峙し、EUと対峙し、北と対峙しつつ、中国と対峙するようなことをしていては、すべてが虻蜂取らずの結果に終わるのは目に見えています。トランプ以前の大統領は結局そのようなことをして、何も達成できなかったのだと思います。
中国成敗を最優先課題として、これに成功すれば、北朝鮮の問題など自ずから解決するでしょうし、ロシアも中国を成敗した世界の覇者米国に挑むことはないでしょう。そんなことをすれば、ロシアも成敗されてしまいかねません。他の国々も同様です。
トランプ大統領は実業家出身です。実業家は限られた資源の中で、優先順位をはっきりつけて、物事に取り組まない限り成功は覚束きません。米国は軍事的に強大で、富める国ではありますが、その米国でさえ、限界はあります。
経営学の大家ドラッカー氏は優先順位と劣後順位について以下のように述べています。
いかに単純化し組織化しても、なすべきことは利用しうる資源よりも多く残る。機会は実現のための手段よりも多い。したがって優先順位を決定しなければ何事も行えない。(『創造する経営者』)
誰にとっても優先順位の決定は難しくはありません。難しいのは劣後順位の決定。つまり、なすべきでないことの決定です。一度延期したものを復活させることは、いかにそれが望ましく見えても失敗というべきです。このことが劣後順位の決定をためらわせるのです。
優先順位の分析については多くのことがいえます。しかしドラッカーは、優先順位と劣後順位に関して重要なことは、分析ではなく勇気だといいます。彼は優先順位の決定についていくつかの原則を挙げています。そしてそのいずれもが、分析ではなく勇気にかかわる原則です。
 第一が、「過去ではなく未来を選ぶこと」である。 
 第二が、「問題ではなく機会に焦点を合わせること」である。
 第三が、「横並びでなく独自性を持つこと」である。
 第四が、「無難なものではなく変革をもたらすものに照準を当てること」である。
容易に成功しそうなものを選ぶようでは大きな成果はあげられない。膨大な注釈の集まりは生み出せるだろうが、自らの名を冠した法則や思想を生み出すことはできない。大きな業績をあげる者は、機会を中心に優先順位を決め、他の要素は決定要因ではなく制約要因にすぎないと見る。(『経営者の条件』)
長い間経営者をしていると、ドラッカーの考え方に近づいていくというところがあります。トランプ氏も長い間経営者をしてきた経験から、多数の失敗や成功を積み重ね、ドラッカーの考え方に近い考え方になっているのではないかと思います。
トランプ大統領にとっては、米国を頂点とする戦後秩序に挑戦して、少なくと世界の半分を中国を頂点とする新秩序につくりかえようとする中国に対処することが最優先の課題なのだと思います。
中国の体制を変えるか、弱体化させることを最優先に考えており、他のロシアや北朝鮮の問題などはそれを達成する上での制約要因とみているのです。
米国の未来を考え、機会に焦点をあわせ、独自性を持ち、変革をもたらすには、中国を成敗することこそ最優先課題にしなければならないと決断したのです。
さすが、民間企業の経営者出身のトランプ大統領です。他の元々政治家出身の大統領とは違います。中国成敗が成功しなければ、トランプ大統領は未だ大きな成果をだしたとはいえないと思いますが、この成敗はいまのところ成功しそうな勢いです。
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2016年3月27日日曜日

韓国政府に都有地「貸し出し」 片山さつき氏が元夫・舛添知事に異議「政策順序が違う」―【私の論評】住民福祉のほうが都市外交よりも、都にとって優先順位が遥かに高いのは自明の理(゚д゚)!



片山さつき氏

舛添要一知事率いる東京都に批判が殺到している。待機児童問題に対応するため、新宿区が昨年夏、都有地である元都立高校を借りたいと都に申し出たが受け付けてもらえず、今ごろになって「韓国人学校を増設する」ためとして韓国政府への賃貸計画が浮上したからだ。外交や社会福祉に詳しい、自民党の片山さつき参院議員が異議を唱えた。

「政策の優先順序が間違っていると思います」

片山氏はこう断言した。新宿区の一等地にある都立高校跡地貸し出しを主導しているとされる舛添氏は、元夫でもある。舛添氏は会見で、新宿区による申し出について「そういう話は聞いていない」と語っている。

今回の計画は16日に明らかになったが、直後から都庁には連日メールなどで意見が寄せられている。総数は約2500件といい、多くが「保育所の整備に利用すべきだ」という苦情だという。

片山氏も「東京都は、人口も経済・財政規模も、ヨーロッパ諸国に匹敵する巨大都市ですが、法的には地方自治体の1つです。最優先の役割は『子育てや医療、介護など、住民(都民)の福祉を増進すること』です。当然、待機児童問題は最重要事項です」といい、続けた。

