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2012年12月9日日曜日

【週末経済講座】影薄くなる「日銀短観」 デフレ不況下で“景気の悪さの証明書”―【私の論評】金融引き締めを続ける一方で、短観で引き締め度合いを調査してきた罪深い日銀には、鉄槌をくだすべき!!

【週末経済講座】影薄くなる「日銀短観」 デフレ不況下で“景気の悪さの証明書”:

日本は統計王国、総務省のHPをみるとありとあらゆる省庁の統計が公開されている

日本は「調査統計王国」だ。とくに経済統計はあふれんばかりにある。中央官庁の各種調査統計から始まって、政府系機関や独立行政法人、地方公共団体、業界団体、民間調査会社、新聞社など大小それこそ山ほどある。そのなかで、歴史もあり即時性や調査規模の大きさなどで経済統計調査の“王者”ともいえるのが「日銀短観」だろう。

中央銀行である日銀が四半期(3、6、9、12月の4回)ごとに調査する「全国企業短期経済観測調査」のことで、1957年から実施している格式のある企業アンケート統計だ。27業種から中堅・中小企業を含む約1万社を選んで、調査票を送り、返答をもらう。

・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・

日銀は「お金の量や場所への流れ」など資金の動きを調べることが基本的な仕事だ。だが、短観づくりも補助的に重要な仕事。だから「精度向上」にも改善努力をしている。3年に1度は調査対象企業を見直すことや、インターネット企業の対象化などだ。今度は調査項目に「中長期の企業物価見通し」も新設するという。

もっとも、日銀は本来、調査機関ではない。景気反転、不況脱出のための金融政策に挑戦していくことが役目だ。

日本の景気は再び後退局面に入ったとされるが、さて、来週にも発表される12月短観はいかに。 (産経新聞編集委員・小林隆太郎)

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】金融引き締めを続ける一方で、短観で引き締め度合いを調査してきた罪深い日銀には、鉄槌をくだすべき!!

日銀短観といえば、確かいまでも、会社に短観用のアンケートがきていて、そのアンケートに応えているはずです。そうして、10年前あたりは、経営企画室という部署を担当していたことがあるので、最初は、自分で応えていてしばらくしてから、部下にまかせたという記憶があります。これなど、実際アンケートを答えるとなると、様々な資料などみて、客観的に判断して応えなければならないので、最初は結構手間取りました。しかし、何回かやっているうちに、普段からこのアンケート用に資料を用意しておくことで、30分もあれば、楽に応えられるようになりました。

そんなことも思い出したので、本日はこの記事を掲載させていただきました。それにしても、上の産経新聞の記者、ツッコミが足りないですね。日銀の金融政策は、完璧に失敗しています。何も遠慮することはないと思います。かわりに、私が以下でツッコミを入れてみます。


それにしても、上の記事の最後のほうで、"特にデフレ不況になってからは、「景気の悪さの証明書」みたいなもので、日銀自身が金融政策に生かすうえでの内部議論の材料性も希薄になり、調査統計としての存在感があまり感じられなくなった"とありましたが、私などあの頃すでに"失われた10年"ともいわれていましたので、実際そうなったどうかは、別にして当時もあまり業績がよくなるようなな材料は、とぼしく、確かほぼ毎回のように業績はこれから悪化するであろうというようにアンケートに応えていました。

毎回似たようなことを書かなければならないので、面倒になったので、部下にまかせるようになったことを覚えています。そうして、経済情勢は、今になっても基本的にはあまり変わっていません。景気判断指数によれば、9月から景気判断指数が落ち込んでいましたが、10月にも落ち込んだことが、つい最近ニュースで報道されていました。現在でも、10年前の私と同じような気持ちでアンケートに応えている方々が多くいらっしゃるのだと思います。

犬にツッコミを入れる大胆な猫
そうして上の記事では、"もっとも、日銀は本来、調査機関ではない。景気反転、不況脱出のための金融政策に挑戦していくことが役目だ"と掲載されているように、このような調査をして、景気がかなり落ち込んでいたのを十分に知りながら、これを長きにわたって結局放置し見殺しにしてきたということです。そういう意味では、日銀は、本当に罪深い存在だと思います。

無論、先日もこのブログにも掲載したように、四季報などみていると、日本の上場会社でも、半分は成長企業であることも真実です。ですから、逆境であっても頑張って成長するとなどのことが大事なことだと思います。景気が悪くなったからといって、努力もせずに、すぐに政府のせいだ日銀のせいだと責任転嫁をすることは良くないことだと思います。やはり、経営者でも、従業員でも、努力してこれに対処していくべきと思います。



しかし、対処にも限界があります、たとえば、デフレになって、業績が悪化した飲食業界にあっても、あのマクドナルドは、長年にわたって、業績を維持するどころか、伸ばしてきました。これは、本当に頭の下がることで、素晴らしいことだと思います。

しかし、このマクドナルドですら、今年度下期に入ってから業績を落としています。このブログでも、以前掲載したように、日経ビジネスのインタビューに応えてマックの会長は、カウンターメニューを廃止したことがお客様の不興をかったことや、新商品の幅を広げすぎたことを業績悪化の原因としてあげていましたが、私は、これは真の原因ではないと思っています。マックはあくまで、デフレ対策の一貫として、カウンターメニューの廃止したり、新商品の幅を増やさざるをえなかったのでそうしたのであり、デフレでなければ、あんなに新商品の幅を増やすことはなかったと思います。

