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2019年10月14日月曜日

【東アジアの動乱と日本の針路】日米関係は本当に順調なのか? 「日本は中国に対して甘すぎる」米国の不満が爆発すれば―【私の論評】安倍外交は、戦略と戦術で分けてみよ(゚д゚)!


安倍首相(左)と、トランプ大統領の個人的関係は良好だが…

日米両政府は7日(日本時間8日)、新貿易協定に正式署名した。表面上、日米関係は順調なように見える。だが、本当にそうだろうか。

 米国は、チャイナ(中国)の政治的、経済的脅威を深刻に認識している。ドナルド・トランプ政権だけでなく、野党・民主党も中国には厳しい態度で迫っている。

 チベットやウイグルでは、人権無視の強圧政策が継続している。特に、ウイグルでは100万人以上のウイグル人が強制収容所に収監されている。香港民主化運動は説明するまでもない。米国は「経済」と「人権」で中国を追い込んでいる。

 トランプ大統領と、安倍晋三首相では「中国の脅威」の認識について、大きな隔たりがある。日本の認識は、甘いと言わざるを得ない。

 実は日本こそ、知的所有権の窃盗などで、中国に経済制裁を発動してもおかしくないが、その動きはない。経済界には「トランプ氏が保護主義政策を振り回して、わが国は迷惑している」といった発言をするリーダーまでいるほどだ。

 最近では、日本は、中東・ホルムズ海峡の安全確保に向けた米主導の「有志連合」構想への参加を表明していない。トランプ政権や米軍からすれば、日本は中国にあまりに妥協的で、フラストレーションがたまっている。安倍首相とトランプ氏の個人的関係だけに依存していると、日本が制裁を受けることもあり得るのだ。

 それでは、米国の対中政策は継続するのか?

 これは、トランプ氏の大統領再選にかかっている。再選されれば、中国が根を上げるまで、米国は制裁を続けるだろう。

 筆者は現時点で、トランプ再選の可能性は7割以上とみている。民主党の大統領候補がみんな小物で、急進左翼色が濃厚なのである。中産階級の支持を幅広く集められるスター性のある候補者がいない。

 民主党は最近、「ウクライナ疑惑」なるものを持ち出して、トランプ氏の弾劾プロセスを開始した。この成功の可能性は、ほとんどゼロ%である。ロシアゲートの二番煎じの茶番劇である。

 トランプ氏が、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に、ジョー・バイデン前米副大統領の息子のスキャンダル調査を依頼した。これは、バイデン氏が副大統領時代、息子のハンター氏がウクライナの天然ガス企業の重役に就任していた問題である。

 以前から、これは「ウクライナ政府による、バイデン氏への贈賄に当たるのではないか」との疑惑が持たれていた。バイデン氏は現時点で、民主党予備選の有力候補であり、この真相が明らかになると、民主党は壊滅的な打撃を受ける。それを阻止しようと、「窮鼠猫を噛む」で弾劾を言い出したと分析している。

 トランプ氏によるウクライナへの捜査依頼は合法的な行動であり、弾劾の開始はむしろ、民主党が窮地に陥っていることの表れである。=おわり

 ■藤井厳喜(ふじい・げんき) 国際政治学者。1952年、東京都生まれ。早大政経学部卒業後、米ハーバード大学大学院で政治学博士課程を修了。ハーバード大学国際問題研究所・日米関係プログラム研究員などを経て帰国。テレビやラジオで活躍する一方、銀行や証券会社の顧問などを務める。著書・共著に『国境ある経済の復活』(徳間書店)、『米中「冷戦」から「熱戦」』(ワック)など多数。

藤井厳喜氏

【私の論評】安倍外交は、戦略と戦術で分けてみよ(゚д゚)!

日本は、中国に対して甘すぎるという指摘は、冒頭の記事の藤井厳喜氏だけではなく、産経新聞のワシントン駐在客員特派員である、古森義久氏も同じようなことを主張しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
【古森義久のあめりかノート】危うい安倍首相の対中観
古森義久氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より結論部分を以下に引用します。
 安倍政権が中国に対して唱える「競合から協力へ」という標語や中国の「一帯一路」構想への間接協力はトランプ政権の政策とは正反対である。同政権は中国を米国主導の既成の国際秩序を崩そうとする危険な挑戦者と位置づけ、「協力から競合へ」と主張する。「一帯一路」も習政権の覇権的な野望として排する。 
 トランプ政権は今月にはウイグル民族の弾圧にかかわる中国政府高官の訪米を拒む措置を発表した。安倍政権の「交流拡大」とは完全な逆行である。
 安倍政権のこうした対中融和姿勢にはトランプ政権の関係者からすでに抗議が発せられた。同政権の国務省引き継ぎの中核となったクリスチアン・フィトン氏は最近の論文で警告していた。 
 「米国が中国の無法な膨張を抑える対決姿勢を強めたときに日本が中国に融和的な接近をすることは日米同盟やトランプ政権への大きな害となる」