「もちろん、地方自治体として『国際親善』に取り組むことは構いません。ただ、韓国以外の国々が今回のような要請をしてきた場合、東京都はすべてを実現させるつもりでしょうか。それでは、いくら都有地があっても足りるはずがありません」

舛添氏は「都市外交」を掲げて、日韓関係の改善に意欲を持っているとされる。2014年2月の知事就任後、韓国を3回も訪問し、朴槿恵(パク・クネ)大統領とも会談している。

片山氏は「外国への配慮のために、住民の福祉が損なわれることは絶対にあってはいけません。都知事の職にある人は『どうやったら都民が幸せになるのか』を常に考えるべきだと思います」と語っている。

【私の論評】住民福祉のほうが都市外交よりも、都にとって優先順位が遥かに高いのは自明の理(゚д゚)!

ここで、片山さつき氏だけの意見を掲載すると、バランスを欠くので、舛添東京都知事の意見等も掲載しておきます。
舛添氏は18日の定例記者会見で、ソウルの日本人学校が老朽化に伴い、10年に新校舎に移転した際、ソウル市から用地売買の斡旋(あっせん)を受けた例を挙げて、「(ソウル市とは)姉妹都市。こちらもお世話になった。恩返しでやる」「東京のグローバル拠点として、その街を活力のある街にするために非常に良い」と語りました。 
韓国朴槿恵大統領と会談した舛添都知事
しかし、記者団はこの説明に納得しませんでした。「保育施設に充てる手もある」「韓国だけに便宜を図る理由づけが難しい」「都民から批判的な意見が出ている」などと次々に質問しました。 
舛添氏は「いろいろな声があるのは当たり前だ。政策の判断なので、私の判断でやった」「保育所について、何もやっていなければ別だが、きちんと取り組んでいる」「なぜ、韓国にこだわるのか」と反論。フランスの学校に都有地を有償で提供した例にも触れて、「世界に開かれた街として、できるだけのことをしたい」と強調しました。
さらに、都立高校跡地近くに住む都民の意見も掲載しておきます。
都立高校跡地の近くに住む都民は「現在の東京韓国学校の校舎(若松町)から、この都有地(矢来町)に移転するなら、まだ話は分かる。でも、若松町の校舎も使いながら『こっちの敷地も使わせろ』ってわけでしょう。都民が使う土地に余裕がないのに、あまりにも異常な対応だ」と語っていました。 
使途が注目される都立高校跡地=新宿区矢来町
新宿区の意見を掲載します。
新宿区によると、昨年4月時点の待機児童は168人。問題の都有地周辺は近年マンションの新築が相次ぎ、今後も保育需要が見込まれるとして、保育所の重点整備地域に設定されています。
また東京韓国人学校の現況も記しておきます。
東京韓国人学校は実質定員割れをしています。特に、2011年東日本大震災が起こった年には、根拠のない放射能の恐怖から、半数以上もの生徒が帰国しました。そのため、新たなに韓国人学校を建てる必要性などもともとありません。
東京韓国人学校と、都立高校跡地の位置関係

舛添知事は、知事選で『子育てや福祉の充実』を訴えていました。それなのに、なぜ、福祉施設の整備に使わないのか不思議です。都有地の貸し出しは、都議会の承認を必要としない案件で、舛添氏の一存で決まるそうです。

しかし、それにしても、国と地方自治体の関係をいえば、安全保障と外交は国の専権事項です。地方自治体は国に従わなければなりません。そもそも、都市外交などあくまで、親善程度の範囲ですべきものであって、外交は国が主体となって行うべきものです。

日本は、都市国家ではないのですから、東京都知事の親善と、外交のどちらが重要かといえば、日本国の外交がすべてであり、東京都知事の外交など日本にとって、本当に余計なことです。

そうして、舛添氏が韓国に行って、朴槿恵大統領と会談するのも、全く無意味です。合うのだったら姉妹都市関係のあるソウル市長などと会談するというのならわかりますが、位置地方自治体の首長が、朴槿恵大統領と会談して何になるというのでしょうか。首長クラスでは、何の約束もできないです。


それに、舛添知事の出張費も異常です。韓国訪問のときはどの程度だったのか、わかりませんが、舛添要一知事らが昨年10~11月、ロンドン・パリを訪れた海外出張費約5千万円が「高額すぎる」などと指摘されていた問題で、東京都は今月23日、この出張にかかった経費の内訳をホームページで公開しました。透明性を高める狙いで、「今後は節減に努める」そうです。