日本のマックのCMに登場した、ドナルドの妹とされる女性
要するに、原材料海外から調達するマックにとっては、デフレは悪いことばかりですが、円高は追い風になっていたと思います。しかし、いくら円高の追い風があったとしても、国内がこれほどの酷いデフレになれば、さすがのマックも打つ手がなくなってきたということだと思います。私自身は、マックが比較的高い商品を出すかと思えば、安い商品も残したり、あるいは安い商品を新しく開発したりで、従来のやり方からみると、一見ちぐはぐに見えたのですが、それにしても、そうすることによって、このデフレを克服して業績を伸ばしてきたので、素晴らしいことだと思っていました。おそらく、一見ちぐはぐであるように見えても、その時々きで、それなりに根拠や理論的背景があってやってきたことなのだと思います。

そのマックが業績を落としたのですから、これは、もう他の企業などなかなか太刀打ちできない深刻なデフレ状況に落ち込んだのだと思います。これは、結局民主党政権などによる、復興税も含む緊縮政策や、日銀短観による、実質的な金融引き締め政策によるもの以外に考えらません。特に、昨年地震があった次の年にもう景気が落ち込むなどのことは通常は考えられません。



通常まともな国で、大規模な自然災害や、戦災があったときに、災害や戦災が収まった場合には、復興プログラムにより、多少の浮き沈みはあったにしても、お金は普段よりもふんだんにで出回るし、復興のため通常よりもかなり仕事が増え、雇用も増えるため、多少の浮き沈みはあったにしても、右肩上がりで景気が良くなります。そうして、インフレ傾向になります。数年たった場合は、いきすぎたインフレになる場合がおうおうにしてあり、そんな場合は、政府が緊縮財政をしたり、中央銀行が金融引き締めをしたりして、景気が落ち込み多少悪くなることもありますが、翌年というレベルで悪くなることは皆無といって良いほど稀有なことです。

かつての、日本経済破壊三羽烏。残るは白川総裁のみ!!
そうして、このような事例は、多くの人たちは、歴史上の事実として、そうして、一部年配の方々は実体験で十分に知っているはずです。それは、何かといえば、大東亜戦争に敗北した日本が戦災から立ち直り復興するまでの過程がまさにそうでした。この間はインフレ傾向で、右肩上がりで経済が伸びて行き、復興から成長期に入り、あれよあれよというまに、日本は高度成長をとげ、世界第二の経済大国にまで上り詰めました。それも、中国のように、国全体で、世界第二位というだけではなく、国民一人当たりのGDPでも世界第二位でした。それに、あの阪神淡路大震災大震災でも、震災があった翌年に景気後退局面に陥ったということはありませんでした。

なのに、なぜ現在景気後退局面に陥るかというと、はっきりしています。それは、民主党政権による財政政策による失敗と、日銀による金融政策の失敗によるものです。民主党政権は、震災などあった場合には、通常なら、建設国債を大量に発行して、すぐにさま復興にあてて、すぐにも公共工事などを行い、復興につとめるのが当たり前の真ん中であるにもかかわらず、それをしませんでした。関東大震災の復興では、政府は、すぐさま国債を大量発行して、日本国内では消化しきれなかったので、外国にも日本国債購入してもらい、復興を迅速にすすめました。当時の日銀だって、すぐさま金融緩和をしました。今なら、国債を外国に売らなくても、国内で十分に消化できる状況にあるにもかかわらず、民主党は当たり前の真ん中をしませんでした。

関東大震災時に水たまりで体を洗う女性。当時は、おおらかだったんですね!
そうして、震災後日銀は、昔の日銀とは異なり、すぐさま大幅な金融緩和を実施することはありませんでした。だから、震災直後から、当然円が建設建設復興のため、需要か高まったにもかかわらず、金融緩和によって、円を潤沢に供給するどころか、スズメの涙で終わらせたので、強烈な円高を招きました。実際昨年の3月末の統計によれば、その一年前の3月末よりも、マネタリーベース(日銀が、市中に投入した資金の量)が減少していたという信じ難い事実があります。それに、20年にもわたって、政府は緊縮財政、日銀は、金融引き締めを継続してきたという動かし難い事実があります。これでは、どんなに企業や国民が努力をしたとしても、水道の蛇口をあけていて、シンクに水が溢れてるのをコップか何かですくい出しているようなものです。これでは、いくら頑張って、どうしようもありません。原因は元から絶たねばなりません。水道の元栓をひねるしかありません。このまま失われた20年が30年にもなれば、先程指摘した四季報にも掲載されている半分の成長企業の芽も摘み取られてしまうことでしょう。

溢れ出る水を止めるには、水道栓をとめることだ!!
政府・日銀とも、震災後から今日にいたる財政政策、金融政策ともに大失敗しているわけです。しかし、民主党政権は、ご存知のように、次の選挙では、大敗することが、既成事実化していて事実上鉄槌が下されるのと同じことになりますですが、日銀は違います。特に白川総裁は、来年の4月まで任期があります。

考えてみると、このデフレ状況は、麻生総理のとき以前からもずっと続いています。麻生総理は、大規模な財政出動を行い、若干景気が上向きましたか、その後の民主党政権の緊縮財政、それに、日銀の実質的金融引き締めのため、株価は落ち続け、税収も減り続け、デフレスパイラルは進行し続けています。この間、総理大臣は、麻生、鳩山、菅、野田と、くるくる変わりました。これは、財政政策の失敗によるものだけではないですが、とにかく、責任をとってやめてきたし、野田総理だって、任期を全うできず、総選挙に突入し、政権の座から去るわけです。それで、責任がとりきれているのかどうかは別にして、一応責任をとった形にはなります。

日銀貴族の頭目白川は金融政策が失敗しても一切責任を取らない

ところが、金融政策で失敗し続けた白川総裁は、麻生政権の末期にその座について、そこから、変わることなく、来年の4月に任期を終えようとしています。そういわれてみれば、あの、消費税推進派であった、勝栄次郎財務次官もすでに退官しています。大失敗をした組織の長は、責任をとるべきです。政府の長だけが、結局責任をとって、次々とやめているというのに、政府の下部機関でもある、日銀の長だけが、責任を取らずに任期を全うできるなど、全くもって摩訶不思議です。日銀にも、近いうち、鉄槌を下し、総裁に任期を全うする前にやめていただくというのが筋だと思います。それに、その後も金融政策で失敗するなら、白川総裁後の総裁も、任期前に、辞任させるというのが、筋だと思います。日銀だけがそうなっていないのは、不合理どころではなく、理不尽だと思います。そう思うのは、私だけでしょうか? 皆さんは、どう思われますか?