 現在は米研究機関「ナショナル・インタレスト・センター」上級研究員のフィトン氏はこう述べて、このままだと「安倍首相はトランプ大統領の友人ではなくなる」とか「米国は日本製自動車への関税を高める」という最悪シナリオをも示すのだった。(ワシントン駐在客員特派員)
第2次安倍晋三政権が発足して早くも7年近くがたちました。ちまたには多くの「安倍外交論」がります。上記の藤井厳喜氏、古森義久の記事もそれらの一つです。これらは、安倍総理の対中国外交を危惧するという内容です。

私としては、外交、それも多元的な外交という面から見れば、また違った見方ができるのではないかと思います。

外交には3つの側面があります。第1は、国民感情や国内の権力闘争とは一線を画し、純粋に国際政治・経済・軍事上の利益を最大化する知的活動。第2はこれとは逆に、国内政治上の一手段として権力者が権力基盤を維持するために行う対外活動です。どちらを重視するかで評価は大きく変わります。

第3は、過去10年間で始まった国際的な政治潮流の変質です。グローバリズムと国際協調に代わって自国第一主義と排外差別主義が復活し、1930年代のような「勢いと偶然と判断ミス」による政治判断がまかり通っています。これら3つの側面に配慮しない外交政策はいずれも成功しないでしょう。

この国際政治・軍事環境の大転換期に発足したのが第2次安倍政権でした。目指した外交政策は2006~07年の第1期と大きく変わっていないです。具体的には、日米韓の同盟・準同盟を基軸に、台頭する中国を牽制し、ロシアとの関係改善を計りつつ、東南アジア、欧州、中東との関係を維持することです。

第2期に安倍外交が花開いたのは、首相の個人的能力もさることながら、安倍外交の基本政策がより多くの国民に支持され始めたことが大きいです。

転機は12年の尖閣諸島をめぐる日中衝突でした。当時の中国のかたくなな姿勢に直面し、国民はより強いリーダー、より毅然とした対外政策を求めたのだろう。各主要国に対する個別の安倍外交はどうでしょうか。

まずは日米関係ですが、日米同盟関係が今ほど円滑であった時期は記憶にないです。東アジアで中国の台頭に直面しながら、付き合い方の難しいバラク・オバマ、ドナルド・トランプ両政権と良好な関係を巧みに保ちつつ、日米連携の維持・拡大をリードした功績は素直に評価すべきです。

続いて中国です。安倍政権の対中政策は戦略的でブレていません。政権発足直後こそ日中関係はギクシャクしましたが、14年以降徐々に中国が日本に歩み寄るようになりました。しかし、日中関係はしょせん米中関係の従属変数です。米中関係が悪化した今、安倍外交は巧みに対中関係の戦術的改善を進めています。

勿論、これで中国が歴史、靖国や尖閣問題で実質的に譲歩するとは到底思えないです。米中関係が険悪であり続ける限り、中国は対日関係を維持せざるを得ないです。

しかし日本がこれを公式に言えば中国の面子が潰れることになります。日中関係は双方の智恵の勝負となるでしょう。

そうして、中国にとって日本は潜在的敵対国であり、尖閣や歴史問題での戦略的対日譲歩はあり得ないです。現在の対日秋波は日本からの対中投資を維持しつつ日米同盟関係に楔くさびを打つための戦術でしかありません。

一方、日本にとっても中国の潜在的脅威は今後も続く戦略問題です。であれば、現時点で日本に可能なことは対日政策を戦術的に軟化させた中国から、経済分野で可能な限り譲歩を引き出すことでしょう。

現在日中間で進んでいるのはあくまで戦術的な関係改善にすぎません。こう考えれば、欧米と普遍的価値を共有する日本が、藤井氏や、古森氏が強く反対する安倍首相が「軍事や経済などで強国路線を突き進む中国に手を貸す選択している」とまではいえないと思います。外交は、戦術と戦略とにわけて考える必要もあるのです。

安全保証のセキュリティーダイヤモンドを構想した、安倍総理が戦術的に一旦中国に歩み寄っているようにみえるからといって、戦略は変わっていないのです。

朝鮮半島は日本にとって鬼門です。元徴用工の訴訟や秘密情報保護協定(GSOMIA)問題での韓国の強硬姿勢は想定外でした。残念ながら、北朝鮮との拉致問題も解決の糸口を見いだせないでいます。南北朝鮮については、外交の国際的側面と国内政治的側面のバランスの維持が非常に難しいです。