これによると、知事や職員ら20人の渡航にかかった「旅費」は総額約2623万円で、東京-欧州間の往復航空費(約1500万円)の占める割合が大きかったそうです。知事のみがファーストクラス(約266万円)を利用。特別秘書ら7人がビジネス、その他の職員12人はエコノミーでした。

宿泊費はロンドン・パリともに、同行職員を含めて全員が一流ホテルに泊まり、5泊で約922万円を支出。知事はスイートルーム(1泊19万8千円)を使ったそうです。このほか知事を含む20人に、計約123万円の日当が支払われていました。

また、現地ガイドや通訳、車のレンタル費などの「賃借料など」に計約2417万円を費やしました。内訳は、車両借り上げ費(約623万円)▽現地ガイド雇用費(約532万円)▽知事の講演会の会場代(263万円)-などが大きく、職員がラグビーW杯を視察するためのチケット代(2試合分)にも約127万円を費やしていました。


バカ真似はやめろと言いたいです。それこそ、カネと時間の無駄遣いです。舛添氏は何か勘違いしています。そんなに外交がやりたければ、東京都知事になどなるべきではありませんでした。外交は、東京都知事の仕事ではなく、外交官や、外務大臣、総理大臣の仕事です。これこそ、驕り高ぶりというものでしょう。

最後に、待機児童は地方問題であり、住民福祉と都市外交いずれが地方自治にとって優先順位が高いかといえば、当然住民福祉です。この点やはり、舛添知事の考えは、間違いです。片山さつき氏の意見がまともで、正鵠を射たものです。

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2016年1月31日日曜日

日銀のマイナス金利 投資・消費の増加につながるか―【私の論評】マイナス金利政策は当然!10%増税では、優先順位を間違えたECBよりも始末が悪いことに(゚д゚)!

日銀のマイナス金利 投資・消費の増加につながるか



日銀は29日、金融機関から預かっている当座預金にマイナス金利を導入する新たな金融緩和策に踏み切り、さらに今後も金利のマイナス幅を拡大する可能性を示唆しました。これを受けて長期金利は過去最低まで急激に下がりましたが、金利の低下が投資や消費の増加につながるかどうか、今後、新たな金融緩和の効果が問われます。

日銀は、金融機関から預かっている当座預金の一部に来月半ばからマイナス金利を導入する、新たな金融緩和策に踏み切ることを決めました。

日銀の黒田総裁は記者会見で、今回の政策のねらいについて「金利全体により強い下押し圧力を加えていく。2%の物価目標をできるだけ早く実現するため導入を決めた」と述べ、世の中の金利全般を一段と下げることで、投資や消費を活発化させることが期待できるとしました。

これを受けて、東京債券市場では29日、長期金利が一時、0.09%と過去最低の水準まで急激に下がり、金利はひとまず、日銀のねらいどおりの反応を示したほか、円安と株高も進みました。

ただ、金利が下がっても企業や個人の資金の需要が高まらなければ、金融機関からの貸し出しなども増えず、投資や消費の増加につながらないおそれもあります。日銀は必要があればマイナス金利の幅を拡大する可能性も示唆していますが、金利の低下を経済の活性化につなげ、日銀が目標とする2%の物価上昇率を達成できるかどうか、新たな金融緩和策の効果が問われることになります。

【私の論評】マイナス金利政策は当然!10%増税では、優先順位を間違えたECBよりも始末が悪いことに(゚д゚)!

今回のゼロ金利について、予め予言をしている人がいました。それは、あの高橋洋一氏です。その予言を掲載した動画を以下に掲載します。


マイナス金利の件は45分あたりから

 この動画は1月28日に収録されたものです。高橋氏としては、29日に日銀が重大発表があるとの発表をした時点で、ゼロ金利はあり得ることとして、この動画の緊急特番ということになったのだと思います。

この動画の中でも、今回の黒田総裁が、マイナス金利を導入しなければ、まともな中央銀行総裁とはいえないということを語っていました。そうして、今回実際にゼロ金利政策を宣言したわけですから、黒田総裁はまともだということです。このあたりのことについては、詳細は上の動画をご覧ください。

このゼロ金利政策、マスコミの経済記者などには意味が良くわからないようです。識者のなかにもとんでない解説をする人がいるので、そんなことに皆さんが幻惑されないように、以下にいくつかの査証(エビデンス)を掲載させていただきます。

そもそも、日銀がマイナス金利政策を宣言する前から、もう日本は実質的にマイナス金利政策をとっているといっても過言ではありませんでした。

すでに、日本銀行は、マイナス金利政策を発表する前からゼロ金利政策を放棄してマイナス金利政策を採用してしまっていました(これって、英文法でいえば過去完了)。その査証を以下に掲載します。