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2012年11月23日金曜日

イェール大学浜田宏一教授が自民党安倍総裁に送ったファックス全文(安倍総裁のFBより転載)―【私の論評】まともな経済学者も主張する金融政策を否定するのはなぜ?脅しには、脅しで応えるしかない!!?

イェール大学浜田宏一教授が自民党安倍総裁に送ったファックス全文(安倍総裁のFBより転載)

右 浜田 宏一教授 左 経済評論家上念司氏
日銀法改正以来、日本経済が世界諸国のほぼテールエンド(ブログ管理人注:後塵をはいしたくらいの意味か?)の足跡を示していることから、そこでの金融政策が不十分であったことは明らかです。日本経済の望ましくない症状として、デフレ、円高という貨幣的な症状が出ているのですから、それに対するのは金融拡張が当たり前の処方箋です。

野田首相は、金融に訴えるのは世界の非常識といわれますが、<Wall Street Journal>金融に訴えないという議論こそ、現在の世界の経済学から見れば非常識です。

野田首相は、地動説の世界で天動説<日銀流金融理論>を信奉しているようなものです。このことは、最近私がマンキュー、ハバード、ノードハウスなど超一流学者とインタビューして確認しました。

政策手段としてはインフレ目標が望ましいと思います。IMFのチーフ・エコノミストのブランシャール<ブランシャード>も4%まではいいといっているようなので、これだけ長いデフレが続いて、人々のデフレ期待が定着している日本経済に活を入れるのは、安倍総裁の2~3%がまさに適当といえると思います。


また、インフレ目標は、金融緩和が行過ぎてインフレが始まりそうになるのを防ぐという、インフレから国民経済を保護する機能を持っています。

デフレ脱却のためには、日銀の国債引き受けでもいいですが、それが強すぎるというのなら、総裁のおっしゃったように日銀が国債を大規模に買い入れればよいのです。ただ、ゼロ金利に近い現状では、買い入れ対象が短期国債(管理人注:日銀が実施しているは、償還期限が1年未満のものが多く、これでは実質的に金融緩和にならず、現金をたらいまわしにしているようなものです)では効きません。長期国債、社債、株式の買い入れも必要となるわけです。バーナンキ議長がやっている抵当証券の買い入れも必要となるわけです。バーナンキ議長がやっている抵当証券の買い入れも、このような考え方に基づいています。

日本経済の高度成長期には一桁、5%未満のインフレが通常でした。2度の石油危機の時には二桁のインフレになったこともありましたが、それを日銀は見事に克服しました。言い換えれば日本経済の奇跡的成長は緩やかなインフレと共存していたのです。そして日銀はインフレが昂進しそうになればいつでも制御した実績があります。このような歴史から見れば、デフレを克服するとハイパーインフレになるというのは非現実的な脅しに過ぎないのです。

ゴルフにたとえれば、今の日銀は雇用改善、景気回復という目標のホールを目指さずに、ホールの向こう側には<ありもしない>崖があると称して、バンカーに入ったボールをホールの方向に打たない、あるいはパターでしか打たないゴルファーのようなものです。

【私の論評】まともな経済学者も主張する金融政策を否定するのはなぜ?脅しには、脅しで応えるしかない!!?

浜田 宏一教授
まずは、浜田 宏一氏の略歴・経歴など、以下に掲載します。

浜田 宏一(はまだ こういち、1936年1月8日 - )氏は、経済学者(イェール大学教授)。専門は国際金融論。国際金融論、ゲーム理論の分野で世界的な業績があります。法と経済学会の初代会長も務めました。

日本のバブル崩壊後の失われた10年においては金融政策の失策がその大きな要因とみなし特に岩田規久男の主張を評価しています。日本銀行の金融政策を批判し、「リフレ派」の一人とされます。

【経歴】
東京大学で、法学の他経済も学ばれ、イェール大学でPh.Dも取得されといらっしゃるということで、まずはまともな経済学者であると思います。また、年長であられることからもしても、普通は、こういう方のおっしゃることは、傾聴に値するものと思います。今の日本経済を知るために、この方のおっしゃることは、エビデンスとしても非常に重要だと思います。

特に上の記事で、最後しめくくり「ゴルフにたとえれば、今の日銀は雇用改善、景気回復という目標のホールを目指さずに、ホールの向こう側には<ありもしない>崖があると称して、バンカーに入ったボールをホールの方向に打たない、あるいはパターでしか打たないゴルファーのようなものです」は、本当にわかりやすいたとえです。まさに、日銀の今のスタンスを良く言い当てておられると思います。

ゴルフは、ホールに向かって打つものだし、パターばかりでも良くない!!
上の記事に関しては、私などが、付け加えることなど微塵もないので、安倍総裁の金融政策など、改めて、ここで良いとか、正しいなどの解説はしません。