さらに困難なのが、東アジアでのいわゆる歴史問題の扱いです。安倍外交の基本姿勢は確かなものですが、国際的利益と国内的政治配慮のどちらを優先するかは微妙です。13年の靖国参拝では後者を優先し、15年の戦後70年談話では前者を優先しています。

米国でも、特に知日派は日本外交の、こうした戦術面、戦略面は理解していることでしょう。

尖閣は長期戦略では中国の確信的利益である(尖閣に中国の軍事施設が設営された場合の想像図)

最後にロシアに触れます。北方領土をめぐる日ロ首脳交渉は、日本国内への配慮というより、米中ロ間のバランス変化を踏まえた戦略的な一手です。残念ながら今回ロシアは米ロ関係の悪化を受け、中国の戦略的脅威よりも米国に対する中ロ連携を重視しました。日ロ関係の再活性化は容易ではなです。ただし、このブログでも何度か掲載した通り、米国の対中冷戦が進化して、中国が弱体化したときには、日露関係の再活性化が期待できます。

過去7年弱の安倍外交は、不確実性が高まる東アジアで日本の国益と存在感を高めることにおおむね成功しました。懸念材料は、日韓関係悪化に伴い従来の日米韓3国の連携が失われる可能性です。今後日本が米国と共に韓国をどこまで引き留めるのか。これが安倍外交8年目の課題です。

本日韓国のチョ・グク法相は14日、法相を即日辞任すると表明した。チョ氏の妻ら親族の疑惑について検察が捜査を進めており、チョ氏は「これ以上、私の家族のことで文在寅(ムン・ジェイン)大統領や政府に負担をかけてはならないと判断した」と辞任の理由を説明した。今後、文在虎政権はレームダック化する可能性があり、そうなると、日本としは、交渉がしやすくなる可能性がでてきまた。

【関連記事】

2014年10月23日木曜日

【週間現代】全国民必読 日本経済「隠された真実」安倍官邸と大新聞「景気は順調」詐欺の全手口―【私の論評】増税するしないはもう経済理論を超えた、殺人・詐欺マシーンと化した財務省と、それを粉砕しようとする勢力との政治・言論抗争である(゚д゚)!

【週刊現代】全国民必読 日本経済「隠された真実」安倍官邸と大新聞「景気は順調」詐欺の全手口
ゴマかす、誇張する、知らんぷりする 
「消費税10%」のために、そこまでやるか
週刊現代 2014年 11/1号 [雑誌]

消費税10%で日本経済は崩壊するのではないか
そんな危惧は安倍官邸の足元、自民党内からも上がり始めている。

「自民党内では増税の時期をずらせないかという意見が多数を占めている。所属議員の6割はそうじゃないか。その裏にある不安は来年4月の統一地方選だ。安倍総理が12月に再増税を決断したら統一地方選は絶対に勝てないと言っている。

 うちの先生も地元の商店主から『1年半で消費税が2倍になったら商売にならない。ただでさえ客足が減っているんだから』と泣きつかれて困っているよ。景気が惨憺たる状況のなか増税に舵を切られたら地元から崩れていく」(自民党代議士のベテラン秘書)

佐藤慎一 官房長 '80年入閣 写真はブログ管理人挿入

(中略)
財務官僚が総出でマスコミ対策にあたっている「新聞なら社説を書く論説委員、テレビなら解説委員に対して、佐藤慎一主税局長が中心になって『ご説明』にあがっています。」

経済部長やデスクには主計局新川浩嗣総務課長らが説明に回る。
ちなみに佐藤局長は次の次の事務次官候補で、新川課長は将来の次官と目されるエース。

新川浩嗣主計局総務課長 写真はブログ管理人編集加工したものです

「彼らは50ページ以上にも及ぶ資料を持参し消費増税の必要を丁寧にレクチャー
してくれます。その資料にはそのまま紙面に使える数字やグラフがふんだんに盛り込まれており、実際原稿を作るときには重宝するんです」(全国紙経済部キャップ)

こうして大メディアが懐柔され消費税10%の片棒を担ぐそうせざるを得ない理由が新聞の側にもある。「慰安婦問題」以降、部数減に歯止めのかからない朝日新聞のみならず、新聞は近年大幅に部数を減らしている。消費再増税が加われば、部数減に拍車がかかる。そこで消費税が10%になったとしても自分たちだけは軽減税率」の対象にしてもらい恩恵を受けたいと官邸に尻尾を振っているわけだ。(引用ここまで)

上の記事は要約記事です、この記事は以下からコピへさせていただきました。







【私の論評】増税するしないはもう経済理論を超えた、殺人・詐欺マシーンと化した財務省と、それを粉砕しようとする勢力との政治・言論抗争である(゚д゚)!