さて、上は、財務省が発表している国債金利情報をグラフにしたものです。昨年の12月の半ば頃から残存期間1年の国債の利回りはマイナスになってしまっていたのです。瞬間的にマイナスになったというのではないのです。それ以来マイナスが継続しまっていたのです。

そして、昨年12月13日には、5年物新発国債の落札利回りがゼロとなったとも報じられてしまっていました。10年物国債にしても、利回りは0.26%まで低下してしまっていました。

国債の利回りがマイナスになるその原因は、日本銀行が市中金融機関から国債を買い入れる場合に、額面以上の価格で購入しているからです。日銀が額面以上の価格で国債を購入すれば、落札利回りはマイナスになります。つまり、市中金融機関は、国債を担保に日銀からマイナス金利でお金を借りてしまっていたのです。

今や市中金融機関は、ゼロ金利どころかマイナス金利で日銀からお金を借りることができる時代に突入しているのです。では、何故そのようなことを日銀はするのでしょうか。

そうでもしなければ、日銀が目標に掲げた国債の買い入れが達成できないからです。そうなると日銀の掲げた物価目標を達成できなくなるからです。

さて、すでに国債のマイナス金利政策を実行している、日銀がさらに今回マイナス金利政策を発表したのにはどんな背景があり、それが日本経済にどのような影響を及ぼすのか以下に解説します。

日銀には銀行の預金口座である「日銀当座預金」があります。この「日銀当座預金」にはこれまで0.1%の金利がついていたのですが、預金の一部にマイナス0.1%の金利、つまり手数料がとられるようになるのです。

日銀はアベノミクス開始以降、銀行などの金融機関から大量の国債を購入していますが、その国債の購入代金は銀行の預金口座である「日銀当座預金」に振り込まれます。しかし、「日銀当座預金」に0.1%の金利がついたままでは、銀行は振り込まれたお金を企業の貸出しにまわすことなく、そのまま放っておくことが考えられます。



しかし、今回のマイナス金利導入により、「日銀当座預金」に利息収入ではなく手数料がかかることになってしまいました。こうなると銀行は利益を確保するために、こぞって企業にお金を貸し出すとか、株式投資をするようになることが考えられます。これがマイナス金利導入の狙いです。

しかし、ユーロ圏では欧州中央銀行のドラギ総裁がマイナス金利政策を実施しましたが、これといってマイナス金利の効果は確認されていません。にもかかわらず、今回黒田総裁がマイナス金利政策を導入したのは、どうしてなのでしょぅか。

その違いは、日本とユーロ圏の量的緩和の「量」にあります。以下の図を見てください。ユーロ圏の中央銀行である欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利導入を発表したのは、2014年6月5日。つまり、ECBは本格的な量的緩和を実施して、マネタリーベースが急拡大する前の段階でマイナス金利を導入してしまっていたのです。


ECBのマイナス金利導入は、時期尚早でした。日本の場合は、日銀の金融緩和策によって、「日銀当座預金」に銀行の預金がかなり積み上がった状態になってしまっいるので、EUとは異なり、導入すればそれなりの効果が期待できるというわけです。

これは、高橋洋一氏が動画で指摘していたように、正しい措置であり、黒田日銀総裁は、まともな中央銀行総裁であることが示されたといえると思います。

しかし、だからといって、日本経済は安泰だというわけでもありません。先日も、指摘したように、この先中国経済はしばらくかなり停滞します。アメリカの利上げによって新興国の経済が大ダメージを受けてしまう可能性も大きいです。

さらに、原油安が資源国の経済を直撃しています。また、中東の地政学的リスクも増大しています。これらが日本の経済にどのような悪影響を与えるのか、全く予断を許さない状態です。今後リーマン級の大打撃が日本を再度襲う可能性があります。 

今後の、不測の事態に備えるためにも、日本政府は早急に2016年度の補正予算を組み、金融緩和を拡大して、財政金融両面でさらなる景気対策を施さなければなりません。

10%増税などやっている場合ではありません。まずは、景気回復、デフレ完全脱却が今の日本にとっては最優先課題です。安倍政権にはECBのように政策の優先順位を間違えないようにして欲しいです。もし、10%増税など予定通りに実行してしまえば、ECBの優先順位の誤りどころの話ではありません。

ECBが優先順位を間違えて、マイナス金利政策をやっても、効果が出ないだけで、それ自体が経済に甚大な悪影響を及ぼすわけではありません。しかし、デフレ完全脱却前の、増税は甚大な悪影響を及ぼすのは必定です。そんなことは、私達は8%増税の大失敗ですでに学んでいるはずです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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