ただし、安倍総裁の主張する金融政策を実施しなかった場合どうなるかということだけ、付け加えたいと思います。

今のまま、日銀が金融緩和をせず、今のままの状況をつづけていれば、デフレ状況から脱却するきっかけがつかめず、そのまま、デフレ状況が続き、日本は、失われた20年どころか、失われた30年あるいはそれ以上の状況になってしまいます。

日銀にも是非ともフルスゥイングしていただきたい!!
日本には、既にそうなってしまったと述べている人たちもいます。特に、日本経済団体連合会の研究機関「21世紀政策研究所」は2012年4月、“「失われた20年」の状況がこのまま続いた場合、日本は2030年頃に成長度で韓国に追い抜かれ、先進国でなくなる”とする予測結果をまとめています。

また、2011年の欧州金融不安により株価が暴落し、主力株の多くは30年前の株価に陥ってしまってしまいました。株関連では、この状況を「失われた30年」と呼ぶ人たちもいます。

なお、2000年代末にはアメリカ合衆国や西欧諸国など他の先進国も、日本の後を追うように先が見えない景気後退に突入しており(日本化)、先進各国の不況は単なる景気循環では説明できず、成長の限界による構造的な経済停滞に突入したためであるという議論もあります。ピーター・ティールは、20世紀における成長の原動力であったイノベーションが終わりを迎えたため、今後はアメリカ合衆国の大きな成長は望めないと論じています。

ただし、これは、無論のこと、日本がデフレ対策をまったく行わず、過去20年やってきたことの繰り返しをやるばかりで、何も変えなかった場合の話です。アメリカとて、イノベーションが終わったなどということはありません。今まさに、製造業でいわゆるメイカー達が、一大イノベーションをおこしつつあります。これによって、アメリカや日本の製造業が再興することになります。しかし、これは、本日の記事の趣旨とは直接関係ないので、本日は詳細を述べません。いずれ、またの機会に詳細を掲載させていただきます。

やはり、上の記事で、浜田 宏一教授が主張していたように、日銀は、金融緩和に転じるべきです。

本日は、上の記事で、言葉での説明は、十分すぎるくらいだと思いますので、以下に過去にこのブログで掲載してきた、このことのエビデンスともいうべき、表を掲載します。

日本だけが、過去に緩和策をやってきませんでした。

グラフ縦軸は、マネタリーベースです。日本だけが、マネタリーベースが増えていませんが?
日本だけが、GDPが伸びていませんが、これを反リフレ派の人は、同説明します?


日本は、復興中であるにもかかわらず、景気後退局面に入ってしまいました。これは、結局日銀が緩和をし
ないせいであると考えられます。大きな自然災害の次の年に景気後退局面に入るなど、普通はあり得ません。
米国の半分程度の緩和なら理解できますが、桁が違います!!

イギリスでは、イングランド銀行が、かなりの金融緩和をして、一時は、インフレ率が5%を超えたこともあり
ましたが、12年に入ってからは、落ち着きました。これは、不況時の金融緩和は、ハイパーインフレを招くという
反リフレ派の、有力な根拠となってきましたが、ハイパーインフレにはならず、今年に入ってから2%台となり、
収束しています。反リフレ派は、これを同説明するのでしょうか?

日銀が金融引締めを続ける中、政府の税収も減るばかりでしたが?


消費者物価指数(年平均値)の推移(1980~2012年) - 世界経済のネタ帳
日銀が、金融引締めを続ける中、物価は下がり続けていましたが?


日銀が、金融引締めを続ける間、可処分所得は減る一方でしたが?
サラリーマンの平均賃金の推移、日銀が金融引締めを続ける中、
サラリーマンの平均賃金は下がり続けましたが?
各国の物価と、平成の主要改革。様々な改革にもか日銀が
金融引き締めを継続するなか、日本の物価は、毎年下がり続けてましたが?

日銀が、金融引締めを続ける中、円高になる一方でした。

上のグラフが示すように、日銀が金融引締めを頑なに継続し続ける中、様々な不都合が起こっています。野田総理、日銀白川総裁をはじめとする反リフレ派の方々は、これでも、脅迫を続けるのでしょうか?

脅迫するだけではなく、日本経済がよくなる方法を提案してください。無論、増税・社会制度改革なんていうのは、駄目ですよ!!政府の日本再生戦略なんてのも駄目です。なぜなら、デフレ下の増税は、過去においては日本でも他国でもことごとく失敗していますし、政府主導による日本再生戦略など、成功する可能性はないです。もし、成功するというのなら、共産主義、社会主義も成功していたはずです。これらは、ご存知のようにことごとく失敗しています。

そうして、最後に、もし安倍政権が実現して、日銀が金融緩和をして、日本経済が回復したら、どう説明をつけるのでしょうか?説明がつかない場合には、責任をとっていただけますか?古式にのっとって、割腹などいかがでしょうか?無論これは冗談ですが、それにしても、反リフレ派の方々の中でも、特に影響力が大きい方は、そのくらいの覚悟で批判してもらわなければ困ります。それくらいの覚悟があるのなら良いですが、そうでなければ、国民を惑わすでけです。そう、思うのは私だけでしょうか?




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2012年11月8日木曜日

朝日新聞デジタル:景気後退入りの可能性 動向指数、6カ月連続下落 - 経済―【私の論評】景気後退・雇用悪化を絶対に日銀のせいにしない日本大手マスコミの不思議!!