増税に関しては、このブログにも過去に何度も掲載しています。今の時点では、4月から増税で、景気が落ち込んでいます。

本来ならば、再増税などとは全く関係なく、4月から増税による景気の落ち込みに対して何らかの対策をするのが最優先課題であるはずです。4月から増税が大失敗だったのは、もうはっきりしています。

消費税増税後の直後の景気の落ち込みは、1997年の増税のときと比較しても、かなり酷い落ち込みでした。それは、以下のグラフをみると一目瞭然です。


1997年の増税ではどうなったかといえば、翌年から日本は完璧にデフレに突入しました。現状では、どうかといえば、日銀は昨年から異次元の包括的金融緩和に転じましたが、まだ日本がデフレ状況にあります。今回は、デフレの最中での増税ですから、このくらい落ち込むであろうことは最初からわかていました。他にも、悪い条件が重なれば、もっと悪くなったかもしれません。

この程度の落ち込みですんだのは、まだましだったかもしれません。しかし、この状況を続けていれば、日銀の金融緩和を継続したにしても、その効果がでてくるのは随分遅くなり、しばらくはデフレ脱却から遠のくは必定です。

このままだと、再増税をしなくても、景気はかなり落ち込みます。これを放置しておく、政府はいかがなものかと思います。

これは、経済学者の田中秀臣氏もツイートしています。

これをに輪をかけて、再増税するなどまさに、狂気の沙汰です。その狂気の沙汰について、田中秀臣氏は、以下のようにツイートしています。


詳細は、この記事を参照していただくものとして、この記事では、殺人マシーン財務省は分割すべきであることと、日銀が再び殺人マシーンとして復活することがないように、日銀法を改正すべきであることを結論として掲載しました。

政府は、11月に増税に関する識者会議を開催する旨を前から公表していました。しかし、もうこのような会議など開催する意味はありません。

このような状況では増税しないことのほうが良いということは、誰の目にも明らかです。

もはや、増税論議は、経済理論の域などとうに超えて、自らの省益のために何が何でも増税したい財務省と、それを阻止しようとする勢力との政治的駆けひき以外の何ものでもありません。そうして、反増税派は現状では圧倒的に不利な状況にあります。

財務省の酷いプロパガンダとそれを報道するマスコミについては、元大蔵官僚の高橋洋一氏も怒りの声をあげています。

怒りのツイートを以下に掲載します。
マスコミと手を組み、このような誤った内容を広めて、何としてでも、再増税を押し切ろうとする財務省は最早まともな官庁ではなく、殺人・詐欺マシーンと化したようです。

増税阻止ができたら一番良いですが、少なくとも、増税などして、自殺者が増えたり、雇用状況が悪くなった場合、なんとしても財務省の首だけは、とるくらいの覚悟はしておくべきものと思います。

日本はデフレという無限生き地獄にはまっている

そのくらいしないと、この世の生き地獄で塗炭の苦しみに苛まされている人々、苛まされて死に至った人々は、まるで財務省殺人・詐欺マシーン青鬼のいる無限地獄にいるようで、浮かばれません。

経営学の大家ドラッカーは、以下のように述べています。
「マネジメントたるものはすべて、リーダー的地位にあるものの一員として、プロフェッショナルの倫理を要求される。 それはすでに、2500年前のギリシャの名医ヒポクラテスの誓いのなかにはっきり表現されている。知りながら害をなすな、である」(『エッセンシャル版マネジメント』)
これは、政治家や官僚にもあてはまるものです。実際ドラッカーは、マネジメントは組織であれば、どのような組織でもあてはまるとしています。

財務省も組織であることには変わりありません。日々財務省をマネジメントしている人々にもこのドラッカーの言葉はあてはまります。絶対に「知りながら害」をなしてはならないのです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【追記】

本日2014/10/28現代ネットに、この記事の冒頭の記事(要約)の内容が、全公開されています。その記事のURLを以下に掲載します。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40906


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【関連図書】

週刊現代 2014年 11/1号 [雑誌]

講談社 (2014-10-20)

増税と政局・暗闘50年史 (イースト新書)
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消費増税の黒いシナリオ デフレ脱却はなぜ挫折するのか (幻冬舎ルネッサンス新書 た-8-1)
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