朝日新聞デジタル:景気後退入りの可能性 動向指数、6カ月連続下落 - 経済


景気動向指数  【榊原謙】内閣府は6日、企業活動の現状を示す経済指標が弱まっていることから、景気が後退局面に入った可能性が高いとする判断をまとめた。後退局面入りは2008年2月以来、4年ぶりとなる。  6日発表の景気動向指数(9月速報)のうち、景気の現状を示す「一致指数」(05年=100)が91.2となり、前月を2.3ポイント下回った。前月割れが6カ月続いており、景気の判断を前月の「足踏みを示して... -www.asahi.com

【私の論評】景気後退・雇用悪化を絶対に日銀のせいにしない日本大手マスコミの不思議!!
日銀とFRBの過去の金融政策を比較するといかに日銀がチマチマしていることか!
詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、日本ではこの手の経済記事海外と比較すると、本当不思議というか、あり得ないことがあります。今一度、上の記事全部を軽くでも良いから目を通してみてください。

そうです。日本銀行のことが全く掲載されていません。一言も触れられていいません。景気後退入の理由として、日銀の金融政策は、まったくスルーされています。上の記事で、前原氏も全く触れていません。これは、本当に日本だけの特異な現象です。そうして、このようなことは、朝日新聞に限りません。日本の大手の新聞、マスコミが、景気や雇用のことを論じるのに、日銀の金融政策には、ほとんど触れません。特に、雇用に関しては、まるで世界の中で日本だけが、経済の法則に反して、日銀の金融政策など全く関係ないかのような扱いです。全くもって、異常です。

普通の国ならば、景気・雇用ということになれば、まずは何をさておき、中央銀行の金融政策に関して真っ先に触れるのが常識です。なぜなら、一国の経済・雇用情勢は、中央銀行の金融政策に無関係ではないからです。様々な条件があり、場合によっては、あまり関係ない場合もありますが、そんなことは、例外中の例外です。これは、アメリカでも、EUでも、中国でも、世界中どこでも、当たり前の真ん中です。しかし、世界の中で日本だけが異なるようです。

これに関しては、前々から疑問に思っていて、日銀の金融政策や、これを報道する新聞などには、かなり疑問を感じていました。そうして、昨日SakurasoTVを観ていたら、このブログにもしばしば登場いただいている、経済評論家上念氏が、このことについて、わかりやすく解説していましたので、以下に掲載させていただきます。



この動画、経済評論家の上念司が、世に溢れる「経済ニュースのウソ」を暴いていく『メディアの嘘を見抜け』というチャンネル桜の動画です。今回は、何が何でもデフレ脱却政策を容認しようとしない日銀の反日・売国­的経済政策の原因について3つの仮説を立てています。詳細は、上の動画をご覧板だものとして、上念氏は、以下のような仮説をたてています。
3つの仮説 
1.バカ(二流官僚のプライド)

2.責任逃れ(OBコワイ)

3.外国のスパイ(憶測ですが・・・)
スパイキッズなら可愛いもんだが?_
私としては、この3つが複合しているのだと思います。特に、3に関して、前々からそうではないかと疑っています。前にも、このブログにも掲載したように、中国人民銀行の周小川が、日銀の金融緩和措置に懸念を表明したとたんに、日銀が追加金融川措置をとりやめることを発表したという事実もあります。

これらの仮説は仮説として、日本銀行がいつまでも、金融引締め措置に固執していては、いつまでたっても、デフレ・円高傾向が続き、日本経済が疲弊するのは明らかです。日銀が他国なみの、まともな金融緩和措置に転じれば、この流れは止まります。そうして、政府も財政出動すれば、デフレは、早期に解消されると思います。

上念氏によると、少し前までは、日銀が金融緩和措置をすれば、ハイパーインフレになるとする論者がいましたが、これにはあまりに無理があるので、最近では、日銀が金融緩和措置をすれば、スタグフレーションになるとする新たな金融緩和措置危機論があるそうです。

こんな与太話に惑わされるべきではありません。私自身も、スタグフレーションについて言及したことがありますが、それは、日銀が金融緩和をすると、スタグフレーションになるなどの与太話ではありません。

原発など、早期に全廃などして、日銀がそのまま金融引締めをやっていれば、原油などが値上がりした場合、景気は、悪いのに物価だけがあがるというスタグフレーションに陥る危機もあるかもしれないという掲載したまでです。誤解のないように掲載しておきます。

日銀が金融緩和をすると、スタグフレーションになるなど全く珍説といわざるをえません。それにしても、この日銀の異常暴走状況、もっと多くの人に知っていただき、これを止める世論が形成されることを願ってやみません。皆さんは、どう思われますか?



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2012年10月30日火曜日

技術流出 官民で阻止する態勢作れ−【私の論評】何か本当に大事なことを忘れてはいませんか?!新日本駄目論の呪縛にとらわれていませんか?

技術流出 官民で阻止する態勢作れ

企業アンケートより

最先端の製鉄技術を盗用されたとして、新日鉄住金(旧新日本製鉄)が韓国・ポスコに損害賠償と製造差し止めなどを求めた訴訟は、ポスコ側が全面的に争う姿勢を明らかにした。

国内最大手で世界2位の新日鉄住金と、韓国最大手で世界5位のポスコが真っ正面から対立する図式になったのである。

しかも、新日鉄退職後、技術を持ち出したとされる元社員も賠償請求の対象になっている。長年日本の産業界をリードしてきた企業が技術流出に厳しい姿勢を見せたことを重く受け止めたい。

・・・・・・・・・〈 中略 〉・・・・・・・・・・・

これらは、日本企業が技術流出問題にいかに対応すべきか、訴訟に持ち込むべきか、どうすれば勝訴できるか-などを検討する際の貴重な材料となろう。日本の技術を守るには、こうした前例を積み重ねていくことが大切である。

国も、iPS細胞など特に重要と認めた技術を保護するための新法制定や厳格なルールの設定などを検討すべきだ。日本で生まれた先端技術は日本の宝だ。流出阻止の態勢づくりに国、企業が一丸となって取り組まねばならない。

この記事の詳細はこちらから!!

 【私の論評】何か本当に大事なことを忘れてはいませんか?!新たな日本駄目論の呪縛にとらわれていませんか?

このブログではいつも最新の記事を掲載していますから、少し古い記事なのですが、上の記事を読んでいると、何かやりきれない思いがするので、本日は、はこの話題について掲載したいと思います。

こういう記事を読むと、以下のよう論調が必ずでてきます。その代表的な意見として、以下にある方のブログの記事とその要旨をあげておきます。

■[経営]技術流出を心配する前にやるべきこと

本当に優れた技術者を手放したくないなら、優れた技術者の優れた面をきちんと見出して、そして他の凡百の技術者とはちゃんと差をつけた処遇をして、本人に「この会社でずっと仕事をしたい」と思わせるようなやる気が出る仕事を与えて、といった優れた経営が必要だと思うのです。
優れた技術と優れた技術者が日本に残らない理由、それは、技術者の目利きをできない、あるいはしてもそれにふさわしい処遇をできない、ふさわしい仕事を与えられない経営の問題のように思います。そして、競合の韓国は、それができている。
日本が本当に技術流出を防ぎたいなら、経営者を鍛え、選抜するような社会制度を、国策として考えるべきだと思います。



この方が語っていることは、ミクロ的には、全く正しいとだと思います。しかし、マクロ的にみた場合は、正しいとは言い切れません。少なくとも、上記のことは、日本がデフレでない、円高でもない、日銀による金融政策がまともであれば、まったく正しいと思います。

もう、14年間デフレが続き、記録的な円高にある日本にあっては、日本国内の話として、上記のような話をしても良いと思いますが、それを韓国などの外国までふくめて援用して語ることは正しくありません。

現在のように日銀の引き続く金融引き締めの最中にあっては、異常な円高と、国内のデフレから、特に国内では、モノやサービスが売れず、企業は設備投資は控え、さらに、最近は多少緩和されてはいるものの、かなりの円高であることには変わりありません。

この状況であれば、日本では、どの企業でも生産を控えるために、設備投資は控え、雇用も控えるのは当然のことです。そうなれば、会社が発展する余地はなくなるので、海外に輸出しようと考えるのは成り行きです。そうはいっても、日本で生産していては、円高ですから、海外から比較すれば、製品の価格が高くなるのが当たり前です。


デフレになる前までは、日本の輸出のGDPに占める割合は、わずか8%に過ぎませんでした。それが、今までは、16%前後と倍の規模になっています。ただし、この率は諸外国と比較すれば、まだかなり低いほうです。たとえば、中国、韓国、ドイツなどは、40%をこえています。特に韓国は50%を超えています。アメリカは、日本の10年少し前と同じく6%前後にすぎません。

これは、いかに日本のデフレ圧力が凄まじいものであったのかを物語っています。このようなデフレ圧力に輪をかけて歴史的な円高では、企業が生産拠点を外国に移転したりするのは、当然のことです。であれば、技術も技術者も海外に移転して、場合によっては技術そのものまで流出してしまいます。これが、技術流失の背景にあるマクロ的な出来事です。

特に韓国との関係では、このマクロ的な見方が成り立ちます。これに関しては、以前もこのブログに掲載しました。

“竹島問題の背景にある日本の「経済力」の衰退。日韓企業の競争力の差を生む「円高」「ウォン安」の構造を変えよ  | 高橋洋一「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社]−【私の論評】韓国の異常な経済は、米国金融界による日本の富収奪システムか?

詳細は、上のURLをご覧いただくものとして、以下に要点を掲載します。
日本の経済力を復活させるに一番簡単で確実な方法は為替の円安誘導だ。ここ20年間、小泉・安倍政権以外はことごとく失敗している。本コラムで何回も紹介しているが、それができない政権は情けない。特に、リーマンショック以降が酷い。
下図をみていただきたい。リーマンショック前から現在までの、円の対ドルレート、韓国ウォンの対ドルレートの推移を示したものだ。韓国はリーマンショック以降猛烈に金融緩和してウォン安にした。その後、ドルも金融緩和してじりじりとウォン安は修正されている。一方、日本は金融緩和せずに、円高になり、それが最近さらに加速している。

この結果、リーマンショック以降、割安な韓国ウォンを武器に大きく輸出を伸ばした。特に、ライバル日本との海外市場での勝負は韓国の勝ちだ。象徴的なのは半導体で、エルピーダはどんなにリストラしても技術がよくても価格競争力で圧倒的に負けた。今でも、韓国ウォンはリーマンショック前から2割安、一方円は4割高なので、韓国企業に対して6割の価格ハンディが日本企業にはある。
こうした話はビジネスマンからあまりでない。為替という外部・マクロ環境のせいにするのが潔いと思わないのか、内部・ミクロ環境に原因を求めがちだ。またマスコミもそのような当事者から話を聞くために為替が原因とはっきり書かない傾向だ。
この傾向は、下のグラフをご覧いただくと株価も含めてはっきりします。


最近は多少は、円高傾向が緩和しているものの、依然としてかなりの円高基調であることには変わりありません。このままだと、国内では企業活動が停滞して、設備投資投資も雇用も停滞し、技術や技術者の海外移転がますます増えるものと思います。


これを止めるためには、円高・デフレの守護神とまでいわれる、日銀の金融引き締め政策による大暴走を食い止めるしかありません。

冒頭の記事では、「流出阻止の態勢づくりに国、企業が一丸となって取り組まねばならない」とむすんでいるものの、日銀の金融引き締め策については、全く言及していません。さらに、上のブログ記事『技術流出を心配する前にやるべきこと』でも、全く言及していません。

そうして、最近テレビなどの報道をみていて、気になるのは、韓国のサムソンなどの企業と、日本のソニーや、シャープなどの企業を単純比較して日本駄目論を報道するものが増えているということです。多くの企業関係者が、上でも掲載したように、謙虚な姿勢で"為替という外部・マクロ環境のせいにするのが潔いと思わないのか、内部・ミクロ環境に原因を求めがち"であることを良いことに、なにやら、日本企業駄目論、韓国企業優秀論などのおかしげな論調が大勢を占めています。これも、マスコミによる日本矮小化の一環だと思います。




エルピーダも、ソニーもシャープも、企業として、韓国企業なとに比較して、特に経営的劣っているということはないです。そうして、これだけの歴史ははじまって以来の円高水準の中で、良く努力しているほうだと思います。企業関係者は、もっと、いつまでも、デフレ・円高政策を転換しない日銀に対して、怒りの矛先をぶつけるべきだと思います。日銀まるで、日本の中央銀行ではなく、韓国や中国の中央銀行でもあるかのような政策しかとりません。こんなことで良いはずはありません。多くの人は、こうした日銀の不手際を忘れ、日本企業駄目論の呪縛にかかって、本当の原因に目が行っていないのだと思います。

それにしても、日本の企業この円高でも、良く耐えて頑張っていると思います。最近では、ソニーがインドで巻き返しつつあることも報道されていました。これだけ不利な状況ですごいことだと思います。それにしても、特にリーマンショック以降、他国の中央銀行は、日本と比較すれば、増刷なども含む徹底した金融緩和策を実施してきたにも関わらず、日銀は何もせず、これだけ、円高・デフレで日本企業をいたぶってきたにもかかわらず、何とか持ちこたえています。

これは、日銀さえまともになれば、日本の企業はすごいことになると思います。おそらく、この厳しさに生き抜いた企業は、これまでとは全く次元の異なる強い企業に生まれ変わり、力強く前進しはじめると思います。


そうして、その日は近いです。なぜなら、自民党の安部総裁は、日銀の政策転換を強力に推進し、増税は先送りし、デフレ克服を政策の第一に謳っているからです。これに比較すると、石原新党などは、デフレ解消などは、後回しと考えているようで、増税も認めています。まずやるべきことは、官僚体制を壊すこととしています。

私としては、官僚体制を壊すこと自体には大賛成なのですが、それよりも、まずは14年間も続くデフレ解消がまず先だと思います。何しろ、デフレは経済の癌ともいわれているほどの経済の病気です。人間でも、癌の人が、まずは病気を治すことを考えるのが普通です。病気を治して、他のことを考えるというのが普通です。


そうして、多くの人が思っているよりは、デフレ退治のほうが、簡単です。まずは、日銀の金融政策を転換させるだけで、円高はあっというまに収束します。それとともに、大規模な財政出動をすれば、かなりはやく克服できます。とにかく、過去10年以上もやってきたことの反対をすれば良いだけです。これに比較すると、官僚体制を壊すことはかなり時間がかかります。

石原氏は、いわゆる根本病にかかっている可能性もあります。根本病とは、「改革を志向する人が、根本問題にのみ囚われている状態」のことです。体制や機構などの変改ばかりが先行して、実態の改善がおろそかになるおそれがあると思います。民主党などは、そもそも、最初から駄目なのに、「政治主導」なる根本病にかかってひどいことになりました。

いずれにせよ、技術や技術者の流出でさえ、マクロ的にはデフレ・円高を容認し続けている日銀の金融政策にかなり問題があるわけです。そうして、日銀の金融政策を変えることは、日銀法の改正など比較的短期間でできます。日銀法の改正ができれば、その後は、特に新たな法律を作るとかなどせず、その時々で柔軟な金融政策ができるようになります。

そうして、財政出動との両輪で、デフレはかなり確実に脱出できます。これでだけでも、随分違います。まずは、これをやってから、官僚体制の破壊をやるべきです。もう、20年近くも放置されて、国民や企業を苦しめる続けるデフレの解消をまず最初にやるべきと思います。今の民主党のように、デフレ克服すらできない政党が、官僚体制の破壊をすることなど、とうていできないと思います。

皆さんは、どう思われますか?

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2012年9月12日水曜日

トウモロコシ「史上最高値」でも食糧危機が来ない理由―【私の論評】おおむね正しいが、一つ大きな間違いがある!!

トウモロコシ「史上最高値」でも食糧危機が来ない理由

青々と茂るとトウモロコシ畑

トウモロコシ価格が2012年7月に1トンあたり333ドルと史上最高値を更新した。

2008年(月平均)に価格が高騰したときには、「世界食糧危機が来た」などと言って大騒ぎしたものだが、今回はそれほど騒いでいない。もう、マスコミも国民も食糧危機には興味がなくなったのであろうか。ちなみに、トウモロコシの価格は2008年よりも16%も高くなっている。

なぜ大きな騒ぎになっていないのだろう。

それは円高だからだ。2008年は1ドルが110円前後であったが、現在は80円を切っており40%ほど円高になっている。だから価格が16%ほど高くなっても、円ベースだとまだまだ安い。
新興国の成長と資源価格の推移は関係があるのか?

図に1980年のドルベースの価格を1.0としたときのトウモロコシ、石油、鉛の価格の変化を示す(IMFデータ)。図を見ると、トウモロコシ、石油、鉛の価格の変動パターンが驚くほどよく似ていることに気がつく。2006年頃から2008年の夏にかけてそろって急騰し、2008年の秋にそろって急落し、その後に再び上昇している。


穀物価格の急騰は、干ばつによる不作などによってもたらされる。2012年も米国の穀倉地帯が干ばつに襲われたことがトウモロコシ価格急騰の直接の原因になっている。ただ、干ばつが来るかどうかまだ分からなかった4月から6月頃でも、価格は2008年の最高値付近で推移していた。

ただ、トウモロコシだけでなく石油や鉛の価格も一緒に見ると、そのような説を信じる気にはなれない。干ばつによって石油や鉛を含む鉱石が採れなくなることはないからだ。

それでは、新興国の需要が資源価格を押し上げているという説はどうだろう。中国をはじめとした新興国は資源を大量に消費し始めている。

ただ、この説もよく考えてみるとおかしい。まず、2000年の価格が1980年よりも安くなっている。2000年のトウモロコシの価格は1980年の価格の0.88倍、石油は0.74倍、鉛の価格はなんと0.42倍である。中国をはじめとした新興国は1980年頃より経済発展の速度を速めた。そんな状況で2000年の価格が1980年よりも安くなることがあるのであろうか。


また、新興国の需要によって価格が上昇したのであれば、なぜ2006年に急に高騰し、2008年に急落したのであろうか。需要増加が原因であるのなら、このような変化をすることはないだろう。
需給を反映していないトウモロコシの「史上最高値」

2006年以降の資源価格の乱高下は金融現象と捉えた方がよいと考える。

アラン・グリーンスパン氏は2006年まで米国連邦準備制度理事会の議長を務めていた。彼はマエストロ(巨匠)と呼ばれるほど米国の金融政策を巧みに操って、長期間にわたって米国を好景気に導くことに成功した。しかし、それは今になって考えれば、サブプライムローン問題など多くのバブルを作っていただけのことであった。

2008年の夏にピークを付けた資源価格の高騰は、住宅バブル崩壊に気付いた資金が資源に逃げ込んだためと考えられる。ただ、当時、多くの人はそのことに気付かなかった。だからトウモロコシの価格上昇を受けて、食糧危機の到来などと言って騒ぎたてたのだ。

サブプライムローン問題は2009年のリーマン・ショックへとつながったが、それによって世界景気は急速に冷え込んでしまった。その結果、資源価格も大きく下落した。

その金融危機は米国だけに留まらなかった。ギリシャの財政問題に飛び火して、ユーロ危機に発展している。それらの危機を回避するために世界は低金利時代に突入した。米国や西欧諸国はバブルの処理に失敗して低金利政策を続けている日本を嘲笑ったものだが、いまや彼らも日本と同じ状況にいる。

日本、米国、西ヨーロッパ諸国は全て超金融緩和状態を続けている。そんなときに、米国で干ばつが発生したという情報が入り、トウモロコシの価格はいとも簡単に史上最高値を更新した。

ただ、これは需給を反映したものではない。そのために、秋になって干ばつの被害はそれほどではなかったなどといった情報が入ると、今度は値を大きく下げることになろう。

この記事の詳細は、こちらから!!

【私の論評】おおむね正しいが、一つ大きな間違いがある!!
上の記事概ね正しいのですが、一箇所酷い間違いがあるので、訂正しておきます。それは、まずは、上の記事では、前のほうで、以下のように掲載しています。

トウモロコシは、値上がりしても、枯渇するということはなさそうだ
「2008年は1ドルが110円前後であったが、現在は80円を切っており40%ほど円高になっている。だから価格が16%ほど高くなっても、円ベースだとまだまだ安い」。

にもかかわらず、後ろのほうでは、以下のように掲載しています。

「日本、米国、西ヨーロッパ諸国は全て超金融緩和状態を続けている」。

これって、全くおかしいと思います。まず、他国はそうですが、日本だけは、「超金融緩和状態」を続けてなどいません。超金融引き締め状態を、かれこれ20年近くも続けているというのが事実です。

米国、EUは、現在景気対策として、確かに金融緩和策を実施しています。それに、リーマン・ショックのときだって、米国、EUも超金融緩和措置を行いました。何をしたかといえば、大幅な貨幣の増加などありとあらゆる緩和策をして、マネタリーベースを増やしました。



そんなときに、日本だけが増刷もせず、金融引締め状態を続けていました。その結果、どうなったかといえば、円高、デフレのさらなる進行です。下のグラフ、縦罫は金融緩和度合いを示すものです。

このグラフをみても、以下に日銀が金融緩和をせずに、金融引締めばかりしてきたかわかるというものです。リーマンショツクのとき、他国は、金融緩和を積極的に実施したため、リーマンショツクの震源地であったアメリカですら、日本よりも、はるかに立ち直りが早く、日本だけが、一人負けの状態になりました。

クリックすると拡大します
このグラフの一番右は、2011年であり、大震災があった年です。さて、この年ですら、日銀は、金融緩和策を行いませんでした。そうして、どうなったかといえば、強烈な円高です。なぜ、こんなことになったかといえば、地震の復興のため、円需要が増すのは当然のことですが、そんなときでさえ、日銀は、増刷することもなく、金融引き締めをしたため、円の需要の高まり放置し、強烈な円高になってしまったのです。

トウモロコシが高騰しても、円安、インフレのほうが良い?!

何か、上の記事では、円高で、トウモロコシや、資源が安く購入できるので良いような印象を受けますが、そんなことは絶対にありません。やはり2008年あたりの、110円くらいが当たり前の水準です。それに、金融引き締めにより、デフレから脱却もままなりません。

トウモロコシが安く買えなくても、枯渇するというのでなければ、円高ではなく、デフレも収束したほうが国民にとって、はるかに良いことはいうまでもありません。

このようなミスリードはやめていただきたいです!!このようなことをして、日銀を擁護して何になるというのでしょうか?


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